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明細書 :汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置、その装置からの汚染物質排出方法、その装置に使用する精製器およびトランスファーチューブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4145673号 (P4145673)
公開番号 特開2004-233020 (P2004-233020A)
登録日 平成20年6月27日(2008.6.27)
発行日 平成20年9月3日(2008.9.3)
公開日 平成16年8月19日(2004.8.19)
発明の名称または考案の名称 汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置、その装置からの汚染物質排出方法、その装置に使用する精製器およびトランスファーチューブ
国際特許分類 F25J   1/02        (2006.01)
C01B  23/00        (2006.01)
F25B   9/00        (2006.01)
F25J   3/08        (2006.01)
FI F25J 1/02
C01B 23/00 A
F25B 9/00 G
F25J 3/08
請求項の数または発明の数 16
全頁数 18
出願番号 特願2003-025525 (P2003-025525)
出願日 平成15年2月3日(2003.2.3)
審査請求日 平成15年2月14日(2003.2.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】福井 美穂
参考文献・文献 特開2000-193364(JP,A)
特開平11-028302(JP,A)
特開2001-248964(JP,A)
特開平05-311403(JP,A)
特開平03-079960(JP,A)
調査した分野 F25J 1/00-5/00
B01D 8/00
特許請求の範囲 【請求項1】
液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる、コールドボックス内にヘリウムガスを液化する冷凍装置と精製器を収納してなる循環式液体ヘリウム再液化装置において、前記精製器は熱伝導性のよいハウジング61と、このハウジングに設けた汚染物質固化部73と、このハウジング内にヘリウムガスを導入するための導入手段64と、前記固化部に付着した汚染物質を気化する加熱手段とを備え、さらに前記精製器にヘリウムガスを導入する流路に排気手段を設け、前記加熱手段によって精製器を加熱した際に発生する気化した汚染物質を前記排気手段により大気に放出するように構成したことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項2】
前記排気手段は、排気専用ポンプを備え、気化した汚染物質を前記排気専用ポンプで汲み上げ大気に放出するべく構成したことを特徴とする請求項1に記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項3】
前記排気手段は、精製器の流入側回路と前記循環ポンプの流入弁とを連通する回路内に排気用の電磁弁を設け、さらに前記循環ポンプの下流側に大気放出用の電磁弁を配置して構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項4】
前記精製器にヘリウムガスを導入するための前記導入手段64には精製器に流入するヘリウムガスの流量を調整するマスフローコントローラを設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項5】
前記精製器にヘリウムガスを導入するための前記導入手段64には複数の弁を設け、これらの弁を組み合わせることにより精製器に流入するヘリウムガスの流量を調整できるようにしたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項6】
前記精製器から精製されたヘリウムを略4K付近の温度のガスまたは液体で貯留する凝縮ポットを設け、前記凝縮ポットにはヒータを付設したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項7】
前記液体ヘリウム貯留槽には、液体ヘリウム貯留槽内の圧力制御を行うための電磁弁が配置されていることを特徴とする請求項1~請求項6の何れかに記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置。
【請求項8】
請求項1に記載の循環式液体ヘリウム再液化装置を用い、液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式液体ヘリウム再液化方法において、前記液化した液体ヘリウムを凝縮ポットに貯留し、凝縮ポットから液体ヘリウムを液体ヘリウム貯留槽に循環利用できるようにするとともに、少なくとも前記凝縮ポットまたは前記精製器のいずれか一方を加熱することにより、前記精製器に蓄積された汚染物質を気化し、気化した汚染物質を排気手段により大気に放出することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項9】
前記気化した汚染物質を排気専用ポンプで吸引し大気に放出することを特徴とする請求項8に記載の循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項10】
前記気化した汚染物質を循環ポンプで吸引し大気に放出することを特徴とする請求項8に記載の循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項11】
前記凝縮ポットまたは前記精製器の加熱は、精製器内の圧力が一定値以上と成った時に加熱を開始し、圧力が一定値以下になった時に加熱を停止することを特徴とする請求項8~請求項10のいずれかに記載の循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項12】
前記凝縮ポットまたは前記精製器の加熱は、精製器内の流速が一定値以下と成った時に加熱を開始し、流速が一定値以上になった時に加熱を停止することを特徴とする請求項8~請求項11のいずれかに記載の循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項13】
