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明細書 :手術装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4286571号 (P4286571)
公開番号 特開2004-344180 (P2004-344180A)
登録日 平成21年4月3日(2009.4.3)
発行日 平成21年7月1日(2009.7.1)
公開日 平成16年12月9日(2004.12.9)
発明の名称または考案の名称 手術装置
国際特許分類 A61B  19/00        (2006.01)
A61B  17/04        (2006.01)
A61B  17/28        (2006.01)
B25J   3/00        (2006.01)
B25J  13/08        (2006.01)
FI A61B 19/00 502
A61B 17/04
A61B 17/28
B25J 3/00 Z
B25J 13/08 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 11
出願番号 特願2003-095905 (P2003-095905)
出願日 平成15年3月31日(2003.3.31)
審査請求日 平成18年3月27日(2006.3.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】五谷 寛之
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
審査官 【審査官】川端 修
参考文献・文献 特開平8-299363(JP,A)
特開平6-210581(JP,A)
調査した分野 A61B 19/00
A61B 17/04
A61B 17/28
B25J 3/00
B25J 13/08
特許請求の範囲 【請求項1】
操作者の体の動きを検出するマスターと、上記マスターから伝えられる上記検出した操作者の動き情報に応じた動きをすることで組織に対して手術を行うものであって、手術器具または患部を保持する保持具を有するスレーブとを備えた手術装置において、
空間中の任意の直交座標系をXYZ座標軸とするとき、
上記マスターが、
操作者の手の指で保持される先端操作部と、
操作者の手の指から上記先端操作部に掛かる圧力を検知する第1センサと、
先端操作部のX方向の移動を検知する第2センサと、
先端操作部のY方向の移動を検知する第3センサと、
先端操作部のZ方向の移動を検知する第4センサと、
先端操作部の、Z軸を軸とする回転を検知する第5センサと、
操作者の手首の屈曲・伸展を検知する第6センサと、
操作者の手首の尺屈・橈屈を検知する第7センサと、
操作者の手首の回転を検知する第8センサとを備え、
直交座標系であるX’Y’Z ’座標軸において上記保持具の前進・後退方向をZ’軸とし、Z’軸とそれぞれ直交する軸をX’軸・Y’軸とするとき、
上記スレーブが、上記保持具を支持するアームを有し、
上記保持具が、手術器具または患部を挟持する挟持部と、挟持部を支持する基部とを有し、
上記挟持部が、第1センサにて検知される先端操作部への圧力に応じた圧力を受けて挟持の程度を増減し、
上記基部が、第2センサないし第4センサにて検知される各移動量に応じてそれぞれX’、Y’、Z’方向に移動し、第5センサにて検知される回転量に応じてZ’軸を軸として回転し、
上記アームが、第6センサおよび第7センサにて検知される運動の量および方向に応じて、上記アーム内の各点を中心として回転し、第8センサにて検知される回転量に応じて、内部の軸の周りに回転することを特徴とする手術装置。
【請求項2】
上記第2ないし第4センサがトルクセンサであることを特徴とする請求項1に記載の手術装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスターとスレーブとを用いて微小外科手術を行う手術装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マスターとスレーブとを用いて手術を行う手術装置が種々開発されている。例えば、特許文献1ないし5、非特許文献1などがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、多軸を有するマスターとしての遠隔操作装置と、この遠隔操作装置による遠隔操作によって駆動され、生体内部位の観察及び/または処置を行う多軸を有するスレーブとしての医療用マニピュレーターと、遠隔操作装置からの操作情報に基づいて対応する医療用マニピュレーターの動作を制御することを開示している。
