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明細書 :ポリフェノールを分解する新規微生物およびその微生物を用いたポリフェノール含有廃水の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4613262号 (P4613262)
公開番号 特開2002-238547 (P2002-238547A)
登録日 平成22年10月29日(2010.10.29)
発行日 平成23年1月12日(2011.1.12)
公開日 平成14年8月27日(2002.8.27)
発明の名称または考案の名称 ポリフェノールを分解する新規微生物およびその微生物を用いたポリフェノール含有廃水の処理方法
国際特許分類 C12N   1/14        (2006.01)
C02F   3/10        (2006.01)
C02F   3/34        (2006.01)
C12M   1/40        (2006.01)
C12N   1/00        (2006.01)
C12N  11/12        (2006.01)
C12R   1/80        (2006.01)
FI C12N 1/14 A
C02F 3/10 ZABA
C02F 3/34 Z
C12M 1/40 Z
C12N 1/00 S
C12N 11/12
C12N 1/14 A
C12R 1:80
C12M 1/40 Z
C12R 1:80
C12N 1/00 S
C12R 1:80
請求項の数または発明の数 6
微生物の受託番号 FERM P-18166
全頁数 12
出願番号 特願2001-045631 (P2001-045631)
出願日 平成13年2月21日(2001.2.21)
審査請求日 平成19年9月27日(2007.9.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591270556
【氏名又は名称】名古屋市
発明者または考案者 【氏名】丹羽 淳
【氏名】片桐 誠之
個別代理人の代理人 【識別番号】100108280、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 洋平
審査官 【審査官】太田 雄三
参考文献・文献 特開昭62-282696(JP,A)
特開昭64-018498(JP,A)
第35回日本水環境学会年会講演集,2001年 3月14日,p. 474
調査した分野 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
PubMed
CiNii
特許請求の範囲 【請求項1】
ペニシリウム(Penicillium)属に属し、ポリフェノールを分解する新規微生物であって、前記微生物が、ペニシリウム・ゲアストリボルス(Penicillium geastrivorus)NM10b(FERM P-18166)であることを特徴とする新規微生物。
【請求項2】
請求項1に記載の新規微生物を用いたポリフェノール含有廃水の処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の新規微生物を担体に固定化したことを特徴とする微生物固定化担体。
【請求項4】
前記担体が、セルロース発泡体であることを特徴とする請求項3に記載の微生物固定化担体。
【請求項5】
請求項4に記載の微生物固定化担体を処理槽に充填したことを特徴とするポリフェノール処理用バイオリアクター。
【請求項6】
請求項1に記載の新規微生物を担体に固定化して微生物固定化担体を作製する第1工程と、前記微生物固定化担体を処理槽に充填する第2工程とを備えることを特徴とするバイオリアクターの製造方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ポリフェノールを分解する新規微生物、及びその微生物を用いたポリフェノール含有廃水の処理方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、一般家庭廃水や食品加工廃水等の廃水処理については、微生物を利用したいわゆる活性汚泥法による曝気処理方法が広く行われている。また、この方法の改良として、微生物を保持する担体に微生物を保持し、これを曝気槽内に多数投入するか、あるいは処理槽に充填して廃水を通過させ、廃水の生物化学的酸素要求量(BOD)を下げる方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、廃水中に含まれるポリフェノールは、難生物分解性であるため、上記の処理方法によっては、十分な除去を行うことは困難であった。このため、これらのポリフェノールを活性炭等の吸着剤によって吸着させる方法も考えられるが、この方法では廃水処理コストの高騰化を招来することとなる。別法として、塩素や過酸化水素、あるいはオゾンなどの酸化剤を用いて、ポリフェノールを酸化分解するという化学的処理方法も考えられるが、廃水処理コストの高騰化を招来すると共に、安全性についても問題を生ずる。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、廃水中のポリフェノールを生物的に処理するために好適な新規微生物及び、その微生物を用いた廃水の処理方法を提供することを課題とする。また、廃水中のポリフェノールを生物的に処理するために好適な微生物固定化担体を提供することを課題とする。さらに、廃水中のポリフェノールを生物的に処理するために好適なバイオリアクター及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、発明の作用および、発明の効果】
