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明細書 :トランスファーチューブの固定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3616389号 (P3616389)
公開番号 特開2005-007006 (P2005-007006A)
登録日 平成16年11月12日(2004.11.12)
発行日 平成17年2月2日(2005.2.2)
公開日 平成17年1月13日(2005.1.13)
発明の名称または考案の名称 トランスファーチューブの固定装置
国際特許分類 A61B  5/05      
FI A61B 5/05 A
請求項の数または発明の数 11
全頁数 13
出願番号 特願2003-175978 (P2003-175978)
出願日 平成15年6月20日(2003.6.20)
審査請求日 平成15年7月9日(2003.7.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】武田 常広
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】小原 博生
参考文献・文献 特開平06-109821(JP,A)
特開平07-140219(JP,A)
特開平10-369064(JP,A)
特開2000-104900(JP,A)
特開2000-105072(JP,A)
特開2000-193364(JP,A)
特開2002-071055(JP,A)
実開平05-003200(JP,U)
調査した分野 A61B 5/05-5/055
特許請求の範囲 【請求項1】
磁気シールドルーム内に配置されたデュワーと、ヘリウム循環装置を収納する収納室内に配置されたヘリウム循環装置と、それらを連通接続するトランスファーチューブとを備え、座位および仰臥位等の複数の位置で使用可能な脳磁計において、前記トランスファーチューブを拡開手段を有する固定部材と変位可能なシールド体とによって前記複数の位置で前記磁気シールドルームの壁に固定できるようにしたことを特徴とするトランスファーチューブの固定装置。
【請求項2】
前記トランスファーチューブは磁気シールドルームの壁に形成した孔内で連続的に移動可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項3】
前記磁気シールドルームを構成する壁は、少なくとも複数層の透磁性材料とその透磁性材料を強固に保持するフレームとを備え、室内側の透磁性材料とその透磁性材料を強固に保持するフレームに対して、前記拡開手段を有する固定部材によりトランスファーチューブを固定できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項4】
前記固定部材は2分割で構成されていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項5】
前記固定部材の拡開手段は、パンタグラフ機構を使用したことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項6】
前記固定部材の拡開手段は、油圧または空気圧を利用した機構であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項7】
前記変位可能なシールド体は中間シールド体および円形シールド体で構成されていることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項8】
前記円形シールド体はシールド体拡開機構を有することを特徴とする請求項7に記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項9】
前記シールド体拡開機構は、パンタグラフ機構を使用したことを特徴とする請求項8に記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項10】
前記固定部材および変位可能なシールド体は、少なくとも防音、防振、防磁機能を有する材料により構成されていることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載のトランスファーチューブの固定装置。
【請求項11】
前記固定部材および変位可能なシールド体は、少なくとも防音、防振、防磁機能を有する材料により、磁気シールドルームの壁に取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載のトランスファーチューブの固定装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人体あるいは生物体から発生する磁場の計測を行うための医療用診断装置に用いるデュワーを、被検者の座位および仰臥位の両方の位置で使用可能とするために、デュワーの座位および仰臥位の両方の位置に対応してトランスファーチューブを磁気シールドルームの壁に形成した長孔内を移動させた後、磁気シールドルームの壁に確実に固定できるようにしたトランスファーチューブの固定装置およびその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極めて多くの低温物性研究や超伝導素子を用いた計測器等の冷却に、液体ヘリウムは不可欠である。また、人間の脳から発する磁界を検出する脳磁気計測システム等では脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉計)が利用されており、このSQUIDの冷却にも液体ヘリウムが利用されている。
