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明細書 :ゲル状試料用分光測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3940376号 (P3940376)
公開番号 特開2004-347412 (P2004-347412A)
登録日 平成19年4月6日(2007.4.6)
発行日 平成19年7月4日(2007.7.4)
公開日 平成16年12月9日(2004.12.9)
発明の名称または考案の名称 ゲル状試料用分光測定装置
国際特許分類 G01N  21/01        (2006.01)
G01J   3/02        (2006.01)
G01J   4/04        (2006.01)
G01N  21/19        (2006.01)
G01N  21/21        (2006.01)
G01N  21/23        (2006.01)
FI G01N 21/01 B
G01J 3/02 Z
G01J 4/04 D
G01J 4/04 Z
G01N 21/19
G01N 21/21 Z
G01N 21/23
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2003-143476 (P2003-143476)
出願日 平成15年5月21日(2003.5.21)
審判番号 不服 2004-017992(P2004-017992/J1)
審査請求日 平成15年5月21日(2003.5.21)
審判請求日 平成16年9月1日(2004.9.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000232689
【氏名又は名称】日本分光株式会社
発明者または考案者 【氏名】黒田 玲子
【氏名】真砂 央
【氏名】早川 広志
個別代理人の代理人 【識別番号】100092901、【弁理士】、【氏名又は名称】岩橋 祐司
参考文献・文献 特開2002-122477(JP,A)
特開平01-216235(JP,A)
特表2001-511514(JP,A)
調査した分野 G01N27/00-21/61
特許請求の範囲 【請求項1】
光照射部及び光検出器を有し、光照射部と光検出部間で水平な光路が設定されている測定手段と、試料室とを備えた分光測定装置であって、
前記光照射部は、波長走査を行うため複数の波長の中から選択した波長を持つ単色光を出射し、
前記光検出器は、試料を透過した透過光を検出し、
前記試料室は、前記測定手段とは独立し、オプションとして装着可能に形成され、
前記試料室は、
前記光照射部から出射された光の進路を鉛直方向へ変更する光路変更部と、
該光路変更部によって進路を鉛直方向へ変更された光の偏光状態を周期的に変調させるための偏光変調部と、
光軸を中心軸として水平面内で回転可能な回転試料台と、を含み、
前記光照射部から水平方向に光が照射され、該水平方向に向かう光は前記光路変更部により鉛直方向に光の進行方向を変更され、前記回転試料台上に水平に設置されたゲル状試料に鉛直方向から光を照射することによって、前記ゲル状試料が水平に配置された状態での測定が可能であることを特徴とするゲル状試料用分光測定装置。
【請求項2】
請求項1のゲル状試料用分光測定装置において、
前記光路変更部は全反射プリズムまたはミラーにより構成され、水平方向に進む光を該全反射プリズム又はミラーで反射し進行方向を鉛直方向に変更することを特徴とするゲル状試料用分光測定装置。
【請求項3】
請求項1または2のゲル状試料用分光測定装置において、
該偏光状態が変調された光を試料に照射し、試料からの透過光を測定することで、試料の円偏光二色性または旋光分散または直線二色性または直線複屈折を測定することを特徴とするゲル状試料用分光測定装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は分光測定装置、特にその試料保持機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質の旋光性、偏光二色性、複屈折性などのスペクトルを測定することは、その物質の光学的特性及びその他の情報を調べる上で重要である。特に自己組織化する試料において、分子レベルでの配列、配向を調べる上で重要な測定である。このような円二色性等を測定する分光測定装置には、例えば特許文献1~4に記されたようなものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001-337035号公報
【特許文献2】
