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明細書 :光周波数コム発生器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3910834号 (P3910834)
公開番号 特開2003-156775 (P2003-156775A)
登録日 平成19年2月2日(2007.2.2)
発行日 平成19年4月25日(2007.4.25)
公開日 平成15年5月30日(2003.5.30)
発明の名称または考案の名称 光周波数コム発生器
国際特許分類 G02F   2/02        (2006.01)
FI G02F 2/02
請求項の数または発明の数 3
全頁数 13
出願番号 特願2001-354947 (P2001-354947)
出願日 平成13年11月20日(2001.11.20)
審査請求日 平成16年11月17日(2004.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】593154414
【氏名又は名称】興梠 元伸
発明者または考案者 【氏名】興梠 元伸
【氏名】仲本 修
【氏名】バンバン ウイディヤトモコ
【氏名】三澤 成嘉
【氏名】中山 義宣
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100086335、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 榮一
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
審査官 【審査官】三橋 健二
参考文献・文献 米国特許第06201638(US,B1)
特開平11-284268(JP,A)
M. Kourogi, et.al.,A Coupled-Cavity Monolithic Optical Frequency Comb Generator,IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS,1996年12月,Vol.8, No.12,pp.1698-1700
調査した分野 G02F 2/02
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の周波数の変調信号を発振する発振手段と、
互いに平行な入射側反射鏡及び出射側反射鏡から構成され、入射側反射鏡を介して入射された光を共振させる共振手段と、
電界を印加することにより屈折率が変化する電気光学結晶からなり、上記入射側反射鏡と上記出射側反射鏡間に配され、上記発振手段から供給された上記変調信号に応じて上記共振手段において共振された光の位相を変調し、上記入射された光の周波数を中心としたサイドバンドを上記変調信号の周波数の間隔で生成する光変調手段とを備え、
上記出射側反射鏡は、入射光の周波数近傍において光強度特性を平坦化するように、生成したサイドバンドの光強度に応じて、各周波数毎に透過率設定されており、上記入射側反射鏡及び出射側反射鏡から構成される共振手段内部に発生したサイドバンドに対して直接的にフィルタリングすることを特徴とする光周波数コム発生器。
【請求項2】
上記出射側反射鏡は、上記入射側反射鏡及び当該出射側反射鏡から構成される共振手段内部に発生したサイドバンドの各サイドバンドの周波数と入射光の周波数との周波数差に対する光強度の変化率に基づき、入射光の周波数近傍において光強度特性を平坦化するように、各周波数毎に透過率を設定することを特徴とする請求項記載の光周波数コム発生器。
【請求項3】
上記入射側反射鏡及び出射側反射鏡は、上記光変調手段の入射側端面又は/及び出射側端面に形成した反射膜であることを特徴とする請求項記載の光周波数コム発生器。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光周波数コム発生器に関し、光通信、光CT、光周波数標準器など多波長でコヒーレンス性の高い標準光源、又は、各波長間のコヒーレンス性も利用できる光源を必要とする分野に適用される。
【0002】
【従来の技術】
光周波数を高精度に測定する場合には、測定する光を他の光と干渉させ、発生する光ビート周波数の電気信号を検出するヘテロダイン検波を行う。このヘテロダイン検波において測定可能なレーザ光の帯域は、検波系に使用される受光素子の帯域に制限され、概ね数十GHz程度である。
【0003】
一方、近年の光エレクトロニクスの発展に伴い、周波数多重通信のためのレーザ光制御や、広範囲に分布する吸収線の周波数測定を行うため、光の測定可能帯域を更に拡大する必要がある。