【0003】
上述した装置等では現在ほとんどの場合、冷却のための液体ヘリウムは蒸発した後、大気に放出する形となっており、上記システムに使用している従来からの液体へリュウム槽でも、同槽から蒸発したヘリウムガスは、ほとんどの場合大気に開放している。しかし、この場合1リットル当たり約1200円する高価なヘリウムを多量に無駄に消費するため経済的かつ資源的に問題があり、このため、蒸発したヘリウムガスを回収し再度液化して再利用したいという要求は極めて強いものがある。
このため、最近では、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の汚染物質を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが研究されている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000-193364
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記出願中のヘリウム循環装置は、4KGM冷凍機を用い回収したヘリウムガスの大半を、冷却能力の大きい第1段目の冷凍サイクルを利用し、液体にすることなく、40K程度の低温ガスに冷却した後、デュワーのネックチューブ部に供給し、再度高温ガスとして回収することによって冷却能力を発揮させる。次に回収された1部のガスは、全冷凍サイクルを利用し、4Kの液体ヘリウムにして、別の供給ラインからデュワーに注入することによって、デュワーを4Kに保持する。同時に蒸発したヘリウムガスをできるだけ低温で回収し、直ちに液体ヘリウムに再凝縮して再度デュワーに戻すというシステムを採用している。
【0006】
ところで、上記システムは基本的には、デュワーは被検者が座位または仰臥位で使用することを前提として構成されているため、デュワー自体は磁気シールドルーム内でデュワー支持台に座位あるいは仰臥位に対応した状態で移動不能に確実に固定されており、またデュワーにヘリウムを供給するヘリウム循環装置も、磁気シールドルームに隣接した設けた収納室内でデュワーと同様に移動不能に適宜手段で固定されており、さらにデュワーとヘリウム循環装置を連通接続するトランスファーチューブも磁気シールドルームおよび収納室を構成する壁を貫通した状態で壁に固定されている。
【0007】
しかしながら、最近、デュワーを座位および仰臥位の両方の位置で使用できるようにしたいという要求がでてきており、デュワーおよびヘリウム循環装置を所定の回転軸を中心に回転可能に構成する必要が生じてきた。また、それに伴って両者を連通接続するトランスファーチューブも壁に対して移動可能に支持するとともに、移動後は磁気シールドルームの壁に確実に固定できる構造が必要となってきた。
【0008】
このような背景から、本発明は、上記の問題点を解決するために、座位および仰臥位で使用可能な脳磁計において、磁気シールドルーム内に配置されたデュワーと収納室内に配置されたヘリウム循環装置とを連通接続するトランスファーチューブがデュワーの座位および仰臥位の両方の位置に対応して移動可能に構成され、移動後にはトランスファーチューブが磁気シールドルームの壁に防音、防磁、防振した状態で確実に固定できるトランスファーチューブの固定装置および方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
磁気シールドルーム内に配置されたデュワーと、ヘリウム循環装置を収納する収納室内に配置されたヘリウム循環装置と、それらを連通接続するトランスファーチューブとを備え、座位および仰臥位等の複数の位置で使用可能な脳磁計において、前記トランスファーチューブを拡開手段を有する固定部材と変位可能なシールド体とによって前記複数の位置で前記磁気シールドルームの壁に固定できるようにしたことを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記トランスファーチューブは磁気シールドルームの壁に形成した孔内で連続的に移動可能に構成されることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記磁気シールドルームを構成する壁は、少なくとも複数層の透磁性材料とその透磁性材料を強固に保持するフレームとを備え、室内側の透磁性材料とその透磁性材料を強固に保持するフレームに対して、前記拡開手段を有する固定部材によりトランスファーチューブを固定できるようにしたことを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記固定部材は2分割で構成されていることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記固定部材の拡開手段は、パンタグラフ機構を使用したことを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記固定部材の拡開手段は、油圧または空気圧を利用した機構であることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
