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明細書 :光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法及びその光遅延発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3626110号 (P3626110)
公開番号 特開2002-310898 (P2002-310898A)
登録日 平成16年12月10日(2004.12.10)
発行日 平成17年3月2日(2005.3.2)
公開日 平成14年10月23日(2002.10.23)
発明の名称または考案の名称 光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法及びその光遅延発生装置
国際特許分類 G01N 21/17      
A61B  3/12      
G01N 21/35      
G02B 26/00      
FI G01N 21/17 630
G01N 21/35 Z
G02B 26/00
A61B 3/12 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2001-114897 (P2001-114897)
出願日 平成13年4月13日(2001.4.13)
審査請求日 平成14年11月26日(2002.11.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
発明者または考案者 【氏名】丹野 直弘
【氏名】松村 澄男
【氏名】長谷川 倫郎
【氏名】日野 幸紀
【氏名】中川 亨
【氏名】河野 正博
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特開2001-228080(JP,A)
特開平09-133582(JP,A)
特開平04-142430(JP,A)
特開昭56-129826(JP,A)
調査した分野 G01N21/00-21/61
G01J3/00-3/52,4/00-4/04,9/00-9/04
G01B9/00-9/10
PATOLIS
特許請求の範囲 【請求項1】
低コヒーレンス光源からの光を2分割用ハーフミラーで被検査物への物体光と参照光とに2分割し、前記参照光は回転反射体による光遅延機構を介して固定ミラーで反射回帰して、前記被検査物から回帰する物体光とともに前記2分割用ハーフミラーで合波し、該2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光コヒーレンストモグラフィーにおける回転プリズムによる光遅延発生方法において、前記光遅延機構として、回転する回転体上に放射状にかつ回転体の接線方向に光が反射するように複数個のプリズムを配置することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法。
【請求項2】
(a)低コヒーレンス光源と、
(b)該低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、
(c)前記参照光を回転する回転体上に放射状にかつ回転体接線方向に光が反射するように複数個のプリズムを配置する光遅延機構と、
(d)該光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、
(e)前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、
(f)該2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置。
【請求項3】
請求項2記載の光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置において、前記光遅延機構は複数の直角プリズムを配置することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置。
【請求項4】
請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置において、前記直角プリズムを4個配置することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法及びその光遅延発生装置に係り、特に、回転プリズムによる光遅延発生方法及びその光遅延発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける光遅延発生方法としては、参照光の光路の第1のミラーと第2のミラーの回転体回転軸に対する位置を第1のミラーと第2のミラーの外辺を回転軸を通る弦に一致させた位置とする方法が知られている。
【0003】
また、回転体上のプリズムの配置を長辺の中心となるようにしていた。
【0004】
図3はかかる従来の光コヒーレンストモグラフィーの光遅延発生装置の構成図である。
【0005】
この図において、1は回転体、2は回転体1の中心点、3はプリズムである。
【0006】
ここでは、プリズム3の配置は、そのプリズム3の頂角の対角面を円周の接線におよそ直交するように配置されていた。
【0007】
このような光遅延発生装置では、図3に示すように、反射光軸のズレが1.35mm生じ、光ビームの断面直径を、例えば、φ6mmとした場合において、物体光に対する参照光の合波面の横方向のずれが22.5%生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来の光コヒーレンストモグラフィーの光遅延発生装置においては、奥行き方向(Z方向)の走査の際に発生する、回転角度による入射光軸に対する反射光軸のずれが大きくなるため、2分割用ハーフミラーで合波されるヘテロダイン干渉ビート信号を極めて限られた範囲(角度)でしか得ることができなかった。
【0009】
