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明細書 :検出器一体型の軸受機構およびこれを備えたアクチュエータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3948998号 (P3948998)
公開番号 特開2003-301855 (P2003-301855A)
登録日 平成19年4月27日(2007.4.27)
発行日 平成19年7月25日(2007.7.25)
公開日 平成15年10月24日(2003.10.24)
発明の名称または考案の名称 検出器一体型の軸受機構およびこれを備えたアクチュエータ
国際特許分類 F16C  41/00        (2006.01)
F16C  29/02        (2006.01)
G01B  21/00        (2006.01)
B23Q  17/22        (2006.01)
FI F16C 41/00
F16C 29/02
G01B 21/00 L
B23Q 17/22 E
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2002-109289 (P2002-109289)
出願日 平成14年4月11日(2002.4.11)
審査請求日 平成15年8月21日(2003.8.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】森 英季
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦
【識別番号】100113099、【弁理士】、【氏名又は名称】和田 祐造
【識別番号】100117547、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 浩史
審査官 【審査官】谿花 正由輝
参考文献・文献 特開2001-124079(JP,A)
特開平09-141478(JP,A)
特開昭64-074407(JP,A)
特開2001-328049(JP,A)
調査した分野 F16C 41/00
F16C 29/00 - 29/12
G01B 21/00
B23Q 17/00 - 17/24
特許請求の範囲 【請求項1】
0.04×10-6/K以下の低熱膨張係数を有した低熱膨張ガラスにより形成されているとともに、軸受案内を形成した内面を有する筒状の軸受部と、0.04×10-6/K以下の低熱膨張係数を有した低熱膨張ガラスにより形成されているとともに、前記軸受部に挿通され前記軸受案内により直線的に移動自在に支持されたスライダと、このスライダに直接作り込まれ前記軸受案内に対向する被検出部と、前記軸受部の外側で前記被検出部に対向して設けられ、被検出部に基づき前記スライダの移動量を測定する検出器と、を備え、前記軸受部は、前記軸受案内の内面に開口した複数の給気孔と、前記供給孔から前記軸受案内とスライダ外面との間に加圧空気を供給し前記スライダを非接触で支持する給気手段と、を備えている検出器一体型の軸受機構。
【請求項2】
上記被検出部は、光学スケールを有していることを特徴とする請求項1に記載の検出器一体型の軸受機構。
【請求項3】
上記被検出部は、磁気スケールを有していることを特徴とする請求項1に記載の検出器一体型の軸受機構。
【請求項4】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検出器一体型の軸受機構と、
上記軸受機構の軸受部に支持されたスライダを移動させる直動型の駆動部と、
を備えたことを特徴とするアクチュエータ。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、検出器一体型の軸受機構および軸受機構を備えたアクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械や精密測定器に用いられている精密級の移動テーブルやステージは、油動圧あるいはベアリング球又はローラを配置したリニアガイドで支持されている。駆動部として回転型のサーボモータを用いる場合、モータの回転力はボールねじ等によって直動の推力に変換され、移動テーブルやステージに伝達される。これにより、移動テーブルやステージは、加工物、測定物、工具、あるいは測定機器を前後又は左右に移動させている。
【0003】
通常、回転型のサーボモータは、フレキシブルカップリング等を介してボールねじの端に接続されている。そして、テーブルあるいはステージの移動量は、サーボモータに搭載され磁極位置および回転角度を検出する回転検出器(エンコーダ)と、ボールねじのリードピッチとの関係(回転角度×mm/1rev)によって推定される。
【0004】
