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明細書 :光走査装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4757397号 (P4757397)
公開番号 特開2002-311359 (P2002-311359A)
登録日 平成23年6月10日(2011.6.10)
発行日 平成23年8月24日(2011.8.24)
公開日 平成14年10月23日(2002.10.23)
発明の名称または考案の名称 光走査装置
国際特許分類 G02B  26/10        (2006.01)
B41J   2/44        (2006.01)
H04N   1/036       (2006.01)
H04N   1/113       (2006.01)
FI G02B 26/10 B
G02B 26/10 A
B41J 3/00 M
H04N 1/036 Z
H04N 1/04 104A
請求項の数または発明の数 9
全頁数 18
出願番号 特願2001-115628 (P2001-115628)
出願日 平成13年4月13日(2001.4.13)
審査請求日 平成20年2月1日(2008.2.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】300089563
【氏名又は名称】小俣 公夫
【識別番号】501150990
【氏名又は名称】井口 敏
【識別番号】501094018
【氏名又は名称】新田 勇
発明者または考案者 【氏名】小俣 公夫
【氏名】井口 敏
【氏名】新田 勇
個別代理人の代理人 【識別番号】100105371、【弁理士】、【氏名又は名称】加古 進
審査官 【審査官】山本 貴一
参考文献・文献 特開2001-027737(JP,A)
特開平04-345122(JP,A)
特開平11-263037(JP,A)
特開2000-218857(JP,A)
特開平03-161778(JP,A)
特開平09-005655(JP,A)
特開2000-249962(JP,A)
特開2000-019438(JP,A)
特開2001-305454(JP,A)
特開平10-197811(JP,A)
特開平02-057361(JP,A)
調査した分野 B41J 2/44-2/47
G02B 26/00,26/08-26/12
G03G 15/01-15/04
H04N 1/036-1/207
特許請求の範囲 【請求項1】
走査ユニットを複数配置した光走査装置において、
前記走査ユニットは、走査ユニット本体部と結像レンズ部と走査ユニット本体部同士、結像レンズ部同士で交換可能に構成され、
前記走査ユニット本体部は、画像信号で変調されるレーザー光源と、前記レーザー光源からの光をコリメートするためのレンズと、該レンズから射出する光束を走査する走査ミラーと、該走査ミラーを回転させるモーターと、該モーターの回転スピードを検出する回転センサーと、前記走査ミラー位相を検出するミラー面検出センサーと、走査開始点・終了点を検出する原点センサーとを有し、
前記結像レンズ部は、前記走査ミラーからの光束を結像するためのレンズを有し、
前記複数の走査ユニットに対して、各走査ユニットに対応する画像信号を分割して送信する画像処理手段を含む、前記各センサーからの信号により走査を制御する制御部とを備え、
前記走査ユニットは、副走査方向(走査方向と直角)にずらして配置し、
前記結像レンズ部は、印字媒体に垂直に結像するテレセントリックな結像を行い、
前記複数の走査ユニットは、前記制御部に制御されて同時に走査を行うことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記走査ユニット本体部の画像信号で変調されるレーザー光源は複数であり、
前記画像処理手段は、前記複数のレーザー光源に応じて画像信号を分割し、
前記複数の走査ユニットは、前記制御部に制御されて、同時に複数の走査線により走査することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記走査ユニット本体部は、さらに前記原点センサー用のレーザー光源を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の走査ユニットごとに、前記走査開始点・終了点を検出する原点センサーからの信号によりビデオクロック周波数を可変に発生するビデオクロック発生回路を備え、
レーザー走査線の長さを調整することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項5】
前記複数の走査ユニットごとに、前記レーザー走査線の傾きを調整するためのあおり機構と、前記レーザー走査線の上下の位置を調整するための光軸高さ調整機構とを有する姿勢制御機構を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記複数の走査ユニットは、互いに走査できる領域が重なるように配置するとともに、走査ユニット間の走査が重なる領域又は等価の位置に、つなぎ点の開始と終了の走査を検出するセンサーを配置し、
前記制御部は、前記センサーからのつなぎ点の開始と終了の検出信号により、各走査ユニットの走査のつながり位置を制御する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記走査ユニットごとに、前記レーザー走査線の左右方向の位置を調整するためのビデオクロック遅延回路を備え、
各走査ユニットの走査のつながり位置を前記ビデオクロック遅延回路の遅延量を制御することにより行うことを特徴とする請求項6記載の光走査装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記走査ユニットごとに、そのユニットで印字する画像信号を格納するメモリを有しており、該メモリの容量は、走査が重なる部分の画像信号も格納することができる容量であり、
