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明細書 :光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法及びその光コヒーレンストモグラフィー装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3539726号 (P3539726)
公開番号 特開2002-310899 (P2002-310899A)
登録日 平成16年4月2日(2004.4.2)
発行日 平成16年7月7日(2004.7.7)
公開日 平成14年10月23日(2002.10.23)
発明の名称または考案の名称 光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法及びその光コヒーレンストモグラフィー装置
国際特許分類 G01N 21/17      
A61B  3/14      
FI G01N 21/17 630
A61B 3/14 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2001-114898 (P2001-114898)
出願日 平成13年4月13日(2001.4.13)
審査請求日 平成14年9月26日(2002.9.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人 科学技術振興機構
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
発明者または考案者 【氏名】丹野 直弘
【氏名】松村 澄男
【氏名】長谷川 倫郎
【氏名】日野 幸紀
【氏名】中川 亨
【氏名】河野 正博
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】横井 亜矢子
参考文献・文献 特開2001-228080(JP,A)
特開平07-265316(JP,A)
特開平07-49306(JP,A)
特開昭56-129826(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01J 1/00
G01J 3/00-3/52
G01J 9/00-9/04
A61B 3/00-3/16
JICSTファイル(JOIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
低コヒーレンス光源からの光を2分割用ハーフミラーで被検査物への物体光と参照光とに2分割し、該参照光は回転反射体による光遅延機構を介して固定ミラーで反射回帰して、前記被検査物から回帰する物体光とともに前記2分割用ハーフミラーで合波し、該2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法。
【請求項2】
(a)低コヒーレンス光源と、
(b)該低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、
(c)前記参照光を回転反射体により遅延させる光遅延機構と、
(d)該光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、
(e)前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、
(f)該2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項3】
(a)低コヒーレンス光源と、
(b)該低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、
(c)前記参照光を回転反射体により遅延させる光遅延機構と、
(d)該光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、
(e)前記物体光で被検査物の面内を走査する面走査機構と、
(f)対物レンズと、
(g)前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、
(h)該2分割用ハーフミラーで合波された干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記光遅延機構は、高速回転する回転体上に放射状にかつ該回転体の接線方向に光を反射するように、第1のミラーと第2のミラーからなる一対のミラーを前記回転体の表面に複数対配置することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項5】
請求項2又は3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記固定ミラーはスキャン開始位置調整ミラーであり、前記物体光における光軸の奥行き方向であるZ方向に一致させ、深さ方向の走査開始位置を調整可能としたことを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
【請求項6】
請求項3記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記面走査機構はX軸走査ミラー及びY軸走査ミラーを備え、前記被検査物に対する物体光で前記被検査物の面(X-Y)を高速に走査することを特徴とする光コヒーレンストモグラフィー装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法及びその光コヒーレンストモグラフィー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法として、参照光の経路をハーフミラー→第1のミラー→第2のミラー→ハーフミラーとし、第1のミラーと第2のミラー2の合わせ境界を反射中心とする方法が知られている。
【0003】
図2は従来の光コヒーレンストモグラフィー装置の概略構成図である。
【0004】