【0004】
なお、これらの文献で開示された技術のうち、腹部外科における腹腔鏡視下手術を、ロボットを用いて行うことを目的とするものにおいては、四肢の微小血管の縫合を目的としていない。また、非特許文献1においては、マイクロサージャリーを目的としているが、ジョイスティック型の操作装置を使用している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001-137257号公報(公開日平成13年5月22日)
【0006】
【特許文献2】
特開平7-136173号公報(公開日平成7年5月30日)
【0007】
【特許文献3】
特開平7-194609号公報(公開日平成7年8月1日)
【0008】
【特許文献4】
特開平8-117238号公報(公開日平成8年5月14日)
【0009】
【特許文献5】
特開平7-184929号公報(公開日平成7年7月25日)
【0010】
【非特許文献1】
COMPUTER-GUIDED MICROSURGERY:SURGICAL EVALUATION OF A TELEROBOTIC ARM (MICROSURGERY Vol.21 No.1 (2001) pp.22-29)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
切断された手指を再接着する等のいわゆるマイクロサージャリー手術を行う場合、微小な血管や神経等に剥離、縫合操作等を行うためにバヨネット式器具である持針器、鋏やピンセットを用いる。手術操作はこれらの器具を通じて行える。肘より末梢の関節で器具を動かすとき、器具を把持する手指、手、さらには手関節の動きがこれらの器具を動作させるが、このとき器具が動作する自由度は8自由度であると考えられる。しかし、このように手術器具を操作する手関節や指の動作を直感的にスレーブアームへ伝えるマスターアームないし操作装置はない。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、多軸のスレーブアームを、手術時に器具を操作するような直感的な手関節や手、指の操作を行うことで平易に動作させる手術装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る手術装置は、操作者の体の動きを検出するマスターと、上記マスターから伝えられる上記検出した操作者の動き情報に応じた動きをすることで組織に対して手術を行うものであって、手術器具または患部を保持する保持具を有するスレーブとを備えた手術装置において、空間中の任意の直交座標系をXYZ座標軸とするとき、上記マスターが、操作者の手の指で保持される先端操作部と、操作者の手の指から上記先端操作部に掛かる圧力を検知する第1センサと、先端操作部のX方向の移動を検知する第2センサと、先端操作部のY方向の移動を検知する第3センサと、先端操作部のZ方向の移動を検知する第4センサと、先端操作部の、Z軸を軸とする回転を検知する第5センサと、操作者の手首の屈曲・伸展を検知する第6センサと、操作者の手首の尺屈・橈屈を検知する第7センサと、操作者の手首の回転を検知する第8センサとを備え、直交座標系であるX’Y’Z ’座標軸において上記保持具の前進・後退方向をZ’軸とし、Z’軸とそれぞれ直交する軸をX’軸・Y’軸とするとき、上記スレーブが、上記保持具を支持するアームを有し、上記保持具が、手術器具または患部を挟持する挟持部と、挟持部を支持する基部とを有し、上記挟持部が、第1センサにて検知される先端操作部への圧力に応じた圧力を受けて挟持の程度を増減し、上記基部が、第2センサないし第4センサにて検知される各移動量に応じてそれぞれX’、Y’、Z’方向に移動し、第5センサにて検知される回転量に応じてZ’軸を軸として回転し、上記アームが、第6センサおよび第7センサにて検知される運動の量および方向に応じて、上記アーム内の各点を中心として回転し、第8センサにて検知される回転量に応じて、内部の軸の周りに回転することを特徴としている。
【0014】
上記の構成により、第1ないし第8センサによって操作者の手首の回転などだけでなく操作者の手の指による先端操作部への微妙な付勢(移動や回転)をもスレーブに伝えることができる。
【0015】
