TOP > 国内特許検索 > マグネシウムイオン測定用蛍光プローブ > 明細書

明細書 :マグネシウムイオン測定用蛍光プローブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3624214号 (P3624214)
登録日 平成16年12月10日(2004.12.10)
発行日 平成17年3月2日(2005.3.2)
発明の名称または考案の名称 マグネシウムイオン測定用蛍光プローブ
国際特許分類 G01N 31/00      
C07D311/80      
C07D491/052     
C07D491/16      
C09K 11/07      
G01N 31/22      
FI G01N 31/00 T
C07D 311/80
C07D 491/052
C07D 491/16
C09K 11/07
G01N 31/22 122
請求項の数または発明の数 25
全頁数 36
出願番号 特願2002-517501 (P2002-517501)
出願日 平成13年7月25日(2001.7.25)
国際出願番号 PCT/JP2001/006401
国際公開番号 WO2002/012867
国際公開日 平成14年2月14日(2002.2.14)
優先権出願番号 2000228489
優先日 平成12年7月28日(2000.7.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成14年5月13日(2002.5.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591243103
【氏名又は名称】財団法人神奈川科学技術アカデミー
【識別番号】598121341
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
発明者または考案者 【氏名】鈴木 孝治
【氏名】鈴木 祥夫
【氏名】岡 浩太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100088546、【弁理士】、【氏名又は名称】谷川 英次郎
審査官 【審査官】宮澤 浩
参考文献・文献 特開昭62-261063(JP,A)
特開昭58- 53758(JP,A)
特開平 4-120464(JP,A)
J.Phys.Chem.,1991年,vol.95,p.9095-9114
調査した分野 G01N 31/00
C07D311/80
C07D491/052
C07D491/16
C09K 11/07
G01N 31/22 122
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式[I]
JP0003624214B2_000061t.gif(但し、式中、R1は水素原子、金属原子又はエステル形成基、Aは式中の炭素原子1及び2と共に環式構造を形成する原子団、Xは蛍光性原子団であって、Aを含む環と縮合環を形成していてもよい)
で表される構造を有するマグネシウムイオン測定用蛍光プローブ。
【請求項2】
下記一般式[II]
JP0003624214B2_000062t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、Yは、-O-、-CH2-又は-NH-、Y’は-CH=又は-N=、X’は蛍光性原子団であって、式中の炭素原子3及び4と共に縮合環を形成していてもよく、式[II]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)
で表される構造を有する請求項1記載の蛍光プローブ。
【請求項3】
一般式[II]中のY’は-CH=である請求項2記載の蛍光プローブ。
【請求項4】
一般式[II]中のYは-O-である請求項3記載の蛍光プローブ。
【請求項5】
一般式[III]
JP0003624214B2_000063t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、X''は蛍光性原子団であって、式中に示されるベンゼン環と縮合する環であってもよく、式[III]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、各アルキル基の炭素数1~6のモノ-又はジアルキルアミノ、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)
で表される構造を有する請求項4記載の蛍光プローブ。
【請求項6】
上記一般式[III]
(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、X''は蛍光性原子団であって、式中に示されるベンゼン環と縮合する環であってもよい)
で表される構造を有する請求項5記載の蛍光プローブ。
【請求項7】
一般式[IV]
JP0003624214B2_000064t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、式[IV]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、各アルキル基の炭素数1~6のモノ-又はジアルキルアミノ、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)
又は一般式[V]
JP0003624214B2_000065t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、式[V]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、各アルキル基の炭素数1~6のモノ-又はジアルキルアミノ、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)
で表される構造を有する請求項5記載の蛍光プローブ。
【請求項8】
上記一般式[IV]又は[V](但し、式中、R1は一般式[I]と同義)で表される構造を有する請求項7記載の蛍光プローブ。
【請求項9】
一般式[III]中のX''が、一般式[VI]
X'''-Z- [VI]
(式中、X'''は、2~4個の環を含む縮合環を有する蛍光性原子団、-Z-は該蛍光性原子団と一般式[III]中に示されるベンゼン環とを結合する原子団を表す)
で示される請求項5又は6記載の蛍光プローブ。
【請求項10】
X'''-が
一般式[VII]
JP0003624214B2_000066t.gif(但し、R2は水素原子又はカルボキシル基、R3及びR4は、互いに独立に、水酸基、炭素数1~6のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~6のジアルキルアミノ基(但し、窒素原子が、環を構成する炭素原子と二重結合して第四級アミンとなっていてもよい))
で表される請求項9記載の蛍光プローブ。
【請求項11】
一般式[X]
JP0003624214B2_000067t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R11及びR12は、互いに独立に、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、炭素数1~6のハロアルコキシル基、ベンジル基若しくはアセチル基、又は1個若しくは2個の単糖構造若しくはそのアシル化物を含む基である)
で表される請求項5記載の蛍光プローブ。
【請求項12】
前記1個若しくは2個の単糖構造若しくはそのアシル化物を含む基は、グリコシル基、グリコシド基、フラクトシル基、フラクトシド基若しくは式[XI]
JP0003624214B2_000068t.gifで示される基又はこれらの基の中の1ないし4個の水酸基が炭素数1ないし6のアシル基でアシル化された構造を含む基である請求項11記載の蛍光プローブ。
【請求項13】
前記単糖構造が、炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシル基を介して式[X]中の窒素原子に結合している請求項11又は12記載の蛍光プローブ。
【請求項14】
前記一般式[I]、[II]、[III]、[IV]、[V]、[VII]又は[X]中のR1が一般式[IX]
-R9-OCO-R10 [IX]
(但し、R9は炭素数1~4のアルキレン基、R10は炭素数1~4のアルキル基を表す)
で表される請求項1ないし13のいずれか1項に記載の蛍光プローブ。
【請求項15】
前記一般式[IX]中のR9がメチレン基、R10がメチル基である請求項14記載の蛍光プローブ。
【請求項16】
一般式[XIII]
JP0003624214B2_000069t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R13、R14、R15及びR16は、互いに独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲンを示す(ただし、R13、R14、R15及びR16が同時に水素原子である場合を除く))
で表される請求項7記載の蛍光プローブ。
【請求項17】
一般式[XIV]
