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明細書 :光増幅装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4107653号 (P4107653)
公開番号 特開2004-221278 (P2004-221278A)
登録日 平成20年4月11日(2008.4.11)
発行日 平成20年6月25日(2008.6.25)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
発明の名称または考案の名称 光増幅装置
国際特許分類 H01S   3/10        (2006.01)
FI H01S 3/10 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 15
出願番号 特願2003-006342 (P2003-006342)
出願日 平成15年1月14日(2003.1.14)
審査請求日 平成18年1月13日(2006.1.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
発明者または考案者 【氏名】藤本 正俊
【氏名】高橋 宏典
【氏名】浦上 恒幸
【氏名】青島 紳一郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100092657、【弁理士】、【氏名又は名称】寺崎 史朗
【識別番号】100124291、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 悟
審査官 【審査官】傍島 正朗
参考文献・文献 特開2000-294860(JP,A)
特開2001-356070(JP,A)
調査した分野 H01S 3/00- 3/30
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
パルス状の入力光を増幅する光増幅手段と、
前記入力光を増幅するためのパルス状の励起エネルギーを前記光増幅手段に供給する励起手段と、
前記入力光を前記光増幅手段へと入射する入射光学系と、
前記光増幅手段により前記入力光が増幅された結果得られる増幅光を出力光として出射する出射光学系と、
前記入射光学系及び前記出射光学系を含む光学系の所定位置に設置され、前記入力光または前記増幅光の一部を分岐する光分岐手段と、
前記光分岐手段で分岐された分岐光を所定の入射タイミングで前記光増幅手段へと入射する分岐光入射光学系と
を備え
前記分岐光入射光学系は、装置の出力側にある光を反射する媒質で前記出力光が反射された結果生成される戻り光について、前記入力光よりも後で前記戻り光よりも前となる前記入射タイミングで前記分岐光を前記光増幅手段へと入射させ、前記入力光を増幅した後に前記光増幅手段に残留している前記励起エネルギーを消費させることを特徴とする光増幅装置。
【請求項2】
前記光分岐手段は、前記出射光学系に設置されて前記増幅光の一部を分岐して、前記分岐光を生成ることを特徴とする請求項1記載の光増幅装置。
【請求項3】
前記光分岐手段は、前記入射光学系に設置されて前記入力光の一部を分岐して、前記分岐光を生成ることを特徴とする請求項1記載の光増幅装置。
【請求項4】
前記分岐光入射光学系によって前記光増幅手段へと入射した前記分岐光が前記光増幅手段により増幅された結果得られる増幅光を分岐出力光として出射する分岐光出射光学系を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の光増幅装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力光を増幅して出力する光増幅装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
入力光のエネルギーを増幅する装置として、励起エネルギーを供給することによって光増幅素子を励起し、被増幅光である入力光を励起された状態にある光増幅素子へと入射して誘導放出を発生させ、これによって入力光を増幅して出力する光増幅装置が知られている。このような光増幅装置としては、例えば、TWA(Traveling-Wave Amplifier)などの半導体光増幅器(文献1)や、光ファイバ増幅器、光パルスの増幅に用いられる再生光増幅器(文献2)、マルチパス増幅器(文献3)などがある。
【0003】
【非特許文献1】
J. Klebniczki et al., "Generation of tunable femtosecond pulses in a traveling-wave amplifier", Opt. Lett. Vol.15 No.23 (1990), p.1368-1370.
【0004】
【非特許文献2】
T. Miura et al., "Timing jitter in a kilohertz regenerative amplifier of a femtosecond-pulse Ti:Al2O3 laser", Opt. Lett. Vol.25 No.24 (2000), p.1795-1797.
【0005】
【非特許文献3】
K. Yamakawa and C. P. J. Barty, "Ultrafast, Ultrahigh-Peak, and High-Average Power Ti:Sapphire Laser System and Its Applications", IEEE J. Sel. Top. Quant. Electr. Vol.6 No.4 (2000), p.658-675.