したがって、保持具に細かな動作をさせたい場合に、アームの回転や移動を種々組み合わせたりしなくても、操作者の手の指を動かした通りにスレーブの保持具を動かすことができる。
【0016】
それゆえ、手術装置を使って平易に微小外科手術を行うことができる。
【0017】
なお、上記マスターが、操作者の指で回されることによって回転運動を行う先端操作部を備え、上記スレーブが、患部に直接触れるアームを保持するものであり、上記先端操作部から伝えられる上記回転運動に応じて、アームと患部との接点とアーム内部とを通る直線を軸として回転運動する保持具を備えたように構成してもよい。
【0018】
また、本発明に係る手術装置は、上記の構成に加えて、上記第2ないし第4センサがトルクセンサであることを特徴としている。
【0019】
上記の構成により、上記第2ないし第4センサがトルクセンサであるので、手指によりペン型操作部に微小な力を加えることで術者の意図する動きを入力することが可能となり、さらに、演算部を通して動作比率の変更が可能であるため、大きな移動として伝えることができる。また、ハンドグラブの重量が軽くなる効果も発揮される。したがって、操作者は保持具を動かしたい場合に、手を大きく動かす必要がなく、少し動かすだけで動きを十分伝えることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、演算によって動作比率を変更することができるので、手術装置を使っていっそう平易に手術を行うことができる。上記のように、マスターとスレーブ間の動作比率は変更可能であり、各軸ごとに動作比率が異なっていてもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】
本実施形態に係る手術装置は、血管や神経、リンパ管をはじめとする微小組織の剥離、縫合を中心とする手術操作を行うものであり、スレーブとして微小軟部組織縫合支援用マニピュレーターを備えたものである。
【0022】
微小血管(特に直径1mm以下)を縫合するには右手に持針器を把持し10-0、11-0(縫合針の品番)の先端が5μm~70μm程度の針先を正確に血管壁に直角に刺入することが必要である。そのためには先端に繊細な持針器の作用を持つ器具を装着する必要がある。
【0023】
一般に微小縫合操作を行う際には右側は手関節を回転させることにより針の先端が血管壁に直交するように調節し、針の先端が血管壁に接近した時点で母指、示指、中指をもって把持した器具を針の湾曲に応じて細かく回転させる動作を行う。針の先端が血管壁を通過している際に血管が小さく移動するなどこの一連の動作の過程で器具の回転軸をX、Y、Z方向に調節する必要がある。
【0024】
微小血管は内腔が閉じていることが多く、左手に把持した微細ピンセットによりこれを拡張する。拡張させるためには左手側のピンセットが右手側の血管内腔に血管の走行に平行にかつ水平面に対して30度前後の角度を持って数百μmから1mm程度挿入されなくてはならない。またピンセットの先端が開く角度が拡張を目的とする血管の直径に応じて数百μmから1mmの幅で正確にコントロールされる必要がある。この際には左右の器具方向が直交する必要がある。
【0025】
つぎに、針の根元まで血管壁を通過させた針は左手のピンセットと右手の持針器で血管内腔より引き抜く。引き抜いた微小針は右手の持針器で再び把持し、反対側の血管壁に内腔側から通過させる。右手、左手側を使い糸を引き抜く。
【0026】
右手で反体側の血管壁から出た糸を把持し左手のピンセット先端に巻きつけ、左手で最初の血管壁から出ている糸の断端を把持して両側の糸を牽引することにより結ぶ。左右の器具先端の作業範囲が重なっている必要があり、なおかつ接触しないことが必要である。
【0027】
以上の作業を可能にするマニピュレーターは図2に示すような構造をとり、切断された手指の再接着を対象とするとき、作業範囲は10cm×10cm×5cm(手の大きさ)程度と考えられる。
【0028】
マニピュレーター50は、対象とする血管をマニピュレーター50の作業範囲のなかに収めるためのアームと、アームを大まかな位置へと位置決めするためのバー60および第1軸61とを備える。アームは、第5処理部55、第6処理部56、第7処理部57、第8処理部58、第2軸59の総称である。
【0029】
