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明細書 :有機ハイブリッド制振材料の層を配した積層型制振材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3731474号 (P3731474)
公開番号 特開2002-213527 (P2002-213527A)
登録日 平成17年10月21日(2005.10.21)
発行日 平成18年1月5日(2006.1.5)
公開日 平成14年7月31日(2002.7.31)
発明の名称または考案の名称 有機ハイブリッド制振材料の層を配した積層型制振材料
国際特許分類 F16F  15/02        (2006.01)
B32B  27/00        (2006.01)
C08K   5/134       (2006.01)
C08K   5/3475      (2006.01)
C08K   5/375       (2006.01)
C08K   5/47        (2006.01)
C08L  23/28        (2006.01)
C08L  67/00        (2006.01)
C08L  77/00        (2006.01)
FI F16F 15/02 Q
B32B 27/00 B
C08K 5/134
C08K 5/3475
C08K 5/375
C08K 5/47
C08L 23/28
C08L 67/00
C08L 77/00
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2001-007175 (P2001-007175)
出願日 平成13年1月16日(2001.1.16)
審査請求日 平成14年4月26日(2002.4.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591178698
【氏名又は名称】住田 雅夫
【識別番号】599040539
【氏名又は名称】三浦 正
【識別番号】501020154
【氏名又は名称】井上 清博
【識別番号】501020176
【氏名又は名称】伊藤 哲也
発明者または考案者 【氏名】住田 雅夫
【氏名】三浦 正
【氏名】井上 清博
【氏名】伊藤 哲也
個別代理人の代理人 【識別番号】100110168、【弁理士】、【氏名又は名称】宮本 晴視
審査官 【審査官】藤本 信男
参考文献・文献 特開平11-068190(JP,A)
特開平11-116786(JP,A)
特開平06-263972(JP,A)
特開平10-312191(JP,A)
特開昭63-097998(JP,A)
特開2000-169674(JP,A)
特開2000-273435(JP,A)
特開2002-173663(JP,A)
調査した分野 C08K 5/134
C08K 5/3475
C08K 5/375
C08K 5/47
C08L 23/28
C08L 67/00
C08L 77/00
F16F 15/00-15/32
特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも1種の前記ポリマー成分と溶融ブレンド状態の温度から板状ないしフイルム状の成形物の成形直後において非結晶で該ポリマー成分と均一系の相溶状態ないし該ポリマー成分中に分散状態で存在し、該成型物を結晶化処理することにより、該ポリマー成分と相互作用した制御された大きさおよび針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物とを含む溶融ブレンド状態の配合物から前記板状ないしフイルム状の成形物を成形し、該成型物に該低分子化合物のガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度において処理して前記低分子化合物の前記結晶化析出物を生成させることにより得られた損失弾性率が10パスカル(Pa)以上の有機ハイブリッド制振材料からなる少なくとも1層と、前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になり非結晶質である板状ないしフイルム状の成形物からなる少なくとも1層とが交互に積層されたものである積層型制振材料。
【請求項2】
制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度による結晶化処理により制御された大きさと針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する低分子化合物が、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種であり、該低分子化合物と相溶性の溶融ブレンドを生成するポリマー成分が塩素化ポリエチレン、ポリエステル、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の積層型制振材料。
【請求項3】
