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明細書 :深穴加工装置および深穴加工方法、深穴評価装置および深穴評価方法ならびに位置ずれ評価方法、深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置、光軸調整方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4302380号 (P4302380)
公開番号 特開2003-159607 (P2003-159607A)
登録日 平成21年5月1日(2009.5.1)
発行日 平成21年7月22日(2009.7.22)
公開日 平成15年6月3日(2003.6.3)
発明の名称または考案の名称 深穴加工装置および深穴加工方法、深穴評価装置および深穴評価方法ならびに位置ずれ評価方法、深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置、光軸調整方法
国際特許分類 B23B  41/02        (2006.01)
B23B  49/00        (2006.01)
B23Q  17/24        (2006.01)
G01B  11/00        (2006.01)
G01B  11/26        (2006.01)
G01B  21/00        (2006.01)
G01B  21/22        (2006.01)
FI B23B 41/02
B23B 49/00 A
B23Q 17/24 B
G01B 11/00 D
G01B 11/26 Z
G01B 21/00 F
G01B 21/22
請求項の数または発明の数 13
全頁数 52
出願番号 特願2002-259323 (P2002-259323)
出願日 平成14年9月4日(2002.9.4)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成14年3月5日 社団法人精密工学会発行の「2002年度精密工学会春季大会 講演論文集」に発表
優先権出願番号 2001268073
2001268075
2001268077
優先日 平成13年9月4日(2001.9.4)
平成13年9月4日(2001.9.4)
平成13年9月4日(2001.9.4)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成16年6月2日(2004.6.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】甲木 昭雄
【氏名】鬼鞍 宏▲猷▼
【氏名】佐島 隆生
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】中村 泰二郎
参考文献・文献 特開2000-246593(JP,A)
特許第2543409(JP,B2)
特開昭62-254007(JP,A)
特開平03-146812(JP,A)
調査した分野 B23B 35/00-49/06
B23Q 17/24
G01B 11/00
G01B 11/26
G01B 21/00
G01B 21/22
特許請求の範囲 【請求項1】
中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、被加工物に対して回転しながら深穴加工を行う深穴加工工具と、
上記深穴加工工具の上記回転軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、
上記深穴加工工具に設けられ、上記深穴加工工具の上記回転軸を中心とする円方向における正常位置からの傾きを検出する傾き検出手段と、
上記深穴加工工具に設けられ、上記位置ずれ検出手段にレーザ光を照射する半導体レーザと、
上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれを修正する位置ずれ修正手段と、
上記深穴加工工具と続するアクティブローテーションストッパの内部に設けられており、上記傾き検出手段により検出された上記深穴加工工具の傾きを修正する圧電アクチュエータとを備えている深穴加工装置において、
上記深穴加工工具における上記平面上に位置する点であって、上記位置ずれ検出手段にレーザ光を照射する半導体レーザの位置に対応する1点と、上記傾き検出手段の位置に対応する他の1点との2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えていることを特徴とする深穴加工装置。
【請求項2】
上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴加工工具の位置を検出する位置検出手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の深穴加工装置。
【請求項3】
先端部分を被加工物に対して回転させ、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、
上記深穴評価プローブの上記先端部分とは反対側に接続されており、上記中心軸に沿って配置された測定軸と、
上記中心軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、
上記深穴評価プローブに設けられ、上記中心軸を中心とする円方向における正常位置からの傾きを検出する傾き検出手段と、
上記深穴評価プローブに設けられ、上記位置ずれ検出手段にレーザ光を照射する半導体レーザと、
上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれを修正する位置ずれ修正手段と、
上記深穴評価プローブと続するアクティブローテーションストッパの内部に設けられており、上記傾き検出手段により検出された上記深穴評価プローブの傾きを修正する圧電アクチュエータとを備えている深穴評価装置において、
上記深穴評価プローブにおける上記平面上に位置する点であって、上記位置ずれ検出手段にレーザ光を照射する半導体レーザの位置に対応する1点と、上記傾き検出手段の位置に対応する他の1点との2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えていることを特徴とする深穴評価装置。
【請求項4】
上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴評価プローブの位置を検出する位置検出手段とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の深穴評価装置。
【請求項5】
装置のXY平面方向における位置ずれと、上記中心軸を中心とする円方向の位置ずれとをそれぞれ検出する位置ずれ評価方法において、
上記XY平面における位置ずれと、中心軸を中心とする円方向の位置ずれとを、装置の上記XY平面上の点であって、位置ずれ検出手段にレーザ光を照射する半導体レーザの位置に対応する1点と、傾き検出手段の位置に対応する他の1点との2点においてそれぞれ検出し、該2点における検出結果を基にして、上記XY平面における位置ずれ成分と中心軸を中心とする円方向の位置ずれ成分とが互いに干渉して生じる検出誤差を除去することを特徴とする位置ずれ評価方法。
【請求項6】
中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、被加工物に対して先端部分を回転させて加工を行う深穴加工工具と、該深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記深穴加工工具の姿勢を修正する姿勢修正手段とを有する深穴加工装置の誘導軸の加工目標軸からのずれを修正する光軸調整装置であって、
上記深穴加工工具の回転可能な先端部分における上記中心軸上に配置され、上記加工目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段と、
上記反射手段に対して加工目標軸上から光を照射する発光手段と、
予め深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から照射された光の反射光を受光して、上記深穴加工工具の誘導軸の上記加工目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えていることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項7】
上記深穴加工装置は、上記深穴加工工具の非加工側に、上記深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記深穴加工工具の上記加工目標軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の上記加工目標軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、
上記深穴加工工具と上記回転軸とを接続する位置に設置されており、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴加工工具のローリングを修正するローリング修正手段とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の光軸調整装置。
【請求項8】
先端部分を被加工物に対して回転させ、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、該深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記深穴評価プローブの姿勢を修正する姿勢修正手段とを有する深穴評価装置の誘導軸の測定目標軸からのずれを修正する光軸調整装置であって、
上記深穴評価プローブの回転可能な先端部分における深穴評価プローブの中心軸上に配置され、上記測定目標軸に対して垂直な平面を有する反射手段と、
上記反射手段に対して測定目標軸上から光を照射する発光手段と、
予め深穴評価プローブの中心軸と測定目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から発せられた光の反射光を受光して、上記深穴評価プローブの誘導軸の上記測定目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えていることを特徴とする光軸調整装置。
【請求項9】
上記深穴評価装置は、上記深穴評価プローブの非測定側に、上記深穴評価プローブの誘導軸と測定目標軸とが一致した状態における検出位置を認識しており、上記測定目標軸方向に対して垂直な平面における正常位置からの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、上記測定目標軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、
上記深穴評価プローブと上記測定軸と接続する位置に設置されており、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴評価プローブのローリングを修正するローリング修正手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載の光軸調整装置。
【請求項10】
上記発光手段は、レーザを照射することを特徴とする請求項6~9の何れか1項に記載の光軸調整装置。
【請求項11】
上記発光手段は、単波長光を照射することを特徴とする請求項6~10の何れか1項に記載の光軸調整装置。
【請求項12】
上記発光手段は、2種類の波長を含む光を照射することを特徴とする請求項6~10の何れか1項に記載の光軸調整装置。
【請求項13】
請求項6~12に記載の光軸調整装置による光軸調整方法であって、
上記発光手段から照射される光が上記深穴加工工具または深穴評価プローブの中心軸と平行になるように上記発光手段の配置を調整して、上記誘導軸と目標軸とを一致させた後、
上記中心軸に対して直角な平面上に上記反射手段を配置し、
該反射手段に対して上記発光手段から照射された光の反射光を検出する光軸ずれ検出手段を配置して、上記誘導軸と目標軸とが一致した状態における上記反射光の受光位置を認識させ、
上記深穴加工工具または深穴評価プローブの先端部分に上記反射手段を取り付けて、上記発光手段から上記反射手段に対して光を照射し、その反射光を上記光軸ずれ検出手段の上記認識させた受光位置において受光するように、上記姿勢修正手段によって、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの姿勢を修正することを特徴とする光軸調整方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、航空機のエンジンやランディングギア、加速器、新幹線の車軸、プラスチック射出成形機、印刷機の巻き取りシリンダ、火器、ドリルカラ等の深穴加工に適用できる深穴加工装置および深穴加工方法、深穴加工装置および深穴精度測定に使用される深穴評価装置ならびに位置ずれ評価方法、深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置、光軸調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、穴深さ/穴径の比が大きい穴の加工、いわゆる深穴加工に用いられる深穴加工工具および深穴加工方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レーザ誘導方式を採用した深穴加工装置および深穴測定装置が開示されている。
【0004】
上記公報に開示された深穴加工装置は、図28に示すように、下穴102を開けられた被加工物101に対して、回転駆動手段104の回転駆動をボーリングバー103を介して深穴加工工具105に与え、深穴加工工具105の先端部分を回転させながら、被加工物101を固定した送り台106を深穴加工工具105に向かって前進させることで深穴加工を実現している。
【0005】
また、深穴加工工具105の先端部分は、ボーリングバー103の回転軸線107を中心として回転する。このボーリングバー103の内部は中空になっており、この中空部分を通して吸引装置110に切り屑を排出する。
【0006】
なお、深穴加工工具105の回転する先端部分は、被加工物101と接触する側の先端に少なくとも1つの切刃を備え、被加工物101を切削する。
【0007】
さらに、深穴加工工具105とボーリングバー103とは、レックスカップリング111aを介して接続されている。
【0008】
そして、上記公報に開示された深穴加工装置100aは、深穴加工工具105による真直な深穴加工を可能にするために、深穴加工工具105の変位検出用半導体レーザ112および姿勢検出手段113と、深穴加工工具105の姿勢が乱れた場合には、深穴加工工具105の側面に備えられた圧電アクチュエータ115によって適正な姿勢に修正するように制御する制御装置114とを備えている。
【0009】
これにより、深穴加工工具105の先端部分を回転させた加工中に、深穴加工工具105の回転軸に沿った誘導軸線上からずれた場合でも、その位置ずれを検出して深穴加工工具105を適正な位置に戻すことにより、精度の高い真直な深穴の加工が可能になる。
【0010】
また、従来より、穴深さ/穴径の比が大きい穴、いわゆる深穴の加工や加工精度の測定に用いられる深穴加工装置および深穴評価装置が提供されている。
【0011】
このような深穴加工装置および深穴評価装置として、例えば、図33に示すように、深穴加工工具105の3次元の位置ずれを修正しながら深穴加工を行う深穴加工装置100bがある。
【0012】
深穴加工装置100bは、図33に示すように、先端部に回転しながら被加工物101を加工する切刃108を有し、側面部に位置ずれを修正するための圧電アクチュエータ115を備えた深穴加工工具105と、深穴加工工具105の切刃108を備えた先端部分を回転させる回転駆動を与えるボーリングバー103との間にアクティブローテーションストッパ111bを備えている。
【0013】
この深穴加工装置100bでは、深穴加工工具105における深穴加工工具105に接続されたボーリングバー103側に設けた半導体レーザ112’からミラー119に向けてレーザ光を照射する。そして、ミラー119からの反射光をビームスプリッタ118によりZ方向とY方向とに分離して、分離光を2次元PSD(Position-Sensitive Detector )113・114で受光することで、X方向およびY方向における深穴加工工具105の位置ずれを検出している。
【0014】
なお、上記Z方向はボーリングバー103の回転軸方向を示しており、X,Y方向はボーリングバー103の回転軸方向に対する直行方向を示している。
【0015】
さらに、深穴加工工具105の回転しない後端側の側面には、X,Y両方向の位置ずれを修正する圧電アクチュエータ115が前後各3個ずつ計6個設けられている。上記X,Y方向の位置ずれが検出された場合には、圧電アクチュエータ115が検出された位置ずれを修正するように被加工物101の内壁102との間で伸縮し、位置ずれを修正する。
【0016】
さらに、この圧電アクチュエータ115が設けられているアクチュエータ保持部は、加工中回転することなく、圧電アクチュエータ115により深穴加工工具105のX,Y両方向の位置ずれを修正する。しかし、アクチュエータ保持部は、アクティブローテーションストッパ111bの接続部分において、ボーリングバー103の回転軸を中心とする円方向におけるずれ、いわゆるローリングが発生するため、精度の高い深穴測定を行うためには、このローリングも修正する必要がある。
【0017】
アクティブローテーションストッパ111bは、このようなローリングが検出された場合に、適正な位置に深穴加工工具105を修正する機能を備えている。
【0018】
具体的には、半導体レーザ117からレーザ光をミラー119に対して照射し、ミラー119からの反射光を深穴加工工具105の後端部に設けられた一次元PSD120が受光してローリングを検出する。そして、アクティブローテーションストッパ111bに備えられた図示しない圧電アクチュエータによりローリングを修正する。
【0019】
以上の構成により、従来の深穴加工装置100bは、X,Y方向および円方向における深穴加工工具105の位置ずれを修正しながら深穴加工を行うことで、精度の高い深穴加工を行うことができる。
【0020】
さらに、従来より、穴深さ/穴径の比が大きい穴、いわゆる深穴の測定に用いられる深穴評価装置および深穴評価方法が提案されている。
【0021】
