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明細書 :レーザー装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4265287号 (P4265287)
公開番号 特開2004-356479 (P2004-356479A)
登録日 平成21年2月27日(2009.2.27)
発行日 平成21年5月20日(2009.5.20)
公開日 平成16年12月16日(2004.12.16)
発明の名称または考案の名称 レーザー装置
国際特許分類 H01S   3/04        (2006.01)
FI H01S 3/04
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2003-154092 (P2003-154092)
出願日 平成15年5月30日(2003.5.30)
審判番号 不服 2007-021844(P2007-021844/J1)
審査請求日 平成16年7月7日(2004.7.7)
審判請求日 平成19年6月25日(2007.6.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
発明者または考案者 【氏名】平等 拓範
【氏名】トライアン ダスカル
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
参考文献・文献 特開平11-004030(JP,A)
特開平11-004029(JP,A)
特開昭61-119051(JP,A)
特表平11-509988(JP,A)
特開2002-237646(JP,A)
調査した分野 H01S3/00-5/50
H01L33/00
G02F1/29-7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
誘導放出を促すための光共振器と、該光共振器内に誘導放出のための利得媒質を配置し、該利得媒質を励起する光源を具備するレーザー装置において、
前記利得媒質の上側面に励起波長とレーザー発振波長に対し無反射のコーティング層と、前記利得媒質の下側面に励起波長とレーザー発振波長に対し高反射のレーザー共振器を構成する誘電体多層膜コーティング層と、該誘電体多層膜コーティング層の下側面ヒートシンクとの間介在するInを除く複数の金属層とを備え、前記誘電体多層膜コーティング層と前記Inを除く複数の金属層間にサファイア(Al2 3 )を具備することを特徴とするレーザー装置。
【請求項2】
請求項1記載のレーザー装置において、前記Inを除く複数の金属層としてCr、Ni、Auの組み合わせ、またはTi、Pt、Auの組み合わせ、またはCr、Pt、Auの組み合わせを用い、AuとSn、AuとGeまたはAuとSiを合金化させることにより前記ヒートシンク側に融着させたことを特徴とするレーザー装置。
【請求項3】
請求項1記載のレーザー装置において、前記Inを除く複数の金属層としてCr、Ni、Auの組み合わせ、またはTi、Pt、Auの組み合わせ、またはCr、Pt、Auの組み合わせを用い、AlとSiとを合金化させることにより前記ヒートシンク側に融着させたことを特徴とするレーザー装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のレーザー装置において、前記ヒートシンクと前記Inを除く複数の金属層の間にカーボン系の複合材料層を配置したことを特徴とするレーザー装置。
【請求項5】
請求項4記載のレーザー装置において、前記カーボン系の複合材料層がダイヤモンド層であることを特徴とするレーザー装置。
【請求項6】
請求項1記載のレーザー装置において、前記利得媒質は、発光中心として用いる添加希土類イオンをYbやNdさらにはEr,Tm,Ho,Ce等の希土類とし、母材として用いる結晶をYAG,YSGG,YSAG,GSGG,GGGなどのガーネット系、YVO4 ,GdVO4 などのバナデート系、KYW,KGWなどのタングステート系、YLFなどのリチウムフロライド系、及び硝子系、またはこれらを組み合わせた系とすることを特徴とするレーザー装置。
【請求項7】
請求項1記載のレーザー装置において、前記利得媒質は、光励起によるGaAs,GaAsP,GaP,GaN,InGaN,AlGaNなどの半導体材料であることを特徴とするレーザー装置。
【請求項8】