前記変位可能なシールド体は中間シールド体および円形シールド体で構成されていることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記円形シールド体はシールド体拡開機構を有することを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記シールド体拡開機構は、パンタグラフ機構を使用したことを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記固定部材および変位可能なシールド体は、少なくとも防音、防振、防磁機能を有する材料により構成されていることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
また、前記固定部材および変位可能なシールド体は、少なくとも防音、防振、防磁機能を有する材料により、磁気シールドルームの壁に取り付けられていることを特徴とするトランスファーチューブの固定装置である。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照して本発明に係るトランスファーチューブの固定装置の構成を説明すると、図1はデュワーを収納した磁気シールドルームとヘリウム循環装置を収納した収納室の平面図、図2は図1中のA-A矢視図、図3は図1中のB-B断面図、図4は磁気シールドルームに形成した長孔の正面図である。
【0011】
図において、1は非磁性材で囲まれた磁気シールドルームであり、磁気シールドルーム1は出入口1Aを有し、さらに磁気シールドルーム内にはデュワー2が配置されている。デュワー2は公知のものであり、支持台3上に軸4、4を中心に図2に示すように揺動自在に支持され、被検者6が座位および仰臥位の両方の位置をとることができるようになっている。尚、支持台3の形状、デュワーに設ける軸部材等は設計時において適宜選択できるものでる。また図2中、符号5はベッドである。
【0012】
図1において符号7はヘリウム循環装置8を収納する収納室であり、収納室7には、前記デュワー2から蒸発したヘリウムを再液化するとともに、デュワー2内で不足したヘリウムを適宜供給することができる公知のヘリウム循環装置8が収納配置されている。
ヘリウム循環装置8は、ヘリウムガスを再液化するための公知の冷凍機等を備えており、これらは図3に示すように所定のケース8A内に納められコンパクトに纏められている。そしてヘリウム循環装置8も、前記デュワー2の回転軸4、4と同じ回転軸線9上で軸9Aにより揺動自在に支持されている。なお、ヘリウム循環装置8の軸支持方向も、ヘリウム循環装置8が軸線9上で揺動できる機構は設計時において適宜機構を選択することができる。
【0013】
回転軸9Aにはウォームギヤ機構等からなる減速機構10を介して回転ハンドル11が接続され、回転ハンドル11を操作することでヘリウム循環装置8を回転軸線9回りに回転できる構成となっている。ヘリウム循環装置8には、同装置で再液化したヘリウムをデュワー2に供給するとともに、デュワー2で蒸発したヘリウムをヘリウム循環装置8に戻すことができるトランスファーチューブ12が接続されている。トランスファーチューブ12は図3に示すようにデュワー2に密封状態で連通接続されており、このトランスファーチューブ12によりヘリウム循環装置8とデュワー2とは一体化された構造となっている。なお、トランスファーチューブ12は、熱効率を高めるために、公知の比較的径が太く非可撓性の強度のある多層管が使用されている。
【0014】
ヘリウム循環装置8には回転軸線9に対して反対側に着脱自在のカウンターバランス13が取り付けられており、カウンターバランス13の作用によりヘリウム循環装置8とのバランスを調整して軽い力で同装置を簡単に揺動できるようになっている。カウンターバランス13はヘリウム装置8の回転軸線9に対して反対側に錘13を取り付けた構造となっており、また錘13は、ネジ13Aにより回転軸線9からの距離を自由に変更できるともに適宜錘の個数を変更できるようになっている。
【0015】