前記画像処理手段は、各ユニットへの画像信号を分割して送出するときに、印字を行わない信号を付加でき、前記付加した印字を行わない信号により、各走査ユニットの走査のつながり位置を制御する
ことを特徴とする請求項6記載の光走査装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記走査線のつながり位置を変化させるよう制御することにより、レーザー走査線のつなぎ位置を目立たなくする
ことを特徴とする請求項6~のいずれかに記載の光走査装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用途に使用する、印刷用の刷版を出力するコンピュータ・トウ・プレート(以下CTPと略称する)出力機や、プリント基板用CAD出力をフィルム上に出力するプロッターや、印刷用版下を出力する写真植字機などに用いる光走査装置に関する。
【0002】
【技術的背景】
印刷業界では現在、CTPと称し、組み版編集機等からのデータを直接印刷用の版材(オフセットプレート等)の上に焼き付け、フィルムなどの版下用感材を不要にするシステムが普及し始めている。
これらのCTP用出力機における露光は、版材と走査の光源との相対運動により、
1)内面ドラム方式
ドラムの内面に版材を固定し、ドラムの内部で中心軸方向に移動しつつ高速回転する走査用ミラーでレーザーから出たレーザー光を版材方向に向けて走査する方法
2)外面ドラム方式
ドラムの外面に版材を固定し、ドラムの回転とドラム自体の回転軸方向への移動、もしくは、回転軸に平行に移動していくレーザー光とで走査する方法
3)平面走査方式
1つの走査用ミラーでレーザー光を走査するとともに、版材を固定して走査するレーザ光を平面に平行に移動するか、走査するレーザ光を固定して版材を平面的に移動する方式
などに分類されている。これらの方式で用いられているレーザ光走査モジュールは1つであることが多い。
【0003】
図1に示すような構成の複数の走査モジュールを用いる走査装置100も存在している。この図に示す走査装置100では、走査パスは複数の走査線117,127,137で構成されている。これらの走査線には、各走査モジュール110,120,130が割り当てられている。走査モジュール110,120,130は、それぞれ、走査するための走査用ミラー(ポリゴン・ミラー)113、123,133およびレンズ・ユニット114,124,134で構成されている。この走査モジュールは、偏向ユニット111,121,131で印字データにより入射するレーザ光を変調してから、ミラー112,122,132で、走査ミラー113,123,133に入射して、レンズ・ユニット114,124,134を介して走査面で、走査線117,127,137となる。走査線117,127,137は、この順で走査されて、走査パスを形成する。走査線の印字面における開始点と終了点の交差を検出するセンサー118,128,138,148があり、ある走査線の終了点と次の走査線の開始点との交差が監視されて、偏向ユニット111,121,131により、1つの線となるように制御されている。この交差を検出するセンサー118,128,138,148は、図1に示されているように、各走査モジュールの間で印字面より手前に設置されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
平面上で版材を移動させ、1つのポリゴン・ミラーなどで移動方向と直角の方向にレーザー光で走査して印字する方式においては、光学系が巨大になるなどの関係であまり大きな走査幅をとることができず、また、光学系が巨大化することで光路長が長くなると共にレーザー光のスポットが大きくなり、A1、A0等の大サイズの出力機には不向きであった。すなわち、ポリゴン・ミラーと版材との距離を小さくして走査角度を大きくすると、走査の中心部と端とでレーザー光のスポット径が異なってくるためこれを補正する光学系が大型にならざるを得ず、逆にポリゴン・ミラーと版材との距離を大きく取って走査角度を小さくすると、光路長が大きくなって装置が大型となると共に、前記したようにレーザー光のスポット径を小さくすることが難しくなる。また、走査速度を高めるためには、ポリゴン・ミラーを高速に回転させる必要があるが、大型のポリゴン・ミラーでは難しい。
また、走査角度を小さくするために、複数の走査モジュールを使用した走査装置も、従来は走査モジュールで順次走査する方式であり、1走査あたりの走査時間は短いとは言えなかった。
このように従来の出力機は、出力物が大きくなると装置が大型化して機構が複雑になり、その上高精度を要求されるため高価になっていた。また、複数の走査に分けて行っても、その走査時間は短縮されなかった。
そのため、本発明の目的は、大サイズの版材を扱える、スポット径の小さな、高精度で高速な出力機等を構成できる走査装置を提供することや、汎用性の高い光走査ユニットを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、走査ユニットを複数配置した光走査装置において、前記走査ユニットは、走査ユニット本体部と結像レンズ部と走査ユニット本体部同士、結像レンズ部同士で交換可能に構成され、前記走査ユニット本体部は、画像信号で変調されるレーザー光源と、前記レーザー光源からの光をコリメートするためのレンズと、該レンズから射出する光束を走査する走査ミラーと、該走査ミラーを回転させるモーターと、該モーターの回転スピードを検出する回転センサーと、前記走査ミラー位相を検出するミラー面検出センサーと、走査開始点・終了点を検出する原点センサーとを有し、前記結像レンズ部は、前記走査ミラーからの光束を結像するためのレンズを有し、前記複数の走査ユニットに対して、各走査ユニットに対応する画像信号を分割して送信する画像処理手段を含む、前記各センサーからの信号により走査を制御する制御部とを備え、前記走査ユニットは、副走査方向(走査方向と直角)にずらして配置し、前記結像レンズ部は、印字媒体に垂直に結像するテレセントリックな結像を行い、前記複数の走査ユニットは、前記制御部に制御されて同時に走査を行うことを特徴とる。
