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明細書 :パノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3964795号 (P3964795)
公開番号 特開2004-209089 (P2004-209089A)
登録日 平成19年6月1日(2007.6.1)
発行日 平成19年8月22日(2007.8.22)
公開日 平成16年7月29日(2004.7.29)
発明の名称または考案の名称 パノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置
国際特許分類 A61B   6/14        (2006.01)
FI A61B 6/14 310
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2003-001395 (P2003-001395)
出願日 平成15年1月7日(2003.1.7)
審査請求日 平成16年9月9日(2004.9.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】田口 明
【氏名】中元 崇
【氏名】浅野 晃
個別代理人の代理人 【識別番号】100105371、【弁理士】、【氏名又は名称】加古 進
審査官 【審査官】安田 明央
参考文献・文献 特開2000-245722(JP,A)
特開平11-155849(JP,A)
鹿島勇,骨質の評価法 数理形態学による骨構造の骨格特徴抽出 コンピューテッドラジオグラフィーへの応用,Bone,1996年,第10巻,第4号,p.67-75
伊東昌子,骨量測定13 テキスチャー分析 原理・方法,Bone,1996年,第10巻,第1号,p.135-141
Matsubara M.,Non-invasive assessment of bone quality,J. Med. Dent. Sci.,1999年,vol.46, No.4,p.165-176
川股亮太,第三腰椎の構造変化検出能に関する研究 骨密度と構造指標との比較,日本骨形態計測学会雑誌,2002年,第12巻,第1号,p.57-63
調査した分野 A61B 6/00-6/14
特許請求の範囲 【請求項1】
歯のパノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置であって、
前記歯のパノラマX線画像における指定された部分を含む領域の画像を抽出する画像領域抽出手段と、
抽出された画像のスケルトンを求めるスケルトン処理手段と、
求めたスケルトンのうち、下顎骨の下縁の傾きと平行な部分のみを抽出する線抽出手段と、
スケルトンを含む画像を、スケルトンの線を背景から分離するように2値化する2値化手段と、
2値化した線を大きさにより分類して、骨粗鬆症の疑いを判定する判定手段と
を備えることを特徴とする骨粗鬆症診断支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の骨粗鬆症診断支援装置において、
前記判定手段は、2値化した線を大きさにより3群に分類し、一番小さい群の線を除き、一番大きい群と分類された線1本のみではない場合に、骨粗鬆症の疑いありと判定することを特徴とする骨粗鬆症診断支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の骨粗鬆症診断支援装置において、
前記画像抽出手段は、下顎骨の下縁の傾きと平行な矩形領域の画像を抽出し、
前記線抽出手段は、線の水平な部分を抽出する
ことを特徴とする骨粗鬆症診断支援装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の骨粗鬆症診断支援装置をコンピュータシステムに構築させるプログラム。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科治療で撮影されているパノラマX線写真を用いて、骨粗鬆症の診断支援を行う装置に関する。
【0002】
【技術的背景】
現在日本には1000万人の患者がいると推定される骨粗鬆症患者、およびその予備群の早期発見・早期治療を行うことが重要である。
現在の我が国における主要な骨粗鬆症診断方法は、最も精密に骨量を測定することが可能である二重X線吸収測定装置(DXA)による腰椎、大腿骨の骨密度測定、および簡便な方法として、定量的超音波検査(QUS)による踵骨の骨密度測定がある。しかし、これらの装置は特定の施設にのみ配備されているのが現状であり、腰痛などの骨粗鬆症様の症状がある人、または骨粗鬆症に関する高い関心を持っている人にしか利用されておらず、骨粗鬆症が原因と考えられる骨折を未然に防ぐには至っていない。
