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明細書 :液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3645549号 (P3645549)
公開番号 特開2004-226019 (P2004-226019A)
登録日 平成17年2月10日(2005.2.10)
発行日 平成17年5月11日(2005.5.11)
公開日 平成16年8月12日(2004.8.12)
発明の名称または考案の名称 液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ
国際特許分類 F25J  1/02      
F25J  1/00      
FI F25J 1/02
F25J 1/00 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2003-015580 (P2003-015580)
出願日 平成15年1月24日(2003.1.24)
審査請求日 平成15年5月29日(2003.5.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】服部 智
参考文献・文献 特開昭59-204286(JP,A)
特開平7-294161(JP,A)
調査した分野 F25J 1/00-5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
液体ヘリウム再液化装置を構成する機器を収納できる密封式ホールダであって、このホールダは、機器を収納する本体と、この本体に対して密封状態に取り付けることができる蓋体とによって収納室を構成し、さらに前記収納室内に大気より高い圧力のヘリウムガスを封入できるようにしたことを特徴とする液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ。
【請求項2】
前記本体の開口部にはOリングを収納するOリング収納部が形成され、さらに蓋体の開口部には前記Oリングを押圧した状態で両者を結合できる結合手段が取り付けられ、さらに収納室内には大気より高い圧力のヘリウムガスを供給できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ。
【請求項3】
大気より高い圧力のヘリウムガスを封入した前記ホールダ内に、液体ヘリウム再液化装置内に配置される機器を収納したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は密封式ホールダに関するものであり、特に液体ヘリウムの再液化装置内で使用されている機器から汚染物質が系内に侵入することを防止できる液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極めて多くの低温物性研究や超伝導素子を用いた計測器等の冷却に、液体ヘリウムは不可欠である。また、人間の脳から発する磁界を検出する脳磁気計測システム等では脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉計)が利用されており、このSQUIDを冷却した状態で用いるために液体ヘリウムが利用されている。
【0003】
しかしながら、上述した計測器や脳磁気計測システム等において現在ほとんどの場合、冷却のための液体ヘリウムは蒸発した後、大気に放出する形をとっている。この場合1リットル当たり約1200円する高価なヘリウムを多量に無駄に消費するため経済的かつ資源的に問題があり、このため、蒸発したヘリウムガスを回収し再度液化して再利用したいという要求は極めて強いものがある。
このため、最近では、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の汚染物質を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが研究されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000-105072
【0005】
しかしながら、従来型の循環システムでは、システム内のパイプの接続部や機器内の種々のシール箇所から、極微量の酸素や窒素等の汚染物質が少しずつヘリウムガス内に混入することを防ぐことができず、このためヘリウムガスが冷却されていく過程において、ガス内に混入している極微量の酸素や窒素等の汚染物質が装置内の種々の箇所で凍りつき、循環システムを閉塞し、システムが正常に運転できないという問題がでてきた。 こうした問題を解決するために、本発明者等は、すでにヘリウムガス精製器を開発し、上記汚染物質を凝固して取り除くことに成功している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、システム内の配管系に侵入する汚染物質は、システムの密封性をいくら高めても極くわずかづつシステム内に侵入し、その凝固物は予測不能な部分で成長するため、単純に容積の大きなヘリウムガス精製器を作っても意外に早く閉塞が発生し、長期間の使用に耐えられないという問題が明らかとなってきた。 また、汚染物質がどの部分から系内に侵入するのかは、従来の研究によってもあまり明確ではなかった。