このように、原点センサーを走査ユニット本体部に備えており、走査ユニット本体部と結像レンズ部とが、別々に交換可能に構成しているために、走査対象に応じた適切な結像レンズ部を用いることができるとともに、走査ユニットの取り付けを簡単にしている。
この光走査装置を用いることで、大サイズの印字媒体を扱える、スポット径の小さな、高精度で高速な出力機を構成することが可能である。
前記走査ユニット本体部の画像信号で変調されるレーザー光源は複数であり、前記画像処理手段は、前記複数のレーザー光源に応じて画像信号を分割し、前記複数の走査ユニットは、前記制御部に制御されて、同時に複数の走査線により走査する構成とすることも可能である。この構成では、走査を速く行うことができる。
また、前記走査ユニット本体部は、さらに前記原点センサー用のレーザー光源を備えることもできるので、走査対象に応じて出力が変化するレーザーを原点検出に用いる必要はなくなり、安定した原点出力の信号を得ることができる。
前記制御部は、前記複数の走査ユニットごとに、前記走査開始点・終了点を検出する原点センサーからの信号によりビデオクロック周波数を可変に発生するビデオクロック発生回路を備えることにより、レーザー走査線の長さを調整することができる。
さらに、前記複数の走査ユニットごとに、前記レーザー走査線の傾きを調整するためのあおり機構と、前記レーザー走査線の上下の位置を調整するための光軸高さ調整機構とを有する姿勢制御機構を備えることにより、各走査ユニットごとに走査線の傾きと高さを調整することができる。
前記複数の走査ユニットは、互いに走査できる領域が重なるように配置するとともに、走査ユニット間の走査が重なる領域または等価な位置に、つなぎ点の開始と終了の走査を検出するセンサーを配置し、前記制御部は、前記センサーからのつなぎ点の開始と終了の検出信号により、各走査ユニットの走査のつながり位置を制御することで、隣接する走査ユニットの走査線のつながりを合わせることが可能となる。
前記制御部は、前記走査ユニットごとに、前記レーザー走査線の左右方向の位置を調整するためのビデオクロック遅延回路を備え、各走査ユニットの走査のつながり位置を前記ビデオクロック遅延回路の遅延量を制御することにより行うとよい。
前記制御部は、前記走査ユニットごとに、そのユニットで印字する画像信号を格納するメモリを有し、該メモリの容量は、走査が重なる部分の画像信号も格納することができる容量であり、前記画像処理手段は、各ユニットへの画像信号を分割して送出するときに、印字を行わない信号を付加でき、前記付加した印字を行わない信号により、各走査ユニットの走査のつながり位置を制御することもできる。
前記制御部は、前記走査線のつながり位置を変化させるよう制御することにより、レーザー走査線のつなぎ位置を目立たなくすることもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態である1つの走査ユニットの構成を示す図である。
図2(a)は平面図であり、図2(b)は正面図である。図2において、走査ユニット200は、光源や走査系が含まれる走査ユニット本体部300,走査されたレーザ光を結像走査面に結像させるためのfθレンズ系を含む結像レンズ部390,および姿勢制御機構部360で構成されている。
結像レンズ部390には、fθレンズ394及びシリンドリカル・レンズ又はトーリック・レンズ396が入っている。レーザー光はこの2つの部分を通過し結像面400にいたる。走査ユニット本体部300と、結像レンズ部390とは取り外しが可能なように結合されている。
姿勢制御機構部360は、レーザー光による走査線の傾きを調整するためのあおり機構や、レーザー光による走査線の上下の位置を調整するための光軸高さ調整機構を有している。
【0007】
<走査ユニット本体部>
走査ユニット本体部300には、印字用のレーザ光を発生するレーザー・ダイオード320,LDコリメーター・レンズ321,ビーム・スプリッタ322,シリンドリカル・レンズ323,反射ミラー324,ポリゴン・ミラー330,ポリゴン・ミラー回転用のモーター332が含まれる。これらは、印字用の光学走査系を形成している。この実施形態では印字用レーザー320として3個用意されており、わずかに上下にずらして設置しているため、図2(b)に示すように、同時に3本のレーザー光により走査している。これにより、1本のレーザー光を用いる場合より、3倍の速さで印字することが可能である。設置する印字レーザー320の個数は印字速度に応じて任意に選択できる。3つの印字用レーザー320からの3本のレーザー光はビーム・スプリッタ322により直角に進路を変更し、シリンドリカル・レンズ323を通過して、反射ミラーによりポリゴン・ミラー330に入射する。ポリゴン・ミラー330はモーター332により回転している。これにより、入射したレーザー光は、ポリゴンを形成する面の一つで反射して横方向に振られ、走査動作を行うことができる。
また、走査の原点検出のため、走査ユニット本体300内に、原点用レーザーダイオード310,ポリゴン・ミラー330からの光を原点検出素子に向かわせるミラー316および317や反射ミラー313および315,原点検出素子352および354を設置している。走査の開始(図2(a)において下側にレーザ光が来たとき)では、反射ミラー316にポリゴン・ミラー330から原点用レーザー・ダイオード310のレーザー光が入射するので、そのレーザー光は反射ミラー316で反射して、反射ミラー317からTOP原点検出素子354に届き、走査の開始点が検出される。走査の終了時(図2(a)において上側にレーザ光が来たとき)では、反射ミラー324に原点用レーザー・ダイオード310のレーザ光が戻るので、そのレーザー光は反射ミラー313,原点用レンズ314,反射ミラー315を介して、END原点検出素子352に届き、走査の終了点が検出される。
