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明細書 :プラズマ殺菌装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4930912号 (P4930912)
公開番号 特開2003-340454 (P2003-340454A)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発行日 平成24年5月16日(2012.5.16)
公開日 平成15年12月2日(2003.12.2)
発明の名称または考案の名称 プラズマ殺菌装置
国際特許分類 C02F   1/46        (2006.01)
C02F   1/32        (2006.01)
C02F   1/48        (2006.01)
C02F   1/68        (2006.01)
FI C02F 1/46 Z
C02F 1/32
C02F 1/48 B
C02F 1/68 510B
C02F 1/68 520K
C02F 1/68 530C
C02F 1/68 540B
C02F 1/68 540E
請求項の数または発明の数 3
全頁数 10
出願番号 特願2002-151702 (P2002-151702)
出願日 平成14年5月27日(2002.5.27)
審判番号 不服 2008-018652(P2008-018652/J1)
審査請求日 平成16年5月26日(2004.5.26)
審判請求日 平成20年7月23日(2008.7.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】長澤 武
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
参考文献・文献 特開2001-104958(JP,A)
特開平5-154485(JP,A)
特開平4-234967(JP,A)
調査した分野 C02F1/48-1/50
C02F1/68
特許請求の範囲 【請求項1】
内径が1.8mm、長さ10mmのステンレス管からなる外側の円筒状電極の一端を塞ぐとともに該外側の円筒状電極の外側に該外側の円筒状電極より内径が大きい同軸円筒管を配置し、該同軸円筒管の下流側の端を塞いで前記外側の円筒状電極を固定し、直径が1mm、長さが1mmであるステンレス棒からなる内側の円形芯状電極を前記外側の円筒状電極の上流側の先端の塞がれた部位に設置し、前記電極間の絶縁性を高め、前記電極間に短波長の高圧インパルス電圧を出力する電源を接続し、前記電圧で前記電極間に放電を生じさせ、前記外側の円筒状電極の側面であって、かつ前記内側の円形芯状電極の周辺に2個の穴を空けて、該2個の穴を介して前記外側の円筒状電極の内部へ水の流入を行い、電界を前記2個の穴と前記内側の円形芯状電極の周辺に集中させ、電界強度を強化するとともに放電路が水に与える効率を高めることを特徴とするプラズマ殺菌装置。
【請求項2】
請求項1記載のプラズマ殺菌装置において、前記電極間には電圧2-3kVの半正弦波パルスを印加することを特徴とするプラズマ殺菌装置。
【請求項3】
請求項1記載のプラズマ殺菌装置において、前記電源が乾電池(3V)とイグナイターからなることを特徴とするプラズマ殺菌装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ殺菌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような技術分野の技術としては、以下に開示されるようなものがあった。
【0003】
(1)高電圧パルスによる殺菌装置(例えば、特開昭63-82666号公報参照)は同軸円筒管とパルス発生器を用いているが、20kVもの電圧を印加する必要があるため危険であるとともに、多くのオゾンを発生すると考えられる。したがって、殺菌もオゾンによる割合が大きいといえる。
【0004】
(2)排水処理装置(特開2001-252665号公報参照)は同軸円筒の内側の電極に突起物を取り付け、パルス放電を行うようにしている。放電電圧は50kVであり、上記(1)と同様に大量のオゾンを発生すると考えられる。
【0005】
(3)この他に電極を絶縁物で覆うことで水中の電界を強め、放電を行う方法があるが、放電による絶縁物の溶解が考えられ、飲料水用の放電部に使用することは適当であるとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のそれぞれの殺菌装置は問題を有しており、技術的に満足のいくものではなかった。