前記精製器の加熱冷却は、精製器を加熱することにより精製器内に固化堆積した汚染物質を全て気化するとともに前記気化したガスを排気手段により導入手段を逆流して排出する加熱・逆流モ-ド、精製器の加熱が停止され冷凍機の運転を再開する冷却モード、前記冷却モードが終了した後再びヘリウムガスの精製が始まる循環回復モード、液体ヘリウム貯留槽の液面を所定の液面に回復させるための液面回復モードの順に行うことを特徴とする請求項8~請求項12のいずれかに記載の循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法。
【請求項14】
液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器であって、前記精製器は熱伝導性のよいハウジングと、このハウジングに連続して設けた汚染物質固化部と、このハウジング内にヘリウムガスを導入するための導入手段と、前記固化部に付着した汚染物質を気化する加熱手段とを備え、精製器内で気化した汚染物質を前記導入手段を介して大気に放出できるようにしたことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器。
【請求項15】
前記汚染物質固化部は熱伝導性のよいフィンにより構成したジグザクの流路であることを特徴とする請求項14に記載の汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器。
【請求項16】
液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる請求項1に記載の循環式液体ヘリウム再液化装置に使用するトランスファーチューブであって、前記トランスファーチューブは、中心部に略4Kの液体ヘリウムが流れる管が配置され、その外側に同軸状に略4Kの液体ヘリウムガスが流れる管が配置され、さらに、その外側に同軸状に略40Kの液体ヘリウムガスが流れる管が配置され、各管の間、および最外側の管の外側には真空断熱層が形成されており、さらに前記略4Kの液体ヘリウムが流れる管とその外側に同軸状に配置した略4Kの液体ヘリウムガスが流れる管との間の真空断熱層の先端、および最外側の略40Kの液体ヘリウムガスが流れる周囲に形成した真空断熱層の先端にはヒータが配置されていることを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置に使用するトランスファーチューブ。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置および汚染物質排出方法に関するものであり、さらに具体的には、脳磁計等を液体ヘリウムを用いて極低温に維持するための装置において、装置内に配置した精製器に蓄積した汚染物質を気化しながら効率よく取り除くことができる汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置および同装置からの汚染物質排出方法、その装置に使用する精製器およびトランスファーチューブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極めて多くの低温物性研究や超伝導素子を用いた計測器等の冷却に、液体ヘリウムは不可欠である。こうした機器において、現在ほとんどの場合、冷却のための液体ヘリウムは蒸発した後、大気に放出する形で利用されている。ところが液体ヘリウムは希少な資源であり、高価なため、蒸発したヘリウムガスを回収し再度液化して再利用したいという要求は極めて強いものがある。
このため、最近では、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の汚染物質を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが研究されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000-105072
【0004】
ところで、前記従来型の循環システムでは、システム内の種々のシール箇所から、極微量の酸素や窒素等の汚染物質が少しずつヘリウムガス内に混入することを防ぐことができず、このためヘリウムガスを冷却する過程において、ガス内に混入している極微量の酸素や窒素等の汚染物質が装置内の種々の箇所で凍りつき、循環システムを閉塞しシステムが正常に運転できないという問題がでてきた。こうした問題を解決するために、本発明者等は、すでにヘリウムガス精製器を開発し、上記汚染物質を凝固して取り除くことに成功している。このヘリウムガス精製器は、システム運転中に汚染物質を精製器内で凝固し、精製器内に汚染物質が所定量蓄積されると、精製器に付設したヒータによって凝固した汚染物質を液化し、液化した汚染物質を適宜手段により精製器から系外に排出できる仕組みとなっている(特許文献2)。
【0005】
【特許文献2】
特願2002-16430〔特許請求の範囲〕
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、システム内の配管系に侵入する汚染物質は、システムの密封性をいくら高めても極くわずかづつシステム内に侵入し、その凝固物は予測不能な部分で成長するため、単純に容積の大きなヘリウムガス精製器を作っても意外に早く閉塞が発生し、長期間の使用に耐えられないという問題が明らかとなってきた。 また汚染物質を液化して系外に排出するということは、精製器内で汚染物質を気化させることなく液化状態に維持しておく必要があるため、精製器に付設のヒータの温度管理が必要となり、その管理が面倒であり、さらに液化した汚染物質を精製器からわざわざ取り出すための作業が必要となってくる。
【0007】
このような背景から、本発明者らは精製器のさらなる研究を進めた結果、精製器中で固化(凝固)した汚染物質を気化して系外に排出する新技術の開発に成功した。
本発明は、上記知見にもとづいてなされたものであり、液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる液体ヘリウム再液化システムにおいて、前記精製器にヒータを取り付け、汚染物質が所定量以上蓄積されると、ヒータによって精製器を加熱し、蓄積された汚染物質を気化し、気化した汚染物質を装置内のポンプを利用して大気に放出する長期間連続運転が可能な、循環式液体ヘリウム再液化装置およびその装置からの汚染物質排出方法を提供することを目的とする。
【0008】
また他の目的として、ヘリウムガス中に含まれる汚染物質を除去し、さらに汚染物質を気化して容易にシステム外部に排出することができる循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する高熱勾配ヘリウムガス精製器を提供することにある。
