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明細書 :表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3850730号 (P3850730)
公開番号 特開2003-215029 (P2003-215029A)
登録日 平成18年9月8日(2006.9.8)
発行日 平成18年11月29日(2006.11.29)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
G01N  21/03        (2006.01)
FI G01N 21/27 C
G01N 21/03 Z
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2002-014701 (P2002-014701)
出願日 平成14年1月23日(2002.1.23)
審査請求日 平成15年3月12日(2003.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591243103
【氏名又は名称】財団法人神奈川科学技術アカデミー
【識別番号】392017303
【氏名又は名称】システム・インスツルメンツ株式会社
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
発明者または考案者 【氏名】鈴木 孝治
【氏名】栗原 一嘉
【氏名】高橋 浩三
【氏名】加藤 健次
【氏名】飛田 達也
【氏名】田部井 久男
個別代理人の代理人 【識別番号】100064388、【弁理士】、【氏名又は名称】浜野 孝雄
【識別番号】100067965、【弁理士】、【氏名又は名称】森田 哲二
【識別番号】100088236、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 輝一
審査官 【審査官】横井 亜矢子
参考文献・文献 特開2000-019100(JP,A)
特開2001-074647(JP,A)
特開平06-265336(JP,A)
特開昭62-161041(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00-21/61
G01N 33/48-33/98
特許請求の範囲 【請求項1】
スラブ型導波路を配置できる測定部と、
前記スラブ型導波路に光ファイバ及び集光レンズを介して任意の入射角度で白色光を導入するように構成された光源手段と、
前記スラブ型導波路内を伝搬した後、該スラブ型導波路から出射する光を検出し分析する光検出手段とを備え、
前記測定部に、
金属薄膜層を備え、該金属薄膜上に試料を配置できるように構成された表面プラズモン共鳴測定部分と、
金属薄膜層を備えてなく、その上に直接試料を配置できるように構成された光吸収スペクトル測定部分と
を有するスラブ型の透明な基板からなる断面台形のスラブ型導波路を設け、
光がスラブ型導波路内で表面プラズモン共鳴測定部分又は光吸収スペクトル測定部の何れか一方を選択的に通過できるように測定部及び/又は光源手段を移動可能に構成した
ことを特徴とする表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラブ型導波路を用いて表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトルの両方を測定することができるようにした測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、金や銀等の金属薄膜表面に発生する表面プラズモン共鳴現象を利用して物質の状態測定を行うことが提案さている。
表面プラズモンとは、金属-誘電体界面に生じる電子の疎密波の一種であり、その波数は試料の厚さや光学特性(誘電率、屈折率)によって変化する。この変化を直接測定することはできないため、表面プラズモン共鳴を利用した測定方法では、プリズムの底面に金や銀等の金属を堆積して金属薄膜を形成し、その金属薄膜の表面に試料を直接接触させた状態で、タングステンランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、レーザーなどの光を前記金属薄膜の裏面、即ち、試料の反対面から当ててエバネッセント波を発生させ、このエバネッセント波が表面プラズモンと共鳴することに起因した減光により生じる暗線の角度の角度変化から屈折率の変化を測定することで金属薄膜表面に接触させた試料の状態変化を間接的に測定するのが一般的な方法となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、光吸収変化に基づく表面プラズモン共鳴測定が、バイオ・化学センシングや材料評価で大変有効であることが示されている。