【0004】
かかる測定可能帯域の拡大化の要請に応えるべく、従来において光周波数コム発生器(Optical Frequency Comb Generator)を用いた広帯域なヘテロダイン検波系を構築した。この光周波数コム発生器は、周波数軸上で等間隔に配置された櫛状のサイドバンドを広帯域にわたり発生させるものであり、このサイドバンドの周波数安定度は、入射光の周波数安定度とほぼ同等である。この生成したサイドバンドと被測定光をヘテロダイン検波することにより、数THzに亘る広帯域なヘテロダイン検波系を構築することが可能となる。
【0005】
図13は、この従来における光周波数コム発生器30の原理的な構造を示している。
【0006】
この光周波数コム発生器30は、光位相変調器311と、この光位相変調器311を介して互いに対向するように設置された反射鏡312,313を備える光共振器310が使用されている。
【0007】
この光共振器310は、反射鏡312を介して僅かな透過率で入射した光Linを、反射鏡312,313間で共振させ、その一部の光Loutが反射鏡313を介して出射する。光位相変調器311は、電界を印加することにより屈折率が変化する光位相変調のための電気光学結晶からなり、この光共振器310を通過する光に対して、電極316に印加される変調周波数fmの電気信号に応じて位相変調をかける。
【0008】
この光周波数コム発生器30において、光が光共振器311内を往復する時間に同期した電気信号を電極316から光位相変調器311へ駆動入力とすることにより、光位相変調器311を1回だけ通過する場合に比べ、数十倍以上の深い位相変調をかけることが可能となる。これにより、高次のサイドバンドを数百本生成することができ、隣接したサイドバンドの周波数間隔fm は全て入力された電気信号の変調周波数周波数fmと同等になる。
【0009】
なお、反射鏡313から出射する光の強度Poutは、群屈折率分散の影響しない範囲において、以下に示す式(1)で表すことができる。
Pout=TinToutexp{-|Δf|Los/(βfm)}Pin (1)
この式(1)において、Tinは反射鏡312の透過率、Toutは反射鏡313の透過率であり、またPinは入射光の光強度、βは光共振器310内を往復する間の変調指数、Losは光共振器310内を往復する光の損失レートであり上記(1)式においては定数で表される。仮に共振器310内における光の損失要因が、反射鏡312,313を介した外部への透過のみである場合、Losは、TinとToutの和となる。
【0010】
図14は、各帯域におけるPoutの、入射光の光強度に対する比を示している。この図14において、縦軸は、入射光の光強度に対する出射光の光強度の比(Pout/Pin)を表し、また横軸は、生成した各サイドバンドの周波数と上記入射された光の周波数との差Δfを表している。また、この図14において、反射鏡312,313の透過率は、全ての周波数帯域において0.005とし、変調周波数fmを5GHzとして位相変調をかけている。
【0011】
また、式(1)で示されるように、Poutは、Δfの絶対値に対して指数関数的に減衰するため、図14に示すように、Δf=0において、換言すると入射光の周波数において光強度が最大となるような曲線で表される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した光周波数コム発生器30により発生させた多数の光周波数コムに基づき、被測定光の周波数を決定する場合には、例えば、周波数νの入射光を、光位相変調器311により周波数fmで変調し、周波数間隔fmのサイドバンドからなる光周波数コムを発生させる。そして、この光周波数コムを周波数νの被測定光を重ね合わせ、光周波数コムとして発生した第N番目のサイドバンドとの間のビート周波数Δνを測定することにより|ν-ν|を決定し、最後に被測定光の周波数νを決定する。
【0013】
ちなみにこの発生させたサイドバンドの光強度分布をより平坦化させることにより、全ての帯域において光周波数コムの感度を一定にすることができ、被測定光の周波数を精度よく測定することが可能となり、ひいては発生させたサイドバンドを検出する後段の回路において設計上の負担を軽減させることも可能となる。
【0014】
しかしながら、従来型の光周波数コム発生器30では、図14に示すように、Δfの絶対値が大きくなるにつれて、換言すると入射光の周波数から離れるにつれて、サイドバンドの光強度が減少する。特に入射光の周波数と相当程度周波数差のある帯域では、サイドバンドの光強度は指数関数的に減少しているため、サイドバンドの光強度分布がばらつき、被測定光の周波数を高精度に測定することが困難になるという問題点があった。
