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明細書 :風力発電装置およびその装置を使用した風力発電方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4040939号 (P4040939)
公開番号 特開2004-100546 (P2004-100546A)
登録日 平成19年11月16日(2007.11.16)
発行日 平成20年1月30日(2008.1.30)
公開日 平成16年4月2日(2004.4.2)
発明の名称または考案の名称 風力発電装置およびその装置を使用した風力発電方法
国際特許分類 F03D   1/02        (2006.01)
F03D   7/04        (2006.01)
FI F03D 1/02
F03D 7/04 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2002-262495 (P2002-262495)
出願日 平成14年9月9日(2002.9.9)
審査請求日 平成16年8月17日(2004.8.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】金元 敏明
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】上田 真誠
参考文献・文献 英国特許出願公開第00758628(GB,A)
英国特許出願公開第02347178(GB,A)
英国特許出願公開第00476716(GB,A)
特開平09-177657(JP,A)
特開昭56-138465(JP,A)
特開昭54-019036(JP,A)
特開昭52-037642(JP,A)
特開2000-213448(JP,A)
実開昭51-000340(JP,U)
米国特許第04039848(US,A)
調査した分野 F03D 1/02
F03D 7/04
特許請求の範囲 【請求項1】
前段風車ロータと、後段風車ロータを同軸上に配置し、且ついずれか一方の風車ロータを発電機の回転自在な電機子ロ-タに、他方の風車ロータを同発電機の回転自在な界磁ロ-タに連結する風力発電機構において、前記後段風車ロータを前記前段風車ロータに対して直径、慣性質量ともに小さく構成するとともに、前記前段風車ロータのブレードの捩れ方向と後段風車ロータのブレードの捩れ方向とが軸方向に対して逆に向くように配置することにより、後段風車ロータが、微風では前段風車ロータとは逆方向に回転し始めるが、風速の増加とともに回転速度が最高になった後、徐々に減速し、さらに風速が増すと停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転し始めるようにしたことを特徴とする風力発電装置。
【請求項2】
前記前段風車ロータのブレードは、微風時においても後段風車ロータに風を流すことができる形状としたことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載の風力発電装置を使用して風力発電を行なう風力発電方法であって、微風下では前記後段風車ロータは、前記前段風車ロータとは逆方向に回転するが、風速の増加とともに回転速度が最高になった後徐々に減速し、停止状態を経て前記前段風車ロ-タと同方向に回転し始めるようにしたことを特徴とする風力発電方法。
【請求項4】
微風時であっても前記前段風車ロータの羽根間を通り抜けた流れにより前記後段風車ロ-タを回転させることができるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の風力発電方法。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極微風状態から強風状態にわたって効率良く動作し、定格風速以上でもブレ-キ機構なしで一定出力が得られる風力発電装置およびその装置を使用した風力発電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
非再生資源依存型からクリ-ンな循環(再生)資源依存型への変換を担う一つに風力発電がある。しかし、現状の風車は次のような問題を残している。
▲1▼大出力には大径風車ロータが適しているが微風下では稼働せず、微風下では軽量小径風車ロータが適しているが強風下でも出力が極めて小さいため適用範囲は限られる。
▲2▼強風下における発電機への過負荷を避けるため、ブレ-キや可変ピッチなどの複雑な回転抑制機構を必要とする。
微風と強風の差が激しく風車にとって安定した良好な風況が豊富に得られない地域(たとえば日本)では、これらの問題を克服した独自の風車が必要である。
【0003】