JP0003624214B2_000070t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R17及びR18は互いに独立に水素原子、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基又は-COOR19(ただし、R19は1価の金属イオン)である(ただし、R17及びR18が同時に水素原子である場合を除く))で表される請求項7記載の蛍光プローブ。
【請求項18】
一般式[XV]
JP0003624214B2_000071t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン又は水酸基を示す)
で表される請求項5記載の蛍光プローブ。
【請求項19】
上記一般式[VI]
X'''-Z- [VI]
が、一般式[XVI]
JP0003624214B2_000072t.gif(ただし、式中、R26は存在してもしなくてもよく、存在する場合には炭素数1~5のアルキレン基;R27は-NH-、-NH-CO-又は-OCO-;R28は水素原子、カルボキシル基又は-COOR33(ただし、R33は1価の金属原子又は炭素数1~5のアルキル基);R29及びR30はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン;R31は水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~5のジアルキルアミノ基;R32と環を結合している
JP0003624214B2_000073t.gifは単結合又は二重結合を示し、これが単結合を示す場合には、R32は水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~5のジアルキルアミノ基、二重結合を示す場合にはカルボニル基又は=N3435(但し、R34及びR35は互いに独立に炭素数1~5のアルキル基)を示す)
で表される請求項9記載の蛍光プローブ。
【請求項20】
上記一般式[XVI]中、R26がメチレン基、R27が-NH-、R28、R29及びR30がいずれも水素原子、R31がN(CH3)2、R32が=N+(CH3)2である請求項19記載の蛍光プローブ。
【請求項21】
前記一般式[XIII]、[XIV]、[XV]又は[XVI]中のR1が一般式[IX]
-R9-OCO-R10 [IX]
(但し、R9は炭素数1~4のアルキレン基、R10は炭素数1~4のアルキル基を表す)
で表される請求項16ないし20のいずれか1項に記載の蛍光プローブ。
【請求項22】
前記一般式[IX]中のR9がメチレン基、R10がメチル基である請求項21記載の蛍光プローブ。
【請求項23】
請求項1ないし22のいずれか1項に記載の化合物のマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを製造するための使用。
【請求項24】
請求項1ないし22のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを、マグネシウムイオンを含む試料と接触させ、試料中のマグネシウムイオンと結合した該蛍光プローブの蛍光を測定することを含む、試料中のマグネシウムイオンの測定方法。
【請求項25】
前記試料は細胞を含み、前記マグネシウムイオンは、該細胞中に含まれる請求項24記載の方法。
発明の詳細な説明 技術分野
本発明は、溶液中に存在するマグネシウムイオンを測定するための蛍光プローブに関する。
背景技術
検体中のマグネシウムイオンを定量する方法としてイオン選択性電極、原子吸光光度法が挙げられる。イオン選択性電極は、様々なイオンの含まれた混合溶液中で、目的イオンに対して選択的に応答して電気化学的情報に変換し、その応答電位からイオン活量を導くセンサーである。また、原子吸光光度法は、原子蒸気化させた金属原子に特有の波長の光を照射し、その吸収量から定量を行う方法である。両者の方法とも感度、精度共に良い反面、前処理が必要であり、逐次モニタリングが不可能であることが指摘されている。
一方、先に述べた原子吸光光度法と同様、物質が光を吸収する過程及び発光する過程を利用して検体中の目的試料を定量する方法が、分光学の進歩と共に近年飛躍的に進歩している。中でも、蛍光光度法は、前処理が簡単でありリアルタイム測定が可能であること、高感度、高精度であること、及び蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を初めとした測定機器の飛躍的な進歩もあり、生体内の金属イオンの動的挙動を追跡できる手法の一つとして、現在広く汎用されている。中でもカルシウムイオンを測定する蛍光プローブは、本分野で最もシェアを占め、多数のカルシウムイオン選択性蛍光分子プローブが合成され、神経、筋肉、内臓の細胞中におけるカルシウムイオンの動態が蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を用いることにより画像化され、医学、生物学の分野に大きく貢献している。
マグネシウムイオンは、緩化剤、酵素反応、さらには緑色植物の光合成反応を司る生体内の重要な金属イオンである。先に述べたカルシウムイオンの場合、多種多様な蛍光色素分子が開発され、生体内の挙動が明らかにされているのに対し、マグネシウムイオンの場合、有効な蛍光プローブが未だ開発されていない。その理由として、マグネシウムイオンはカルシウムイオンよりも水和エネルギーが大きく、水中において大きな結合定数を稼ぐことができないこと、及び、カルシウムイオンとの競走反応が生じ、マグネシウムイオンと選択的に錯形成できないことが挙げられる。
発明の開示
従って、本発明の目的は、水系においてマグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することができる、マグネシウムイオン測定用蛍光プローブを提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、環式構造上のβ-ジケトン構造が水系中のマグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することを見出し、該構造を有する蛍光性分子がマグネシウムイオンに対して選択的な蛍光プローブとして用いることができることを実験的に確認し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式[I]
JP0003624214B2_000002t.gif(但し、式中、R1は水素原子、金属原子又はエステル形成基、Aは式中の炭素原子1及び2と共に環式構造を形成する原子団、Xは蛍光性原子団であって、Aを含む環と縮合環を形成していてもよい)
で表される構造を有するマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを提供する。また、本発明は、上記一般式[I]で示される化合物のマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを製造するための使用を提供する。さらに、本発明は、上記本発明のマグネシウムイオン測定用蛍光プローブを、マグネシウムイオンを含む試料と接触させ、試料中のマグネシウムイオンと結合した該蛍光プローブの蛍光を測定することを含む、試料中のマグネシウムイオンの測定方法を提供する。
本発明により、水系において、カルシウムイオン共存下においても、マグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することができる、選択的なマグネシウムイオン測定用蛍光プローブが初めて提供された。本発明の蛍光プローブは、生体内でのマグネシウムイオンの挙動の解析等に大いに威力を発揮するものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施例1で合成した蛍光プローブKMG-20投与後、FCCPを添加した際の、添加後の時間(分)と、血管内皮細胞の蛍光顕微鏡画像の蛍光強度との関係を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、環式構造上のβ-ジケトン構造が、水系において、カルシウムイオンの共存下であってもマグネシウムイオンと選択的に錯体形成するという、新知見に基づくものである。ここで、β-ジケトン構造とは、メチレン基を介して2つのカルボニル基が結合されている構造を言う。分子中に、β-ジケトン構造が存在すれば、β-ジケトン構造によって水系中のマグネシウムイオンが選択的にキレート化されるので、該分子が蛍光性を有する場合には、マグネシウムイオン選択的プローブとして用いることができる。従って、分子中に環式構造上のβ-ジケトン構造と、任意の蛍光性原子団とを含む分子はいずれも選択的マグネシウムイオン測定用プローブとして利用可能であり、本発明の範囲内に含まれる。すなわち、本発明の蛍光プローブは、上記一般式[I]で表される。
なお、一般に、蛍光性原子団が発する蛍光は、分子が金属と錯体形成することにより変化(増大又は減少)するので、この変化に基づきマグネシウムイオンを測定することができる。また、金属錯体の形成によって蛍光特性がほとんど変わらない場合でも、検体から未結合のプローブを除去することによりマグネシウムイオンの測定を行うことができる。なお、本明細書において、「測定」とは定量と検出の両者を包含する。