高精度の位置測定が要求される場合、ボールねじの遊びやフレキシブルカップリング等によるロストモーションが影響するが、磁気式あるいは光学式の測長スケールでテーブルやステージの変位を直接計測しフィードバックすることにより、精度向上を図ることができる。しかしながら、テーブルやステージに用いられる機構部材料と、磁気スケールや光学スケールの基材として用いられる材料との熱膨張係数の相違から生じる位置誤差等を完全に改善することは困難となっている。また、通常、測長スケールは、テーブルやステージの側面や上部等に配置され、測定位置がテーブルやステージの移動中心からずれているため、高精度で正確な位置決めは構造的に限界があった。
【0005】
リニアモータのような直動型モータの場合、磁気スケールや光学スケールと同等の位置検出器が、磁極の検出も含めてテーブルやステージを兼ねたモータ自身に内蔵されているため、モータ構造自体が高精度化に適した構成となっている。しかし、リニアモータには、冷却を配慮したものも見受けられるが、テーブルやステージの直下に推力発生部があり熱の影響を受け易い。そのため、リニアモータは、回転型のサーボモータとボールねじとによって構成された機構よりも、熱膨張の影響が位置決め誤差となって現れ易い。
【0006】
また、回転スピンドルや角度割出しテーブルにおいて、そのモータ部は、直結あるいはフレキシブルカップリングを介して、空気軸受あるいはベアリング球による回転支持部に取り付けられている。モータ部の磁気検出および回転角度の割出しに用いられるエンコーダは、通常、モータの発熱の影響を避けるためモータ出力部の後部に配置されている。従って、モータ部が直結されている場合でも、出力発生部と検出部とが離れているため、直動型と同様に、ロストモーション等によって実際のスピンドルの回転角とエンコーダの検出角度との間に角度ずれが生じる可能性がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、直動型および回転型のいずれの形式のモータを用いた工作機械や精密測定器においても、熱膨張やロストモーション、あるいは、被測定部の移動中心と測定位置との位置ずれ等に起因して、より高精度な位置測定または変位測定が困難な状況であり、その結果、移動テーブルやステージ等の可動部を一層高い精度の位置決めすることが困難となっている。
【0008】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、可動部材の移動量を高い精度で測定することが可能な検出器一体型の軸受機構およびこれを備えたアクチュエータを提供し、より高精度な機構系を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係る検出器一体型の軸受機構は、0.04×10-6/K以下の低熱膨張係数を有した低熱膨張ガラスにより形成されているとともに、軸受案内を形成した内面を有する筒状の軸受部と、0.04×10-6/K以下の低熱膨張係数を有した低熱膨張ガラスにより形成されているとともに、前記軸受部に挿通され前記軸受案内により直線的に移動自在に支持されたスライダと、このスライダに直接作り込まれ前記軸受案内に対向する被検出部と、前記軸受部の外側で前記被検出部に対向して設けられ、被検出部に基づき前記スライダの移動量を測定する検出器と、を備え、前記軸受部は、前記軸受案内の内面に開口した複数の給気孔と、前記供給孔から前記軸受案内とスライダ外面との間に加圧空気を供給し前記スライダを非接触で支持する給気手段と、を備えている。
また、この発明の他の態様に係るアクチュエータは、上記軸受機構と、上記軸受機構の軸受部に支持された可動部材を移動させる駆動部と、を備えている。
【0010】
このように構成された検出器一体型の軸受機構およびアクチュエータによれば、軸受機構の構成部品であるスライダに被検出部を直接作り込み、検出器の被検出部そのものを軸受機構の構成部品として機能させている。これにより、検出器の被検出部と軸受機構のスライダとを別部材で構成した場合のような、両部材間の熱膨張係数の相違から生じる位置誤差等を無くし、高精度な位置検出が可能となる。同時に、スライダ自体によって被測定部を構成することにより、測定位置とスライダの移動中心とが一致し、高精度で正確な位置検出および位置決めが可能となる。従って、被検出部を、超精密な検出器の基材として本来の機能を生かしながら、軸受機構の機構部品に応用することで、検出器の機能を一体に兼ね備えた軸受機構およびアクチュエータを得ることができ、より高精度な機構系を実現することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る検出器一体型の軸受機構を備えた直動型のアクチュエータについて詳細に説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、アクチュエータ10は、検出器を一体に有した軸受機構12およびモータ部14を備えている。軸受機構12は、アルミ合金、チタン合金等の金属により形成された軸受部16と、この軸受部により直線的に往復動自在に支持された角柱状のスライダ18と、を有している。可動部材として機能するスライダ18は、熱膨張率の低い材料、例えば、低熱膨張ガラスにより形成されている。軸受機構12も同様な低熱膨張材料に置き換えることにより、更に、温度安定性および精度向上を図ることができる。ここで、熱膨張率の低い材料とは、熱膨張係数が0.04×10-6/K以下の材料を示している。