アームの先端には、実際に血管を縫合する針や患部自体などを保持する保持具が取り付けられている。保持具は、挟持部と基部とからなる。挟持部は、第1処理部51からなる。基部は、第2処理部52、第3処理部53、第4処理部54の総称である。第1処理部51は、第1挟持片51a、第2挟持片51bを備え、これらを開閉することで針を挟持する持針器などとして働かせることができる。なお、第1処理部51は、持針器以外にも、ピンセットとし、患部自体をつまむようにすることもできる。
【0030】
第1処理部51の第1挟持片51a、第2挟持片51bは、図中、A方向に示すように開閉運動する。第2処理部52は、図中、B方向に示すように、上下方向に回転する。第3処理部53は、図中、C方向に示すように、左右方向に回転する。第4処理部54は、図中、D方向に示すように、軸方向に伸縮する。第5処理部55は、図中、E方向に示すように、軸の周りに回転する。第6処理部56は、図中、F方向に示すように、上下方向に回転する。第7処理部57は、図中、G方向に示すように、左右方向に回転する。第8処理部58は、図中、H方向に示すように、軸の周りに回転する。第2軸59は、図中、I方向に示すように、上下方向に回転する。バー60は、図中、J方向に示すように、軸の周りに回転する。第1軸61は、図中、K方向に示すように、軸の周りに回転するとともに、図中、L方向に示すように、軸方向に伸縮する。
【0031】
上述の手の動きをマニピュレーター50で行う場合、マニピュレーター50は、操作者の手首相当部位で、尺屈、橈屈に対応して、内部の点を中心として、少なくとも、橈屈25度、尺屈55度回転し、また、屈曲、伸展に対応して、内部の点を中心として、少なくとも、垂直方向-30度~70度回転し、また、手首の回転に対応して、内部の二点を結ぶ軸の周りに180度回転する。また、空間中の任意の二つの直交座標をX’Y’Z’座標軸と称するとき、マニピュレーターは、操作者の手の指相当部位で、X’方向の移動に対応して、内部の点を中心として、少なくとも、水平方向±30度回転し、また、Y’方向の移動に対応して、内部の点を中心として、少なくとも、垂直方向-45度~70度回転し、また、手首の回転に対応して、内部の二点を結ぶ軸の周りに180度回転し、また、Z’方向の移動に対応して、内部の二点を結ぶ軸に平行に、少なくとも5cm伸張する。なお、これらの範囲を包含してこれらよりも広い範囲に可動であってもよい。
【0032】
一方、手術装置は、マニピュレーター50に指令を与えることが一台で可能な、図1に示すようなマスター11を装備する。なお、ここでは右手を例にとっているが、左手でもよい。そして、マニピュレーターを二つ用意して、両手でそれぞれ操作するように構成し、右手側は持針器とし、左手側はピンセットとするように構成する。すなわち、マスター、スレーブとも、両手分用意するのが基本である。また、手術者一人、助手一人の場合は、マスター4個、スレーブ4個とすることも可能である。
【0033】
2、3、4はそれぞれ、操作者の手、手首、前腕である。
【0034】
12は、センサを装着した術者装着グラブ(ハンドグラブ)であり、操作者の手首3にかぶせるようになっている。ただし指は露出している。この術者装着グラブ12に金属板14、金属棒15を取り付け、金属棒15を介して、二つの三軸のトルクセンサ32を強固に術者装着グラブ12に固定する。
【0035】
ペン型操作部31は、操作者が手の指で鉛筆を握るような形で握ることができる棒状のものである。ペン型操作部31は、先端であるペン型操作部前半部31aと、それに続くペン型操作部後半部31bとに分かれている。ペン型操作部後半部31bには上記トルクセンサ32が固定されている。一方、ペン型操作部前半部31aは、操作者が手の指から受ける回転力によって、ペン型操作部31内の2点を結ぶ直線を軸として回転させることが可能である。このペン型操作部前半部31aの回転を読みとる回転検知用ポテンショメーター33(第5センサ)がペン型操作部後半部31bに固定されている。
【0036】
回転検知用ポテンショメーター33の表面には感圧センサ材料からなる感圧センサ34(第1センサ)が貼り付けられている。これにより、操作者の手の指から感圧センサ34へ加えられた圧力が読みとられる。この圧力の強さに応じて、マニピュレーター50の保持具すなわち第1処理部51を開閉させることができるようになっている。
【0037】