ポリゴン・ミラーなどの面同期を取るために、発光素子と受光素子を一体とした面検出光センサー356で、ポリゴン・ミラー330上に記した基準のマークを一回転に一回検出している。これにより、ポリゴン・ミラーの位相(位置)が検出できる。なお、実施形態の走査ユニットでは、ポリゴン・ミラーを駆動するモーターとしてホール素子による回転速度検出センサーをもつDCブラッシュレス・モーターを用いている。
このように走査ユニットを構成すると、ポリゴン・ミラー330から結像面400までの距離が短くてすみ、走査の中心と端とでのレーザー光のスポット径はほとんど同じになると共に、レーザー光のスポット径も容易に小さくすることができる。走査角度が小さいから当然光学系も小型ですみ、安価に構成できる。また、走査ユニット本体部300内に原点機構など、走査に関係することを全て含んでいるので、結像レンズ部390を完全に分離することができ、仕様の異なる種種の装置に簡単に組替えることで対応できる。
【0008】
<走査装置>
上述した走査ユニットを複数組み合わせて、例えば、印刷用の刷版を出力するコンピュータ・トウ・プレート(以下CTPと略称する)出力機用の走査装置を構成することができる。図3は、図2に示した走査ユニットを4つ組み合わせて構成した走査装置の例を示している。
図3において、図2に示した走査ユニットであるユニット1 210~ユニット4 240を水平に、隣接する走査線同士が重なることができるように設置している。隣接する走査線が重なる部分(オーバーラップ印字領域)412,414,416の部分の結像走査面には、走査線を検知できるセンサー422,424,426を取り外し可能に設置している。走査の両端の結像走査面にもセンサー421および428を取り外し可能に設置してもよい。また、DCモーターの回転用磁石とポリゴン・ミラーの取り付け位置および基準のマーク位置の関係は、全ての走査ユニットにおいて、同様な位置関係に取り付けられている。
このような構成の走査装置により、各走査ユニットが同時に動作して、結像走査面で、光の走査とは直角となる方向に相対的に移動する媒体に対して、所望の印字を高速に行うことができる。
【0009】
<出力システム>
図4は、上述の走査装置を組み込んだ出力システムの構成例を示す。図4において、印字媒体510が平面上に移動する出力機500は、走査ユニット200を複数組み合わせて構成した走査装置を取り付け台520上に設置している。この様な構成において、設計CADシステム560からのデータを、編集RIP(Raster Image Processor)システム570からマルチライン・インターフェース600を介して、各走査ユニットに送って出力している。
【0010】
<走査装置の制御システム>
ここで、この走査装置の制御システム(図4では、マルチライン・インターフェース600)について、図5~図12を用いて詳しく説明する。この制御システムはマイクロプロセッサ等を用いて構成することができる。
(センサーからの信号)
まず、走査装置の制御システムで用いているセンサーからの信号等について、図5および図6を用いて説明する。図5は走査に関する信号に関する図、図6は印字媒体の変動の検出を説明するための図である。
図3において説明したように、各走査ユニットは走査範囲が重なるように配置されている。図5(a)はその走査のタイミングを検出するための信号を図示しており、本実施形態では図2に示した走査ユニットのポリゴン・ミラー330の回転により走査を行っているが、そのポリゴン・ミラー330の1つの面に対応するタイミングを示している。信号1は走査開始点信号で、図2のTOP原点検出素子354からの信号である。信号2および信号3は、走査範囲が重なる領域(オーバーラップ印字領域)において、ある1つの走査ユニットが印字を開始・終了するための信号(つなぎ開始点信号,つなぎ終了点信号)で、図3におけるセンサー421,422,424,426,428からの信号である。このセンサーの配置は図5(b)にも示されている。図5(b)に示すように、走査ユニットnに対するつなぎ開始点検出は同時に、走査ユニットn-1にたいするつなぎ終了点の検出となる。したがって、ユニットnに対してn+1のつなぎ点検出開始するセンサーを追加することで、n個の単位ユニットに対して、見かけ上つなぎ開始点信号とつなぎ終了点信号を得ることが可能となる。なお、これらのセンサーの配置は必ずしも印字面に行う必要はなく、センサーを印字面に配置できない場合は、ミラー等を用いることにより、印字面のオーバーラップ領域からのつなぎ開始点、つなぎ終了点と同等の信号を検出できる等価の位置のところに配置してもよい。
さて、信号4は走査終了点信号で、図2のEND原点検出素子352からの信号である。なお、つなぎ開始信号やつなぎ終了信号を発生するセンサーは、印字媒体が装着されるとレーザ光を受光できなくなるので、印字媒体を装着されていない状態で使用される。また、以下の説明で、走査開始点信号と走査終了点信号との間の時間をt、つなぎ開始点信号とつなぎ終了点信号との間の時間をTとしている。このような関係であるセンサーからの信号を得ることで、各走査ユニットの実際の補正値を設定することができることを以下で説明する。
【0011】
図4において、走査方向と直角方向(副走査方向)に移動している印字媒体510が、印字される位置で変形していることがある。この変形は印字媒体が膨らみ凸となる場合と、へこみ凹となる場合がある。このような変形が上述の単位光ユニットの走査のつなぎの箇所で起こると走査の長さが変わることになり、走査がとぎれたり、2重に走査されて線の太さが変わったりすることになる。図6(a)は、ユニット1とユニット2のオーバーラップ領域で印字媒体にへこみができ、ユニット1とユニット2の印字領域が重なり、2重に走査されてしまうことを示している。これを検出するためには、へこみ部分の深さ(又は、ふくらみ部分の高さ)ΔLを検出する必要がある。図6(b)は、印字媒体の変形を検出するためのセンサーを示している。