上記特開2000-246593号公報に開示された深穴評価装置は、下穴を開けられた被加工物に対して、深穴評価プローブの先端部分を回転させながら、被加工物を固定した送り台を深穴評価プローブに向かって前進させることで深穴精度を測定する。
【0022】
なお、深穴評価装置に内蔵されたステッピングモータにより回転する深穴評価プローブの先端部分には、測定ユニットが取り付けられており、深穴の内壁に測定ユニットの先端を当接させて深穴を測定する。
【0023】
さらに、深穴評価プローブと測定バーとは、フレックスカップリングを介して接続されている。
【0024】
そして、上記公報に開示された深穴評価装置は、深穴評価プローブによる高精度な深穴評価を可能にするために、深穴評価プローブの変位検出用半導体レーザおよび姿勢検出手段と、深穴評価プローブの姿勢が乱れた場合には、深穴評価プローブの側面に備えられた圧電アクチュエータによって適正な姿勢に修正するように制御する制御装置とを備えている。
【0025】
これにより、深穴評価プローブにより深穴を測定する際には、深穴評価プローブが中心軸に沿った誘導軸線上からずれた場合でも、その位置ずれを検出して深穴評価プローブを適正な位置に戻すことにより、高精度の深穴の測定が可能になる。
【0026】
【特許文献1】
特開2000-246593号公報(公開日:2000年9月12日)
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図28に示す上記公報の従来の深穴加工装置100aは、フレックスカップリング111aが、回転軸の中心軸方向の荷重を支えることができず、ボーリングバー103と深穴加工工具105とを直列に連結して使用することができないめ、深穴加工工具105の位置ずれが生じやすいという問題点を有している。
【0028】
よって、上記公報に開示された従来の深穴加工装置100aには、回転軸の中心軸方向の荷重をボーリングバー103に持たせ、ねじり剛性をフレックスカップリング111aに持たせ新しいタイプのカップリング方式が求められる。
【0029】
ところで、上記公報で使用されたフレックスカップリング111aの代替として、図29に示すように、深穴加工工具105のローリングを自分で修正することができるアクティブローテーションストッパ111bを用いた深穴加工装置100bが提案されている。
【0030】
例えば、深穴加工中の深穴加工工具105の正常位置からの位置ずれを修正する際に、深穴加工工具105のローリングが、±0.001°生じた場合には、変位検出用の半導体レーザ112’のX座標位置が36mm、Y座標位置が21mmの時に、X方向で±0.34μm、Y方向で±0.62μmの変位が生じる。よって、μm単位のオーダで深穴加工精度を制御するためには、深穴加工工具105のローリングを±0.001°以下に制御することが望ましい。
【0031】
このアクティブローテーションストッパ111bは、レバーと圧電アクチュエータとを備えており、図30(a)~(f)に示すように、半径方向のインチウォームで回転し、深穴加工工具105のローリングを修正することができる。
【0032】
しかしながら、このアクティブローテーションストッパ111bを使用した深穴加工装置105bでも、レバーと穴壁との間の摩擦係数が一定しなかったり、レバーを図30(b)および図30(e)に示すように、後方または前方のレバーが穴壁から外れるときに、アクティブローテーションストッパ111bが傾いてしまう等の問題が生じる。
【0033】
そこで、図31に示すように、レバーを3列にしたり32(a)~(e)に示すように、レバーの2列が常時穴壁に接するようにして、アクティブローテーションストッパ111bが傾かないようにする対策が採られているが、その場合でも深穴加工工具105のローリングを±0.001°以下に制御することは、困難である。
【0034】
さらに、アクティブローテーションストッパと深穴加工工具とを、両方の接続面に板を挟み、板とアクティブローテーションストッパと深穴加工工具との間を、スラストニードルベアリングによって連結した深穴加工装置もある。この深穴加工装置では、アクティブローテーションストッパと深穴加工工具とがフレキシブルに連結される。しかし、このアクティブローテーションストッパを用いた深穴加工装置でも、現状の技術レベルでは、深穴加工工具のローリングを±0.001°以下に制御し、μm単位の加工精度を実現した深穴加工装置を提供することはできない。
【0035】
また、上記従来の深穴加工工具をレーザ誘導方式深穴加工ロボットおよびレーザ誘導方式深穴内面研削加工ロボットに用いた場合においても、アクティブローテーションストッパ111b、深穴加工装置の固定軸との間に機械的拘束力を持たないため、加工中のトルクおよびスラストを直接受けてしまう。よって、アクティブローテーションストッパ111bのレバーは、このトルクおよびスラストを支えながら運動するため、レバーにおける対応する穴壁との接触状態も過酷になり、μm単位の精度の高い深穴加工を行うことはできない。
【0036】
以上のように、現状の技術レベルでは、アクティブローテーションストッパ111bを使用して、深穴加工工具105のボーリングバー103に対するローリングを±0.001°以下に抑え、μm単位の高精度の深穴加工を行うことは技術的に難しい。
【0037】
また、上述のような従来の深穴加工装置では、以下のような問題点を有しており、実際には高精度の深穴加工を行うことができない。
【0038】
すなわち、X,Y方向の位置ずれを検出する2次元PSD113・114は、X,Y方向の位置ずれが実際には無い場合でも、ローリングによる位置ずれをX,Y方向の位置ずれとして認識し、そのまま出力してしまう。
【0039】
さらに、ローリングを検出する1次元PSD120でも、ローリングが実際には無い場合でも、X,Y方向の位置ずれをローリングによる位置ずれと認識し、そのまま出力してしまう。
【0040】
このように、X,Y方向およびボーリングバー103の回転方向の位置ずれが互いに干渉するため、実際には、深穴加工工具105の位置ずれが正確に検出できない。よって、位置ずれの修正を正確に行うことができず、誤差を含んだ状態で深穴加工工具105を誘導しながらの深穴加工になってしまうため、μm単位のような高精度な深穴加工を実現できないという問題があった。
【0041】
さらに、上記公報の従来の深穴評価装置は、フレックスカップリングが、回転軸の中心軸方向の荷重を支えることができず、測定バーと深穴評価プローブとを直列に連結して使用することができないため、位置ずれが生じやすく、μm単位の高精度の深穴測定を実現できないという問題点を有している。
【0042】
よって、上記公報に開示された従来の深穴評価装置には、回転軸の中心軸方向の荷重を測定バーに持たせ、ねじり剛性をフレックスカップリングに持たせる新しいタイプのカップリング方式が求められる。
【0043】
さらに、上記公報で使用されたフレックスカップリングの代替として、図34に示すように、深穴評価プローブ201の位置ずれ(ローリング)を自分で修正することができるアクティブローテーションストッパ202を用いた深穴評価装置200が提案されている。
【0044】
例えば、深穴評価プローブ201の正常位置からの位置ずれを修正する際に、深穴評価プローブ201のローリングが、±0.001°生じた場合には、変位検出用半導体レーザ203のX座標位置が36mm、Y座標位置が21mmである時、深穴評価プローブ201の先端部分に備えられた測定ユニット204において、X方向で±0.34μm、Y方向で±0.62μmの変位が、変位検出用半導体レーザ203から照射される光を受光したPSD208・209によって検出される。よって、被加工物206をμm単位のオーダで深穴測定を行うためには、深穴評価プローブ201のローリングを±0.001°以下に制御することが望ましい。
【0045】
アクティブローテーションストッパ202は、レバーと圧電アクチュエータとを備えており、図30(a)~(f)に示すように、半径方向のインチウォームで回転し、深穴評価プローブ201のローリングを修正することができる。
【0046】
しかしながら、このアクティブローテーションストッパ202を使用した深穴評価装置200でも、レバーと穴壁との間の摩擦係数が一定しなかったり、レバーを図30(b)および図30(e)に示すように、後方または前方のレバーが穴壁から外れるときに、アクティブローテーションストッパ202が傾いてしまう等の問題が生じる。
【0047】
そこで、図31に示すように、レバーを3列にし、図32(a)~図32(e)に示すように、レバーの2列が常時穴壁に接するようにして、アクティブローテーションストッパ202が傾かないようにする対策が採られているが、その場合でも深穴評価プローブ201のローリングを±0.001°以下に制御することは、困難である。
【0048】
さらに、アクティブローテーションストッパ202と深穴評価プローブ201とを、両方の接続面に板を挟み、板とアクティブローテーションストッパ202と深穴評価プローブ201との間を、接続プレートとスラストニードルベアリングとによって連結した深穴評価装置もある。すなわち、この深穴評価装置200は、接続プレートと深穴評価プローブ201およびアクティブローテーションストッパ202とがスラストニードルベアリングによって接続されており、接続プレートが薄く撓み易いために、深穴評価プローブ201は、長手方向(Z軸方向)に関して自由に傾くことができる。つまり、アクティブローテーションストッパ202と深穴評価プローブ201とがフレキシブルに連結されている。しかし、この深穴評価装置でも、深穴評価プローブ201のローリングを±0.001°以下に制御し、μm単位の測定精度を実現した深穴評価装置を提供することができない。
【0049】
以上のように、現状の技術レベルでは、アクティブローテーションストッパ202を使用して、深穴評価プローブ201のローリングを±0.001°以下に抑え、μm単位の高精度の深穴測定を行うことは技術的に難しい。
【0050】
さらにまた、上述のような従来の深穴加工装置では、以下に示すような問題を有している。
【0051】
すなわち、高精度な深穴加工および深穴の形状評価を行うためには、深穴加工工具を目標軸に沿って誘導する必要があるが、従来の深穴加工装置では、加工前に誘導軸を加工目標軸に正確に合わせる調整が行われていないため、高精度な深穴加工を行うことができない。
【0052】
特に、従来の深穴加工装置では、深穴加工工具の後方に配置された光学系(変位検出用半導体レーザ等)を用いて深穴加工工具の姿勢を検出し、位置ずれ等を修正しながら深穴加工を行っている。このような深穴加工装置では、カウンタボーリングヘッドのシャンク部が深穴加工工具の後方まで伸びてボーリングバーと接続されているとともに、アクチュエータ保持部とカウンタボーリングヘッドとが、フレックスカップリングで連結されている。
【0053】
このため、加工前に、深穴加工工具の後方に配置された変位検出用半導体レーザから発せられるレーザを加工目標軸と平行な位置に正確に配置することが困難であることから、加工中に生じた誘導軸の加工目標軸からの傾きが生じ、高精度な深穴加工を行うことは難しい。
【0054】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度な深穴加工、深穴評価が可能な深穴加工装置および深穴加工方法、深穴評価装置ならびに位置ずれ評価方法、深穴評価方法、深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置および光軸調整方法を提供することにある。
【0055】
【課題を解決するための手段】
本発明の深穴加工装置は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、先端部を被加工物に対して回転させながら深穴加工を行う深穴加工工具と、上記深穴加工工具の正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれに応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段とを備えている深穴加工装置において、上記深穴加工工具と上記回転軸とは、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴としている。
【0056】
上記の構成によれば、ローリングおよび回転軸の中心軸方向の位置ずれの発生によって、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴加工工具を正確に正常位置へ修正することができないという問題を解決し、従来の深穴加工装置よりも精度の高い深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0057】
すなわち、従来の深穴加工装置のように、回転軸と深穴加工工具との間にフレックスカップリングを使用した場合には、深穴加工工具のローリングは抑えることができるものの、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性がなく、深穴加工工具を被加工物内で移動させる際に、位置ずれが生じやすい。よって、位置ずれ検出手段により検出される位置ずれに誤差が生じやすく、位置ずれ修正手段により適正な位置修正を行うことができない。
【0058】
そこで、本発明の深穴加工装置によれば、従来の深穴加工装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを抑え、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴加工装置において、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれを、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工装置のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0059】
本発明の深穴加工装置は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、先端部分を被加工物に対して回転させながら深穴加工を行う深穴加工工具と、上記中心軸に平行に光を照射する発光手段と、上記発光手段と対向する位置に設けられ、上記発光手段から照射された光を受光して、上記深穴加工工具の正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれ応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段とを備えている深穴加工装置において、上記深穴加工工具と上記回転軸とは、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴としている。
【0060】
上記の構成によれば、ローリングおよび回転軸の中心軸方向位置ずれの発生によって、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴加工工具を正確に正常位置へ修正することができないという問題を解決し、従来の深穴加工装置よりも精度の高い深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0061】
すなわち、従来の深穴加工装置のように、回転軸と深穴加工工具との間にフレックスカップリングを使用した場合には、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性がなく、深穴加工工具を被加工物内で移動させる際に、位置ずれが生じやすい。よって、位置ずれ検出手段により検出される位置ずれに誤差が生じやすく、位置ずれ修正手段により適正な位置修正を行うことができない。
【0062】
そこで、本発明の深穴加工装置によれば、従来の深穴加工装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを抑え、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴加工装置において、発光手段から発せられた光を受光することにより、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれを、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工装置のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0063】
本発明の深穴加工方法は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されている深穴加工工具の先端部分を被加工物に対して回転させながら深穴加工を行うとともに、発光手段から上記中心軸に平行に光を照射し、上記発光手段に対向する位置に設けられた深穴加工工具の位置ずれ検出手段がその光を受光して、深穴加工工具の正常位置からの位置ずれを検出し、上記深穴加工工具の外周部に配設された位置ずれ修正手段が、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮して、上記深穴加工工具の位置ずれを修正する深穴加工方法において、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた状態で深穴加工を行うことを特徴としている。
【0064】
上記の深穴加工方法によれば、深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における回転軸に対する位置ずれ、いわゆるローリングを防止することができるとともに、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を持たせた状態で深穴加工を行うことができるため、従来の深穴加工方法よりも精度のよい深穴加工が可能な深穴加工方法を提供できる。
【0065】
すなわち、従来の深穴加工方法のように、回転軸と深穴加工工具との間に回転軸と深穴加工工具との間にフレックスカップリングを使用した深穴加工装置を使用して深穴加工を行った場合には、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性がなく、深穴加工工具を被加工物内で移動させる際に、中心軸方向の位置ずれが生じやすい。よって、位置ずれ検出手段により検出される位置ずれに誤差が生じやすく、位置ずれ修正手段により適正な位置修正を行うことができない。
【0066】