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような光増幅装置では、原理的に、光増幅素子への双方向の光の入射に対して有効に増幅が生じる。一方、光増幅装置からの光の出力側に光を一部でも反射する媒質があると、出力光の一部が反射されることによって戻り光が発生し、光増幅装置の光増幅素子へと再び入射されることがしばしば起きる。このとき、この出力側からの戻り光が光増幅素子で増幅され、高出力の戻り光として光増幅装置の入力側へと逆方向に出射されることとなる。
【0007】
この光増幅素子で増幅された高出力の戻り光は、光増幅装置の入力側に設置されている光学媒質や光学機器へと入射し、それらに不具合を生じさせる。例えば、光増幅装置の入力側にレーザ共振器が設置されていると、光増幅素子で増幅された戻り光が再入射することによってレーザ共振器の発振状態が不安定化する。また、高出力であるため、光学素子等に容易にダメージを与えてしまう。
【0008】
これに対して、光増幅装置での戻り光の影響を低減する構成として、その光路上に方向性光結合器(光アイソレータ)を設ける構成がある。光アイソレータを用いることにより、逆方向への戻り光のエネルギーを数桁にわたって減衰させることができ、高出力の戻り光が光増幅装置の入力側へと出射されることが防止される。
【0009】
しかしながら、光アイソレータは、その光入射窓の大きさに制限があるため、ビーム径が大きい光に対しては、その全てを入射することができないという問題がある。また、強度が大きい光に対して光路上に光アイソレータを挿入すると、光アイソレータ自体が光学的に損傷を受ける場合があるなど、戻り光の影響を確実に低減することは難しい。一方、光の強度を低減するためには、そのビーム径を大きくせざるを得ないが、それは上記のように光アイソレータの適用上問題がある。また、光アイソレータは比較的高価であるため、上記した構成では光増幅装置が全体として高価となるという問題もある。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、戻り光の影響を確実に低減することが可能な光増幅装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による光増幅装置は、(1)パルス状の入力光を増幅する光増幅手段と、(2)入力光を増幅するためのパルス状の励起エネルギーを光増幅手段に供給する励起手段と、(3)入力光を光増幅手段へと入射する入射光学系と、(4)光増幅手段により入力光が増幅された結果得られる増幅光を出力光として出射する出射光学系と、(5)入射光学系及び出射光学系を含む光学系の所定位置に設置され、入力光または増幅光の一部を分岐する光分岐手段と、(6)光分岐手段で分岐された分岐光を所定の入射タイミングで光増幅手段へと入射する分岐光入射光学系とを備え、分岐光入射光学系は、装置の出力側にある光を反射する媒質で出力光が反射された結果生成される戻り光について、入力光よりも後で戻り光よりも前となる入射タイミングで分岐光を光増幅手段へと入射させ、入力光を増幅した後に光増幅手段に残留している励起エネルギーを消費させることを特徴とする。
【0012】
上記した光増幅装置においては、入射光学系及び出射光学系を含み、増幅対象の光が伝搬する光増幅装置での光学系に対して、その光路上に光分岐手段を挿入することで伝搬している光の一部を分岐し、得られた分岐光を被増幅光である入力光とは別の光学系を介して光増幅手段へと入射する。そして、分岐光の光増幅手段への入射タイミングを、所定のタイミングに設定している。
【0013】
このような構成によれば、所定のタイミングで入射された分岐光が光増幅手段で増幅されることにより、入力光を増幅した後に光増幅手段に残留している励起エネルギーを消費させることが可能となる。このとき、光増幅装置の出力側からの戻り光が逆方向に光増幅手段へと入射された場合であっても、この戻り光が光増幅手段で増幅されて高出力の戻り光として入力側へと出射されることが抑制される。したがって、戻り光の影響が確実に低減されて、安定して動作することが可能な光増幅装置が実現される。分岐光の光増幅手段への入射タイミングについては、出力光の戻り光が想定される場合には、その戻り光が光増幅手段へと入射されるよりも前となる入射タイミングとすることが好ましい。
【0014】
これを確実にするため、例えば、分岐光による光増幅手段の残留エネルギー消費過程に要する光路長の半分よりも長い覆いで出力光伝搬路を囲っても良い。このとき、戻り光を生成する光学素子等の設置が光増幅装置から充分遠い位置でのみ可能となり、戻り光の光増幅装置に入射するタイミングは、残留エネルギー消費後となる。
【0015】
分岐光を光増幅手段へと入射する構成としては、光分岐手段は、出射光学系に設置されて増幅光の一部を分岐するとともに、分岐光入射光学系は、出力光の戻り光よりも前となる入射タイミングで、分岐光を光増幅手段へと入射する構成とすることが好ましい。あるいは、光分岐手段は、入射光学系に設置されて入力光の一部を分岐するとともに、分岐光入射光学系は、入力光よりも後で出力光の戻り光よりも前となる入射タイミングで、分岐光を光増幅手段へと入射する構成とすることが好ましい。これらの構成によれば、光増幅手段に残留している励起エネルギーを確実に消費させて、戻り光の影響を低減することができる。
【0016】
