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明細書 :炭化珪素焼結材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3706881号 (P3706881)
公開番号 特開2003-095745 (P2003-095745A)
登録日 平成17年8月12日(2005.8.12)
発行日 平成17年10月19日(2005.10.19)
公開日 平成15年4月3日(2003.4.3)
発明の名称または考案の名称 炭化珪素焼結材の製造方法
国際特許分類 C04B 35/565     
FI C04B 35/56 101J
C04B 35/56 101B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2001-283235 (P2001-283235)
出願日 平成13年9月18日(2001.9.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成13年8月7日~8日 日本鉄鋼協会中国四国支部 日本金属学会中国四国支部開催の「鉄鋼第44回,金属第41回支部講演大会」において文書をもって発表
審査請求日 平成13年9月26日(2001.9.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
発明者または考案者 【氏名】金山 信幸
【氏名】植田 優
【氏名】野田 泰稔
【氏名】北川 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100081673、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 誠
審査官 【審査官】村守 宏文
参考文献・文献 特開昭59-101703(JP,A)
特開昭57-022171(JP,A)
特開昭63-021251(JP,A)
特開昭50-115210(JP,A)
特開2003-086529(JP,A)
M.Lazar, L.Ottaviani, M.L.Locatelli et al.,High Electrical Activation of Aluminium and Nitrogen Implanted in 6H-SiC at Room Temperature,Materials Science Forum,2001年 4月10日,Vols.353-356,pp.571-574
YING GAO, S.I.SOLOVIEV, and T.S.SUDARSHAN,Surface Morphology of 6H-SiC after Thermal Diffusion,Journal of Electronic Materials,2002年,Vol.31, No.5,pp.376-379
調査した分野 JICSTファイル(JOIS)
C04B 35/565-35/577
特許請求の範囲 【請求項1】
炭化珪素(SiC)の粉体を主材とした圧粉体を焼結雰囲気中で加熱して焼結する方法において、上記主材に対し炭化アルミニウム(Al43)からなる添加材を0.001~50重量%添加混合して焼結し、当該添加材の添加量を調節することによりp型電気伝導型のキャリア濃度を制御する炭化珪素焼結材の製造方法。
【請求項2】
添加材が炭化アルミニウムと窒化珪素からなり、炭化アルミニウム及び窒化珪素の配合比と、該添加材の添加量を調節することにより、p型・n型電気伝導型とそのキャリア濃度を制御する請求項1の炭化珪素焼結材の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス材料である炭化珪素にドープ用添加材を添加して高密度の半導体等を得る炭化珪素焼結材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の炭化珪素(SiC)焼結体の製造においては、焼結密度を高めるためにホットプレス法や高温加熱焼結法をはじめとする各種焼結方法がとられているほか、炭化ホウ素(B4C)など焼結助剤が使用されてきた。
【0003】
キャリア濃度の制御については、p型伝導型材料の製造では炭化ホウ素(BC)添加剤が使用され、n型伝導型材料の製造には窒素雰囲気中で、ホットプレス法や高温加熱焼結法によって行われており、キャリア濃度の制御は最高でも1022-3の桁にとどまっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
SiCは通常の自然環境中に多量に存在する環境にやさしい材料であることから、SiC焼結体の製造において添加する焼結助剤もまた環境にやさしい材料が望ましいが、これまでこの点について注意が払われてこなかった。