上記の課題を解決するために第1の発明は、ペニシリウム(Penicillium)属に属し、ポリフェノールを分解する新規微生物である。また、その新規微生物は、ペニシリウム・ゲアストリボルス(Penicillium geastrivorus)NM10b(FERM P-18166)であることが好ましい。第1の発明によれば、ポリフェノールを分解できる新規な微生物が提供される。本願明細書において、「ポリフェノール」とは、多価フェノールとも呼ばれるもののことであり、芳香族炭化水素の二個以上の水素がヒドロキシル基で置換された化合物、あるいはそれらの混合物の総称のことを意味する。例えば、カテコールやその誘導体(カテキンを含む)、タンニン酸、アントシアニンを含む。また、「分解」とは、新規微生物がポリフェノールを栄養素として取り込み、完全に代謝してしまう(つまり、二酸化炭素と水とに変化させる)ことの他に、元のポリフェノールの一部を化学的に変化させて他の化合物とすることにより(例えば、脱色させることにより)、その後の廃水処理を行いやすくする場合を含む。
【0006】
なお、ポリフェノールの分解能力が、約15℃~約30℃の温度域(実水温域)において可能であることが好ましい。なぜなら、一般家庭廃水を処理する場合には、廃水処理場の廃水の温度が、一年を通してほとんどの場合、上記の実水温域内に入っているからである。そのため、現在の廃水処理場について、新たに温度調節手段を設けることなく、ポリフェノールの処理を行うことができるので、廃水処理コストが必要以上に高価とならないからである。
【0007】
また、第2の発明は、第1の新規微生物を用いて行う廃水の処理方法である。第2の発明によれば、新規微生物を用いて廃水を処理することにより、廃水中のポリフェノールを分解することができる。本発明において、廃水とは、一般家庭廃水、食品加工廃水、皮革工業廃水、ディスポーザー廃水等のように、ポリフェノールを含有しうる廃水のことを意味している。なお、廃水を処理する場合には、新規微生物と廃水とを接触させることが必要であるが、その接触時の方法としては、新規微生物がポリフェノールを処理可能な条件であれば良く、例えば廃水中に微生物を分散させて処理する場合の他に、微生物を所定の区域内にフィルターで封入した状態でその区域内に廃水を通過させるようにしてもよい。更に、微生物を担体に固定化させて、その担体を廃水と接触させてもよい。さらに、その廃水中には、必ずしもポリフェノールが含有されている必要はなく、ポリフェノールが含有される可能性があればよい。
【0008】
また、第3の発明は、第1の発明の新規微生物を担体に固定化したことを特徴とする微生物固定化担体である。第3の発明によれば、微生物を固定化された担体として取り扱うことが可能となるので、取扱いが容易となる。本発明において「担体」とは、微生物を固定化するための物体であれば如何なるものでも使用可能であるが、機械的強度が大きく、物理的・化学的に安定である、無害なものであると共に、通気性、微生物の保持能力に優れているようなものであることが好ましい。そのような担体としては、例えば、活性炭、ガラスビーズ、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、セラミックス等の無機物製担体、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、セルロース等の高分子製担体、でんぷん、ゼラチン、コラーゲン、カラーギナン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等のゲル状担体等を用いることができる。担体として用いられる物体のうち、好ましくはポリプロピレンまたは、セルロース発泡体から構成される担体であり、更に好ましくは、セルロース発泡体の担体である。
【0009】
また、第4の発明は、第3の発明の微生物固定化担体を処理槽に充填したことを特徴とするポリフェノール処理用バイオリアクターである。第4の発明のバイオリアクターを利用すれば、廃水中のポリフェノールを処理することが容易に行える。「処理槽」とは、その内部でポリフェノールを含有する廃水と、担体に固定された微生物とが接触する空間を提供する物体を意味する。その形状には、拘らず、円柱状、角中状、箱状等のいずれのものでもよい。
【0010】