図6(b)において、位置Aにある被計測物812が、位置Bになったときの距離Lを計測するために、レーザー光源810からの光が被計測物812で反射した光を、対物レンズ814,CCD816等の受光部で受けて、その変化L2を検出している。これにより、へこみ部分の深さ(又は、ふくらみ部分の高さ)ΔLを計測することができる。このようなセンサーを、例えば、図4における取り付け台520の走査装置が取り付けられている手前のオーバーラップ領域上に配置して、走査を行う前にオーバーラップ領域の印字媒体の変形を検出するようにする。
なお、この計測に用いているレーザー光は、印字媒体が感光物質である場合、感光波長以外のものを用いる必要がある。
【0012】
(制御動作)
図7は、各走査ユニットごとの制御と全体の制御との関係を示す機能ブロック図である。全体の制御を行う部分としては、ポリゴン・モータ制御部610,画像処理部620,印字媒体制御部630,印字媒体変動検出部640,つなぎ点検出部650がある。印字媒体変動検出部640は、上述の図6で説明した印字媒体の変形を検出している。つなぎ点検出部650は、上述の図5で説明したつなぎ点の開始信号および終了信号を出力している。これらの検出部650の構成は、図8に示されているように、フォト・ダイオード742でレーザ光を検出し、その信号を増幅器743で増幅した後、パルス変換器744で一定の幅のパルス信号として出力している。
各走査ユニットごとの制御を行う走査ユニット制御部700としては、印字画像信号制御部710,ビデオクロック遅延部720,ビデオクロック発生部730,走査開始点検出部740,走査終了点検出部760,ミラー位相面検出部780がある。走査開始点検出部740および走査終了点760は、図2におけるTOP原点検出素子354およびEND原点検出素子352からの検出信号である走査開始点信号および走査終了点信号(図5(a)参照)を出力している。これらの検出部もまた、図8に示した構成を有している。また、ミラー位相面検出部780は、図2における面検出光センサーからの信号を出力しており、各走査ユニットのポリゴン・ミラー反射面の位置を検出している。
【0013】
この図7の機能ブロック図や図2~図6の構成を示す図を用いて、走査ユニット等に対する制御動作を説明する。
図7において、ポリゴン・モータ制御部610では、各走査ユニットのポリゴン・ミラーを回転しているモータを制御することにより、ポリゴン・ミラーの回転数とポリゴン・ミラーの反射面の位置(位相)を制御している。ポリゴン・モータ制御部610は、モータに設置されている回転速度センサーからの信号により、各走査ユニットのポリゴン・ミラーの回転が同一となったことを検出すると、ミラー位相検出部780からのポリゴン・ミラーの反射面の位相検出信号により、全ての走査ユニットのポリゴン・ミラーの反射面がほぼ同じであるかを検出する。位相がずれていた場合には、モータを制御して位相を合わせる。
この様にして、各走査ユニット間の同期が取れるようになると、画像処理部620は、印字データを印字順に展開し、レーザー・ダイオードの数に対応した走査線を各走査ユニットそれぞれに対応した信号に分け、それらの信号を同時に各走査ユニットの印字画像信号制御部710に送出する。例えば、図2に示したように3個のレーザー・ダイオードを用いている場合は、3本の走査線分の画像信号を各走査ユニットに送出する。
この信号は、各走査ユニットのそれぞれのレーザー・ダイオード320に送られ、これから発生するレーザー光を変調させる。今レーザー・ダイオード320から出たレーザー光は、コリメーター・レンズ321で平行光となり、ビーム・スプリッタ322で直角に曲げられ、シリンドリカル・レンズ323を通過し、反射ミラー324でポリゴン・ミラー330の反射面に向かう。そして、ポリゴン・ミラー330はレーザー光を振って、fθレンズ394を通過し、シリンドリカル・レンズ又はトーリック・レンズ396で収束し、結像面に結像させて印字媒体に画像が印字される。
【0014】
(ビデオクロック周波数)
1つの印字ユニットが印字媒体上に受け持つ印字を行う時間Tは、各走査ユニット制御部700のビデオクロック発生部730で発生するビデオクロック周波数をfとすると
T=(1/f)×DOTS
となる。DOTSは走査線上のドット数を表す。
ビデオクロック周波数が一定とすると、走査開始点と走査終了点間の時間tとTは次のような関係となる。ミラー面のジッタ等があり、tが長くなる即ちミラーの走査速度が遅くなると、時間Tは変わらないため、印字媒体上の印字される走査線の長さが短くなり、走査ユニット間の走査線はつながらなくなる。逆にtが短くなる即ちミラーの走査速度が速くなると、印字される走査線の長さは長くなり、走査ユニット間の走査線は重なってしまう。
したがって、面のジッタ等があっても印字媒体上の印字される走査線の長さを一定にするためには、tの変動に対応してビデオクロックの周波数を変化させ、走査する時間を変化させるようにすればよい。
【0015】
(面ジッタの補正)
印字媒体上の各走査ユニットが印字する走査線の長さを一定にするためには、上述したように、tの変動に対応してビデオクロックの周波数を変化させ、走査線を走査する時間を変化させるようにする必要がある。しかしながら、このビデオクロック周波数の補正は、ビデオクロック発生部730で、走査開始点信号,走査終了点信号等を用いて行っている。このビデオクロック発生部730の動作を、図9を用いて詳しく説明する。図9はビデオクロック発生部の構成を詳細に示した機能ブロック図である。
図9において、i番目の走査ユニットで、各ミラー面ごとに発生する走査開始検出信号は、カウンタ739でカウントされており、このカウンタ739は、カウント値をミラー位相面検出信号によりリセットする。これで、このカウンタ739のカウント値は、位相面検出信号を基準としてミラー面を特定することができる。
面間ジッタの補正を説明する。走査開始点検出信号から走査終了点検出信号までの走査時間tを、クロック発生器734からの基準クロックを使って、カウンタ735でカウントしている。