上記一般式[I]中、R1は水素原子、金属原子又はエステル形成基である。金属原子の場合、水系媒体中で電離してCOO基をもたらし、このCOO基がマグネシウムイオンのキレート化の一翼を担うので、R1は任意の金属原子であってよく、例としてナトリウム及びカリウムのようなアルカリ金属等の1価の金属原子を挙げることができる。また、「エステル形成基」とは、カルボキシル基とエステルを形成してCOOR1のエステル構造を構成しているR1のことを意味する。COOR1の構造は、生体内でエステラーゼの作用を受けてエステル結合が切断されてCOO基が生成され、このCOO基がマグネシウムイオンのキレート化の一翼を担うので、R1は何ら限定されるものではなく、任意の基であってよい。
プローブが一般式[I]に示される構造を有する場合、β-ジケトン構造が環式構造により堅固に支持されているので、より的確にマグネシウムイオンをキレート化することができる。なお、Aを含む環式構造は、β-ジケトン構造を環式構造上に支持するものであればいかなる環式構造であってもよいので、環式構造自体は何ら限定されない。通常、5員環~7員環であり、ベンゼン環のような芳香環であってもよく、二重結合を含むことがあるシクロアルキルのような構造でもよく、複素環であってもよい。また、一般式[I]の構造では、一方のカルボニル基を、カルボキシル基由来のものとしているため、R1を任意に選択することが可能であり、例えば、細胞中のマグネシウムイオンを測定する場合には、R1として、細胞膜を通過しやすくさせる構造を採用することができる。細胞膜を通過しやすくさせるR1の構造として、一般式[IX]
-R9-OCO-R10 [IX]
(但し、R9は炭素数1~4のアルキレン基、R10は炭素数1~4のアルキル基を表す)
で示される構造を挙げることができる。なお、本明細書において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状アルキル基及び分枝状アルキル基の両者を包含する。一般式[IX]において、R9及びR10の炭素数が少ない方が好ましく、従って、R9はメチレン基、R10はメチル基が最も好ましい。なお、R1についての上記説明は、下記一般式[II]、[III]、[IV]、[V]、[VII]、[VIII]、[X]、[XIII]、[XIV]、[XV]及び[XVI]中のR1についてもあてはまる。
また、一般式[I]中のXで示される蛍光原子団は、任意の蛍光原子団であってよい。例えば、カルシウムイオン測定用の蛍光プローブ自体は、種々のものが公知であり、このような蛍光プローブに用いられている蛍光性原子団はいずれも本発明において採用することができる。このような蛍光性原子団の例として、ローダミン、フルオレセイン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、クマリン、キノリン、スチルベン、ベンゾチオゾール、ピラゾリン等を挙げることができるが、本発明において採用される蛍光性原子団はこれらに限定されるものではない。
さらに、一般式[I]で示される構造のうち、下記、一般式[II]で示されるものが感度の点から好ましい。
JP0003624214B2_000003t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、Yは、-O-、-CH2-又は-NH-、Y’は-CH=又は-N=、X’は蛍光性原子団であって、式中の炭素原子3及び4と共に縮合環を形成していてもよく、式[II]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)。なお、本明細書において、「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が好ましい。
一般式[II]中、Y’は-CH=であることが好ましい。また、Yは-O-であることが好ましい。また、環を構成する炭素原子に結合している各水素原子は、上記の通り置換されていてもよい。もっとも、このような置換基は特に必要なものではないので、置換されていない構造が単純で好ましい。また、X’としては、公知の種々の蛍光性原子団を好ましく採用することが可能である。
一般式[II]で表される構造のうち、感度の観点から、一般式[III]で示されるクマリン(coumarin)誘導体が特に好ましい。
JP0003624214B2_000004t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、X''は蛍光性原子であって、式中に示されるベンゼン環と縮合する環であってもよく、式[III]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、各アルキル基の炭素数1~6のモノ-又はジアルキルアミノ、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい)
一般式[III]で示される構造において、環を構成する炭素原子に結合している各水素原子は、上記の通り置換されていてもよい。もっとも、このような置換基は特に必要なものではないので、置換されていない構造が単純で好ましい。また、X''としては、公知の種々の蛍光性原子団を好ましく採用することが可能である。
一般式[III]で表される構造のうち、好ましい例として、クマリン部分の縮合ベンゼン環がさらに縮合して合計3~5個の縮合環構造となっている構造を挙げることができる。このような好ましい構造の例として、下記一般式[IV]又は[V]で表される構造を有するものを挙げることができる。
JP0003624214B2_000005t.gif但し、一般式[IV]及び[V]において、R1は一般式[I]と同義、式[V]中の環構造を構成する任意の1又は2以上の炭素原子に結合している各水素原子は、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、アミノ基、各アルキル基の炭素数1~6のモノ-又はジアルキルアミノ、ハロゲン、又はニトロ基で置換されていてもよい。もっとも、上記の通り、これらの置換基は特に必要ではなく、置換基がないものが好ましい。また、一般式[V]で示される構造は、一般式[IV]で示される構造に、共役二重結合を有する、縮合されたベンゼン環が1つ追加された構造であり、共役二重結合が一般式[IV]のものよりも増えているので、一般式[IV]で示されるものよりも長波長側で励起することが可能となり、波長488nm程度の励起光を用いてレーザ顕微鏡により観察することが可能になる。従って、細胞中のマグネシウムイオンの動態を観察する等の目的にとって特に有利である。
また、マグネシウムイオンに対する錯形成能力、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルといった光学的特性に優れ、さらには細胞内に投与した後、均一に染色でき、さらに、蛍光強度が大きい、本発明の好ましい蛍光プローブとして、下記一般式[XIII]で表される化合物を挙げることができる。
JP0003624214B2_000006t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R13、R14、R15及びR16は、互いに独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲンを示す(ただし、R13、R14、R15及びR16が同時に水素原子である場合を除く))
一般式[XIII]で表される化合物のうち、R13、R14、R15及びR16がいずれも炭素数1~5のアルキル基であるものが好ましい。とりわけ、R13、R14、R15及びR16がいずれもメチル基である化合物(KMG-27)は、下記実施例1で製造した本発明の好ましい化合物であるKMG-20の特性(錯形成能力、光学的特性、細胞に投与した場合の均一染色性)を保つことができ、しかもこの化合物の場合、KMG-20よりも蛍光強度が大きくなる(明るくなる)ことがわかった。さらに、細胞内に投与しても、KMG-20と同様、細胞内に均一に分散し、マグネシウムイオン濃度を増加させるような刺激剤を与えると、蛍光強度の増加が観察された。
一般式[XIII]で表される化合物は、452nm Arレーザーを搭載した共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡を行うことにより、被検対象が細胞である場合、該細胞の3次元的情報を得ることが出来る。
また、高い水溶性を有する本発明の好ましい蛍光プローブとして、下記一般式[XIV]で表される化合物を挙げることができる。
JP0003624214B2_000007t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R17及びR18は互いに独立に水素原子、水酸基、ハロゲン、カルボキシル基又は-COOR19(ただし、R19は1価の金属イオン)である(ただし、R17及びR18が同時に水素原子である場合を除く))。1価の金属イオンとしては、ナトリウムやカリウムのようなアルカリ金属が好ましい。R17及びR18は、いずれも水素原子以外の上記基であることが好ましく、特に両者とも水酸基であるものが好ましい。水酸基部位に官能基修飾を行うことは、合成上、簡単である上に、様々な有機合成反応が確立されている。従って、上記化合物は、単にKMG-20よりも水溶性を増した化合物としてだけでなく、KMG-20よりも優れた化合物を合成する上での反応中間体としての用途も有する。
