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明細書 :医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3870373号 (P3870373)
公開番号 特開2003-344208 (P2003-344208A)
登録日 平成18年10月27日(2006.10.27)
発行日 平成19年1月17日(2007.1.17)
公開日 平成15年12月3日(2003.12.3)
発明の名称または考案の名称 医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置
国際特許分類 G01L  27/00        (2006.01)
A61B   5/0215      (2006.01)
FI G01L 27/00
A61B 5/02 331C
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2002-155946 (P2002-155946)
出願日 平成14年5月29日(2002.5.29)
審査請求日 平成16年5月14日(2004.5.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】八木 晋一
【氏名】渡辺 広昭
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
審査官 【審査官】五閑 統一郎
参考文献・文献 特開平06-070891(JP,A)
特公平01-045677(JP,B2)
特開昭57-195440(JP,A)
特開平08-140971(JP,A)
調査した分野 G01L 9/00
G01L 27/00
A61B 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
液体を満たしたカテーテルの一端にパルス圧力発生手段を設け、このパルス圧力発生手段により上記液体にパルス圧力を印加してパルス圧力波を形成すると共に、このパルス圧力波を上記カテーテルの一端の外側に密着して設けた第1の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換し、
上記カテーテルの他端に伝搬した上記液体のパルス圧力波形を上記カテーテルの他端の外側に密着して設けた第2の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換し、
上記第1の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を入力電気信号とし、上記第2の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を出力電気信号とし、
上記出力電気信号のフーリエ変換を上記入力電気信号のフーリエ変換で除算することにより上記カテーテルの周波数特性曲線を得ることを特徴とする、医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法。
【請求項2】
前記入力電気信号のフーリエ変換は、前記入力電気信号の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換であり、
前記出力電気信号のフーリエ変換は、前記出力電気信号の前記入力電気信号と同一の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法。
【請求項3】
前記パルス圧力発生手段は、測定者の手動によりパルス圧力を発生させることを特徴とする、請求項1に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法。
【請求項4】
液体を満たしたカテーテルの一端に設けられるパルス圧力発生手段と、
上記カテーテルの一端に設けられる上記パルス圧力発生手段からのパルス圧力を入力電気信号に変換するための入力圧検出用圧力トランスデューサと、
上記パルス圧力を上記カテーテルの他端に伝搬させたときのパルス圧力を出力電気信号に変換する出力圧検出用圧力トランスデューサと、
上記出力電気信号のフーリエ変換を上記入力電気信号のフーリエ変換で除算することにより上記カテーテルの周波数特性曲線を得る信号処理部と、
からなることを特徴とする、医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記出力電気信号用のA/D変換器と前記入力電気信号用のA/D変換器とコンピュータと、を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、前記入力電気信号のフーリエ変換を、前記入力電気信号の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換により計算し、かつ前記出力電気信号のフーリエ変換を、前記出力電気信号の前記入力電気信号と同一の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換により計算することを特徴とする、請求項4または5に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置。