【0005】
SiC半導体焼結材料の製造においては、電気伝導型およびキャリア濃度の制御を欠かすことができないことから不純物の添加が行われてきたが、上述したように添加剤の種類はきわめて限られたものでしかなく、キャリア濃度の制御は最高でも1022-3の桁にとどまっていたため、SiC半導体焼結材料の半導体素子への応用の障害となっていた。
【0006】
本発明においては、SiC焼結体の製造においては、高密度SiC焼結体を得るために、環境にやさしい焼結助剤を提案するものである。
【0007】
さらにSiC半導体焼結材料の製造においては、p型またはn型半導体材料の電気伝導型の制御と1022-3を越えるキャリア濃度制御、およびSiC絶縁体材料の製造を可能にする、不純物添加剤および添加法を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、炭化珪素(SiC)焼結体の製造において、SiC紛体を原料として、真空またはガスを流しながらの雰囲気中において、圧粉体を加熱して焼結する際、焼結体の密度を高める目的で、原料SiC中に炭化アルミニウム(Al4)を0.001~50重量%添加する。さらに上記単体の添加材の代わりに炭化アルミニウム(Al43)および窒化珪素(Si34)を併せて0.001~50重量%添加することもできる。
【0009】
上記のほかSiC半導体焼結材料の製造において、p型の電気伝導型およびキャリア濃度制御のため、アルミニウム(Al)ドープ用添加剤として炭化アルミニウム(Al43)を0.001~50重量%添加することも可能である。またn型電気伝導型およびキャリア濃度制御のため、窒素(N)ドープ用添加剤として窒化珪素(Si34)を0.001~50重量%添加することも可能である。即ち高密度SiC焼結材料のn型及びp型電気伝導型制御とキャリア濃度制御のために、添加剤である窒化珪素(Si34)および炭化アルミニウム(Al43)を併せて0.001~50重量%添加する。
【0010】
上記のそれぞれのケースにおいて、原料となるSiCは純度の良否を問わず、また添加物の有無や固溶体の状態が限定されるものではない。また、原料のSiCは紛体に限らず、予めAl4を添加して圧粉体に成形したものやこの圧粉体を予め焼結したものを用いることができる。また、焼結方法は、圧粉体を加熱して焼結する後述する方法に限るものではない。
【0011】
ただし、SiC材料および添加材は通常はそれぞれ粉体であり、焼結は真空またはガスを流しながらの雰囲気中において行われる。炭化アルミニウムと窒化珪素を同時に添加する場合、これらの添加量は必ずしも同量に限るものではない。なお添加材の添加量は0.001重量%位から電気伝導型及びキャリア濃度制御の効果が表れ、この発明においてはSiCを主材とした焼結材における添加材の添加量は50%以下である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、原料である高純度SiC粉末(純度99%)にAl43粉体(純度95%)またはSi34粉体(純度95%)を添加し十分に混合したのち(以後この粉体を混合粉体と称す)、内径約10mm、長さ500mmの黒鉛ダイスの空隙中にこの混合粉体を収容した。焼結においては、放電プラズマ焼結法(SPS)として知られる周知の方法によって、ダイスのパンチを通じて加圧および通電を行い、混合粉体の焼結を行う。この焼結では、ダイスは約10Paの真空度にある焼結室において行った。
【0013】
このように本発明においては、原料のSiC粉末から出発して、ダイスの外側温度2000℃におけるSPS焼結により、無添加SiC焼結体およびAl43またはSi34を5重量%添加したSiC焼結体をそれぞれ作製した。
【0014】
それぞれの焼結体について測定した密度は、無添加の場合、SiCの理論密度3.21 g/cmの約80%となり、一方Al43添加の場合は約同96%を得た。また、Si34添加の場合は同じく約85%を得た。この結果から、Al43またはSi34添加による高密度SiC焼結体の作製が可能であることが明らかになった。この焼結体は母体のSiCおよび添加不純物のAl43やSi34はいずれも有害元素を含まず、高密度化された環境にやさしい材料である。
【0015】
それぞれの焼結体について測定した電気的性質は、Al43添加の場合にp型、Si34添加の場合にn型伝導を示し、室温においてキャリア濃度は添加量と共に増大し、5重量%添加において共にキャリア濃度の桁が室温において1024-3となり、伝導型およびキャリア濃度の制御が可能となった。
【0016】