【0013】
図3に示すように、軸受部16は、スライダ18を非接触な状態で支持した空気軸受として構成されている。すなわち、軸受部16は例えば4つの板材を用いてほぼ角筒状に形成されている。軸受部16の内側に形成されている軸受案内17は、スライダ18の断面に対応した矩形の断面形状を有し、この軸受案内17にスライダ18が挿通されている。軸受部16の壁部には多数の給気路20が形成され、これらの給気路は軸受案内17の内面に開口した多数の給気孔22に連通している。そして、図示しない給気ポンプ等から給気路20および給気孔22を介して軸受案内17内に加圧空気を供給することにより、スライダ18は、空気の静圧によって、軸受部16に対し非接触な状態で、かつ移動自在に支持される。
【0014】
図1および図2に示すように、駆動部として機能するモータ部14はボイスコイルモータによって構成され、その駆動軸24は、スライダ18と整列して配置されているとともに、スライダの基端に連結されている。従って、モータ部14を駆動することにより、スライダ18が直線的に往復移動される。なお、モータ部14は、直動形式のモータであれば、ボイスコイルモータに限らず、3相同期モータ、ステッピングモータ等、種々の形態のモータを使用することができる。
【0015】
一方、軸受機構12は検出器を一体に備えて構成されている。すなわち、スライダ18の基端部側面には、光学スケール26として、回折格子からなる光学的な検出パターンが直接作り込まれ、スライダの移動方向に沿って延びている。また、軸受部16の外側には、光学センサとして機能する反射型のレーザヘッド28が光学スケール26と対向して設けられている。このレーザヘッド28は、被検出部として機能する光学スケール26にレーザ光を照射し、その反射光からスライダ18の移動量または絶対位置を検出する。なお、光学スケール26としては、スパッタリングや蒸着によりスライダ18の表面に光学膜を形成し、この光学膜にフォトリソグラフィ技術により検出パターンを形成したものを用いることもできる。
【0016】
このように構成されたアクチュエータ10は、必要なサイズに設計変更することで、例えば、工作機械や精密測定器に用いられている精密級の移動テーブルやステージとして利用することができる。この場合、スライダ18および軸受部16を移動テーブルやステージに設計変更し、モータ部14を駆動することにより、移動テーブルあるいはステージを直動駆動することができる。そして、その際、上記と同様に、レーザヘッド28により光学スケール26を基準としてスライダ18の移動量を検出することにより、移動テーブルあるいはステージの移動量が検出される。
【0017】
上記構成のアクチュエータ10によれば、軸受機構12の構成部品であるスライダ18に被検出部としての光学スケール26を直接作り込み、検出器の被検出部そのものを軸受機構の構成部品として機能させている。従って、光学スケール等の検出器の被検出部と軸受機構の可動部材とを別部材で構成した場合のような、両部材間の熱膨張係数の相違から生じる相対位置誤差等を無くし、高精度な位置検出が可能となる。同時に、可動部材であるスライダ18自体によって光学スケール26を構成することにより、測定位置と可動部材の移動中心とが一致し、高精度で正確な位置検出および位置決めが可能となる。
【0018】
また、本実施の形態によれば、光学スケール26を構成したスライダ18は、低熱膨張ガラスにより形成されている。この低熱膨張ガラスは、アンバー合金等に比較して広い温度範囲で非常に低い熱膨張を示す。従って、光学スケールの熱膨張に起因する検出誤差を大幅に低減することができる。同時に、発熱の影響が心配される出力発生部の近傍でも、必要であればスケールなどの被検出部を配置することが可能となる。
【0019】
上記のような低熱膨張ガラスは、脆性材であり機械加工が難しく、また、靭性も不足しているため、機構部品を構成する材料としては本来適していない。しかしながら、本実施の形態によれば、このような材料で形成されたスライダ18を空気軸受からなる軸受部16によって非接触な状態で支持することにより、直に接することで生じるスライダの磨耗や曲げ応力、衝撃力の付加を無くし、上記のような低熱膨張ガラスを機構部品として使用可能としている。同時に、空気静圧による高精度な軸受構造によってスライダ18のがたの発生を防止することができる。従って、光学スケール26を、超精密な検出器の基材として本来の機能を生かしながら、軸受機構の機構部品に応用することで、検出器の機能を一体に兼ね備えた軸受機構12を有するアクチュエータを得ることができる。
更に、スライダに低熱膨張ガラスを用いた場合、金属では得難い優れた面精度や形状精度を得ることができ、一層高精度な機構部品を実現することができる。同時に、接触、摺動によるスライダからの磨耗粉発生がなく、煮沸消毒等も容易に行えるため、本アクチュエータを医療機器等へ応用することも可能となる。
【0020】