【請求項7】
前記入力圧検出用圧力トランスデューサと前記出力圧検出用圧力トランスデューサは、圧電素子、半導体、光学式の何れかに1つによる圧力トランスデューサであることを特徴とする、請求項4に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置。
【請求項8】
前記パルス圧力発生手段は、測定者の手動によりパルス圧力を発生させることを特徴とする、請求項4に記載の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置に関し、さらに詳しくは、校正用発振器とこの発振器により駆動される圧力発生装置を必要としないで、簡便、かつ、正確にカテーテル式圧力測定計の校正ができる、医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用として、一般に用いられているカテーテルと圧力トランスデューサからなる血圧(静脈、動脈)等の圧力測定装置は、観血式直接血圧測定が可能で、非観血式間接血圧測定に比べて高精度で血圧波形の観察が可能であり、また臓器の圧力として心臓の内圧等が測定可能であるという特徴を有している。
図9は、従来のカテーテル式圧力測定装置の構成を示す図である。図示のように、カテーテル式圧力測定装置50は、患者の比較的浅い血管52へ生理的食塩水を満たしたカテーテル53の先端部53Aが挿入され、カテーテル53の他端の側面部に圧力トランスデューサ54が設けられている。図中のカテーテルの長さL1は、おおよそ30cmから2m程度である。
この圧力トランスデューサ54は、圧力を電気信号に変換するセンサである。圧力トランスデューサ54からの電気信号は、ケーブル54Aに出力され、アンプ56からのケーブル55と、コネクタ54B,55Aにより接続される。この電気信号が、アンプ56において増幅され、血圧波形信号が出力される。
また、圧力トランスデューサ54が設けられているカテーテル53の他端部には、血液による閉塞を防ぐための抗血栓剤であるヘパリンを添加し、持続的に加圧されたヘパリン添加生理食塩水65を少量ずつ流す装置(フラッシュ装置)66が配設されている。
【0003】
ここで、圧力トランスデューサ54の出力は、カテーテル53と、カテーテル53中を満たす液体と、圧力トランスデューサ54とからなる圧力測定回路の機械的フィルター特性のために適切な組合わせを用いないと入力波形、すなわち血圧波形が歪んで測定され、血圧値に誤差が生じることが知られている。
また、このカテーテル53の内部に気泡が入り易く、この気泡も入力波形を歪ませる大きな要因となり、測定誤差を生じさせることが知られている。
【0004】
実際に使用されているカテーテル53と、カテーテル53の中を満たす液体65と、圧力トランスデューサ54とからなる圧力測定回路が、どの程度血圧波形を変化させているかは、この圧力測定回路の周波数特性曲線を測定して校正を行っている。
図10は、従来の周波数特性曲線を求める校正回路の構成を示す図である。図において、校正用発振器61により駆動される圧力波形発生装置62がカテーテル60の一端に接続されている。圧力発生装置62の出力部及びカテーテル60の他端には、圧力トランスデューサ63及び64が接続されている。カテーテル60の中には液体が満たされている。
【0005】
従来の周波数校正曲線を求める第1の方法は、校正用発振器61から、正弦波信号を圧力波形発生装置62に入力すると正弦波の圧力波形が得られる。この正弦波の圧力を液体を満たしたカテーテル60に入力し、周波数を変えながら入力波形63Aとカテーテル60の出力波形64Aの振幅比を求めるものである。
【0006】
また、従来の周波数校正曲線を求める第二の方法は、校正用発振器61を広帯域な信号発生器として、パルス状や変調波状の圧力波形を用いてカテーテル60に対する入力波形63Aと出力波形64Aを、A/D変換器65によりディジタル化し、コンピュータ66で処理することで、周波数特性曲線を描く方法が取られている。
このように、従来の校正方法においては、校正用発振器61と、この校正用発振器61により駆動される圧力波形発生装置62を必ず使用することが必要であった。
【0007】
図11は、従来法の周波数特性曲線において、正常な状態と、気泡が入ることにより異常が発生したときの周波数特性曲線の概略を示す図である。