【0007】
このような背景の中、今回、発明者らはこうした汚染物質の混入が循環システムに不可欠な循環ポンプおよび水フィルタ等で発生することを突き止め、こうした汚染物質の混入を防止できる密封式ホールダの開発に成功した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、液体ヘリウム再液化装置を構成する循環ポンプ、水フィルタ等の機器を収納できる密封式ホールダを構成し、このホールダ内に大気より高い圧力のヘリウムガスを封入することにより機器からの汚染物質の侵入を防止できるようにした液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダを提供することにより、上記従来の問題点を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した課題解決手段は、
液体ヘリウム再液化装置を構成する機器を収納できる密封式ホールダであって、このホールダは、機器を収納する本体と、この本体に対して密封状態に取り付けることができる蓋体とによって収納室を構成し、さらに前記収納室内に大気より高い圧力のヘリウムガスを封入できるようにしたことを特徴とする液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダである。
また、前記本体の開口部にはOリングを収納するOリング収納部が形成され、さらに蓋体の開口部には前記Oリングを押圧した状態で両者を結合できる結合手段が取り付けられ、さらに収納室内には大気より高い圧力のヘリウムガスを供給できるようにしたことを特徴とする液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダである。
また、大気より高い圧力のヘリウムガスを封入した前記ホールダ内に、液体ヘリウム再液化装置内に配置される機器を収納したことを特徴とする液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダである。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して本発明に係る液体ヘリウム再液化装置用の密封式ホールダ(以下ホールダという)の説明をすると、図1は、蒸発したヘリウムガスを再凝縮して液化する公知の液体ヘリウム再液化装置に密封式ホールダを使用した概略構成図、図2は同システム内で使用するホールダの断面図である。
【0010】
図1において、100は本発明に係る密封式ホールダ、101は脳磁計を収容している液体ヘリウム貯留槽、102は前記貯留槽101内で気化したヘリウムガスを回収する循環ポンプ、103はヘリウムガス内に混入している水分を除去する水フィルタ、104は流量調整弁、105はヘリウムガス内に混入している不純物を除去する精製器、106は補助冷凍機、107は同補助冷凍機106の第一熱交換器、108は再凝縮冷凍機、109は再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器である。液体ヘリウム貯留槽101で気化し昇温した後、約300Kになったヘリウムガスは、循環ポンプ102で吸引され、水フィルタ103で乾燥され、さらに精製器105でヘリウムガス中の不純物が除去される。不純物が除去されたヘリウムガスは補助冷凍機106で温度約40Kの極低温ヘリウムガスに冷却され、さらに再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器109で温度4Kの液体ヘリウムに液化され、ここからトランスファ-ライン110を経由して液体ヘリウム貯留槽に供給される構成となっている。
【0011】
ところで、本発明者らの研究により、上記のような循環システムでは、図中の循環ポンプおよび水フィルタから極微量の汚染物質が循環しているヘリウムガス中に混入することが明らかとなった。具体的には、通常、上記循環ポンプおよび水フィルタは、システムが大気圧よりも高い圧力で利用されているため、簡便な通常のゴム膜とOリングで封印され使用されていた。このため、何らかの原因により循環システム内圧力が負圧になると空気中の窒素や酸素がシステム中に吸引されていたことが判明した。
【0012】
そこで、本発明では、システム内の循環ポンプや水フィルタ等を後述する密封式ホールダで覆い、さらに、密封式ホールダ内には大気よりも高い圧力のヘリウムガスを封入しておく(あるいは常時供給しておく)ことで、仮にシステム内が負圧になったとしても空気中の酸素や窒素が機器のゴム膜とOリングの部分からシステム内に侵入することを防止する。こうすることで、空気中にある酸素や窒素がヘリウムガス中に溶け込むことを防止でき、さらには循環系のシステムの閉塞を防止することができる。
【0013】