請求項1記載のレーザー装置において、前記ヒートシンクとして、CuまたはCuW,CuMoなどのCu系の金属材料、またはSiCなどのカーボン系材料を用いることを特徴とするレーザー装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー装置に係り、さらに詳しくは、固体レーザー装置、半導体レーザー励起固体レーザー装置の放熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザー装置のうち、固体レーザー装置、特に、半導体レーザー励起固体レーザーは、それまでのランプ励起固体レーザーと比較すると、効率が高く、小型化、及び放熱(排熱)問題が大きく緩和された。しかしながら、更なる高性能化を図るためには局所的に発生する放熱問題を解決する必要がある。
【0003】
図10は従来のレーザー装置の放熱部の断面図である。
【0004】
ここでは、利得媒質1にYb:YAG結晶を用いた装置について説明する。
【0005】
利得媒質(Yb:YAG結晶)101は、厚み200μm程度まで薄く研磨し、その片面に励起波長とレーザー発振波長に対し無反射(AR)のARコーティング層102を施し、もう一方の片面には、両波長に対し高反射(HR)のHRコーティング層103を施し、これを放熱のためにCu製のヒートシンク104にマウントする。その際、誘電体多層膜のHRコーティング層103面とヒートシンク104との密着を良くするためインジウム(In)層105を挟み込みに用いている。
【0006】
【非特許文献1】
STEWEN et al.,A 1-kW CW Thin Disc Laser,IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS,Vol.6,No.4,July/August 2000
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したレーザー装置において用いるIn層105は大気中で酸化し易く、利得媒質101(Yb:YAG結晶)とヒートシンク104間のコンタクトの品質もばらつきが大きいため、実用性に欠けていた。さらに、この問題を緩和するため、Inを融点まで加熱し、接合の均一性を図ろうとする場合には、Inがマイグレートし、誘電体多層膜のHRコーティング層103を劣化させるという問題があった。
【0008】
また、従来、固体レーザーは高出力、高性能、多機能であったが、製造・調整が難しく、低価格化、量産化は不可能とされていた。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑み、熱抵抗の低いコンタクトが安定にでき、信頼性の高い放熱を行うことができるレーザー装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕誘導放出を促すための光共振器と、この光共振器内に誘導放出のための利得媒質を配置し、この利得媒質を励起する光源を具備するレーザー装置において、前記利得媒質の上側面に励起波長とレーザー発振波長に対し無反射のコーティング層と、前記利得媒質の下側面に励起波長とレーザー発振波長に対し高反射のレーザー共振器を構成する誘電体多層膜コーティング層と、該誘電体多層膜コーティング層の下側面ヒートシンクとの間介在するInを除く複数の金属層とを備え、前記誘電体多層膜コーティング層と前記Inを除く複数の金属層間にサファイア(Al2 3 )を具備することを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕記載のレーザー装置において、前記Inを除く複数の金属層としてCr、Ni、Auの組み合わせ、またはTi、Pt、Auの組み合わせ、またはCr、Pt、Auの組み合わせを用い、AuとSn、AuとGeまたはAuとSiを合金化させることにより前記ヒートシンク側に融着させたことを特徴とする。
【0012】
〔3〕上記〔1〕記載のレーザー装置において、前記Inを除く複数の金属層としてCr、Ni、Auの組み合わせ、またはTi、Pt、Auの組み合わせ、またはCr、Pt、Auの組み合わせを用い、AlとSiとを合金化させることにより前記ヒートシンク側に融着させたことを特徴とする。
【0013】
〔4〕上記〔2〕又は〔3〕記載のレーザー装置において、前記ヒートシンクと前記Inを除く複数の金属層の間にカーボン系の複合材料層を配置したことを特徴とする。
【0014】
〔5〕上記〔4〕記載のレーザー装置において、前記カーボン系の複合材料層がダイヤモンド層であることを特徴とする。
【0015】
〔6〕上記〔1〕記載のレーザー装置において、前記利得媒質は、発光中心として用いる添加希土類イオンをYbやNdさらにはEr,Tm,Ho,Ce等の希土類とし、母材として用いる結晶をYAG,YSGG,YSAG,GSGG,GGGなどのガーネット系、YVO4 ,GdVO4 などのバナデート系、KYW,KGWなどのタングステート系、YLFなどのリチウムフロライド系、及び硝子系、またはこれらを組み合わせた系とすることを特徴とする。
