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明細書 :高熱効率デュワー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3996553号 (P3996553)
公開番号 特開2005-012043 (P2005-012043A)
登録日 平成19年8月10日(2007.8.10)
発行日 平成19年10月24日(2007.10.24)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 高熱効率デュワー
国際特許分類 H01L  39/04        (2006.01)
G01R  33/035       (2006.01)
FI H01L 39/04 ZAA
G01R 33/035
請求項の数または発明の数 6
全頁数 7
出願番号 特願2003-175976 (P2003-175976)
出願日 平成15年6月20日(2003.6.20)
審査請求日 平成15年7月9日(2003.7.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】小川 将之
参考文献・文献 特開昭59-208881(JP,A)
特開平5-267728(JP,A)
特開2004-233020(JP,A)
調査した分野 H01L 39/04
G01R 33/035
特許請求の範囲 【請求項1】
外槽内に内槽を配置して両者の間を真空層とし、さらに内槽内に液体ヘリウムを貯留してなる高熱効率デュワーにおいて、前記内槽内上部にトランスファーチューブ挿入用の貫通孔を持つ第1真空部と第2真空部とを隙間を有して配置し前記貫通孔内にトランスファーチューブを配置し、さらに前記トランスファーチューブからの高温(約40K)のヘリウムガスが第1真空部と第2真空部の隙間に放出できる構造としたことを特徴とする高熱効率デュワー。
【請求項2】
外槽内に内槽を配置して両者の間を真空層とし、さらに内槽内に液体ヘリウムを貯留してなる高熱効率デュワーにおいて、前記真空層内に伝熱材を配置して、その一端を内槽壁に接続して熱アンカーとし、また、内槽内上部にはトランスファーチューブ挿入用の貫通孔を持つ第1真空部と第2真空部とを隙間を有して配置し、前記貫通孔内にトランスファーチューブを配置し、さらに前記トランスファーチューブからの高温(約40K)のヘリウムガスを第1真空部と第2真空部の隙間に開放し、第1真空部外周上部を冷却可能にしたことを特徴とする高熱効率デュワー。
【請求項3】
前記熱アンカーは40Kのヘリウムが吹き出す第1真空部と第2真空部の間よりも、上方に位置して設けたことを特徴とする請求項2に記載の高熱効率デュワー。
【請求項4】
前記各真空部は内槽壁との間に所定の隙間を持って配置したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の高熱効率デュワー。
【請求項5】
前記第2真空部の下面を上方に向かって傾斜した円錐状として構成したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の高熱効率デュワー。
【請求項6】
前記第2真空部の下面に、上方に向かって傾斜した円錐状をした別部材を取り付けたことを特徴とする請求項1~請求項4に記載の高熱効率デュワー。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体あるいは生物体から発生する磁場の計測を行うための医療用診断装置、脳磁計用材料の透磁率を測定するための物性測定装置、磁気的な信号伝送のインターフェイスのための通信装置等に用いるSQUID(Superconducting Quantum Interference Device :超伝導量子干渉デバイス)を格納することに適したデュワーに関するものであり、特に脳磁計用としても利用できる高熱効率デュワーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極めて多くの低温物性研究や超伝導素子を用いた計測器等の冷却に、液体ヘリウムは不可欠である。また、人間の脳から発する磁界を検出する脳磁気計測システム等では脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉計)が利用されており、このSQUIDの冷却にも液体ヘリウムが利用されている。
【0003】
上述した装置等では現在ほとんどの場合、冷却のための液体ヘリウムは蒸発した後、大気に放出する形となっており、上記システムに使用している従来からの液体へリュウム槽でも、同槽から蒸発したヘリウムガスは、ほとんどの場合大気に開放している。しかし、この場合1リットル当たり約1200円する高価なヘリウムを多量に無駄に消費するため経済的かつ資源的に問題があり、このため、蒸発したヘリウムガスを回収し再度液化して再利用したいという要求は極めて強いものがある。
このため、最近では、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の汚染物質を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが研究されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特願2003-25525