また、光増幅装置は、分岐光入射光学系によって光増幅手段へと入射した分岐光が光増幅手段により増幅された結果得られる増幅光を分岐出力光として出射する分岐光出射光学系を備えることを特徴とする。このような分岐出力光は、通常の出射光学系から出射された出力光と完全に同期がとれており、時間分解計測などの様々な計測に有効に利用することが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による光増幅装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、本発明による光増幅装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態における光増幅装置は、被増幅光として入力される入力光L1を増幅し、得られた増幅光を出力光L2として出力するものであり、入力光L1を増幅する光増幅手段(光増幅媒体)である光増幅素子2を備えている。また、この光増幅素子2に対して、入射光学系1及び出射光学系3を含む光学系が、増幅対象の光を伝搬する光学系として設置されている。
【0019】
入射光学系1は、光増幅装置に対して入力側に設置されている入力光生成装置8などから供給された入力光L1を、光増幅素子2へと入射する光学系である。この入射光学系1は、入力光L1を光増幅に適したビーム形状(ビームの大きさや集光具合など)にするとともに、入射角度等を適宜設定して所定の入射条件で光増幅素子2へと入射する。また、出射光学系3は、入力光L1が光増幅素子2によって増幅された結果として生成される増幅光を、所定の出射条件で出力光L2として光増幅装置の出力側へと出射する光学系である。
【0020】
光増幅素子2に対して、入力光L1を増幅するために必要な励起エネルギーを供給する励起部4が設置されている。光増幅素子2への励起エネルギーは、例えば、励起光、電流、放電などの手段で供給される。
【0021】
励起部4は、エネルギー供給部40及びエネルギー伝送部41から構成されている。エネルギー供給部40は、例えば励起光を生成する励起光源であり、励起エネルギーを生成して、エネルギー伝送部41へと供給する。また、エネルギー伝送部41は、エネルギー供給部40から供給された励起エネルギーを光増幅素子2へと伝送する。これにより、光増幅素子2が励起されて、入力光L1を増幅可能な状態となる。
【0022】
本実施形態においては、さらに、出射光学系3の光路上の所定位置に、光分岐部30が設置されている。光分岐部30は、入力光L1が光増幅素子2によって増幅された結果として生成される増幅光の一部を分岐して、分岐光L3を生成する。この分岐光L3は、本光増幅装置において、励起部4から光増幅素子2へと供給された励起エネルギーのうちで、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費させるために用いられる。
【0023】
また、この光分岐部30に対して、分岐光入射光学系5が設置されている。分岐光入射光学系5は、光分岐部30で分岐された分岐光L3を所定の入射タイミングで、所定の入射条件で光増幅素子2へと入射する。
【0024】
以上の構成において、励起部4のエネルギー供給部40からエネルギー伝送部41を介して、光増幅素子2へと励起エネルギーが供給されると、光増幅素子2は、光を増幅可能な状態に励起される。この状態で、光増幅装置の入力側に接続されている入力光生成装置8から供給された入力光L1を、入射光学系1を介して所定の入射条件で光増幅素子2へと入射する。このとき、光増幅素子2において誘導放出が発生し、これによって入力光L1が増幅される。
【0025】
入力光L1が光増幅素子2によって増幅された結果として生成される増幅光は、出射光学系3を介して、所定の出射条件で出力光L2として光増幅装置から出力され、物質への照射などの所定の目的に用いられる。なお、入射光学系1による光増幅素子2への入力光L1の入射、及びそれによる入力光L1の増幅は、1回であっても良く、あるいは必要に応じて複数回にわたって増幅する構成であっても良い。
【0026】
ここで、このように光増幅素子2で入力光L1が増幅された後でも、増幅された出力光L2のビーム品質を良好に保持するための制限や、入力光L1を光増幅素子2へと入射する光学系の構成上の制限などにより、光増幅素子2に、励起部4から供給された励起エネルギーの一部が残留している場合がある。
【0027】
これに対して、本実施形態の光増幅装置では、出射光学系3に設けられた光分岐部30によって増幅光の一部が所定の割合で分岐される。そして、得られた分岐光L3は、入射光学系1とは別に設けられた分岐光入射光学系5を介して光増幅素子2へと入射された後、光増幅素子2で増幅された分岐光L4として所定の方向へと出射される。このとき、分岐光L3の増幅によって、光増幅素子2に残留していた励起エネルギーが消費される。
【0028】
本実施形態による光増幅装置の効果について説明する。
【0029】
図1に示した光増幅装置においては、増幅対象の光を伝搬する光増幅装置での光学系に含まれている出射光学系3に対して、その光路上に光分岐手段である光分岐部30を挿入して伝搬されている増幅光の一部を分岐し、得られた分岐光L3を、分岐光入射光学系5を介して光増幅素子2へと入射する。そして、分岐光L3の光増幅素子2への入射タイミングを、所定のタイミングに設定している。
【0030】
