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明細書 :SOGを用いた室温ナノ-インプリント-リソグラフィー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4208447号 (P4208447)
公開番号 特開2003-100609 (P2003-100609A)
登録日 平成20年10月31日(2008.10.31)
発行日 平成21年1月14日(2009.1.14)
公開日 平成15年4月4日(2003.4.4)
発明の名称または考案の名称 SOGを用いた室温ナノ-インプリント-リソグラフィー
国際特許分類 H01L  21/027       (2006.01)
B05D   3/02        (2006.01)
B05D   3/12        (2006.01)
B05D   7/24        (2006.01)
G03F   7/075       (2006.01)
H01L  21/316       (2006.01)
B29C  59/02        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
FI H01L 21/30 502D
B05D 3/02
B05D 3/12 C
B05D 7/24 302Y
G03F 7/075
H01L 21/316 G
B29C 59/02
B82B 3/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 7
出願番号 特願2001-293718 (P2001-293718)
出願日 平成13年9月26日(2001.9.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2001年3月28日 (社)応用物理学会発行の「2001年(平成13年)春季 第48回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集 第2分冊」に発表
特許法第30条第1項適用 2001年5月29日 The American Vacuum Society発行の「THE 45th INTERNATIONAL CONFERENCE on ELECTRON,ION and PHOTON BEAM TECHNOLOGY and NANOFABRICATION ABSTRACTS」に発表
審査請求日 平成15年9月24日(2003.9.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】松井 真二
個別代理人の代理人 【識別番号】100110168、【弁理士】、【氏名又は名称】宮本 晴視
審査官 【審査官】新井 重雄
参考文献・文献 特開昭64-014082(JP,A)
特開2001-115029(JP,A)
特開平05-109618(JP,A)
特開平01-270312(JP,A)
特開平01-014082(JP,A)
特開平06-177122(JP,A)
特開平08-250490(JP,A)
特開平10-096808(JP,A)
特開2000-194142(JP,A)
特開2002-184719(JP,A)
調査した分野 H01L 21/027
B05D 3/02
B05D 3/12
B05D 7/24
B29C 59/02
B82B 3/00
G03F 7/075
H01L 21/316
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式Aのシロキサン成分
〔RSi(OH)4-n〕 一般式A
(但し、RはHまたはアルキル基、nは0~3の整数)と溶媒としてのアルコール、エステル、ケトンまたはこれらの2種以上の混合物を主成分とする溶液を被加工材料表面に塗布後、該塗布面に室温において、微細パターンの型押し、溶剤の除去および加水分解硬化の工程を室温下で行い該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法。
【請求項2】
シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の微細SiOパターンを形成する方法。
【請求項3】
シロキサン成分を含有する溶液がSi(OH)、RCOOR(R、Rは炭素数4までの低級アルキル基)およびアルコールを含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の微細SiOパターンを形成する方法。
【請求項4】
硬化処理に酸またはアンモニアを用いることを特徴とする請求項1,2または3に記載の微細SiOパターンを形成する方法。
【請求項5】
シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用い、該ポリマーによる塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下でプリベークした後、室温において型押し、その後の工程を室温下で行うことを特徴とする該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の第1は、シロキサン成分とこれを溶解するアルコールなどの有機溶媒からなる溶液を室温にて被加工材表面に塗布、形成された塗膜に型材により型押しした後該塗膜を硬化させ、被加工材表面SiOガラスによるパターンを形成する方法に関する。前記SiO膜の形成方法はSOG(spin-on-glass)として公知であるが、型押しによりSiOパターンを形成することは全く知られていない。
また、本発明の第2は、シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用い、該ポリマーによる塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下でプリべークした後型押しをすることを特徴とする該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今まで、室温にて被加工材表面に膜を形成後、型材により型押しし、該被加工材表面の該膜からなるパターンを形成し、これをレジストとして前記被加工材を加工する技術は、ナノ・インプリントリソグラフィ技術として公知である。
しかしこれまでは、レジスト形成材料として熱可塑性ポリマー、例えばPMMAが用いられていた(Steohen Y.Chou等により提案された方法)。そのために、型押し時に加熱が必要であり、型押し後の冷却の際、温度変化により型押し後の転写パターンの位置精度、線幅精度が低下するという問題があった。また、加熱-冷却という工程であるため作業性もあまり良くないし、転写工程におけるモールド(型押し)マスクへのレジスト付着による転写パターン精度の低下という不都合もあった。その改良のために、最適レジスト加熱温度の設定、マスク基板表面へのポリテトラフルオロエチレンコーティング(テフロンコーティング)などが提案もされてきたが、前記不都合の解決方法としては十分とはいえない。
【0003】
また、量子デバイスの作製のために、SOG(siloxene =メチル基結合Si-Opolymer)を電子線〔AFM(原子間力顕微鏡のプローブ)を用いて描画する。〕により硬化するレジスト材料として用いることも提案されているが、パターン形成速度に問題があった。
因みに、SOGの技術は電子デバイスの技術分野では、絶縁層形成材料、表面平滑化などのために利用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は前記従来技術の問題点を取り除いた室温ナノ-インプリント-リソグラフィーを提供することである。前記課題を達成するために、本発明者らは、前記一般式Aのシロキサン成分、〔RSi(OH)4-n〕(但し、Rはアルキル基、nは0~3の整数)と該成分の溶媒としてのアルコール、エステル、ケトンまたはこれらの2種以上の混合物を主成分とする溶液を用いて、室温で型押しによりレジストパターンを形成することができないか検討した。その中で、前記シロキサン成分を含む溶液を被加工材料表面に塗布後、溶剤が揮発し硬化が完了する前に塗布面に型押しをし、溶剤の除去および加水分解硬化の工程をして該被加工材料表面にナノ精度のSiOレジストパターンが形成できること、また、シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用いた場合、該ポリマーの塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下の低温でプリベークした後、室温において型押しをすることにより該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成することができること、を確認することができ前記課題を達成することができた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、前記一般式Aのシロキサン成分
〔RSi(OH)4-n〕(但し、Rはアルキル基、nは0~3の整数)と溶媒としてのアルコール、エステル、ケトンまたはこれらの2種以上の混合物を主成分とする溶液を被加工材料表面に塗布後、該塗布面に室温において、微細パターンの型押しをし、溶剤の除去および加水分解硬化の工程を室温下で行い該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法である。好ましくは、シロキサン成分が水素化シルセスキオキサンポリマーであることを特徴とするまたはシロキサン成分を含有する溶液がSi(OH)、RCOOR(R、Rは炭素数4以下の低級アルキル基である。)およびアルコールを含有するものであることを特徴とする前記微細SiOパターンを形成する方法であり、より好ましくは、硬化処理に酸またはアンモニアを用いることを特徴とする前記各微細SiOパターンを形成する方法である。
【0006】
本発明の第2は、シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用い、該ポリマーによる塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下でプリベークした後型押しをし、その後の工程を室温下で行うことを特徴とする該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法である。