デュワー2を収納する磁気シールドルーム1内には、磁気シールドルーム1内からヘリウム循環装置8を回転させることができる回転シャフト14が取り付けられている(図3参照)。この回転シャフト14は回転軸線9と同じ軸線上に配置されており、回転シャフト14を利用してヘリウム循環装置8を回転させる時には、磁気シールドルーム1内から、図3中、回転シャフト14を右方に移動してヘリウム循環装置8の前記回転軸9Aにスプライン結合する。その後、回転シャフト14を回転するとヘリウム循環装置8を軸線9を中心に揺動させることができるようになっている。また回転シャフト14を図中左方に移動すると、回転軸9Aのスプラインから回転シャフト14が引き抜かれて分離され、ヘリウム循環装置8の振動が回転シャフト14に伝達しない構成となっている。このようにすることで、磁気シールドに回転シャフト14を介して不要の振動が伝達することが防止される。
【0016】
ヘリウム循環装置8に接続されたトランスファーチューブ12は収納室7内で、防振部材17を介してヘリウム循環装置8の固定側(本例ではヘリウム循環装置の回転軸を支持する軸受)に固定されており、トランスファーチューブ12の振動を抑制している。
また収納室7の内壁は防音および磁気シールド材7Aが隙間無く貼られており、ヘリウム循環装置8から発生した音や磁気が収納室7外に漏れないようになっている。
【0017】
ヘリウム循環装置8に連通接続されたトランスファーチューブ12は、収納室7の壁および磁気シールドルーム1の壁30を貫通して配置され、その貫通孔は図2、図4に示すようにヘリウム循環装置8が回転した時にトランスファーチューブ12も一体で移動できるように、軸4を中心にして形成した円弧状の長孔18、20となっている。この長孔18、20には、デュワーの位置(座位あるいは仰臥位)が決まりトランスファーチューブ12の位置が決められた段階でトランスファーチューブ12の部分を除く開口部が、防音、防振、防磁機能を有するシールド部材19、21で充填され、完全に密閉できるようになっている。これらのシールド部材のうち収納室7側のシールド部材は防音、防振、防磁性を持ったシールド材で適宜充填される。また磁気シールドルーム1側のシールド部材21は、トランスファーチューブ12を長孔20内にしっかりと固定できる特別の拡開機構を備えた構造となっている。
【0018】
上記磁気シールドルーム1の壁を充填する前記シールド部材21は、トランスファーチューブの固定装置を兼ねており、トランスファーチューブを固定するための固定部材36、中間シールド体37、円形シールド体38とから構成されている(図5参照)。
ここで、磁気シールドルーム1の壁30を貫通するトランスファーチューブを固定するための固定部材を図面を参照して説明する。図5は長孔を塞ぐシールド部材21を構成する固定部材36、中間シールド体37、円形シールド体38を室外側から室内側に見た斜視図、図6は磁気シールドルームの壁30に形成する長孔20の断面図および正面図である。
【0019】
磁気シールドルームの壁30は、図6、8に示すように3層構造(室内側から1層31、2層32、3層33)となっており、これらの層は何れも透磁性材料(例えばパーマロイ等)で構成され、さらに1層目は図6、8にも示すようにアルミ製の強固なフレーム50に強固に固定され、さらに2層目32、3層目33も強固なアルミ製のフレム51に強固固定され、フレーム50と2層目32との間には絶縁材52が設けられ、これらによって一体の壁が構成されている。また壁30にはトランスファーチューブの移動を許容できる長孔20が形成されている。長孔20は、図6に示すように前記第2層32、第3層33に形成する第2長孔35と、第1層に形成する第1長孔34とからなり、第2長孔35はトランスファーチューブの移動軌跡に略合った形状の孔35が形成され、また第1層31には、後述するトランスファーチューブの固定部材36および中間シールド体37、円形シールド体38を嵌合することができる孔34が形成されている。このため、デュワー2の揺動によりトランスファーチューブは第1層~第3層に形成された第1長孔34、第2長孔35内をデュワーの回転につれて、移動できる構成となっている。
トランスファーチューブ12の固定部材36は、図5に示すようにトランスファーチューブの周囲に少なくとも左右対象に配置される第1部材36a、第2部材36bとのより構成されている。なお本例では固定部材36は2分割されているが、固定部材36は必ずしも2分割する必要はなく、3個以上適宜の個数に分割することも可能である。
【0020】
固定部材、中間シールド体、円形シールド体の構造を説明する。
図7は固定部材の正面図、図8は固定部材によりトランスファーチューブを固定、非固定の状態を説明する断面図、図9はトランスファーチューブを壁30に固定した状態の断面図および正面図である。なお、固定部材を構成する第1部材36a、第2部材36bは同じ機構であるため、ここでは一方の機構を中心に説明する。
固定部材36aは、図7、図8に示すようにトランスファーチューブの周囲に上下方向位置に配置し(固定部材を例えば図5、図9に示すようにトランスファーチューブの左右に配置することも可能である)、トランスファーチューブの周囲に当接する第1当接部材40と、前記第1層31のフレーム50に当接する第2当接部材41と、第1、第2当接部材40、41の間に配置したパンタグラフ式の拡開機構42とを備えており、これらにより拡開手段を構成している。前記当接部材40、41および拡開機構42は鍔45(図5参照)を有する収納ケース46(図5参照)内に収納支持されており、収納ケース46の外部に設けたロックハンドル43により拡開機構42を操作できる構造となっている。また第1当接部材40、第2当接部材41は相手側との当接面積を可能な限り大きく形成することが望ましく、さらに必要に応じて当接部に防音、防振、防磁機能を有する材料等(ウレタン等)を設ける。