そこで、本発明の深穴加工方法によれば、使用される深穴加工装置は、従来の深穴加工方法に使用される深穴加工装置におけるフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを防止し、回転軸の中心軸方向の荷重を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段から発せられた光を受光することにより、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれ、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工方法のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、つまり、穴の曲がりを従来のmm単位から向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工方法を提供できる。
【0067】
本発明の深穴加工装置は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、被加工物に対して回転しながら深穴加工を行う深穴加工工具と、上記深穴加工工具の上記回転軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の上記回転軸を中心とする円方向における正常位置からの傾きを検出する傾き検出手段と、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴加工工具と上記回転軸とを接続する接続手段に設けられており、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記傾き検出手段により検出された上記深穴加工工具の傾きを修正する傾き修正手段とを備えている深穴加工装置において、上記深穴加工工具における上記平面上に位置する2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出される、回転軸方向に対して垂直な平面における深穴加工工具の位置ずれと回転軸を中心とする円方向における深穴加工工具の傾きとが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、深穴加工工具の位置ずれの高精度の検出が可能になる。
【0069】
すなわち、回転軸方向に対して垂直な平面における深穴加工工具の位置ずれと回転軸を中心とする円方向における深穴加工工具の傾きとをそれぞれ検出し、修正することができる機能を備えた深穴加工装置では、検出された位置ずれ、傾き(ローリング)を示す成分にお互いの干渉成分(誤差)が含まれているため、実際の深穴加工工具の位置ずれ、傾きとは異なる検出結果となる。
【0070】
そこで、本発明の深穴加工装置によれば、深穴加工工具における回転軸方向に対して垂直な平面上において、位置ずれ、傾きを位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較する。ここで、実際の位置ずれおよび傾きは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、上記深穴加工工具の位置ずれよび傾きの高精度な算出が可能になる。
【0071】
これにより、正確に検出された位置ずれおよび傾きを位置ずれ修正手段および傾き修正手段により修正することで、従来よりも高精度な深穴加工を実現した深穴加工装置を提供できる。
【0072】
また、上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴加工工具の位置を検出する位置検出手段とを備えていることがより好ましい。
【0073】
これにより、発光手段と位置検出手段とを用いることで、深穴加工工具の位置ずれよび傾きを容易に検出することが可能になる。
【0074】
本発明の深穴評価装置は、上記の課題を解決するために、先端部分を被加工物に対して回転させ、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、上記深穴評価プローブの上記先端部分とは反対側に接続されており、上記中心軸に沿って配置された測定軸と、上記中心軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記中心軸を中心とする円方向における正常位置からの傾きを検出する傾き検出手段と、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴評価プローブと上記測定軸とを接続する接続手段に設けられており、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記傾き検出手段により検出された上記深穴評価プローブの傾きを修正する傾き修正手段とを備えている深穴評価装置において、上記深穴評価プローブにおける上記平面上に位置する2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えていることを特徴としている。
【0075】
上記の構成によれば、位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出される、中心軸方向に対して垂直な平面における深穴評価プローブの位置ずれと中心軸を中心とする円方向における深穴評価プローブの傾きとが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、深穴評価プローブの位置ずれ高精度な検出が可能になる。
【0076】
すなわち、中心軸方向に対して垂直な平面における深穴評価プローブの位置ずれと中心軸を中心とする円方向における深穴評価プローブの傾きとをそれぞれ検出し、修正することができる機能を備えた深穴評価装置では、検出された位置ずれ、傾きを示す成分にお互いの干渉成分が含まれているため、実際の深穴評価プローブの位置ずれ、傾きとは異なる検出結果となる。
【0077】
そこで、本発明の深穴評価装置によれば、深穴評価プローブにおける中心軸方向に対して垂直な平面上において、位置ずれ、傾きを位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較している。ここで、実際の位置ずれおよび傾きは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、上記深穴評価プローブの位置ずれおよび傾きの高精度な算出が可能になる。
【0078】
これにより、正確に検出された位置ずれおよび傾きを位置ずれ修正手段および傾き修正手段により修正することで、従来よりも高精度な深穴精度測定を実現した深穴評価装置を提供できる。
【0079】
また、上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴評価プローブの位置を検出する位置検出手段とを備えていることがより好ましい。
【0080】
これにより、発光手段と位置検出手段とを用いることで、深穴評価プローブの位置ずれおよび傾きを容易に検出することが可能になる。
【0081】
本発明の位置ずれ評価方法は、上記の課題を解決するために、装置のXY平面方向における位置ずれと、上記XY平面に垂直な直線(Z軸)を中心とする円方向の位置ずれをそれぞれ検出する位置ずれ評価方法において、上記XY平面における位置ずれと、XY平面に垂直な直線を中心とする円方向の位置ずれとを、装置の上記XY平面上の2点においてそれぞれ検出し、該2点における検出結果を基にして、上記XY平面における位置ずれ成分とXY平面の原点を中心とする円方向の位置ずれ成分とが互いに干渉して生じる検出誤差を除去することを特徴としている。
【0082】
上記の構成によれば、検出されたXY平面における装置の位置ずれとXY平面に垂直な直線を中心とする円方向における装置の位置ずれ(傾き)とが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、装置の位置ずれの高精度な検出が可能になる。
【0083】
すなわち、XY平面における装置の位置ずれと、XY平面に垂直な直線を中心とする円方向における装置の傾きとをそれぞれ検出し、修正することができる機能を備えた装置では、検出された位置ずれ、傾きを示す成分にお互いの干渉成分が含まれているため、実際の装置の位置ずれ、傾きとは異なる検出結果となる。
【0084】
そこで、本発明の位置ずれ評価方法によれば、装置のXY平面上における位置ずれ、およびXY平面に垂直な直線を中心とする円方向の位置ずれ(傾き)をそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較している。ここで、2点における装置の実際の位置ずれは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、高い精度での位置ずれおよび傾きの算出が可能になる。
【0085】
これにより、正確に検出された装置の位置ずれを適正な位置へ修正することで、従来よりも高精度な動作が可能な装置を提供できる。
【0086】
本発明の深穴評価装置は、上記の課題を解決するために、先端部分を被加工物に対して回転させて、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、上記深穴評価プローブの上記先端部分とは反対側に接続されており、上記中心軸に沿って配置された測定軸と、上記深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれに応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段とを備えている深穴評価装置において、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの回転の中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴としている。
【0087】
上記の構成によれば、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できる。
【0088】
すなわち、従来の深穴評価装置のように、測定軸と深穴評価プローブとの間にフレックスカップリングを使用した場合には、穴評価プローブのローリング抑えることができるものの、測定軸の中心軸方向の荷重に対する剛性なく、深穴評価プローブを被加工物内で移動させる際に、位置ずれが生じやすく、μm単位の高精度な深穴測定を行うことは困難であった。
【0089】
そこで、本発明の深穴評価装置によれば、従来の深穴評価装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを抑え、中心軸方向の荷重に対する剛性を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴評価装置において、深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ、位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出できる。よって、深穴評価プローブの位置を位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴測定を行うことができ、従来の深穴評価装置のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の精度での深穴測定が可能な深穴評価装置を提供できる。そして、従来の深穴評価装置では不可能であった超深穴の精度測定が可能な深穴評価装置を提供できる。
【0090】
本発明の深穴評価装置は、上記の課題を解決するために、先端部分を被加工物に対して回転させて、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、上記深穴評価プローブの上記先端部分とは反対側に接続されており、上記中心軸に沿って配置された測定軸と、上記中心軸に平行に光を照射する発光手段と、上記発光手段と対向する位置に設けられ、上記発光手段から照射された光を受光して、上記深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれ応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段とを備えている深穴評価装置において、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの上記中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴としている。
【0091】
上記の構成によれば、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できる。
【0092】
すなわち、従来の深穴評価装置のように、測定軸と深穴評価プローブとの間にフレックスカップリングを使用した場合には、穴評価プローブのローリングは抑えることができるものの、中心軸方向の荷重に対する剛性なく、深穴評価プローブを被加工物内で移動させる際に、位置ずれが生じやすく、測定誤差をμm単位に抑えた高精度な深穴測定を行うことは困難であった。
【0093】
そこで、本発明の深穴評価装置によれば、従来の深穴評価装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを抑え、中心軸方向の荷重に対する剛性を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴評価装置において、発光手段から発せられた光を受光することにより、深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ、位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出できる。よって、深穴評価プローブの位置を位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴測定を行うことができ、従来の深穴評価装置のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の精度での深穴測定が可能な深穴評価装置を提供できる。そして、従来の深穴評価装置では不可能であった超深穴の精度測定が可能な深穴評価装置を提供できる。
【0094】
本発明の深穴評価方法は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な深穴評価プローブの先端部分を被加工物に対して回転させて、上記中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定するとともに、上記深穴評価プローブに接続するように、上記測定側の反対側に上記中心軸に沿って測定軸を配置し、発光手段から上記中心軸に平行に光を照射し、上記発光手段に対向する位置に設けられた深穴評価プローブの位置ずれ検出手段がその光を受光して、深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ検出し、上記深穴評価プローブの外周部に配設された位置ずれ修正手段が、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮して、上記深穴評価プローブの位置ずれ修正する深穴評価方法において、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの回転の中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた状態で深穴加工精度を測定することを特徴としている。
【0095】
上記の深穴評価方法によれば、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸の中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できる。
【0096】
すなわち、従来の深穴評価方法のように、測定軸と深穴評価プローブとの間にフレックスカップリングを使用した深穴評価装置を使用して深穴精度測定を行った場合には、穴評価プローブのローリング抑えることができるものの、中心軸方向の荷重に対する剛性なく、深穴評価プローブを被加工物内で移動させる際に、位置ずれが生じやすく、測定誤差をμm単位に抑えた高精度な深穴精度測定を行うことは困難であった。
【0097】
そこで、本発明の深穴評価方法によれば、使用される深穴評価装置は、従来の深穴評価方法に使用される深穴評価装置におけるフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを防止し、中心軸方向の荷重を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段から発せられた光を受光することにより、深穴評価プローブの位置ずれ位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出することができる。よって、深穴評価プローブの位置ずれ位置ずれ修正手段により正確に修正しながら深穴精度測定を行うことで、従来の深穴評価方法のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の測定精度での深穴精度測定が可能な深穴評価方法を提供できる。
【0098】
本発明の深穴加工装置の光軸調整装置は、上記の課題を解決するために、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、被加工物に対して先端部分を回転させて加工を行う深穴加工工具と、該深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記深穴加工工具の姿勢を修正する姿勢修正手段とを有する深穴加工装置の誘導軸の加工目標軸からのずれを修正する光軸調整装置であって、上記深穴加工工具の回転可能な先端部分における上記中心軸上に配置され、上記加工目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段と、上記反射手段に対して加工目標軸上から光を照射する発光手段と、予め深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から照射された光の反射光を受光して、上記深穴加工工具の誘導軸の上記加工目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0099】
上記の構成によれば、加工開始前の深穴加工装置に対し、正確な光軸調整を行うことで、より高精度な深穴加工を実現できる。
【0100】
すなわち、本発明の深穴加工装置の光軸調整装置は、まず、深穴加工工具の加工側において加工目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段に対して、発光手段が加工目標軸上から光を照射し、この反射光を受光する位置に光軸ずれ検出手段を正確に配置する。