【0015】
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑みて提案されたものであり、入射光の周波数と相当程度周波数差のある帯域においても高精度に被測定光の周波数を測定し得る光周波数コムを発生させる光周波数コム発生器を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光周波数コム発生器は、上述した問題点を解決するため、所定の周波数の変調信号を発振する発振手段と、互いに平行な入射側反射鏡及び出射側反射鏡から構成され、入射側反射鏡を介して入射された光を共振させる共振手段と、電界を印加することにより屈折率が変化する電気光学結晶からなり、上記入射側反射鏡と上記出射側反射鏡間に配され、上記発振手段から供給された上記変調信号に応じて上記共振手段において共振された光の位相を変調し、上記入射された光の周波数を中心としたサイドバンドを上記変調信号の周波数の間隔で生成する光変調手段とを備え、上記出射側反射鏡は、入射光の周波数近傍において光強度特性を平坦化するように、生成したサイドバンドの光強度に応じて、各周波数毎に透過率設定されており、上記入射側反射鏡及び出射側反射鏡から構成される共振手段内部に発生したサイドバンドに対して直接的にフィルタリングすることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1に第1の実施の形態として、出射光の光強度を制御可能な光周波数コム発生器10を示す。この光周波数コム発生器10は、光位相変調器111と、この光位相変調器111を介して互いに対向するように設置された入射側反射鏡112及び出射側反射鏡113からなる光共振器110と、フィルタ114と、発振器117とを備える。
【0020】
光共振器110は、入射側反射鏡112を介して僅かな透過率で入射した光Linを、入射側反射鏡112及び出射側反射鏡113間で共振させ、その一部の光Loutを出射側反射鏡113を介して出射する。
【0021】
光位相変調器111は、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)等のバルク結晶からなり、供給される電気信号に基づき通過する光を位相変調する光デバイスである。この光位相変調器111は、屈折率が電界に比例して変化するポッケルス効果や、屈折率が電界の自乗に比例して変化するカー効果等の物理現象を利用し、通過する光の変調を行う。
【0022】
入射側反射鏡112及び出射側反射鏡113は、光共振器110に入射した光を共振させるため設けられたものであり、光位相変調器111を通過する光を往復反射させることにより共振させる。
【0023】
入射側反射鏡112は、光位相変調器111の光入射側に配され、図示しない光源から周波数νの光Linが入射される。また、この入射側反射鏡112は、出射側反射鏡113を反射して光位相変調器111を通過した光を反射する。
【0024】
出射側反射鏡113は、光位相変調器111の光出射側に配され、光位相変調器111を通過した光を反射する。特にこの光周波数コム発生器10は、生成した光周波数コムを一定の割合で光を外部に出射する必要があるため、出射側反射鏡113の透過率を0に設定することはできない。このため、出射側反射鏡113は、透過率を例えば0.005に設定し、光位相変調器を通過した光を一定の割合でフィルタ114へ出射する。
【0025】
図2は、各帯域における出射光の光強度Poutの入射光の光強度(=Pin)に対する比を示している。ちなみにこの出射光の光強度Poutは、光の分散をも含めた詳細なシミュレーションに基づき算出したものであり、生成したサイドバンドのスペクトル分布を図2に示すような包絡線で近似している。縦軸は、入射光の光強度に対する出射光の光強度の比(Pout/Pin)を示し、また横軸は、発生した各サイドバンドの周波数と上記入射光の周波数νとの差Δfを表している。
【0026】
図2に示すように出射側反射鏡113から出射する光の強度Poutは、Δf=0において、換言すると入射光の周波数において最大となり、周波数差Δfに応じて指数関数的に変化する曲線となる。
【0027】
なお、この入射側反射鏡112及び出射側反射鏡113は、光位相変調器111の外部に配される場合のみならず、光位相変調器111の入射側端面及び出射側端面に、多層膜端面ミラーとして装着してもよい。
【0028】
フィルタ114は、出射側反射鏡113から出射される光を一定の透過率の下、外部へ出射する。このフィルタ114の透過率の詳細については後述する。