【0021】
また中間シールド体37は、図5に示すように円形シールド体と固定部材との間の開口部を塞ぐ形状をしており、鍔37aを備え、防音、防振、防磁機能を有する材料で構成されている。
さらに円形シールド体38は、図5に示すように鍔38aを有する円筒をしており、この円筒形の内部には、図9に示すように固定部材に設けたパンタグラフ式の拡開機構と同様のシールド体拡開機構38Aが備えられている。このシールド体拡開機構38Aも、前記固定部材側の拡開機構と同様に相手側との当接面積は可能な限り大きく形成することが望ましく、さらに必要に応じて防音、防振、防磁機能を有する材料を利用して構成することが望ましい。さらに拡開機構はトランスファーチューブの上下方向、左右方向のいずれの位置に配置することも可能である。
【0022】
続いて上記固定部材36、中間シールド体37、円形シールド体38によるトランスファーチューブ12の固定方法および開口部のシールド状況を説明する。長孔20内の一方側の端部にトランスファーチューブ12が位置決めされ後(本例では図9に示すようにトランスファーチューブが図中右側に位置決めされた状況を説明する)、2分割された固定部材36が例えば図8に示すようにトランスファーチューブ12の周囲の上下位置に配置される。またトランスファーチューブ12とは反対側の長孔20内には、円形シールド体38が配置され、さらに固定部材36と円形シールド体38の中間開口部には中間シールド体37が配置される。
【0023】
この状態で固定部材36側のロックハンドル43を操作すると図8に示すように拡開機構42を構成するネジ部材44が回転し、第1当接部材40および、第2当接部材41が拡開し、トランスファーチューブの周囲と第1層31を保持するフレーム50との間で突っ張り状態となり、トランスファーチューブを確実に固定することができる。また、円形シールド体38側でも同様にロックハンドル38Bを操作するとシールド体拡開機構38Aの第1当接部材および、第2当接部材が拡開し、中間シールド体37と磁気シールドルームの第1層31の壁との間で突っ張り状態となり、中間シールド体37をしっかりと固定することができる。
【0024】
なお固定部材36の収納ケース46と第1層31のフレーム50壁との当接部、および収納ケース46と中間シールド体37との当接部には、防音、防振、防磁機能を有する適宜シールド材が配置され、室外から室内への音、振動、磁気の進入を防止するようにしてある。
また固定部材36の収納ケース46と磁気シールドルーム1の壁30を構成する第2層32、第3層33との接合部、中間シールド体37、円形シールド体38との間にも適宜、防音、防振、防磁機能を有するシールド材を配置し、室内への音、振動、磁気の進入を防止するようにしてある。なお、図8中、47、48は防音、防振、防磁機能を有するシールド材である。重要なことは長孔20とその長孔を埋める固定部材、各シールド体との間、トランスファーチューブと固定部材との間からは音、磁気、振動がシールドルーム内に侵入することが無いようにシールド機能を保持しておくことである。
【0025】
上記のように構成したデュワーを座位から仰臥位に揺動する手順を説明する。システムの運転を停止し、それぞれの長孔18、20を塞いでいたシールド部材19、21を取り除き、回転ハンドル11あるいは回転シャフト14を回してヘリウム循環装置8を軸線9回りに揺動させる。
回転シャフト14を使用してヘリウム循環装置8を回転する場合には回転シャフト14を図3中、右方に移動して軸9にスプライン結合すると、回転シャフト14を回転させることでヘリウム循環装置8を揺動することができる。ヘリウム循環装置8を所定の位置に揺動した後は、回転シャフト14を図3中、左方に引き抜いて回転軸9Aから切り離すことで、ヘリウム循環装置の振動が磁気シールドルーム内に伝達することを防止できる。また収納室7内で操作ハンドル11を回転することで収容室内でもヘリウム循環装置8を揺動することができる。
【0026】
ヘリウム循環装置8の揺動によりトランスファーチューブ12で一体に結合されているデュワー2も同じように軸4、4を中心に揺動し仰臥位置に移動する。デュワー2およびヘリウム循環装置8の揺動動作が終了すると、磁気シールドルームおよび収納室側の長孔18、20を前述したシールド部材19、21を使用して完全に塞ぐ。
【0027】