なお、一般式[XIV]で示される化合物は、高い水溶性を有するので、KMG-20等とは異なる細胞内での試薬の分散状況が期待できる。
一般式[XIV]で表される化合物は、452nm Arレーザーを搭載した共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡を行うことにより、被検対象が細胞である場合、該細胞の3次元的情報を得ることが出来る。
さらに、吸収帯が長波長側にある、本発明の好ましい蛍光プローブとして、下記一般式[XV]で示される化合物を挙げることができる。
JP0003624214B2_000008t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン又は水酸基を示す)
一般式[XV]で示される化合物は、R20が結合している炭素原子とR21が結合している炭素原子とが二重結合により結合されており、この二重結合の故に吸収帯がKMG-20よりも長波長側にある。従って、汎用性の高い488nm Arレーザーで励起することができ、かつ、錯形成能力、光学的特性、細胞に投与した場合の均一染色性も良好である。
さらに、一般式[III]で示される構造のうちの好ましい例として、一般式[III]中のX''が、一般式[VI]
X'''-Z- [VI]
(式中、X'''は、2~4個の環を含む縮合環を有する蛍光性原子団、-Z-は該蛍光性原子団と一般式[III]中に示されるベンゼン環とを結合する原子団を表す)
で表されるものを挙げることができる。ここで、X'''の例としては、ローダミンやフルオレセインのような種々の公知の蛍光性原子団を採用することができる。また、-Z-は、クマリン構造と蛍光性原子団とを結合しているだけの構造であるので、何ら限定されるものではなく、例えば炭素数1~4の低級アルキレン基を挙げることができる。もっとも、親水性を高めるために、アミン、カルボニル基、チオカルボニル基、エーテル基等の極性等を含む構造が好ましく、例えば、-NH-C(=S)-NH-のように、アミンと(チオ)カルボニル基のみから成る構造や、-NH-(CH21~4-O-等を好ましい例として挙げることができるがこれに限定されるものではない。
一般式[VI]中のX'''としては、下記一般式[VII]で示されるものを好ましい例として挙げることができ、これらには周知の蛍光性原子団であるローダミンやフルオレセインが包含される。
JP0003624214B2_000009t.gif(但し、式[VII]中、R2は水素原子又はカルボキシル基、R3及びR4は、互いに独立に、水酸基、炭素数1~6のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~6のジアルキルアミノ基(但し、窒素原子が、環を構成する炭素原子と二重結合して第四級アミンとなっていてもよい))
一般式[VII]で示される蛍光性原子団を有する、一般式[III]で示される構造のうち、特に好ましいものとして、下記一般式[VIII]で示されるものを挙げることができる。
JP0003624214B2_000010t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R5、R6、R7、R8は互いに独立に、炭素数1~6のアルキル基を表す)
さらに、一般式[III]で表される蛍光プローブの好ましい例として、クマリン誘導体にアミンを結合した、下記一般式[X]で示される構造を有するものを挙げることができる。
JP0003624214B2_000011t.gif(但し、式中、R1は一般式[I]と同義、R11及びR12は、互いに独立し、水素、水酸基、ハロゲン、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシル基、炭素数1~6のハロアルコキシル基、ベンジル基若しくはアセチル基、又は1個若しくは2個の単糖構造若しくはそのアシル化物を含む基である)。
式[X]で表される化合物のうち、前記1個若しくは2個の単糖構造若しくはそのアシル化物を含む基が、グリコシル基、グリコシド基、フラクトシル基、フラクシド基もしくは式[XI]
JP0003624214B2_000012t.gifで示される基又はこれらの基の中の1ないし4個の水酸基が炭素数1ないし6のアシル基でアシル化された構造を含む基であるものが好ましい。
また、式[X]における単糖構造が、炭素数1~6のアルキル基又はアルコキシル基を介して式[X]中の窒素原子に結合しているものが好ましい。
このような化合物の好ましい例として、下記式[XII]に示される化合物を挙げることができる。
JP0003624214B2_000013t.gifまた、上記一般式[III]中のX''が、上記一般式[VI]
X'''-Z- 「VI]
で表される場合、一般式[VI]で表される基の好ましい例として、下記一般式[XVI]で表されるものを挙げることができる。
JP0003624214B2_000014t.gif(ただし、式中、R26は存在してもしなくてもよく、存在する場合には炭素数1~5のアルキレン基;R27は-NH-、-NH-CO-又は-OCO-;R28は水素原子、カルボキシル基又は-COOR33(ただし、R33は1価の金属原子又は炭素数1~5のアルキル基);R29及びR30はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン;R31は水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~5のジアルキルアミノ基;R32と環を結合している
JP0003624214B2_000015t.gifは単結合又は二重結合を示し、これが単結合を示す場合には、R32は水酸基、炭素数1~5のアルキル基、又は各アルキル部分の炭素数が1~5のジアルキルアミノ基、二重結合を示す場合にはカルボニル基又は=N3435(但し、R34及びR35は互いに独立に炭素数1~5のアルキル基)を示す)。
なお、R27が-NH-CO-又は-OCO-である場合には、その方向(すなわち、-NH-CO-の場合には、-NH-が一般式[XVI]において-CO-よりも上に来るのか下に来るのか、また、-OCO-の場合には、-O-が一般式[XVI]において-CO-よりも上に来るのか下に来るのか)は限定されず、両者とも包含される。
一般式[XVI]で表される化合物のうち、R28が水素原子又はカルボキシル基、R29及びR30が水素原子、R31がジアルキルアミノ基、R32が二重結合により環に結合されたジアルキル第四級アミンであるものが好ましく、特には、R26がメチレン基、R27が-NH-、R28、R29及びR30がいずれも水素原子、R31がN(CH3)2、R32が=N+(CH3)2であるものが好ましい。
一般式[XVI]で表される、蛍光発色団がローダミン又はフルオレセイン、好ましくはローダミンであるものは、高いモル吸光係数と量子収率を持ち、光安定性が良好で、蛍光強度はpHに依存しないといった特性を持つ。さらにローダミンは、細胞内のミトコンドリアの染色剤として使われている。従って、KMG-20およびその類縁体は、細胞質に均一に分散し、しかも核を除いたその周辺に分散していることが明らかとされているが、一般式[XVI]で示される化合物を用いることにより、さらに細胞の局所部位を染色し、その場所におけるマグネシウムイオンの動態を観察することが可能となる。
本発明の蛍光プローブは、公知の手法に基づいて、容易に製造することができる。とりわけ、カルボキシル基又はその塩若しくはエステルを有するクマリン誘導体に公知の蛍光性原子団を結合すれば本発明の好ましい蛍光プローブを得ることができるので、本発明の蛍光プローブを合成することは、当業者にとって容易である。下記実施例にも、複数の蛍光プローブの合成方法の例が詳細に記載されている。
本発明の蛍光プローブは、検体に蛍光プローブを作用させ、励起光を当てて蛍光を測定するという、従来の蛍光プローブと全く同様な方法によって使用することができる。例えば、ジメチルスルフォキシド(DMSO)のような、極性有機溶媒に溶解したものを、緩衝液に加え、これを検体に加え(又は検体にこれを加え)てインキュベートし、励起光を当てて蛍光を測定することができる。極性有機溶媒中のプローブ濃度は、特に限定されないが、通常、0.1mMないし10mM程度、好ましくは、0.5mMないし2mM程度であり、また、緩衝液に添加した後のプローブ濃度は、特に限定されないが、通常、1μMないし0.1mM程度、好ましくは、5μMないし20μM程度である。インキュベーションの時間は、特に限定されず、検体に応じて適宜選択できるが、通常、5分間~1時間程度でよい。また、インキュベーションの温度は、特に限定されず、各検体に適した温度が適宜選択できるが、通常、0℃~40℃程度であり、検体が細胞又は組織である場合には、その培養に適した温度(例えば、ヒト由来の細胞又は組織であれば37℃)であることが好ましい。また、蛍光の測定は、市販の蛍光計を用いて行うこともできるし、細胞内のマグネシウムイオンの動態を調べる場合には、蛍光顕微鏡や共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察することができる。このような測定方法自体は公知である。また、検体としては、特に限定されず、その中に含まれるマグネシウムイオンを測定しようとするいずれのものであってもよく、好ましい例として、各種細胞や組織を挙げることができる。検体が細胞又は組織である場合には、細胞又は組織の培養液を、上記した蛍光プローブ溶液に置換し、上記のようにインキュベートし、蛍光を測定することができる。