よって、この従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける光遅延発生装置では、奥行き方向(Z方向)の走査距離が極めて短い断層画像しか得られないという欠点があった。
【0010】
本発明は、上記状況に鑑みて、奥行き方向(Z方向)の走査距離が長い断層画像を得ることができる光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法及びその光遅延発生装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生方法において、低コヒーレンス光源からの光を2分割用ハーフミラーで被検査物への物体光と参照光とに2分割し、前記参照光は回転反射体による光遅延機構を介して固定ミラーで反射回帰して、前記被検査物から回帰する物体光とともに前記2分割用ハーフミラーで合波し、この2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光コヒーレンストモグラフィーにおける回転プリズムによる光遅延発生方法において、前記光遅延機構として、回転する回転体上に放射状にかつ回転体の接線方向に光が反射するように複数個のプリズムを配置することを特徴とする。
【0012】
〔2〕光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置において、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、前記参照光を回転する回転体上に放射状にかつ回転体接線方向に光が反射するように複数個のプリズムを配置する光遅延機構と、この光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、この2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする。
【0013】
〔3〕上記〔2〕記載の光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置において、前記光遅延機構は複数の直角プリズムを配置することを特徴とする。
【0014】
〔4〕上記〔3〕記載の光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による光遅延発生装置において、前記直角プリズムを4個配置することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の実施例を示す光コヒーレンストモグラフィー装置の構成図である。
【0017】
この図において、11は低コヒーレンス光源〔例えば、SLD(スーパールミネッセントダイオード)光源〕、12はハーフミラー、13は光遅延機構、14は固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)、15は面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)、16はダイクロイックミラー(可視光反射、赤外光透過)、17は対物レンズ、18はカメラ光源用ハーフミラー、19はCCD照明用光源、20はモニタ用CCD、21は光検出器、22は回転体、23はPC(パーソナルコンピュータ)、24は表示装置、25は固定ミラー14を光軸方向に自在に移動させる機構であり、この機構25は、1軸スライドテーブル機構25A、カップリング機構25B、パルスモータ25Cからなる。Aは被検査物である。
【0018】
低コヒーレンス光源であるSLD光源11からの光波をハーフミラー12にて、一方は被検査物Aへの物体光、他方は参照光とに2分割し、2分割された参照光は光遅延機構13、固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)14に導かれ、この固定ミラー14より同一光路を反射回帰しハーフミラー12に戻る。
【0019】
2分割された物体光は、面走査機構15、ダイクロイックミラー16、対物レンズ17を経て被検査物Aに入射し、その反射光は同一光路を反射回帰しハーフミラー12に戻る。
【0020】
面走査機構15は、被検査物Aに対する物体光を被検査物Aの面(X-Y)上で走査する。
【0021】
なお、SLD光源11からの光(赤外光)は、ダイクロイックミラー16をほぼ100%透過し、被検査物A方向に進む。CCD照明用光源19からの光(可視光)は、ダイクロイックミラー16ほぼ100%反射するため、被検査物A方向に進む。また、被検査物Aからの反射光の内、赤外光(信号成分)はほぼ100%ダイクロイックミラー16を透過し、光検出器21方向へ進む。被検査物Aからの反射光の内、可視光(実態映像分)は、ダイクロイックミラー16でほぼ100%反射するため、モニタ用CCD20方向に向かう。
【0022】
カメラ光源用ハーフミラー18とCCD照明用光源19はモニタ用CCD20によって被検査物Aの実体映像を取り込む際の照明のために用いる。
【0023】
そこで、ハーフミラー12に戻った参照光と物体光はハーフミラー12で合波され光検出器21に至る。合波された参照光と物体光は光波の干渉現象により干渉光となりビートが発生する。ここで、ハーフミラー12から固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)14までの光路長と、ハーフミラー12から被検査物Aまでの光路長が一致している時、合波された干渉光はヘテロダイン干渉ビート信号を発生する。このヘテロダイン干渉ビート信号は、光検出器21にて、電気信号に変換されPC(パーソナルコンピュータ)23へ送られる。
【0024】
このPC23はヘテロダイン干渉ビート信号の3次元画像化処理を行い、表示装置24に被検査物Aの断層画像を表示する。
【0025】
また、物体光の光路途中にハーフミラーを設置し、被検査物Aからの表面実体をCCD素子等の撮像装置にて映像化することにより、被検査物Aに対する検査光軸の位置合わせを容易に行うことができる。
【0026】