【0007】
【本発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の特徴を図面を参照しながら説明する。
図1は、室温ナノ-インプリント-リソグラフィーの原理を説明するものである。すなわち、パターンRPを形成した型(モールド)MOを被加工材料(基板)BP表面に形成された膜Fに型押しし、前記膜を硬化後前記型MOを取り除くことにより型押しパターンPP(膜Fの硬化物パターン)が形成され、前記膜Fの硬化物パターンPPを、CFRIE(ガスを用いた化学反応イオンエッチング)することによりエッチング後パターン(レジスト)Rが前記被加工材料BP表面に形成することができる。
また、シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用いる場合には、該ポリマーによる塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下という低温でプリベークした後型押しをすることにより、該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成することができる。
【0008】
B.本発明第1の特徴は、前記被加工材料表面に形成される膜Fを形成する材料と該材料の特性を巧みに利用して前記膜Fの型押しパターンPP(膜Fの硬化物パターン)を前記被加工材料表面に形成する方法にある。
すなわち、基本的には膜Fを形成する材料としては、従来SOG技術において利用されていたものを利用できるが、本発明においては、前記一般式Aのシロキサン成分〔RSi(OH)4-n〕(但し、Rはアルキル基、nは0~3の整数)と、これを溶解する溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール、RCOORで表されるエステル類、アセチルアセトンなどのケトン類またはこれらの混合物とからなるものが好ましい。
【0009】
SOGに使用されているものは、シロキサンの化学構造により、シリカガラス、アルキルシロキサンポリマー、アルキルシルセスキオキサンポリマー(MSQ)、水素化シルセスキオキサンポリマー(HSQ)、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー(HOSP)などに分類できる。
市販材料としては、
ハネウエル社製のものとして、
シリカガラスとして第1世代無機SOG(無機SOG-1という)、HSQとして第2世代無機SOG(無機SOG-2という)(T-11/T-12/T-14)
アルキルシロキサンポリマーとして第1世代有機SOG(有機SOG-1という)、MSQ(T-18)とHOSP(T-24)として第2世代有機SOG(有機SOG-2という)などがある。
東京応化株式会社製のものとして、
OCD T-2 Si-5900-SGなどのOCDシリーズを挙げることができる。これらには、更に添加剤(ガラス質形成剤、有機バインダーなど)を加えて変性調製(変形)も可能である。
3.ダウコーニング社製のものとして、
HSQである商品名FOXを挙げることができる。これは、H(SiO)の籠型構造高分子であり、このポリマーを使用した場合は、低温プリベーク後、型押しすることにより該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成することができる。
因みに、SOGとは、これらの溶液と形成される膜の総称である。
【0010】
調製された溶液は、被加工材料BP表面に塗布後、溶剤の蒸発、加水分解(hydrolytic polycondensation)による硬化前に、型押しされ、硬化後に型を取り除いて型押しパターンPP(膜Fの硬化物パターン)を形成し、これをCFRIEしてレジストとして有用なエッチング後パターン(レジスト)Rが形成される。
また、シロキサン成分として、水素化シルセスキオキサンポリマーである前記ダウコーニング社製の商品名FOXを用いた場合には、低温プリベーク後、型押しすることにより該被加工材料表面に微細SiOパターンを形成することができる。
【0011】
【実施例】
実施例1
SOG組成: オルガノシリカ〔Si(OH)+RCOOR〕(R、Rはアルキル基である。)の5.9%アルコール溶液(東京応化(株)製、OCD 5900)を用いた。
1、Si基板表面に0.1μm厚に前記SOGをスピンコートした。
2、型板を、乾燥、硬化処理する前の前記SOGコート基板に約25kgf/cmの圧力で10分間プレスした。(前記プレス処理は、空気中との水分との加水分解により硬化するため、SOG膜が乾燥する前、すなわちスピンコート後10分以内に行うのが好ましい)
3、前記プレス後型板をステップモーターにより取り除くという工程よりなる本発明の室温ナノ-インプリント-リソグラフィー(NIP)法によりSOGパターンを形成する。
A、先ず、200nm×100nm角、深さ200nmのドットパターンを持つ型を、室温NIL法により前記SOGコート基板にプレスして、型押しパターンPPを形成した。得られたパターンを原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ高精度のパターンが前記SOGコート基板上に再現されていることが分かった。
