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明細書 :光ルーティング方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3987368号 (P3987368)
公開番号 特開2003-304201 (P2003-304201A)
登録日 平成19年7月20日(2007.7.20)
発行日 平成19年10月10日(2007.10.10)
公開日 平成15年10月24日(2003.10.24)
発明の名称または考案の名称 光ルーティング方法およびその装置
国際特許分類 H04B  10/02        (2006.01)
G02B   3/06        (2006.01)
G02B   5/32        (2006.01)
G02B  27/00        (2006.01)
G02B  27/46        (2006.01)
FI H04B 9/00 T
G02B 3/06
G02B 5/32
G02B 27/00
G02B 27/46
請求項の数または発明の数 10
全頁数 9
出願番号 特願2002-108642 (P2002-108642)
出願日 平成14年4月11日(2002.4.11)
審査請求日 平成16年9月13日(2004.9.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小西 毅
【氏名】一岡 芳樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100084135、【弁理士】、【氏名又は名称】本庄 武男
審査官 【審査官】山口 尊士
参考文献・文献 特開平11-046304(JP,A)
特開2002-111584(JP,A)
特開2000-088657(JP,A)
特開2000-275689(JP,A)
特開平07-058692(JP,A)
特開平07-058776(JP,A)
調査した分野 IPC第8版 H04B10/00-10/28
H04J14/00-14/08
特許請求の範囲 【請求項1】
光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の一部を,上記パケット信号から分離させる第1の工程と,
上記一部の光信号を,第1の分散素子によって時間軸方向に分散し,更にフーリエ変換光学系に入射し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換する第2の工程と,
上記スペクトル分布を,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群に入射する第3の工程と,
上記空間フィルタ群から出力されたスペクトル分布を,逆フーリエ変換光学系によって逆フーリエ変換し,更に第2の分散素子に入射し,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第4の工程と,
上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する第5の工程と,
を具備してなることを特徴とする光ルーティング方法。
【請求項2】
上記第1,及び第2の分散素子が,回折格子である請求項1に記載の光ルーティング方法。
【請求項3】
上記フーリエ変換光学系及び逆フーリエ変換光学系が,円筒レンズである請求項1あるいは2のいずれかに記載の光ルーティング方法。
【請求項4】
光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の転送経路の選択を,光の信号のまま処理する光ルーティング装置において,
上記パケット信号の一部を,上記パケット信号から分離する分光手段と,
上記一部の光信号を,時間軸方向に分散する第1の分散素子と,
分散された上記一部の光信号をフーリエ変換し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換するフーリエ変換光学系と,
上記スペクトル分布が入射され,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群と,
該空間フィルタ群から出力されるスペクトル分布を,逆フーリエ変換する逆フーリエ変換光学系と,
逆フーリエ変換された上記スペクトル分布を,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第2の分散素子と,
上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する経路選択手段と,
を具備してなることを特徴とする光ルーティング装置。
【請求項5】
上記分光手段が,半透明鏡である請求項4に記載の光ルーティング装置。
【請求項6】
上記第1,及び第2の分散素子が,回折格子である請求項4或いは5のいずれかに記載の光ルーティング装置。
【請求項7】
上記フーリエ変換光学系及び逆フーリエ変換光学系が,円筒レンズである請求項4~6のいずれかに記載の光ルーティング装置。
【請求項8】