【0029】
電極116は、変調電界の方向が光の伝搬方向に対して直角になるように光位相変調器111の上面と底面に形成される。電極116は、発振器117から供給された電気信号を光位相変調器111へ駆動入力する。また、発振器117は、電極116に接続され、周波数fm(例えば、約10GHz)の電気信号を供給する。
【0030】
上述の構成からなる光周波数コム発生器10において、光が光共振器110内を往復する時間に同期した電気信号を電極116から光位相変調器111へ駆動入力とすることにより、光位相変調器111を1回だけ通過する場合に比べ、数十倍以上の深い位相変調をかけることが可能となる。これにより、入射光の周波数を中心として、数百本ものサイドバンドを広帯域にわたり生成することができる。また、隣接したサイドバンドの周波数間隔は、全て入力された電気信号の周波数fmと同等である。この光周波数コム発生器10により発生させた多数の光周波数コムに基づき、ビート周波数を測定することにより、被測定光の周波数を決定することができる。
【0031】
次にフィルタ114の透過率について説明する。
【0032】
フィルタ114の透過率は、図3に示すように、入射光の周波数νにおいて最小となるように設定されている。また、このフィルタ114の透過率は、周波数ν以外の帯域において、νにおける透過率よりも高く設定され、100%付近に設定される場合もある。透過率の分布曲線は、図3に示すようにνにおいて極小となるが、曲線の傾きは急峻である場合のみならず、緩やかな場合であってもよい。
【0033】
更にこの透過率の分布曲線は、図4に示すように、周波数差Δfに応じて指数関数的に変化する光強度に着目し、指数関数的に透過率を変化させてフィルタから出射する光の光強度分布を平坦化させることも可能である。
【0034】
例えば、反射鏡113から出射する光の強度Poutは、群屈折率分散の影響しない範囲において、近似的に式(2)で表すことができる。
Pout=TinToutexp{-|Δf|Los/(βfm)}Pin (2)
この式(2)において、Tinは入射側反射鏡112の透過率、Toutは出射側反射鏡113の透過率であり、βは光共振器310内を往復する間における変調指数、Losは光共振器110内を往復する光の損失レートであり、この式(2)において定数で表される。仮に、光共振器110内における光の損失要因が、入射側反射鏡112及び出射側反射鏡113を介した外部への透過のみである場合、Losは、TinとToutの和となる。
【0035】
この式(2)に基づき、フィルタ114から出射する光の光強度分布が平坦になるように、透過率を設定する。すなわち、波長に応じて指数関数的に変化する出射光の光出力Poutを平坦化させるため、フィルタ114の透過率も波長に応じて指数関数的に変化させる。
【0036】
本発明を適用した光周波数コム発生器10は、この第1の実施の形態において、フィルタ114の透過率特性を上述のように制御することにより、フィルタから出射する光の光強度分布を平坦化させることができる。これにより、本発明の第1の実施の形態では、入射光の周波数と相当程度周波数差のある帯域においても、より高精度に被測定光の周波数を測定しうる光周波数コムを発生させることができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態として、光共振器内の光を直接フィルター処理する光周波数コム発生器20について図5を用いて詳細に説明する。なお、第1の実施の形態である信号検出装置1と同一の回路構成要素、部材は、第1の実施の形態の説明を引用し、説明を省略する。
【0038】
この光周波数コム発生器20は、光位相変調器111と、この光位相変調器111を介して互いに対向するように設置された入射側反射鏡112及び出射側反射鏡115からなる光共振器110と、発振器117とを備える。この光周波数コム発生器20は、フィルタを設けず、出射側反射鏡115の透過率を制御することにより、発生するサイドバンドの平坦化を行う点で第1の実施の形態と異なる。
【0039】
光共振器110は、入射側反射鏡112を介して僅かな透過率で入射した光Linを、入射側反射鏡112及び出射側反射鏡115間で共振させ、その一部の光Loutを出射側反射鏡115を介して出射する。
【0040】
入射側反射鏡112及び出射側反射鏡115は、光共振器110に入射した光を共振させるため設けられたものであり、光位相変調器111を通過する光を往復反射させることにより共振させる。
【0041】
