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明細書 :側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3744902号 (P3744902)
公開番号 特開2003-231749 (P2003-231749A)
登録日 平成17年12月2日(2005.12.2)
発行日 平成18年2月15日(2006.2.15)
公開日 平成15年8月19日(2003.8.19)
発明の名称または考案の名称 側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法
国際特許分類 C08G  65/48        (2006.01)
FI C08G 65/48
請求項の数または発明の数 2
全頁数 7
出願番号 特願2003-006408 (P2003-006408)
分割の表示 特願2000-263849 (P2000-263849)の分割、【原出願日】平成12年8月31日(2000.8.31)
出願日 平成15年1月14日(2003.1.14)
審査請求日 平成15年1月14日(2003.1.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】土田 英俊
【氏名】小柳津 研一
【氏名】斎藤 敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】佐々木 秀次
参考文献・文献 特開平05-320332(JP,A)
特開2000-248060(JP,A)
特開2001-261817(JP,A)
調査した分野 C08G 65/48
CA(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I)
【化1】
JP0003744902B2_000007t.gif
(ただし、Oは酸素原子を表し、R1、R2、R3、およびR4は、水素原子または弗素原子で、少なくとも1つが弗素原子であり、nは重合度を示す2以上の整数である)
で表されるポリ(オキシフルオロフェニレン)類に置換フェノールを反応させ、フルオロ基を置換フェニルエーテル基で置き換えることを特徴とする側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法。
【請求項2】
置換フェノールは、p-フェノールスルホン酸である請求項1の側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類に置換フェノールを反応させ、フルオロ基を置換フェニルエーテル基で置き換えることを特徴とする側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ポリオキシフェニレン類は、高い機械的強度と耐熱性を有する材料として、自動車用等の機械部品、ガス分離膜、導電性樹脂、機能性ゴム等として、種々の産業分野で用いられている。
【0003】
フェニレン電子供与性置換基を有するフェノール類を重合してなるポリアリーレンエーテルの合成については、これまで種々の報告がある。例えば、ポリ(オキシ-2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)は、第3級アミン(ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミンなど)と、これらの化合物と錯形成できる銅(I)塩(例えば塩化第一銅)を触媒とする2,6-ジメチルフェノールの酸化カップリングによって合成される。このような合成法は、酸化剤として溶存酸素を利用し、水を生成する反応系であることから、安価な反応系として利用されている。
【0004】
さらに、弗素置換されたポリ(オキシフェニレン)が実現されれば、例えば500℃以上というより高い耐熱性や機械強度、さらには耐薬品性等をも示すと考えられ、耐久性の高い材料等として、これまで以上に多くの用途が期待される。また、このようなポリマーは、非晶質であり、フィルム等の成型が容易であるという利点も期待される。
【0005】
また、弗素のような電子吸引性置換基を有するフェノール類に各種の特徴的な置換基を導入できれば、用途に応じた様々な物性を制御できることが期待される。
【0006】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類の物性を制御する方法として、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類に置換フェニルエーテルを導入する方法を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、次の一般式(I)
【0008】
【化2】
JP0003744902B2_000002t.gif
【0009】
(ただし、Oは酸素原子を表し、R1、R2、R3、およびR4は、水素原子または弗素原子で、少なくとも1つが弗素原子であり、nは重合度を示す2以上の整数である)で表されるポリ(オキシフルオロフェニレン)類に置換フェノールを反応させ、フルオロ基を置換フェニルエーテル基で置き換えることを特徴とする側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法を提供する。
【0010】
また、この出願の発明は、第2には、置換フェノールがp-フェノールスルホン酸である前記の製造方法をも提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下にこの出願の発明を詳細に説明する。
【0012】
この出願の発明の、側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法において、使用されるポリ(オキシフルオロフェニレン)類は、次の一般式(I)
【0013】
【化3】
JP0003744902B2_000003t.gif
【0014】
(ただし、Oは酸素原子を表し、R1、R2、R3、およびR4は、水素原子または弗素原子で、少なくとも1つが弗素原子であり、nは重合度を示す2以上の整数である)で表されるものである。
【0015】
この出願の発明において、上記一般式(I)で表されるポリ(オキシフルオロフェニレン)類は、重合度nが2以上であればよく、nの値が20未満の比較的低分子量なオリゴマーであっても、重合度nの値が20以上のポリマーであってもよい。
【0016】
この出願の発明のポリ(オキシフルオロフェニレン)類は、どのような方法で合成されるものであってもよく、触媒、溶媒、反応温度、反応触媒等はどのようなものであってもよい。好ましくは次の一般式(II)
【0017】
【化4】
JP0003744902B2_000004t.gif
【0018】
(ただし、Oは酸素原子を表し、R1、R2、R3、およびR4は、水素原子または弗素原子で、少なくとも1つが弗素原子である)で表されるフルオロフェノールを酸化重合して得られるものである。
【0019】
このとき、フルオロフェノールとしては、例えば2-フルオロフェノール、3-フルオロフェノール、2,6-ジフルオロフェノール、2,5-ジフルオロフェノール、2,3-ジフルオロフェノール、2,3,5-トリフルオロフェノール、2,3,6-トリフルオロフェノール、2,3,5,6-テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
【0020】