上記経路選択手段が,上記制御光と上記データ信号との間で形成される四光波混合による自己回折現象により反応が生じる非線形媒質である請求項4~7のいずれかに記載の光ルーティング装置。
【請求項9】
上記経路選択手段が,光カー効果或いはフォトクロミック効果により反応が生じる非線形媒質である請求項4~7のいずれかに記載の光ルーティング装置。
【請求項10】
上記経路選択手段が,量子井戸構造の半導体を用いた光-光制御スイッチである請求項4~7のいずれかに記載の光ルーティング装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,光信号で構成されたパケット信号の転送経路の選択を光信号処理のみを用いて行う光ルーティング方法およびその装置であって,特に多数の転送経路を選択することが可能なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,光通信ネットワークにおいては,インターネットの普及により急激に通信トラフィックが増加しており,更なる通信の高速化が求められている。
そのため,光通信で伝送されてくる光信号の転送経路の選択を行うルーティングにおいては,伝送されてきたパケット信号に含まれるヘッダ信号を高速に認識し転送経路を決定するために,光信号を電気信号に変換して信号処理することなく,光信号を光のままで信号処理をする光信号処理を行う技術が開発されている。
例えば,小西等の論文,"Optics Letters vol.26,1445(2001)"において時空間変換を適用した手法が開示されている。
また,I.Glesk,P.Prucnal,and K.I1 Kang等の論文,"Optics Express,1,126(1997),或いは北山,和田等の論文"IEEE Photon.Technol.Letters,11,1689(1999)"等において位相シフタを適用した手法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上述した従来公知の手法に基づいた光ルーティング方法では,該光ルーティング装置に入射された光信号を光信号処理のみによって転送経路を選択することを可能としているものの,選択することが可能な上記転送経路が,単一若しくは複数であっても限られた数量であるために,実際の光通信において要求される転送経路(103以上であることが望ましい)に対応できるものではない。
そこで,本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,光通信で伝送されてくる光信号の転送経路の選択を光信号処理のみによって高速に実現しうる光ルーティング方法,及びその装置であって,該光ルーティング方法,及びその装置が選択しうる転送経路を,任意に拡張することが可能な光ルーティング方法,及びその装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の一部を,上記パケット信号から分離させる第1の工程と,上記一部の光信号を,第1の分散素子によって時間軸方向に分散し,更にフーリエ変換光学系に入射し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換する第2の工程と,上記スペクトル分布を,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群に入射する第3の工程と,上記空間フィルタ群から出力されたスペクトル分布を,逆フーリエ変換光学系によって逆フーリエ変換し,更に第2の分散素子に入射し,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第4の工程と,上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する第5の工程とを具備してなることを特徴とする光ルーティング方法として構成される。
このように構成することによって,光通信で伝送されてくる光信号を,高速に光信号処理すると共に,該光ルーティング方法によって選択される転送経路を,空間垂直方向に複数配置されるヘッダ認識フィルタに応じて任意に拡張することが可能となり,実際の光通信において要求される転送経路(103以上であることが望ましい)に対応できる。
また,上記第1,及び第2の分散素子としては,それぞれ回折格子を用いることが可能である。
更にまた,上記フーリエ変換光学系,及び逆フーリエ変換光学系としては,それぞれ円筒レンズを用いることが可能である。
【0005】
また,請求項1に記載の発明に係る各工程を具備してなることを特徴とする光ルーティング方法を実現する装置の発明と捉えることによって本発明は,光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の転送経路の選択を,光の信号のまま処理する光ルーティング装置において,上記パケット信号の一部を,上記パケット信号から分離する分光手段と,上記一部の光信号を,時間軸方向に分散する第1の分散素子と,分散された上記一部の光信号をフーリエ変換し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換するフーリエ変換光学系と,上記スペクトル分布が入射され,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群と,該空間フィルタ群から出力されるスペクトル分布を,逆フーリエ変換する逆フーリエ変換光学系と,逆フーリエ変換された上記スペクトル分布を,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第2の分散素子と,上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する経路選択手段とを具備してなることを特徴とする光ルーティング装置と考えることができる。