いま、i番目の走査ユニットのビデオクロック周波数をfikとしたとき、このfikに対応した開始点と終了点間の時間をtikとする。なお、kはポリゴン・ミラー330のミラー面(1~n)を表し、fi1、ti1は、i番目の走査ユニットのミラー面1の値に対応する。
図9において、このある面kのfikを発生させる数値が初期値fi0として、各レジスタ738にセットされている。このような関係においてtikの変動に対し、次で説明する補正が行われる。
(1)まず、カウンタ735により開始点と終了点間の時間tikを計測する。
(2)演算部736にて、レジスタ738のある面に対応するレジスタkに保存されているti0とtikとの差をみる。
(3)同じなら何もしない。
(4)差がある場合、レジスタ738に新たな数値をセットしてfikをかえ、走査線の長さを常に一定に保つようにする。たとえばtikより大きくなったときfikを小さくするように、tikより小さくなったときfikを大きくするように補正する。
(5)上述の補正は各面ごとに行われる。
なお、fi0は、開始点終了点間の距離、モータ回転数、レンズの焦点距離、印字媒体上の走査線の長さ、印字ドット数(解像度)などにより、各面ごとに初期値としてあらかじめ求められ、関係づけられている。
この様にして、演算部736によりレジスタ738にセットされた発振周波数値は、カウンタ739からのミラー面選択信号によりデータ・セレクタ731で選択されて、デジタル/アナログ変換器732でアナログ値に変換して、VCO733により印字ミラー面に対応したビデオクロックを発生する。
この各面ごとの初期値は、ポリゴン・ミラーのミラー面により検出される走査開始点信号と走査終了点信号を用いて得ることができる。すなわち、ビデオクロック周波数補正における初期値は、図9におけるつなぎ開始点からつなぎ終了点までの時間をカウンタ737で計測したときの時間を用いて、レジスタ738に得ることができる。この時間は、媒体に対する走査線を直接計測しているため、媒体上で必要なドット数に対応するビデオ周波数を正確に求めることができる。この場合の補正は、閉ループ制御で行え、クロック周波数を変化させながら時間を計測することで最適な値に収束させることができる。
なお、実際の印字媒体は検出センサーの測定位置とは、若干のずれが生ずることがある。この場合、ここで計算した値に、ずれの量に匹敵する係数をかけることで、印字媒体面での誤差を軽減することができる。
【0016】
(ビデオクロック発生回路)
図9のデータ・セレクタ731,D/A変換器732,VCO733で構成しているクロック発生の構成を、図10に示すPLL(フェーズ・ロック・ループ)回路による周波数シンセサイザに置換することもできる。図10において、発振器792からの信号と、データセレクタ731でレジスタ738からの値を選択して可変分周器795にセットし、VCO796からの信号をその値で分周してから位相比較器793で比較して、その出力をローパス・フィルタ794を介してVCO796に戻している。これにより、データセレクタ731で選択したレジスタ738からの値により、VCO796の発振周波数(ビデオクロック)を制御している。
【0017】
(つながり補正)
走査ユニット間の印字を行う走査線のつながりは、ビデオクロックの遅延量を変更することで補正される。この補正は、印字媒体の位置に、図5(b)等に示したつなぎ点検出のセンサーからの信号により行われる。つなぎ点検出のセンサーは各走査ユニットの走査線のスタート位置に取り付けられている。これらからの信号により遅延量は、図7のビデオクロック遅延部720で補正される。
まず、図11を用いて、各走査ユニット間の走査のつながりを説明する。
図11(a)において、各走査ユニット間の走査時間Tが同じ場合を説明する。図11(a)は、各走査ユニットで同じドット数を走査する場合であり、通常の走査である。この場合で例えば、図11(a)(1)に示すように、走査ユニットが全体的に左側によるよう走査されていることが検出されると、図11(a)(3)に示すように、各走査ユニット全体を右にずらすのと同様に走査を制御する必要がある。また、図11(a)(2)に示すように、各走査ユニットが全体的に右によって走査されていることが検出されると、同様に各走査ユニット全体を左にずらすのと同様に走査を制御する必要がある。これは全体的にずれた場合で説明しているが、走査ユニット間で走査線が重なっている部分がある場合でも、この走査ユニット間で同様に走査をずらす必要がある。この走査の制御をビデオクロックの遅延で行っている。
また、図11(b)で示すように、各走査ユニット間で異なる走査時間Tを有するように制御することも可能である。これは、各走査ユニットで異なるドット数(異なる長さ)を走査することを意味している。このように制御するのは、各走査ユニットの走査線のつながる点が、副走査の方向で直線にならないように、例えば走査ごとにランダムとなるように制御するためである。走査のつながる点が直線となると、わずかにつながる部分に誤差がある場合に目立つ。このつながる部分を走査線ごとに数ドット分ランダムにずらすことで、これを防ぐことが可能となる。このように走査のつながりを制御するためには、走査ユニットへの画像信号の分割を、このつながりの制御に合わせて走査線の長さに従って、分割する必要がある。
なお、この様なつながる点が副走査方向に直線にならないように制御することは、各走査ユニット間の走査時間Tが同じでもできる。これは、図11(a)において、それぞれオーバーラップ領域でのつなぎ開始点(つなぎ終了点)の位置を(1),(2),(3)に示されているように、例えば走査するごとに変化させるのである。これはビデオクロックの遅延により行うことが可能である。
このつながりの制御を行うビデオクロック遅延部720は、図12に詳しい構成が示されている。以下、図12に示した回路により、つながり補正の制御動作を説明する。
(1)ポリゴン・ミラー側に取り付けられたTOP原点検出素子354からの走査開始点信号から、走査線のスタートとなるつなぎ開始点信号までの時間を、カウンタ722で計測する。