この図において、101は低コヒーレンス光源〔例えば、SLD(スーパールミネッセントダイオード)光源〕、102はハーフミラー(2分割用ハーフミラー)、103は回転体、104Aは第1のミラー、104Bは第2のミラー、105,106はミラー、Aは被検査物、107は光検出器である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法では、奥行き方向(Z方向)の走査の際に、回転角度によって入射光軸に対する反射光軸のずれが必ず生じることから、2分割用ハーフミラーで合波されるヘテロダイン干渉ビート信号を極めて限られた範囲(角度)でしか得ることができなかった。
【0006】
よって、この従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法を用いた光コヒーレンストモグラフィー装置は、奥行き方向(Z方向)の走査距離が極めて短い断層画像しか得られないという欠点があった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みて、奥行き方向(Z方向)の走査距離が十分に長い断層画像を高速に得ることができる、光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法及びその光コヒーレンストモグラフィー装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕光コヒーレンストモグラフィーにおける回転反射体による高速光遅延発生方法において、低コヒーレンス光源からの光を2分割用ハーフミラーで被検査物への物体光と参照光とに2分割し、その参照光は回転反射体による光遅延機構を介して固定ミラーで反射回帰して、前記被検査物から回帰する物体光とともに前記2分割用ハーフミラーで合波し、この2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出することを特徴とする。
【0009】
〔2〕光コヒーレンストモグラフィー装置において、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、前記参照光を回転反射体により遅延させる光遅延機構と、この光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、この2分割用ハーフミラーで合波されたヘテロダイン干渉ビート信号を含む干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする。
【0010】
〔3〕光コヒーレンストモグラフィー装置において、低コヒーレンス光源と、この低コヒーレンス光源からの光を被検査物への物体光と参照光とに2分割する2分割用ハーフミラーと、前記参照光を回転反射体により遅延させる光遅延機構と、この光遅延機構からの参照光を反射回帰する固定ミラーと、前記物体光で被検査物の面内を走査する面走査機構と、対物レンズと、前記被検査物から回帰する物体光と前記光遅延機構から回帰する参照光とを合波する前記2分割用ハーフミラーと、この2分割用ハーフミラーで合波された干渉光を検出する光検出器とを具備することを特徴とする。
【0011】
〔4〕上記〔2〕又は〔3〕記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記光遅延機構は、高速回転する回転体上に放射状にかつこの回転体の接線方向に光を反射するように、第1のミラーと第2のミラーからなる一対のミラーを前記回転体の表面に複数対配置することを特徴とする。
【0012】
〔5〕上記〔2〕又は〔3〕記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記固定ミラーはスキャン開始位置調整ミラーであり、前記物体光における光軸の奥行き方向であるZ方向に一致させ、深さ方向の走査開始位置を調整可能としたことを特徴とする。
【0013】
〔6〕上記〔3〕記載の光コヒーレンストモグラフィー装置において、前記面走査機構はX軸走査ミラー及びY軸走査ミラーを備え、前記被検査物に対する物体光で前記被検査物の面(X-Y)を高速に走査することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例を示す光コヒーレンストモグラフィー装置の構成図である。
【0016】
この図において、1は低コヒーレンス光源〔例えば、SLD(スーパールミネッセントダイオード)光源、2はハーフミラー(2分割用ハーフミラー)、3は光遅延機構、3Aは第1のミラー、3Bは第2のミラー、4はスキャン開始位置調整ミラー(固定ミラー)、5は面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)、6はダイクロイックミラー(可視光反射、赤外光透過)、7は対物レンズ、8はカメラ光源用ハーフミラー、9はCCD照明用光源、10はモニタ用CCD、11は光検出器、12は回転体、13はPC(パーソナルコンピュータ)、14は表示装置、15は固定ミラー4を光軸方向に自在に移動させる機構であり、この機構15は、1軸スライドテーブル機構15A、カップリング機構15B、パルスモータ15Cからなる。Aは被検査物である。
【0017】
低コヒーレンス光源であるSLD光源1からの光波をハーフミラー2にて、一方は被検査物Aへの物体光、他方は参照光とに分光し、2分割された参照光は光遅延機構3としての第1のミラー3A、第2のミラー3B、固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)4に導かれ、この固定ミラー4より同一光路を反射回帰しハーフミラー2に戻る。
【0018】
一方、2分割された物体光は、面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)5、ダイクロイックミラー6、対物レンズ7を経て被検査物Aに入射し、その反射光は同一光路を反射回帰しハーフミラー2に戻る。
【0019】
光遅延機構3は、高速回転する回転体12上に放射状に、かつ回転体12の接線方向に光を反射するように、第1のミラー3A、第2のミラー3Bで一対となるミラーを複数対配置しておく。
【0020】
その回転体12は高速回転しているので、ハーフミラー2からの参照光は、ハーフミラー2→第1のミラー3A→第2のミラー3B→固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)4→第2のミラー3B→第1のミラー3A→ハーフミラー2と光路を進む際、第1のミラー3A及び第2のミラー3Bが回転体12の回転により光路を前進または後退方向に移動しているために、紫方または赤方にドップラー周波数シフトする。このドップラー周波数シフトに応じて、前記ヘテロダイン干渉ビート信号が発生する。