特開2001-311683号公報
【特許文献3】
特開2001-311684号公報
【特許文献4】
特開2002-313024号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが試料がゲル状のものである場合、円偏光二色性または旋光分散に測定誤差を与えてしまうことがあった。特に近年重要さを増してきた自己組織化する試料に対する測定の試みや、ゲル内の分子レベルの配向や配列の観測等ではこの測定誤差の問題は深刻であった。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は自己組織化する試料、ゲル状の試料等に対しても正確な分光測定が可能な分光測定装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のゲル状試料用分光測定装置は、波長走査を行うため複数の波長の中から選択した波長を持つ単色光を出射する光照射部と、前記光照射部から出射された光の進路を変更する光路変更部と、該光路変更部によって進路を変更された光の偏光状態を周期的に変調させるための偏光変調部と、光軸を中心軸として水平面内で回転可能な回転試料台と、該回転試料台上の試料を透過した透過光を検出する光検出器と、を備える。そして、前記光照射部から水平方向に光が照射され、該水平方向に向かう光は前記光路変更部により鉛直方向に光の進行方向を変更され、前記回転試料台上に水平に設置された試料に鉛直方向から光を照射することによって、前記ゲル状試料が水平に配置された状態での測定が可能であることを特徴とする。
【0006】
上記のゲル状試料用分光測定装置において、前記光路変更部は全反射プリズムまたはミラーにより構成され、水平方向に進む光を該全反射プリズム又はミラーで反射し進行方向を鉛直方向に変更することが好適である。
また、上記のゲル状試料用分光測定装置において、該偏光状態が変調された光を試料に照射し、試料からの透過光を測定することで、試料の円偏光二色性または旋光分散または直線二色性または直線複屈折が好適に測定できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
上記したように試料がゲル状のもの等である場合、円偏光二色性または旋光分散に測定誤差が生じることがあった。本発明者らは、測定誤差の発生原因が重力によって引き起こされる鉛直方向の密度勾配や厚さの勾配の発生に起因すると考えた。つまり、試料固有の旋光分散等だけでなく、上記の密度勾配や厚さの勾配によって生じる直線二色性や直線複屈折等の信号が発生し、この信号が測定誤差の要因となってしまうのである。
【0008】
従来の分光測定装置ではスペースの関係から、水平方向に光束を照射する構成をとっており、必然的に試料は垂直に置かれて測定するようになっていた。このため、試料を水平に透過した光を測定することになり、上記のような重力場の影響を受けるのである。特にβ-アミロイドやBSAなどの蛋白質は凝集しやすく重力の影響を受けやすい。
以上の考察から、実際に本発明者らは、試料を水平に保持したまま測定を行うことのできる分光測定装置を開発し、その装置によって測定を行うことで正確な測定を行えることを確認した。以下では、試料を水平に保持する機構を備えた本発明の分光測定装置の説明を行う。
【0009】
図1は本発明の分光測定装置の概略構成図である。図1の分光測定装置10は、光照射部12(光源26、分光器28)と、光路変更部(全反射プリズム16)と、偏光変調部14(偏光子30、光弾性変調子(PEM)32)と、回転試料台18と、検光子20と、光検出器22と、を備える。
ここで、光照射部12は、波長走査を行うため、光源26と分光器28とで構成されている。光源26から出射された光は、分光器28によって所定の波長の単色光にされる。また、光路変更部としては、全反射プリズム16を用いており、光の進行方向を水平方向から鉛直方向に変更する。
【0010】
偏光変調部14は、本実施形態では偏光子30とPEM32を用いた。光照射部12からの光は、偏光子30によってPEM32の軸方位に対して所定の角度方向(例えば45°)に偏光した直線偏光にされる。この直線偏光をPEM32に通すことで、二つの偏光成分間(互いに垂直な偏光成分間)に位相差を与え、光の偏光状態を変調する。また、PEM32には所定の周波数の電圧が加えられ、この周波数に従い上記の位相差が変調され、所定の変調周波数を持った偏光状態が変調された光となる。
【0011】