トルクセンサ32は、空間中の任意の二つの直交座標をXYZ座標軸と称するとき、X軸方向トルクセンサ(第2センサ)、Y軸方向トルクセンサ(第3センサ)、Z軸方向トルクセンサ(第4センサ)としての機能を持っている。これは、例えば、三軸トルクセンサにより構成可能である。なお、これら3つのセンサの機能を一つで持つ部材を用いる代わりに、これら3つのセンサを個別に用意してもよい。これにより、ペン型操作部31のX、Y、Z方向へのトルクを知ることができる。Z軸は、ペン型操作部31をその軸(長軸)の方向に前進・後退させる向きである。X軸、Y軸はZ軸にそれぞれ直交する軸である。すなわち、X軸は、回転検知用ポテンショメーター33を中心としてペン型操作部31を一方向へ回転させたときの回転の向きであり、Y軸は、同じく回転検知用ポテンショメーター33を中心としてペン型操作部31を一方向へ回転させたときの回転の向きであってX軸と直交する向きである。操作者の手により加えられたX、Y、Z各方向へのトルクは、演算部82(図3参照)にて演算することにより、移動量に変換される。この際の変換比率は変更可能である。また、回転検知用ポテンショメーター33により回転量がわかる。ペン型操作部31は実際に回転させることができる。これにより、アーム先端の4自由度(X、Y、Z各方向への移動および回転検知用ポテンショメーター33で検知する回転)を検知することが可能になる。
【0038】
上記トルクセンサやそれ以外も含めて、マスターの各センサ(第1センサないし第8センサ)が検知した各変化量は、演算部82を通じて演算され、アクチュエータの移動量に変換される。その際の変換比率はユーザ(手術者など)が任意に変更可能である。なお、各軸ごとに比率が異なっていてもよい。
【0039】
操作者の手首3にかぶせる上記術者装着グラブ12は、指で上記ペン型操作部31を握れるように、手首3から手2にかけて指の部分が露出している。
【0040】
術者装着グラブ12の、手首部分には、4つのセンサが貼り付けられている。すなわち、17は、曲げセンサを用いて手首の右捻りを検知する尺屈センサ(第7センサ)である。18は、曲げセンサを用いて手首の左捻りを検知する橈屈センサ(第7センサ)である。19は、曲げセンサを用いて手首の伸展を検知する伸展センサ(第6センサ)である。また、手首3の裏側で伸展センサ19に対応する位置に、曲げセンサを用いて手首の屈曲を検知する屈曲センサ20(第6センサ)も貼り付けられている。このように、手首3の動きについては曲げセンサにより2方向(尺屈・橈屈方向、屈曲・伸展方向)が検知可能である。
【0041】
術者装着グラブ12の、手首側の端部には、手首背側にフォトセンサ21(第8センサ)が貼り付けられている。フォトセンサ21は、前腕回内外検知用・手首の回転検知用のフォトセンサである。そして、このフォトセンサ21が隠れるように、術者装着グラブ12の、手首側の端部と重なる位置に、前腕用カバー13が配置されるようになっている。点線部位の断面を図1(b)に示す。
【0042】
手首を回転した際に術者装着グラブ12が前腕用カバー13に対してどれだけ回転したかをフォトセンサ21が読みとる。これは、前腕用カバー13の内側にランダムな模様を書いておけば可能である。このように、フォトセンサ21によって手首3の回転が検知可能になる。
【0043】
このような手術装置を用いると、上記挟持部が、感圧センサ34にて検知されるペン型操作部31への圧力に応じた圧力を受けて挟持の程度を増減し、上記基部が、X、Y、Z軸方向のトルクセンサにて検知される移動量に応じてそれぞれX’、Y’、Z’方向に移動し、回転検知用ポテンショメーター33にて検知される回転量に応じて回転する。また、上記アームが、尺屈センサ、橈屈センサ、伸展センサおよび屈曲センサ20にて検知される運動の量および方向に応じて、上記アーム内の各点を中心として回転し、フォトセンサ21にて検知される回転量に応じて、内部の軸の周りに回転する。
【0044】
図3に示すように、マスター側には術者装着グラブ81(12と同じ)があり、スレーブ側には各アクチュエーターのドライバ83、各関節駆動用アクチュエーター84、マニピュレーター本体85があり、マスター側またはスレーブ側には演算部82がある。術者装着グラブ81からは、術者装着グラブの各センサが検知した移動量が演算部82に入力される。なお、上述したように、トルクセンサで読みとったトルクは、指定された比率に応じて、ここで移動量に変換される。各軸の動作比率は変更可能である。演算部82からは、これらの移動量情報が指令パルス値として各アクチュエーターのドライバ83へ伝えられる。また、マニピュレーターを非常停止させるための信号もこの指令パルス値として伝えられる。各アクチュエーターのドライバ83は、受け取った指令パルス値を各関節駆動用アクチュエーター84への指示信号へ変換する。