また、「充填」するとは、意図しない状態において、微生物固定化担体が処理槽から外部に漏れ出てしまうことがないようにした状態のことを意味し、例えば処理槽を風呂桶状として、その内部に注ぎ込まれた廃水があふれ出ない状態で、微生物と廃水(中のポリフェノール)との反応を行わせた後、その内部の廃水を担体が外部に漏れないようにする(例えば、所定のフィルターを使用する)場合の他に、処理槽に廃水の流入用および流出用の少なくとも2ヶ所の通り道を設けておき、少なくとも流出用通り道を(廃水の通過を許容する一方、担体の通過を規制する)所定のフィルターで覆うようにする場合を含む。但し、第4の発明を利用して、廃水処理を行う場合には、廃水の連続的な処理を行うために、バイオリアクターについて、廃水の流入用と流出用との2ヶ所の通り道を設けることが好ましい。
【0011】
なお、第4の発明において、処理槽には、微生物が必要とする気体(例えば空気)を廃水中に導入する気体導入口を設けることが好ましい。さらに、処理槽には、反応中の温度を適度の領域内に保持するために、温度調節手段を設けることができる。
【0012】
また、第5の発明は、第1の発明の新規微生物を担体に固定化して微生物固定化担体を作製する第1工程と、前記微生物固定化担体を処理槽に充填する第2工程とを備えることによって、バイオリアクターを製造する方法である。この方法によれば、ポリフェノール処理用のバイオリアクターを提供できる。
【0013】
本発明により提供される新規微生物(Penicillium geastrivorus NM10b)によって、ポリフェノール含有廃水を実水温域(約15℃~約30℃)において、長期間安定して連続的に処理することが可能である。また、本発明によれば、ポリフェノールを含有する食品工業廃水、皮革工業廃水、一般家庭廃水、ディスポーザー廃水等の廃水の処理を安全かつ効率的に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明するが、本発明の技術的範囲は、下記の実施形態によって限定されるものではない。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
<実施例1>ポリフェノールの分解能力を有する新規微生物のスクリーニング図1には、ポリフェノールの分解能力を有する新規微生物のスクリーニング方法について示した。まず、多種類の微生物を含むと考えられる試料(例えば、土壌、水(海水、淡水、廃液等)など)を採取し、その試料を所定量の水中によく分散させた。その上澄み液を適当な三角フラスコに添加し、約30℃で培養した。なお、培地としては、ポリフェノールの一つであるタンニン酸のみを炭素源として添加した培地(培地の具体的な組成は、タンニン酸5.0g、MgSO4・7H2O 0.2g、K2HPO4 1.0g、(NH4)2SO4 1.0g、 NaCl 0.1g、 蒸留水 1000ml、pH7.0であった。なお、以後この組成の培地を「タンニン酸培地」と言う。)を使用した。このことから、実施例1において獲得された新規微生物は、炭素源としてタンニン酸を利用可能なものであると言える。
【0015】
三角フラスコ中に菌の生育が確認された後に、その菌体を集めて、新たなタンニン酸培地を添加した三角フラスコ中に移した。この操作(集積培養)を4~5回、繰り返した後に、菌体が増加した培地の一部をプレート上に播いて菌毎にコロニーを生成させた。この方法により、発明者らは、複数種の新規微生物を分離した。
【0016】
<実施例2>新規微生物の同定
上記実施例によって分離された新規微生物のうちの一種類(ペニシリウム・ゲアストリボルス(Penicillium geastrivorus)NM10b(FERM P-18166))について、菌学的性質を確認し、その同定を行った。この新規微生物は、ツァペックイーストエキス寒天培地(具体的な組成は、K2HPO4 1.0g, Czapek concentrate 10ml, Yeast extract 5g, スクロース 30g,寒天 15g,蒸留水 1Lである。また、Czapek concentrateの組成は、NaNO3 30g, KCl 5g, MgSO4・7H2O 5g, FeSO4・7H2O 0.1g, ZnSO4・7H2O 0.1g, CuSO4・5H2O 0.05g, 蒸留水 100.00mlである。)での生育状態は、25℃、7日間の培養でコロニー直径は、32~38mmに達した。また黄色の可溶性色素の産生が確認された。
【0017】
また、マルトエキス寒天培地(Malt extract 20g, ペプトン 1.0g, グルコース 20g,寒天 20g,蒸留水 1L)での生育状態は、25℃、7日間の培養でコロニー直径は、約55mmに達した。また培養開始後4日でコロニーは灰緑色を呈した。
この新規微生物をツァペックイーストエキス寒天培地で培養し、光学顕微鏡によりその形態を観察した結果、ペニシルス様分生子形成構造が確認された。この分生子は、1細胞性で鎖状に連なるものの、明瞭な接続部は認められなかった。分生子形成細胞は、フィアロ型でメトレから輪生し、典型的なアンプル形であった。また、分生子は、亜球形ないしは楕円形で表面は粗く、直径は最大で4μmを超えなかった。
【0018】
以上の結果より、この新規微生物は、ペニシリウム属に属することが判明した。