さらに、固定ミラー14を光軸方向に自在に移動させる機構25を付加することにより、奥行き方向(Z方向)の走査基準位置を任意に設定することが可能になる。
【0027】
以下、本発明の特徴である光コヒーレンストモグラフィーの光遅延機構13について説明する。
【0028】
図2は本発明の光コヒーレンストモグラフィーの光遅延機構の構成図である。
【0029】
この図において、31は回転体、32は回転体31の中心点、33-1~33-4は回転体31上に配置される4個の直角プリズム、34は4個の直角プリズム33-1~33-4の頂点33aを通る円であり、4個の直角プリズム33-1~33-4は円34上に等間隔で配置される。
【0030】
このように、複数の直角プリズム33-1~33-4を、図3に示したようにプリズムの頂角の対角面を円周の接線におよそ直交するように配置した位置から、図2に示すように、プリズムの長辺を底面とした高さ分だけY軸方向に偏倚させた配置とするようにした。
【0031】
このように構成したので、反射光軸のズレが従来の1.35mmから0.1mmに減少し、光ビームの断面直径を、例えば、φ6mmとした場合において、物体光に対する参照光の合波面の横方向のズレを従来の22.5%から1.6%に減少させることができた。
【0032】
これにより、干渉時の光量を安定させることができ、また、被検査物Aによってはより深い深度を得られることになる。
【0033】
また、本発明によれば、プリズムを従来の図3に示した3個から、4個に増加させたことにより、データ取り込み時間を25%低減させることができる。
【0034】
そして、低コヒーレンス光源11からの光波を、ハーフミラー12を用いて一方は被検査物Aへの物体光、他方は参照光に2分割し、この2分割された参照光は光遅延機構13である上記した直角プリズム(33-1~33-4)、固定ミラー14に導かれ、固定ミラー14より同一光路を反射回帰し、ハーフミラー12に戻る。
【0035】
一方、2分割された物体光は面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)15、対物レンズ17を経て被検査物Aに照射し、反射光は同一光路を反射回帰しハーフミラー12に戻る。
【0036】
その場合、光コヒーレンストモグラフィーの光遅延機構13において、回転体31が高速回転しているので、ハーフミラー12からの参照光は、ハーフミラー12→直角プリズム(33-1~33-4)→固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)14→直角プリズム(33-1~33-4)→ハーフミラー12と光路を進む際に、直角プリズム(33-1~33-4)が回転体31の回転により光路を前進または後退方向に移動しているために、紫方または赤方にドップラー周波数シフトする。このドップラー周波数シフトに応じ前記ヘテロダイン干渉ビート信号が発生する。
【0037】
このように構成したので、参照光が前記光路を維持できる範囲において光路の長さを任意に選択でき、故に物体光における光軸の奥行き方向(Z方向)に一致させ、被検査物Aの深層反射構造の深さ方向の走査を行う。
【0038】
また、光コヒーレンストモグラフィーの光遅延機構は、直角プリズムに代えて、3面反射のコーナーキューブプリズム、リトロリフレクターでも構わない。
【0039】
本発明によれば、高精度な断層情報を高速且つ広範囲に取込み表示することが可能になるので、例えば、眼科疾患診断装置に応用すれば、従来、眼科医の勘と経験に頼っていた、例えば、眼底の診断が、高速、広範囲、且つ容易に行うことが可能になる。
【0040】
よって、眼底網膜疾患をより早い段階で発見することが可能になるので、従来発見が遅れて失明に至ったようなケースにおいても早期治療により治癒が期待できる上、患者の肉体的、精神的負担が大幅に軽減されるのである。
【0041】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0043】
(A)被測定物の奥行き方向(Z方向)の走査距離が長い断層画像を得ることができる。
【0044】
(B)光遅延機構は複数の直角プリズムをこのプリズムの頂角の対角面を円周の接線におよそ直交するように配置した位置から該プリズムの長辺を底面とした高さ分だけY軸方向に偏倚させた配置とするようにしたので、反射光軸のずれが大幅に減少し、物体光と参照光との合波面の横ずれを減少させることができる。これにより、干渉時の光量を安定にさせることができる。また、被検査物によっては、より深い深度を得ることができる。
【0045】
(C)プリズムを3個から4個に増やすことにより、データ取込み時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す光コヒーレンストモグラフィー装置の構成図である。
【図2】本発明の光コヒーレンストモグラフィーの光遅延機構の構成図である。
【図3】従来の光コヒーレンストモグラフィーの光遅延発生装置の構成図である。
【符号の説明】
11 低コヒーレンス光源(SLD光源)
12 ハーフミラー
13 光遅延機構
14 固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)
15 面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)
16 ダイクロイックミラー(可視光反射、赤外光透過)
17 対物レンズ
18 カメラ光源用ハーフミラー
19 CCD照明用光源
20 モニタ用CCD
21 光検出器
22,31 回転体
23 PC(パーソナルコンピュータ)
24 表示装置
25 固定ミラーを光軸方向に自在に移動させる機構
25A 1軸スライドテーブル機構
25B カップリング機構
25C パルスモータ
32 回転体の中心点
33-1~33-4 4個の直角プリズム
33a 4個の直角プリズムの頂点
34 4個の直角プリズムの頂点を通る円
A 被検査物
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2