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明細書 :広視域網膜投影型表示システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3785539号 (P3785539)
公開番号 特開2004-157173 (P2004-157173A)
登録日 平成18年3月31日(2006.3.31)
発行日 平成18年6月14日(2006.6.14)
公開日 平成16年6月3日(2004.6.3)
発明の名称または考案の名称 広視域網膜投影型表示システム
国際特許分類 G02B  27/02        (2006.01)
A61F   2/14        (2006.01)
A61F   9/007       (2006.01)
G02B  27/22        (2006.01)
FI G02B 27/02 Z
A61F 2/14
A61F 9/00 590
G02B 27/22
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2002-320199 (P2002-320199)
出願日 平成14年11月1日(2002.11.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成14年月25日(水)~26日(土)東京工業大学大岡山キャンパスにおいて開催された情報科学技術フォーラムにおいて発表
審査請求日 平成16年6月8日(2004.6.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高橋 秀也
【氏名】志水 英二
個別代理人の代理人 【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
審査官 【審査官】河原 正
参考文献・文献 特開平11-194295(JP,A)
特開2002-303819(JP,A)
特開2001-290102(JP,A)
特開2002-318365(JP,A)
特開2001-215441(JP,A)
特開2002-131693(JP,A)
特開2002-131694(JP,A)
特開2002-365586(JP,A)
調査した分野 G02B 27/02
A61F 2/14
A61F 9/007
G02B 27/22
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の点光源から液晶ディスプレイを照射し、前記液晶ディスプレイからの透過光を光学レンズで収束させて複数位置に収束点を形成するとともに、その収束点位置に複数のピンホールを配置し、該ピンホールを通過した光を瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成たことを特徴とする広視域網膜投影型表示システム。
【請求項2】
拡散光源により照射される可動ピンホールを通じて液晶ディスプレイを照射し、前記液晶ディスプレイからの透過光を光学レンズで収束させて複数位置に収束点を形成するとともに、その収束点位置に配置した複数のピンホールを通過した光を瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成するとともに、前記可動ピンホールは、瞳孔の動きを検知する瞳孔位置検出装置からの位置検出信号に基づいて、移動する瞳孔位置に光線束を収束させるように位置制御されることを特徴とする広視域網膜投影型表示システム。
【請求項3】
拡散光源から液晶ディスプレイを照射し、その透過光を光学レンズで収束させ、その焦点位置に複数個のピンホールを配置し、該ピンホールから出た複数の光線束が瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成したことを特徴とする広視域網膜投影型表示システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マクスウェル視を利用した網膜投影型表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、緑内障、加齢性黄班変性、網膜一部損傷等の網膜の機能不全患者や視力低下者は、網膜上の結像部位により視対象を認識できないことが多い。
【0003】
マクスウェル視は、物体の光を瞳孔の中心に収束させて網膜に直接投影するため、水晶体の調節機能に影響されずに物体を視ることができる。従って、マクスウェル視を利用した光学系によれば、上記視力低下者であっても、水晶体の調節機能に依らずして物体を視ることが出来る。
【0004】
しかしながら、マクスウェル視は、光の収束点が瞳孔上になければ像を観察できないため、瞳が動くと像が観察できなくなる。
【0005】
そこで、瞳が移動しても像を観察できるように、瞳が移動する範囲内に複数の光の収束点を配置し、何れかの収束点が瞳孔を通過するようホログラフィック光学素子(HOE)を構成した広視域網膜投影型表示システムが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0007】
【特許文献1】