(2)演算部723では、カウンタ722からの値から、ドット・クロック数の単位の遅延量と、さらに小さな遅延をおこなうディレーライン728の遅延量選択値とを演算して、その値をレジスタ725および726にセットする
(3)ビデオクロック数をカウントするカウンタ724の値が、レジスタ725にセットした値となると、ゲート727を開きビデオクロックをディレーライン728に入力し、ディレーライン728はレジスタ726に設定した量の遅延を行って、ビデオクロックを出力する。
これにより、レジスタ725およびレジスタ726に設定した遅延量に応じて遅延されたビデオクロック信号が出力される。
図11(a)に示したように各走査ユニット間の走査のつながりを補正するためには、レジスタ725,726へ設定してビデオクロックの遅延量を決定することを、印字を行う直前など、媒体が無い状態の任意のタイミングで行えばよい。
また、ランダムにつながりを制御するためには、遅延制御と同様に初期値を設定した後、例えば走査ごとにレジスタ725とレジスタ726とに設定する値を変化させる必要がある。これは、図12において、画像処理部620からの走査線のつながり変化に対応したつながり補正信号を演算部723に入力して、レジスタに設定する値を変化させることで行うことができる。
【0018】
上述では、遅延回路を用いてビデオクロックを遅延させることで、走査線のつながり位置を制御することを説明したが、各走査ユニットごとの印字画像信号制御部710内に設けられている、各走査ユニットの画像信号を格納するメモリに対して、画像処理部620から送る画像信号を制御することでも行うことができる。このことを図13を用いて説明する。
図13は、各走査ユニットの印字範囲と各ユニットの印字画像信号制御部710に設けられたメモリとの関係を示した図である。図13において、ユニット1~ユニット4は、それぞれの印字範囲を印字しているとする。各ユニットに設けられたメモリは、レーザー・ダイオードの個数に応じた走査線の数に対応して、その印字範囲を印字するための画像信号を格納できるとともに、オーバーラップ部分の画像信号も格納できる容量を有している。印字画像信号制御部710はメモリからの画像信号を読み出して、この信号によりレーザー・ダイオード320の出力を変調することにより印字媒体上に印字している。
この各メモリに格納される画像信号は、画像処理部620から各ユニットの印字画像信号制御部710に対して送られている。画像処理部620から各ユニットに送られる画像信号は、
無印字のデータ+印字範囲の画像信号+無印字のデータ
という構成を有している。「無印字のデータ」はレーザー・ダイオードの出力をオフして、印字しないようにするためのデータであり、画像処理部620が付加している。「印字範囲の画像信号」の前後の「無印字のデータ」の長さを制御することにより、各ユニット間の走査線のつなぎ位置を制御することができる。この制御は、ビデオクロック遅延部720へ入力している信号を画像処理部620に入力して、この信号により付加する「無印字のデータ」の長さを決定することで行われる。
【0019】
(媒体変動の補正)
媒体の変動は、図6(b)に示した媒体変動検出部からの信号により、誤差を計算して、この誤差により、クロックの遅延量と、ビデオクロック周波数を変化させて補正している。
誤差aは、へこみ部分の深さ(ふくらみ部分の高さ)をΔLとし、走査するレーザーの角度をθとすると、a=tanθで求めることができる。この誤差aを補正する必要がある。これは、まず、ビデオクロックの遅延量により補正するために、図12に示すように、演算部723へ入力される印字媒体変動信号の値に応じて、レジスタ725,726への設定値を補正する。
この遅延量で制御できない程度に変動量ΔLが大きい場合、例えば変動量がオーバーラップ領域より大きい場合、このときは、ビデオクロック周波数を変化させることで補正を行っている。これは、図9に示すように、演算部736へ入力される印字媒体変動信号の値に応じて、各レジスタ738への設定値を補正することで行っている。
【0020】
<まとめ>
本発明の上述した実施形態においては、例えば、ほぼ80mm程度の走査幅とした小型の走査ユニットを、印字媒体の端から端まで複数個並べて光走査装置を構成し、分割して同時に走査できるようにしている。この場合の1走査ユニットの走査するドット数としては、例えば8000ドット程度である。
各々の走査ユニットは、走査幅を小さくしているため、レーザー光のスポット径を小さくでき、かつ光学系がコンパクトなため安価に実現できると共に、走査光学系の走査レンズの焦点距離を短くすることができ、高精度が実現できる。走査用レンズの焦点距離が小さくなるため、焦点距離に反比例する、ミラー回転用のモーターのジッター性能も大幅に良くすることが可能となり、高精度を低価格で達成できる。走査ミラーを小型化することができるので、モーターの回転数も高速化でき、高精度で高速な印字が可能となる。また、どのような大サイズとなっても走査ユニットを増やすことで対応できる。
このように複数の走査ユニットを用いる場合、それぞれの走査用のポリゴン・ミラーは同期して回転する必要があると共に、各々の走査ユニットの走査開始を同期させる必要がある。すなわち、印字用データは制御回路によって、レーザー・ダイオードの数に対応した走査線分がそれぞれの走査ユニット用に分割されて送られてくるが、各ポリゴン・ミラーの走査位置やポリゴン・ミラーの回転数がバラバラだと走査線を正確に再現することができない。そのため、本発明の実施形態においては、例えば、各走査ユニットのポリゴン・ミラー反射面が一定方向に向いたことを検出するセンサーを設置し、すべての走査ユニットのポリゴン・ミラーの反射面がほぼ同じに走査できるようにして、各ポリゴン・ミラーの走査開始を同期するようにしている。