さらに、また、他の目的として、ヘリウムガスを循環している際に、外部からの熱侵入が少なく、エネルギーロスを大幅に改善できる循環式液体ヘリウム再液化装置に使用するトランスファーチューブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため本発明が採用した技術解決手段は、
液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる、コールドボックス内にヘリウムガスを液化する冷凍装置と精製器を収納してなる循環式液体ヘリウム再液化装置において、前記精製器は熱伝導性のよいハウジング61と、このハウジングに設けた汚染物質固化部73と、このハウジング内にヘリウムガスを導入するための導入手段64と、前記固化部に付着した汚染物質を気化する加熱手段とを備え、さらに前記精製器にヘリウムガスを導入する流路に排気手段を設け、前記加熱手段によって精製器を加熱した際に発生する気化した汚染物質を前記排気手段により大気に放出するように構成したことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記排気手段は、排気専用ポンプを備え、気化した汚染物質を前記排気専用ポンプで汲み上げ大気に放出するべく構成したことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記排気手段は、精製器の流入側回路と前記循環ポンプの流入弁とを連通する回路内に排気用の電磁弁を設け、さらに前記循環ポンプの下流側に大気放出用の電磁弁を配置して構成したことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記精製器にヘリウムガスを導入するための前記導入手段64には精製器に流入するヘリウムガスの流量を調整するマスフローコントローラを設けたことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記精製器にヘリウムガスを導入するための前記導入手段64には複数の弁を設け、これらの弁を組み合わせることにより精製器に流入するヘリウムガスの流量を調整できるようにしたことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記精製器から精製されたヘリウムを略4K付近の温度のガスまたは液体で貯留する凝縮ポットを設け、前記凝縮ポットにはヒータを付設したことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、前記液体ヘリウム貯留槽には、液体ヘリウム貯留槽内の圧力制御を行うための電磁弁が配置されていることを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置である。
また、循環式液体ヘリウム再液化装置を用い、液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式液体ヘリウム再液化方法において、前記液化した液体ヘリウムを凝縮ポットに貯留し、凝縮ポットから液体ヘリウムを液体ヘリウム貯留槽に循環利用できるようにするとともに、少なくとも前記凝縮ポットまたは前記精製器のいずれか一方を加熱することにより、前記精製器に蓄積された汚染物質を気化し、気化した汚染物質を排気手段により大気に放出することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、前記気化した汚染物質を排気専用ポンプで吸引し大気に放出することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、前記気化した汚染物質を循環ポンプで吸引し大気に放出することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、前記凝縮ポットまたは前記精製器の加熱は、精製器内の圧力が一定値以上と成った時に加熱を開始し、圧力が一定値以下になった時に加熱を停止することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、前記凝縮ポットまたは前記精製器の加熱は、精製器内の流速が一定値以下と成った時に加熱を開始し、流速が一定値以上になった時に加熱を停止することを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、前記精製器の加熱冷却は、精製器を加熱することにより精製器内に固化堆積した汚染物質を全て気化するとともに前記気化したガスを排気手段により導入手段を逆流して排出する加熱・逆流モ-ド、精製器の加熱が停止され冷凍機の運転を再開する冷却モード、前記冷却モードが終了した後再びヘリウムガスの精製が始まる循環回復モード、液体ヘリウム貯留槽の液面を所定の液面に回復させるための液面回復モードの順に行うことを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置からの汚染物質排出方法である。
また、液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器であって、前記精製器は熱伝導性のよいハウジングと、このハウジングに連続して設けた汚染物質固化部と、このハウジング内にヘリウムガスを導入するための導入手段と、前記固化部に付着した汚染物質を気化する加熱手段とを備え、精製器内で気化した汚染物質を前記導入手段を介して大気に放出できるようにしたことを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器である。また、前記汚染物質固化部は熱伝導性のよいフィンにより構成したジグザクの流路であることを特徴とする汚染物質排出機能を備えた循環式液体ヘリウム再液化装置に使用する精製器である。
また、液体ヘリウム貯留槽から気化したヘリウムガスを循環ポンプで汲み上げて精製器で精製し、再び液化した後、液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式液体ヘリウム再液化装置に使用するトランスファーチューブであって、前記トランスファーチューブは、中心部に略4Kの液体ヘリウムが流れる管が配置され、その外側に同軸状に略4Kの液体ヘリウムガスが流れる管が配置され、さらに、その外側に同軸状に略40Kの液体ヘリウムガスが流れる管が配置され、各管の間、および最外側の管の外側には真空断熱層が形成されており、さらに前記略4Kの液体ヘリウムが流れる管とその外側に同軸状に配置した略4Kの液体ヘリウムガスが流れる管との間の真空断熱層の先端、および最外側の略40Kの液体ヘリウムガスが流れる周囲に形成した真空断熱層の先端にはヒータが配置されていることを特徴とする循環式液体ヘリウム再液化装置に使用するトランスファーチューブである。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して本発明に係る循環式液体ヘリウム再液化装置の説明をすると、図1は本発明の第1実施形態に係る循環式液体ヘリウム再液化装置の構成図、図2は同装置内で使用する精製器の構成図、図3はトランスファーチューブの半断面図、図4は精製器に設けたヒータの制御ブロック図、図5はヒータの加熱および気化した汚染物質を排気(パージ)する状態の説明図である。