また、最近では、菌の新たな分類指標として、28S rRNA遺伝子(28SrDNA)の塩基配列を比較することが注目されている。このため、この新規微生物の28S rDNAを判読し、解析用ソフトウエアのBLASTによって相同性の検索を行ったところ、比較可能な範囲において、新規微生物の28SrDNAは、ゲアストリボルス(geastrivorus)の28SrDNAと同一の塩基配列を有していた。このため、本発明者らは、この新規微生物をペニシリウム・ゲアストリボルス(Penicillium geastrivorus)NM10bと命名した。
【0019】
Penicillium geastrivorus NM10bは、この菌株が資化可能な窒素源、無機塩類を含む培地中で培養されることにより、炭素源の一つとしてのタンニン酸、カテキン、アントシアニンなどのポリフェノールを処理することができる。特に、炭素源として、タンニン酸のみを添加した場合には、タンニン酸を分解してエネルギーとして使用することができる。なお、培地中の炭素源としては、ポリフェノールのみでも良いが、他の資化可能な炭素源を含んでいても良い。また、ポリフェノールを処理可能な培養条件としては、温度が、約15℃~約45℃の範囲、培地の初期pHが、約2~約8の範囲である。また、培養は、好気的条件下において行うことが可能であり、培地としては、液体培地でも固体培地でも可能である。
【0020】
<実施例3>微生物固定化担体の作製
図2に示すように、500ml容三角フラスコに、タンニン酸培地を100mlと担体としてのセルロース発泡体(約4mmの立方体形状のもの)とを入れ、新規微生物(Penicillium geastrivorus NM10b)を接種し、30℃で3日間、振盪培養することによって、微生物固定化担体を得た(本発明における「第1工程」に該当する)。
【0021】
<実施例4>微生物固定化担体によるタンニン酸の処理試験
次に、ポリフェノール処理用バイオリアクター1の構成について、図3を参照しつつ説明する。バイオリアクター1には、処理槽2が設けられている。この処理槽2は、その内部に注ぎ込まれた廃水3の内部に、下端のフィルター10を通して通気を行うことによって、内部の担体4を浮遊・循環させるタイプのエアーリフト型処理槽(直径90mm、容積1.5リットル、実容量1リットル)である。この処理槽2には、廃水3の流入用チューブ(通り道)5と流出用チューブ(通り道)6とが設けられており、それぞれに設けられたポンプ7,8によって流量を調整することによって、培地3が処理槽2内に滞留する時間(滞留時間)を調節することができる。ここで、滞留時間とは、処理槽の実容量を培地の流入速度および流出速度(通常には、両速度はほぼ同一とされており、処理槽内には常に一定量の廃水が存在する状態となっている。)で除した数値のことであり、廃水が処理槽内に滞留すると考えられる計算上の時間のことを意味している。
また、処理槽2の下部表面には、温度調節手段としての温水9が接触しながら流されるようになっており、処理槽2内の廃水3が所定の温度域内に保持される。
【0022】
この処理槽の内部に、上記の微生物固定化担体(充填量として5%)を充填し(本発明における「第2工程」に該当する)、25ppmのタンニン酸を含む培地(タンニン酸25mg、MgSO4・7H2O 0.2g、K2HPO4 1.0g、(NH4)2SO4 1.0g、 NaCl 0.1g、 蒸留水 1000ml、pH7.0)(以下、「タンニン酸含有合成廃水」と言う)を125ml/h(滞留時間8時間)の速度で流入(及び、流出)させながら、タンニン酸含有合成廃水に関する連続処理試験を行った。なお、通気量は、1l/minとし、処理温度は、15℃、20℃、25℃または30℃のそれぞれの条件にて行った。流出口から流出してくる処理水を採取し、その処理水のタンニン酸濃度を一日ごとに全有機炭素計(TOC)により測定した。その測定結果を表1および図4に示した。
【0023】
【表1】
JP0004613262B2_000002t.gifこれらより明らかなように、処理温度が25℃または30℃の場合には、処理開始から1日後には、タンニン酸の分解率は90%以上となり、それ以後の7日後までは、安定した連続処理が可能であった。また、処理温度が15℃または20℃の場合には、処理開始から2日後には、タンニン酸の分解率は約80%となり、それ以後は安定した連続処理が可能であった。なお、いずれの処理温度においても、SS(suspended solid;浮遊固形物。流出された処理水中の菌体に関連する。)濃度は、1リットルあたり1mg以下であった。このことから、新規微生物は担体に固定化されると、脱落が少なく、極めて安定した状態であることが判明した。
【0024】
<実施例5>微生物固定化担体による(+)-カテキンの処理試験
上記の実施例4と同様のエアーリフト型処理槽に、実施例3の微生物固定化担体(充填量として5%)を入れ、25ppmの(+)-カテキン(東京化成製)を含有する培地((+)-カテキン25mg、MgSO4・7H2O 0.2g、K2HPO4 1.0g、(NH4)2SO4 1.0g、 NaCl 0.1g、 蒸留水 1000ml、pH7.0)(以下、「(+)-カテキン含有合成廃水」と言う)を125ml/h(滞留時間8時間)で流入(及び、流出)させながら、(+)-カテキン含有合成廃水に関する連続処理試験を行った。なお、その他の試験条件は、実施例4と同様である。流出口から流出してくる処理水の(+)-カテキン濃度を一日ごとに全有機炭素計(TOC)により測定した結果を表2および図5に示した。