各走査ユニットは、走査機構を全て本体部内に包含しているので、単体としても機能することから、小型の同一ユニットを大量に生産することにより、低コスト化が可能となる。又、走査ユニットの一つが故障しても、走査ユニットは全てほぼ同一なので、交換することで、メンテナンス性も良好に保たれる。また、走査ユニットの本体部に原点検出センサーなど、走査に関係することを全て含んだので、結像レンズ部を完全に分離することを可能にでき、仕様の異なる種種の装置に簡単に組替えることで対応できる。
また、印字媒体により出力が変化する印字走査用レーザーと原点検出用レーザーとを分離しているために、光量が一定である原点用レーザーにより、原点検出センサーの出力信号が安定するので、常に正確に原点を検出することができる。
副走査方向の走査のつなぎには、各走査ユニットごとに調整できるように、各走査ユニットごとに姿勢制御機構部を設けている。これを用いて、各走査ユニットごとに走査線の傾きや、走査線の上下の位置を調整することができる。
【0021】
<他の実施形態>
以上の説明では1例としてポリゴン・ミラー、レーザー・ダイオードを用いる場合を説明したが、ポリゴン・ミラーの代わりに平面鏡を用い、レーザー・ダイオードの代わりにガス・レーザー等を用いてAOM(超音波光変調素子)などで光を変調させるようにしても全く同様に構成できる。
図3や図4では、走査ユニットを横一列に並べる例を示しているが、例えば、図14に示すように、走査ユニット212,222,232,242,252を副走査の方向にずらせて設置することも可能である。図14(a)は上から見た図で、図14(b)は斜視図である。図14(a)に示されているように、各走査ユニットは、副走査の方向にずらして設置するとともに、各ユニットが重なるように配置している。このように構成した場合、結像レンズから射出する光束は、印字媒体に垂直に結像するようなテレセントリックな結像の構成をとることができる。このような結像をする構成とした場合、前後のずれ(凹凸)は問題とならず、印字媒体の凹凸検出は必要がない。
なお、この場合、つなぎ点検出のためのセンサーは、図5に示すようにつなぎ点開始と終了とを兼ねることができず、それぞれ設ける必要がある。
また、以上の説明では、印字媒体が平面上で移動する出力機の場合を例にして説明してきたが、他の方式例えば、外面ドラム方式にも応用できることはあきらかである。すなわち、図15に示すように、外面ドラム900の外側に、走査方向がドラムの中心軸と同じ方向になるように複数の走査ユニット210,220,230,240を配置すれば、ドラムの1回転で出力が可能となり、走査部分が安価に構成できる。
上述した光走査装置は、媒体に対する印字ばかりではなく、例えば強いレーザー光により材料に対して加工を行う場合等にも適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
上述した本発明の複数の走査ユニットを組み合わせる構成により、大サイズの印字媒体を扱える、スポット径の小さな、高精度で高速な出力機を構成することが可能である。
また、走査ユニットは、走査ユニット本体部と結像レンズとが互いに交換可能に構成されているため、汎用性の高い光走査ユニットとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】走査モジュールが複数ある走査装置の例を示す図である。
【図2】本発明の1実施形態である走査ユニットの光学系の平面図を示す図である
【図3】走査ユニットを複数組み合わせて走査装置を構成した図である。
【図4】走査装置を組み込んだ出力装置の全体的なシステム構成を示す図である。
【図5】センサーからの信号のタイミングを示す図である。
【図6】媒体の凹凸の検出を説明する図である。
【図7】走査装置の制御システムの機能ブロック図である。
【図8】センサーからの信号を得るためのブロック図である。
【図9】ビデオクロック発生部のブロック図である。
【図10】クロックを発生させるための他の構成を示す図である。
【図11】オーバーラップ領域の使い方と走査時間との関係を示す図である。
【図12】ビデオクロック遅延部の構成を示すブロック図である。
【図13】各走査ユニットの印字範囲と各ユニットに設けられたメモリとの関係を示した図である。
【図14】走査ユニットの他の配置構成を示す図である。
【図15】出力装置の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
100 走査装置
110,120,130 走査モジュール
111,121,131 偏向ユニット
112,122,132 ミラー
113,123,133 走査ミラー
114,124,134 レンズ・ユニット
117,127,137 走査線
200 走査ユニット
300 走査ユニット本体部
310 原点用レーザー・ダイオード
313,315,316,317 反射ミラー
314 原点用レンズ
320 印字レーザー・ダイオード
321 コリメーター・レンズ
322 ビーム・スプリッタ
323 シリンドリカル・レンズ
324 反射ミラー
330 ポリゴン・ミラー
332 ポリゴン・ミラー・モーター
352 END原点検出素子
354 TOP原点検出素子
356 面検出光センサー
360 姿勢制御機構部
390 結像レンズ部
394 fθレンズ
396 トーリック・レンズ又はシリンドリカル・レンズ
400 結像面
412,414,416 オーバーラップ印字領域
421,422,424,426,428 センサー
500 出力機
510 印字媒体
520 取り付け台
560 設計CADシステム
570 編集RIPシステム
600 マルチライン・インターフェース
610 ポリゴン・モーター制御部
620 画像処理部
630 印字媒体制御部
640 印字媒体変動検出部
650 つなぎ点検出部
700 走査ユニット制御部
710 印字画像信号制御部
720 ビデオクロック遅延部
730 ビデオクロック発生部
740 走査開始点検出部
760 走査終了点検出部
780 ミラー位相面検出部
810 レーザー光源
812 被計測物
814 対物レンズ
900 印字ドラム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14