【0016】
〔7〕上記〔1〕記載のレーザー装置において、前記利得媒質は、光励起によるGaAs,GaAsP,GaP,GaN,InGaN,AlGaNなどの半導体材料であることを特徴とする。
【0017】
〔8〕上記〔1〕記載のレーザー装置において、前記ヒートシンクとして、CuまたはCuW,CuMoなどのCu系の金属材料、またはSiCなどのカーボン系材料を用いることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレーザー装置の放熱を行う接合部の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明に係るレーザー装置の構成図であり、図1(a)はその全体模式図、図1(b)はその断面図である。
【0020】
これらの図において、1は励起光導波素子、2はその励起光導波素子1内誘導放出のための利得媒質、3はヒートシンク、4が本発明にかかる利得媒質2から発生する大量の熱をヒートシンク3へ放熱させる複数の薄い金属層からなる接合部、5は励起放射光、6はレーザー放射光、7は出力カプラーである。
【0021】
上記したように、励起放射光5が励起光導波素子1を介して利得媒質2に作用することにより、利得媒質2からレーザー放射光6を生成するようにしている。
【0022】
その利得媒質2の発熱量が極めて多くなるため、接合部4を介してヒートシンク3へスムーズな放熱をさせるようにしている。
【0023】
以下、その放熱を行う接合部の具体的構成について説明する。
【0024】
図2は本発明の第1実施例を示すレーザー装置の放熱を行う接合部の断面図である。
【0025】
ここでは、利得媒質11にYb:YAG結晶を用いた装置について説明する。利得媒質11(Yb:YAG結晶)は厚み200μmまで薄く研磨し(ここでは、図10に示した従来技術の結晶厚と同一にしたが、これより薄くても、もっと厚くても構わない)、その片面に励起波長とレーザー発振波長に対し無反射(AR)のARコーティング層12を施し、もう片面には両波長に対し高反射(HR)のHRコーティング層13を施し、これを放熱のためにCu製のヒートシンク17にマウントする。
【0026】
ここでは、低い熱抵抗を維持しつつ、誘電体多層膜のHRコーティング層13面とヒートシンク17との密着を良くするため、複数の金属層15,16,19を介在させる。その際、誘電体多層膜のHRコーティング層13と金属層15,16,19間に保護層としてサファイア(Al2 3 )などの熱伝導率の高い酸化膜14を100~9000Å程度形成することで、昇温時に金属層15,16,19がマイグレートし、誘電体多層膜のHRコーティング層13にダメージを与えることを防ぐ。
【0027】
上記した金属層15,16,19としては、熱伝導率の高い酸化膜14の次にCrまたはTi層15を10~900Å、次にNiまたはPt層16を100~9000Å、最後にAu層19Aを薄く形成する。
【0028】
一方、CuまたはCuW製のヒートシンク17には、先ず、Ni層18を0.1~10μm、次にAu層19Bを薄く形成し、その上にAuとSnの層19Cを形成する。このとき、Au層19A,19BおよびAuとSnの層19Cを接触させ、融点付近まで昇温する。すると、AuとSnの合金化が行われ、Au層19A,19BとAuとSnの層19Cが融合されたAuとその合金層19が0.1~10μm形成される。それにより、熱伝導率が高く、密着性、均一性の高い接合が可能となる。
【0029】
この実施例では、利得媒質11の発光中心として用いる添加希土類イオンをYbとしたが、この他NdさらにはEr,Tm,Ho,Ce等の希土類を添加するようにしてもよい。また、母材として用いる結晶をYAGとしたが、この他YSGG,YSAG,GSGG,GGGなどのガーネット系、YVO4 ,GdVO4 などのバナデート系、KYW,KGWなどのタングステート系、YLFなどのリチウムフロライド系、及び硝子系、またはこれらを組み合わせた系に対しても有効である。さらにはGaAs,GaAsP,GaP,GaN,InGaN,AlGaNなどの半導体材料を光励起する場合も有用である。
【0030】
また、金属層(15,16,19)として、Cr(15)、Ni(16)、Au(19)の組み合わせを例としたが、この他、Ti(15)、Pt(16)、Au(19)の組み合わせ、またはCr(15)、Pt(16)、Au(19)の組み合わせを用い、前記Au(19A,19B)に対しSn(19C)の他にGeまたはSiと合金化させることにより、利得媒質11とヒートシンク17を融着させることも有効である。
【0031】
更には、利得媒質11とヒートシンク17の融着法として、ここでは、AuとSnを合金化したが、他の組み合わせとして、InとAgまたはSnまたはPbまたはGeを合金化させることや、AlとSiとを合金化させることも有効と考えられる。
