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明細書 :ヘリウムガス循環ポンプ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3615520号 (P3615520)
公開番号 特開2003-214338 (P2003-214338A)
登録日 平成16年11月12日(2004.11.12)
発行日 平成17年2月2日(2005.2.2)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
発明の名称または考案の名称 ヘリウムガス循環ポンプ
国際特許分類 F04B 37/18      
A61B  5/05      
FI F04B 37/18
A61B 5/05 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 4
出願番号 特願2002-016431 (P2002-016431)
出願日 平成14年1月25日(2002.1.25)
審査請求日 平成14年2月18日(2002.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】尾崎 和寛
調査した分野 F04B 37/18
A61B 5/05
特許請求の範囲 【請求項1】
液体ヘリウム再循環システムに使用するヘリウムガス循環ポンプであって、前記ヘリウム循環ポンプは高圧のヘリウムガス雰囲気中に配置され、これによって空気中の酸素窒素等がヘリウムガス循環ポンプから液体ヘリウム再循環システム内に混入することを防止したことを特徴とするヘリウムガス循環ポンプ。
【請求項2】
前記ヘリウム循環ポンプはヘリウムガスを透過することの無い材料で構成した容器内に収納され、容器内がヘリウムガス雰囲気とされていることを特徴とする請求項1に記載のヘリウムガス循環ポンプ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人間の頭部の脳から発生される微弱な磁界を高精度で測定し、その脳磁界を発生する電流源の位置を検出するための微弱磁界測定装置(超伝導量子干渉(略称SQUID)素子を用いた磁束測定装置)に使用する循環ポンプに関するものであり、特に、循環ポンプに使用されるゴム製の弁からヘリウムガス内に酸素窒素等の不純物が混入することを防止できるヘリウム循環ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
人間の脳から発する磁界を検出する脳磁気計測システムの開発が進められている。このシステムでは脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉計)が利用されており、このSQUIDは断熱された槽内に貯留されている液体ヘリウムに侵漬され、冷却された状態で用いられる。
上記システムに使用している従来からの液体へリウム槽では、同槽から蒸発したヘリウムガスは、ほとんどの場合大気に開放している。しかし、この場合1リットル当たり約1200円する高価なヘリウムを多量に無駄に消費するため経済的かつ資源的に問題がある。このため、ヘリウムを大量に使う所では、蒸発ガスを回収し、低温センタ-において液化するシステムが稼動している。また、小さなシステムではガスバッグ等に回収し、液化システムに輸送した後、再液化を行ったりしている。しかしながら、液体ヘリウムを完全に回収することが不可能であり、また、ガス回収中にガス内に不純物が混入し、ガスが汚染されてしまう問題がある。
特に、回収ヘリウムガス中には不純物として窒素や酸素が何らかの理由で混入することが避けられないため、回収ヘリウムガスの再利用を進める上で大きな障害となっている。
【0003】
これらの不純物は、いずれもヘリウムガスより液化及び固化温度が高いので、不純物が混入しているヘリウムガスを使用した場合、工程中の低温部分で液化し、更に凍結、固化し、工程の流路を閉塞し、長期間の連続運転の際には、ヘリウムガスの流通を止めてしまうという現象を起こし、ヘリウムガスの循環に支障をきたす。このようなことからヘリウムガス内に混入している不純物を除く除去手段として、従来より冷凍チャンバ内にガス精製器を配置し、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の不純物を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが提案されている。
【0004】
この液体ヘリウム再循環システムの一例を図4を参照して説明する。
図中101は脳磁計を収容している液体ヘリウム貯留槽、102は前記貯留槽101内で気化したヘリウムガスを回収するドライポンプ、103はヘリウムガス内に混入している水分を除去する乾燥器、104は流量調整弁、105はヘリウムガス内に混入している不純物を除去する精製器、106は補助冷凍機、107は同補助冷凍機106の第一熱交換器、108は再凝縮冷凍機、109は再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器である。液体ヘリウム貯留槽101で気化し昇温した後、約300Kになったヘリウムガスは、ドライポンプ102で吸引され、乾燥器103で乾燥され、さらに精製器105でヘリウムガス中の不純物が除去される。不純物が除去されたヘリウムガスは補助冷凍機106で温度約40Kの極低温ヘリウムガスに冷却され、さらに再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器109で温度4Kの液体ヘリウムに液化され、ここからトランスファ-ライン110を経由して液体ヘリウム貯留槽に供給される構成となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記システムにおいて、ヘリウムガスを循環させるには液体ヘリウムガスを極低温にする必要があるが、万が一ヘリウムガス中に極微量の酸素や窒素が溶け込むと、そのガスが凍結し、再循環システムが閉塞し、システムが正常に運転出来ないという問題が発生する。