その場合、上記した従来の表面プラズモン共鳴センサー装置は屈折率の実部変化を測定する装置として設計されているため、光吸収変化による複素屈折率変化を測定する原理に基づいた表面プラズモン共鳴センサーには必ずしも適した設計となっていない問題点があった。
発明者等は、上記した問題点を考慮しながら、表面プラズモン共鳴現象以外にも、光吸収に関する測定を同じ装置で行うことが可能な表面プラズモン共鳴測定の研究を進め本発明を発明するに至った。
本発明は、表面プラズモン共鳴現象以外の光吸収に関係する測定、具体的には、光吸収スペクトルの測定を同じ装置内で行うことが可能になる表面プラズモン共鳴測定装置及び実際に表面プラズモン共鳴測定及び光吸収スペクトル測定の両方を測定可能にした表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置は、スラブ型導波路を配置できる測定部と、前記スラブ型導波路に光ファイバ及び集光レンズを介して任意の入射角度で白色光を導入するように構成された光源手段と、前記スラブ型導波路内を伝搬した後、該スラブ型導波路から出射する光を検出し分析する光検出手段とを備え、前記測定部に、金属薄膜層を備え、該金属薄膜上に試料を配置できるように構成された表面プラズモン共鳴測定部分と、金属薄膜層を備えてなく、その上に直接試料を配置できるように構成された光吸収スペクトル測定部分とを有するスラブ型の透明な基板からなる断面台形のスラブ型導波路を設け、光がスラブ型導波路内で表面プラズモン共鳴測定部分又は光吸収スペクトル測定部の何れか一方を選択的に通過できるように測定部及び/又は光源手段を移動可能に構成したことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示した実施例を参照して本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置の実施の形態について説明する。
【0006】
図1は、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置の一実施例の構成を示す模式図である。
図面に示すように、この測定装置は、光源手段A、スラブ型導波路B及び光検出手段Cとを備えている。
光源手段Aは、光源1からレンズ2、光チョッパー3、レンズ4、入射用光ファイバ5、及び集光レンズ6を介して白色光をスラブ型導波路内に入射できるように構成されている。
本実施例では、前記光ファイバ5は、コア径が400μmのものを用いた。
スラブ型導波路Bは、図2に示すように、断面台形の透明基板10上に、金属薄膜層11を形成してなる。尚、始めに表面プラズモン共鳴測定に関する説明を行うために、図2には表面プラズモン共鳴測定のみを行うためのスラブ型導波路の例を示している。本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトルの両方を測定するためのスラブ型導波路は図7に示す。
本実施例では、基板10は長さが65mm、幅が20mmの石英のガラス板を厚さが0.2mmになるまで研磨したものを使用した。
基板10の光入射面及び光出射面は図2に示すように60°の角度で斜めに傾斜した。このように光入射面を傾斜させておくことにより、光の入射角度を制御し易くなり、プリズム等を別途設ける必要がなくなる。
また、金属薄膜層11は、金から成り、基板10上にチタン12を介して設けられている。尚、本実施例では、チタン12の厚みは3nmであり、金属薄膜層11の厚みは50nmである。
光検出手段Cは、出射用ファイバ20、出射用レンズ21、分光器22、光電子増倍管23、増幅器24及びコンピュータ25からなる。
上記したように構成された測定装置においては、光源1から発射された白色光がレンズ2、光チョッパ3及びレンズ4を介して光ファイバ5に導入される。導入された光は光ファイバ5を通り集光レンズ6で集光された後、直線偏光子7を介してP偏光の光に偏光されて適当な角度でスラブ型導波路B内に入射される。導波路B内に入射された光は、導波路B内で全反射を繰り返した後、導波路Bから出射する。この導波路B内を通過する過程において、P偏光の光が金属薄膜層11で反射する時に表面プラズモン共鳴現象が生じる。導波路Bから出射した光は、出射用レンズ21を介して出射用ファイバ20に導入され、この光ファイバ20によって分光器22に送られ、分光器22によって分光された後、光電子増倍管21及び増幅器22を介してコンピュータ25に入力される。
コンピュータ25では入力データに基づいて、白色光のスペクトル変化を検出し、このスペクトル変化に基づいて、金属薄膜層11上にのせられた試料の屈折率を算出する。
【0007】
図3~図5に、上記したように構成された測定装置を用いて、水の屈折率を測定した実験結果を示す。