【0007】
本発明は、上記状況に鑑み、高圧インパルス電圧を印加し、安全で、しかも構成が簡便なプラズマ殺菌装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕プラズマ殺菌装置において、内径が1.8mm、長さ10mmのステンレス管からなる外側の円筒状電極の一端を塞ぐとともにこの外側の円筒状電極の外側にこの外側の円筒状電極より内径が大きい同軸円筒管を配置し、この同軸円筒管の下流側の端を塞いで前記外側の円筒状電極を固定し、直径が1mm、長さが1mmであるステンレス棒からなる内側の円形芯状電極を前記外側の円筒状電極の上流側の先端の塞がれた部位に設置し、前記電極間の絶縁性を高め、前記電極間に短波長の高圧インパルス電圧を出力する電源を接続し、前記電圧で前記電極間に放電を生じさせ、前記外側の円筒状電極の側面であって、かつ前記内側の円形芯状電極の周辺に2個の穴を空けて、この2個の穴を介して前記外側の円筒状電極の内部へ水の流入を行い、電界を前記2個の穴と前記内側の円形芯状電極の周辺に集中させ、電界強度を強化するとともに放電路が水に与える効率を高めることを特徴とする。
【0009】
〕上記〔1〕記載のプラズマ殺菌装置において、前記電極間には電圧2-3kVの半正弦波パルスを印加することを特徴とする。
【0010】
〕上記〔1〕記載のプラズマ殺菌装置において、前記電源が乾電池(3V)とイグナイターからなることを特徴とする。
【0011】
上記のように、
1.水中に同軸状電極を設置し、外側の円筒状電極の寸法より内側の円形芯状電極の寸法を極端に小さくするようにしたので、前記電極間の絶縁性を高め、低電圧で電極間に放電を生じさせることができる。
【0012】
2.高圧インパルス電圧による放電が可能であるために、電源部は乾電池(3V)とイグナイターだけでも可能であり、携帯用としても製品化できる。
【0013】
3.電極に同軸円筒状電極と円形芯状電極とを用いるので、円筒効果で電界を強くすることができる。
【0014】
4.外側の円筒状電極の側面に穴を空けて水の流入(出)口にする構造は、電界を穴と内側の円形芯状電極の周辺に集中させ、電界強度を強化するとともに放電路が水に与える効率を高めることができる。
【0015】
5.電極間には短波長の高圧インパルス電圧を印加する。このシステムによって電極間にはパルス的な高電界が生じ、強烈な水中放電が行われるとともに電極間にブラシュ状の放電が生成される。この放電による紫外線や高エネルギーの電子で水中の殺菌を行うことができる。
【0016】
6.外側の円筒状電極の側面に水の流入口の穴を空けること及び、内側の円形芯状電極を外側の円筒状電極に比べて非常に小さくすることで放電電圧を低く(2-3kV)することができる。
【0017】
7.電圧が低いのでオゾンの発生が抑えられる。
【0018】
8.電極を絶縁物で覆わないので、放電による絶縁物の溶解はない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の実施例を示すプラズマ殺菌装置の放電装置の模式図、図2はその放電装置によるストリーマ状プラズマを示す図(代用写真)である。
【0021】
これらの図において、1は電源、2は外側に配置される直径の大きい同軸円筒状電極、3はその同軸円筒状電極2の内部に配置される直径の小さい円形芯状電極(例えば、棒状電極、円柱状電極、円筒状電極など)、4はブラシュ状の放電、5は供給される水、6は同軸円筒状電極2の外部に配置され、ブラシュ状の放電4に供給される水5を導入する同軸円筒管、7は円形芯状電極3の近傍で同軸円筒状電極2の側面に形成される穴である。
【0022】
図1に示すように、1.5Vの乾電池の電圧をイグナイターで高圧に変換して放電用の電源1とし、その電源1からの高電圧を同軸円筒状電極2と円形芯状電極3とに印加するようにしている。それにより火花放電とともに同軸円筒状電極2と円形芯状電極3の間にブラシュ状の放電4が生じる。
【0023】
ここで、プラズマ殺菌装置の放電装置の特徴について述べると、放電装置は同軸円筒状電極2と円形芯状電極3からなり、外側の同軸円筒状電極2の寸法に対する内側の円形芯状電極3の寸法は、直径を小さくし、かつ長さを極端に小さくする。この理由は同軸円筒状電極2と円形芯状電極3間の絶縁性を高めるためである。例えば、同軸円筒状電極2は内径1.8mm、長さ10mmのステンレス管であり、円形芯状電極3は直径1mm、長さ1mmのステンレス棒である。