図示されるように、気泡や大きな気泡が入ることにより、正常な周波数特性曲線が得られないことが分かる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の方式では、カテーテルと、カテーテルの中を満たす液体と、圧力トランスデューサと、からなる血圧などの圧力測定回路においては、カテーテル内に入る気泡やカテーテルの状態により圧力が変化し、毎回校正用発振器と校正用発振器により駆動される圧力発生装置により医療用圧力測定回路の周波数特性曲線を測定し校正する必要があり、簡便に使用することができないという課題がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、従来の校正方法で必要であった校正用発信器と校正用発振器により駆動される圧力発生装置を使わずに、簡便、かつ、正確にカテーテル式圧力測定計の校正ができる、医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法は、液体を満たしたカテーテルの一端にパルス圧力発生手段を設け、このパルス圧力発生手段により液体にパルス圧力を印加してパルス圧力波を形成すると共に、このパルス圧力波をカテーテルの一端の外側に密着して設けた第1の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換し、カテーテルの他端に伝搬した液体のパルス圧力波形をカテーテルの他端の外側に密着して設けた第2の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換し、第1の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を入力電気信号とし、第2の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を出力電気信号とし、出力電気信号のフーリエ変換を入力電気信号のフーリエ変換で除算することにより、カテーテルの周波数特性曲線を得ることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、液体を満たしたカテーテルの一端に設けらるパルス圧力発生手段から液体にパルス圧力を印加してパルス圧力を発生させ、このパルス圧力波をカテーテルの一端の外側に密着して設けた第1の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換する。また、カテーテルの他端に伝搬した液体のパルス圧力波形をカテーテルの他端の外側に密着して設けた第2の圧力・電気トランスデューサにより電気信号に変換する。この第1の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を入力電気信号とし、第2の圧力・電気トランスデューサによる電気信号を出力電気信号とし、出力電気信号のフーリエ変換を入力電気信号のフーリエ変換で除算することによりカテーテルの周波数特性曲線を計算する。
従って、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法によれば、従来の校正用発振器とこの発振器により駆動される圧力発生装置を必要としないので、簡便、かつ、正確にカテーテルの周波数特性曲線を得ることができる。
【0012】
前記構成において、入力電気信号のフーリエ変換は、入力電気信号の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換であり、出力電気信号のフーリエ変換は、出力電気信号の前記入力電気信号と同一の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換であることを特徴とする。
また、パルス圧力発生手段は、測定者の手動によりパルス圧力を発生させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置は、液体を満たしたカテーテルの一端に設けられるパルス圧力発生手段と、カテーテルの一端に設けられるパルス圧力発生手段からのパルス圧力を入力電気信号に変換するための入力圧検出用圧力トランスデューサと、パルス圧力をカテーテルの他端に伝搬させたときのパルス圧力を出力電気信号に変換する出力圧検出用圧力トランスデューサと、出力電気信号のフーリエ変換を入力電気信号のフーリエ変換で除算することにより上記カテーテルの周波数特性曲線を得る信号処理部と、からなることを特徴とする。
【0014】
この装置は、液体を満たしたカテーテルの一端に設けらるパルス圧力発生手段から、パルス圧力を発生し、カテーテルの一端に設けられる入力圧検出用圧力トランスデューサにより、入力電気信号に変換する。また、このパルス圧力がカテーテルの他端に伝搬したときのパルス圧力を、出力圧測定用圧力トランスデューサにより出力電気信号に変換する。さらに、信号処理部において、出力電気信号のフーリエ変換を入力電気信号のフーリエ変換で除算することによりカテーテルの周波数特性曲線を得る。
従って、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置によれば、従来の校正用発振器とこの発振器により駆動される圧力発生装置を必要としないので、簡便、かつ、正確にカテーテルの周波数特性曲線を得ることができる。
【0015】
前記構成において、信号処理部は、入力電気信号のフーリエ変換を、入力電気信号の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換により計算し、かつ出力電気信号のフーリエ変換を、出力電気信号の入力電気信号と同一の区間切り出しと微分フィルタ処理した後のフーリエ変換により計算することを特徴とする。
また、入力圧検出用圧力トランスデューサと出力圧検出用圧力トランスデューサは、圧電素子、半導体、光学式の何れかに1つによる圧力トランスデューサであることを特徴とする。