【0011】
図1において、1はヘリウムガスボンベ、2はデュワー(液体ヘリウム貯留槽)、3はコールドボックス、4はヒータ付の凝縮ポット(ヒータは図示せず)、5は最近進歩の著しい冷却能力の大きな冷凍機でありヘリウムガスを略40K程度にまで冷却する第1冷凍ステージ5Aと、略40Kにまで冷却されたヘリウムガスを略4K程度にまで冷却する第2冷凍ステージ5Bからなる2台の冷凍機、6Aは略4Kライン内のヒータ付第1精製器、6Bは略40Kライン内のヒータ付第2精製器、7は循環ポンプ、8は排気ポンプ、PS1、PS2、P0、P3~P6は圧力計、V12は循環ポンプの流出弁、V13は循環ポンプの流入弁、V2、V14は切替弁、CV1~CV8はチャッキ弁、MFC1は略4Kライン内の流量調整用の一定流量制御弁、MFC2は略40Kライン内の流量調整の一定流量制御弁、MF3~MF5はマスフローメータ、EV1はノーマルオープの電磁弁、EV2~EV7はノーマルクローズの電磁弁、F1、F2はフィルター、SV1は安全弁である。前記凝縮ポット4に設けられるヒータは、少なくとも2段階での温度制御が可能な能力をもっており、精製器6A、6B内の汚染物質を後述する態様で気化する際にはヒータを最大能力(たとえば1KW程度)とし、通常運転の時はヒータを最低能力(たとえば2W程度)で制御しながら使用する。なお、このヒータは別々のヒータを設けても良いし、一つのヒータを使用し、温度制御しながら使用することも可能である。また、前記冷凍機5は必要に応じて数を増減することができる。また、本実施形態では2段の冷凍機を2台使用したが、多段の冷凍機に代えたり、1台にすることも可能である。
【0012】
また、コールドボックス3内の凝縮ポット4、冷凍機5とデュワー2とを接続する流路(回路)には、後述する複数の流路を一体に構成したトランスファーチューブTを使用し、第1精製器6A、第2精製器6Bおよび凝縮ポット4にはヒータ(後述する)が付設され、汚染物質を除去する時等に各ヒータを作動させることができるようになっている。
【0013】
また、本例では、前記第1精製器6A、第2精製器6Bへの流入側回路には、それぞれチャッキ弁CV3、CV4、電磁弁EV2、電磁弁EV3を介してマスフローメータMF5が接続され、さらにこのマスフローメータ5には排気ポンプ8が接続されている。なお、チャッキ弁CV3、CV4の上流側を合流して一つの回路とし、チャッキ弁CV3、CV4および電磁弁EV2、EV3をそれぞれ一つの弁とすることが可能であり、さらに合流箇所をチャッキ弁CV3、CV4の下流側にすることも可能であり、それらの選択は設計時に自由に選定することができる。
さらに略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1の流入側とデュワー2とは図示のように、チャッキ弁CV7、ノーマルクローズの電磁弁EV4と切替弁V14とを備えた回路で接続されている。
【0014】
また、デュワー2のネックチューブ部からの高温ヘリウムガスを取り出すための回路(デュワー2とマスフローメータMF3を接続する回路)の途中にはノーマルクローズの電磁弁EV6が配置され、その下流側にはチャッキ弁CV8が設けられている。
前記各部品は、図示のように配管で接続され基本部分では従来の循環式液体ヘリウム再液化装置と同様の回路構成となっている。
なお電磁弁、弁等は必要に応じて全てを電磁弁、あるいは手動弁を使用することが可能であり、また装置内の弁は適宜省略、増設することが可能である。また、第1、第2精製器6A、6Bの詳細構成は後述する。
【0015】
上記循環式液体ヘリウム再液化装置の作動態様の一例を説明する。
〔通常運転〕
公知のようにデュワー2で蒸発したヘリウムガスはデュワー2のネックチューブ部からマスフローメータMF3→ノーマルオープンの電磁弁EV1→流入弁13→循環ポンプ7→流出弁12→フィルタF1を経た後、二つに分岐される。
分岐後の一方側は略40Kライン内の一定流量制御弁MFC2→チャッキ弁CV2を通って第2精製器6Bに入り、精製された後、冷凍機5に送られる。また、分岐後の他方側は、チヤッキ弁CV6→フィルターF2→略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1→チャッキ弁CV1を通って第1精製器6Aに入り、精製された後、冷凍機5に送られる。第1精製器6Aで精製されたヘリウムガスは冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aにおいて略40K程度にまで冷却され図1に示すようにデュワー2のネック部に略40Kの冷却用ヘリウムガスとして供給される。また、第2精製器6Bで精製された略4Kライン内のヘリウムガスは図1に示すように冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aで略40Kにまで冷却された後、第2ステージ5Bで冷却される凝縮ポット4に供給される。凝縮ポット4内は、第2ステージ5Bからの冷熱により略4Kまで冷却されており、凝縮ポット4内に供給されたヘリウムガスは液化され、デュワー2に供給される。デュワー2からはガス化した略4Kガスの一部が凝縮ポット4に戻り、再び液化される。
【0016】
〔通常運転中、ヘリウムガス不足が生じた場合〕
上記装置において、運転中に装置全体が過冷却状態になると、必要以上にヘリウムガスの液化が進みデュワー2内の圧力が低下する。このような圧力低下を検知すると、凝縮ポット内の最低能力のヒータ(2W程度のヒータ)を作動させ、温度を昇温させてデュワー2内の圧力低下を防止する。また、デュワー2内で液体ヘリウムが不足した場合には必要に応じてノーマルクローズの電磁弁EV5を開きマスフローメータMF4を介して不足分のヘリウムガスを略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1を介して第1精製器6Aに供給し、精製されたヘリウムガスを冷凍機で冷却してデュワー2に供給できるようにする。このとき、ヘリウムガスの供給が充分になると、デュワー2内の圧力が所定値以上に昇圧するため、ノーマルクローズの電磁弁EV5を閉じ、ヘリウムガスボンベ1からのヘリウムガスの供給を止めデュワー2内を適正値に維持する。なお、ヘリウムガスボンベ1からのヘリウムガスの供給は、ノーマルクローズの電磁弁EV5だけでなく、必要に応じてノーマルクローズの電磁弁EV7、あるいは両方からも供給することが可能である。