有機ハイブリッド制振材料よりも弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーを主成分とする層を形成する材料がN,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種と塩素化ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型制振材料。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックスを構成するポリマーと該ポリマーと共有結合より弱い結合力、すなわち、静電相互作用、水素結合力、ファンデルワールス力、π-π相互作用などにより相互作用を形成する(機能性超分子の形成ともいう。)制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度による結晶化処理により制御された大きさと針状ないし柱状の形状に結晶化析出物を生成する有機低分子の前記結晶を5%以上含む有機ハイブリッド制振材料の層と前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率(E')が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になる非晶質の板状ないしフイルム状の成形物からなる層を積層層として含む積層型制振材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
科学技術の発展の中で色々な機器が生み出され、ある面では社会の機能性が高まる一方で、社会の一般生活の環境面において、振動、騒音などによる人に対する精神的および肉体的な障害を発生させている。特に最近では低音による人体に対する障害が確認され大きな問題として取り上げられている。このような複雑なシステムの社会が出現する中で、制振材料に要求される特性も高度で、かつ複雑化している。
【0003】
高分子材料の減衰特性は動力学的挙動により評価できる。損失弾性率(E”)(力学的エネルギーの消散を伴う、加振力に対して1/4だけ遅れて応答することにより機能する。)と損失正接(tanδ)は減衰性能の指標である。特に前者は実用特性としての制振材料の性能を最も良く表す。本発明者らは、ポリマーと機能性有機低分子のコンポジットが持つ制振性能に注目し、色々な有機低分子を用いて、損失正接(tanδ)を指標として有機ハイブリッド系制振材料の研究を行ってきた(例えば文献繊維学会誌2000年9月号56巻P443-448参照)。また、単独のポリマーでは、損失正接のピークの温度領域が広くない為、非相溶性の2種類のガラス転移が異なったポリマーをブレンドする等の技術を用いて実用温度範囲を改善する研究もされてきた。しかし、該ブレンド構造のものは、損失正接のピークの温度領域は広くなるが、ピークの大きさは小さくなるという欠点がある。他方、相溶性のポリマーをブレンドしたものでは、ピークが1つしかなく実用温度領域を広げることにおいてはあまり意味がなかった。そこで、前記非相溶性と相溶性材料からの制振材料の中間の特性を持つ制振材料をねらって、半相溶性のものをブレンドしたり、相互侵入型(IPN:Inter Penetrating Network)のポリマーアロイを設計する試みもなされている。しかしながら、満足すべき制振特性を持つ材料とは言えない、特に損失弾性率(E”)による制振特性としては殆ど改善されていないというのが現状であった。
【0004】
このような中で、本発明者らは前記不都合を改善する、すなわち、ガラス転移温度範囲が広く、かつ、大きな損失弾性率(E”)を持つ新しい制振材料の設計として、機能性超高分子的な、針状ないし柱状の結晶析出物(繊維状会合体と表すこともできる)を生成する低分子化合物である制振性付与剤および該制振性付与剤と相溶性を示す第1のポリマーと該制振性付与剤に対して非相溶性であり、かつ、第1のポリマーと均一配合物を形成しない第2のポリマーとを用いて得られる、前記制振性付与剤と第1の相溶性ポリマーとを主成分とする、両成分が水素結合などの共有結合より小さいが相互作用をして形成する(制振性を向上させる形態に機能性超分子を形成する構造を推測される形態を意味する。)一つの相溶性配合物相と、前記第2のポリマーを主成分とする前記相と別の第2ポリマー相とからなる複合形態型制振材料、特に相溶性配合相からなる島構造を、第2のポリマー相の海中に分散配置した構造の複合形態型制振材料、特に、該相溶性配合物からなる相は制振制付与剤を結晶化させた成分を主成分とする長さと断面の長径との比が針状乃至1となる形状(「ドメイン」とも言う。)を発現させた相が形成された島構造を、前記第2のポリマー相の海中に分散配置した構造の複合形態をなしている複合形態型制振材料を提案した(特願2000-369800、特開2002-173663号公報)。
【0005】
前記技術を用いれば、相溶するポリマーと相溶しないポリマーの比を変えることによって、ドメインの大きさや形態(針状、柱状、塊状、超高分子の形成)を制御でき、例えば、ドメインのサイズを調整することによって、特定の周波数の振動を制御できること、針状結晶に制御することにより吸音実験では160Hz近傍の低周波領域の音を吸音できることを確認した。しかしながら、このような複合構造においても損失弾性率(E”)からみた制振特性からは十分とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、前記社会的な要求を満足させるのにはまだ十分とはいえないのが現状である。よって、本発明の課題は、損失正接ばかりでなく損失弾性率(E”)をより改善した非拘束型制振材料(例えば、一方を自由表面として制振したい物の上に貼り付けるタイプ)を提供することである。