このような構成によれば、上記したように、所定のタイミングで入射された分岐光L3が光増幅素子2で増幅されることにより、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費させることが可能となる。このとき、光増幅装置の出力側に光を反射する媒質があり、出力光L2が反射された結果生成される戻り光が逆方向に光増幅装置の光増幅素子2へと入射された場合であっても、この戻り光が光増幅素子2で増幅されて高出力の戻り光として入力側へと出射されることが抑制される。したがって、戻り光の影響が確実に低減されて、安定して動作することが可能な光増幅装置が実現される。
【0031】
ここで、分岐光入射光学系5を介した光増幅素子2への分岐光L3の入射タイミングについては、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費するために好適なタイミングに設定することが好ましい。具体的には例えば、光増幅装置からの出力光L2が反射された戻り光が想定される場合には、その戻り光が光増幅素子2へと入射されるよりも前となるように分岐光L3の入射タイミングを設定することが好ましい。
【0032】
このように分岐光L3の入射タイミングを設定することにより、出力光L2の戻り光が発生した場合であっても、戻り光の光増幅素子2への入射時には既に光増幅素子2に残留している余分な励起エネルギーが分岐光L3の増幅によって消費されていることとなる。したがって、戻り光が増幅されて高出力化されることが防止され、戻り光の影響を確実に低減することができる。
【0033】
上記した場合の光増幅装置の構成条件としては、出射光学系3に設置された光分岐部30から出力光L2を反射して戻り光を発生させる媒質までの距離をD、光分岐部30から分岐光入射光学系5までの距離をD1、分岐光入射光学系5から光増幅素子2までの距離をD2としたときに、条件2×D>D1+D2を満たすように構成することが好ましい。このような構成は、例えば、光分岐部30を光増幅素子2のすぐ後段に設置することで実現することができる。
【0034】
これを確実にするため、例えば、分岐光による光増幅手段の残留エネルギー消費過程に要する光路長の半分よりも長い覆いで出力光伝搬路を囲っても良い。このとき、戻り光を生成する光学素子等の設置が光増幅装置から充分遠い位置でのみ可能となり、戻り光の光増幅装置に入射するタイミングは、残留エネルギー消費後となる。
【0035】
また、光分岐部30からの分岐光L3を光増幅素子2へと導く光学系については、被増幅光である入力光L1を光増幅素子2へと入射する入射光学系1とは別の光学系として分岐光入射光学系5を設けている。このような構成においては、分岐光入射光学系5での分岐光L3の光軸は、入射光学系1での入力光L1の光軸とは異なる光軸となる。これにより、光増幅素子2から出射される増幅分岐光L4が光増幅装置の入力側へと出射されることが防止される。
【0036】
図2は、図1に示した光増幅装置の一実施例を示す構成図である。以下、本光増幅装置の構成について、図1及び図2を参照しつつその具体的な構成条件の例とともに説明する。
【0037】
本実施例においては、光増幅装置へと入力光L1を供給する供給手段として、光増幅装置に対して入力側に入力光生成装置8を設置している。この入力光生成装置8は、フェムト秒チタンサファイア発振器81と、チタンサファイア再生増幅システム82と、スライサ83とを有している。フェムト秒発振器81は、波長800nm、パルス幅50fsの光パルスを80MHzの繰り返し周波数で生成する。フェムト秒発振器81で生成される光の平均出力は600mW、光パルス当たりのエネルギーは7.5nJである。
【0038】
フェムト秒発振器81で生成された光パルスのエネルギーをある程度まで大きくするため、再生増幅システム82において光パルスが増幅される。まず、フェムト秒発振器81から出力された光パルスは、パルスストレッチャーによってチャープされてパルス幅が200psに広げられたチャープ光とされた後、再生増幅システム82へと入力される。
【0039】
これにより、再生増幅システム82において、波長800nm、繰返し周波数1kHzの光パルスが得られる。再生増幅システム82で生成される光の平均出力は1W、光パルス当たりのエネルギーは1mJである。また、再生増幅システム82から出力される光パルスにおいては、その後の増幅においてもパルス幅が広いチャープ光の方が好ましいため、そのパルス幅は200psのままとされる。
【0040】
さらに、この再生増幅システム82から出力される繰返し周波数1kHzの光パルスから、スライサ83によって10Hzの成分のみを抜き出して、繰返し周波数10Hzの光パルスとする。これは、本実施例において励起部4に用いられているYAGレーザ40aが、10Hzで最も安定に動作するためである。
【0041】
以上の構成を有する入力光生成装置8で生成される入力光L1に対し、図2に示す光増幅装置は、光増幅素子2として機能するチタンサファイア結晶20を備えている。図2に示した光増幅装置は、励起されたチタンサファイア結晶20に対して被増幅光である入力光L1を複数回入射させることによって、増幅された高出力の出力光L2を得るマルチパス増幅システムとして構成されている。
【0042】
チタンサファイア結晶20に対して、入力光L1の増幅に必要な励起エネルギーを供給する励起部4でのエネルギー供給部40は、YAGレーザ40a、及び第2高調波発生器40bを有し、YAGレーザ光の第2高調波によってチタンサファイア結晶20へ励起エネルギーを供給する励起光源として構成されている。
【0043】