【0017】
〔精製器内の汚染物質の除去〕
循環式液体ヘリウム再液化装置が作動中に第1精製器6A、第2精製器6B(各精製器の構成は後述する)に汚染物質が所定以上に溜まる(固着する)と、ヘリウム液化作動を一旦停止し、第1精製器6A、第2精製器6B内のヒータ、凝縮ポット4に付設の最大能力のヒータ(1KW)を作動する(なお、このヒータの作動は精製器のヒータのみ、凝縮器のヒータのみ、あるいは両ヒータをともに作動することができる)。この結果、第1精製器6A、第2精製器6B内が加熱されフィン(フィンの構成については後述する)等に固着している固化汚染物質が気化される。この時、電磁弁EV2、EV3を開き、排気ポンプ8を作動すると排気ポンプ8の働きにより気化した汚染物質は排気ポンプ8から系外に排出される。凝縮ポット4に設けた高能力ヒータ(略1KW)が作動している場合には、熱伝導によって精製器6A、6Bが暖められると同時に凝縮ポット4内のヘリウムガスが暖められ、第1精製器6A、第2精製器6Bに温まったヘリウムガスを逆流させることができる。こうして、第1精製器6A、第2精製器6B内の汚染物質を気化することにより除去でき、再び、ヘリウムガス精製が可能な状態に復帰する。なお、ヒータのさらに詳しい制御については後述する。
【0018】
〔装置の通常運転ヘ復帰〕
循環式液体ヘリウム再液化装置を再び作動させる際には、第1精製器6A、第2精製器6B内のヒータ、凝縮ポット4に付設のヒータの作動を停止し、ノーマルクローズの電磁弁EV2、EV3を閉じ排気ポンプ8を停止する。そして、冷凍機5を運転して装置を徐々に冷却したのち、精製器6A、6Bが動作温度にまで冷却されると循環ポンプ7を作動する。この作動により、デュワー2中のヘリウムガスが吸引され液化作業が開始される。
【0019】
図4を参照して上記第1精製器6A、第2精製器6B(以下精製器6とする)、凝縮ポット4に付設したヒータの作動状態、循環ポンプ7、排気ポンプ8の作動状態、さらには各弁の開閉を制御する制御ブロックの一例について、また図5を参照してヒータ制御の一例を説明する。
第1精製器6A、第2精製器6Bのヒータ加熱、凝縮ポットのヒータ加熱は基本的には何れかの精製器のセンサが汚染物質を検知した場合に同時に行うことになるが、各ヒータはそれぞれ別々に作動させることも可能である。
【0020】
図4に示すように精製器6には、ヒータ84、温度センサ85、汚染物質検知センサ86が設けられており、凝縮ポット4にはヒータ87、温度センサ88が設けられている。ヒータ84はリレースイッチ82Aを介して電源83に接続されており、またヒータ87はリレースイッチ82Bを介して電源83に接続されている。リレースイッチ82A、82Bは制御器81からの指令によりスイッチがONとなる常開型スイッチとして構成されている。制御器81には冷凍機5、循環ポンプ7、排気ポンプ8、電磁弁EV1~EV7、精製器6に設けた図示せぬ汚染物質検知センサ86(圧力センサあるいは流速センサあるいは精製器内に蓄積した汚染物質の厚さ等を検知するセンサ)および前記ヒータ84、87の温度を検出する温度センサ85、88が接続されている。
【0021】
上記制御ブロックによるヒータ制御の一例を図5を参照して説明する。
なお、凝縮ポットに付設のヒータ87は精製器6のヒータ84と同じパターンで制御されることがのぞましいが、別の態様(それぞれのヒータが独立して制御されるようにすること)も可能である。
【0022】
〔加熱・逆流モード〕
精製器6に設けた汚染物質検知センサ86が汚染物質が所定量蓄積したことを検知すると、制御器81からの指令により、冷凍機5の運転を停止し、リレースイッチ82A、82BをONとし、ヒータ84、87の加熱を開始する加熱・逆流モードに入る(図5参照)。同時にノーマルクローズの電磁弁EV2、EV3を開き、排気ポンプ8を作動する。排気ポンプ8の作動により、精製器6内で気化した汚染物質は大気に放出される。そしてヒータ84、87への通電は、図5に示すようにヒータ84、87の温度が予め設定した温度T3になるまで急激に加熱され、その後、ヒータをオン・オフしながら温度T3を維持し、温度T3が所定時間(精製器内に固化堆積した汚染物質が全て気化するまでの時間、たとえば約60分程度)維持される。
【0023】
〔冷却モード〕
精製器に固着した汚染物質が全て気化し、外部放出されるとヒータの加熱が停止され、冷凍機の運転を再開する。このモードによりヒータによって暖められた循環式液体ヘリウム再液化装置全体を冷却する。このため冷却モードはできるだけ早くシステム全体を冷却する必要があることから、冷凍機の運転を再開すると略同時にノーマルクローズの電磁弁EV2、EV3を閉じ、排気ポンプ8の作動を停止する。そして冷凍機5の運転より装置を徐々に冷却したのち、循環ポンプ7の運転を開始する。冷凍機5、循環ポンプ7の運転によりヘリウムガスが循環しはじめ装置内の温度が図5に示すように急激に低下するが、この温度低下により装置内のヘリウムガス体積が収縮し、装置内が負圧になり外部から装置内に汚染物質が侵入してくる可能性がでてくる。このため、このような事態を回避するために、冷却モードでは、装置内が負圧にならないように、適宜電磁弁EV5、EV7を開いて綺麗なヘリウムガスをヘリウムガスボンベ1から少しずつ装置内に供給する。そして、装置内の温度がT2(略40K)にまで低下すると循環回復モードに入る。この時、デュワー2内の圧力が第1所定値以内(例えばデュワー圧が4~5Paの間)にあるように、デュワー2内の過圧防止、負圧防止のために電磁弁EV4、EV5、EV6、EV7を制御しながら圧力制御を行う。
【0024】
〔循環回復モード〕
所定時間経過し冷却モードが終了すると、精製器6A、6Bの温度が略40K程度にまで低下するため、再びヘリウムガスの精製が始まる。このモード中、デュワー2内の圧力が第2所定値(例えばデュワー圧が900~1200Paの間)となるように略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1、略40Kライン内の一定流量制御弁MFC2を制御しながらヘリウムガスを循環する(略4Kラインの流量を徐々に増して循環させる)。また、デュワー2内の圧力制御は電磁弁EV4、電磁弁EV6を開閉しながら行うとともに、必要に応じてヘリウムガスをガスボンベ1からデュワー2に供給することも可能である。
【0025】
〔液面回復モード〕
循環回復モードが終了後は、デュワー2内の液体ヘリウムの液面が低下しているため、所定の液面となるように、電磁弁EV5を開き、きれいなヘリウムガスをヘリウムガスボンベ1から略4Kラインに供給する。この制御により、ヘリウムガスボンベ1から供給されたヘリウムガスが冷凍機5で大量に液化され、略4Kラインの液体ヘリウム供給量を増大し、デュワー内の液面が回復する。