さらに、パルス圧力発生手段は、測定者の手動によりパルス圧力を発生させることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る実施の形態による医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法の原理を説明する図である。
図において、カテーテル1に、例えば生理食塩水の液体2が満たされている。このカテーテル1の一端にパルス圧力発生手段3が接続され、そして、パルス圧力発生手段3に密接して、圧力を電気に変換する第1の圧力・電気トランスデューサ(以下、入力圧検出用圧力トランスデューサと呼ぶ)4がカテーテル1の側面部に接続されており、また、カテーテル1の他端には、第2の圧力・電気トランスデューサ(以下、出力圧検出用圧力トランスデューサと呼ぶ)5が接続されて構成される。
【0017】
上記構成において、パルス圧力発生手段3によりパルス圧力が印加されると、このパルス圧力波形が、パルス圧力発生手段3に隣接する入力圧検出用圧力トランスデューサ4により入力電気信号4A(x(t))に変換される。このパルス圧力発生手段3からのパルス圧力が、カテーテル1内を伝搬し、パルス圧力波形が出力圧検出用圧力トランスデューサ5に印加され、出力電気信号5A(y(t))に変換される。
【0018】
この出力電気信号5Aは、カテーテル1の長さ、太さ、材料の硬さ、満たされる液体の質量、圧力トランスデューサの受圧面の硬さ、あるいはカテーテル1内に入る気泡の量などにより変化する。
この入力電気信号x(t)と出力電気信号y(t)を、それぞれ、特定の所定の処理をしてフーリエ変換を行い、出力を入力で規格化することにより、カテーテルの伝達関数H(f)を求めることができる。この伝達関数が、カテーテルと圧力トランスデューサの周波数特性曲線である。
なお、カテーテル1の長さは、実際の使用状態と同じものとする。この長さは、おおよそ、30cmから2m程度である。
【0019】
図2は、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法の伝達関数の計算方法を説明する図である。
最初に入力電気信号x(t)について説明すると、所定の時間(t1 -t2 )の区間切り出しを行い、次に微分フィルタ処理を行い、フーリエ変換をして、X(f)を得る。
出力電気信号y(t)も、入力電気信号x(t)と同様に、所定の時間(t1 -t2 )の区間切り出しを行い、次に微分フィルタ処理を行い、フーリエ変換をして、Y(f)という波形に変換する。
ここで、Y(f)をX(f)で除算することにより、伝達関数H(f)=lH(f)lexp(jΦ(f))を得ることができる。この伝達関数が、すなわち周波数特性曲線である。
ここで、微分処理は、最初に微分演算を行い、次に微分演算によって発生する高周波雑音を除去するために、不要な高周波領域の信号を零点無しのローパスフィルタで削除する。この伝達関数を求めるときに、除算を行うので分母となるX(f)の絶対値が零とならないような演算処理を行う。
このローパスフィルタには、ガウス型や指数型を使用することができる。
【0020】
ここで、カテーテル1にパルス圧力を印加する方法として、すなわち、パルス発生手段として、図9に示したカテーテル1内に入った気泡を取り除くための手動フラッシュ装置66を使用することができる。
この手動による一見不安定なパルス圧力を用いても、血圧測定回路の周波数特性曲線は、常に安定なこの伝達関数H(f)の振幅スペクトルである|H(f)|と位相スペクトルφ(f)によって正確に評価することができる。
このように、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法によれば、カテーテルに手動により圧力パルスを加えることで、簡便、かつ、正確にカテーテル式圧力測定計の校正ができる周波数特性校正方法を提供することができる。
【0021】
図3は、本発明に係る実施の形態による医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置の構成を示す図である。図において、医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置10は、カテーテル部20(点線で囲まれた領域)と、信号処理部30(一点鎖線で囲まれた領域)と、で構成されている。
カテーテル部10は、カテーテル1に、例えば生理食塩水13が満たされ、カテーテル1の一端にパルス圧力発生手段3として手動フラッシュ装置であるフラッシュ用プルタブ12が接続されている。そして、カテーテル1の一端に接続されるフラッシュ用プルタブ12を急速に引き上げて発生するパルス圧力波形測定のための入力圧検出用圧力トランスデューサ4と、カテーテル1の他端に出力圧検出用圧力トランスデューサ5が接続されているのは、図1と同様である。
【0022】
入力圧検出用圧力トランスデューサ4は、三方活栓11を介してカテーテル1と接続されている。カテーテル1にパルス圧力を加えるためのフラッシュ用プルタブ12が、加圧された生理食塩水13と入力圧検出用圧力トランスデューサ4との間に、圧力チューブ14により接続される。