【0021】
このように構成したので、参照光が前記光路を維持できる範囲において光路の長さを任意に選択でき、物体光における光軸の奥行き方向(Z方向)に一致させ、被検査物Aの深層の反射構造の深さ方向の走査を行うことができる。
【0022】
面走査機構(X軸走査ミラー、Y軸走査ミラー)5は、一般にガルバノメータと呼ばれる高速且つ高精度に動揺運動を行う装置の動揺部にミラーを取り付けたものを、X軸用、Y軸用、それぞれに配置する。X軸用、Y軸用それぞれのガルバノメータは同期制御され、該ミラーの反射による物体光でX-Y平面上を走査する。
【0023】
SLD光源1からの光(赤外光)は、ダイクロイックミラー6をほぼ100%透過し、被検査物A方向に進む。CCD照明用光源9からの光(可視光)は、ダイクロイックミラー6がほぼ100%反射するため、被検査物A方向に進む。また、被検査物Aからの反射光の内、赤外光(信号成分)はほぼ100%ダイクロイックミラー6を透過し、光検出器11方向に進む。被検査物Aからの反射光の内、可視光(実体映像分)は、ダイクロイックミラー6がほぼ100%反射するため、モニタ用CCD10方向に向かう。
【0024】
カメラ光源用ハーフミラー8及びCCD照明用光源9は、モニタ用CCD10によって被検査物Aの実体映像を取り込む際の照明のために用いる。
【0025】
また、モニタ用CCD10は、被検査物Aの実体映像を取り込む。
【0026】
そこで、ハーフミラー2に戻った参照光と物体光はハーフミラー2で合波され光検出器11に至る。そして、合波された参照光と物体光は光波の干渉現象により干渉光となりビートが発生する。ここで、ハーフミラー2から固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)4までの光路長と、ハーフミラー2から被検査物Aまでの光路長が一致している時、合波された干渉光はヘテロダイン干渉ビート信号が発生する。このヘテロダイン干渉ビート信号は、光検出器11にて、電気信号に変換されPC(パーソナルコンピュータ)13へ送られる。
【0027】
このPC13はヘテロダイン干渉ビート信号の3次元画像化処理を行い、表示装置14に被検査物Aの断層画像を表示する。
【0028】
第1のミラー3A、第2のミラー3Bは表面反射ミラーを直角に配置する最もシンプルな形態の他、直角プリズムや3面反射のコーナーキューブリフレクター、リトロリフレクター、キャッツアイでも構わない。
【0029】
また、物体光の光路途中にハーフミラーを設置し、被検査物Aからの表面実体をCCD素子等の撮像装置にて映像化することにより、被検査物Aに対する検査光軸の位置合わせを容易に行うことができる。
【0030】
さらに、固定ミラー4を光軸方向に自在に移動させる機構15を付加することにより、奥行き方向(Z方向)の走査基準位置を任意に設定することが可能になる。
【0031】
上記のように、本発明による光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法によれば、ハーフミラー2からの参照光は、ハーフミラー2→第1のミラー3A→第2のミラー3B→固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)4→第2のミラー3B→第1のミラー3A→ハーフミラー2という光路を入射光、反射光ともに同一の光路で回帰するため、従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法において問題となっていた入射光軸に対する反射光軸のずれが生じることがなくなり、ハーフミラー2で合波されるヘテロダイン干渉ビート信号を極めて広い範囲(角度)で高速に得ることが可能になる。
【0032】
よって、本発明によれば、奥行き方向(Z方向)の走査距離が十分に長い断層画像を高速に得ることができる。
【0033】
また、本発明によれば、高精度な断層情報を高速且つ広範囲に取り込み表示することが可能になるので、例えば、眼科疾患診断装置に応用すれば、従来、眼科医の勘と経験に頼っていた、例えば、眼底の診断を、高速、広範囲、且つ容易に行うことが可能になる。
【0034】
よって、眼底網膜疾患をより早い段階で発見することが可能になるので、従来発見が遅れて失明に至ったようなケースにおいても早期治療により治癒が期待できる上、患者の肉体的、精神的負担を大幅に軽減することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、奥行き方向(Z方向)の走査距離が十分に長い断層画像を高速に得ることができる。すなわち、ハーフミラーからの参照光は、入射光、反射光ともに同一の光路で回帰するため、従来の光コヒーレンストモグラフィーにおける高速光遅延発生方法において問題となっていた入射光軸に対する反射光軸のずれが生じることがなくなり、ハーフミラーで合波されるヘテロダイン干渉ビート信号を極めて広い範囲(角度)で高速に得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す光コヒーレンストモグラフィー装置の構成図である。
【図2】従来の光コヒーレンストモグラフィー装置の構成図である。
【符号の説明】
1 低コヒーレンス光源(SLD光源)
2 ハーフミラー
3 光遅延機構
3A 第1のミラー
3B 第2のミラー
4 固定ミラー(スキャン開始位置調整ミラー)
5 面走査機構
6 ダイクロイックミラー(可視光反射、赤外光透過)
7 対物レンズ
8 カメラ光源用ハーフミラー
9 CCD照明用光源
10 モニタ用CCD
11 光検出器
12 回転体
13 パーソナルコンピュータ(PC)
14 表示装置
15 固定ミラーを光軸方向に自在に移動させる機構
15A 1軸スライドテーブル機構
15B カップリング機構
15C パルスモータ
A 被検査物
図面
【図1】
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【図2】
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