実施例
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 蛍光プローブ(13-アザ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-イルカルボニロキシ)メチルアセテート(KMG-20)の製造
JP0003624214B2_000016t.gif(1) 9-アザトリシクロ[7.3.1.0<5,13>]トリデカ-1(13),2,4-トリエン-2-オールの合成
JP0003624214B2_000017t.gif100ml二口フラスコに3-メトキシアニリン1.0g(8.13mmol)、1-ブロモ-3-クロロプロパン5.0mlを加え、窒素気流下、70℃で1時間、100℃で2時間撹拌後、11時間還流した。放冷後、濃塩酸、水をゆっくり加えた。エーテルで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物を得た。
(2) 9-アザ-2-ヒドロキシトリシクロ[7.3.1.0<5,13>]トリデカ-1(13),2,4-トリエン-3-カルバルデヒドの合成
JP0003624214B2_000018t.gif10ml二口フラスコに化合物2 1.0g(5.29mol)を加え窒素置換後、乾燥DMF5.0mlを加えた。POCl30.65ml(6.42mmol)を乾燥DMF5mlに溶解し、ゆっくり滴下した。室温で30分間撹拌後、水を加えて反応を停止した。析出した沈殿を分取後、ヘキサンで再結晶し、目的化合物を得た。
(3) メチル13-アザ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボキシレートの合成
JP0003624214B2_000019t.gif100ml二口フラスコに化合物3 1.0g(4.61mmol)、マロン酸メチルエステル0.6ml(5.50ml)、ピペリジン0.7g(7.48mmol)、アセトニトリル10.0ml、ベンゼン20.0mlを加え3時間還流した。溶媒を減圧留去後、水を加えエーテルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、カラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物を得た。
(4) 13-アザ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),8-トリエン-5-カルボン酸の合成
JP0003624214B2_000020t.gif100mlなす型フラスコに化合物4 1.0g(3.48mmol)、5%水酸化ナトリウム水溶液5.0ml、エタノール50.0mlを加え、12時間還流した。放冷後、1.0N塩酸を加え酸性にした後、エーテルで抽出した。水で有機層を洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、ポンプで減圧乾燥した。
上記のようにして得られたクマリン343から、次の反応式に従って(13-アザ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-イルカルボニロキシ)メチルアセテート(KMG-20)を合成した。
JP0003624214B2_000021t.gifすなわち、50ml二口フラスコに上記の方法で得られたクマリン343 0.10g(0.35mmol)を加え脱気窒素置換後、ジメチルホルムアミド(DMF)10.0ml、テトラヒドロフラン(THF)10.0ml、トリエチルアミン(TEA)0.07g(0.70mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。アセトキシメチルブロミドを0.10g(0.70mmol)加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、0.1N塩酸50mlで1回、飽和食塩水50mlで3回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2;CHCl3:MeOH=20:1)で精製し、黄色固体を得た。同定は、1H-NMR、ESI-TOF質量分析を用いて行った。
収率52%
1H-NMR(300MHz,CDCl3,TMS,r.t.,δ/ppm)1.90~2.05(m,4H),2.13(s,3H),2.77(t,2H),2.88(t,2H),3.36(q,4H),5.94(s,2H),6.93(s,1H),8.35(s,1H)
ESI-TOF[M+Na]+=380
実施例2 蛍光プローブ((17-アザ-5-オキサ-6-オキソペンタシクロ[11.7.1.0<2,11>.0<4,9>.0<17,21>]ヘニコサ-1(21),2(11),3,7,9(10),12-ヘキサエン-7-イルカルボニルオキシ)メチルアセテート)の合成
下記の反応式に従って、(17-アザ-5-オキサ-6-オキソペンタシクロ[11.7.1.0<2,11>.0<4,9>.0<17,21>]ヘニコサ-1(21),2(11),3,7,9(10),12-ヘキサエン-7-イルカルボニルオキシ)メチルアセテート(化合物)を合成した。
JP0003624214B2_000022t.gif(1) 6-メトキシ-2-ナフチルアミンの合成
JP0003624214B2_000023t.gif50ml二口フラスコに6-メトキシナフタレン-2-カルボン酸(化合物1)1.0g(3.5mmol)、アジ化ナトリウム2.88g(35.0mmol)、ポリリン酸(PPA)15.0gを加え、40℃で12時間撹拌した。酢酸エチル100gを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物を得た。
(2) 13-アザ-4-ヒドロキシテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),3,5,8-ペンタエン-4-オールの合成
JP0003624214B2_000024t.gif100ml二口フラスコに化合物2 1.0g(5.78mmol)、1-ブロモ-3-クロロプロパン1.0gを加え、窒素気流下、70℃で1時間、100℃で2時間撹拌後、11時間還流した。放冷後、濃塩酸、水をゆっくり加えた。エーテルで抽出後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物を得た。
(3) 13-アザ-4-ヒドロキシテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),3,5,8-ペンタエン-5-カルバルデヒドの合成
JP0003624214B2_000025t.gif10ml二口フラスコに化合物3 1.0g(4.18mol)を加え窒素置換後、乾燥DMF5.0mlを加えた。POCl30.65ml(6.42mmol)を乾燥DMF5mlに溶解し、ゆっくり滴下した。室温で30分間撹拌後、水を加えて反応を停止した。析出した沈殿を分取後、ヘキサンで再結晶し、目的化合物を得た。
(4) メチル17-アザ-5-オキサ-6-オキソペンタシクロ[11.7.1.0<2,0>.0<4,9>.0<17,21>]ヘニコサ-1(21),2(11),3,7,9(10),12-ヘキサエン-7-カルボキシレートの合成
JP0003624214B2_000026t.gif100ml二口フラスコに化合物4 1.0g(3.74mmol)、マロン酸メチルエステル0.6ml(5.50mmol)、ピペリジン0.7g(7.48mmol)、アセトニトリル10.0ml、ベンゼン20.0mlを加え3時間還流した。溶媒を減圧留去後、水を加えエーテルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、カラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物を得た。
(5) (17-アザ-5-オキサ-6-オキソペンタシクロ[11.7.1.0<2,11>.0<4,9>.0<17,21>]ヘニコサ-1(21),2(11),3,7,9(10),12-ヘキサエン-7-イルカルボニルオキシ)メチルアセテートの合成
JP0003624214B2_000027t.gif100mlなす型フラスコに化合物5 1.0g(2.86mmol)、5%水酸化ナトリウム水溶液5.0ml、エタノール50.0mlを加え、12時間還流した。放冷後、1.0N塩酸を加え酸性にした後、エーテルで抽出した。水で有機層を洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、ポンプで減圧乾燥した。
得られた化合物に、DMF10.0ml、トリエチルアミン0.29ml(2.86mmol)を加え、窒素気流下、水浴につけた。アセトキシメチルブロミド(4.29mmol)を加え、氷浴下で30分間、室温に戻して12時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、得られた化合物に塩化メチレンを加え、0.1N塩酸、飽和食塩水の順に洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物を得た。