【0026】
〔順流モード〕
液面回復モードの後は、通常運転モードに復帰する。
なお、図5はあくまでも上記各モードの制御の一例であり、当然のことながら、装置の大小により各モードのパターンが変化したり、あるいは各弁、ヒータの作動制御態様、ヘリウムガス供給のタイミングは変化してくる。これらへの対応は装置の設計時に制御プログラムを変更するなど任意に設定できることである。また装置内の弁全てを電磁弁に代えて、制御器からの指令で全ての弁を開閉できるようにしてもよい。また全ての弁を手動にすることも可能である。
【0027】
続いて上記装置内で使用する精製器の一例を説明すると、図2は精製器の断面図である。
図1に示すようにコールドボックス3には2個の精製器(第1精製器6A、第2精製器6B)が配置されているが、2個の精製器6A、6Bは同じ構成をしており、ここでは一方側の第1精製器6A(以下精製器6とする)の構成を説明する。
精製器6は図2に示すように熱伝導性の良い銅材等で作られた円筒型をしたハウジング61を有しており、このハウジング61の外周にはヒータを取り付けるためのスペース62が形成され、そのスペース内に不図示のヒータが配置される。ハウジング61の下端は連結部材63を介して図1に示す冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aに連結されている。このためハウジング61は略40Kに冷却された温度となっている。
【0028】
ハウジング61にはデュワー2からの蒸発ヘリウムガスをハウジング61内に導入するステンレス製の導入パイプ64が挿入され、導入パイプ64は断熱材65を介して固定されている。またハウジング61および導入パイプ64は、図1に示すコールドボックス3を構成する断熱壁に適宜の断熱性支持部材を介して固定されている。ハウジング61内において、この導入パイプ64の周囲にはステンレス製の蛇腹部材66の一端側が溶接67等により固定されている。また、蛇腹部材66の他端側はハウジング61に溶接68等により固定されている。ハウジング61の上方には熱伝導性の良い材料からなる上部管69が、熱伝導性のよい材料からなる連結部材70によって取りつけられている。さらに、この上部管69の上方には流出用の管71が、熱伝導性の良い材料からなる支持部材72によって固定されている。また上部管69の内壁には、熱伝導性のより材料からなるフィン(汚染物質固化部)73が互い違いに流路がジクザクになるように適宜数設けられている。
【0029】
フィン73はフィン73を固定する固定棒75によって固定され、また固定棒75はその下端がハウジング61内に配置した保持体74によって保持されている。そして、前述したように、ハウジング61、上部管69、連結部材70、管71、支持部材72、フィン73、保持体74、固定棒75はいずれも熱伝導性のよい銅材等によって構成され、フィン73が冷凍機5と同じ略40Kに冷却される構成となっている。なお、フィン73がヘリウムガス中の汚染物質を固化できる温度(略40K)に冷却される構成であれば、フィンの支持構造は先述した構成に限定されない。
【0030】
一方、前記導入パイプ64にはデュワー2で蒸発した高温のヘリウムガス(略300K)が流れるため、導入パイプは少なくとも略300Kに近い温度となっている。またハウジングは前述したように略40Kであるため、できるだけその間の熱勾配を小さくするために両者は上記したようにステンレス製の蛇腹部材66で接続されている。この蛇腹部材66は導入パイプ64の出口周囲に所定のスペースを確保しながら、出口周囲を囲むように配置されている。この結果、導入パイプ64の出口付近の周囲に大きなスペースを備えることになり、出口付近がハウジング61からの熱伝導によって略40Kにまで冷却されることを防止し、出口部に汚染物質が蓄積することを防止している。
【0031】
この精製器6では略300Kの温度でハウジング内に流入した蒸発ヘリウムガスは、略40Kに冷却されているフィン73で構成されたジクザグの流路を通過する間に略40Kにまで冷却される。この冷却過程でガス内に混入している汚染物質(酸素や窒素等)がフィン73に凍りついて固化し除去され、ヘリウムガスが精製される。精製後、略40Kに冷却されたヘリウムガスは管71を介して図1に示す冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aに供給されて略40K程度にまで冷却され、デュワー2あるいは第2冷凍ステージ5Bで、さらに略4Kまで冷却されて凝縮ポット4に供給される。
【0032】
この精製器6において、フィン73に汚染物質が蓄積した場合には、その状態を後述するセンサで検知し、後述する制御器を介してハウジング61に取り付けたヒータ(図示せず)に通電し、汚染物質が気化する温度にまでハウジング61を加熱する。この結果、ハウジング61と熱伝導性のよい銅材で接続されているフィン73も加熱され、フィン73に蓄積した汚染物質が気化する。気化した汚染物質は、制御器からの指令によって流路を開いた図1に示すノーマルクローズの電磁弁EV2、EV3を介して排気ポンプ8から系外に排出される。
【0033】
また、精製器のヒータ加熱時には、凝縮ポット4に設けたヒータも作動させ、凝縮ポット4内の略4Kガスを暖めて、第1精製器6Aに温まったヘリウムガスを逆流させる。こうして、第1精製器6A(第2精製器6B)内の汚染物質の気化が促進され、短時間で汚染物質を除去でき、再び、ヘリウムガス精製状態へと短時間で戻すことができる。
【0034】
次に凝縮ポット4とデュワー2とを接続するトランスファーチューブTの説明をする。
脳磁計等の装置に流入する熱は、デュワー2のネックチューブ部において略40Kに熱アンカーされている。このためこのネックチューブの熱を効率良く回収してやれば、補充すべき液体ヘリウム量は劇的に減少し、結果的に液体ヘリウム生成費用を大幅に低下させることができる。そのため最近進歩の著しい略4KGM冷凍機を用いる。回収したヘリウムガスの大半を図1に示す第2精製器6Bを介して冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aに供給し、冷却能力の大きい第1冷凍ステージを利用して液体にすることなく、略40K程度の低温ガスにし、デュワー2のネックチューブ部に供給し、再度高温ガスとして回収することによって冷却能力を発揮させる。また、デュワーから回収したヘリウムガスの一部は、図1に示す第1精製器6Aを介して冷凍機5の第1冷凍ステージ5Aを経て第2冷凍ステージ5Bに取り付けた凝縮ポット4に供給し、凝縮ポット4内で4.2Kの液体ヘリウムにする。凝縮ポット4の液体ヘリウムはトランスファーチューブ内の略4K液体供給ラインからデュワー2に注入される。この際、長いトランスファーチューブを介してデュワーに液体ヘリウムを充填する必要がある。