ここで、チタンサファイア結晶20に励起エネルギーを効率良く供給するためには、チタンサファイア結晶20が吸収する波長を有する高エネルギーの光パルスを励起光として用いることが好ましい。このため、本実施例においては、YAGレーザ40aで生成された波長1064nm、繰り返し周波数10Hzのナノ秒光パルスを第2高調波発生器40bで波長532nmとし、この光パルスを励起光として用いている。チタンサファイア結晶20に供給される励起エネルギーとなる励起光パルスのエネルギーは、光パルス当たり850mJである。
【0044】
YAGレーザ40a及び第2高調波発生器40bからなるエネルギー供給部40に対し、励起エネルギーが励起光パルスによって供給されることに対応して、チタンサファイア結晶20へとエネルギーを伝送するエネルギー伝送部41として、光パルスを導く光学系が設けられている。
【0045】
図2に示したエネルギー伝送部41での光学系は、YAGレーザ40a及び第2高調波発生器40bから出力された直後の光パルスのビーム断面が、チタンサファイア結晶20の表面に転写される結像光学系となっており、これによって、高品質な励起パターンを得ることが可能な構成となっている。具体的には、この光学系は、エネルギー供給部40からチタンサファイア結晶20に向けて、集光レンズ42、真空パイプ43、コリメートレンズ44、及び全反射ミラー45、46によって構成されている。
【0046】
第2高調波発生器40bから励起光として出力された光パルスは、集光レンズ42によって一旦集光された後、コリメートレンズ44によってコリメートされる。そして、コリメートされた励起光パルスは、全反射ミラー45、46を介してチタンサファイア結晶20へと入射される。このような構成において、集光レンズ42、及びコリメートレンズ44からなるリレーレンズ系によって、チタンサファイア結晶20の表面に、出力直後の励起光パルスのビーム断面が結像される。
【0047】
集光レンズ42とコリメートレンズ44との間には、真空パイプ43が設置されている。この真空パイプ43は、真空ポンプ43aによって真空にされるとともに、レンズ42、44側の所定部位にそれぞれ光入射窓、光出射窓を有する構成となっている。このように、励起光パルスが集光されてそのエネルギーが狭い領域に集中する位置に、真空パイプ43を設けることにより、空気の非線形光学効果等による励起光パルスのビーム品質の劣化が防止される。
【0048】
また、チタンサファイア結晶20に励起光パルスを入射する全反射ミラー46からみて、チタンサファイア結晶20を挟んだ所定位置に、ビーム終端47が設けられている。このビーム終端47は、チタンサファイア結晶20を通過した励起光パルスをカットするものであり、このようなビーム終端の設置は装置の安全上の問題から好ましい。
【0049】
上記した構成の励起部4から励起エネルギーが供給されることによって励起されたチタンサファイア結晶20に対して、入力光L1を所定の入射条件で入射する入射光学系1が設けられている。本構成例においては、入射光学系1は、6個の全反射ミラー11~16を有して構成されている。入力光生成装置8から供給された入力光L1は、全反射ミラー11、12によって、チタンサファイア結晶20へと導かれる。このとき、励起されたチタンサファイア結晶20を入力光L1が通過することにより、チタンサファイア結晶20内で発生する誘導放出によって入力光L1が増幅される。
【0050】
また、本構成例においては、全反射ミラー13~16からなる光学系によってさらに2回で合計3回、入力光L1がチタンサファイア結晶20を通過する構成となっている。これにより、入力光L1が光パルス当たり200mJまで増幅された増幅光が得られる。
【0051】
ここで、入力光L1がチタンサファイア結晶20で増幅されて得られる増幅光でのビーム断面強度分布や波面などのビーム品質を、出力光の応用上充分な品質に保持するため、チタンサファイア結晶20への入力光L1の通過回数は適当な回数、上記の例では3回、に設定される。このとき、チタンサファイア結晶20には、通常、YAGレーザ40a及び第2高調波発生器40bを含む励起部4から供給された励起エネルギーの一部が残留する。
【0052】
チタンサファイア結晶20で入力光L1が増幅された結果生成される増幅光は、出射光学系3を介して所定の出射条件で出力光L2として出射される。この出射光学系3は、全反射ミラー31、ビームスプリッター30a、及び全反射ミラー32を有して構成されている。また、本構成例においては、出射光学系3に対して、その後段に光パルス幅圧縮器33が設置されている。
【0053】
チタンサファイア結晶20からの増幅光は、全反射ミラー31、ビームスプリッター30a、及び全反射ミラー32を介して、その大部分が光パルス幅圧縮器33へと導かれる。チタンサファイア結晶20から出射される増幅光は、パルス幅が200psと広く、その尖頭出力値は1GW程度である。このため、本構成例においては、光パルス幅圧縮器33を用いて、出力光L2のパルス幅を元の50fsまで圧縮している。このような構成を用いることにより、光パルスのエネルギーは150mJとやや減少するが、パルス幅の圧縮によってその尖頭出力値は3TWとなり、大強度の出力光L2が得られる。このような出力光L2は、集光により非常に大きな光強度が得られるため、様々な応用が可能な光パルスとなっている。
【0054】
また、この出射光学系3に設けられているビームスプリッター30aは、チタンサファイア結晶20からの増幅光の大部分を光パルス幅圧縮器33へと通過させるとともに、その増幅光の一部を所定の割合で分岐して分岐光L3を生成する光分岐部30となっている。
【0055】