さらに、Al43およびSi34をそれぞれ5重量%ずつ同時に添加したSiC焼結体を作製した。得られたSiC焼結体は絶縁体となり、伝導に寄与するキャリア濃度が極めて低い水準にあることが判明した。この様にSiC焼結体のp型化を促すAl43と、n型化を促すSi34を同時に添加した場合は、互いに他方の作用を減じる作用があり、両方の添加量の配合を調節することによってもp型・n型の電気伝導型及びキャリア濃度の制御が可能であり、両方合わせた添加量によって密度制御も可能である。
【0017】
さらに本発明によるSiC焼結体の製造方法の実施例について説明する。本発明においてSiC焼結体の製造に使用する放電プラズマ焼結装置の模式図を図1に示す。その装置の焼結室5に設置した黒鉛ダイス9中において原料SiC紛体の焼結を行う。
【0018】
プラズマ焼結装置は、パルス電源1に回路2を介して接続された一対の電極3,3が、焼結室5内において同軸上に対向して配置され、各電極3の先端にはそれぞれ筒状のダイ7内に端部が対向し合うように一対のパンチ6,6が嵌合して取り付けられている。上記ダイ7内のパンチ6,6の端面間に形成される加熱室8内にSiC試料が収容され、該SiC試料には電極3を介してパンチ6に加えられる圧縮方向の荷重4が作用する。
【0019】
焼結は原料となる無添加SiC粉体、Al43添加SiC粉体、Si34添加SiC、またはAl43およびSi34を同時添加したSiC粉体をダイス9中に充填し、ダイス9のパンチ6を通じて加圧した状態で,さらにパルス電流を通電して2000℃まで昇温して行い、ここで5分間保持したのち電流を切って冷却した。焼結の際の焼結室5の真空度は約10Paである。放電プラズマ焼結条件を表1に示す。
【0020】
【表1】
JP0003706881B2_000002t.gif
【0021】
原料の混合粉体を加圧下で通電して焼結を行う際、パンチ6に圧力を伝え、電流を流す役割の電極位置の変位が観測される。すなわち、室温から加熱を開始すると、温度を上昇させるとともに試料及びダイス9の熱膨張が起こり電極(パンチ6)間の間隔は増大する。しかし、1800℃を超えると電極間距離は減少に転じ、粉体の焼結が進行して、密度が増大していることがわかる。これはAl43添加、Si34添加、Al43およびSi34同時添加したSiC焼結試料に共通して認められる傾向である。
【0022】
焼結を行う時には、電極、黒鉛ダイス9のパンチ6およびダイ7、原料粉末部が一体となって組み合わされている。ここで、黒鉛ダイス9の形状や寸法は任意に選定し得るが、例えば最終的に熱電変換材料の大きさをφ10×1mmとすれば、ダイ7の内径は10.2mm程度に、また加熱室8の大きさはφ10×5mm程度に選定し得る。
【0023】
【発明の効果】
本発明によるSiC焼結体製造方法は、高密度のSiC系焼結体を作製する際にきわめてその効果が大きい。すなわち、従来おこなわれてきたホットプレス法や高温加熱焼結法では相対密度は60%以下であり、また放電プラズマ焼結においても無添加SiCについて約80%であるのに対して、Al43またはAl43及びSi34添加SiC焼結材料では相対密度が少なくとも85~95%の到達が可能である。その結果半導体素子として利用した場合の電流の流れも均一化且つ安定化する利点がある。
【0024】
SiC半導体焼結材料製造における不純物添加法は、SiC半導体焼結材料を作製する際にきわめてその効果が大きい。すなわち、本発明では室温においてキャリア濃度がほとんど皆無の絶縁体から、少なくとも1024-の桁を有する半導体までの広い範囲にキャリア濃度制御が可能になり、SiC半導体焼結材料の応用を拡大する効果がある。
【0025】
例えば、本発明によって、p型とn型SiC半導体焼結材料を用いることにより、酸化性雰囲気で少なくとも600℃~1000℃程度の高温でも熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電変換素子を形成することが可能となり、高温域での排熱の有効利用に寄与する事ができる。このSiCは高温で耐熱性にすぐれ、酸化および腐食性雰囲気に強く、軽量であることから高温域での熱電変換素子としては特に優れた材料である。
【0026】
また、p型SiC半導体焼結材料の作製はホウ素添加によって行われてきたが、本発明において、Al添加のための添加剤(Al43)が有効であることが見い出された。その他放電プラズマ法の使用により短時間で且つより低い真空度での焼結が可能となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に使用した放電プラズマ焼結装置の模式図である。
【符号の説明】
1 パルス電源
2 回路
3 電極
4 荷重
5 焼結室
6 パンチ
7 ダイ
8 加熱室
図面
【図1】
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