実施例3 蛍光プローブ(5-((((3-((アセチルオキシメチル)オキシカルボニル)-2-オキソ(2H-クロメン-7-イル))アミノ)チオキソメチル)アミノ)-2-(6-ジエチルアミノ)-3-(ジエチルイリデン)キサンテン-9-イル)ベンゾイックアシド)の合成
下記の反応式に従って、5-((((3-((アセチルオキシメチル)オキシカルボニル)-2-オキソ(2H-クロメン-7-イル))アミノ)チオキソメチル)アミノ)2-(6-(ジエチルアミノ)-3-(ジエチルイリデン)キサンテン-9-イル)ベンゾイックアシド(化合物)を合成した。
JP0003624214B2_000028t.gif(1) (tert-ブトキシ)-N-(3-ヒドロキシフェニル)フォルムアミドの合成
JP0003624214B2_000029t.gif100ml二口フラスコに3-アミノフェノール(化合物1)1.0g(9.17mmol)を加え窒素置換後、ジエチルエーテル50ml、トリエチルアミン0.92ml(9.17mmol)を加え氷浴につけた。ジ-tert-ブチルジカーボネート1.99g(9.17mmol)を加え、室温に戻してから2時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,酢酸エチル:n-ヘキサン=1:1)で精製し、目的化合物を得た。
(2) (tert-ブトキシ)-N-(4-フォルミル-3-ヒドロキシフェニル)フォルムアミドの合成
JP0003624214B2_000030t.gif50mlなす型フラスコに化合物2 1.0g(4.78mmol)、クロロホルム10.0ml、5%NaOH水溶液10.0mlを加え、60℃で2時間撹拌した。溶媒の大部分を溶留去後、エーテルで抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、目的化合物を得た。
(3) メチル7-((tert-ブトキシ)カルボニルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメネ-3-カルボキシレートの合成
JP0003624214B2_000031t.gif100mlなす型フラスコに化合物3 1.0g(4.22mmol)、ベンゼン30ml、アセトニトリル20ml、マロン酸メチルエステル0.83g(6.33mmol)、ピペリジン1.08g(12.65mmol)を加え、3時間還流した。溶媒を減圧留去後水を加え、ベンゼンで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物を得た。
(4) 2-(6-(ジエチルアミノ)-3-(ジエチリデン)キサンテン-9-イル)-5-((((3-(メトキシカルボニル)-2-オキソ(2H-クロメン-7-イル))アミノ)チオキソメチル)アミノ)ベンゾイックアシドの合成
JP0003624214B2_000032t.gif50ml二口フラスコに化合物 1.0g(3.13mmol)、塩化メチレン20.0ml、トリフルオロ酢酸5.0mlを加え、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、ポンプで減圧乾燥した。
得られた化合物にクロロホルム10.0ml、ローダミンイソチオシアネート1.67g(3.13mmol)を加え、1時間還流した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィーで精製し目的化合物を得た。
(5) 5-((((3-((アセチルオキシメチル)オキシカルボニル)-2-オキソ(2H-クロメン-7-イル))アミノ)チオキソメチル)アミノ)-2-(6-(ジエチルアミノ)-3-(ジエチルイリデン)キサンテン-9-イル)ベンゾイックアシドの合成
JP0003624214B2_000033t.gif100mlなす型フラスコに化合物5 1.0g(1.27mmol)、5%水酸化ナトリウム水溶液5.0ml、エタノール40mlを加え、10時間還流した。放冷後、溶媒の大部分を減圧留去し、1N塩酸を加え酸性にした。溶媒を減圧留去後、アセトンを加え、析出した沈殿を濾別した。得られた沈殿を減圧乾燥し目的化合物を得た。
得られた化合物にDMF40ml、トリエチルアミン0.28ml(2.80mmol)を加え氷浴につけた。アセトキシメチルブロミド0.40ml(2.80mmol)を加え、氷浴下で30分間、室温に戻して24時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、アセトン-塩化メチレンで再沈殿操作を行い、目的化合物を得た。
実施例4 蛍光プローブ(メチル13-アザ-10,10,16,16-テトラメチル-3-オキサ-4-オキソ-テトラシクロ[7,7,1,0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボキシレート)(KMG-27)の合成
下記の反応式に従って、メチル-13-アザ-10,10,16,16-テトラメチル-3-オキサ-4-オキソ-テトラシクロ[7,7,1,0<2,7>.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボキシレート()を合成した。
JP0003624214B2_000034t.gif(1) メチル-13-アザ-10,10,16,16-テトラメチル-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタ-1(17),2(17),5,8-テトラエン-5-カルボキシレート(化合物)の合成
JP0003624214B2_000035t.gif100ml二口フラスコに、8-ヒドロキシ-1,1,7,7-テトラメチルジュロリジン-9-カルボキシアルデヒド(1)0.70g(2.56mmol)、ジメチルマロネート0.51g(3.84mmol)、ベンゼン35.0mlおよびアセトニトリル15.0mlを加え、窒素気流下、4時間還流した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2→CH2Cl2:AcOEt=1:1v/v)で精製し、黄色固体を得た。
収率:78%、
1H NMR(300MHz,CDCl3,r.t.,TMS,δ/ppm)1.29(s,6H),1.54(s,6H),1.721.81(m,4H),3.28(t,2H),3.38(t,2H),3.89(s,3H),7.15(s,1H),8.37(s,1H).
ESI-TOFMS(+):378.18[M+Na]+
元素分析.C21H25NO4:
計算値:C,70.96;H,7.09;N.3.94.
実測値:C,71.03;H,7.12;N,4.01.
(2) 13-アザ-10,10,16,16-テトラメチル-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボン酸(3)の合成
JP0003624214B2_000036t.gif10mlナス型フラスコに化合物および濃塩酸5.0mlを加え、24時間室温で撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、オレンジ色の固体を得た。
収率:95%
1H NMR(300MHz,CDCl3,r.t.,TMS,δ/ppm)1.30(s,6H),1.55(s,6H),1.74-1.85(m,4H),3.36(t,2H),3.44(t,2H),3.89(s,3H),7.23(s,1H),8.55(s,1H).
ESI-TOFMS(+):364.16[M+Na]+
元素分析.C20H23NO4:
計算値:C,70.36;H,6.79;N.4.10.
実測値:C,70.54;H,6.90;N,4.15.
(3) メチル-13-アザ-10,10,16,16-テトラメチル-3-オキサ-4-オキソ-テトラシクロ[7,7,1,0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボキシレート(4)の合成
JP0003624214B2_000037t.gif窒素気流下、30ml二口フラスコに化合物 0.10g(0.29mmol)、トリエチルアミン0.40g(0.35mmol)、乾燥THF5.0mlを加え、氷浴につけた。ブロモメチルアセテート(AM-Br)0.05g(0.35mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。大型薄層クロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=10:7v/v)で精製し、オレンジ色固体を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl3,r.t.,TMS,δ/ppm)1.30(s,6H),1.55(s,6H),1.72-1.85(m,4H),2.12(s,3H),3.36(t,2H),3.44(t,2H),3.89(s,3H),5.95(s,2H),7.16(s,1H),8.38(s,1H).
ESI-TOFMS(+):436.15[M+Na]+
元素分析.C23H27NO6:
計算値:C,66.81;H,6.58;N.3.39.
実測値:C,66.97;H,6.51;N,3.24.