また,上述同様に上記第1,及び第2の分散素子としては,それぞれ回折格子を用いると良く,上記フーリエ変換光学系,及び逆フーリエ変換光学系としては,それぞれ円筒レンズを用いると良い。
更にまた,上記経路選択手段は,上記制御光と上記データ信号との間で形成される四光波混合による自己回折現象により反応が生じる非線形媒質,或いは光カー効果或いはフォトクロミック効果により反応が生じる非線形媒質,更には量子井戸構造の半導体を用いた光-光制御スイッチのいずれかとすることによって,上記制御光に基づいて,上記パケット信号のヘッダ認識信号に対応する転送経路を選択することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明に係る光ルーティング方法の処理手順を示すフローチャート,図2は本発明に係る光ルーティング方法を実現する光ルーティング装置の概略構成図である。
【0007】
先ず,図1を用いて,本発明に係る光ルーティング方法の手順の概要を説明する。以下S1,S2,,は処理手順(ステップ)の番号を示す。
ここで,図1の手順で処理される光通信で伝送されてくる光信号は,通信すべきデータを含むデータ信号と,通信すべき転送経路に対応した周波数成分を含むヘッダ認識信号とによって構成されたものであって,例えば光信号で構成されたパケット信号である。
本発明の一実施形態に係る光ルーティング装置Aに上記光信号が入射されると,先ずステップS1では,上記光信号が,第1の光信号と第2の光信号とに分離される。(第1の工程)
続いて,ステップS2では,上記第1の光信号が,時間軸方向に分散され,更には,上記時間軸方向に対してフーリエ変換されることによって,上記時間軸方向に直交する周波数軸方向へのスペクトル分布に変換される。(第2の工程)
続いて,ステップS3では,上記第1の光信号の上記スペクトル分布を,ある特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみ所定のスペクトル分布を出力する空間フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群に入射することによって,該所定のスペクトル分布が通信すべき転送経路に対応した上記周波数軸方向の所定の位置に出力される。(第3の工程)
続いて,ステップS4では,上記空間フィルタ群から出力された所定のスペクトル分布を持つ光信号が,上記時間軸方向に対して逆フーリエ変換されると共に,上記時間軸方向への分散が補償されることによって超短パルス光よりなる制御光が生成され,該制御光が,上記周波数軸方向の所定の位置に出力される。(第4の工程)
最後に,ステップS5では,上記出力された上記制御光の上記周波数軸方向の所定の位置に基づいて上記第1の工程で分離された第2の光信号を転送する転送経路が選択される。(第5の工程)
【0008】
以下に,上述した各処理手順の詳細について,図2を用いてS1から順に説明する。
ここで,図2に示す通り,本発明に係る光ルーティング装置Aは,半透明鏡1(上記分光手段の一例に該当)と,回折格子2(上記第1の分散素子の一例に該当)と,円筒レンズ3(上記フーリエ変換光学系の一例に該当)と,ヘッダ認識フィルタ4a~4dを上記周波数軸方向に複数配置したヘッダ認識フィルタ群4と,円筒レンズ5(上記逆フーリエ変換光学系の一例に該当)と,回折格子6(上記第2の分散素子の一例に該当)と,鏡7と,直角プリズム9と,鏡10と,非線形媒質11(上記経路選択手段の一例に該当)とを具備して概略構成される。
(S1)
先ず,光ルーティング装置Aに入射された超短パルス光である上記光信号12が,上記半透明鏡1によって,第1の光信号13と,第2の光信号14とに分離される。
(S2)
上記ステップS1で分離された上記第1の光信号13は,入射される光信号を所定の幅に拡張するためのエキスパンダ1aを介して上記回折格子2に入射される。ここで,上記回折格子2は,上記第1の光信号13が所定の角度で斜め入射されるように配置されている。これにより,所定の幅を有する上記第1の光信号13は,回折の式に基づく方向に偏光されると共に,上記回折格子2上での入射位置によって時間的な遅延が生じることになるため,時間軸方向(図中に矢印tで示す)に分散した光波に変換される。
続いて,上記光波は,上記円筒レンズ3に入射される。これにより,上記光波は,上記時間軸方向に対してフーリエ変換され,上記時間軸方向に直交する周波数軸方向(図中に矢印λで示す)へのスペクトル分布へと変換される。
(S3)