従来の、トランスファーチューブでは、熱侵入が大きいため、8リットル(液体)/日程度の少ない液体ヘリウムを移送しようとすると、大半の液体ヘリウムが気化してしまうため、より多くの液体ヘリウムを生成する必要が生じ、大きな無駄となる問題があった。
【0035】
このため、本例では液体ヘリウムが気化して所期の性能を達成することが困難になることを避けるために、中心部に略4Kの液体ヘリウムガス(略4KL)を、その外側に略4Kのヘリウムガス(略4KG)を、さらにその外側に略40Kガス(略40KG)を通すことができる、同軸状のトランスファーチューブを構成する。また各管を従来型の真空断熱層Vccで分離した構成としている。さらに、略40Kガスラインはデュワー2内のネックチューブ部に熱アンカーされて、外部からの熱が内部に侵入しにくくしている。
【0036】
以下トランスファーチューブの構成をさらに詳細に説明すると、図3はトランスファーチューブTの半断面図である。
中心部に略4Kの液体ヘリウム(略4KL)が流れる管が配置され、その外側に同軸状に略4Kの液体ヘリウムガス(略4KG)が流れる管が配置され、さらに、その外側に同軸状に略40Kの液体ヘリウムガスが流れる管が配置される。このトランスファーチューブは図1に示すようにデュワー2のネックチューブ部に配置される略40KGのラインと、デュワー2内に液面近傍に配置される略4KLラインと略4KGラインとが図示のように開口部の位置を代えて構成されている。そして各管の間、および最外側の管の外側には真空断熱層Vccが形成されている。液体ヘリウム(略4KL)の管とその外側に同軸状に配置した略4Kの液体ヘリウムガス(略4KG)との間の真空断熱層Vccの先端、および最外側の略40Kの液体ヘリウムガスの管の周囲に形成した真空断熱層Vccの先端にはヒータHが配置される。ヒータHにはコードCが接続され、適宜ヒータを加熱することができる構成となっている。この構成により、トランスファーチューブTの先端部に汚染物質が固化堆積した場合にはヒータにより固化した汚染物質を適宜気化又は液化して流路の閉塞を解除できるようになっている。このヒータは前述した精製器ヒータの作動に連動して加熱したり、それとは独立して加熱することができ、この運転は制御器あるいは手動により自由に設定できる。
【0037】
上記構成からなる循環式液体ヘリウム再液化装置によるヘリウムガスの精製過程を説明する。
液体ヘリウム貯留槽(デュワー)2で気化したヘリウムガスは、略300Kの状態で図2に示す精製器6の導入パイプ64に導入され、ハウジング61内→上部管69内のフィン73の間を迂回しながらて徐々に略40Kに冷却され、管71から排出される。この時、ヘリウムガス内に、窒素或いは酸素等の汚染物質が混入していれば、窒素或いは酸素等の汚染物質は、温度約略40Kに冷却されている上部管69のフィン73を蛇行する間に、フィン73上で固化(氷結)され除去される。
【0038】
また、精製中に汚染物質がフィン73部で固化堆積し、流路が閉塞されるとその状態を前記汚染物質検知センサ86が検知し、制御器81を介してヒ-タ84あるいはヒータ87を加熱し、ヒ-タ84により上部管69、フィン73を加熱する。またヒータ87によって加熱されたヘリウムガスが精製器内に逆流する。この加熱・逆流によりフィン73部で固化した窒素や酸素等の汚染物質は気化される。これと略同時に、ノーマルクローズの電磁弁EV2、EV3を開き、排気ポンプ8を作動し、気化した汚染物質を系外に排出する。こうして固化によるフィン73部分や管71等の詰まり状態を解消する。汚染物質が除去されるとヒータの作動を停止し、前述した態様により循環式液体ヘリウム再液化装置の運転を再開する。なおヒータの通電は、上述したように精製器の詰まりを検知する汚染物質検知センサからの情報によって制御する方法とは別に、液化装置の運転時間によって精製器に蓄積する汚染物質の量が予め推定できる場合には、定期的に所定のサイクルでヒータを加熱する方法を採用することもできる。
【0039】
また、汚染物質によってフィン73、管71等の流路が詰まった場合の、状態検知は、たとえば精製器内の圧力、流速、温度、さらには汚染物質の堆積厚さ等種々の情報を利用できる。また、精製器のヒ-タ84、凝縮ポットのヒータ87のON、OFF作動は、自動、手動のどちらで行なうことができるようにしてもよい。さらに、ヒータの作動は、ヘリウムガス通路の閉塞による管内の圧力が所定値となった時のみ、管内の温度が所定値となった時のみ、あるいは、ヘリウムガス通路内のガス流速のみ、さらにはそれらの情報を適宜組み合わせて検知し、作動するようにしてもよい。
【0040】
つづいて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態中、略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1、略40Kライン内の一定流量制御弁MFC1に代えて、異なる流量を持つ複数の弁を組み合わせて、所定の流量を得ることができる構成とした点に特徴があり、ここではその特徴部を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ部材には同じ符号を使用しており、図中EV(NO)はノーマルオープンの電磁弁、EV(NC)はノーマルクローズの電磁弁、Vは切替弁であり、EV、Vの後の数字は、電磁弁の位置を示している。他の符号も同様である。
図6において、略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1の代わりに、ノーマルクローズの電磁弁EV7、EV9、ノーマルオープンの電磁弁EV8を並列に設け、さらに流路内に切替弁V12、V6、調整弁NV1を設けている。調整弁NV1は、この例では0.8リットル/mのものを使用している。
【0041】
また、略40Kライン内の一定流量制御弁MFC2の代わりにノーマルオープンの電磁弁EV10を設け、さらにこの電磁弁EV10と並列に流路内に調整弁NV2を設けている。調整弁NV2はこの例では1リットル/mのものを使用している。また、ヘリウムボンベからは直接ヘリウムガスを切替弁V20を介して循環ポンプ7に供給できる構成としている。第2実施形態では一定流量制御弁MFCの代わりに複数の切替弁等を使用することにより、装置全体を第1実施形態と比較して安価に製造することができる。また、この回路の作動(通常運転、精製器内に蓄積した汚染物質の除去運転等)は基本的に第1実施形態と同じであるため説明は省略する。
【0042】