出射側反射鏡115は、光位相変調器111の光出射側に配され、光位相変調器111内を通過した光を反射する。またこの出射側反射鏡115は、光位相変調器111内を通過した光を一定の透過率の下、外部へ出射する。この出射側反射鏡115の透過率の詳細については後述する。
【0042】
電極116は、変調電界の方向が光の伝搬方向に対して直角になるように光位相変調器111の上面と底面に形成される。電極116は、発振器117から供給された電気信号を光位相変調器111へ駆動入力する。また、発振器117は、電極116に接続され、周波数fm(例えば、約10GHz)の電気信号を供給する。
【0043】
次に出射側反射鏡115の透過率について説明する。
【0044】
出射側反射鏡115は、生成したサイドバンドの光強度に応じて、各周波数毎に透過率を設定する。換言すれば、周波数に応じて光強度が増減するサイドバンドの物理的性質に着目し、出射側反射鏡115の透過率を設定する。このため、共振器110内部のサイドバンドの光強度Pinsideについて考察する必要がある。
【0045】
式(3.1)~式(3.2)は、式(2)から推定した、上述のΔfに対する、共振器110内部のサイドバンドの光強度Pinsideの変化率を示している。
dPinside/dΔf=-Los/(βfm)Pinside Δf>0の場合
(3.1)
dPinside/dΔf=Los/(βfm)Pinside Δf<0の場合
(3.2)
すなわち、この式(3.1)~式(3.2)は、Δfに関する微分方程式で表すことができ、サイドバンドの光強度Pinsideの変化率をΔfの関数として求めることができる。
【0046】
この式(3.1)は、Δf>0の場合、すなわち入射光の周波数よりも高い帯域における光強度の変化率を表し、また式(3.2)は、Δf<0の場合、すなわち入射光の周波数よりも低い帯域における光強度の変化率を表す。更にΔf=0の場合、すなわち入射光の周波数の場合には、入射側反射鏡112を透過した光の光強度で表すことができ、例えば式(3.3)において示されるように、入射光の光強度Pinと入射側反射鏡112の透過率Tinの積で表すことができる。
Pinside=Tin×Pin (3.3)
この式(3.1)~(3.3)により計算したPinsideから、式(3.4)に基づき、出射光の光強度Poutを算出することができる。
Pout=Tout×Pinside (3.4)
また、ToutとTinを定数として、式(3.1)~(3.4)を整理することにより、式(2)を導くことも可能である。
【0047】
上述の式で示すことができる共振器110内のサイドバンドの光強度Pinsideを各スペクトル毎に平坦化処理を施して外部に出射する。換言すれば、出射側反射鏡113において各周波数帯域毎に透過率Toutを設定することにより、外部へ出射する光強度をコントロールする。
【0048】
かかる出射側反射鏡113の透過率Toutの条件は、dPout/dΔf=0として、式(3.1)~(3.4)に代入して計算することにより、以下に示す式(4.1)、(4.2)で表すことができる。
dTout/dΔf=Los/(βfm)Tout (4.1)
dTout/dΔf=-Los/(βfm)Tout (4.2)
この式(4.1)、(4.2)に基づき、出射側反射鏡113の透過率Toutを決定することができる。
【0049】
なお、Δf=0の場合における透過率(以下、この透過率を初期値という)の設定如何により、上述の式(4.1)、(4.2)を計算する際に多数の解が得られる場合がある。また、0<Tout<1の物理的制限があるため、全てのΔfに対して成り立たない場合もある。
【0050】
図6は、式(4.1)、(4.2)に基づき、出射側反射鏡113の透過率Toutを求めた結果を示している。Losは、共振器110内を往復する間の全損失であり、Los=Tin+Toutであると仮定し、またTin=0.005としている。この図6において、曲線Bと曲線Cはそれぞれ初期値が異なる。
【0051】
図7は、出射側反射鏡113を用いた場合の出射光の各帯域における光強度分布を示している。この図7において、A´で示した曲線は、図2に示される光強度分布を重ね合わせたものである。曲線B´は、出射側反射鏡115を、図3にの曲線Bで示される透過率Toutに設定した場合における出射光Poutの光強度分布を表している。また曲線C´は、出射側反射鏡113を、図3の曲線Cで示される透過率Toutに設定した場合における出射光Poutの光強度分布を表している。この図7に示すように、曲線B´及び曲線C´は、入射光の周波数近傍において光強度特性が平坦化されている。
【0052】