上記ステップ2で得られた上記スペクトル分布は,上記ヘッダ認識フィルタ4a~4dを上記周波数軸方向に複数配置した上記ヘッダ認識フィルタ群4に入射される。ここで,上記ヘッダ認識フィルタ4a~4dは,それぞれ,入射される上記スペクトル分布の周波数成分が,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布である場合にのみ,所定のスペクトル分布を出力するものである。
ここで,上記ヘッダ認識フィルタとしては,Y.T.Mazurenko,Opt.Spectrose.(USSR)57,343(1984)或いはR.N.Thurston,J.P.Heritage,A.M.Weiner,and W.J.Tomlonson,IEEE J.Quantum Electron.22,682(1986)等において開示されているホログラムを用いることが可能である。
ここで,上記ホログラムとは,該ホログラムを生成する際に用いられた物体光と同一の光信号が再び入射された場合にのみ,参照光を再生するものであるため,本発明の実施の形態においては,上記物体光が,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号のスペクトル分布であって,上記参照光が,単一超短パルス光のスペクトル分布である上記ホログラムを予め生成し,上記ヘッダ認識フィルタとして用いると良い。
これにより,上記ヘッダ認識フィルタは,該ヘッダ認識フィルタに入射される上記第1の光信号13の上記スペクトル分布の周波数成分が,該ヘッダ認識フィルタ(ホログラム)を生成する際に用いられた上記転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号のスペクトル分布と同一である場合にのみ,上記単一超短パルス光のスペクトル分布を再生することが可能となる。
即ち,上記ヘッダ認識フィルタ群4は,該ヘッダ認識フィルタ群4に入射される上記第1の光信号13の上記スペクトル分布の周波数成分に応じて,任意に設定された上記周波数軸方向の所定の位置に上記単一超短パルス光のスペクトル分布を再生することが可能となり,上記第2の光信号14を転送する転送経路を,上記スペクトル分布が再生される上記周波数軸方向の位置に基づいて判断することができる。
ここで図2は,上記ヘッダ認識フィルタ群4に入射される上記第1の光信号13の上記スペクトル分布が,上記ヘッダ認識フィルタ(ホログラム)4bを生成する際に用いられ,上記転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号のスペクトル分布と同一である場合を例示しており,上記ヘッダ認識フィルタ4bによって再生される上記単一超短パルス光のスペクトル分布が,任意に設定された上記周波数軸方向の所定の位置に再生されている。
(S4)
上記ステップ3で任意に設定された上記周波数軸方向の所定の位置に再生される上記単一超短パルス光のスペクトル分布は,先ず,上記円筒レンズ5に入射される。即ち,該スペクトル分布は,上記時間軸方向に逆フーリエ変換される。
続いて,上記フーリエ変換された上記単一超短パルス光のスペクトル分布は上記回折格子6に入射される。即ち,該フーリエ変換された上記単一超短パルス光のスペクトル分布は,上記時間軸方向に対する分散を補償され,単一の超短パルス光の制御光15として任意に設定された上記周波数軸方向の所定の位置に出力される。
これにより,上記回折格子6から出力される上記制御光15は,上記転送対象とする上記第1の光信号13の上記ヘッダ認識信号毎に異なる上記周波数軸方向の所定の位置に出力されることになるため,上記光信号12の転送経路を,上記制御光15が出力される上記周波数軸方向の所定の位置に基づいて判断することが可能となる。
(S5)
上記ステップ4で任意に設定された上記周波数軸方向の所定の位置に出力される上記制御光15は,上記非線形媒質11に入射される。
ここで,上記非線形媒質11とは,D.J.Bishop,C.R.Giles,S.R.Dasの論文"Scientific Americans,284,88,2001",田島等の論文"Appl.Phys.Letter,67,3709,1995",高橋の論文"Appl.Phys.Letter,68,153,1996",或いは吉田等の論文"Electronics Letters,Vol34,913,1998において開示されているものであって,例えば,上記制御光15と上記第2の光信号14との間で形成される四光波混合による自己回折現象により反応が生じる非線形媒質,或いは光カー効果或いはフォトクロミック効果により反応が生じる非線形媒質,更には量子井戸構造を用いた超高速半導体スイッチングデバイスである。
そのため,上記ステップ4において所定の転送対象とする上記第1の光信号13の上記ヘッダ認識信号に対応した上記周波数軸方向の位置に出力された上記制御光15と,上記第2の光信号14と上記非線形媒質11に同時入射することによって,該第2の光信号14は,上記制御光15が入射された上記所定の位置に対応する所定の転送経路(図中ではa~dで示す)に対して出力されることとなり,上記第2の光信号14を所定の方向に対して抜き出すことができる。
これにより,上記非線形媒質11から出力される転送信号16は,上記転送対象とする上記第1の光信号13の上記ヘッダ認識信号に対応して異なる上記周波数軸方向の所定の位置に入射される上記制御信号15に基づいて,上記第2の光信号14を転送する転送経路を,正確に選択することが可能となる。