【0003】
骨密度の低下に伴い、全ての歯と周りの顎の骨等を写しているパノラマX線写真上の下顎骨下縁皮質骨(下顎骨の外側を覆っている厚い緻密骨)における形態の変化が起こるということが近年の研究で明らかになっている(非特許文献1参照)。図1に、歯のパノラマX線写真の例を示す。また、下顎骨下縁に形態変化を有する人では、そうでない人と比較して、微小な外力によって骨折を起こしてしまうリスクが有意に高くなることが分かっている(非特許文献2参照)。
さて、日常の歯科治療において、この下顎骨下縁部を観察することは頻度が少なく、また観察者の読影能力を問う点から、パノラマX線写真による骨粗鬆症の診断は実用化されていない。
これまでのパノラマX線写真を用いて骨粗鬆症を診断する研究は、上・下顎骨内部に存在する、スポンジ状の海綿骨と呼ばれる部の形態変化に着目するもの(非特許文献3,4,5,6参照)が中心であったが、パノラマX線写真上の海綿骨のみを自動的に抽出し診断することは困難であり、実用化されるには至っていない。また、下顎骨下縁皮質骨の厚さによって診断できる可能性があることも報告されている(非特許文献3,7参照)。
パノラマX線写真を用いて、骨粗鬆症の疑いのある人をスクリーングすることができれば、診断の対象となりにくい自覚症状のない人や、骨粗鬆症に関する関心をもっていない人をスクリーニングし、骨粗鬆症の可能性のある人のみをDXAのようなより精密な検査を受けるよう指導、あるいは、その装置を有する施設に紹介することで、骨粗鬆症患者の早期発見、早期治療が実現でき、また検査にかかるコストも削減できる。また、このスクリーニングに用いる手法は煩雑な操作を必要とせず、特別な能力を持たなくても利用できる簡単なものでなければならない。
しかしながら、例えば、パノラマX線写真における下顎骨下縁皮質骨の形態の変化に着目し、それをコンピュータソフトウェアによる数理形態学的画像処理によって、客観的に、自動的に評価することで、骨粗鬆症患者を診断する技術は存在していなかった。
【0004】
【非特許文献1】
Klemetti E, et al :Pantomography in assessment of the osteoporosis risk group, Scandinavian Journal of Dental Research,1994,102,P68-72
【非特許文献2】
Bollen A-M, et al :Case-control study of self-reported osteoporotic fractures and mandibular cortical bone, Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology Oral Radiology and Endodontics,2000,90(4),P518-524
【非特許文献3】
音琴淳一,他:パノラマX線写真パラメータを用いた歯周病と骨粗鬆症の関係の検討および骨粗鬆症診断の試み,日本歯周病学会会誌,2001,43(1),P13-24
【非特許文献4】
Kumasaka S, Kashima I :Initial investigation of mathematical morphology for the digital extraction of the skeletal characteristics of trabecular bone, Dentomaxillofacial Radiology,1997,26,161-168
【非特許文献5】
Stuart C. White, et al :Alterations of trabecular pattern of the jaws in patients with osteoporosis, Oral Surgery Oral Medicine Oral Pathology Oral Radiology and Endodontics,1999,88(5),P628-635
【非特許文献6】
Southard T. E. et al :IEE Trans Biomed Eng:43,123-132(1996)
【非特許文献7】
田口明,和田卓郎:骨粗鬆症-早期診断に果たす歯科の役割-,広島大学歯学雑誌,1993,25, p525-526
【非特許文献8】
丹部貴大,他:パノラマX線写真からの顎骨骨梁抽出,電子情報通信学会,2002,P94