図示されるように、入力圧検出用圧力トランスデューサ4は、パルス圧力波形ができるだけ正確に測定できるように、フラッシュ用プルタブ12に密接して配設される。また、三方活栓11には、加圧された生理食塩水13を排出できるように先端微小穴付水抜き15が接続されている。
【0023】
ここで、入力圧検出用圧力トランスデューサ4及び出力圧検出用圧力トランスデューサ5として、圧力を電気信号に変換できる圧電素子を用いた場合に、最初にカテーテル1に加圧された生理食塩水13を満たし、フラッシュ用プルタブ12によりパルス圧力を加えると、このパルス圧力波形が入力圧検出用圧力トランスデューサ4により入力電気信号4Aとして得られる。
また、このパルス圧力は、同時にカテーテル1を図面左方向に伝搬し、カテーテル1の他端に接続されている出力圧検出用圧力トランスデューサ5に到達し、出力電気信号5Aが得られる。
なお、入力圧検出用圧力トランスデューサ4と、出力圧検出用圧力トランスデューサ5は、圧電素子、半導体、光学式の何れか1つによる圧力トランスデューサを使用することができる。
【0024】
次に、信号処理部30について説明する。信号処理部30は、入力電気信号用の増幅器31及びA/D変換器32と、出力電気信号用の増幅器33及びA/D変換器34と、コンピュータ35と、によって構成される。
入力用電気信号4A及び出力電気信号5Aは、増幅器31,33によっで十分な出力に増幅されて、入力電気信号用のA/D変換器32及び出力電気信号用のA/D変換器34にそれぞれ入力され、デジタル信号に変換される。
ここで、サンプリングクロック信号36により、入力電気信号用のA/D変換器32と出力電気信号用A/D変換器34との同期が取られる。
また、外部トリガパルス37により、A/D変換器32,34が動作を開始するようにしてもよい。ここで、A/D変換は、例えば1kHzの周波数で行うことができる。
【0025】
この入力と出力のデジタル信号を用い、コンピュータ35で計算処理が行われる。
入力電気信号4Aを所定の時間(t1 -t2 )の区間切り出しを行い、次に微分フィルタ処理を行い、フーリエ変換をして、X(f)が得られる。
同様に出力電気信号5Aが、入力電気信号4Aと同様に、所定の時間(t1 -t2 )の区間切り出しを行い、次に微分フィルタ処理を行い、フーリエ変換をして、Y(f)が得られる。
ここで、Y(f)をX(f)で除算することにより、伝達関数H(f)=lH(f)lexp(jΦ(f))を得ることができる。
この伝達関数、すなわち周波数特性曲線が、コンピュータ35のディスプレイにより表示される。
【0026】
ここで、微分フィルタ処理は、最初に微分演算を行い、次に微分演算によって発生する高周波雑音を除去するために、不要な高周波領域の信号を零点無しのローパスフィルタで除去する。伝達関数を求めるときに、除算を行うので分母のX(f)が絶対値が零とならないような処理を行う。このローパスフィルタは、ガウス型や指数型を使用することができる。また、フーリエ変換は、高速フーリエ変換の計算手法により行うことができる。
上記信号処理部30は、例えば増幅器を内蔵した2チャンネルのA/D変換カードとパソコンとにより構成することができる。このとき、信号処理の計算方法は、図2で説明した本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法に拠ればよい。
【0027】
次に、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置による、周波数特性の測定に関する実施例を示す。
図4は、カテーテルに印加されるパルス圧力による、入力圧検出用圧力トランスデューサから発生する入力電気信号4Aと、出力圧測定用圧力トランスデューサからの出力電気信号5Aを示す図である。
フラッシュ用プルタブ12により、A,B,Cの3個のパルス圧力が約1秒おきに測定者の手により入力されている。
図において、横軸は時間で、縦軸は圧力に換算した電気信号強度を示す。グラフは、下側が入力電気信号4Aで、上側が出力電気信号5Aであり、重ならないように表示している。
また、図5は、図4に示されるAのパルスの入力電気信号4Aと、出力電気信号5Aの拡大図である。
【0028】
図6は、図5に示す入出力の電気信号を信号処理して得た伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|を示す図である。
横軸は、対数表示した周波数で、縦軸が同様に対数表示した伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|である。この伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|が周波数特性曲線である。本例では、約10Hz程度まで周波数特性曲線が平坦であり、カテーテルによる共振が約22Hzにおいて発生していることが分かる。
【0029】
図7は、図5に示す入出力の電気信号を信号処理して得た伝達関数H(f)の位相スペクトルφ(f)を示す図である。横軸は対数表示した周波数で、縦軸がリニア表示した伝達関数H(f)の位相スペクトルφ(f)である。ここで、位相も振幅スペクトルと同様に、約10Hz程度まで周波数特性が平坦であることが分かる。