また、この出願の発明において使用されるポリ(オキシフルオロフェニレン)類は、上記のフルオロフェノールを酸化重合して得られるオリゴマーを、再重合して得られるものであってもよい。
【0021】
また、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類の製造においては、酸化重合触媒として、銅錯体、より好ましくは、脂肪族環状アミン系多座配位子を有する単核銅錯体、またはアルキレンジアミン配位子を有する単核銅錯体、さらには、脂肪族環状アミン系多座配位子やアルキレンジアミン配位子がアルキル鎖により連結された複核化配位子を有する二核銅錯体のいずれかを用いてもよい。
【0022】
以上のような銅錯体触媒としては、(1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン銅(II))クロリド、(1,4,7-トリイソプロピル-1,4,7-トリアザシクロノナン銅(II))クロリド、(1,4,7-トリプロピル-1,4,7-トリアザシクロノナン銅(II))ブロミド、(エチレンジアミン銅(II))クロリド、(N,N’-ジメチルエチレンジアミン銅(II))ブロミド、(N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン銅(II))ブロミド、(N,N,N’,N’-テトラプロピルエチレンジアミン銅(II))ブロミド、(N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,4-n-ブタンジアミン)ビス銅(II))クロリド、(N,N’-ビス(2-ジ-t-ブチルアミノシクロヘキシル-t-ブチル)-1,6-n-ヘキサンジアミン)ビス銅(II))テトラフルオロホウ酸塩などが例示される。
【0023】
また、溶媒は、とくに限定されないが、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、モノクロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、1,2-ジクロロプロパン、1,1,2,2-テトラクロロプロパン等の種々の有機溶媒が好ましく例示される。反応温度もとくに限定されないが、室温付近では触媒活性が高く、反応系も扱いやすいため好ましい。さらに、反応は、酸素雰囲気下で行うことにより酸素が酸化剤として作用し、好ましい。また、助触媒として塩基を用いることにより、反応が促進されてより好ましい。このような塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、N,N-ジメチルアミン、N-メチルピロリジン、2,6-ジフェニルピリジン等が好ましく例示される。
【0024】
この出願の発明では、以上のとおりのポリ(オキシフルオロフェニレン)を原料として、これに置換フェノールを反応させ、フルオロ基を置換フェニルエーテル基で置き換えることにより、側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類が得られる。このような製造方法としては、以下の化学式(III)
【0025】
【化5】
JP0003744902B2_000005t.gif
【0026】
が例示される。つまり、化学式(III)においては、前記一般式(I)のR2およびR4がFであるポリ(オキシフルオロフェニレン)を出発物質とし、置換基Rを有するフェノールを反応させるものである。
【0027】
出発物質のポリ(オキシフルオロフェニレン)類は、化学式(III)に記載のものに限定されず、Fが1~4個のものであってもよく、またそれらの位置も2,6-に限定されない。ポリ(2-モノフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(3-モノフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(2,5-ジフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(2,3,5-トリフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(2,3,6-トリフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)等、種々のものが原料となりうる。
【0028】
また、反応させる置換フェノールは、Rの位置が、オルト位、メタ位、パラ位のどこにあるものでもよく、さらには、2,4-、2,5-、3,5-位等、OH基に対して2~6位のいずれかの2箇所以上に各々同一または別異の置換基を有するものであってもよい。置換基Rは、ハロゲン原子、O、S、Nを有する種々の置換基、アルキル基、置換アルキル基等、どのようなものであってもよい。このような置換フェノールとしては、具体的には、p-フェノールスルホン酸、o-ニトロフェノール、m-クロロフェノール、などが例示される。
【0029】
もちろん、この出願の発明の側鎖に置換フェニルエーテルを有するポリ(オキシフェニレン)類の製造方法においては、出発物質のポリ(オキシフルオロフェニレン)類や置換フェノールは、上に例示されるものに限定されず、種々の置換基を有するフェニルエーテル基を導入することができる。種々のフェニルエーテル基の導入により、ポリ(オキシフェニレン)類の機械的性質や物理的性質を制御することが可能となる。
【0030】
化学式(III)において、フェニルエーテルは、つまり、原料となるポリ(オキシフルオロフェニレン)類(化学式(I))における、弗素原子と置換フェノールの置き換えによって導入されるものである。このような反応の条件等はとくに限定されず、導入する置換フェノールや出発物質となるポリ(オキシフルオロフェニレン)類に応じて、触媒、溶媒、反応温度、反応時間を選択してもよい。以下、実施例を示し、この出願の発明をより詳しく説明する。なお、この出願の発明は以下の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0031】
【実施例】
実施例1
次の化学式(IV)にしたがって、ポリ(2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)にスルホン酸基を導入した。
【0032】
【化6】
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【0033】
ポリ(2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレンオキシド)0.260g(0.002mol)とp-フェノールスルホン酸7.68g(0.04mol)をガラス容器に導入し、10mlのジメチルアセトアミドを溶媒として、無水炭酸カリウム5.54g(0.04mol)、ヨウ化銅0.4g(0.002mol)を添加し、窒素雰囲気下で、160℃で48時間加熱した。
【0034】
反応液を300mlのメタノールに溶解し、可溶部を濾過して回収した後、濾液を蒸発乾固した。残渣の固体を50mlの水に溶解し、3lの純粋中で透析膜を用いて低分子量成分を除去した(1時間後)。透析後の溶液を蒸発乾固し、茶色固体の生成物が得られた。
【0035】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類に置換フェニルエーテルを導入する方法が提供される。これにより、ポリ(オキシフルオロフェニレン)類の物性を用途に応じて制御することが可能となる。