B、 200nmのライン幅および2μmピッチを持つ格子型を、A、と同様に前記SOGコート基板に型押して、型押しパターンPPを形成した。得られたパターンを走査顕微鏡(SEM)により観察した。深さ70nmのプレスに対し残留深さは30nmでありことが確認された。
【0012】
実施例2(比較例1)
PMMA(比較例)を使用した前記NIL(PMMAの場合は、型押しの際変形可能な温度、90℃~170℃まで加熱した。)法によりパターンを形成した。PMMAの場合には型板の劣化(型へのPMMAの残留による)は3回の後に型板表面に観察された。これに対して、SOG(実施例2)を使用したNIL法では、型板の劣化は10回の後においても観察されなかった。
本発明のNIL法においては、10回繰返した後のSi型板を光学顕微鏡観察したところ、SOGが型板に付着することが全く無いことが確認されている。このような特性は、SOGを用いた室温NILプロセスによってもたらされたものである。
【0013】
実施例3
前記ダウコーニング社製のSOGであるHSQを用い、本発明によるNIL法を行った。
先ず、Si基板表面に0.3μmの厚さにHSQをスピンコートした(塗布工程)。次いで、150℃以下の温度である50℃でプリベークした後、型(SiO/Siで作られた)とSOG塗布基板とを、25kgf/cmの圧力で10分間プレスした(型押し工程)。型を取り除いた後CFRIE(ガスを用いた化学反応イオンエッチング)を用いて加圧した部分の残留HSQを除去した(レジストRの形成工程)。その後、Si基板を前記HSQレジストを用いてCFガスを用いたRIE反応性イオンエッチングをした。 HSQを用いた場合の200nmのライン幅および0.4μmピッチを持つ格子パターンの再現性を、表面走査電子顕微鏡(SEM)像および透過像を観察することにより観察した。高精度の型押しパターンPP(膜Fの硬化物パターン)が前記HSQコートSi基板上に形成されていることが観察された。250nmの深さにプレスした後の残留深度が50nmであった。
【0014】
実施例4
実施例3と同様にHSQを用いて、幅0.75μm、ピッチ3μmの矩形パターンを実施例3と同様の室温NIL法条件で型押しした。実施例3と同様の観察により、高精度の型押しパターンPP(膜Fの硬化物パターン)が前記HSQコートSi基板上に形成されていることが観察された。
また、前記HSQパターンの複製を、リフトオフ法およびRIEプロセスにより、Au金属パターンおよびSi基板に再現できることも確認された。
これらのことから、HSQも本発明の室温NIL法の材料として有用であることが分かった。
また、型押しを、プレス圧4.5MPa、または4.0MPa、プレス時間1分でも所望の微細SiOパターンを形成することも可能であることを確認している。
【0015】
レジストの耐久性および除去性
前記SOG(室温~200℃で焼成した)のレジスト特性はCFRIEを用いるエッチング(0.25%HF水溶液)に対し、熱成長したSiOより2倍のエッチング速度(除去速度)であった。これに対し、希釈HFを用いた湿式エッチング速度はSOG/SiOに対し200倍以上であった。
このことは、SOGがドライエッチングマスク材として汎用されているSiOと同程度の高耐久性がることをしめしており、NILで形成したSOGパターンがそのままドライエッチングマスクとなり、プロセスの簡素化を図ることができる。さらに、ドライエッチング後のマスク材の剥離が希釈HFで簡単に行うことができる除去容易性の特性は、ドライエッチングのマスク材料として有利である。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように、SOGの硬化前の塗布膜を型押し加工用の材料として利用する本発明の室温ナノ-インプリント-リソグラフィーを用いることにより、非常に能率的に、且つ高精度のパターンが形成でき、更に、形成されたSOGが高いドライエッチング耐性を有すると共に、ウエットエッチングにより除去が容易であるレジストを形成できるという優れた効果がもたらされる。
また、シロキサン成分として水素化シルセスキオキサンポリマーを用いると、該ポリマーによる塗布膜を被加工材料表面に形成後、該塗布面を150℃以下でプリベークした後型押しすることにより、高精度のパターンが形成でき、簡易な微細SiOパターンを形成方法を提供できる、という効果がもたらされる。これらにより、本発明のNIP法は、量子デバイスの作成、すなわち、単電子トランジスター、量子磁気ディスク(10nm以下のサイズ)等の作製における有用な方法となりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 室温ナノ-インプリント-リソグラフィー(NIL)の原理の説明
【符号の説明】
RP パターン MO 型 F 膜 R エッチング後パターン(レジスト)
PP 型押しパターン BP 被加工材料(基板) F シロキサンなどの膜
図面
【図1】
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