単段プロペラ型、ダリウス型など従来形式の風車についての研究はかなり進んでおり、既に適用運転も随所に見られる。また、二段プロペラ形式が提案されているが、これは単に出力の増加をねらったものであり、基本的には従来と何ら変わらない。すなわち、発電機の相対回転速度の増加により起電圧の増加は望めるが、風速の増加とともに両風車ロータの回転速度が単段風車ロータの場合と同様に増加して、最終的には風車ロータの破損あるいは発電機の容量オ-バによる火災を招くようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、風力を受けて回転する前後2段の風車ロータを同軸上に配設し、いずれか一方を発電機の回転自在な電機子ロータに連結するとともに、他方を発電機の回転自在な界磁ロータに連結する風力発電機構において、極微風下で前段風車ロータが回転しなくても後段の風車ロータが回転するようにし、また、風速の増加とともに回転速度が最高になった後徐々に減速し、停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転するようにしたことを特徴とする風力発電方法およびその装置を提供し、上記従来風力発電における問題点を解決することを目的とする。
【0005】
本発明では、直径の異なる二段の風車ロータが発電機の内外回転子(電機子、界磁)をそれぞれ駆動する。このとき内外回転子に働く相反トルクすなわち二段風車ロータそれぞれの発生トルク(方向は逆)が同じ点で運転されるが、回転の速度や方向は任意である。ほんの微風時に前段風車ロータの羽根間の通り抜け流れを後段風車ロータに与えるようにすると後段の小径風車ロータが回転を始め発電を開始する。風速が増加すると後段風車ロータの回転速度が速くなるとともに前段の大径風車ロータが後段とは逆方向に回転し初め、後段が受けるエネルギ-は徐々に減少するようになる。後段風車ロータの最高回転速度付近(定格運転開始風速)でほぼ定格出力に達し、それより強風になると相反トルクが一致するように後段風車ロータの回転速度は遅くなり、停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転するようになる。このとき両風車ロータ間の相対回転速度とトルクの積、すなわち出力は風速によらず一定に保つことができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明が採用した技術開発手段は、
前段風車ロータと、後段風車ロータを同軸上に配置し、且ついずれか一方の風車ロータを発電機の回転自在な電機子ロ-タに、他方の風車ロータを同発電機の回転自在な界磁ロ-タに連結する風力発電機構において、前記後段風車ロータを前記前段風車ロータに対して直径、慣性質量ともに小さく構成するとともに、前記前段風車ロータのブレードの捩れ方向と後段風車ロータのブレードの捩れ方向とが軸方向に対して逆に向くように配置することにより、後段風車ロータが、微風では前段風車ロータとは逆方向に回転し始めるが、風速の増加とともに回転速度が最高になった後、徐々に減速し、さらに風速が増すと停止状態を経て前段風車ロータと同方向に回転し始めるようにしたことを特徴とする風力発電装置である。
また、前記前段風車ロータのブレードは、微風時においても後段風車ロータに風を流すことができる形状としたことを特徴とする風力発電装置である。
また、前記記載の風力発電装置を使用して風力発電を行なう風力発電方法であって、微風下では前記後段風車ロータは、前記前段風車ロータとは逆方向に回転するが、風速の増加とともに回転速度が最高になった後徐々に減速し、停止状態を経て前記前段風車ロ-タと同方向に回転し始めるようにしたことを特徴とする風力発電方法である。
また、微風時であっても前記前段風車ロータの羽根間を通り抜けた流れにより前記後段風車ロ-タを回転させることができるようにしたことを特徴とする風力発電方法である。
【0007】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明すると、図1はアップウィンドウ型水平軸風車に適用した例の断面図、図2は前後段風車ロータで駆動する相反転方式発電機の一例を示す図である。
図1において1は前段風車ロータ、2は後段風車ロータ、3は二重回転軸、3aは外側回転軸、3bは内側回転軸、4は相反転方式発電機、4aは外側回転子、4bは内側回転子であり、これらは図示のように組立られている。前記後段風車ロータ2は同軸上で前段風車ロータ1に隣接して配置され、また後段風車ロータ2は前段風車ロータ1に対して直径が小さく、小型軽量(慣性質量が小さい)に形成されており、前段風車ロータ1の回転面積に対して後段風車ロータ2の回転面積が約1/2以下であるように形成されている。また前段風車ロータ1と後段風車ロータ2とはブレードが軸方向に対して互いに逆に向くように形成され、低風速域では同じ風の流れに対して逆転するように構成されている。前後段風車ロータ1、2はそれぞれ内外回転軸3b、3aに連結され、相反転方式発電機の内外回転子4b、4aを駆動する。また、図示は省略しているが、相反転方式発電機4はナセル内に治められ、不図示のタワ-上に設置される。なお、図1の前後段風車ロータ1、2の取り付けを回転軸3a、3bに変更することにより、ダウンウィンドウ型水平軸風車(右方向から風)にすることもできる。
【0008】