特開2002-277822号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のHOEを用いた網膜投影型表示システムでは、小型化及びカラー表示が困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、マクスウェル視を利用した広視域網膜投影型表示システムにおいて、小型化及びカラー表示が容易な新方式による広視域網膜投影型表示システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、複数の点光源から液晶ディスプレイを照射し、前記液晶ディスプレイからの透過光を光学レンズで収束させて複数位置に収束点を形成するとともに、その収束点位置に複数のピンホールを配置し、該ピンホールを通過した光を瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成たことを特徴とする広視域網膜投影型表示システムにより達成される。
【0012】
また、本発明の上記目的は、拡散光源により照射される可動ピンホールを通じて液晶ディスプレイを照射し、前記液晶ディスプレイからの透過光を光学レンズで収束させて複数位置に収束点を形成するとともに、その収束点位置に配置した複数のピンホールを通過した光を瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成するとともに、前記可動ピンホールは、瞳孔の動きを検知する瞳孔位置検出装置からの位置検出信号に基づいて、移動する瞳孔位置に光線束を収束させるように位置制御されることを特徴とする広視域網膜投影型表示システムにより達成される。
【0014】
さらに、本発明の上記目的は、拡散光源から液晶ディスプレイを照射し、その透過光を光学レンズで収束させ、その焦点位置に複数個のピンホールを配置し、該ピンホールから出た複数の光線束が瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するように光学系を構成したことを特徴とする広視域網膜投影型表示システムにより達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態について以下に図面を参照して説明する。なお、全図を通し、同様の構成部分には同符号を付した。
【0017】
図1は、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第1実施形態の概念図を示している。図1に示すシステムは、複数の点光源1、球面凸レンズ2、液晶ディスプレイ(LCD)3、及び球面凸レンズ4によって構成されている。図1中、Eは眼球である。それぞれの点光源1からの光は、球面凸レンズ2によって平行光線束とされて液晶ディスプレイ3を照射し、その透過光は球面凸レンズ4によって再び収束されて、瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数位置に収束点を形成するようになっている。
【0018】
図示の例で点光源1は、高輝度の白色LEDを用いている。点光源1を構成するLEDは、図1(a)に示すように、中心軸線A上に1個、その周囲に等間隔で4個の合計5個が配置されているが、点光源1の数及び配置は、この態様に限定されるものではなく、例えば、中心軸線上に1個配置し、その周囲に等間隔で6個(正六角形の頂点位置)に配置するなど、種々の態様を採用することができる。
【0019】
球面凸レンズ4による複数の収束点の隣り合う距離は、瞳孔の直径とほぼ同等かそれより僅かに小さい距離が好ましく、図示の例では、中心軸線A上の収束点とその周囲の収束点との距離Lは、1.5~2.0mmの範囲に設定されている。この距離Lが1.5mmより小さいと、瞳孔内に2つの収束点が位置することとなり、網膜上に投影される像がダブってしまうからであり、一方、距離Lが2.0mmより大きいと、瞳孔が移動した際に、瞳孔上に収束点が存在しない場合が生じ、網膜上に像が投影しない場合が生じるからである。
【0020】
また、図示の例において、液晶ディスプレイ3は、カラー液晶ディスプレイであり、図外の画像表示制御装置によって画像が表示される。
【0021】
上記構成を有する第1実施形態の広視域網膜投影型表示システムによれば、球面凸レンズ4による収束点が瞳孔の可動範囲内に所定間隔で瞳孔上の複数位置に形成され、瞳孔が移動してもマクスウェル視による網膜投影が行われる。そのため、瞳孔が移動しても像を認識することができる。また、光源にLED等の小型を用い、小型の薄いカラー液晶ディスプレイを用いることにより、小型化及びカラー化が容易である。小型化によって、メガネ型のシステムを作成することもできる。
【0022】
図2は、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第2実施形態の概略構成を示している。図2に示すシステムは、図1で示したシステムに、複数個のピンホール5aが形成されたピンホール形成板5、球面凸レンズ6、及び球面凸レンズ7が追加されており、その他の構成は、図1のシステムと同様である。
【0023】
ピンホール形成板5は、ピンホール5aの位置が球面凸レンズ4による光線束の焦点位置になるように配置されている。ピンホール形成板5のピンホール5aを光線束が通過することにより、高次回折光を排除し、画質を高めることができる。
【0024】
複数のピンホール5aを通過した光は、それぞれ球面凸レンズ6で屈折させられて平行光線束とされ、更に球面凸レンズ7により収束される。球面凸レンズ7による収束点の位置は、上記第1実施形態の場合と同様である。