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な操作で骨粗鬆症の疑いのある人をスクリーングすることができる、パノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、歯のパノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置であって、前記歯のパノラマX線画像における指定された部分を含む領域の画像を抽出する画像領域抽出手段と、抽出された画像のスケルトンを求めるスケルトン処理手段と、求めたスケルトンのうち、下顎骨の下縁の傾きと平行な部分のみを抽出する線抽出手段と、スケルトンを含む画像を、スケルトンの線を背景から分離するように2値化する2値化手段と、2値化した線を大きさにより分類して、骨粗鬆症の疑いを判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
前記判定手段は、2値化した線を大きさにより3群に分類し、一番小さい群の線を除き、一番大きい群と分類された線1本のみではない場合に、骨粗鬆症の疑いありと判定することができる。
前記画像抽出手段は、下顎骨の下縁の傾きと平行な矩形領域の画像を抽出し、前記線抽出手段は、線の水平な部分を抽出してもよい。
上述の骨粗鬆症診断支援装置をコンピュータシステムに構築させるプログラムも本発明である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
本発明は、Klemettiらの報告(非特許文献1参照)に基づく、パノラマX線写真上での下顎骨下縁皮質骨の形態変化を、数理形態学的画像処理手法の一つである、スケルトンを用いて識別し、骨粗鬆症患者のスクリーニングをするものである。
この発明での手法は、歯科治療目的で歯科医院に来院した患者のパノラマX線写真を用いるため、骨粗鬆症の自覚症状や関心を持っていない人をスクリーニングすることができ、またその診断を半自動的に行うため、特別な操作、能力を必要としない。なお、パノラマX線写真にスケルトンを用いることは、非特許文献8にも記載されている。
図2(a)は、図1のパノラマX線写真の下顎部分の模式図である。図2(a)の点線部分で示したパノラマX線写真上の下顎骨臼歯部下縁皮質骨の内面は、骨密度の低下が起こっていない人では、その形態がスムーズであり、一定の厚さを有している(図2(b)参照)。しかし、骨密度が低下すると、その内面が線状に吸収を起こし、粗造な構造となることが明らかになっている(図2(c)参照)。なお、図2(c)に示すように、皮質骨の上部にある海綿骨も骨密度が低下すると同様に形態が変化している。
本発明はこの形態変化に着目し、下顎骨臼歯部下縁皮質骨の内面がスムーズなものであるか、粗造なものであるかを半自動的に判別することで、骨密度の低下した骨粗鬆症疑いの人を検出するものである。
この手法では、海綿骨を対象とするものや、下顎骨皮質骨の厚さを対象としたものに比べ、容易に骨粗鬆症の診断が可能である。
【0007】
本発明は、パーソナルコンピュータ(PC)に実装されたプログラムで実現することができる。
図3に示した本発明の実施形態の処理に関するフローチャート、及び、図4,図5にしめす抽出画像に基づき、本発明の手法を説明する。図4は正常な人の画像、図5は骨粗鬆症の人の画像である。
まず、用いるパノラマX線写真(図1参照)は、本装置のパーソナルコンピュータで読み取ることのできるデジタル画像に、スキャナー等を用いて変換する必要がある。このときの解像度は、300dpi以上を推奨する。近年、普及しつつあるデジタル画像出力方式の撮影装置であれば、スキャナー等を用いた変換の操作は必要としない。このようにして、デジタル化されたパノラマX線写真の画像をパーソナルコンピュータに入力する(S210)。
【0008】
パノラマX線写真上の下顎骨臼歯部下縁皮質骨を観察の対象とするため、その部位をマウスで指定する(S220)。指定する部位は、第1大臼歯の下側の部分が望ましい。指定した結果、例えば、指定された部位を中心として周囲100×100ピクセルの領域を抽出する(図4(a),図5(a)参照)。なお、図4(a),図5(a)に示した抽出画像は、領域を抽出するときに、指定した箇所付近の下顎骨下縁の接線をもとめ、その接線の傾きと平行する矩形で抽出した画像である。これは、後の処理で、下顎骨下縁の傾きと平行な成分のみ抽出するが、その処理を容易に行うためである。
【0009】
この抽出画像に対して以下の画像処理を施す。
▲1▼ 画像にメディアンフィルターをかけ、可及的にノイズを少なくする。
▲2▼ 微小構造要素によるスケルトンを求める(S230)。
▲3▼ 下顎骨下縁の傾きと平行な成分のみを抽出する(S240)。