すなわち、出力光L2の物質への照射、または出力光L2の光パルス幅圧縮器33への入射、出射などにおいて、出力光L2の一部が反射されて元の光路を逆方向に伝搬する戻り光が発生する場合がある。このような戻り光は、通常は非常に微弱なものであるが、図2に示したような光増幅装置では、戻り光の光路上にチタンサファイア結晶20が存在している。
【0056】
したがって、この光増幅装置に逆方向に入力される戻り光は、チタンサファイア結晶20で増幅されて高出力の戻り光となり、入力光生成装置8の内部を破壊するなど、光増幅装置、または光増幅装置に対して入力側に設けられた外部装置等において不具合を生じる原因となる。これに対して、図2に示した光増幅装置では、その出射光学系3に光分岐部30として機能するビームスプリッター30aを設置して増幅光の一部を分岐し、得られた分岐光L3をチタンサファイア結晶20に残留している励起エネルギーの消費に用いている。
【0057】
ビームスプリッター30aで分岐される分岐光L3に対して、分岐光L3を所定の入射条件でチタンサファイア結晶20へと入射する分岐光入射光学系5が設置されている。この分岐光入射光学系5は、5個の全反射ミラー51~55を有し、出力光L2の戻り光よりも前となる所定の入射タイミングで、分岐光L3がチタンサファイア結晶20へと入射するように構成されている。
【0058】
ビームスプリッター30aで分岐された分岐光L3は、全反射ミラー51、52、53によって、チタンサファイア結晶20へと導かれる。このとき、チタンサファイア結晶20を分岐光L3が通過することにより、チタンサファイア結晶20で分岐光L3が増幅されるとともに、チタンサファイア結晶20に残留している励起エネルギーが消費される。
【0059】
また、本構成例においては、全反射ミラー54、55からなる光学系によってさらに1回で合計2回、分岐光L3がチタンサファイア結晶20を通過する構成となっている。これにより、チタンサファイア結晶20に残留している励起エネルギーが充分に消費される。なお、2回では充分でない場合には、必要に応じてさらに分岐光L3をチタンサファイア結晶20に通過させる構成としても良い。ここで、分岐光L3に関しては、ビーム断面強度分布や波面などのビーム品質に厳しい制約が設定されないため、通過回数が多い構成となっても差し支えない。
【0060】
この分岐光L3は、上記した分岐光入射光学系5を介してチタンサファイア結晶20を所定回数通過した後、増幅分岐光L4として所定の出射方向へと出射される。このように、チタンサファイア結晶20に残留した励起エネルギーを分岐光L3を用いて消費させる構成により、上記のように出力光L2の戻り光が発生した場合であっても戻り光が増幅されることが防止され、そのため戻り光の影響が低減される光増幅装置が実現される。なお、チタンサファイア結晶20で分岐光L3が増幅されて出射される増幅分岐光L4に対して、その反射光等の余分な光が発生することを防止するため、適当なビーム終端(図示していない)を設けておくことが好ましい。
【0061】
図3は、光増幅装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態における光増幅装置は、入力光L1を増幅する光増幅素子2と、入射光学系1及び出射光学系3を含む光学系とを備えている。
【0062】
入射光学系1は、入力光生成装置8などから供給された入力光L1を、光増幅素子2へと所定の入射条件で入射する。また、出射光学系3は、入力光L1が光増幅素子2によって増幅された結果として生成される増幅光を、所定の出射条件で出力光L2として光増幅装置の出力側へと出射する。
【0063】
光増幅素子2に対して、入力光L1を増幅するために必要な励起エネルギーを供給する励起部4が設置されている。励起部4は、エネルギー供給部40及びエネルギー伝送部41から構成されている。エネルギー供給部40で生成された励起エネルギーは、エネルギー伝送部41を介して光増幅素子2へと供給される。これにより、光増幅素子2が励起されて、入力光L1を増幅可能な状態となる。
【0064】
本実施形態においては、さらに、入射光学系1の光路上の所定位置に、光分岐部10が設置されている。光分岐部10は、光増幅素子2での被増幅光となる入力光L1の一部を分岐して、分岐光L6を生成する。この分岐光L6は、本光増幅装置において、励起部4から光増幅素子2へと供給された励起エネルギーのうちで、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費させるために用いられる。
【0065】
また、この光分岐部10に対して、分岐光入射光学系6が設置されている。分岐光入射光学系6は、光分岐部10で分岐された分岐光L6を所定の入射タイミングで、所定の入射条件で光増幅素子2へと入射する。
【0066】
以上の構成において、励起部4から光増幅素子2へと励起エネルギーが供給されると、光増幅素子2は、光を増幅可能な状態に励起される。この状態で、入力光生成装置8から供給された入力光L1を、入射光学系1を介して所定の入射条件で光増幅素子2へと入射する。このとき、光増幅素子2で入力光L1が増幅される。光増幅素子2からの増幅光は、出射光学系3を介して、所定の出射条件で出力光L2として光増幅装置から出力され、物質への照射などの所定の目的に用いられる。
【0067】