つづいて、本発明の第3実施形態について図7を参照して説明する。第1、第2実施形態では、精製器から気化した汚染物質を排気するために専用の排気ポンプ8を使用していたが、第3実施形態は、装置内に存在する循環ポンプ7を排気ポンプとして利用した点、およびデュワー2内の圧力制御を行わず配管を省略し、装置の簡略化を図った点に特徴がある。ここでは第3実施形態の特徴点を中心に説明し、作動等の説明は省略する。なお、第1実施形態と同じ部材には同じ符号を使用しており、図中EVは電磁弁、Vは切替弁であり、EV、Vの後の数字は、電磁弁の位置を示している。他の符号も同様である。
【0043】
図7において、第1実施形態中の略4Kライン内の一定流量制御弁MFC1の代わりに略4Kライン内には調整弁NV10、マスフローメータ4KMF、フローメータFM1を設けている。また略40Kライン内には一定流量制御弁MFC2の代わりに調整弁NV11、マスフローメータ40KMF、フローメータFM2を設けている。また、ヘリウムボンベ1からは切替弁34を開き直接ヘリウムガスを切替弁V31、V32を介して循環ポンプ7または回路内に供給できる構成としている。さらに、前記第1、第2精製器6A、6Bへの流入側回路には、それぞれチャッキバルブCV、ノーマルクローズの排気用電磁弁EV31、EV32を介してマスフローメータMFが接続され、このマスフローメータMFは循環ポンプ7の流入弁V13に接続されている。また、循環ポンプの流出弁V12の下流に設けた切替弁V11とノーマルオープンの電磁弁EV34との間の回路にはノーマルクローズの大気開放用電磁弁EV35を有する大気開放用回路が接続されている。
この循環式液体ヘリウム再液化装置では、公知のようにデュワー2で蒸発したヘリウムガスは切替弁33→ノーマルオープンの電磁弁EV33→流入弁13→循環ポンプ7→流出弁12→ノーマルオープンの電磁弁EV34を経てその下流側で分岐され、一方は略4Kライン内の調整弁NV10を経て第1精製器6Aに入り、他方は略40Kライン内の調整弁NV11を経て第2精製器6Bに入り、第1、第2冷凍機で冷却されデュワー2に供給される。この作動は第1実施形態と同様である。
【0044】
精製器内に蓄積した汚染物質を除去するには、精製器内のヒータを加熱し、流入弁V13、電磁弁EV33、電磁弁EV34を閉じ、電磁弁EV31、EV32、EV35を開いて循環ポンプ7を作動すると、精製器6内のガスは、電磁弁EV31、EV32、マスフローメータMFを介して流入弁V13から循環ポンプ7で吸引され、流出弁V12、電磁弁EV35から大気に開放される。このような作動により、精製器6に汚染物質が蓄積した場合には、精製器6のヒータを作動して精製器を加熱し、精製器6内で汚染物質を気化させ、さらに、前記のように電磁弁EV31、EV32、EV35を開いて循環ポンプ7を作動すると精製器6内のガスを簡単に大気に放出することができ、精製器内に蓄積した汚染物質を容易に系外に排出することができる。なお、この時、デュワーからの蒸発ヘリウムガスも混入し吸引されることになる。
【0045】
以上、本発明について三つの実施形態について説明したが、本発明に係る精製器は断面円筒状に限定することなく、種々の三角、四角等の形状を採用することができ、また上部管の形状、フィンの形状も上記と同様な機能を達成できるものであれば種々の形態を採用できる。さらにフィンは表面積を大きくするために表面に凹凸を形成することも可能である。また流路の閉塞状態は温度や圧力ではなく、流速等によっても検知することが可能であり、さらにヒータの作動温度、作動時間等も手動、自動によって任意に変更することも可能である。自動設定の場合にはパソコン等を使用することで容易に実現することができる。また蛇腹部材は、導入パイプからハウジングまでの熱伝導経路を長くとることができる形状であれば、種々の形態を採用することができる。また、ヒータ作動に係わる各制御モードも、設計時において自由に設定することが可能である。また、回路内の弁の種類、弁の配置、弁の個数等も上記作動を行うことが可能であれば、種々の弁、種々の配置を採用することができる。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、精製器を加熱することにより精製器に蓄積された汚染物質を気化し、気化した汚染物質を装置内の循環ポンプを利用して大気に放出することにより、循環式液体ヘリウム再液化装置の長期間の連続運転を可能としている。また、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、再凝縮して液化する、再循環システムに好適な効率のよい精製器を提供することができる、また、一定流量制御弁MFCの代わりに複数の切替弁等を使用することにより、装置全体を安価に製造することができる。また、循環ポンプを排気ポンプとして利用した場合には、装置のさらなる簡略化を図ることが可能である、等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環式液体ヘリウム再液化装置の構成図である。
【図2】同装置内で使用する精製器の構成図である。
【図3】同装置内で使用するトランスファーチューブの断面図である。
【図4】精製器に設けたヒータの制御ブロック図である。
【図5】ヒータの加熱およびパージの状態を説明する図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の循環式液体ヘリウム再液化装置の構成図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の循環式液体ヘリウム再液化装置の構成図である。
【符号の説明】
1 ヘリウムガスボンベ
2 液体ヘリウム貯留槽(デュワー)
3 コールドボックス
4 凝縮ポット
5 冷凍機
5A 第1冷凍ステージ
5B 第2冷凍ステージ
6A 第1精製器
6B 第2精製器
7 循環ポンプ
8 排気ポンプ
PS1、PS2、P0、P3~P6 圧力計
V12 循環ポンプの流出弁
V13 循環ポンプの流入弁
V2、V14 切替弁
CV1~CV8 チャッキ弁
MFC1 略4Kライン内の一定流量制御弁
MFC2 略40Kライン内の一定流量制御弁
MF3~MF5 マスフローメータ
EV(NO) ノーマルオープンの電磁弁
EV(NC) ノーマルクローズの電磁弁
F1、F2 フィルター
SV1~SV3 安全弁
61 ハウジング
62 スペース
63 連結部材
64 導入パイプ
65 断熱材
66 蛇腹部材
67、68 溶接
69 上部管
70 連結部材
71 流出用管
72 支持部材
73 フィン
74 保持体
75 固定棒
81 制御器
82A、82B リレースイッチ
83 電源
84 ヒータ
85 温度センサ
86 汚染物質検知センサ
87 凝縮ポット用のヒータ
88 温度センサ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6