▲4▼ 例えば大津氏の線形判別法を用いて、画像を2値化する(S250)。
以下に、それぞれの処理について詳しく説明する。
【0010】
<メディアンフィルター処理>
画像にメディアンフィルターをかけるのは、ノイズを少なくするためである。
メディアンフィルターは、周囲の領域とかなり異なる、小さくてランダムに散在するノイズを取り除くことができる。 このフィルターは、通常の画像処理プログラムの機能として知られており、必要に応じて使用する。
【0011】
<スケルトン処理(S230)>
スケルトン(skeleton)とは「骨格」の意味で、画像中の物体を削り取って骨組みにすることである。物体をXとするとき,構造要素BによるスケルトンSK(X,B)は次のように定義される。
【数1】
JP0003964795B2_000002t.gif上式は、次のような意味を表している。まず、
【数2】
JP0003964795B2_000003t.gifは「構造要素の相似形nBを図形Xの内部に敷き詰めたときの,nBの中心の集合」である。
図6(図形X:長方形,B:円)を用いて、スケルトンの意味を説明する。
さて、n'<nとすると、
【数3】
JP0003964795B2_000004t.gif中心に配置された構造要素nB(左側)は、それより大きいn’BをXの内部に配置しても覆えない部分がある。それ以外の場所に配置されnB(右側)は、Xの内部にあるn’Bで完全に覆うことができる。
このように、
【数4】
JP0003964795B2_000005t.gifには「nBをこの位置に配置したとき、nより大きなサイズの相似形をXの内部に配置しても完全には覆うことができない」という性質がある。そこで、「B(例えば、円)のなるべく大きな相似形を使ってX(例えば、長方形)をきっちり覆う」ことを考えると、
【数5】
JP0003964795B2_000006t.gifに配置したnBは、それより大きな相似形で置き換えることはできない必要不可欠なものということになる。これを集めたものがスケルトンとなる。
したがって、図7(a)の図形X(長方形)のスケルトンは、「B(円)のなるべく大きな相似形を使ってX(長方形)をきっちり覆ったとき(図7(b)参照)の,相似形の中心の軌跡」(図7(c)参照)ということになる。この画像処理により、抽出画像は1つあるいは複数の線素によって構成されたものとなる。
図4(b),図5(b)は、図4(a),図5(a)の抽出画像をスケルトン処理した結果である。
【0012】
<下顎骨下縁と平行な線の抽出(S240)>
スケルトン処理を行った結果、図4(b),図5(b)に示すように、細かい線が色々な方向に走っている画像が得られる。
さて、下顎骨下縁皮質骨の中には、血管の束があり、骨密度が低下した人では、その管腔組織に沿って線状に吸収を起こしている(図2(c)参照)。この吸収は、下顎骨下縁と平行な線として現れるので、その線を検出するために、下顎骨下縁とほぼ平行な線の抽出を行っている。
具体的には、下顎骨下縁と平行する長方形(線)のパターンを用意し、そのパターンと一致する線を抽出している。
図4(b),図5(b)のスケルトン画像は、抽出したときに、下顎骨下縁と平行する矩形となるように行っているので、水平なパターンを用意し、そのパターンと一致する線を抽出している。これは、スケルトンの場合、抽出するためのパターンが細く小さいために、下顎骨下縁と平行する斜めのパターンを用意することが難しい。このために、水平なパターンを用意すればよいように、あらかじめ画像抽出時に、下顎骨下縁と平行する矩形となるように抽出処理を行っているのである。
【0013】
<画像の2値化処理(S250)>
ここまでは、濃淡のある画像を用いて画像処理を行ってきたが、ここで、スケルトン処理により作成された線を、背景から分離するように2値化を行う。このため、例えば、大津氏の2値化手法(大津展之「判別および最小2乗規準に基づく自動しきい値選定法」電子通信学会論文誌 Vol.J63-D No.4 1980年4月参照)により、2値化のしきい値を定めて、2値化処理を行うとよい。
図4(b),図5(b)のスケルトン画像から、下顎骨下縁と平行な部分のみ取り出して、2値化処理した後の画像を、図4(c),図5(c)に示す。
<骨粗鬆症の判別(S260)>
2値化処理後に現れた線素は、その画素数(大きさ)から、3つのカテゴリーに分類することができる。
小さなものから順に、
1.雑音 → 第1群
2.線状の骨吸収によって現れたやや小さめの線素 → 第2群
3.下顎骨下縁皮質骨による主線 → 第3群
となる。
これらの分類には各カテゴリー間に画素数による閾値が必要となる。
【0014】