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記出願中のヘリウム循環装置は、4KGM冷凍機を用い回収したヘリウムガスの大半を、冷却能力の大きい第1段目の冷凍サイクルを利用し、液体にすることなく、40K程度の低温ガスに冷却した後、デュワーのネックチューブ部に供給し、再度高温ガスとして回収することによって冷却能力を発揮させる。次に回収された1部のガスは、全冷凍サイクルを利用し、4Kの液体ヘリウムにして、別の供給ラインからデュワーに注入することによって、デュワーを4Kに保持する。同時に蒸発したヘリウムガスをできるだけ低温で回収し、直ちに液体ヘリウムに再凝縮して再度デュワーに戻すというシステムを採用している。
しかし上記装置は、デュワー内で発生した低温ヘリウムガスを回収する点、およびデュワー内への進入熱および発生熱を効率良く回収するという点に於いて改善すべき部分がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、デュワー内で発生した低温ヘリウムガス(約4K)を効率良く回収し再凝縮冷凍器に送ることができるとともに、デュワー内に進入した熱やデュワー内で発生した熱を約40Kのヘリウムガスを利用して効率よく回収し、デュワー外に排出できる高熱効率デュワーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
外槽内に内槽を配置して両者の間を真空層とし、さらに内槽内に液体ヘリウムを貯留してなる高熱効率デュワーにおいて、前記内槽内上部にトランスファーチューブ挿入用の貫通孔を持つ第1真空部と第2真空部とを隙間を有して配置し前記貫通孔内にトランスファーチューブを配置し、さらに前記トランスファーチューブからの高温(約40K)のヘリウムガスが第1真空部と第2真空部の隙間に放出できる構造としたことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、外槽内に内槽を配置して両者の間を真空層とし、さらに内槽内に液体ヘリウムを貯留してなる高熱効率デュワーにおいて、前記真空層内に伝熱材を配置して、その一端を内槽壁に接続して熱アンカーとし、また、内槽内上部にはトランスファーチューブ挿入用の貫通孔を持つ第1真空部と第2真空部とを隙間を有して配置し、前記貫通孔内にトランスファーチューブを配置し、さらに前記トランスファーチューブからの高温(約40K)のヘリウムガスを第1真空部と第2真空部の隙間に開放し、第1真空部外周上部を冷却可能にしたことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、外槽内に内槽を配置して両者の間を真空層とし、さらに内槽内に液体ヘリウムを貯留してなる高熱効率デュワーにおいて、前記真空層内に伝熱材を配置して、その一端を内槽壁に接続して熱アンカーとし、また、内槽内にはトランスファーチューブ挿入用の貫通孔を持つ第1真空部と第2真空部とを備え、前記貫通孔内にトランスファーチューブを配置し、さらに前記トランスファーチューブからの高温(約40K)のヘリウムガスを第1真空部と第2真空部の間に開放し、第1真空部外周上部を冷却可能にしたことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、前記熱アンカーは40Kのヘリウムが吹き出す第1真空部と第2真空部の間よりも、上方に位置して設けたことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、前記各真空部は内槽壁との間に所定の隙間を持って配置したことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、前記第2真空部の下面を上方に向かって傾斜した円錐状として構成したことを特徴とする高熱効率デュワーである。
また、前記第2真空部の下面に、上方に向かって傾斜した円錐状をした別部材を取り付けたことを特徴とする高熱効率デュワーである。
【0008】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して本発明に係るデュワーの構成を説明すると、図1は脳磁計の断面図である。
図において、このデュワー100は、図示せぬ支持部材によって支持されており、SQUID素子を有するSQUIDセンサとその冷却媒体である液体ヘリウムLを収納可能な略円筒状の内槽1と、この内槽1を包囲するとともに内槽1との間に真空層3などの断熱層を形成し前記内槽1を断熱状態で保持する外槽2と、内層1および外槽2の上部を閉塞する閉塞部材4を備えている。図中、5はデュワー100を支持するための支持部材である。
【0009】
外槽2はFRPなどの断熱材で構成されており、外槽2と内槽1との間の真空層3の上部は断熱材6で密閉状態に閉じられている。さらに、外槽2の上部は閉塞部材4によって閉塞されており、閉塞部材4には熱アンカー9、16(後述する)で熱を奪い昇温したヘリウムガスを再凝縮冷凍機に送るライン7が接続されている。前記真空層3内には内槽1を囲むように形成された複数の伝熱材8a、8b、8cが配置され(本例では3個)ている。第1伝熱材8aおよび第2伝熱材8bは、一端が真空層3の下方において自由端となっており、他端が内槽1を形成する壁材の所定位置に熱的に接続され熱アンカー9を構成している。この熱アンカー9の取り付け位置は、本例では、後述する第1真空部10の中間部となっている(言い換えると前記熱アンカーは40Kのヘリウムが吹き出す第1真空部と第2真空部の間によりも、上方に位置して設けてある)。