【0024】
供給される水5は、円形芯状電極3近傍で同軸円筒状電極2の側面に形成された穴7より円形芯状電極3に流れ込む。その穴7の周辺には電気力線が集中するため、水の流れ込む領域で放電が起きやすくなっている。
【0025】
同軸円筒管6は絶縁物(アクリル)であり、同軸円筒状電極2を支えるとともに水5を遮断している。電源1の電圧波形は半正弦波パルス(電圧2-3kV)、あるいは乾電池(3V)とイグナイターを用いる。周波数は流速に応じて決める。
【0026】
放電によって水5は電極2,3間の電気分解で水素と酸素に分解されるとともに電気力によって多くの気泡を生じる。この気泡内(空気)には汚れた成分が含まれているので気泡放電を行うことで水5を殺菌することができる。
【0027】
以下、本発明のプラズマ殺菌装置の原理について説明する。
【0028】
図3は本発明のプラズマ殺菌装置の電極間に生じる放電の様子と放電電圧波形を示す図であり、図3(a)はその電極間に生じる放電の様子を、図3(b)はその放電電圧の波形を示している。なお、図3(b)において、周波数は8Hzである。
【0029】
図3(a)に示すように、外側の同軸円筒状電極2と内側の円形芯状電極3間に直接放電を生じる火花放電4aと気泡の中で放電する気泡放電4bが生成される。図3(b)に示すように、放電波形はインパルスを用いる。
【0030】
図4は放電で生じる気泡8(穴7による水5の流入口が強電界になるので、この部分に気泡8が生じる)の中を通して放電する様子を示す。
【0031】
このような水5の流入機構にすることによって、水5への放電効果を向上させることができる。
【0032】
次に、本発明の実施例を示すプラズマ殺菌清涼水器について説明する。
【0033】
従来は、一般の細菌や大腸菌、またカビを殺菌するために大量の塩素の注入や沸騰による熱処理をしているので、塩素や高温のために飲料水として“うまみ”がなくなる。
【0034】
図5は本発明の実施例を示すプラズマ殺菌清涼水器の模式図である。
【0035】
この図において、100は清涼水器、101は浄水部、102は汚物排除部、103は空気混合部、104は清涼空気ボンベ、105は放電用電源、106は水道水、107は処理された清涼水、108は殺菌された空気排気口である。
【0036】
本発明のプラズマ殺菌清涼水器は、まず、浄水部101において、水道水106中に溶け込んでいる汚れた空気の気泡を放電による圧力変動で生じさせ、ストリーマ放電で気泡殺菌を行う。次に、加速電子で塩素を水分子から解離する。
【0037】
空気混合部103では、清涼空気ボンベ104からの新鮮な空気を溶け込ませ、清涼水107として得ることができる。
【0038】
以上の過程からなる。
【0039】
浄水部101には図1に示した放電装置を清涼水器の大きさに応じて複数設置する。
【0040】
電源にイグナイターを用いると、携帯用の殺菌効果のある浄水器の製作が可能であり、乾電池1個でどこでも飲料水を得ることができる。
【0041】
次に、水中プラズマによる殺菌効果について説明する。
【0042】
図6はその殺菌効果を示す図である。
【0043】
上記したプラズマ殺菌装置(水中プラズマ生成装置)(円筒状電極:直径2mm、長さ10mm)を装備した容器の水9cc中に大腸菌を入れ、電極内のプラズマによる殺菌効果を調べた。大腸菌を含んだ水は電極内を通して容器から外部へ流れ出るようにした。また、放電はイグナイター(高圧発生器:入力電圧3V、周波数15Hz、出力電圧10kV)を用いた。
【0044】
図6(a)はシャーレ上の菌の様子、図6(b)は菌の数と時間との関係を示す。なお、図6(b)において、Nは大腸菌の数、N0 は放電前の大腸菌の数(初期値)である。
【0045】
図6(b)に示すように、放電時間と共に大腸菌が減少し、150秒でほぼ死滅した。これは大腸菌がプラズマで生成された高エネルギー電子によって死滅したものと考えられる。
【0046】
次に、本発明の第1の応用例について説明する。
【0047】
図7は本発明の第1の応用例を示すプラズマ殺菌装置を示す模式図であり、図7(a)はそのエレメントの模式図、図7(b)はその全体を示す斜視図である。
【0048】
この図に示すように、多数の電極を1組にして水道管に取り付けることで、水中の空気成分が放電殺菌された水道水が得られる。
【0049】
沸騰殺菌は多くの熱量を必要とするために多くの電力が必要になるが、本発明のプラズマ殺菌装置を用いた放電殺菌は熱湯化が必要ないので消費電力は少ない。また、後処理の問題がない。