試料24を設置するための回転試料台18の中央部には、厚さ方向に貫通する貫通孔38が設けられている。試料24からの通過光は、この貫通孔38を通過して検光子20へと向かう。回転試料台18は、また貫通孔38の中心軸を中心に水平面内で回転可能な構成となっている。例えばステッピングモーター等の回転角度を制御可能なモータによって、任意の角度で回転し停止するように構成すればよい。この構成の結果、試料24を任意の配位角度で設置して測定を行うことができる。
【0012】
検光子20も回転可能な構成となっており、その配位軸を変更することができる。また、検光子20は光路上から離脱/挿入が可能なように移動が可能な構成となっている。つまり、試料からの透過光は、検光子20を通して検出することも通さずに検出することも可能であり、試料の測定したい性質に応じて選べばよい。
光検出器22としては、例えば光電子増倍管を用いればよい。光検出器22によって、試料24からの通過光を検出する。
また、測定手段36としての光照射部12、光検出器22は、いずれも通常の分光測定装置と同様な水平な配置構成となっている。つまり本発明では、光路変更部を設けることで、水平方向に出射される光を鉛直方向へ変更し、鉛直方向からの試料の観察を可能にしたのである。
【0013】
次に本発明の分光測定装置の作用を説明する。光源26から出た光は、前述のように分光器28を通ることで単色光とされる。この単色光は水平方向に出射され、全反射プリズム16にて全反射され水平方向から鉛直方向へと進路が変更される。この鉛直方向へと向かう光は偏光子30、PEM32によって偏光状態が変調された光となる。該偏光状態が変調された光は回転試料台18上の試料24に照射され、試料24からの透過光は回転試料台18の貫通孔38を通り、検光子20へ向かう。検光子20を通った光は、ミラー、光ファイバ等により光検出器22へ送られ、検出される。
【0014】
光検出器22からの検出信号は信号処理装置(図示せず)によって信号処理される。検出信号のうち、偏光の変調周波数と同一の周波数成分、その二倍の高周波成分等に基づき、試料の各種光学的情報(円二色性、施光分散、直線二色性、直線複屈折)が求められる。また分光器からの単色光の波長を変更して測定を行うことで上記の光学的情報のスペクトルが得られる。これらの測定の具体的な手順は従来と同様に行えばよい(詳細は例えば特許文献1~4を参照)。
【0015】
上述したように、従来の分光測定装置では、分光器等のスペースの都合上等から、光は水平方向に照射する構成をとっていた。しかしながら、本発明では、光源、分光器、光検出器等の配置は従来と同様であるが、さらに光路変更部を設けることで水平方向の光を鉛直方向へ曲げるといった構成にした。その結果、試料を水平に保持することが可能となり、鉛直方向から試料を測定することが可能となる。つまり、本発明の分光測定装置によれば、重力場による影響を受けやすい試料、例えば、ゲル状の試料、β-アミロイドやBSA等の蛋白質等に対して、正確な分光測定が行うことが可能である。
【0016】
また、偏光変調部14、全反射プリズム16、回転試料台18、検光子20は、試料室34内に設置されている。この試料室34は独立した構成となっているため、通常の分光測定装置(ここでは測定手段36に対応)にオプションとして装着して使用することが可能となっている。
また、光路変更部としては、本実施形態で用いた全反射プリズムだけでなく、ミラーや光ファイバを用いて光路を変更してもよい。
また、偏光変調部としてファラデーセルを用い、直線偏光の偏光面を周期的に変調させ、光学零位法によって試料の旋光度を測定するような構成も可能である。
【0017】
図2は本発明に係る分光測定装置の他の実施形態例である。図1と対応する部分には符号100を加え説明を省略する。
図2の分光測定装置110では、偏光変調部114のうち偏光子130を測定手段136の所に設置し、PEM132を試料室134内に設置した。この場合でも光の偏光変調は、鉛直方向に曲げた後に行っていることになる。つまり、偏光子130を光路変更部(全反射プリズム116)の前に設置し、PEM132を光路変更部の後に設置するような構成でもかまわない。また、測定の手順等は図1のものと同様に行えばよい。
【0018】
【発明の効果】
本発明の分光測定装置によれば、水平方向の光を鉛直方向に曲げるための光路変更部を設けたことで試料を水平に保持することができ、重力場の影響を大きく受ける試料に対しても、正確な測定を行うことが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の分光測定装置の概略構成図。
【図2】
本発明の分光測定装置の一実施形態。
【符号の説明】
10 分光測定装置
12 光照射部
14 偏光変調部
16 全反射プリズム
18 回転試料台
20 検光子
22 光検出部
24 試料
図面
【図1】
0
【図2】
1