この図7において、曲線B´では、入射光の周波数近傍を除く帯域において、また曲線C´では、全帯域において、曲線A´よりも光強度が高くなっており、本発明の第1の実施の形態と比較しても光周波数コムを高効率で発生させることができる。これは光共振器内部に発生したサイドバンドに対して直接的にフィルタリングすることができるため、出射側反射鏡113から出射した光を更にフィルタリングする第1の実施の形態と比較して光損失を軽減させることができるからである。
【0053】
また、初期値を制御することにより、曲線B´のように広帯域において光強度特性を平坦化させたり、曲線C´のように狭い帯域において光強度の高い光周波数コムを発生させることができる。すなわち、本発明の第2の実施の形態では、実施者が、初期値を制御することにより、帯域幅若しくは光強度のどちらかを優先させるかを任意に選択することができる。
【0054】
更に、この初期値を制御することにより、全帯域においてサイドバンドの平坦化を図る場合のみならず、一部の帯域においてサイドバンドの強度分布の平坦化を図ることも可能である。かかる場合において、透過率Toutは、図6に示すようにΔf=0において最小とならず、例えば右上がりの曲線になる場合もある。
【0055】
図8は、透過率Toutと、透過率の規格化周波数微分の絶対値との関係を示している。この図8は、換言すれば、Los=Los-Toutの値に対して、最適な透過率及び透過率の変化の割合の関係を示している。
【0056】
第2の実施の形態における光周波数コム発生器を実際に設計する場合に、出射側反射鏡113として用いるミラーについては、設計上可能な反射特性を有するミラーの中から、部分的にこの図8の特性を示すミラーを採用する。
【0057】
図9は、ローレンツ型反射特性を示し、かつTout=0.01であるときに曲線の傾きdTout/dΔfが-13dB/THzである、出射側反射鏡113の透過率特性を示している。出射側反射鏡113として、この図9に示す透過率特性を示し、かつ図8の条件を満たすミラーを用いたときに、図10に示すように、発生させた光周波数コムの平坦化を図ることが可能となる。
【0058】
すなわち、本発明を適用した光周波数コム発生器20は、この第2の実施の形態において、出射側反射鏡115の透過率特性を上述のように制御することにより、出射光の光強度の低下を防ぎつつ、発生したサイドバンドの平坦化を図ることが可能である。また、この光周波数コム発生器20は、例えば各帯域において安定した光強度を示す通信用光源に適用することも可能である。更に、この光周波数コム発生器20を例えば光CTに適用した場合に、分解能を高めることも可能である。
【0059】
なお、本発明は上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態に限定されるものではない。例えば、図11に示すような導波路型光周波数コム発生器30に対しても本発明を適用可能である。
【0060】
この導波路型光周波数コム21は、導波路型光変調器200から構成される。導波路型光変調器200は、基板201と、導波路202と、電極203と、入射側反射膜204と、出射側反射膜205と、発振器206とを備える。
【0061】
基板201は、例えば引き上げ法により育成された3~4インチ径のLiNbOやGaAs等の大型結晶をウェハ状に切り出したものである。この切り出した基板201上に導波路202層をエピタキシャル成長させたり、また加熱させた基板上にTi拡散させて形成させるため、通常、機械研磨や化学研磨等の処理を施す。
【0062】
導波路202は、光を伝搬させるために配されたものであり、導波路202を構成する層の屈折率は、基板等の他層よりも高く設定されている。導波路202に入射した光は、導波路202の境界面で全反射しながら伝搬する。
【0063】
電極203は、例えばTiやPt、Au等の金属材料からなり、外部から供給された周波数fmの電気信号を導波路202に駆動入力する。また、この電極203を設けることにより、導波路における光の伝搬方向と変調電界の進行方向は同一となる。また電極203以外の電極については接地されていることが条件となる。
【0064】
入射側反射膜204及び出射側反射膜205は、導波路202に入射した光を共振させるため設けられたものであり、導波路202を通過する光を往復反射させることにより共振させる。発振器206は、電極203に接続され、周波数fmの電気信号を供給する。
【0065】
入射側反射膜204は、導波路型光変調器200の光入射側に配され、図示しない光源から周波数νの光が入射される。また、この入射側反射膜204は、出射側反射膜205により反射されて、かつ導波路202を通過した光を反射する。