【0050】
次に、本発明の第2の応用例について説明する。
【0051】
図8は本発明の第2の応用例を示すプラズマ殺菌装置の構成図であり、洗濯機200の注水口201に図1に示す放電装置を装着して、水道水から気泡を排出した後の水を洗濯機200の中に注入する。なお、9は水道管である。
【0052】
この図において、気泡が取り除かれた水は洗濯物に浸透しやすくなり、汚れを落とすのに効果的である。したがって、洗剤が少なくて済む。
【0053】
次に、水中プラズマ生成法について説明する。
【0054】
(1)円筒状電極(直径2mm、長さ10mm)を用いて実験を行った。
【0055】
電極管内の電界E、電極間のインピーダンスzは次のようになる。
【0056】
1/z=1/R+jωC
I=Vd /|z|
E=Vd /〔rln(b/a)〕
ここで、Vd は放電電圧、Iは電極間電流、Rは電極間の抵抗、Cは電極間の容量、aは内側電極の半径、bは外側電極の半径である。
【0057】
水中放電を起こすためには、水による電極間の短絡を防ぐ、すなわち、電極間の絶縁性を大きくする(I=0)必要がある。したがって、Rを大きくし、Cを小さくすれば良い。
【0058】
加える放電電圧を一定にし、内側電極の半径aを一定にした場合、外側電極の半径bが大きくなるとともに電界が弱まる。したがって、外側電極の径が大きくなる(内側電極の径を一定:直径1mm)ほど、火花放電の放電路が細くなる。
【0059】
内側電極を絶縁物で覆ったのは電極間の絶縁性を大きくするためである。
【0060】
絶縁物で覆わない場合は、内側電極の長さを短くし、電極間の抵抗を大きくすれば、水中プラズマができる。
【0061】
水中プラズマによる殺菌効果は、図6(b)に示したものと同様である。
【0062】
次に、気泡の発生について説明する。
【0063】
図9はそのプラズマ殺菌装置の気泡の発生状態を示す図(代用写真)である。
【0064】
水中プラズマ生成でも気泡が発生するが、むしろ高周波熱湯発生装置の場合のほうがはるかに発生し、スイッチを入れた瞬間に熱湯が飛び出る。水中プラズマでは光を発生するため、エネルギーは発光に使われ、熱化現象はほとんど生じない。したがって、水中プラズマは水中の殺菌や液体成分の解離等に応用性がある。
【0065】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0066】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0067】
(1)水道水の殺菌をパルス放電による小電力量で行うことができる。
【0068】
(2)放電を用いるので、後処理の問題がない。
【0069】
(3)水中の気泡を排除できるので、洗浄効果が上がり、洗剤を少なくすることができる。
【0070】
(4)電源にイグナイターを用いることによって、携帯用の殺菌可能な浄水器ができ、どこでも安心して飲料水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示すプラズマ殺菌装置の放電装置の模式図である。
【図2】 本発明の実施例を示すプラズマ殺菌装置の放電装置によるストリーマ状プラズマを示す図(代用写真)である。
【図3】 本発明のプラズマ殺菌装置の電極間に生じる放電の様子と放電電圧波形を示す図である。
【図4】 放電で生じる気泡の中を通して放電する様子を示す図である。
【図5】 本発明の実施例を示すプラズマ殺菌清涼水器の模式図である。
【図6】 本発明のプラズマ殺菌清涼水器の殺菌効果を示す図である。
【図7】 本発明の第1の応用例を示すプラズマ殺菌装置の放電装置を示す模式図である。
【図8】 本発明の第2の応用例を示すプラズマ殺菌装置の放電装置の構成図である。
【図9】 本発明のプラズマ殺菌装置の気泡の発生状態を示す図(代用写真)である。
【符号の説明】
1 電源
2 外側の同軸円筒状電極
3 内側の円形芯状電極
4 ブラシュ状の放電プラズマ
4a 火花放電
4b 気泡放電
5 供給される水
6 同軸円筒管
7 同軸円筒状電極の側面に形成される穴
8 気泡
9 水道管
100 清涼水器
101 浄水部
102 汚物排除部
103 空気混合部
104 清涼空気ボンベ
105 放電用電源
106 水道水
107 処理された清涼水
108 殺菌された空気排気口
200 洗濯機
201 注水口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8