図3は、金属薄膜層11の幅dを1.0mmとし、入射光の入射面に対する角度を1°単位で7°~16°まで振った実験結果であり、
図4は、金属薄膜層11の幅dを1.5mmとし、入射光の入射面に対する角度を1°単位で4°~17°まで振った実験結果であり、
図5は、金属薄膜層11の幅dを2.0mmとし、入射光の入射面に対する角度を1°単位で3°~16°まで振った実験結果である。
図3~図5に示すように、各実験共、表面プラズモン共鳴現象による反射率の谷間が顕著に表れ、これにより金属薄膜層11上にのせた試料の屈折率が測定できることが分かる。
【0008】
上記した説明では、表面プラズモン共鳴測定についてのみ説明しているが、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置は、一つのスラブ型導波路を用いて、表面プラズモン共鳴と光吸収スペクトルとの両方を測定することができる。
図6に示すスラブ型導波路は、基板30上に帯状に試料31を載せた部分と、試料を載せていない参照部分32とを備え、試料31を載せた部分と載せていない参照部分32を比較することで試料の光吸収スペクトルがコンピュータ25で算出できる。
図7は、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置に用いるスラブ型導波路の一実施例を示している。
図7に示すスラブ型導波路は、基板40上に、金属薄膜層を形成した表面プラズモン共鳴測定部分41と、金属薄膜層を備えていない光吸収スペクトル測定部分42とを備えているので、スラブ型導波路を幅方向に移動可能に構成するか、又は、光源手段A及び光検出手段Cを導波路の幅方向に移動可能に構成するだけで、表面プラズモン共鳴測定と光吸収スペクトル測定の両方を行うことが可能になる。
【0009】
スラブ型導波路の寸法及び金属薄膜層の寸法は、本実施例に限定されることなく、好ましくは、以下の寸法範囲から任意に選択され得る。
スラブ型導波路
幅 :3mm~200mm
厚み:0.01mm~10mm
金属薄膜層
厚さ:20nm~80nm
幅 :0.01mm~10mm
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置は、スラブ型導波路を配置できる測定部と、前記スラブ型導波路に光ファイバ及び集光レンズを介して任意の入射角度で白色光を導入するように構成された光源手段と、前記スラブ型導波路内を伝搬した後、該スラブ型導波路から出射する光を検出し分析する光検出手段とを備え、前記測定部に、金属薄膜層を備え、該金属薄膜上に試料を配置できるように構成された表面プラズモン共鳴測定部分と、金属薄膜層を備えてなく、その上に直接試料を配置できるように構成された光吸収スペクトル測定部分とを有するスラブ型の透明な基板からなる断面台形のスラブ型導波路を設け、光がスラブ型導波路内で表面プラズモン共鳴測定部分又は光吸収スペクトル測定部の何れか一方を選択的に通過できるように測定部及び/又は光源手段を移動可能に構成されているので、実際に、一つの装置で表面プラズモン共鳴と光吸収スペクトルの両方を測定することが可能になるという効果を奏する。
また、本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置は、基板の取り替え作業の必要なしに表面プラズモン共鳴と光吸収スペクトルの測定を行うことが可能になり、完全に同じ条件下で同一の試料についての表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトルの測定を行うことが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置の一実施例の構成を示す模式図
【図2】 表面プラズモン共鳴測定を行うためのスラブ型導波路の例を示す概略斜視図
【図3】 金属薄膜層11の幅dを1.0mmとして水を測定した結果を示すグラフ
【図4】 金属薄膜層11の幅dを1.5mmとして水を測定した結果を示すグラフ
【図5】 金属薄膜層11の幅dを2.0mmとして水を測定した結果を示すグラフ
【図6】 光吸収スペクトル測定用のスラブ型導波路の概略斜視図
【図7】 本発明に係る表面プラズモン共鳴及び光吸収スペクトル測定装置に用いるスラブ型導波路の実施例の概略斜視図
【符号の説明】
A 光源手段
1 光源
2 レンズ
3 光チョッパー
4 レンズ
5 入射用光ファイバ
6 集光レンズ
B スラブ型導波路
10 基板
11 金属薄膜層
12 チタン層
C 光検出手段
20 出射用ファイバ
21 出射用レンズ
22 分光器
23 光電子増倍管
24 増幅器
25 コンピュータ
30 基板
31 試料
32 参照部分
40 基板
41 表面プラズモン共鳴測定部分
42 光吸収スペクトル測定部分
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6