【0101】
このとき、深穴加工工具の誘導軸と加工目標軸とが一致している状態であることから、光軸ずれ検出手段において、一致状態における検出位置を認識することができる。
【0102】
そして、深穴加工工具の加工側先端部に反射手段を取り付け、再度、反射手段に対して、発光手段が加工目標軸上から光を照射し、光軸ずれ検出手段の上記一致状態における検出位置において該反射光を検出できるように、姿勢修正手段によって深穴加工工具の変位および傾き(Z軸方向)を調整することで、深穴加工工具の加工側先端部の中心を誘導軸上に移動させ、深穴加工工具を誘導軸に沿って誘導しながら深穴加工を行うことができる。
【0103】
これにより、加工前に誘導軸と加工目標軸とを一致させた後、加工を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と加工目標軸とのずれに起因する加工精度の低下を防止し、より高精度な深穴加工を実現できる。
【0104】
なお、加工目標軸とは、被加工物に対する深穴加工工具の理想的な進路であり、誘導軸とは、深穴加工工具が加工中に実際に誘導されていく進路である。そして、光軸調整とは、深穴加工工具の誘導軸と加工目標軸とを一致させることをいう。
【0105】
上記深穴加工装置は、上記深穴加工工具の非加工側に、上記深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記深穴加工工具の上記加工目標軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の上記加工目標軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴加工工具と上記回転軸とを接続する位置に設置されており、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴加工工具のローリングを修正するローリング修正手段とを備えていることがより好ましい。
【0106】
これにより、深穴加工工具の加工側における光軸調整が行われた後、上記誘導軸と加工目標軸とが一致した状態のまま深穴加工工具の非加工側に配置される、例えば、発光手段、受光手段等からなる位置ずれ・ローリング検出手段の配置位置を決定することで、加工中に生じた誘導軸と加工目標軸とのずれを、非加工側における位置ずれ、ローリング検出手段によって検出できる。
【0107】
つまり、加工側において光軸調整をした状態で、非加工側における位置ずれ・ローリング検出手段を正確に配置することで、加工開始後に、上記誘導軸と深穴加工工具とにずれが生じた場合には、該位置ずれ・ローリング検出手段による検出結果が、加工開始前とは異なる結果となる。
【0108】
よって、この異なる検出結果が生じた場合には、上記位置ずれ・ローリング修正手段によって、加工開始前の検出結果になるように深穴加工工具の姿勢を修正することで、常に誘導軸と深穴加工工具の加工側先端部の中心とが一致した状態で深穴加工を行うことができ、従来より高精度な深穴加工を行うことができる。
【0109】
本発明の深穴評価装置の光軸調整装置は、上記の課題を解決するために、先端部分を被加工物に対して回転させ、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、該深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記深穴評価プローブの姿勢を修正する姿勢修正手段とを有する深穴評価装置の誘導軸の測定目標軸からのずれを修正する光軸調整装置であって、上記深穴評価プローブの回転可能な先端部分における深穴評価プローブの中心軸上に配置され、上記測定目標軸に対して垂直な平面を有する反射手段と、上記反射手段に対して測定目標軸上から光を照射する発光手段と、予め深穴加工工具の誘導軸と測定目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から発せられた光の反射光を受光して、上記深穴評価プローブの誘導軸の上記測定目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0110】
上記の構成によれば、深穴の加工精度の測定開始前の深穴評価装置に対し、正確な光軸調整を行うことで、より高精度な深穴測定を実現できる。
【0111】
すなわち、本発明の深穴評価装置の光軸調整装置は、まず、深穴評価プローブの測定側において測定目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段に対して、発光手段が測定目標軸上から光を照射し、この反射光を受光する位置に光軸ずれ検出手段を正確に配置する。
【0112】
このとき、深穴評価プローブの誘導軸と測定目標軸とが一致している状態であることから、光軸ずれ検出手段において、一致状態における検出位置を認識することができる。
【0113】
そして、深穴評価プローブの測定側先端部に反射手段を取り付け、再度、反射手段に対して、発光手段が測定目標軸上から光を照射し、光軸ずれ検出手段の上記一致状態における検出位置において該反射光を検出できるように、姿勢修正手段によって深穴評価プローブの変位および傾き(Z軸方向)を調整することで、深穴評価プローブの測定側先端部の中心を誘導軸上に移動させることができる。
【0114】
これにより、測定前に誘導軸と測定目標軸とを一致させた後、測定を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と測定目標軸とのずれに起因する測定精度の低下を防止し、より高精度な深穴測定を実現できる。
【0115】
なお、測定目標軸とは、被加工物に対する深穴評価プローブの理想的な進路であり、誘導軸とは、深穴評価プローブが測定中に実際に誘導されていく進路である。そして、光軸調整とは、深穴評価プローブの誘導軸と測定目標軸とを一致させることをいう。
【0116】
上記深穴評価装置は、上記深穴評価プローブの非測定側に、上記深穴評価プローブの誘導軸と測定目標軸とが一致した状態における検出位置を認識しており、上記測定目標軸方向に対して垂直な平面における正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記測定目標軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれを修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴評価プローブと上記測定軸と接続する位置に設置されており、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴評価プローブのローリングを修正するローリング修正手段とを備えていることがより好ましい。
【0117】
これにより、深穴評価プローブにおける測定側において光軸調整が行われた後、上記誘導軸と測定目標軸とが一致した状態のまま深穴評価プローブの非測定側に配置される、例えば、発光手段、受光手段等からなる位置ずれ検出手段の配置位置を決定することで、測定中に生じた深穴評価プローブの誘導軸からのずれを、非測定側における位置ずれ検出手段およびローリング検出手段によって検出できる。
【0118】
つまり、測定側において光軸調整をした状態で、非測定側における位置ずれ・ローリング検出手段を正確に配置することで、測定開始後に、上記誘導軸と測定目標軸とにずれが生じた場合には、該位置ずれ・ローリング検出手段による検出結果が、測定開始前とは異なる結果となる。
【0119】
よって、この異なる検出結果が生じた場合には、上記位置ずれ・ローリング修正手段によって、測定開始前の検出結果になるように深穴評価プローブの姿勢を修正することで、常に深穴評価プローブの測定側先端の中心が誘導軸上に位置する状態で深穴測定を行うことができ、従来より高精度な深穴測定を行うことができる。
【0120】
このとき深穴評価プローブと回転軸とを結合させる部材として、アクティブローテーションストッパではなく、ローリング防止装置を用いることがより好ましい。深穴評価装置にローリング防止装置を用いた場合には、深穴評価プローブのローリングは生じないからである。なお、深穴加工装置の場合には、深穴加工工具に切削力がかかりローリングが生じる場合がある。この時は、ローリングの角度を検出して補正し、真のX,Y変位を求めればよい。
【0121】
上記発光手段は、レーザを照射することがより好ましい。
【0122】
これにより、ビームの広がりが小さく、指向性が鋭い等のレーザの特性を利用することにより、光軸ずれ検出手段、位置ずれ検出手段、ローリング検出手段等の検出精度を向上させることができる。
【0123】
上記発光手段は、単波長光を照射することがより好ましい。
【0124】
これにより、例えば、PSD等の光学系を2つ用い、各PSDにおける検出結果から簡単な演算によって、ずれ検出を行うことができるとともに、光学系を単純な構成にすることができる。
【0125】
上記発光手段は、2種類の波長を含む光を照射することがより好ましい。
【0126】
これにより、2種類の波長の光を光学系でそれぞれ検出することで、演算を経なくても位置ずれ直接検出することができる。
【0127】
本発明の光軸調整方法は、上記の課題を解決するために、上記光軸調整装置による光軸調整方法であって、上記発光手段から照射される光が上記深穴加工工具または深穴評価プローブの中心軸と平行になるように上記発光手段の配置を調整して、上記誘導軸と目標軸とを一致させた後、上記中心軸に対して直角な平面上に上記反射手段を配置し、該反射手段に対して上記発光手段から照射された光の反射光を検出する光軸ずれ検出手段を配置して、上記誘導軸と目標軸とが一致した状態における上記反射光の受光位置を認識させ、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの先端部分に上記反射手段を取り付けて、上記発光手段から上記反射手段に対して光を照射し、その反射光を上記光軸ずれ検出手段の上記認識させた受光位置において受光するように、上記姿勢修正手段によって、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの姿勢を修正することを特徴としている。
【0128】
上記の構成によれば、加工または測定開始前の深穴加工装置または深穴評価装置に対し、正確な光軸調整を行うことで、より高精度な深穴加工または深穴測定を実現できる。
【0129】
すなわち、本発明の光軸調整方法は、まず、深穴加工工具または深穴評価プローブの加工側または測定側において、目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段に対して、発光手段が目標軸上から光を照射し、この反射光を受光する位置に光軸ずれ検出手段を正確に配置する。
【0130】
このとき、深穴加工工具等の誘導軸と目標軸とが一致している状態であることから、光軸ずれ検出手段において、一致状態における検出位置を認識することができる。
【0131】
そして、深穴加工工具または深穴評価プローブの加工側、測定側先端部に反射手段を取り付け、再度、反射手段に対して、発光手段が目標軸上から光を照射し、光軸ずれ検出手段の上記一致状態における検出位置において該反射光を検出できるように、姿勢修正手段によって深穴加工工具等を移動させることで、深穴加工工具または深穴評価プローブの中心軸、すなわち誘導軸を目標軸と一致させることができる。
【0132】
これにより、加工あるいは測定前に誘導軸と目標軸とを一致させた後、加工あるいは測定を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と目標軸とのずれに起因する加工精度または測定精度の低下を防止し、より高精度な深穴加工、深穴測定を実現できる。
【0133】
なお、目標軸とは、被加工物に対する深穴加工工具または深穴評価プローブの中心軸の理想的な進路であり、誘導軸とは、深穴加工工具または深穴評価プローブが加工中あるいは測定中に実際に誘導されていく進路である。そして、光軸調整とは、深穴加工工具または深穴評価プローブの誘導軸と目標軸とを一致させることをいう。
【0134】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
本発明の深穴加工装置および深穴加工方法に関する一実施形態について、図1~図10に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0135】
なお、以下では深穴加工工具を備えた深穴加工装置について説明するが、この深穴加工装置は、レーザ誘導方式深穴内面研削加工工具、レーザ誘導方式深穴加工ロボット、レーザ誘導方式深穴内面研削加工ロボットも含んでいる。
【0136】
本実施形態のレーザ誘導方式を採用した深穴加工装置10aは、図1に示すように、ボーリングバー(回転軸)1aと深穴加工工具5aとの間に、従来の技術で説明したアクティブローテーションストッパの替わりに、カップリング2aを備えている点で従来の深穴加工装置と異なっている
【0137】
すなわち、本実施形態の深穴加工装置は、図1に示すように、下穴3を設けた被加工物4に対して、図示しない回転駆動手段の回転駆動をボーリングバー(回転軸)1aを介して深穴加工工具5aに与え、深穴加工工具5aの先端部分を回転させながら、被加工物4を固定したテーブル6を深穴加工工具5aに向かって前進させることで深穴加工を行う。
【0138】
深穴加工工具5aは、被加工物4と接触する位置に切刃8aを備え、加工中に回転する先端部分と、加工中の深穴加工工具5aの正常位置からの位置ずれを修正する圧電アクチュエータ15を備えたアクチュエータ保持部を含んで構成されている。そして、このアクチュエータ保持部は加工中も回転することなく、加工中の深穴加工工具5aの正常位置からの位置ずれを修正する。
【0139】
また、深穴加工工具5aの先端部分は、ボーリングバー1aの中心軸(主軸の中心線)7に沿った誘導軸線を中心として回転する。このボーリングバー1aの内部は中空になっており、この中空部分を通してボーリングバー1aの深穴加工工具5aと接続された側とは反対側の端部に接続された吸引装置11に切り屑を排出する。
【0140】
さらに、深穴加工工具5aとボーリングバー1aとは、カップリング(接続手段)2を介して接続されている。このカップリング2aは、トルクに対して十分剛性があるフレックスカップリングを用いている。
【0141】
なお、このカップリング2aについては、後段にて詳述する。
【0142】
そして、深穴加工装置10aは、深穴加工工具5aによる真直な深穴加工を可能にするために、深穴加工工具5aの変位検出用の半導体レーザ(発光手段)12および2次元PSD(Position-Sensitive Detector )(位置ずれ検出手段)13・14、ミラー19、ビームスプリッタ21を備えており、深穴加工工具5aの姿勢が乱れた場合、換言すれば、深穴加工工具5aの回転軸が、誘導軸線上からずれた場合および深穴加工工具5aの変位方向の位置ずれが生じた場合にも、深穴加工工具5aの側面に備えられた圧電アクチュエータ(位置ずれ修正手段)15によって適正な姿勢に修正される。
【0143】
さらに、深穴加工装置10aは、ローリング検出用の半導体レーザ(発光手段)18、1次元PSD(傾き検出手段)20を備えており、深穴加工工具5aのローリングを検出し、それを同じく圧電アクチュエータ15によって、深穴加工工具5aにおけるアクチュエータ保持部のローリングが0°になるように深穴加工工具5aの姿勢を修正する。
【0144】
また、干渉計16とコーナーキューブプリズム17とが備えられており、加工中の深穴加工工具5aの送りを検出する。
【0145】
圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aの側面に3個1組として、前後に2組備えられており、各組の3個の圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aの側面における、鉛直方向上頂点に1個、鉛直方向下底から左右に45°の位置に各1個ずつ配置されている。これにより、一方の組の圧電アクチュエータ15で誘導軸線上からのずれを修正し、両方の組の圧電アクチュエータ15でボーリングバー1aの回転軸の中心軸方向に平行な方向(加工方向)の位置ずれを修正できる。
【0146】
この圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aへの取付け側から加工穴の半径方向に向かって伸縮することができ、加工中は被加工物4の内壁へ当接することによって深穴加工工具5aを加工穴の半径方向に移動させたり、、前後両方の組の圧電アクチュエータ15を動作させて、深穴加工工具5aを平行移動させたりすることができる。
【0147】
なお、ここでいうローリングとは、深穴加工工具5a(アクチュエータ保持部)が加工中に切削力の影響および位置ずれの修正の際に働く力の影響を受けて、ボーリングバー1aの回転方向あるいは反対方向に回転してしまうことを指す。そして、このローリングが原因となって、深穴加工工具5aの位置ずれを修正する際に、位置ずれの検出にローリングに起因する誤差が含まれてしまうため、適正な位置ずれの修正ができず、加工精度が低下してしまうことが知られている。
【0148】
本実施形態の深穴加工装置10aによれば、深穴加工工具5aを回転させた加工中に、位置ずれ等を検出して深穴加工工具5aを適正な位置に戻すように修正する際に生じる深穴加工工具5aのローリングを最小限に抑えることができるため、圧電アクチュエータ15によって適正な位置ずれの修正が可能になり、従来の深穴加工装置より精度の高い真直な深穴加工が可能になる。
【0149】
ここで、深穴加工工具5aに回転駆動を与えるボーリングバー1aと深穴加工工具5aとの間に設けられたカップリング2aについて、図2を用いて説明すれば以下とおりである。
【0150】
カップリング2aは、図2に示すように、ボーリングバー1aと深穴加工工具5aとを距離lの間隔を保ちながら、アクチュエータ保持部に接続されている。
【0151】
このカップリング2aは、深穴加工工具5aのローリングを止めるために設けられたものであり、ーリング防止装置として使用されている。さらに、ボーリングバー1aは、深穴加工工具5aのアクチュエータ保持部に接続されており、ボーリングバー1aにボーリングバー1aの中心軸方向の荷重に対する剛性を持たせた構造になっている。
【0152】
以下で述べる実験に使用したカップリングは鍋屋工業製で、静的ねじりばね常数は、2500Nm/rad(0.0025°/kg・cm)である。
【0153】
また、本実施形態の深穴加工装置10aに使用可能な三木プーリ製の静的ねじりばね常数は、378000Nm/rad(0.000149°/kg・cm)であり、ねじり剛性の高いカップリングを製作している。