出射側反射膜205は、導波路型光変調器200の光出射側に配され、導波路202を通過した光を反射する。またこの出射側反射膜205は、導波路202を通過した光を一定の割合で外部に出射する。
【0066】
上述の構成からなる導波路型光周波数コム発生器20において、光が導波路202内を往復する時間に同期した電気信号を電極203から導波路型光変調器200へ駆動入力とすることにより、光位相変調器111を1回だけ通過する場合に比べ、数十倍以上の深い位相変調をかけることが可能となる。これにより、バルク型光周波数コム発生器10と同様に、広帯域にわたるサイドバンドを有する光周波数コムを生成することができ、隣接したサイドバンドの周波数間隔は、全て入力された電気信号の周波数fmと同等になる。
【0067】
次に導波路型光周波数コム発生器30を構成する出射側反射膜205の透過率は、第2の実施の形態において説明した出射側反射鏡115の透過率と同様であるため、出射側反射鏡の透過率の説明を引用し、説明を省略する。
【0068】
図12(b)は、出射側反射膜205を、例えば図12(a)に示すD、E、Fのように設定した場合における、出射光の各帯域の光強度分布を示している。本発明を例えば導波路型光周波数コム発生器30に適用した場合であっても、同様に初期値を制御することにより、出射光の光強度分布を任意に制御することができる。
【0069】
また、本発明をこの導波路型光周波数コム発生器30に適用した場合には、バルク結晶を用いる光周波数コム発生器10、20と比較して、小型化を図ることができ、寄生容量や寄生インダクタンスを抑えることが可能となる。これにより、印加電圧を低減できることから、デバイスの高速化を図ることができ、また他の超高速光デバイスとの集積化も可能となる。
【0070】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した光周波数コム発生器では、出射側反射鏡は、入射光の周波数近傍において光強度特性を平坦化するように、生成したサイドバンドの光強度に応じて、各周波数毎に透過率が設定されており、上記入射側反射鏡及び出射側反射鏡から構成される共振手段内部に発生したサイドバンドに対して直接的にフィルタリングする。
【0073】
これにより、本発明は、出射光の光強度の低下を防ぎつつ、発生したサイドバンドの平坦化を図ることが可能となり、入射光の周波数と相当程度周波数差のある帯域においてもより高精度に被測定光の周波数を測定しうる光周波数コムを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光周波数コム発生器の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】各帯域における出射光の光強度(=Pout)の入射光の光強度(=Pin)に対する比を説明するための図である。
【図3】フィルタの各周波数に対する透過率を説明するための図である。
【図4】フィルタから出射した光の各周波数毎の光強度分布を示した図である。
【図5】本発明を適用した光周波数コム発生器の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図6】第2の実施の形態における出射側反射鏡の透過率の設定例を示した図である。
【図7】第2の実施の形態における出射光の各周波数毎の光強度分布を示した図である。
【図8】透過率と、透過率の規格化周波数微分の関係を示した図である。
【図9】 Tout=0.01であり、かつ図8の特性を示すミラーを出射側反射鏡として選択した場合の、周波数差Δfに対する出射側反射鏡の透過率特性を示した図である。
【図10】図9の特性を示すミラーを出射側反射鏡として選択した場合における出射光の光強度特性を示した図である。
【図11】導波路型光周波数コム発生器の具体的な構成例を説明するための図である。
【図12】出射側反射膜の透過率の設定例及び、当該出射側反射膜を選択した場合における、出射光の各帯域の光強度分布を示した図である。
【図13】従来における光周波数コム発生器の具体的な構成例を説明するための図である。
【図14】従来の光周波数コム発生器における、各帯域毎の出射光の光強度分布を示した図である。
【符号の説明】
10 光周波数コム発生器、11 光検出器、12 周波数計数装置、20 導波路型光周波数コム発生器、110 光共振器、111 光位相変調器、112 入射側反射鏡、113,115 出射側反射鏡、114 フィルタ、116電極、117 発振器
図面
【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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