実施例5 (13-アザ-10,16-ジヒドロキシ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-イルカルボニロキシ)メチルアセテート(7)の合成
下記の反応式に従って、(13-アザ-10,16-ジヒドロキシ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-イルカルボニロキシ)メチルアセテート(7)を合成した。
JP0003624214B2_000038t.gif(1) 7-メトキシ-2,3,4,5,3a-ペンタヒドロ-3a-アザフェナレン-1,6-ジオール(2)の合成
JP0003624214B2_000039t.gif50mlナス型フラスコに、7-メトキシ-2,3,4,5,3a-ペンタヒドロ-3a-アザフェナレン-1,6-ジオン(1)3.0g(12.98mmol)、水素化ホウ素ナトリウム0.48g(12.98mmol)、エタノール20mlを加え、室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を酢酸エチルに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2)で精製し、目的化合物を得た。
(2) 9-アザトリシクロ[7.3.1.0<5,13>トリデカ-1(13),2,4-トリエン-2,6,12-トリオール(3)の合成
JP0003624214B2_000040t.gif50mlナス型フラスコに化合物 2.0g(8.51mmol)、臭化水素酸2.0ml、酢酸10.0mlを加え、24時間還流した。反応溶液を冷水にあけ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:酢酸エチル=3:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(3) 9-アザ-2,6,12-トリヒドロキシトリシクロ[7.3.1.0<5,13>]トリデカ-1(13),2,4-トリエン-3-カルボアルデヒド(4)の合成
JP0003624214B2_000041t.gif50ml三口フラスコに化合物 1.0g(4.52mmol)、乾燥DMF20.0mlおよびPOCl30.69g(4.52mmol)を加え、窒素気流下、12時間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:酢酸エチル=5:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(4) メチル-13-アザ-10,16-ジヒドロキシ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボキシレート(5)の合成
JP0003624214B2_000042t.gif100mlナス型フラスコに化合物 1.0g(4.01mmol)、ジメチルマロネート0.53g(4.01mmol)、ベンゼン35.0m、アセトニトリル15.0ml、ピペリジン0.34g(4.01mmol)を加え、窒素気流下、4時間還流した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:酢酸エチル=2:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(5) 13-アザ-10,16-ジヒドロキシ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-カルボン酸(6)の合成
JP0003624214B2_000043t.gif50mlナス型フラスコに化合物 1.0g(3.02mmol)および濃塩酸10.0mlを加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液を冷水にあけ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2)で精製し、目的化合物を得た。
(6) (13-アザ-10,16-ジヒドロキシ-3-オキサ-4-オキソテトラシクロ[7.7.1.0<2,7>.0<13,17>]ヘプタデカ-1(17),2(7),5,8-テトラエン-5-イルカルボニロキシ)メチルアセテート(7)の合成
JP0003624214B2_000044t.gif50ml二口フラスコに化合物 0.50g(1.58mmol)、乾燥THF20ml、トリエチルアミン0.16g(1.58mmol)を加え氷浴につけた。アセトキシメチルブロミド0.29g(1.58mmol)を加え、氷浴下で30分間、室温に戻して24時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。大型薄層クロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2)で精製し、目的化合物を得た。
実施例6 5-エチル-6,6,8-トリメチル-3-オキソ-4,5,6-トリヒドロ-5-アザ-4-オキサアントラセン-2-カルボン酸(7)の合成
下記の反応式に従って、5-エチル-6,6,8-トリメチル-3-オキソ-4,5,6-トリヒドロ-5-アザ-4-オキサアントラセン-2-カルボン酸(7)を合成した。
JP0003624214B2_000045t.gif(1) 7-メトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(2)の合成
JP0003624214B2_000046t.gif200ml二口フラスコに3-メトキシアニリン(1)5.0g(40.63mmol)、ヨウ素0.1g、アセトン100.0mlを加え、窒素気流下、2日間還流した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで洗浄後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(2) 9-アザトリシクロ[7.3.1.0<5,13>トリデカ-1(13),2,4-トリエン-2,6,12-トリオール(3)の合成
JP0003624214B2_000047t.gif200ml二口フラスコに化合物 2.0g(9.85mmol)、アセトニトリル100.0ml、ヨウ化エチル1.56g(10.0mmol)、炭酸ナトリウム1.06g(10.0mmol)を加え、2日間還流した。炭酸ナトリウムを濾別後、濾液を減圧濃縮した。反応混合物に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=5:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(3) 1-エチル-2,2,4-トリメチル-1,12-ジヒドロキノリン-7-オール(4)の合成
JP0003624214B2_000048t.gif100mlナス型フラスコに、化合物 1.0g(4.32mmol)、臭化水素酸2.0ml、酢酸20mlを加え、24時間還流した。反応溶液を冷水にあけ、水酸化ナトリウムで中性にした後、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的化合物を得た。
(4) 1-エチル-7-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン-6-カルボアルデヒド(5)の合成
JP0003624214B2_000049t.gif100ml三口フラスコに、化合物 1.0g(4.60mmol)、乾燥DMF30.0ml、POCl30.76g(5.00mmol)を加え、窒素気流下、24時間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を酢酸エチルに溶解後、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、目的化合物を得た。
(5) メチル-5-エチル-6,6,8-トリメチル-3-オキソ-4,5,6-トリヒドロ-5-アザ-4-オキサアントラセン-2-カルボキシレート(6)の合成
JP0003624214B2_000050t.gif100ml二口フラスコに化合物 1.0g(4.08mmol)、ジメチルマロネート0.54g(4.08mmol)、ピペリジン0.35g(4.08mmol)、ベンゼン35.0ml、アセトニトリル15.0mlを加え、窒素気流下、4時間還流した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を酢酸エチルに溶解し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=5:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(6) 5-エチル-6,6,8-トリメチル-3-オキソ-4,5,6-トリヒドロ-5-アザ-4-オキサアントラセン-2-カルボン酸(7)の合成
JP0003624214B2_000051t.gif20ml二口フラスコに、化合物 1.0g(3.06mmol)、濃塩酸10.0mlを加え、室温で24時間撹拌した。反応溶液を冷水にあけ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し目的化合物を得た。
実施例7 化合物の合成
下記の反応式に従って、反応式中に示される化合物を合成した。
JP0003624214B2_000052t.gif(1) 化合物の合成
JP0003624214B2_000053t.gif20mlナス型フラスコに、化合物 2.95g(10.0mmol)、N,N-ジエチル-3-アミノフェノールを加え、180℃で2時環撹拌した。放冷後、2M塩酸溶液を加え、2時環還流した。水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、析出物を分取した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2)で精製し、目的化合物を得た。
(2) 化合物の合成
JP0003624214B2_000054t.gif50ml二口フラスコに、化合物 0.40g(0.58mmol)、エタノール50ml、Pd/C0.10gを加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。Pd/Cを濾別後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:MeOH=10:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(3) 化合物の合成