【0032】
また、レーザー共振器を構成するために施した誘電体多層膜のHRコーティング層13を保護する目的で形成したサファイア(Al2 3 )層14であるが、この他にも熱伝導率、強度の高い酸化膜14であればサファイア(Al2 3 )層には限らない。
【0033】
図3は本発明の第2実施例を示すレーザー装置の放熱部の断面図である。
【0034】
この図において、20,21はAuとその合金層であり、材料としては、第1実施例のAuとその合金層19と同様である。22はAuとその合金層20と21間に接合されるダイヤモンドと金属複合材料層である。
【0035】
この実施例では、図3に示すように、一般的な金属材料よりも高い熱伝導率を有するダイヤモンド(ダイヤモンドとその金属複合材料層)22を金属層であるAuとその合金層20と21間に挿入することで放熱効率をさらに高めることができる。
【0036】
図4は本発明の第3実施例を示すレーザー装置の構成図であり、図4(a)はその上面図、図4(b)はその断面図である。
【0037】
これらの図において、31は利得媒質(Yb:YAG結晶)、32は誘電体多層膜のHRコーティング層、33は利得媒質31の周囲に配置される利得媒質31を励起するための励起光源としての半導体レーザー、34はこれらの利得媒質31および半導体レーザー33に共通のヒートシンク、35はこれらの利得媒質31および半導体レーザー33を共通に接合する接合部であり、上記第1、第2実施例に示したものと同様の構成を有する。
【0038】
このように、この実施例においては、利得媒質31を励起するための半導体レーザー33を利得媒質31と共通のヒートシンク34上に接合部35により一体的に配置するようにしている。
【0039】
図5は本発明の第4実施例を示すレーザー装置の構成図であり、図5(a)はその上面図、図5(b)はその断面図である。
【0040】
これらの図において、41は利得媒質(Yb:YAG結晶)、42は励起光導波部(YAGやガラスなどの透明な固体材料)、43は誘電体多層膜のHRコーティング層、44は励起光導波部42に対応した位置に配置される、利得媒質41を励起するための励起光源としてのアレイ型半導体レーザー、45はこれらの利得媒質41、励起光導波部42およびアレイ型半導体レーザー44に共通のヒートシンク、46はこれらの利得媒質41、励起光導波部42およびアレイ型半導体レーザー44を共通に接合する接合部であり、上記第1、第2実施例に示したものと同様の構成を有する。
【0041】
このように、この実施例においては、利得媒質41、励起光導波部42およびアレイ型半導体レーザー44を共通のヒートシンク45上に接合部46により一体的に配置するようにしている。
【0042】
図6は本発明の第5実施例を示すレーザー装置の構成図であり、図6(a)はその上面図、図6(b)はその断面図である。
【0043】
これらの図において、51は利得媒質(Yb:YAG結晶)、52は利得媒質51に接続される擬似位相整合による非線形波長変換素子、53は誘電体多層膜のHRコーティング層、54はこれらの利得媒質51および非線形波長変換素子52に共通のヒートシンク、55はこれらの利得媒質51および非線形波長変換素子52を共通に接合する接合部であり、上記第1、第2実施例に示したものと同様の構成を有する。また、56は励起光導波部(YAGやガラスなどの透明な固体材料)である。
【0044】
このように、この実施例においては、利得媒質51および非線形波長変換素子52を共通のヒートシンク54上に接合部55により一体的に配置するようにしている。
【0045】
また、以下に示すように、スラブレーザーにも適用可能である。
【0046】
図7は本発明の第6実施例を示すレーザー装置の接合部の断面図である。
【0047】
この実施例では、利得媒質61を中心にして、その両側に、サファイヤ(AlO3 )またはSiO2 の熱伝導率、強度の高い酸化膜14′、CrまたはTi層15、NiまたはPt層16、Auとその合金層19、Ni層18を介してヒートシンク17に接合するようにしている。
【0048】
図8は本発明の第7実施例を示すレーザー装置の接合部の断面図である。
【0049】
この実施例では、利得媒質71を中心にして、その両側に、サファイヤ(AlO3 )またはSiO2 の熱伝導率、強度の高い酸化膜14′、CrまたはTi層15、NiまたはPt層16、Auとその合金層20、ダイヤモンドと金属複合材料層22、Auとその合金層21、Ni層18を介してヒートシンク17に接合するようにしている。
【0050】
図7および図8に示したように、本発明は、スラブレーザーにも用いることができ、容易に性能改善を図ることができる。