【0154】
図1に示す深穴加工工具5aにおいては、加工中にボーリングバー1aの位置と深穴加工工具5aの間隔は変化せず、カップリング2aは移動しない。従って、図2に示すカップリング2aの距離lも測定中変化しない。
【0155】
また、深穴加工装置10aでは、深穴加工工具5aの位置ずれを圧電アクチュエータ15を用いて修正する際の深穴加工工具5aのローリングを低減するために、カップリング2aのねじり剛性を高める必要がある。また、カップリングには、軸方向の切削力に耐えうる剛性が必要である。市販のカップリングは、このボーリングバー1aの中心軸方向の荷重に対する剛性を有していない。
【0156】
そこで、本実施形態の深穴加工工具5aの場合には、このボーリングバー1aの中心軸方向の荷重に対する剛性をボーリングバー1aに負担させるような構造になっている。このボーリングバー1aは、長さが長いため、ボーリングバー1aの撓みに対する剛性は低いが、ボーリングバー1aの伸縮に対する剛性は高い。
【0157】
よって、本実施形態の深穴加工装置10aで使用するカップリング2aは、市販のフレックスカップリングにボーリングバー1aの中心軸方向の荷重に対する剛性を追加する形の新構造になっているといえる。
【0158】
ここで、図1に示す深穴加工装置10aにおけるローリング防止装置として、以上のようなカップリング2aを用いて深穴加工を行う実験結果、および深穴加工精度について調べた実験結果について、図3~図7を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0159】
図3~図5では、深穴加工工具5aにおける駆動側(後方)の1組の3個の圧電アクチュエータ15のそれぞれにかかる電圧を示している。各圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aの駆動側(加工側とは反対側)からみて、上から反時計回りに4ch,5ch,6chとし、それぞれ図3,図4,図5に対応している。
【0160】
深穴加工装置10aは、加工中に、図3~図5のグラフに示すように、3個の圧電アクチュエータ15にそれぞれグラフで示すような電圧が与えられ、深穴加工工具5aの位置ずれを修正した。
【0161】
なお、本実施形態の深穴加工装置10aでは、前方の組の3個の圧電アクチュエータ15は、加工中の深穴加工工具5aを誘導するための軸を決定するときだけに使用されるものである。
【0162】
また、本実施形態の深穴加工装置10aを用いて深穴加工を行い、その加工精度について調べた実験結果について、図6および図7を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0163】
本実験結果では、図6および図7に示すように、深穴加工工具5aは、被加工物4へ噛み込まれた状態から、-X,-Y方向へ進み始めていることが分かる。また、X方向に関しては、図3~図5に示すように、5chの圧電アクチュエータ15の電圧が下がり始め、6chの圧電アクチュエータ15の電圧が幾分高くなり、深穴加工工具5aの後端が-X方向へ移動し、深穴加工工具5aの傾きを+X方向へ制御していることがわかる。Y方向に関しては、図3に示すように、4chの圧電アクチュエータ15の電圧が高くなって、深穴加工工具5aの後端を下げ始め、深穴加工工具5aの-Y方向への変位を修正している。そして、加工穴の深さが75mm以上になると、定常状態へ移行していることが分かる。
【0164】
ここでさらに、上記深穴加工装置10aにより加工された深穴の加工精度について、図8に示す深穴測定器を用いて測定した結果について、図9、図10を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0165】
測定では、図8に示すように、深穴加工装置10aのローリング防止装置としてのカップリング2aの先端に、電気マイクロメータをセットしたマグネットスタンドを固定し、テーブルに固定した被加工物を方向に送りながら、被加工物の内壁に電気マイクロメータを当接させ、加工穴の4方向±X,±Yを測定して深穴の加工精度を測定した。
【0166】
加工穴の中心の曲がりは、+Xと-Xとの変位の平均値X、+Yと-Yとの変位の平均値Yとして求めた。
【0167】
また、グラフ内における細線は、深穴加工工具5aの誘導軸線を示しており、この誘導軸線の設定は、深穴加工工具5aをガイドブシュへ挿入し、2組6個の圧電アクチュエータ15を等量開くことによって行われる。なお、この誘導軸線の設定時には誤差が生じ、誘導軸線が傾いていた。
【0168】
X方向の変位については、図9のグラフに示すように、深穴加工工具5aの誘導軸線を示す細線からの位置ずれは、0~+6μm程度であることがわかる。
【0169】
次に、Y方向の変位についても、図10のグラフに示すように、深穴加工工具5aの誘導軸線を示す細線からの位置ずれは、-12~2μm程度であることがわかる。
【0170】
以上の実験結果から、本発明の深穴加工装置10aにより加工された深穴は、真直度14μm程度の加工精度であることが分かった。
【0171】
よって、本発明の深穴加工装置10aによれば、深穴加工工具5aのローリングを±0.001°以下に抑え、深穴加工工具5aの位置ずれを正確に修正することで、μm単位の加工精度を実現することができた。
【0172】
これにより、本発明の深穴加工装置10aを使用して、例えば、直径110mmの深穴加工を行った場合には、加工穴の深さは最低2mまで可能となる。
【0173】
ローリング防止装置としてカップリング2aを用いた深穴加工工具5aでは、最小径75mm、穴深さ2mでの実用化が可能である。これよりも直径が大きいものであれば、実用化に問題はなく、穴の深さも穴径に応じて深くすることができる。
【0174】
従来の深穴加工装置によれば、加工穴は通常1mあたりmm単位のオーダーの加工精度でしか加工できない。よって、本発明の深穴加工装置10aで実現できた加工精度は、これまで実現できなかった高精度深穴加工であるといえる。
【0175】
また、本実施形態の深穴加工装置では、深穴加工装置10aを改良し、制御方法を発展させることによりさらなる加工精度の向上を図ることができる。
【0176】
なお、本実施形態では、位置ずれ修正手段として圧電アクチュエータを用いた深穴加工装置を例を挙げて説明したが、これに限定されるものでない。例えば、圧電アクチュエータの代替として、カムやリニアアクチュエータ等を用いた場合でも、上記と同様に、μm単位の精度での深穴加工が可能な深穴加工装置を得ることができる。
【0177】
また、本発明は、中心軸を中心として回転可能な回転軸と接続されており、先端部分が被加工物に対して回転しながら深穴加工を行う深穴加工工具と、上記深穴加工工具の正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれに応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段と、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するローリング防止手段とを備えている深穴加工装置において、上記深穴加工工具と上記回転軸とは、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴とする深穴加工装置と表現してもよい。
【0178】
また、本発明の深穴加工装置は、レーザ誘導方式深穴加工において、ーリングヘッドおよびアクチュエータ保持部を備えた深穴加工工具と、深穴加工装置の固定軸との間に深穴加工工具の回転を防止するカップリングを備えたことを特徴とする深穴加工方法および装置と表現してもよい。
【0179】
これにより、上記何れの深穴加工装置であっても、本実施形態で説明したように、μm単位の高精度で深穴加工を実現できる。
【0180】
そして、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を有するとともに、深穴加工工具のローリングを抑え、μm単位の高精度な深穴加工が可能な深穴加工装置および深穴加工方法を提供することができる。
【0181】
〔実施形態2〕
本発明の深穴加工装置および深穴評価装置ならびに位置ずれ評価方法に関する一実施形態について、図11・図12に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0182】
なお、説明の便宜上、上記実施形態1において説明した図面に記載された部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記しその説明を省略する。
【0183】
本実施形態の深穴加工装置10bは、図11に示すように、従来の深穴加工装置100bと比較して、検出された深穴加工工具の位置ずれから位置ずれ干渉成分を除去し、実際の正確な位置ずれを算出するための制御装置(制御手段)30を備えている点で異なっているが、他の構成については同様である。
【0184】
本実施形態の深穴加工装置10bは、図11に示すように、下穴を設けた被加工物4に対して、図示しない回転駆動手段の回転駆動をボーリングバー1aを介して深穴加工工具5aに与え、深穴加工工具5aの先端部分を回転させながら、被加工物4を固定したテーブル6を深穴加工工具5aに向かって前進させることで深穴加工を行う。
【0185】
深穴加工工具5aは、被加工物4と接触する位置に切刃8aを備え、加工中に回転する先端部分と、ボーリングバー1aの回転軸方向に対して垂直な平面における加工中の深穴加工工具5aの正常位置からの位置ずれを修正する圧電アクチュエータ(位置ずれ修正手段)15を備えた圧電アクチュエータ保持部とを含んで構成されている。そして、この圧電アクチュエータ保持部は加工中も回転することなく、圧電アクチュエータ15により加工中の深穴加工工具5aの正常位置からの位置ずれが修正される。
【0186】
また、深穴加工工具5aの先端部分は、ボーリングバー1aの中心軸(主軸の中心線)7に沿った誘導軸線を中心として回転する。このボーリングバー1aの内部は中空になっており、この中空部分を通してボーリングバー1aの深穴加工工具5aと接続された側とは反対側の端部に接続された吸引装置11に切り屑を排出する。
【0187】
さらに、深穴加工工具5aとボーリングバー1aとは、直接接続されている。このアクティブローテーションストッパ2bは、深穴加工工具5aのボーリングバー1aの回転軸を中心とする円方向の位置ずれ、いわゆるローリングを修正するための図示しない圧電アクチュエータ(傾き修正手段)とレバーとを内部に備えている。
【0188】
なお、ここでいうローリングとは、深穴加工工具5a(アクチュエータ保持部)が加工中に切削力の影響および位置ずれ等の修正の際に働く力の影響を受けて、ボーリングバー1aの回転方向あるいは反対方向に回転してしまうことを指す。
【0189】
そして、深穴加工装置10bは、深穴加工工具5aによる真直な深穴加工を可能にするために、深穴加工工具5aの変位検出用の半導体レーザ(発光手段)12および2次元PSD(Position-Sensitive Detector )(位置ずれ検出手段)13・14を備えており、深穴加工工具5aの姿勢が乱れた場合、換言すれば、深穴加工工具5aの回転軸が、誘導軸線上からずれた場合には、深穴加工工具5aの側面に備えられた圧電アクチュエータ15によって適正な姿勢に修正される。
【0190】
さらに、深穴加工装置10bは、ローリング検出用の半導体レーザ(発光手段)17、ミラー19、1次元PSD(傾き検出手段)20、ビームスプリッタ21を備えており、深穴加工工具5aのローリングを検出し、アクティブローテーションストッパ2b内部に備えられた図示しない圧電アクチュエータによって、深穴加工工具5aのローリングが0°になるように深穴加工工具5aの位置、すなわち、ボーリングバー1aの傾きを修正する。
【0191】
また、圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aの側面に3個1組として、前後に2組備えられており、各組の3個の圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aの側面において、鉛直方向の上部に1個、鉛直方向の下部から左右に45°の位置に2個となるように配置されている。この圧電アクチュエータ15のうち、一方の組の圧電アクチュエータ15を用いて誘導軸線上からのずれを修正できる。
【0192】
この圧電アクチュエータ15は、深穴加工工具5aへの取付け側から加工穴の半径方向に向かって伸縮することができ、加工中は被加工物4の内壁へ当接することによって深穴加工工具5aを加工穴の半径方向に移動させたり、前後両方の組の圧電アクチュエータ15を動作させて、深穴加工工具5aを平行移動させたりすることができる。
【0193】
ここで、本実施形態の深穴加工装置10bに備えられた位置ずれ検出手段として使用されている1次元PSD20および2次元PSD13・14による位置ずれ検出方法について、より詳しく説明すれば以下の通りである。
【0194】
深穴加工装置10bは、従来の技術で説明したように、深穴加工工具5aにおける深穴加工工具5aに接続されたボーリングバー1a側に設けた半導体レーザ12からミラー19に向けてレーザ光を照射する。そして、ミラー19からの反射光をビームスプリッタ21によりX方向と方向とに分離して、分離光を2次元PSD(Position-Sensitive Detector )13・14で受光することで、X方向およびY方向における深穴加工工具5aの位置ずれを検出する。より詳しくは、ミラー19からの反射光をビームスプリッタ21によりX方向と方向とに分離して、分離光を2次元PSD(Position-Sensitive Detector)13・14で受光し、各PSD13・14上のレーザ光のスポットの,Y座標と両PSD間の距離より深穴加工工具5aの位置ずれ算出する。
【0195】
さらに、半導体レーザ18からレーザ光をミラー19に対して照射し、深穴加工工具5aの後端部に設けられた一次元PSD20がミラー19からの反射光を受光してローリングを検出する。
【0196】
このように、深穴加工装置10bは、X,Y方向およびローリングによるそれぞれの位置ずれを検出し、深穴加工工具5aに備えられた圧電アクチュエータ15、アクティブローテーションストッパ2bに備えられた図示しない圧電アクチュエータにより、位置ずれを修正して、深穴加工工具5aが常に正しい姿勢で深穴加工を行うことができるように制御している。
【0197】
本実施形態の深穴加工装置10bでは、以上のような深穴加工工具5aの位置ずれ検出に際し、X,Y方向の位置ずれおよびローリングによる位置ずれが互いに干渉することで生じる検出誤差を除去して、正確な位置ずれ検出を行うことができる。
【0198】
1次元PSD20を含む深穴加工工具5aの断面で考えれば、半導体レーザ12の発光部は1次元PSD20と同一断面に設けられている。また、1次元PSD20および半導体レーザ12の発光部は、深穴加工工具5aの後端側面に配置されている。
【0199】
よって、姿勢検出用の半導体レーザ12に着目すれば、図12に示すように、SD1の位置から、ローリングによる実際の位置ずれ(以下、実際の傾きと示す)θの影響を受け、SD2の位置に移動し、実際の変位(x,y)が生じて、SD3の位置へ移動したとする。同様に、ローリング検出用の1次元PSD20が、実際の傾きθおよび実際の変位(x,y)により、SR1の位置からSR2,SR3の位置へ移動したとする。
【0200】
ここで、1次元PSD20により検出されるSD1からSD3への半導体レーザ12の移動量を(xPSD,yPSD)とすれば、実際の変位(x,y)は、それぞれ以下の式で示すことができる。
【0201】
x=(xPSD+Rcosθ)-Rcos(θ+θ) (1)
y=(yPSD+Rsinθ)-Rsin(θ+θ) (2)
さらに、ローリング検出用の1次元PSD20のSR1からSR3へのY方向移動量の測定値をyPSDとすれば、1次元PSD20により検出されるY方向の実際の変位yは以下の式で示すことができる。
【0202】
y=(yPSD十Rsinθ)-Rsin(θ十θ) (3)
Y方向の変位yPSDは、半導体レーザ17のビームを水平にし、1次元PSD20をY方向に設置することで測定できる。これにより、式(1)~式(3)から、干渉成分であるSD1,SR1を含まない実際の変位(x,y)と実際の傾きθとを算出できる。
【0203】
つまり、本発明の位置ずれ評価方法では、同一XY平面上に位置する2点についてそれぞれ位置ずれSD3,SR3を検出する。しかし、この検出された2点の位置ずれSD3,SR3には、それぞれX,Y方向の変位とX,Y軸の交点(原点)を中心とする回転方向の変位とが互いに干渉し、SD1,SR1で示される干渉成分が含まれている。そこで、同一平面上に位置している2点の実際の変位(x,y)および実際の傾きθは等しいはずであるから、検出された2点の位置ずれSD3,SR3と、SD3,SR3から実際の傾きθの成分を除去したSD2,SR2と、干渉成分SD1,SR1とを基にして、実際の変位(x,y)および実際の傾きθを算出することができる。
【0204】
なお、上記の位置ずれ評価方法では、Y方向について式(3)を作成したが、これに限定されるものではない。例えば、X方向について式(3)をたて、1次元PSD20を水平方向に設置し、xPSDを半導体レーザ18のビームを垂直方向に照射して測定した場合でも、同様にx,y,θを算出できる。
【0205】
ここで算出した実際の変位、実際の傾きに基づいて、深穴加工工具5aによる高精度深穴加工に重要な深穴加工工具5aの先端部分の変位および傾きの値は、以下のようにして求めればよい。
【0206】
2次元PSD13・14の測定値から、その後端の変位を求める式から上記x,yの値を用いて逆算することにより、実際の傾きを算出できる。さらに、それらの後端における変位および傾きが分かれば、先端における変位および傾きは幾何学的に容易に算出することができる。
【0207】
以上のように、本実施形態の位置ずれ評価方法によれば、位置ずれ検出手段である1次元PSD20および2次元PSD13・14により検出される位置ずれから干渉成分を分離して、実際の変位(x,y)と実際の傾きθとを算出することができる。よって、本発明により、深穴加工工具5aの正確な位置ずれおよびローリングが検出できるようになり、それらを正確に修正するように制御することが可能となった。これにより、従来の技術では実現できなかったレベルの高精度深穴加工が実現できる。
【0208】
なお、本実施形態では、深穴加工装置10bを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、同様の機構を使用する、深穴評価装置(深穴評価プローブ)に、本発明の干渉成分の分離方法を適用した場合でも、深穴評価プローブの実際の変位と実際の傾きとを算出でき、誤差の無い正確な位置ずれ修正を行うことで、より高精度な深穴精度測定を行うことができる。