具体的には、磁気シールドルーム側の第1層31のフレーム50では、図9に示すようにトランスファーチューブが移動して位置決めされた位置で、2分割された固定部材36をトランスファーチューブの周囲に配置する(図9では固定部材36をトランスファーチューブの左右に配置しているが、当然のことながら上下位置に配置することもできる)。また固定部材36に連続して中間シールド体37を配置し、さらに、中間シールド体37と第1層31の壁との間に円形シールド体38を配置する。それぞれの部材36~38が長孔内に設置された状況で、固定部材36のロック用ハンドル43を回すとパンタグラフ式の拡開機構が開き、第1部材40、第2部材41がトランスファーチューブおよび第1層31のフレームに当接し、トランスファーチューブを突っ張り状態で保持する。
【0028】
また円形シールド体38もロックハンドルを操作することで図9に示すように内部のシールド体拡開機構38Aが開き、中間シールド体37および第1層31のフレーム50との間に確実に固定される。
また、このような状況の時には、固定部材36と第1層31の壁あるいは中間シールド体37との間の隙間、円形シールド体38と壁30あるいは中間シールド体37との間の隙間は、防振、防磁機能を有する材料で適宜密閉され、外部からの振動あるいは磁気が磁気シールドルーム内に侵入することを防止する。
またトランスファーチューブから伝達する振動も固定部材36内で吸収され、デュワー2に伝わらないようにしてある。
このようにトランスファーチューブ12を固定したのち、装置の運転を再開することにより仰臥位置での検査を行うことができる。
【0029】
なおヘリウム循環装置にはカウンターバランス13が設けられているため、軸回りの回転は円滑に行われる。また、ヘリウム循環装置8に接続される冷媒用チューブや電気配線等のケーブルは回転軸受16によって支持されるため、無理な力がかからず、ヘリウム循環装置8はスムーズに揺動することができる。また、トランスファーチューブ12の振動は防振部材17により抑制され、磁気シールドルーム1内のデュワー2に伝達されることは無くなる。このように、ヘリウム循環装置8の運転中は、トランスファーチューブ12の振動は防振部材17で抑制されるため、また、ヘリウム循環装置8から発生する微弱な磁力、音は収容室7を構成する壁7Aにより殆ど吸収され、磁気シールドルームに進入することはなくなる。
【0030】
本発明の実施形態について説明したが、磁気シールド材、防音材(ウレタン系の材料等)、防振材(たとえば比較的硬いゴム系材料等)、それらの固着方法、トランスファーチューブの固定、支持方法、さらには、デュワーおよびヘリウム循環装置の回転手段等は設計時に、適宜選択できるものである。例えば、拡開機構としてパンタグラフ式の機構を採用しているが、油圧あるいはガス圧を利用して風船状のもとの膨張させトランスファーチューブを固定することもできる。また、固定部材、中間シールド体、円形シールド体は図示したものに限定することなく、設計時において適宜変更することが可能であり、例えば固定部材に於ける収納ケース等も適宜省略することも可能である。また固定装置の配置は、トランスファーチューブの上下方向、左右方向、あるいは周囲を3等分した位置など適宜選択することができる。
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁気シールドルーム内に配置されたデュワーと、循環装置収納室内に配置されたヘリウム循環装置と、それらを連通接続するトランスファーチューブとからなる脳磁計において、デュワーが座位および仰臥位の両方の位置に移動しても、それに対応してトランスファーチューブを移動させることができ、その後確実にトランスファーチューブを磁気シールドルームの壁に固定できる。また外部からの磁気、音、振動等が磁気シールドルーム内に侵入することを確実に防止できる、という優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るデュワーを収納した磁気シールドルームとヘリウム循環装置を収納した収納室の平面図である。
【図2】図1中のA-A矢視図である。
【図3】図1中のB-B断面図である。
【図4】磁気シールドルームに形成した長孔の正面図である。
【図5】長孔を塞ぐシールド部材を構成する固定部材、中間シールド体、円形シールド体を室外側から室内側に見た斜視図である。
【図6】磁気シールドルームの壁に形成する長孔の断面図および正面図である。
【図7】固定部材の正面図である。
【図8】固定部材によりトランスファーチューブを固定、非固定の状態を説明する断面図である。
【図9】トランスファーチューブを壁に固定した状態の断面図および正面図である。
【符号の説明】
1 磁気シールドルーム
2 デュワー
3 支持台
4 軸
5 ベッド
6 被検者
7 収納室
8 ヘリウム循環装置
9 回転軸線
10 減速機構
11 回転ハンドル
12 トランスファーチューブ
13 カウンターバランス
14 回転シャフト
17 防振部材
18、20 長孔
19、21 防音、磁気シールド材
30 磁気シールドルームの壁
31 第1層
32 第2層
33 第3層
34 第2長孔
35 第1長孔
36 固定部材
37 中間シールド体
38 円形シールド体
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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