各関節駆動用アクチュエーター84は、この指示信号に基づきマニピュレーター本体85を駆動するようになっている。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る手術装置は、空間中の任意の直交座標系をXYZ座標軸とするとき、上記マスターが、操作者の手の指で保持される先端操作部と、操作者の手の指から上記先端操作部に掛かる圧力を検知する第1センサと、先端操作部のX方向の移動を検知する第2センサと、先端操作部のY方向の移動を検知する第3センサと、先端操作部のZ方向の移動を検知する第4センサと、先端操作部の、Z軸を軸とする回転を検知する第5センサと、操作者の手首の屈曲・伸展を検知する第6センサと、操作者の手首の尺屈・橈屈を検知する第7センサと、操作者の手首の回転を検知する第8センサとを備え、直交座標系であるX’Y’Z ’座標軸において上記保持具の前進・後退方向をZ’軸とし、Z’軸とそれぞれ直交する軸をX’軸・Y’軸とするとき、上記スレーブが、上記保持具を支持するアームを有し、上記保持具が、手術器具または患部を挟持する挟持部と、挟持部を支持する基部とを有し、上記挟持部が、第1センサにて検知される先端操作部への圧力に応じた圧力を受けて挟持の程度を増減し、上記基部が、第2センサないし第4センサにて検知される各移動量に応じてそれぞれX’、Y’、Z’方向に移動し、第5センサにて検知される回転量に応じてZ’軸を軸として回転し、上記アームが、第6センサおよび第7センサにて検知される運動の量および方向に応じて、上記アーム内の各点を中心として回転し、第8センサにて検知される回転量に応じて、内部の軸の周りに回転する構成である。
【0046】
これにより、保持具に細かな動作をさせたい場合に、アームの回転や移動を種々組み合わせたりしなくても、操作者の手の指を動かした通りにスレーブの保持具を動かすことができる。
【0047】
それゆえ、手術装置を使って平易に微小外科手術を行うことができるという効果を奏する。
【0048】
各センサが検知した移動量とアクチュエータの移動量との比率は変更可能である。
【0049】
また、本発明に係る手術装置は、上記の構成に加えて、上記第2ないし第4センサがトルクセンサである構成である。
【0050】
これにより、操作者は保持具を動かしたい場合に、手指を大きく動かす必要がなく、少し動かすだけで動きを十分伝えることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、手術装置を使っていっそう平易に手術を行うことができるという効果を奏する。
【0051】
マスター-スレーブ間の動作比率は変更可能である。また、センサが検知した移動量と、スレーブのアクチュエータとの間の動作比率は、各軸ごとにも変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明に係る手術装置におけるマスターの一構成例を示す斜視図であり、(b)は、手首と前腕用カバーとを示す断面図である。
【図2】スレーブの一構成例を示す平面図である。
【図3】本発明に係る手術装置の一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
2 手
3 手首
4 前腕
11 マスター
12 術者装着グラブ
13 前腕用カバー
14 金属板
15 金属棒
17 尺屈センサ(第7センサ)
18 橈屈センサ(第7センサ)
19 伸展センサ(第6センサ)
20 屈曲センサ
21 フォトセンサ(第8センサ)
31 ペン型操作部(先端操作部)
31a ペン型操作部前半部
31b ペン型操作部後半部
32 トルクセンサ(第2センサ、第3センサ、第4センサ)
33 回転検知用ポテンショメーター(第5センサ)
34 感圧センサ(第1センサ)
50 マニピュレーター(スレーブ)
51 第1処理部(保持具)
51a 第1挟持片(保持具)
51b 第2挟持片(保持具)
52 第2処理部(保持具)
53 第3処理部(保持具)
54 第4処理部(保持具)
55 第5処理部(アーム)
56 第6処理部(アーム)
57 第7処理部(アーム)
58 第8処理部(アーム)
59 第2軸
60 バー
61 第1軸
81 術者装着グラブ
82 演算部
83 各アクチュエーターのドライバ
84 各関節駆動用アクチュエーター
85 マニピュレーター本体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2