前記課題を解決するために、本発明者らは、従来開発されてきた制振材料を用い、低周波のゆっくりした振動に対しても制振効果が改善する程度の弾性特性を持つポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との実質的に非晶質の配合物から実質的になる前記貯蔵弾性率特性を調整した層と組み合わせることにより周波数特性を制御、改善できることを見出し、本発明の積層型制振材料とすることにより前記課題が解決した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも1種の前記ポリマー成分と溶融ブレンド状態の温度から板状ないしフイルム状の成形物の成形直後において非結晶で該ポリマー成分と均一系の相溶状態ないし該ポリマー成分中に分散状態で存在し、該成型物を結晶化処理することにより、該ポリマー成分と相互作用した制御された大きさおよび針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物とを含む溶融ブレンド状態の配合物から前記板状ないしフイルム状の成形物を成形し、該成型物に該低分子化合物のガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度において処理して前記低分子化合物の前記結晶化析出物を生成させることにより得られた損失弾性率が10パスカル(Pa)以上の有機ハイブリッド制振材料からなる少なくとも1層と、前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になり非結晶質である板状ないしフイルム状の成形物からなる少なくとも1層とが交互に積層されたものである積層型制振材料である。好ましくは、制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度による結晶化処理により制御された大きさと針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する低分子化合物が、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種であり、該低分子化合物と相溶性の溶融ブレンドを生成するポリマー成分が塩素化ポリエチレン、ポリエステル、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記の積層型制振材料であり、より好ましくは、有機ハイブリッド制振材料よりも弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーを主成分とする層を形成する材料がN,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種と塩素化ポリエチレンからなることを特徴とする前記各である。すなわち、前記有機ハイブリッド制振材料の層を前記貯蔵弾性率および損失正接を調整した層とを複合化することにより損失弾性率(E”)をより改善した、更に低周波の制振性のよい制振材料が得られることを見出した。
【0008】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。A、本発明において使用されるポリマーは、従来制振材料において用いられていたポリマーを用いることができる。このようなポリマーとしては、塩素化ポリエチレン(CPE)、アクリルゴム(AR)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、天然ゴム、天然ロジン、変性ロジン等を使用することができるが、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアミドを好ましいものとして挙げることができる。これらの中でも前記本発明の有機ハイブリッド材料層を構成する制振性付与剤と前記水素結合、ファデルワールス力などにより、これの結晶と機能性超分子を形成する結合構造、官能基などを持つ化合物が好ましい。また、ポリマーの分子構造と、Tg(ガラス転移点温度)、損失弾性率(E”)、tanδには相関があることが考察されているから(ポリマーダイジェスト、Vol.50,No.3(1998,3),17-32参照。)このような観点から、有機ハイブリッド材料の層を形成する材料および該層と組み合わされる低貯蔵弾性率および高損失正接を持つポリマーからなる層を形成するポリマーを適宜選択できる。
【0009】
B、本発明で使用する、制振性付与剤として機能する低分子化合物としては、溶融ブレンド状態から、成形直後において非結晶で前記ポリマーと相溶状態ないしポリマー中に分散状態で存在し、その後の該低分子化合物のガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度範囲での結晶化処理により針状ないし棒状結晶化相(繊維状会合体)を生成するものであればよく、特に前記ポリマーと相互作用する化合物(前記例示の結合により機能性超分子的に会合するもの)が好ましい。このような化合物を例示する。
【0010】
OH基(+)を持っている化合物は、水素結合することが可能であり、O、N、F、Clなどを持った系のポリマー、ポリビニールアルコール、アクリル樹脂にOHを持たせたもの、アクリル樹脂にCOOHを持たせたもの、アクリル樹脂にNHを持たせたもの、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまたは、これらの基を持つモノマーを組み合わせたポリマーなどと組み合わせることができる。
【0011】
π電子(-)を持っている化合物は、電気的な結合力生じさせる、+系のポリマー、NH基を持つポリマーなどと組み合わせることができる。
【0012】
より好ましくは、それらにおいて分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物であり、更に好ましくは低分子化合物が、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS)、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種であり、ポリマーが塩素化ポリエチレン、ポリエステルやポリアミドなどから選択される少なくとも一種である。
【0013】