なお、前記前段風車ロータ1と後段風車ロータ2との回転面積の比、あるいは前段風車ロータ1と後段風車ロータ2の慣性質量比(重量比)は、風力発電装置を設計する際に風速等を考慮して、必要とする能力に合わせて随時設計できるものである(即ち、本発電方法の本質(後段風車ロータの回転挙動)を失うことなく、上記諸元を決定する)。また前段風車ロータ1は極微風時において後段風車ロータ2に好適な風を流すことができるように翼の一部を切り欠くなどの形状を採用することができる。この形状は、前段風車ロータ1の能力を落とさずに、かつ後方への風の流れを良くする形状であれば種々の形状を採用することができる。
【0009】
図2に示す相反転方式発電機は永久磁石励磁3相交流同期の場合を示している。図2において、内側回転子(電機子ロータ)4b、外側回転子(界磁ロータ)4aはそれぞれ内外軸受5b、5aによって支えられ、両回転子は方向を問わず自由に回転できる。内外回転子の相対回転速度で生じた起電力はスリップリング8、ブラシ7を介して外部に取り出される。両回転子即ち電機子ロータと界磁ロータの内外を変更してもよいし、直流機にすることも可能である。また風力発電装置に適用する場合、ケーシング6はナセルと兼用することも可能である。
【0010】
上記のように構成した風力発電装置では後段の風車ロータ2が、微風では前段の風車ロータ1とは逆方向に回転するように設定されているが、風速の増加とともに回転速度が最高になった後徐々に減速し、停止状態を経て前段の風車ロータと同方向に回転し始める構成となっている。
【0011】
その原理を図1を例にとって以下に述べる。
極微風時においては、大径の前段風車ロータ1は慣性質量や静止トルクが大きいために停止しているが、前段風車ロータ1の羽根間を通過した流れによって慣性質量の小さい後段の小径風車ロータ2は回転を始め、発電機の外側回転子4aを駆動して発電する。風速の増加とともに後段風車ロータ2の回転速度は増すが、一方の前段風車ロータ1も後段風車ロータ2とは逆方向に回転し始め、内外回転子4b、4a間の相対速度を速めて高起電圧の下に出力は増大する。このとき、前段風車ロータ1の通り抜け流れ、即ち、後段風車ロータ2の受ける風力エネルギーは減少する方向に向かう。
【0012】
風車ロータが風から得る回転トルクは受風面積即ち半径の二乗と風速の二乗に比例し、回転速度に逆比例する。したがって、風速の増加とともに前後段風車ロータ2に働く回転トルクも増大するがその量は大径前段風車ロータ1のほうが大きいので、ある風速(後段風車ロータ2の最高回転速度)を越えると受風エネルギーの減少や失速と相まって、後段ロータ2は減速して回転トルクを増やそうとする(発電機は内外回転子に働く相反トルクが同じところで運転)その傾向は風速の増加とともに強まり、後段風車ロータ2はトルクが最大になると停止状態に至る。更に風速が増して前段風車ロータ1の回転トルクが増大すると、その回転トルクと釣り合うように、後段風車ロータ2は前段風車ロータとは同方向に回り始めて送風作用(風に逆らって前方に送風)をするようになる。
【0013】
発生電力に関係する前後段風車ロータ、即ち発電機の内外回転子間の相対速度は風車ロータの設計によって自由に設定できる。また、回転トルク特性も風車ロータの羽根形状、枚数、直径によって所望する値に選定できる。例えば、前述した後段風車ロータ2の最高回転速度に対する風速を越えても前段風車ロータ1の回転速度とトルクが増加するようにし、その分後段風車ロータ2の回転速度の減速量を大きくとって相対速度を減少させれば、両者の積である出力は一定となる。また、前段風車ロータ1の失速点を早めて風速に対する回転速度とトルクの増加を抑え、その分後段風車ロータ2の減速量を減らしても同様なことが可能となる。
以上のように、本発明に係る風力発電装置(方法)では、極微風状態から強風状態にわたって効率良く作動することになり、定格風速以上でもブレ-キや可変ピッチ機構なしで一定出力を得ることができる。
【0014】
なお、本発明に用いる風車ロータの形状、材質などは、本発明と同様の機能を達成できるものであればよい。また、前段風車ロータ1と後段風車ロータ2とは同軸上で隣接して配置することが望ましいが、所期の機能を達成できれば、ある程度離して配置することも可能である。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、後段の風車ロータを軽量かつ小さく選定して相反転方式発電機との連携プレ-により、補助機構なしで風車の稼働範囲を格段に拡大することができる。このため、微風から強風までの変化が著しく、安定した風況がえられない地域に対し、とくに有効な風力発電装置となる、優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る風力発電装置における前段ロ-タおよび後段ロ-タの構成を示す断面図である。
【図2】永久磁石励磁3相交流同期の相反転方式発電機の断面図である。
【符号の説明】
1 前段風車ロ-タ
2 後段風車ロ-タ
3 二重回転軸
3a 外側回転軸
3b 内側回転軸
4 相反転方式発電機
4a 外側回転子(界磁ロータ)
4b 内側回転子(電機子ロータ)
5a 外側軸受
5b 内側軸受
6 ケーシング
7 ブラシ
8 スリップリング
図面
【図1】
0
【図2】
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