【0209】
また、本実施形態では、位置ずれの検出において、1次元PSD20、2次元PSD13・14、半導体レーザ12・18を使用しているが、これに限定されるものではない。例えば、半導体レーザ18を点ビームにして、1次元PSD20を2次元PSD13・14にすることも可能である。さらに、1次元PSD20を半導体レーザ18の側に設置し、1次元PSD20をコーナキューブプリズムに置き換えて測定することも可能である。
【0210】
さらに、本発明は、本実施形態で説明した深穴加工装置や深穴評価装置の技術範囲に留まらず、他の分野への適用も可能である。例えば、本実施形態の深穴加工装置10bと同様に、(x,y)方向の変位(位置ずれ)とxy軸の交点における回転方向の変位(ローリング)とを検出し、その検出結果に基づいて、位置を修正する機構を備えた装置であれば、上記と同様の方法により、(x,y)方向の変位とxy軸の交点における回転方向の変位との干渉による誤差を除去し、正確な位置ずれを検出してそれを修正することで、より高精度な制御が可能な装置を得ることができる。
【0211】
そして、回転軸方向に垂直な平面における位置ずれおよびローリングによる傾きの干渉成分による影響を取り除いて、深穴加工工具および深穴評価プローブの実際の位置ずれを検出することができる深穴加工装置および深穴評価装置ならびに位置ずれ評価方法を提供することができる。
【0212】
〔実施形態3〕
本発明の深穴評価装置および深穴評価方法に関する一実施形態について、図13~図17を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0213】
なお、説明の便宜上、上記実施形態1・2において説明した図面に記載された部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記しその説明を省略する。
【0214】
本実施形態のレーザ誘導方式を採用した深穴評価装置10cは、図13に示すように、測定バー(測定軸)と深穴評価プローブ5bとの間に、従来の技術で説明したアクティブローテーションストッパの替わりに、カップリング2aを備えており、ボーリングバーの替わりに設けられた測定バー1bが回転しない点で従来の深穴評価装置と異なっている。
【0215】
すなわち、本実施形態の深穴評価装置は、図13に示すように、深穴3を加工された被加工物4に対して、深穴評価プローブ5b内に備えられたステッピングモータの回転駆動を深穴評価プローブ5bの先端部分に取り付けられた測定ユニット8bに与え、測定ユニット8bを回転させながら、被加工物4を固定したテーブル6を深穴評価プローブ5bに向かって前進させることで深穴の測定を行う。
【0216】
深穴評価プローブ5bは、測定ユニット8bと、深穴評価プローブ5bの正常位置からの位置ずれを修正する圧電アクチュエータ15を備えた圧電アクチュエータ保持部とを含んで構成されている。そして、この圧電アクチュエータ保持部は回転することなく、深穴の測定中において深穴評価プローブ5bの正常位置からの位置ずれを修正する。
【0217】
また、深穴評価プローブ5bの先端部分に取り付けられた測定ユニット8bは、測定バー1bの中心軸7に沿った誘導軸線を中心として回転する。
【0218】
さらに、深穴評価プローブ5bと測定バー1bとは、カップリング(接続手段)2aを介して接続されている。このカップリング2aは、回転方向のトルクに対して十分剛性があるフレックスカップリングを用いている。
【0219】
なお、このカップリング2aについては、後段にて詳述する。
【0220】
そして、深穴評価装置10cは、深穴評価プローブ5bによる深穴の高精度測定を可能にするために、深穴評価プローブ5bの変位を検出する変位検出用半導体レーザ(発光手段)12および2次元PSD(Position-Sensitive Detector )(位置ずれ検出手段)13・14、ミラー19、ビームスプリッタ21を備えており、深穴評価プローブ5bの姿勢が乱れた場合、換言すれば、深穴評価プローブ5bの回転の中心軸が、誘導軸線上からずれた場合、および測定バー1bの中心軸方向に平行な方向における深穴評価プローブ5bの位置ずれが生じた場合についても、深穴評価プローブ5bの側面に備えられた圧電アクチュエータ(位置ずれ修正手段)15によって適正な姿勢、位置に修正される。
【0221】
さらに、深穴評価装置10cは、ローリング検出用半導体レーザ(発光手段)18、1次元PSD(傾き検出手段)20を備えており、深穴評価プローブ5bのローリングを検出し、同じく圧電アクチュエータ15によって、深穴加工工具5aにおけるアクチュエータ保持部のローリングが0°になるように深穴加工工具5aの位置を修正する。
【0222】
また、干渉計16とコーナーキューブプリズム17とが備えられており、深穴評価プローブ5bの変位方向の送りを検出している。
【0223】
また、圧電アクチュエータ15は、深穴評価プローブ5bの側面に3個1組として、前後に2組備えられており、各組の3個の圧電アクチュエータ15は、深穴評価プローブ5bの側面における、鉛直方向上頂点に1個、鉛直方向下底から左右に45°ずつの位置に2個配置されている。これにより、一方の組の圧電アクチュエータ15で深穴評価プローブ5bの誘導軸線上からのずれを修正し、両方の組の圧電アクチュエータ15で測定バー1bの中心軸方向に平行な方向の位置ずれを修正できる。
【0224】
この圧電アクチュエータ15は、深穴評価プローブ5bへの取付け側から加工穴の半径方向に向かって伸縮することができ、定中は被加工物4の内壁へ当接することによって深穴評価プローブ5bを加工穴の半径方向に移動させたり、前後両方の組の圧電アクチュエータ15を動作させて、深穴評価プローブ5bを測定穴内において平行移動させたりすることができる。
【0225】
なお、ここでいうローリングとは、深穴評価プローブ5bが測定中に位置ずれの修正を行う際に、深穴評価プローブ5bにおける圧電アクチュエータ保持部が、測定バー1bの回転方向あるいはその反対方向にずれてしまうことを指す。そして、このローリングが原因となって、深穴評価プローブ5bの位置ずれを修正する際に、位置ずれの検出にローリングに起因する誤差が含まれてしまうため、深穴評価プローブ5bの位置ずれを適正に修正できず、測定精度が低下してしまうことが知られている。
【0226】
本実施形態の深穴評価装置10cによれば、深穴評価プローブ5bの先端部分の測定ユニット8bを回転させた測定中に、位置ずれ等を検出して深穴評価プローブ5bを適正な位置に戻すように修正する際に生じる深穴評価プローブ5bのローリングを最小限に抑えることができる。これにより、ローリングによる誤差が検出された位置ずれに混入しないため、圧電アクチュエータ15によって適正な位置ずれの修正が可能になり、従来の深穴評価装置よりも高精度の深穴測定が可能になる。
【0227】
ここで、測定バー1bと深穴評価プローブ5bとの間に設けられたカップリング2aについて、図14を用いて説明すれば以下とおりである。
【0228】
カップリング2aは、図14に示すように、測定バー1bと深穴評価プローブ5bとを距離lの間隔を保ちつつ、深穴評価プローブ5bのアクチュエータ保持部に接続されている。
【0229】
このカップリング2aは、深穴評価プローブ5bにおける圧電アクチュエータ保持部のローリングを防止するために設けられたものであり、ーリング防止装置として使用されるとともに、測定バー1bの中心軸方向の荷重に対する剛性を測定バー1bに持たせた構造になっている。
【0230】
以下で述べる実験に使用したカップリングは鍋屋工業製で、静的ねじりばね常数は、2500Nm/rad(0.0025°/kg・cm)である。
【0231】
また、本実施形態の深穴評価装置10cに使用可能な三木プーリ製の静的ねじりばね常数は、378000Nm/rad(0.000149°/kg・cm)であり、ねじり剛性の高いカップリングを製作している。
【0232】
図13に示す深穴評価プローブ5bにおいては、測定中に測定バー1bの位置と深穴評価プローブ5bの間隔は変化せず、カップリング2aは移動しない。従って、図14に示すカップリング2aの距離lも測定中変化しない。
【0233】
また、深穴評価装置10cでは、深穴評価プローブ5bの位置ずれ圧電アクチュエータ15を用いて修正する際の深穴評価プローブ5bのローリングを低減するために、カップリング2aに測定バー1bの中心軸方向の荷重に剛性を持たせることが望ましいが、市販のカップリングは、この測定バー1bの中心軸方向の荷重に対する剛性を有していない。
【0234】
そこで、本実施形態の深穴評価プローブ5bの場合には、この測定バー1bの中心軸方向の荷重に対する剛性を測定バー1bに負担させるような構造になっている。この測定バー1bは、長さが長いため、測定バー1bの撓みに対する剛性は低いが、測定バー1bの伸縮に対する剛性は高い。
【0235】
よって、本実施形態の深穴評価装置10cで使用するカップリング2aは、市販のフレックスカップリングに測定バー1bの中心軸方向の荷重に対する剛性を追加する形の新構造になっているといえる。
【0236】
ここで、本実施形態の深穴評価装置10cを使用して、深穴の真直度測定を行った結果について、図15~図17を用いて説明すれば、以下の通りである。
【0237】
本発明の深穴評価装置10cによる深穴の測定では、深穴評価プローブ5bの制御は前方の3個の圧電アクチュエータ15の中心および後方の3個の圧電アクチュエータ15の中心が常に誘導軸上にくるように制御されている。
【0238】
測定時のテーブル6の送り速度は100mm/minであり、深さh=199mmから前方の圧電アクチュエータ15のサポーティングパッド(圧電アクチュエータと穴壁が接する所)が被加工物の加工穴に挿入される。
【0239】
深穴評価プローブ5bにより、被加工物の内壁の+X方向壁を走査して深穴の真直度を測定した測定結果は、図15(a)に示すようなグラフとなった。
【0240】
一方、ローリング防止装置としてのカップリング2aの替わりにダイヤルゲージスタンドおよび電気マイクロメータを取り付けて固定軸から測定した真直度は、図15(b)に示すようなグラフとなった。なお、両者はミクロンオーダーでよく対応しているものとする。
【0241】
図15(a)および図15(b)とを比較して、本実施形態の深穴評価装置10cによる測定誤差を算出すると、形状に関してはミクロンオーダーで対応しており、μm単位の高精度測定が可能になったことが分かる。
【0242】
また、別の方法で深穴の評価を行った測定結果として、本発明の深穴評価装置10cを用いた測定結果を図16(a),図16(c)に示し、真円度測定器(タリロンド100型;テーラーホブソン社)を用いた測定結果を、図16(b),図16(d)に示している。
【0243】
なお、図16(a)と図16(b)とは、測定対象物として、同一工作物WPB(Workpiece B)を使用し、図16(c)と図16(d)とは、同一工作物WPC(Workpiece C)を使用した。また、真円度は、深穴評価プローブ5bおよび真円度測定器の両者とも、送りを止めて測定している。両者の測定値はミクロンオーダで対応しているものとする。
【0244】
図16(a)~図16(d)の真円度の測定結果は、それぞれ40μm,36μm,112μm,108μmであった。
【0245】
図16(a)~図16(d)に示すグラフから、WPBの測定誤差は4μmであり、WPCの測定誤差も4μmであった。よって、ここでも、本実施形態の深穴評価装置10cによる測定誤差をμm単位に抑え、高精度の測定が可能であることが分かった。
【0246】
さらに、スパイラル状穴壁の走査プローブに送りをかけ、誘導しながら穴壁を螺旋状に走査した測定結果を図17に示している。穴径は測定をガイドブシュの位置から始めることで可能であり、ガイドブシュの穴径を基準とし、測定穴の穴径の増減を測定した。
【0247】
図17に示すグラフからも、本実施形態の深穴評価装置10cにより、高精度な深穴測定が可能になったことが分かる。
【0248】
以上の測定結果から、本実施形態の深穴評価プローブ5bを誘導することで、現存する測定器では測定できない高精度での測定が可能になった。これにより、本実施形態の接続手段を備えた深穴評価装置により、直径110mmの加工穴の場合、少なくとも2mの深さまで高精度な測定が可能であり、従来の深穴評価装置では測定できない高精度の深穴測定が実現可能となった。
【0249】
例えば、従来の最大級の真円度測定器であっても、深さ300mm以上の真円度は測定できなかったが、本実施形態の深穴評価装置10cを使用することにより測定可能となった。
【0250】
また、被加工物の内壁を螺旋状に走査することにより、真直度・真円度・穴径などの穴精度の測定が一回の操作で可能となった。
【0251】
さらに、従来のオートコリメータを使用して加工穴の真直度の測定を行った場合には、反射鏡を穴に沿って移動させることにより測定される。さらに、同じく従来の超音波による測定の場合には、被加工物の外壁(パイプの場合、外円筒)に基準面をつくり、そこから穴壁までの距離を測定して真直度を間接的に測定している。
【0252】
一方、本実施形態の深穴評価装置10cによれば、レーザ光線で測定軸をつくり、そこからの距離を連続的に測定するため、測定精度を他の方法より格段に高くできる。
【0253】
なお、本実施形態では、位置ずれ修正手段として、圧電アクチュエータ15を用いた例を挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、圧電アクチュエータの代替として、カムやリニアアクチュエータ等を用いた場合でも、上記と同様に、μm単位の精度での深穴測定が可能な深穴評価装置を得ることができる。
【0254】
また、本発明は、測定軸と接続されており、先端部分を被加工物に対して回転させて、該回転の中心軸から被加工物の内壁までの半径方向の距離を測定する深穴評価プローブと、上記深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記検出された位置ずれに応じて、上記位置ずれ修正手段の動作を制御する制御手段と、上記深穴評価プローブの中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するローリング防止手段とを備えている深穴評価装置において、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた接続手段により接続されていることを特徴とする深穴評価装置と表現してもよい。
【0255】
また、本発明の深穴評価装置は、レーザ誘導方式深穴評価装置において、測定ユニットおよびアクチュエータ保持部を備えた深穴評価プローブと、深穴評価装置の固定軸との間に深穴評価プローブのローリングを防止するカップリングを備えたことを特徴とする深穴評価装置および深穴評価方法と表現してもよい。
【0256】
これにより、上記何れの深穴評価装置であっても、本実施形態で説明したように、μm単位の高精度の深穴測定を実現できる。
【0257】
そして、測定軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を有するとともに、深穴評価プローブのローリングを抑え、μm単位の高精度な測定が可能な深穴評価装置および深穴評価方法を提供することができる。
【0258】
〔実施形態4〕
本発明の深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置、光軸調整方法に関する一実施形態について、図18~図27を用いて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施形態1~3において説明した図面に記載された部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記しその説明を省略する。
【0259】
本実施形態のレーザ誘導方式を採用した深穴加工装置10dは、図18に示すように、上記実施形態1で説明した深穴加工装置10aと比較して、深穴加工工具5aの加工側の先端部分に光学ヘッド(反射手段)41aを備えている点で異なっているが、その他の構成については同様である。
【0260】
そして、本実施形態の深穴加工装置の光軸調整装置40は、図19に示すように、上記深穴加工装置10dの構成に加えて、レーザ(発光手段)43、ハーフミラー42・44およびPSD45・46を含む光学系(光軸ずれ検出手段)50とを備えている。
【0261】
このように、光源としてレーザ43を用いた場合には、ビームの広がりが小さく、指向性が鋭い、単一波長からなる等のレーザの特性により、光学系を用いた測定において測定精度を向上させることができるため、特に好ましい。
【0262】
ここで、本実施形態の深穴加工装置の光軸調整装置40による深穴加工装置の光軸調整方法について、図20~図23を用いて説明すれば以下のとおりである。
【0263】
なお、ここでは、光軸調整に用いるレーザ光として単波長光、つまり1種類の波長しか持たない光を使用する場合について説明する。また、以下で説明する加工目標軸とは、被加工物4に対する深穴加工工具5aの理想的進路であり、誘導軸とは、深穴加工工具5aが加工中に実際に誘導されていく進路である。そして、光軸調整とは、深穴加工装置10dによる加工開始前に深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させることをいう。
【0264】
まず、図20に示すように、PSD49を、その原点が加工目標軸上に位置するように、テーブル6上の加工目標軸に対して直角な面を有するブロック48に取り付ける。そして、テーブル6を送り方向において前進後退させた際に、光のスポットが常にPSD49の原点に来るように、光源となるレーザ43の姿勢(変位とき)を調整する。これにより、レーザ43から照射されるレーザ光の向きを加工目標軸と平行にすることができる。
【0265】
次に、図21に示すように、深穴加工工具5aの中心軸に対して直角の面を有するブロック48に光学ヘッド(反射手段)41aを取り付け、該光学ヘッド41aに対してレーザ光を照射する。そして、光学ヘッド41aからの反射光のスポットが常にPSD45およびPSD46の原点にくるように、両PSD45・46を移動させ、PSD45およびPSD46の配置を決定する。これにより、上記誘導軸と加工目標軸とが一致した状態での、上記反射光のスポットのPSD45・46における検出位置を認識できる。
【0266】
次に、図22に示すように、深穴加工工具5aに光学ヘッド41aを取り付ける。そして、図23に示すように、深穴加工工具5aをガイドブシュ4’に挿入し、6個の圧電アクチュエータ(姿勢修正手段)15を連動駆動して、ミラー41aからの反射光がPSD45およびPSD46の原点に戻るように深穴加工工具5aの姿勢を調整する。