以下本発明に係る密封式ホールダの構造を図面を参照して詳しく説明すると、図2は同ホールダの断面図および平面図である。
図中、100は密封式ホールダであり、1はホールダを構成する機器を収納する本体、2は同本体を閉塞する蓋体、3はホールダ内にヘリウムガスを供給するヘリウムガス供給管、4、5はホールダ内に収納する機器に接続するヘリウムガス管であり、このヘリウムガス管4、5の間に機器M(例えば水フィルタ)を接続し、循環ヘリウムガスがこの水フィルタによって、水分が除去される構成となっている。図中4aはヘリウムガス管4とパイプ11とを接続する接続体で、蓋体2に固定されている。
また、ヘリウムガス管4、5は通常のOリング等を使用して図示せぬ水フィルタに接続されており、この構成は従来のものと同様である。
【0014】
そしてヘリウムガス管4、5のうち一方のヘリウムガス管5は機器を収納する本体1にシール部材を介して密封状態に取り付けられており、また、他方のヘリウムガス管4は蓋体2に、適宜支持部材を介して取り付けられている。またヘリウムガス管4と蓋体2とは本例の場合には溶接6で密封状態に取り付けられており、さらにヘリウムガス管4は水フィルタと接続されるパイプ11とシール部材10を介して接続されており、この部分でパイプ11とヘリウムガス管とが分離できるように構成されている。また、前記蓋体2には前記ヘリウムガス管4とは別に本体1内にヘリウムガスを供給するヘリウムガス供給管3が溶接等により密封状態で取り付けられており、また蓋体2の開口部にはOリングを押圧することができる押圧部材7が溶接等によって固定されており、またこの押圧部材7にはネジ部材8が回転自在に取り付けられている。
一方、また、前記本体の開口部には、Oリング9を収納するOリング収納部12が溶接等により固定されている。
【0015】
上記のように構成された密封式ホールダの使用方法を説明する。
まず、本体1の開口部に形成したOリング収納部12にOリング9を入れておき、本体1内に機器M(例えば水フィルタ、不図示)を収納し、収納された機器Mとヘリウムガス管4、5とを従来の水フィルタと同様の接続方法により接続する。その後、蓋体2を本体1の開口部に合わせ、ネジ部材8をOリング収納部12に形成したネジ部に螺合しながら両者を固定する。この操作によりOリング9が押圧部材7により押圧され、密封性を確保する。また本体1内にヘリウムガス供給管3から、ヘリウムガスを供給し、ホールダ内を大気より高いヘリウムガス圧で保持する。このようにホールダ内を大気圧よりも高いヘリウムガス圧状態にしておくと、ホールダ内に空気が侵入することを防止でき、さらには、機器のシール部からシステム内に空気が進入することを防止でき、システム内のヘリウムガスの純度を維持できる。
上記のように本発明では、機器の周囲、機器とヘリウムガスとの接続部が、大気よりも高いヘリウムガスで覆われることになり、仮に循環システムが負圧になっても、この水フィルタ等の機器部のシール部から空気中の窒素や酸素がシステム中に吸引されることが完全に防止される。
【0016】
以上本発明の実施形態について説明したが、ホールダ内に収納される機器は水フィルタに限定することなく、空気中の窒素や酸素が混入される心配のあるシステムの機器全てについて対応することができることは当然である。
また、ホールダは機器を収納でき、さらにヘリウムガスを大気圧よりも高い圧力で封入できるホールダであれば、その形状等は自由に設定することができる。さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液体ヘリウム再液化装置において、循環ポンプ、水フィルタ等の機器を密封式ホールダ内に収納し、このホールダ内に大気より高い圧力のヘリウムガスを封入することにより機器からの汚染物質の侵入を確実に防止できる。また密封式ホールダ内のヘリウムガス圧を大気よりも高い圧力に維持することで密封式ホールダ内に汚染物質が混入することを防止でき、さらに機器内に汚染物質が侵入することを防止できる、等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蒸発したヘリウムガスを再凝縮して液化する公知の液体ヘリウム再液化装置に密封式ホールダを使用した概略構成図である。
【図2】図1に示す再液化装置内に設ける密封式ホールダの断面図および平面図である。
【符号の説明】
1 本体
2 蓋体
3 ヘリウムガス供給管
4、5 ヘリウムガス管
7 押圧部材
8 ネジ部材
9 Oリング
10 シール部材
11 パイプ
12 Oリング収納部
100 密封式ホールダ
101 液体ヘリウム貯留槽
102 循環ポンプ
103 水フィルタ
104 流量調整弁
105 不純物を除去する精製器
106 補助冷凍機
107 補助冷凍機106の第一熱交換器
108 再凝縮冷凍機
109 再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器
110 トランスファ-ライン
図面
【図1】
0
【図2】
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