【0025】
こうして、瞳孔の可動範囲に所定間隔で複数個の収束点が形成され、瞳孔が移動してもマクスウェル視による網膜投影が行われる。
【0026】
図3は、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第3実施形態を示す概念図である。図3のシステムは、上記第2実施形態のシステムと光源が異なり、その他の構成は同様であるので詳細な説明は省略する。
【0027】
図3では、拡散光源1aからの照射を複数のピンホール1bが形成されたピンホール形成板1cで受け、複数のピンホール1bを通る光を光源として用いている。即ち、拡散光源1aをピンホール形成板1cによって複数の点光源に変換している。拡散光源1aとしては、例えば、EL(エレクトロルミネッセンス)、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、複数個の高輝度白色LEDを散光板により覆ったもの等を使用することができる。
【0028】
図4は、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第4実施形態を示す概念図である。図4に示すシステムは、上記第3実施形態のピンホール形成板をピンホール形成装置1dに変更した点が相違し、その他の構成は上記第3実施形態と同様である。
【0029】
ピンホール形成装置1dは、液晶ディスプレイ等を利用してピンホール1fを形成し、そのピンホール1fの位置を可動にしたものである。ピンホール1fの位置制御は、図外の制御装置により行われる。
【0030】
前記可動ピンホール1fは、瞳孔の動きに合わせて移動するように制御することが好ましい。例えば、瞳孔の動きを検知する瞳孔位置検出装置(図示せず)からの位置検出信号、いわゆる視線入力の信号に基づいて、移動する瞳孔位置に光線束の収束点を形成するように位置制御する。瞳孔位置検出装置としては、例えば、CCD等のアイカメラで捕らえた瞳孔の動きを画像処理により位置検出する方法等の公知の方法を採用し得る。
【0031】
液晶ディスプレイ3は、観測者の前方を写すようにセットしたCCDカメラ(図示せず)からの画像データを表示することができる。こうすることで、メガネ型の表示システムとすることができる。また、この場合に、前記瞳孔位置検出装置により瞳孔の動きを検知し、その動きに合わせて画像データを取り込むCCDカメラを移動させることにより、目の動きに合わせて風景や景色を液晶ディスプレイ3に表示させることも可能である。
【0032】
また、液晶ディスプレイをパソコン等に接続して、インターネット画像を表示しても良い。
【0033】
図5は、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第5実施形態を示す概念図である。図5のシステムは、上記第3実施形態のシステムから、ピンホール形成板とその隣の球面凸レンズとを取り去り、拡散光源1aからの光を液晶ディスプレイ3に直接照射する構成であり、その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。拡散光源1aからの拡散光は、液晶ディスプレイ3を通過した後、球面凸レンズ4で収束され、複数の収束点位置に対応して設けた複数のピンホール5aを通過した後、球面凸レンズ6、7によって眼球Eの瞳孔の可動範囲内に所定間隔で複数の収束点を形成する。このように液晶ディスプレイの背後に設けた拡散光源1aとして、例えば、液晶ディスプレイのバックライトがあり、バックライトが十分な明るさを有するものであれば、本システムに適用可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る広視域網膜投影型表示システムによれば、液晶ディスプレイを通る光が瞳孔の可動範囲内に所定間隔をおいて複数個の収束点を形成することで、マクスウェル視による網膜上の像が瞳孔の移動によって消えることがなく、しかも、光源、液晶ディスプレイ(液晶表示パネル)、及び光学レンズを組み合わせた光学系によって構成されるので、小型化が容易であり、しかもカラー表示も簡単に為し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第1実施形態を概略的に示し、図1(a)は配置構成図、図1(b)は図1(a)のX-X視側面図である。
【図2】本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第2実施形態を概略的に示す配置構成図である。
【図3】本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第3実施形態を概略的に示す配置構成図である。
【図4】本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第4実施形態を概略的に示す配置構成図である。
【図5】本発明に係る広視域網膜投影型表示システムの第5実施形態を概略的に示す配置構成図である。
【符号の説明】
1 点光源
1a 拡散光源
1b ピンホール
1c ピンホール形成板
1d ピンホール形成装置
1f ピンホール
2,4,6,7 球面凸レンズ
3 液晶ディスプレイ
E 眼球
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4