。また第3伝熱材8cは内槽1の下面を覆う円筒状として形成され、上部が後述する第1真空部10と第2真空部11との間の隙間12に対応した位置の内槽壁に接続されて熱アンカー9を構成している。
【0010】
内槽1内には上下に第1真空部10と第2真空部11が配置され、それぞれの真空部10、11にはトランスファーチューブ13が貫通して配置されている。このトランスファーチューブ13は中心部に4Kの液体ヘリウムが、その外周には4Kのヘリウムガスが、さらにその外側には40Kのヘリウムガスが流れる構造となっている。
内槽1内の上部に配置される第1真空部10は、その外周と内槽1との間にトランスファーチューブ(後述する)から放出される高温ヘリウムガス(約40K)を上方に向かって流すための流路14を形成している。さらに第1真空部10内には伝熱材15が複数(本例では2枚)が配置され、それぞれが第1真空部の壁部に接続され熱アンカー16を形成している。第1真空部10の中心に貫通配置されるトランスファーチューブ13は第1真空部10と密着状態で配置されており、図示せぬ再凝縮冷凍機によって冷却された40Kのヘリウムガスが第1真空部10の下面付近から内槽1内に噴出するようになっている。
【0011】
また第1真空部10の下方には隙間12をもって第2真空部11が配置されている。前記第2真空部11は、その外周と内槽1との間には僅かな隙間17が形成されるように配置されており、さらに第2真空部11の下面18が外周から中心部に上方に向かって傾斜した円錐面で形成されている。この円錐面は第2真空部それ自体で構成することもできるが、第2真空部11の下面を平面とし、その平面に外周から中心部に上方に向かって傾斜した円錐面を有する別部材を取り付けて構成することも可能である。別部材の材料はウレタン等適宜材料を使用することができる。第2真空部11の中心部には前記4Kの液体ヘリウムと、4Kの低温ヘリウムガスを流すチューブからなるトランスファーチューブ13が隙間19をもって貫通配置されている。第2真空部10の下方にはSQUIDセンサ(不図示)を冷却するための液体ヘリウムLが貯留されている。
【0012】
上記構成のデュワー100では、トランスファーチューブ13の中心部の4Kの液体ヘリウムラインから液体ヘリウムが脳磁計デュワー内に供給される。また、脳磁計デュワー内で蒸発したヘリウムガス(約4K)の大半は第2真空部11の下面18の傾斜部に沿って上方の中心部に向かって流れ、トランスファーチューブ13の4Kヘリウムガスラインから吸引され再凝縮冷凍機に戻される。またデュワー100内で蒸発したヘリウムガス(約4K)の一部はトランスファーチューブ13と第2真空部11との隙間19を通って第1真空部10と第2真空部11の間の隙間12に流れる。一方、トランスファーチューブ13の40Kのヘリウムガスラインからは再凝縮冷凍機から40Kのヘリウムガスが内槽1内に供給される。内槽1内に供給された40Kのヘリウムガスは、前記4Kのヘリウムガスと混合しながら、内槽1と第1真空部10との隙間14を通って、熱アンカー9、16を冷却し伝熱材8、15の熱を奪って昇温し、最終的には約300K程度の高温ヘリウムガスとなって、再凝縮冷凍機に戻される。
【0013】
以上のように本発明では、第2真空部11を形成したことによりデュワー上部からの熱侵入が低下し、デュワー内に貯留する液体ヘリウムガスの量を減らすことができるとともに、蒸発した低温ヘリウムガス(約4K)を効率良く回収でき、再凝縮冷凍機での再凝縮効率が上昇する。また40Kヘリウムガスによって熱アンカーを効率的に冷却することができ、デュワー内に進入した熱やデュワー内で発生した熱を効率よく回収できる。
【0014】
本発明の実施形態について説明したが、熱アンカーの位置、伝熱材の数、形状等はデュワー(たとえば脳磁計用デュワー等)に合わせて適宜選択できる。また第2真空部の傾斜面の角度は設計時において、それぞれのデュワーに合わせて決めることができる。また当然のことながら、前述した高熱効率デュワーは脳磁計用のデュワーとしてそのまま利用することもできる。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高熱効率用デュワーによれば、デュワー内で発生した低温ヘリウムガス(約4K)を効率良く回収し再凝縮冷凍機に送ることができるとともに、デュワー内に進入した熱やデュワー内で発生した熱を約40Kのヘリウムガスを利用して効率よく回収し、デュワー外に排出できる、という優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高熱効率デュワーの断面図である。
【符号の説明】
1 内槽
2 外槽
3 真空層
4 閉塞部材
5 支持部材
6 断熱材
7 ライン
8、15 伝熱材
9、16 熱アンカー
10 第1真空部
11 第2真空部
12、14、17、19 隙間
13 トランスファーチューブ
18 下面
図面
【図1】
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