また、本実施形態の光増幅装置では、入射光学系1に設けられた光分岐部10によって入力光L1の一部が所定の割合で分岐される。そして、得られた分岐光L6は、入射光学系1とは別に設けられた分岐光入射光学系6を介して光増幅素子2へと入射された後、光増幅素子2で増幅された分岐光L7として所定の方向へと出射される。このとき、分岐光L6の増幅によって、光増幅素子2に残留していた励起エネルギーが消費される。
【0068】
本実施形態による光増幅装置の効果について説明する。
【0069】
図3に示した光増幅装置においては、増幅対象の光を伝搬する光増幅装置での光学系に含まれている入射光学系1に対して、その光路上に光分岐手段である光分岐部10を挿入して伝搬されている入力光の一部を分岐し、得られた分岐光L6を、分岐光入射光学系6を介して光増幅素子2へと入射する。そして、分岐光L6の光増幅素子2への入射タイミングを、所定のタイミングに設定している。
【0070】
このような構成によれば、第1実施形態の構成と同様に、所定のタイミングで入射された分岐光L6が光増幅素子2で増幅されることにより、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費させることが可能となる。このとき、出力光L2の戻り光が逆方向に光増幅装置の光増幅素子2へと入射された場合であっても、この戻り光が光増幅素子2で増幅されて高出力の戻り光として出射されることが抑制される。したがって、戻り光の影響が確実に低減されて、安定して動作することが可能な光増幅装置が実現される。
【0071】
ここで、分岐光入射光学系6を介した光増幅素子2への分岐光L6の入射タイミングについては、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費するために好適なタイミングに設定することが好ましい。具体的には例えば、光増幅装置からの出力光L2が反射された戻り光が想定される場合には、入力光L1が光増幅素子2から出射されるよりも後で、戻り光が光増幅素子2へと入射されるよりも前となるように分岐光L6の入射タイミングを設定することが好ましい。
【0072】
このように分岐光L6の入射タイミングを設定することにより、戻り光の光増幅素子2への入射時には既に光増幅素子2に残留している余分な励起エネルギーが分岐光L6の増幅によって消費されていることとなる。したがって、戻り光が増幅されて高出力化されることが防止され、戻り光の影響を確実に低減することができる。
【0073】
このような構成では、この分岐光L6を入力光L1よりも後の入射タイミングで光増幅素子2へと入射するため、必要に応じて、分岐光入射光学系6に適当な遅延光学系を設けることが好ましい。ここで、図1に示した構成においては、出射光学系3に設けられた光分岐部30で増幅光を分岐して分岐光L3を生成しているため、その光増幅素子2への入射タイミングは、入力光L1が光増幅素子2へと入射されるよりも後となっている。
【0074】
なお、図2に示した実施例のように、光増幅素子2に対して複数回にわたって入力光L1を入射するように入射光学系1が構成されている場合には、光増幅素子2に最初に入射光L1が入射される前の位置に限らず、例えば入力光L1が光増幅素子2を1回通過してから2回目の入射までの間の光路上など、様々な位置に光分岐部10を設置することが可能である。一般には、光増幅素子2に残留している励起エネルギーを消費するための分岐光を生成する光分岐手段は、入射光学系1及び出射光学系3を含む光学系での光路上の所定位置に設置すれば良い。
【0075】
図4は、光増幅装置の第3実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態における光増幅装置は、入力光L1を増幅する光増幅素子2と、入射光学系1及び出射光学系3を含む光学系とを備えている。本実施形態においては、入射光学系1、光増幅素子2、光分岐部30を含む出射光学系3、エネルギー供給部40及びエネルギー伝送部41を有する励起部4、及び分岐光入射光学系5の構成については、図1に示した第1実施形態と同様である。
【0076】
本実施形態においては、さらに、光増幅素子2で分岐光L3が増幅された増幅分岐光L4に対して、分岐光出射光学系7が設置されている。この分岐光出射光学系7は、光増幅素子2から所定の方向に出射された増幅分岐光L4を、所定の出射条件で光増幅装置の出力側へと分岐出力光L5として出射する。
【0077】
本実施形態による光増幅装置の効果について説明する。
【0078】
図4に示した光増幅装置においては、第1実施形態の構成と同様に、出射光学系3の光路上に光分岐部30を挿入して伝搬されている増幅光の一部を分岐し、得られた分岐光L3を、分岐光入射光学系5を介して光増幅素子2へと所定の入射タイミングで入射する。このような構成によれば、入力光L1を増幅した後に光増幅素子2に残留している励起エネルギーを分岐光L3の増幅によって消費させることが可能となり、出力光L2の戻り光が光増幅素子2で増幅されて高出力の戻り光として出射されることが抑制される。したがって、戻り光の影響が確実に低減されて、安定して動作することが可能な光増幅装置が実現される。
【0079】
また、本実施形態においては、残留している励起エネルギーを消費する過程において光増幅素子2で増幅された分岐光L4に対して、出射光学系3とは別に分岐光出射光学系7を設置し、第2の出力光L5として出力する構成としている。このようにして得られる分岐出力光L5は、出力光L2と完全に同期が取れている。したがって、この分岐出力光L5は、時間分解計測などの様々な計測に有効に利用することが可能である。
【0080】