C、前記有機ハイブリッド制振材料よりも弾性率〔貯蔵弾性率(E’)〕が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が生0.5以上となるように調整されたポリマーを主成分とする板状ないしフイルム状の層を形成する材料は、ポリアクリレートまたはメタアクリレートから誘導されるアクリルゴム、ポリエチレン酢ビ(EVA)、アクリル-ブタジエン-スチレンゴム(ABSR)など熱可塑性樹脂を挙げることができる。前記弾性率の比較的柔らかい特性を有することが低周波の振動を減衰させるために重要である。
【0014】
D,低周波の制振効果を発揮するのに有効な、有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率(E')が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が生0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になる板状ないしフイルム状の成形物は、前記本発明者らが提案した前記繊維学会誌2000年9月号56巻P443-448に記載のものなどを採用することができる。
【0015】
【実施例】
試料の作製、特性の測定技術について。
材料の混錬は2軸ミキシングローラを用いて65℃で10分間行った。試料はホットプレスを用い140℃、200kgf/cmで成形した。
動的粘弾性(DMA)測定
貯蔵弾性率,損失弾性率及び損失正接(tanδ)は,アイティー計測制御(株)製の粘弾性測定装置(DVA200S)を用いて測定した。測定は周波数50Hzで、昇温速度10℃/分、動的歪み0.1%で、引っ張りモードで行った。試料のサイズは約20mm×5mm×1mmとした。
(2)示差走査熱量(DSC) 測定熱流束型のSHIMADZU製DSC-50で、約10mgのサンプルを窒素雰囲気下、10 ℃/分の昇温速度で室温から150℃まで測定した。電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)による観察:(株)日立製作所製のS-800、 Field Emission Gun Scanning Electron Microscopeを用い試料の断面を観察した.断面は冷凍破断法で面出した。
(3)エネルギー分散型X線分光(EDX)測定:フィリップス(株)のEDAXPV 9900I型を用い試料表面の微小部分の元素分析を行った。
【0016】
実施例1および2、比較例1および参考例1
試料ポリマー成分として、塩素化ポリエチレン(CPE; 昭和電工(株)製,エラスレンCPE-4 : 塩素化度30重量%)を用い、結晶性有機低分子成分として、N,N'-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DBS; 大内新興化学工業製 :ノクセラ-DZ)を用いた。ブレンド方法、試料の作製は上記方法に従って、DBS、CPE単独およびCPEとDBSをブレンドした試料 (CPE/DBS)を作製した。作成した試料を50℃で、5日間熱処理したフイルム材料を用いた。
【0017】
試料として、
a,CPE:DBSが50:50のもの(比較例1:25℃で30日間処理)(●)非積層品
b,Al板上に配合1の有機ハイブリッド材料層、配合2の有機ハイブリッド材料層の2層積層品(実施例1)(□)
c,Al板上に配合1の有機ハイブリッド材料層、配合2の有機ハイブリッド材料層を交互に多層(4層)積層した多層積層品(実施例2)(▲)
d,Al板上に配合2の有機ハイブリッド材料層、アクリルゴム(日本ゼオン社製AR31:)を主とする層とを交互に多層(6層)積層した多層積層品(参考例1)(◇)配合1の組成は、CPE:DBSが80:20。配合2の組成は、CPE:DBSが20:80。である。各試料は、前記層形成材料を種々の厚みで、10×150×1mmの大きさのアルミ板に熱接着して作成した。
【0018】
前記特性を持つ材料をAl板上に熱接着した前記試料a~dの減衰特性をASTM E756-93に準じた非拘束型積層材の片端固定打撃加振法〔図4:(a)は、Al基板Bに制振材料BLを接着した試料Sを示す。(b)は、試料を片持ち固定する固定部F、打撃加振部を構成するインパルスハンマーIP、増幅器APおよび解析装置(モーダル解析ソフトでフーリエ変換し、損失係数は共振ピークから半値幅法により求める。)からなる制振特性の測定装置を示す。〕を用いて測定し、積層構造の制振材料を構造体に付与した場合の制振特性の善し悪しを評価する尺度である〔約160~250Hz(図1)、約1000~1500Hz(図2)、約3000~3500Hz(図3、参考例1)にみられる共振周波数での〕損失係数(η)で示す(各図において、ηが大きいほど制振性能が高く共振し難いことを示す)。積層によって高い損失係数をもつものが得られた。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の積層型制振材料は、各成分の配合量、後処理条件、積層する層構成材料の組み合わせ等により種々の特性を持つ制振材料を得ることができるし、特に最近問題となっている低周波の騒音に対する効果的な制振材料を提供できる可能性が大きい点で、生活環境の改善に役立つという優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 積層構造の制振材料の共振周波数160~250Hzでの損失係数(η)
【図2】 積層構造の制振材料の共振周波数約1000~1500Hzでの損失係数(η)
【図3】 積層構造の制振材料の共振周波数約3000~3500Hzでの損失係数(η)
【図4】 積層構造の制振材料を構造体に付与した場合の制振特性、損失係数(η)の評価法
【符号の説明】
S 制振特性測定試料 BL 実施例の制振材料Al アルミニウム基板 F 試料S固定部 IP インパルスハンマーAP 増幅器 AN 解析装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3