広島大学歯学部附属病院歯科放射線科に、DXAによる骨密度測定のため来科した患者にパノラマX線撮影を施行し、その画像100枚を用いて、画像処理後の線素の大きさを計測し、図8に示すようなヒストグラムを作成した。図8から分かるように、雑音と考えられる小さなピクセル数の線素(0~100ピクセル程度)が非常におおくなっている。そこで、ヒストグラムの山の麓の値であるピクセル数117以下の大きさのものを雑音(第1群)とした。
次に、117ピクセル以下の部分を削除して、より大きな成分のみヒストグラムを作成した。作成したヒストグラムを図9に示す。図9から分かるように、二峰性の分布をしており、2つの山の谷間の値、231ピクセル以上を下顎骨下縁皮質骨による一番大きな線素(第3群)であるとした。118~230ピクセルの大きさのものは線状の骨吸収によって現れた線素(第2群)であるとした。
【0015】
この分類後の結果から、以下のように判定する(S260)。
・第1群の雑音は、対象としないので無視する。
・第2群の線素が存在する場合は、骨粗鬆症疑いとする。
・第2群の線素が存在せず、第3群の線素1本のみ存在する場合は正常とする。
・第3群の線素が2本以上存在する場合は、骨吸収による線(第2群の線)が連続して第3群の線素となったと考えられるので、骨粗鬆症疑いとする。
以上の判定の結果、第3郡の線素(主線)である一本の線素のみであり、正常と診断されたものでは、「正常」と出力し(S270)、その他の骨粗鬆症疑いと診断されたものでは「疑い」と出力し(S280)、表示装置等に表示する。
図4(c),図5(c)の例では、図4(c)は、雑音を除くと明らかに主線1本のみの画像であるので正常と判定され、図5(c)は、長い線がたくさんあるので、骨粗鬆症の疑いがあると判定される。
【0016】
【具体例】
広島大学歯学部附属病院歯科放射線科に、DXA法による腰椎および大腿骨の骨密度測定のために来科した50歳以上の女性患者100人のパノラマX線写真を、本装置を用いて診断した。この診断結果と、DXA法により、日本骨代謝学会の診断基準に従った診断結果(若年者平均骨密度の80%以下のものを骨密度低下者とする)をゴールドスタンダードとして本装置による診断の精度を測定した。
その結果、感度(DXA法の診断結果の骨密度低下者のうち、本装置が骨粗鬆症疑いとして検出したものの割合):82.2%、特異度(DXA法の診断結果の骨密度正常者のうち、本装置が骨密度正常として検出したものの割合):60.0%、正診率(DXA法による全ての診断結果と、本装置による全ての診断結果の一致率):70.0%となっていた。
同じパノラマX線写真100枚を用いて、広島県呉市歯科医師会所属の27名の開業歯科医師により、診断を行わせ、同様に診断精度を測定した。
その結果、感度:約77%、特異度:約40%、正診率:約58%であった。このことから、開業歯科医師よりも高い精度で骨粗鬆症疑いの人をスクリーニングすることが可能である。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0017】
【発明の効果】
本発明のパノラマX線画像を用いた骨粗鬆症診断支援装置では、診断に必要な操作は部位を指定するのみとすることが可能であるので、特に観察を行う者の診断能力を問うことはない。
また、この装置を現在普及しつつあるデジタル画像出力方式のパノラマX線写真撮影装置に搭載することで、開業歯科医院においての普及が見込まれる。
パノラマX線撮影法は、歯科医院にて歯科疾患の診断のため、しばしば用いられているものであり、医科で用いられている他のX線撮影法と比較しても高い頻度で施行されているので、従来の方法より多くの人で、骨粗鬆症にそれまで関心のなかった人をスクリーニングすることが可能となる。
本装置にてスクリーニングをしたのち、骨粗鬆症と疑われた患者は、他の施設でのDXA法による検査を受けるよう指導することで、早期発見・早期治療に貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯のパノラマX線写真の例を示す図である。
【図2】パノラマX線写真上の下顎骨や正常な皮質骨・骨密度低下者の皮質骨を示す図である。
【図3】骨粗鬆症診断支援装置の画像処理を示すフローチャートである。
【図4】正常な人の画像に対する処理過程を示す図である。
【図5】骨粗鬆症の人の画像に対する処理過程を示す図である。
【図6】スケルトンの意味を説明するための図である。
【図7】スケルトンを得る処理を説明するための図である。
【図8】線素のヒストグラムを示すグラフである。
【図9】線素の部分拡大ヒストグラムを示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8