【0051】
図9は本発明の第8実施例を示すレーザー装置のヒートシンクの斜視図である。
【0052】
この図に示すように、四角形状のヒートシンク81にはその上側にストライプ状の細かい溝82が形成される。なお、その溝82の幅は1nm以上10mm以下とする。
【0053】
そこで、利得媒質83の下部の複数の薄い金属層を有する接合部84はそのストライプ状の細かい溝82が形成される四角形状のヒートシンク81に接合され、そのストライプ状の細かい溝82に冷却溶媒を流すことにより、より放熱効果を高めることができる。
【0054】
また、上記実施例では、ヒートシンクの材料は、CuまたはCuWを示したが、これに代えて、CuMoなどのCu系の金属材料、またはSiCなどのカーボン系材料を用いるようにしてもよい。
【0055】
このように、本発明によれば、利得媒質に施した誘電体多層膜コーティング層と金属層の間に保護層を配置し、さらに密着性、強度、熱伝導率を確保するため誘電体多層膜コーティング層にダメージを与えない程度に低い融点を持つ複数の薄い金属層を形成してヒートシンクにコンタクトさせることとした。この場合、コンタクトが均一になるようヒートシンクにも、ヒートシンクよりも融点の低い薄い金属層を形成する必要がある。最後に両者を溶融接合させることで、高品質で熱抵抗の低いコンタクトが安定にできる。
【0056】
また、ダイヤモンドは非常に高い熱伝導率を有するが加工が困難である。そこで、加工の容易な金属製のヒートシンクと利得媒質間にダイヤモンドの合成物質を挟み込み、上記した方法でそれらの表面に形成した薄い金属層を溶融接合する。それにより、より高い放熱特性を有するコンタクトを可能とする。
【0057】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0058】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0059】
(A)薄い板状の利得媒質の放熱特性を向上させるための高性能コンタクトが可能になる。これにより簡便な方法で固体レーザーの高出力化、高ビーム品質化が可能となる。加えて、半導体レーザー素子を放熱用のヒートシンクにコンタクトする方法を基本としているため低価格化、量産化が可能になる。
【0060】
(B)熱膨張係数が利得媒質と近く、高い熱伝導率を有するダイヤモンドの複合材料を介在させることで、機械的な歪みを緩和しつつ高効率な排熱を可能とする。
【0061】
(C)半導体レーザーと共通のプロセスにより同一ヒートシンクにコンタクトすることが可能なため、小型堅牢で安定なレーザー装置が望めるだけでなく、従来の固体レーザーと同程度以上の装置が簡便、大量に製造できるため経済性も高い。
【0062】
(D)本発明はスラブレーザー等にも適用可能であり、容易に性能改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるレーザー装置の全体構成図である。
【図2】 本発明の第1実施例を示すレーザー装置の放熱部の断面図である。
【図3】 本発明の第2実施例を示すレーザー装置の放熱部の断面図である。
【図4】 本発明の第3実施例を示すレーザー装置の構成図である。
【図5】 本発明の第4実施例を示すレーザー装置の構成図である。
【図6】 本発明の第5実施例を示すレーザー装置の構成図である。
【図7】 本発明の第6実施例を示すレーザー装置の接合部の断面図である。
【図8】 本発明の第7実施例を示すレーザー装置の接合部の断面図である。
【図9】 本発明の第8実施例を示すレーザー装置のヒートシンクに形成される冷却溶媒が流れる細かい溝を示す斜視図である。
【図10】 従来のレーザー装置の放熱部の断面図である。
【符号の説明】
1 励起光導波素子
2,11,31,41,51,61,71,83 利得媒質
3,17,34,45,54 ヒートシンク
4,35,46,55,84 接合部
5 励起放射光
6 レーザー放射光
7 出力カプラー
12 無反射(AR)コーティング層
13,32,43,53 高反射(HR)コーティング層
14,14′ 熱伝導率の高い酸化膜
15 CrまたはTi層
16 NiまたはPt層
18 Ni層
19,20,21 Auとその合金層
19A,19B Au層
19C AuとSnの層
22 ダイヤモンド(ダイヤモンドと金属複合材料層)
33 励起光源としての半導体レーザー
42, 56 励起光導波部(YAGやガラスなどの透明な固体材料)
44 励起光源としてのアレイ型半導体レーザー
52 擬似位相整合による非線形波長変換素子
81 四角形状のヒートシンク
82 ストライプ状の細かい溝
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9