なお、上述した実施の形態において、スライダ18を非接触な状態で支持する軸受部として空気軸受を用いたが、これに限らず、磁気軸受を用いることもできる。すなわち、図4に示す第2の実施の形態によれば、軸受部16を構成する左右上下の壁部には、それぞれ電磁石30が埋め込まれている。また、スライダ18は永久磁石により形成され、その基端部側面には、光学スケール26が直接作り込まれている。そして、スライダ18は、永久磁石の発生する磁界と電磁石30によって形成された磁界との磁気的反発により非接触な状態で支持される。他の構成は、上述した第1の実施の形態と同一である。
【0021】
このように構成された第2の実施の形態においても、軸受機構12の構成部品であるスライダ18に光学スケール26を直接作り込み、検出器の被検出部そのものを軸受機構の構成部品として機能させている。従って、光学スケール等の検出器の被検出部と軸受機構の可動部材とを別部材として構成した場合のような、両部材間の熱膨張係数の相違から生じる位置誤差等を無くし、高精度な位置検出が可能となる。同時に、可動部材であるスライダ18自体によって光学スケール26を構成することにより、測定位置と可動部材の移動中心とが一致し、高精度で正確な位置検出および位置決めが可能となる。
【0022】
また、スライダ18を磁気軸受からなる軸受部16によって非接触な状態で支持することにより、直に接することで生じるスライダの磨耗や曲げ応力、衝撃力の付加を無くし、同時に、スライダ18のがた発生を防止することができる。そして、光学スケール26を、永久磁石等で構成される軸受機構の機構部品に組み込むことで、検出器の機能を一体に兼ね備えた軸受機構12を得ることができる。
【0023】
次に、この発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係るアクチュエータは、軸受機構とモータ部とが一体的に構成され、移動テーブルあるいはステージの下部に配置する直動型のアクチュエータとして構成されている。図5に示すように、軸受部16の軸受案内17内には、ほぼ矩形板状のコア35が配置され、軸受部の壁部を構成している。そして、コア35にはボイスコイル37が巻回されている。スライダ18は磁石により形成され、軸受部16の軸受案内17に挿通されボイスコイル37と対向している。これらスライダ18およびボイスコイル37により、リニアモータを構成している。
【0024】
また、軸受部16は、スライダ18を非接触な状態で支持した空気軸受として構成されている。すなわち、軸受部16の壁部およびコア35には多数の給気路20が形成され、これらの給気路は軸受案内17に開口した多数の給気孔22に連通している。図示しない給気ポンプ等から給気路20および給気孔22を介して軸受案内17内に加圧空気を供給することにより、スライダ18は、空気静圧によって、軸受部16に対し非接触な状態で、かつ移動自在に支持される。そして、モータ部14を構成するボイスコイル37に通電することにより、スライダ18が直線的に往復移動される。なお、スライダ18には、前述した実施の形態と同様に被検出部としての光学スケールが作り込まれている。
このように構成されたアクチュエータ10においても、上記第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0025】
続いて、この発明の第4の実施の形態に係る回転型のアクチュエータについて説明する。図6および図7に示すように、アクチュエータ10は、スピンドルモータにより構成されたモータ部14および回転軸32を回転自在に支持した軸受機構12を備えている。可動部材として機能する回転軸32は円柱形状に形成され、その中間部に環状のフランジ33が一体に形成されている。そして、この回転軸32は、熱膨張率の低い材料、例えば、低熱膨張ガラスにより形成されている。
【0026】
軸受機構12は、アルミ、チタン合金等の金属により形成されたほぼ円筒状の軸受部16を有し、回転軸32は軸受部の案内に挿通されている。図6に示すように、軸受部16は空気軸受により構成され、回転軸32を非接触な状態で支持している。すなわち、軸受部16の壁部には多数の給気路20が形成され、これらの給気路は、軸受部の内面に開口した多数の給気孔22に連通している。これらの給気孔22は、回転軸32に形成されたフランジ33の上下面および外周面に対向している。そして、図示しない給気ポンプ等から給気路20および給気孔22を介して軸受部16内に加圧空気を供給することにより、回転軸32は、軸受部16に対し空気静圧によって非接触な状態で、かつ回転自在に支持される。
【0027】
モータ部14は回転軸32の基端に連結された円盤状のロータ36を有している。このロータ36は低熱膨張ガラスにより回転軸32と一体に成形されて可動部材の一部を構成している。ロータ36の外周面には、永久磁石38が固定され、N極およびS極が交互に並んで配置されている。また、モータ部14は、ロータ36の外周に位置したほぼ円筒状のハウジング40を有し、その内面には、ステータを構成する複数のコイル42が設けられロータ36の永久磁石38と所定の隙間を置いて対向している。
【0028】