【0267】
これにより、深穴加工工具5aの中心線を加工目標軸上に移動させることにより、加工開始前に深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させた状態を形成できる。よって、このような光軸調整を終えた深穴加工装置10dによれば、より高精度な深穴加工を実現可能になる。
【0268】
なお、この時、光軸調整用の光として単波長光を用いた場合には、セッティングした後の誘導軸と加工目標軸との間に最大で(ブシュ径-工具径)/2の誤差が生じるため、誘導軸と加工目標軸とは完全に一致しない。しかし、ブシュ径と深穴加工工具径との関係を考慮してブシュ径、深穴加工工具の径を決定し、深穴加工を行った場合には、この誤差は数μmの範囲内に抑えることが可能である。また、光軸調整に単波長光を用いた場合には、XY座標センサとして2枚のPSD45・46を軸方向に並べ、検出結果に基づいて深穴加工工具5aの傾き(Z軸方向)・変位を検出する際に、簡単な演算が必要となるものの、光学系の構成を単純にできるというメリットがある。
【0269】
以上のような光軸調整後、誘導座標を深穴加工工具5aの非加工側、つまり深穴加工工具5aの後端部分へ移す、すなわち、深穴加工工具5aの後端部分に配置された光学系(PSD13・14、ハーフミラー19・21)(光軸ずれ検出手段)を用いて光軸ずれを検出するために、図19に示すように、深穴加工工具5aの後方へレーザ光を照射して、光のスポットがPSD13およびPSD14の原点と一致するように、PSD13・14を深穴加工工具5aの非加工側に配置する。これにより、上記光のスポットがPSD13・14の原点からずれたことを検出することで、誘導軸と加工目標軸とがずれたことを検出できる。
【0270】
以上のような工程によって、深穴加工装置の光軸調整装置40を用いて光軸調整が行われた深穴加工装置10dでは、深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させた状態で加工を開始することができる。そして、光軸ずれ検出を深穴加工工具5aの加工側、つまり先端部分から非加工側、つまり後端部分に移動させているため、加工中に、加工目標軸と正確に一致させた深穴加工工具5aの先端部の中心が誘導軸からずれた場合には、深穴加工工具5aの後端部分に配置されたPSD13・14がこれを検出し、検出結果に応じて圧電アクチュエータ15によってこのずれを修正する制御を行う。
【0271】
これにより、深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させたまま加工することが可能となり、加工前のセッティングで生じた誘導軸と加工目標軸とのずれに起因する加工精度の低下を防止し、これまで実現できなかったレベルの高精度な深穴加工が可能になる。
【0272】
また、本発明の深穴加工装置および深穴評価装置の光軸調整装置、光軸調整方法では、例えば、Ar(アルゴン)レーザのように青色波長、緑色波長の2種類の波長の光を含むレーザ光を使用することも可能である。
【0273】
このような2種類の波長の光を含むレーザ光を使用した光軸調整は、以下のようにして行われる。
【0274】
まず、上記単波長光を使用した場合と同様に、PSD49を用いて、レーザ43の姿勢を調整する。
【0275】
次に、PSD45およびPSD46の配置を決定するために、図24に示すように、光学ヘッド41bをブロック48に取り付け、レーザ光を照射する。そして、光のスポットが常にPSD45およびPSD46の原点にくるように、両PSD45・46を移動させる。
【0276】
次に、図25に示すように、光学ヘッド41bが有する反射面が深穴加工工具5aの中心軸に対して直角になるように、光学ヘッド41bを深穴加工工具5aに取り付ける。
【0277】
光学ヘッド41bは、ダイクロイックミラー、90°ダイクロイックミラーおよびコーナーキューブプリズムを搭載しており、レーザ43から照射されたレーザ光を反射している。
【0278】
次に、図26に示すように、深穴加工工具5aをガイドブシュ4’に挿入し、6個の圧電アクチュエータ15を連動させて駆動し、光学ヘッド41bからの反射光がPSD45およびPSD46の原点と一致するように深穴加工工具5aの姿勢を調整する。
【0279】
これにより、深穴加工工具5aの中心線を誘導軸上に移動させることができ、結果として、深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させることができる。
【0280】
ここで、上記と同様に、誘導座標を深穴加工工具5aの後方へ移すために、図19に示すように、深穴加工工具5aの後方へレーザ光を照射し、光のスポットがPSD13およびPSD14の原点と一致するように両PSD13・14を移動させる。
【0281】
本実施形態の深穴加工装置の光軸調整装置40は、以上のように、2種類の波長を含む光を用いた場合でも、深穴加工装置および深穴評価装置の高精度な光軸調整を行った後に深穴加工を行うことで、加工中に生じたずれを深穴加工工具5aの後端部分に配置されたPSD13・14によって検出し、これを修正することで、深穴加工工具5aの誘導軸と加工目標軸とを一致させる制御を行うことができ、単波長光を用いた光軸調整と同様に、これまで実現できなかったレベルのより高精度な深穴加工が可能になる。
【0282】
なお、このような2種類の波長を含む光を光軸調整に用いた場合には、2種類の波長を分離するための分光器、フィルタ等が必要になるものの、誤差なく誘導軸と加工目標軸とを一致させることができるとともに、2種類の波長のうち、一方の波長光を変位、他方の波長光を傾きを検出するために用いることで、PSD13・14による検出結果に基づいて、深穴加工工具5aの姿勢を演算なしで直接検出できるというメリットがある。
【0283】
[実施例1]
上記実施形態4に記載された深穴加工装置の光軸調整装置によって光軸調整された深穴加工装置を用いて加工された深穴に関して、深穴の加工精度を検出する実験を行った。加工条件は、回転数N=270rpm、送りf=0.125mm/revで工具回転・工作物送りである。
【0284】
なお、工作物として下穴(108mm)のあるジュラルミン(JIS2017-T4)を使用し、切削油として不水溶性硫化塩素化油(ユシロンカットDS50、JIS2種13号)を深穴加工工具前方より供給した。油量は150mL/minである。
【0285】
実験では、上記深穴を加工中のX方向およびY方向における深穴加工工具5aの位置、加工後の深穴の曲がりについて測定した。
【0286】
加工中の深穴加工工具5aは、X方向において、図27(a)上段のグラフに示すように、加工目標軸(Z軸)に対して高精度に誘導されていることが分かる。また、Y方向においては、図27(a)下段のグラフに示すように、誘導軸に関しては真直に誘導されていることがわかる。
【0287】
一方、加工穴の曲がりについては、X方向において、図27(b)上段のグラフに示すように、真直に加工されていることが分かる。また、Y方向においては、図27(b)下段のグラフに示すように、加工目標軸(Z軸)に関し傾いていることがわかる。
【0288】
なお、図27(b)において、-X,-Yは、一方向穴壁を、+X,+Yは、+方向穴壁を測定したものであり、X,YはX方向およびY方向における穴の中心の曲がりである。
【0289】
これは、PSD13およびPSD14の原点を決める際に、ミラー41aに取付け誤差が生じたことによるものと考えられる。なお、この取付け誤差は、誘導用コンピュータ上で補正可能であり、図27(a)の変動成分についても、データを1回転に1回同期してとることによってなくすことができる。
【0290】
以上の実験結果から、本発明の深穴加工装置の光軸調整装置を用いて光軸調整後、深穴加工を行う場合には、工具回転・工作物送り方式の深穴加工において、直径100~150mm、深さ10mの穴を誤差±10μm程度の真直度で加工することが可能となった。
【0291】
通常、このような真直度の高い高精度な深穴加工は、熟練した作業者の技能をしても不可能である。しかし、本発明の深穴加工装置の光軸調整装置によれば、熟練した作業者によらなくても高精度な深穴加工を実現できる。
【0292】
なお、本実施形態では、深穴加工装置を例にあげて説明したが、本発明の光軸調整方法は深穴加工装置に限定されるものではなく、例えば、深穴評価装置に適用することも可能である。
【0293】
また、本実施形態の深穴加工装置10dのように、深穴加工工具5aの回転駆動側、つまり深穴加工工具5aの後方においてその姿勢を検出する場合には、深穴加工工具5aの加工側において姿勢検出を行う場合と比較して、検出手段等を常にクリーンな状態で検出を行うことができ、下穴加工されていない被加工物に対するソリッドボーリングが可能になる、検出手段が回転しない側に取り付けられていることで、姿勢制御用検出データを精度よく検出できる等の長所がある。よって、本発明は、深穴加工工具後端部分、つまり非加工側において姿勢制御を行う深穴加工装置に適用することがより好ましい。
【0294】
なお、各実施形態の中では、深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対する傾きとローリングとについて説明しているが、これらは同じものを意味している。よって、傾き検出・修正手段とローリング検出・修正手段とは同じ機能を有する部材である。さらに、深穴加工工具の目標軸からの平行移動量について、深穴加工工具の変位、位置ずれという文言を用いているが、これについても同じ意味で使用しているものである
【0295】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0296】
【発明の効果】
本発明の深穴加工装置は、以上のように、上記深穴加工工具と上記回転軸とは、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた接続手段により接続されている構成である。
【0297】
それゆえ、ローリングの発生によって、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴加工工具を正確に正常位置へ修正することができないという問題を解決し、従来の深穴加工装置よりも精度の高い深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できるという効果を奏する。
【0298】
すなわち、本発明の深穴加工装置によれば、従来の深穴加工装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを抑え、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴加工装置において、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれを、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工装置のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0299】
本発明の深穴加工装置は、以上のように、上記深穴加工工具と上記回転軸とは、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた接続手段により接続されている構成である。
【0300】
それゆえ、ローリングおよび回転軸の中心軸方向の位置ずれの発生によって、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴加工工具を正確に正常位置へ修正することができないという問題を解決し、従来の深穴加工装置よりも精度の高い深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できるという効果を奏する。
【0301】
すなわち、本発明の深穴加工装置によれば、従来の深穴加工装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを抑え、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴加工装置において、発光手段から発せられた光を受光することにより、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれを、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工装置のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工装置を提供できる。
【0302】
本発明の深穴加工方法は、以上のように、上記深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における上記回転軸に対するローリングを防止するとともに、上記回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を上記回転軸に持たせた状態で深穴加工を行う方法である。
【0303】
それゆえ、深穴加工工具の回転軸を中心とする円方向における回転軸に対する位置ずれ、いわゆるローリングを防止することができるとともに、回転軸の中心軸方向の荷重に対する剛性を持たせた状態で深穴加工を行うことができるため、従来の深穴加工方法よりも精度のよい深穴加工が可能な深穴加工方法を提供できるという効果を奏する。
【0304】
すなわち、本発明の深穴加工方法によれば、使用される深穴加工装置は、従来の深穴加工方法に使用される深穴加工装置におけるフレックスカップリングの替わりに、深穴加工工具のローリングを防止し、回転軸の中心軸方向の荷重を回転軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段から発せられた光を受光することにより、位置ずれ検出手段により検出された深穴加工工具の加工中の正常位置からの位置ずれを、位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴加工を行うことができる。よって、従来の深穴加工方法のmm単位の加工精度に比べて加工精度を向上させ、μm単位の加工精度での深穴加工が可能な深穴加工方法を提供できる。
【0305】
本発明の深穴加工装置は、以上のように、上記深穴加工工具における上記平面上に位置する2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えている構成である。
【0306】
それゆえ、位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出される、回転軸方向に対して垂直な平面における深穴加工工具の位置ずれと回転軸を中心とする円方向における深穴加工工具の傾きとが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、実際の深穴加工工具の位置ずれを正確に検出できるという効果を奏する。
【0307】
すなわち、本発明の深穴加工装置によれば、深穴加工工具における回転軸方向に対して垂直な平面上において、位置ずれ、傾きを位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較する。ここで、実際の位置ずれおよび傾きは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、上記深穴加工工具の位置ずれおよび傾きを高精度で算出することができる。
【0308】
これにより、正確に検出された位置ずれおよび傾きを位置ずれ修正手段および傾き修正手段により修正することで、従来よりも高精度な深穴加工を実現した深穴加工装置を提供できる。
【0309】
また、上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴加工工具の位置を検出する位置検出手段とを備えていることがより好ましい。
【0310】
それゆえ、発光手段と位置検出手段とを用いることで、深穴加工工具の位置ずれおよび傾きを容易に検出することが可能になるという効果を奏する。
【0311】
本発明の深穴評価装置は、以上のように、上記深穴評価プローブにおける上記平面上に位置する2点において、それぞれ上記位置ずれと傾きとを検出し、上記2点における検出結果から位置ずれと傾きとが互いに干渉することで検出結果に含まれる干渉成分を除去する制御手段を備えている構成である。
【0312】
それゆえ、位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出される、中心軸方向に対して垂直な平面における深穴評価プローブの位置ずれと中心軸を中心とする円方向における深穴評価プローブの傾きとが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、実際の深穴評価プローブの位置ずれを正確に検出できるという効果を奏する。
【0313】
すなわち、本発明の深穴評価装置によれば、深穴評価プローブにおける中心軸方向に対して垂直な平面上において、位置ずれ、傾きを位置ずれ検出手段および傾き検出手段によりそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較している。ここで、実際の位置ずれおよび傾きは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、上記深穴評価プローブの位置ずれおよび傾きを高精度で算出することができる。
【0314】
これにより、正確に検出された位置ずれおよび傾きを位置ずれ修正手段および傾き修正手段により修正することで、従来よりも高精度な深穴加工を実現した深穴評価装置を提供できる。
【0315】
また、上記位置ずれ検出手段および/または傾き検出手段は、光を照射する発光手段と、該発光手段に対向する位置に設けられており、上記光を受光して上記深穴評価プローブの位置を検出する位置検出手段とを備えていることがより好ましい。
【0316】
それゆえ、発光手段と位置検出手段とを用いることで、深穴評価プローブの位置ずれおよび傾きを容易に検出することが可能になるという効果を奏する。
【0317】
本発明の位置ずれ評価方法は、以上のように、上記XY平面における位置ずれと、XY平面に垂直な直線を中心とする円方向の位置ずれとを、装置の上記XY平面上の2点においてそれぞれ検出し、該2点における検出結果を基にして、上記XY平面における位置ずれ成分とXY平面の原点を中心とする円方向の位置ずれ成分とが互いに干渉して生じる検出誤差を除去する方法である。
【0318】
それゆえ、検出されたXY平面における装置の位置ずれとXY平面に垂直な直線を中心とする円方向における装置の位置ずれ(傾き)とが、互いに干渉して生じる検出誤差、いわゆる干渉成分を検出結果から除去し、実際の装置の位置ずれを正確に検出できるという効果を奏する。