JP0003624214B2_000055t.gif50ml二口フラスコに、化合物 1.0g(5.78mmol)、トルエン10.0ml、トリ-n-ブチルアミン0.43g(2.31mmol)を加え、窒素気流下、氷浴中で撹拌した。SnCl40.14g(0.57mmol)を加えた後、室温に戻して30分間撹拌した。パラホルムアルデヒド0.40g(11.56mmol)を加え、100℃で12時間撹拌した。反応溶液を冷水にあけ、1N HClで酸性にした後、エーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,n-ヘキサン:酢酸エチル=10:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(4) 化合物の合成
JP0003624214B2_000056t.gif100mlナス型フラスコに化合物 1.0g(5.38mmol)、ジメチルマロネート0.71g(5.38mmol)、ピペリジン0.46g(5.38mmol)、ベンゼン35.0ml、アセトニトリル15.0mlを加え、窒素気流下、4時間還流した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンに溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:AcOEt=2:1)で精製し、目的化合物を得た。
(5) 化合物の合成
JP0003624214B2_000057t.gif100ml三口フラスコに、化合物 0.50g(1.39mmol)、化合物 0.41g(1.39mmol)、炭酸カリウム0.69g(5.00mmol)、アセトニトリル50.0mlを加え、窒素気流下、24時間還流した。炭酸カリウムを濾別後、溶媒を減圧留去した。反応混合物を酢酸エチルで溶解後、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:MeOH=10:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(6) 化合物の合成
JP0003624214B2_000058t.gif50mlナス型フラスコに化合物 0.50g(0.89mmol)および濃塩酸20.0mlを加え、24時間室温で撹拌した。反応溶液を冷水にあけ、塩化メチレンで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、カラムクロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:MeOH=50:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
(7) 化合物の合成
JP0003624214B2_000059t.gif100ml三口フラスコに化合物 0.50g(0.89mmol)、THF20.0ml、トリエチルアミン0.10g(0.90mmol)を加え、氷浴につけた。アセトキシメチルブロミド0.16g(0.90mmol)を加え、氷浴下で30分間、室温に戻して24時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、反応混合物を塩化メチレンで溶解し、水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。大型薄層クロマトグラフィー(SiO2,CH2Cl2:MeOH=20:1v/v)で精製し、目的化合物を得た。
実施例8 蛍光プローブを用いた細胞内マグネシウムイオンの測定(その1)
実施例1で合成した蛍光プローブKMG-20を用いて細胞内マグネシウムイオンを測定した。蛍光プローブKMG-20は、アセトキシメチル基を有しているため、脂溶性が高く細胞の培養液から細胞膜への移行が容易であり、細胞膜近傍で細胞内のエステル加水分解酵素によって、アセトキシメチル基が外れ、再びカルボキシル基を有する水溶性化合物となり、細胞質内へ拡散する。また、KMG-20は、マグネシウムイオンと錯結合することにより、その蛍光が増大する。
蛍光プローブKMG-20のDMSO溶液(1.0mM)を、終濃度が10.0μMになるようにHanks-HEPES緩衝液に加え、超音波処理した。培養液中で37℃でシャーレ上に培養されていたウシ血管内皮細胞の培養液を上記KMG-20溶液に置き換え、37℃で30分間インキュベートした。次いで、新しい緩衝液と交換し、蛍光顕微鏡AxiovertS 100で細胞を20倍の倍率で観察した。励起波長は440nm、検出波長は500~530nmであった。また、比較のため、蛍光プローブを投与する前の細胞も同様に蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、蛍光プローブ投与前には、蛍光は観察されなかったが、蛍光プローブ投与後の細胞では、蛍光プローブが細胞質中に均一に分散し、染色していることが観察された。また、全ての細胞において、蛍光強度が低い部分が観察された。この部分は、細胞の核の部分に相当し、蛍光プローブは細胞の核を抜かしたその周辺に存在することがわかった。
次に細胞内の遊離マグネシウムイオンの動態を明らかにするため、5μMのカルボニルシアノイドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)を添加した。その結果、細胞全体が明るくなった。また、FCCPを添加してからの蛍光強度の時間変化を観察したところ、添加後1分間は蛍光強度の増加が観察され、その後蛍光強度はほぼ一定となった。この際の時間(分)と蛍光強度との関係を図1に示す。通常、マグネシウムイオンは、ATP、ADP、糖リン酸、核酸、その他のリン酸化基質のリン酸エステル部分の酸素原子と結合し電荷を中和するとともに、酸触媒として働き、リン酸エステル化合物を基質とする酵素はマグネシウムイオンを補因子として必要とすることが知られている。FCCPは細胞内のミトコンドリアの呼吸阻害剤として働くため、細胞内のATP活性が落ち、遊離マグネシウムイオン濃度が増加し、KMG-20がマグネシウムイオンと複合体を形成したため、蛍光強度が増加したと考えられる。
さらに、細胞に10μMのアセチルコリンを添加し、細胞内のカルシウム濃度を強制的に増加させた。その結果、蛍光強度の増加は観察されなかった。このことから、KMG-20はカルシウムイオン共存下でも、十分選択的にマグネシウムイオンを測定できることが明らかになった。
実施例9 蛍光プローブを用いた細胞内マグネシウムイオンの測定(その2)
実施例4で合成したKMG-27を蛍光プローブとして用いて細胞内マグネシウムイオンの動態について測定した。
この蛍光プローブは、アセトキシメチル基を有しているため、脂溶性が高く、細胞培養液から細胞膜への移行が容易であり、細胞膜近傍で細胞内のエステル加水分解酵素によって、アセトキシメチル基が外れ、再びカルボキシル基を有する水溶性化合物となり、細胞内へ拡散する。
蛍光プローブのDMSO溶液(1.0mM)を、終濃度が10.0μMとなるようにHanks-HEPES緩衝溶液に加え、超音波処理した。培養液中で37℃でシャレー上で培養されていたPC-12細胞(ラット副腎髄質クロム親和性細胞種より単離された神経系クローン細胞)の培養液を、蛍光プローブ溶液に置き換え、37℃で30分間インキュベートした。次に新しい緩衝溶液と交換し、蛍光顕微鏡Axiovert S100で細胞を観察した。励起波長は440nm、検出波長は500~530nmに設定した。また、比較のため、蛍光プローブを投与する前の細胞も同様に蛍光顕微鏡で観察した。
その結果、蛍光プローブ投与前は、蛍光は観察されなかったが、蛍光プローブ投与後の細胞は、蛍光プローブが細胞内に均一に分散し、染色されていることが観察された。また、核の部分は蛍光強度が低く、蛍光プローブは細胞の核を抜かしたその周辺に存在することが明らかとなった。
次に細胞内の遊離しているマグネシウムイオンの動態を明らかにするため、5.0μMのカルボニルシアノイドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)を添加した。その結果、細胞全体が明るくなり、FCCPを添加してからの蛍光強度の時間変化を観察したところ、添加後1分間は蛍光強度の増加し、その後蛍光強度は一定となった。通常、マグネシウムイオンは、ATP、ADP、核酸などのリン酸化基質のリン酸エステル部分の酸素原子と結合し、電荷を中和するとともに、酸触媒として働くことが知られている。FCCPは細胞内のミトコンドリアの呼吸阻害剤として働くため、細胞内のATP活性が落ち、遊離したマグネシウムイオン濃度が増加する。従って、蛍光プローブとマグネシウムイオンが複合体を形成し、蛍光強度が増加したと考えられる。
さらに、10.0μMのアセチルコリンを添加し、細胞内のカルシウムイオン濃度を強制的に増加させた。その結果、蛍光強度の増加は観察されなかった。このことから、新たに開発した蛍光プローブはカルシウムイオン共存下でも、十分選択的にマグネシウムイオン濃度を測定出来ることが明らかとなった。
実施例10 蛍光プローブのマグネシウムイオン選択性
実施例1で合成したKMG-20及び実施例4で合成したKMG-27のマグネシウムイオンに対する選択性(すなわち、マグネシウムイオンに対する結合定数とカルシウムイオンに対する結合定数との比)を測定した。この測定は具体的には次のようにして行った。
蛍光指示薬を、濃度が10μMとなるように溶媒(HEPES10.0mM,KCl120.0mM,NaCl20.0mM,EGTA2.0mM,pH7.20)となるように溶解した。ここに金属塩(MgCl2,CaCl2)を上記溶媒に溶かした溶液を、濃度が0500mMとなるように加え、蛍光スペクトルを測定した。
この時の蛍光光度計(日立f4500)の条件は、励起波長:448nm,スリット幅:励起側2.5nm,蛍光側2.5nm,ホトマル電圧:700V,スキャン速度:240nm/minとした。
金属イオン濃度を変化させた時の極大蛍光波長(505nm)における蛍光強度を観測し、Benesi-Hildebrandプロット法(H.Am.Chem.Soc.71,2703(1949))を用いて、Mg2+およびCa2+との結合定数を算出した。結果を下記表1に示す。
比較のため、Molecular Probes社より市販されている公知のマグネシウムイオンプローブであるmag-fura-2(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,2981(1989)、meg-indo-1(J.Physiol,475,319(1994))、mag-fura-5(J.Physiol,475,319(994))及びマグネシウムグリーン(J.Biol.Chem.270,18975(1995))の結合定数も併せて下記表1に示す。
JP0003624214B2_000060t.gif表1から明らかな通り、本発明の蛍光プローブのマグネシウムイオンに対する選択性(KMg/KCa)は、従来のマグネシウムイオンプローブの選択性の200倍以上も高かった。
産業上の利用可能性
本発明の蛍光プローブは、水系において、カルシウムイオン共存下においても、マグネシウムイオンと選択的に錯体を形成することができる、選択的なマグネシウムイオン測定用蛍光プローブである。本発明の蛍光プローブは、生体内でのマグネシウムイオンの挙動の解析等に大いに威力を発揮するものと考えられる。
図面
【図1】
0