このような酸素窒素等によるコンタミネーションがどこで起こるかは、従来あまり明確では無かったが、発明者らの研究により循環システムには不可欠な循環ポンプ中に多く利用されている、ゴム製の弁からおこることが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、ヘリウムガス循環用ポンプを所定の圧力で保持された高圧ヘリウムガス雰囲気中に配置することにより、ヘリウムガス循環ポンプの弁等から空気中の酸素窒素がヘリウムガスに溶け込むことを防止することにより、空気中にある酸素や窒素が混入してヘリウムの純度を下げる心配のないヘリウムガス循環用ポンプを提供し、上記問題点を解決することを特徴とする。
具体的には、ヘリウムガスが殆ど透過しない材料(鉄、ステンレス等の金属材料)でヘリウムガス循環ポンプを覆い、その密閉空間内にヘリウムガスボンベからのヘリウムガスを加圧しながら内部に供給し、内部空間をヘリウムガスを充満し、循環ポンプ内に酸素や窒素が溶け込むことを防止する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した課題解決手段は、
液体ヘリウム再循環システムに使用するヘリウムガス循環ポンプであって、前記ヘリウム循環ポンプは高圧のヘリウムガス雰囲気中に配置され、これによって空気中の酸素窒素等がヘリウムガス循環ポンプから液体ヘリウム再循環システム内に混入することを防止したことを特徴とするヘリウムガス循環ポンプである。
また、前記ヘリウム循環ポンプはヘリウムガスを透過することの無い材料で構成した容器内に収納され、容器内がヘリウムガス雰囲気とされていることを特徴とするヘリウムガス循環ポンプである。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して本発明に係るガス精製器の説明をすると、図1は、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、再凝縮して液化する本発明に係る液体ヘリウム再循環システムの構成図である。
【0009】
図1において、1はコールドチャンバー、2はデュワー、3はヘリウムガス循環ポンプであり、それぞれは公知の構成からなり、コールドチャンバーとデュワーとは40Kガスライン、4K戻りライン、4Kガスラインで図示のように公知の態様で接続されている。なおコールドチャンバー1、デュワー2等は公知のシステムと同様であり、それぞれの中に配置される装置は本発明の特徴ではないため、詳細な説明は省略する。
本実施形態では、ヘリウムガス循環ポンプ3は保圧容器4内に収容され、保圧容器にはバルブ5を介してヘリウムガスボンベ6が接続されている。また保圧容器4には容器内が過大圧力となることを防止する圧力開放弁7が設けられている。
【0010】
上記システムでは、デュワー2内で蒸発したヘリウムガスはヘリウムガス循環ポンプ3で回収され、コールドチャンバー2内で冷却され、再びデュワー2内に供給されることになる。
上記ヘリウムガスを回収するヘリウムガス循環ポンプ3はヘリウムガスが充満した保圧容器4内に配置されるため、同循環ポンプ3の弁等から空気中の酸素や窒素がヘリウムガス内に混入することが防止され、ヘリウムガス循環中において混入ガスの凍結によるシステムの停止を防止することができる。
【0011】
以上、本発明の実施形態について説明したが、保圧容器内のヘリウムガスは図示せぬセンサにより監視され、ヘリウムの圧力が低下した時には自動的にヘリウムが供給されるようにすることも可能である。自動設定の場合にはパソコン等を使用することで容易に実現することができる。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、再凝縮して液化する再循環システムに好適な、不純物混入を防止することができるヘリウムガス循環ポンプを提供することができる。また、ヘリウムガス雰囲気中に循環ポンプを配置することによりヘリウムガス循環ポンプの弁等からの酸素や窒素の混入を確実に防止することができ、システムの長期間運転を可能にすることができる等の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体ヘリウム再循環システムの構成図である。
【図2】従来の液体ヘリウム再循環システムの構成図である。
【符号の説明】
1 コールドチャンバー
2 デュワー
3 ヘリウムガス循環ポンプ
4 保圧容器
5 バルブ
6 ヘリウムガスボンベ
7 圧力開放弁
図面
【図1】
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【図2】
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