【0025】
【表2】
JP0004613262B2_000003t.gifこれらより明らかなように、処理温度が25℃または30℃の場合には、処理開始から1日後には、(+)-カテキンの分解率は80%以上となり、それ以後の7日後までは、安定した連続処理が可能であった。また、処理温度が15℃または20℃の場合には、処理開始から2日後には、(+)-カテキンの分解率は約80%となり、それ以後は安定した連続処理が可能であった。
【0026】
また、処理温度を30℃として、(+)-カテキン含有合成廃液の処理試験を30日間に渡って連続的に行った結果を表3および図6に示した。
【表3】
JP0004613262B2_000004t.gifこの結果より、新規微生物固定化担体は、処理温度が30℃の場合には、処理開始から1日目以降、30日以上の間、安定した(+)-カテキン分解能力を有していることが明らかとなった。
【0027】
<実施例6>微生物固定化担体によるアントシアニンの処理試験
上記の実施例4と同様のエアーリフト型処理槽に、実施例3の微生物固定化担体(充填量として10%)を入れ、ブドウ果皮色素(アントシアニン)を含有する培地(ブドウ果皮色素 100mg、MgSO4・7H2O 0.2g、K2HPO4 1.0g、(NH4)2SO4 1.0g、 NaCl 0.1g、 蒸留水 1000ml、pH7.0)(以下、「アントシアニン含有合成廃水」と言う)を125ml/h(滞留時間8時間)で流入(及び、流出)させながら、アントシアニン含有合成廃水に関する連続処理試験を30℃で行った。なお、その他の試験条件は、実施例4と同様である。流出口から流出してくる処理水の吸光度(570nm)の変化を測定した。結果を表4、表5、図7および図8に示した。
【0028】
【表4】
JP0004613262B2_000005t.gif【表5】
JP0004613262B2_000006t.gif【0029】
表4および図7に示すように、処理水の吸光度は、処理開始から速やかに減少し、5時間後には吸光度は、0.213から0.014にまで減少し、以降一定となった。また、表5および図8に示すように、処理開始から1日後には、処理水の脱色率は80%以上となり、それ以後の7日後までは、安定した連続処理が可能であった。この結果より、新規微生物固定化担体は、処理温度が30℃の場合には、安定したアントシアニン分解能力を有していることが明らかとなった。
【0030】
<実施例7>微生物固定化担体の比較試験
図2に示すセルロース製担体に代えて、ポロプロピレン製担体(円筒形状のもの)を使用して、微生物固定化担体(PP)を作製した。微生物固定化担体(PP)の作製方法は、実施例3において、セルロース発泡体とポリプロピレン製担体とを代えたほかは、同様の条件によって行った。こうして得られた微生物固定化担体(PP)の性能について、タンニン酸含有合成廃水のTOC減少を指標として、微生物固定化担体(セルロース製)の性能と比較した。なお、実験条件は、実施例4に記載した条件に基づいて行った。その結果を表6および図9に示した。
【0031】
【表6】
JP0004613262B2_000007t.gifこれらの結果から明らかなように、ポリプロピレン製担体を使用して微生物固定化担体を作製した場合にも、セルロース製担体を使用した場合と同様に、タンニン酸を効率よく(処理開始後、1日目以後から約90%の分解率)、かつ安定して(処理開始後、7日目以上は約90%以上の分解率を維持した)処理することができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリフェノールの分解能力を有する新規微生物のスクリーニング方法の概要を示す図面である。
【図2】 微生物固定化担体の作製方法の概要を示す図面である。
【図3】 ポリフェノール処理用バイオリアクターの構成図である。
【図4】 微生物固定化担体によるタンニン酸の処理結果を示す図面(グラフを含む)である。
【図5】 微生物固定化担体によるカテキンの処理結果を示す図面(グラフを含む)である。
【図6】 微生物固定化担体によるカテキンの処理結果を示す図面(グラフを含む)である。
【図7】 微生物固定化担体によるアントシアニンの処理結果を示す図面(グラフを含む)である。
【図8】 微生物固定化担体によるアントシアニンの処理結果を示すグラフである。
【図9】 ポリプロピレン製担体を使用したときのタンニン酸の処理結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ポリフェノール処理用バイオリアクター
2…処理槽
3…廃水
4…微生物固定化担体
5…流入用通り道
6…流出用通り道
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8