図7に示すように、モータ部14および軸受部16を一体に形成した場合、モータ部14のハウジング40は空気軸受からなる軸受部を構成する。すなわち、ハウジング40には、円周方向に延びた多数の給気路44が形成され、これらの給気路はハウジングの内面に開口した多数の給気孔46に連通している。これらの給気孔46は、ロータ36の外周面に対向している。そして、図示しない給気ポンプ等から給気路44および給気孔46を介して加圧空気を供給することにより、ロータ36は空気静圧によって非接触な状態で、かつ回転自在に支持される。すなわち、本実施の形態において、モータ部14も可動部材としてのロータを支持した軸受機構を構成している。
【0029】
更に、ロータ36の下面には、角度割り出し用の光学スケール26として、回折格子からなる光学的な検出パターンが直接作り込まれ、ロータの円周方向に沿って延びている。また、モータ部14の下方には、光学センサとして機能する反射型のレーザヘッド28が設けられ、光学スケール26と対向している。このレーザヘッド28は、光学スケール26にレーザ光を照射し、その反射光からロータ36の回転角度および絶対角度を検出する。なお、光学スケール26としては、スパッタリングや蒸着によりスライダ18の表面に光学膜を形成し、この光学膜にフォトリソグラフィ技術により検出パターンを形成したものを用いることもできる。
【0030】
このように構成された回転型のアクチュエータ10は、例えば、ディスク等の被測定物を回転駆動するアクチュエータとして利用することができる。この場合、被測定物としてのディスク50は、クランパ52により回転軸32の先端に同軸的に固定される。そして、モータ部14を駆動することにより、回転軸32と一体的にディスク50が回転駆動される。その際、レーザヘッド28により光学スケール26を基準としてロータ36の回転角度を検出することにより、ディスク50の回転角度が割出される。
【0031】
上記構成のアクチュエータ10によれば、軸受機構12の構成部品である回転軸32と一体のロータ36に光学スケール26を直接作り込み、エンコーダとして機能する検出器の被検出部そのものを軸受機構の構成部品として機能させている。従って、光学スケール等の検出器の被検出部と軸受機構の可動部材とを別部材で構成した場合のような、両部材間の熱膨張係数の相違から生じる位置誤差等を無くし、高精度な角度検出が可能となる。同時に、可動部材であるロータ36自体により光学スケール26を構成することにより、測定位置と可動部材の回転中心とが一致し、その結果、ロストモーション等に起因する回転軸の回転角と検出角度とのずれを無くし、高精度で正確な角度検出および角度割り出しが可能となる。
【0032】
また、光学スケールを構成するロータ36は、低熱膨張ガラスにより形成されていることから、トルク発生部の近傍に光学スケールを設けた場合でも、発熱による光学スケールの熱膨張を低減し、検出誤差を大幅に低減することができる。その他、第4の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
なお、上述した第4の実施の形態においても、回転軸あるいはロータを支持する軸受部として空気軸受の代わりに磁気軸受を用いることができる。この場合、回転軸あるいはロータは磁石あるいは磁性体で形成され、この回転軸あるいはロータに対向して、軸受部に複数の電磁石が設けられる。そして、回転軸あるいはロータは、磁気的な反発を利用して非接触な状態に支持される。
【0034】
その他、この発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した各実施の形態において、被測定部は、透過型の光学スケールに限らず、他の光学スケールや磁気スケール等を用いてもよく、計測の方式は問わない。また、この発明は、直動型、回転型を問わず、どのようなモータ形式にも適用可能である。更に、低熱膨張の材料は上述した低熱膨張ガラスに限らず、アンバー合金、セラミックス等の低熱膨張材料を用いてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、可動部材の移動量を高い精度で測定することが可能な検出器一体型の軸受機構およびこれを備えたアクチュエータを提供し、より高精度な機構系を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る直動型アクチュエータの平面図。
【図2】上記直動型アクチュエータの側面図。
【図3】上記直動型アクチュエータの軸受機構を拡大して示す斜視図および軸受部を一部破断して示す斜視図。
【図4】この発明の第2の実施の形態に係る直動型アクチュエータの軸受部を一部破断して示す斜視図。
【図5】この発明の第3の実施の形態に係る直動型アクチュエータを示す斜視図。
【図6】この発明の第4の実施の形態に係る回転型アクチュエータを示す断面図。
【図7】上記回転アクチュエータのモータ部を一部破断して示す斜視図。
【符号の説明】
10…アクチュエータ
12…軸受機構
14…モータ部
16…軸受部
18…スライダ
20…給気路
22…給気孔
26…光学スケール
28…レーザヘッド
32…回転軸
36…ロータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6