ここで,図2は,上記制御光15が転送経路bに対応する上記周波数軸方向の所定の位置に入射した場合を示しており,上記第2の光信号14は該周波数軸方向の所定の位置に対応した転送経路bにルーティングされている。
また,上記鏡7,三角プリズム9,及び鏡10は,入射される上記第2の光信号14と,上記制御光15とを,上記非線形媒質群11に対して同時入射させるために,上記第2の光信号14の光路長と上記制御光15の光路長との光路差を調整するための光路差調節光学系の一例である。
【0009】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明は,光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の一部を,上記パケット信号から分離させる第1の工程と,上記一部の光信号を,第1の分散素子によって時間軸方向に分散し,更にフーリエ変換光学系に入射し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換する第2の工程と,上記スペクトル分布を,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群に入射する第3の工程と,上記空間フィルタ群から出力されたスペクトル分布を,逆フーリエ変換光学系によって逆フーリエ変換し,更に第2の分散素子に入射し,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第4の工程と,上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する第5の工程とを具備してなることを特徴とする光ルーティング方法として構成される。
このように構成することによって,光通信で伝送されてくる光信号を,高速に光信号処理すると共に,該光ルーティング方法によって選択される転送経路を,空間垂直方向に複数配置されるヘッダ認識フィルタに応じて任意に拡張することが可能となり,実際の光通信において要求される転送経路(103以上であることが望ましい)に対応できる。
また,上記第1,及び第2の分散素子としては,それぞれ回折格子を用いることが可能である。
更にまた,上記フーリエ変換光学系,及び逆フーリエ変換光学系としては,それぞれ円筒レンズを用いることが可能である。
【0010】
また,請求項1に記載の発明に係る各工程を具備してなることを特徴とする光ルーティング方法を実現する装置の発明と捉えることによって本発明は,光信号で構成され,通信すべきデータを含むデータ信号と通信すべき転送経路に対応した周波数成分とを含むヘッダ認識信号とによって構成されるパケット信号の転送経路の選択を,光の信号のまま処理する光ルーティング装置において,上記パケット信号の一部を,上記パケット信号から分離する分光手段と,上記一部の光信号を,時間軸方向に分散する第1の分散素子と,分散された上記一部の光信号をフーリエ変換し,上記時間軸方向と直交する周波数方向へのスペクトル分布に変換するフーリエ変換光学系と,上記スペクトル分布が入射され,転送対象とする特定の上記光信号の上記ヘッダ認識信号の周波数成分と同一の周波数成分を有するスペクトル分布が入射された場合にのみスペクトル分布を出力するヘッダ認識フィルタを上記周波数軸方向に複数配置した空間フィルタ群と,該空間フィルタ群から出力されるスペクトル分布を,逆フーリエ変換する逆フーリエ変換光学系と,逆フーリエ変換された上記スペクトル分布を,超短パルス光の制御光として,上記ヘッダ認識信号毎に対応した位置に出力する第2の分散素子と,上記制御光が入射される位置に対応する転送経路に対して上記第1の工程で分離された残部の光信号を出力する経路選択手段とを具備してなることを特徴とする光ルーティング装置と考えることができる。
また,上述同様に上記第1,及び第2の分散素子としては,それぞれ回折格子を用いると良く,上記フーリエ変換光学系,及び逆フーリエ変換光学系としては,それぞれ円筒レンズを用いると良い。
更にまた,上記経路選択手段は,上記制御光と上記データ信号との間で形成される四光波混合による自己回折現象により反応が生じる非線形媒質,或いは光カー効果或いはフォトクロミック効果により反応が生じる非線形媒質,更には量子井戸構造の半導体を用いた光-光制御スイッチのいずれかとすることによって,上記制御光に基づいて,上記パケット信号のヘッダ認識信号に対応する転送経路を選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ルーティング方法の処理手順を示すフローチャート。
【図2】光ルーティング装置の概略構成図。
【符号の説明】
A …光ルーティング装置
1 …半透明鏡
2 …回折格子
3 …円筒レンズ
4 …ヘッダ認識フィルタ群
4a~d …ヘッダ認識フィルタ
5 …円筒レンズ
6 …回折格子
7 …鏡
9 …直角プリズム
10 …鏡
11 …非線形媒質
12 …光信号
13 …第1の光信号
14 …第2の光信号
15 …制御光
16 …転送光
S1,S2,,…処理手順(ステップ)の番号
図面
【図1】
0
【図2】
1