すなわち、出力光L2が照射されている相互作用域に対して、分岐光出射光学系7を介して、分岐出力光L5を所定のタイミングで相互作用域に導くことにより、相互作用域に発生している現象をプローブするなど、様々な目的に用いることができる。
【0081】
このように出力光L2に対して同期が取れて、プローブ光などとして用いられる第2の出力光は、通常は、出力光L2を分岐することによって生成される。しかしながら、プローブ光として用いるためには、光検出器の感度に対して充分な強度の光が必要とされるため、出力光L2を分岐して用いる構成では、物質への作用に用いるべき出力光L2のエネルギー自体がある程度減少する。また、プローブ光の戻り光が問題となる場合もある。
【0082】
これに対して、分岐光L3を入力光L1とは別に光増幅素子2で増幅し、得られた増幅光を分岐出力光L5として出力する上記構成によれば、出力光L2のエネルギーはほとんど減少することがなく、かつ、光検出器の感度に対して充分なエネルギーの光をプローブ光とすることができる。また、光増幅素子2に残留している励起エネルギーを分岐光L3によって消費しているので、プローブ光の戻り光が問題となることもない。
【0083】
なお、このように光増幅素子2で増幅された分岐光に対して、分岐光出射光学系を設けて分岐出力光として出力する構成は、入力光L1から分岐光を生成する図3に示した構成においても同様に適用することが可能である。
【0084】
本発明による光増幅装置は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。また、図2に示した実施例は、光増幅装置の構成の一例を示したものであり、光増幅装置の具体的な構成としては、これ以外にも様々な構成を用いることが可能である。
【0085】
例えば、チタンサファイア結晶20へと励起エネルギーを供給する励起部4については、図2においては、YAGレーザ40a及び第2高調波発生器40bからなるエネルギー供給部40と、光学系からなるエネルギー伝送部41とを有する構成を示している。これに対して、励起部4としては、このような励起系を複数用いる構成とすることも可能である。励起系を複数台とすることにより、光増幅素子2であるチタンサファイア結晶20は、設置された励起系の台数に応じた励起エネルギーを受け取ることとなり、さらに高出力の出力光L2を得ることが可能となる。
【0086】
また、光分岐部30からの分岐光L3のチタンサファイア結晶20への入射については、図2においては、全反射ミラー51~55からなる分岐光入射光学系5により、分岐光L3をチタンサファイア結晶20に2回入射する構成を示している。これに対して、その後に得られる増幅分岐光L4のビーム品質が問題とならない場合には、残留している励起エネルギーを充分に消費するため、分岐光L3をチタンサファイア結晶20に3回以上入射する構成としても良い。ただし、このような場合でも、最終的に出射される増幅分岐光L4が、入力光生成装置8への光路へ導かれることがないように光学系を構成することが好ましい。
【0087】
また、光増幅装置の前段に入力光生成装置8が設置される場合、その入力光生成装置8の構成については、図2に示した構成に限らず、様々な構成の生成装置を用いて良い。また、外部装置で生成された光等を入力光として用いる構成としても良い。
【0088】
【発明の効果】
本発明による光増幅装置は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、入射光学系及び出射光学系を含む光学系に対して、その光路上の所定位置に光分岐手段を設置し、得られた分岐光を分岐光入射光学系を介して、所定の入射タイミングで光増幅手段へと入射する構成によれば、入力光を増幅した後に光増幅手段に残留している励起エネルギーを、分岐光の増幅によって消費させることが可能となる。
【0089】
このとき、光増幅装置の出力側からの戻り光が逆方向に光増幅手段へと入射された場合であっても、この戻り光が光増幅手段で増幅されて高出力の戻り光として入力側へと出射されることが抑制される。したがって、戻り光の影響が確実に低減されて、安定して動作することが可能な光増幅装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】光増幅装置の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した光増幅装置の具体的な一実施例を示す構成図である。
【図3】光増幅装置の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【図4】光増幅装置の第3実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…入射光学系、10…光分岐部、11~16…全反射ミラー、2…光増幅素子、20…チタンサファイア結晶、3…出射光学系、30…光分岐部、30a…ビームスプリッター、31、32…全反射ミラー、33…光パルス幅圧縮器、4…励起部、40…エネルギー供給部、40a…YAGレーザ、40b…第2高調波発生器、41…エネルギー伝送部、42、44…レンズ、43…真空パイプ、43a…真空ポンプ、45、46…全反射ミラー、47…ビーム終端、5…分岐光入射光学系、51~55…全反射ミラー、6…分岐光入射光学系、7…分岐光出射光学系、8…入力光生成装置、81…フェムト秒発振器、82…再生増幅システム、83…スライサ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3