【0319】
すなわち、本発明の位置ずれ評価方法によれば、装置のXY平面上における位置ずれ、およびXY平面に垂直な直線を中心とする円方向の位置ずれ(傾き)をそれぞれ検出し、上記2点における検出結果を比較している。ここで、2点における装置の実際の位置ずれは、上記2点が同一平面上に形成されているため等しくなるはずである。よって、実際の位置ずれ(x,y)と傾きθとを上記2点における検出結果から導くことで、検出結果に含まれる干渉成分を除去し、装置の位置ずれおよび傾きを高精度で算出することができる。
【0320】
これにより、正確に検出された装置の位置ずれを適正な位置へ修正することで、従来よりも高精度な動作が可能な装置を提供できる。
【0321】
本発明の深穴評価装置は、以上のように、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの回転の中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた接続手段により接続されている構成である。
【0322】
それゆえ、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できるという効果を奏する。
【0323】
すなわち、本発明の深穴評価装置によれば、従来の深穴評価装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを抑え、中心軸方向の荷重に対する剛性を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴評価装置において、深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれを、位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出できる。よって、深穴評価プローブの位置を位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴測定を行うことができ、従来の深穴評価装置のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の精度での深穴測定が可能な深穴評価装置を提供できる。
【0324】
本発明の深穴評価装置は、以上のように、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの上記中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた接続手段により接続されている構成である。
【0325】
それゆえ、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できるという効果を奏する。
【0326】
すなわち、本発明の深穴評価装置によれば、従来の深穴評価装置に用いられているフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを抑え、中心軸方向の荷重に対する剛性を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段、位置ずれ検出手段、位置ずれ修正手段を備えた深穴評価装置において、発光手段から発せられた光を受光することにより、深穴評価プローブの正常位置からの位置ずれを、位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出できる。よって、深穴評価プローブの位置を位置ずれ修正手段により適正に修正しながら深穴測定を行うことができ、従来の深穴評価装置のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の精度での深穴測定が可能な深穴評価装置を提供できる。そして、従来の深穴評価装置では不可能であった超深穴の精度測定が可能な深穴評価装置を提供できる。
【0327】
本発明の深穴評価方法は、以上のように、上記深穴評価プローブと上記測定軸とは、上記深穴評価プローブの回転の中心軸を中心とする円方向におけるローリングを防止するとともに、上記中心軸方向の荷重に対する剛性を上記測定軸に持たせた状態で深穴加工精度を測定する方法である。
【0328】
それゆえ、深穴評価プローブのローリングおよび中心軸方向の位置ずれの発生により、位置ずれ検出手段により検出された位置ずれに誤差が生じ、深穴評価プローブを正確に正常位置へ修正できないという問題を解決し、従来の深穴評価装置よりも精度の高い深穴評価装置を提供できるという効果を奏する。
【0329】
すなわち、本発明の深穴評価方法によれば、使用される深穴評価装置は、従来の深穴評価方法に使用される深穴評価装置におけるフレックスカップリングの替わりに、深穴評価プローブのローリングを防止し、中心軸方向の荷重を測定軸に持たせることができる接続手段を備えているため、発光手段から発せられた光を受光することにより、深穴評価プローブの位置ずれを位置ずれ検出手段により誤差なく正確に検出することができる。よって、深穴評価プローブの位置ずれを位置ずれ修正手段により正確に修正しながら深穴精度測定を行うことで、従来の深穴評価方法のmm単位の測定精度よりも測定精度を向上させ、μm単位の測定精度での深穴精度測定が可能な深穴評価方法を提供できる。そして、従来の深穴評価装置では不可能であった超深穴の精度測定が可能な深穴評価方法を提供できる。
【0330】
本発明の深穴加工装置の光軸調整装置は、以上のように、深穴加工工具の回転可能な先端部分における上記中心軸上に配置され、上記加工目標軸に対して垂直な平面に取り付けられた反射手段と、上記反射手段に対して加工目標軸上から光を照射する発光手段と、予め深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から照射された光の反射光を受光して、上記深穴加工工具の誘導軸の上記加工目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えている構成である。
【0331】
それゆえ、加工前に誘導軸と加工目標軸とを一致させた後、加工を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と加工目標軸とのずれに起因する加工精度の低下を防止し、より高精度な深穴加工を実現できる。
【0332】
上記深穴加工装置は、上記深穴加工工具の非加工側に、上記深穴加工工具の中心軸と加工目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記深穴加工工具の上記回転軸方向に対する垂直な平面における正常位置からの位置ずれ検出する位置ずれ検出手段と、上記深穴加工工具の上記回転軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、上記深穴加工工具の外周部に配設され、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴加工工具の位置ずれ修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴加工工具と上記回転軸とを接続する位置に設置されており、上記深穴加工工具の外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴加工工具のローリングを修正するローリング修正手段とを備えていることがより好ましい。
【0333】
それゆえ、加工前と異なる検出結果が生じた場合には、上記位置ずれ・ローリング修正手段によって、加工開始前の検出結果になるように深穴加工工具の姿勢を修正することで、常に誘導軸と加工目標軸とが一致した状態で深穴加工を行うことができ、従来より高精度な深穴加工を行うことができるという効果を奏する。
【0334】
本発明の深穴評価装置の光軸調整装置は、以上のように、深穴評価プローブの回転可能な先端部分における深穴評価プローブの中心軸上に配置され、上記測定目標軸に対して垂直な平面を有する反射手段と、上記反射手段に対して測定目標軸上から光を照射する発光手段と、予め深穴加工工具の誘導軸と測定目標軸とが一致した状態における受光位置を認識しており、上記反射手段からの上記発光手段から発せられた光の反射光を受光して、上記深穴評価プローブの誘導軸の上記測定目標軸からのずれを検出する光軸ずれ検出手段とを備えている構成である。
【0335】
それゆえ、測定前に誘導軸と測定目標軸とを一致させた後、測定を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と測定目標軸とのずれに起因する測定精度の低下を防止し、より高精度な深穴測定を実現できる。
【0336】
上記深穴評価装置は、上記深穴評価プローブの非測定側に、上記深穴評価プローブの誘導軸と測定目標軸とが一致した状態における検出位置を認識しており、上記中心軸方向に対して垂直な平面における正常位置からの位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、上記中心軸を中心とする正常位置からのローリングを検出するローリング検出手段とを有しており、上記深穴評価プローブの外周部に配設され、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記位置ずれ検出手段により検出された上記深穴評価プローブの位置ずれを修正する位置ずれ修正手段と、上記深穴評価プローブと上記測定軸と接続する位置に設置されており、上記深穴評価プローブの外周部と被加工物の内壁との間で伸縮し、上記ローリング検出手段により検出された上記深穴評価プローブのローリングを修正するローリング修正手段とを備えていることがより好ましい。
【0337】
それゆえ、測定開始前と異なる検出結果となった場合には、上記位置ずれ・ローリング修正手段によって、測定開始前の検出結果になるように深穴評価プローブの姿勢を修正することで、常に誘導軸と測定目標軸とが一致した状態で深穴測定を行うことができ、従来より高精度な深穴測定を行うことができるという効果を奏する。
【0338】
上記発光手段は、レーザを照射することがより好ましく、ビームの広がりが小さく、指向性が鋭い等のレーザの特性を利用することにより、光軸ずれ検出手段、位置ずれ検出手段、ローリング検出手段等の検出精度を向上させることができるという効果を奏する。
【0339】
上記発光手段は、単波長光を照射することがより好ましく、例えば、PSD等の光学系を2つ用い、各PSDにおける検出結果から簡単な演算によって、ずれ検出を行うことができるとともに、光学系を単純な構成にすることができるという効果を奏する。
【0340】
上記発光手段は、2種類の波長を含む光を照射することがより好ましく、2種類の波長の光を光学系でそれぞれ検出することで、演算を経なくても位置ずれを直接検出することができるという効果を奏する。
【0341】
本発明の光軸調整方法は、以上のように、上記光軸調整装置による光軸調整方法であって、上記発光手段から照射される光が上記深穴加工工具または深穴評価プローブの中心軸と平行になるように上記発光手段の配置を調整して、上記誘導軸と目標軸とを一致させた後、上記中心軸に対して直角な平面上に上記反射手段を配置し、該反射手段に対して上記発光手段から照射された光の反射光を検出する光軸ずれ検出手段を配置して、上記誘導軸と目標軸とが一致した状態における上記反射光の受光位置を認識させ、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの先端部分に上記反射手段を取り付けて、上記発光手段から上記反射手段に対して光を照射し、その反射光を上記光軸ずれ検出手段の上記認識させた受光位置において受光するように、上記姿勢修正手段によって、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの姿勢を修正する。
【0342】
それゆえ、加工あるいは測定前に誘導軸と目標軸とを一致させた後、加工あるいは測定を開始することで、セッティングの際に生じた誘導軸と目標軸とのずれに起因する加工精度または測定精度の低下を防止し、より高精度な深穴加工、深穴測定を実現できるという効果を奏する。
【0343】
上記深穴加工工具または深穴評価プローブの加工側または測定側における深穴加工工具または深穴評価プローブの姿勢検出に基づく姿勢修正後、上記深穴加工工具または深穴評価プローブの非加工側または非測定側に姿勢検出手段を配置して、上記誘導軸と上記目標軸とが一致した状態における検出位置を認識させ、上記姿勢検出手段による検出結果に基づいて、加工中に生じた上記誘導軸と目標軸とのずれを修正することがより好ましい。
【0344】
それゆえ、加工前あるいは測定前と異なる検出結果が生じた場合には、上記位置ずれ・ローリング修正手段によって、加工開始前の検出結果になるように深穴加工工具の姿勢を修正することで、常に誘導軸と加工目標軸とが一致した状態で深穴加工を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の深穴加工装置の一実施形態であるレーザ誘導方式を採用した深穴加工装置の断面図である。
【図2】 図1の深穴加工装置のカップリング(ローリング防止装置)とレーザ誘導方式深穴加工工具との連結部分を示す拡大図である。
【図3】 図1の深穴加工装置に設けられた前方の3個の圧電アクチュエータのうち、4chの圧電アクチュエータにかかる電圧と穴深さとの関係を示すである。
【図4】 図1の深穴加工装置に設けられた前方の3個の圧電アクチュエータのうち、5chの圧電アクチュエータにかかる電圧と穴深さとの関係を示すである。
【図5】 図1の深穴加工装置に設けられた前方の3個の圧電アクチュエータのうち、6chの圧電アクチュエータにかかる電圧と穴深さとの関係を示すである。
【図6】 図1の深穴加工装置に備えられた深穴加工工具のX方向変位と穴深さhとの関係を示すグラフである。
【図7】 図1の深穴加工装置に備えられた深穴加工工具のY方向変位と穴深さhとの関係を示すグラフである。
【図8】 図1の深穴加工装置で加工した深穴の測定を行うための深穴測定器を示す断面図である。
【図9】 図8の深穴測定器により測定したX方向の穴変位の測定結果を示すである。
【図10】 図8の深穴測定器により測定したY方向の穴変位の測定結果を示すである。
【図11】 本発明の他の実施形態に係る深穴加工装置の構成を示す断面図である。
【図12】 本発明の他の実施形態に係る干渉成分の分離方法について説明するためのである。
【図13】 本発明の深穴評価装置の一実施形態に係るレーザ誘導方式を採用した深穴評価装置を示す断面図である。
【図14】 図13の深穴評価装置の深穴評価プローブと測定バーとの間の接続部分に設けられたカップリングを示す拡大図である。
【図15】 (a),(b)は、図13の深穴評価装置の深穴評価プローブによる深穴の真直度の測定結果と、固定軸からの真直度の測定結果とを比較するである。
【図16】 (a)~(d)は、図13の深穴評価装置の深穴評価プローブによる真円度の測定結果と、真円度測定器による真円度の測定結果とを比較するである。
【図17】 図13の深穴評価装置の深穴評価プローブに送りをかけて螺旋状に走査した結果得られた穴壁の形状を示すである。
【図18】 本発明の深穴加工装置の光軸調整装置に関する一実施形態を示す誘導方式を採用した深穴加工装置の構成を示す図である。
【図19】 図18の深穴加工装置の光軸調整装置による深穴加工工具の光軸調整方法を示す光軸調整装置の側面図である。
【図20】 本発明の深穴加工装置の光軸調整方法における深穴加工工具の誘導軸と加工目標軸とを一致させる工程を示す光軸調整装置の側面図である。
【図21】 本発明の深穴加工装置の光軸調整方法における深穴加工工具の誘導軸を維持するための光軸ずれ検出手段の配置位置を決定する工程を示す光軸調整装置の側面図である。
【図22】 光軸調整に使用される1波長の光に対応する光学ヘッドを取り付けた深穴加工工具の断面図である。
【図23】 1波長の光を使用して光軸調整を行った場合の誘導誤差を示す深穴加工装置の断面図である。
【図24】 2種類の波長の光を含むレーザを使用して光軸調整を行った場合の誘導軸と光軸ずれ検出手段の配置位置を決定する工程を示す光軸調整装置の側面図である。
【図25】 2種類の波長の光を含むレーザに対応する光学ヘッドを取付けられた深穴加工工具の断面図である。
【図26】 2種類の波長の光を含むレーザを使用する場合の深穴加工工具の誘導誤差を示す深穴加工装置の断面図である。
【図27】 (a)・(b)は、X、Y方向における深穴加工工具の変位と穴の曲がりについて測定した実験結果を示すグラフである。
【図28】 従来の深穴加工装置を示す断面図である。
【図29】 従来のアクティブローリングストッパを使用した深穴加工装置を示す断面図である。
【図30】 (a)~(f)は、従来の深穴加工装置におけるインチウォームのメカニズムによるアクティブローテーションストッパの回転を示す説明図である。
【図31】 従来の深穴加工装置におけるレバーを3列に配置した上側のアクティブローテーションストッパを示す説明図である。
【図32】 (a)~(e)は、図14のアクティブローテーションストッパの回転を示す説明図である。
【図33】 従来の深穴加工装置の構成を示す断面図である。
【図34】 従来のアクティブローテーションストッパを使用したレーザ誘導方式を採用した深穴評価装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1a ボーリングバー(回転軸)
1b 測定バー(測定軸)
2a カップリング(接続手段)
2b アクティブローテーションストッパ
3 下穴
4 被加工物
4’ ガイドブシュ
5a 深穴加工工具
5b 深穴評価プローブ
6 テーブル
7 中心軸
8a 切刃
8b 測定ユニット
10a 深穴加工装置
10b 深穴加工装置
10c 深穴評価装置
10d 深穴加工装置
11 吸引装置
12・18 半導体レーザ(発光手段)
13・14 2次元PSD(位置ずれ検出手段)
15 圧電アクチュエータ(位置ずれ修正手段)
16 干渉計
17 コーナーキューブプリズム
19 ミラー
20 1次元PSD(傾き検出手段)
21 ビームスプリッタ
30 制御装置(制御手段)
40 光軸調整装置
41a・41b 光学ヘッド(反射手段)
42・44 ミラー
43 レーザ(発光手段)
45・46 PSD(光軸ずれ検出手段)
48 ブロック
49 PSD
50 光学系(光軸ずれ検出手段)
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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