以上が、図4に示すAの入出力電気信号より求めた伝達関数であるが、一方、図4に示したB,Cの入出力電気信号から求められる伝達関数もまた、このAによる伝達関数と、よく一致している。
このように、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性構成装置によれば、カテーテル1に手動で圧力パルスを加えることで、簡便、かつ、正確にカテーテル式圧力測定計の校正ができる。
【0030】
図8は、図7に示す周波数特性である伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|と、従来の方法による周波数特性曲線の比較を示す図である。従来の方法による周波数特性曲線と、本発明により得られる周波数特性曲線はよく一致していることが分かる。
このようにして、カテーテル1と、カテーテルの中を満たす液体13と、圧力トランスデューサ4,5と、からなる圧力測定回路において、校正のための周波数特性曲線を測定することにより、妥当な周波数特性曲線が得られたときは、図3に示す出力圧検出用圧力トランスデューサ5を取り外し、かわりに、図示していないが、患者の血管にカテーテル1の先端部1Aを挿入することにより血圧測定を行うことができる。
また、校正により、気泡がカテーテル1内に入っていて、妥当な周波数特性曲線が得られないときには、フラッシュ用プルタブ12により気泡を取り除き、正常な周波数特性曲線が得られるようにすればよい。
【0031】
これにより、本発明の医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法及び周波数特性校正装置によれば、簡便な構成で動作し、特別な計測上の知識や技術を持つ専門家でなくても簡便に正確な周波数特性曲線を常時確かめられ、手術時の麻酔管理や血圧の動的波形監視の信頼性を大きく向上させることができる。
【0032】
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
【0033】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明によれば、従来の校正用発振器とこの発振器により駆動される圧力発生装置を必要としないので、簡便、かつ、正確にカテーテルの周波数特性曲線を得ることができる。
従って、特別な計測上の知識や技術を持つ専門家でなくても簡便に正確な周波数特性曲線を常時確かめられ、手術時の麻酔管理や血圧の動的波形監視の信頼性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態による医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法の原理を説明する図である。
【図2】医療用圧力測定装置の周波数特性校正方法の伝達関数の計算方法を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施の形態による医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置の構成を示す図である。
【図4】カテーテルに印加されるパルス圧力による、入力圧検出用圧力トランスデューサから発生する入力電気信号と、出力圧検出用圧力トランスデューサからの出力電気信号を示す図である。
【図5】図4のAの、入力電気信号と出力電気信号の拡大図である。
【図6】図5に示す入出力の電気信号を信号処理して得た伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|を示す図である。
【図7】図5に示す入出力の電気信号を信号処理して得た伝達関数H(f)の位相スペクトルφ(f)を示す図である。
【図8】図7に示す周波数特性である伝達関数H(f)の振幅スペクトル|H(f)|と、従来の方法による周波数特性の比較を示す図である。
【図9】従来のカテーテル式圧測圧力測定装置の構成を示す図である。
【図10】従来の周波数特性曲線を求める校正回路の構成を示す図である。
【図11】従来法の周波数特性曲線において、正常な状態と、気泡が入ることにより異常が発生したときを示す図である。
【符号の説明】
1 カテーテル
2 液体
3 パルス圧力発生手段
4 入力圧検出用圧力トランスデューサ
4A 入力電気信号
5 出力圧検出用圧力トランスデューサ
5A 出力電気信号
10 医療用圧力測定装置の周波数特性校正装置
11 三方活栓
12 フラッシュ用プルタブ
13 加圧された生理食塩水
14 圧力チューブ
15 先端微小穴付水抜き
20 カテーテル部
30 信号処理部
31 入力電気信号用の増幅器
32 入力電気信号用のA/D変換器
33 出力電気信号用の増幅器
34 出力電気信号用のA/D変換器
35 コンピュータ
36 サンプリングクロック信号
37 外部トリガパルス
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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