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明細書 :OTDM伝送方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4495415号 (P4495415)
公開番号 特開2005-020319 (P2005-020319A)
登録日 平成22年4月16日(2010.4.16)
発行日 平成22年7月7日(2010.7.7)
公開日 平成17年1月20日(2005.1.20)
発明の名称または考案の名称 OTDM伝送方法及び装置
国際特許分類 H04B  10/02        (2006.01)
H04B  10/18        (2006.01)
H04J  14/08        (2006.01)
H04B  10/04        (2006.01)
H04B  10/06        (2006.01)
H04B  10/142       (2006.01)
H04B  10/152       (2006.01)
H04J   1/00        (2006.01)
H04J   3/00        (2006.01)
FI H04B 9/00 M
H04B 9/00 D
H04B 9/00 L
H04J 1/00
H04J 3/00 Q
請求項の数または発明の数 15
全頁数 24
出願番号 特願2003-181964 (P2003-181964)
出願日 平成15年6月26日(2003.6.26)
審査請求日 平成18年6月20日(2006.6.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】廣岡 俊彦
【氏名】中沢 正隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100107010、【弁理士】、【氏名又は名称】橋爪 健
審査官 【審査官】東 昌秋
参考文献・文献 特開平11-112425(JP,A)
特開平11-004196(JP,A)
特開平08-265265(JP,A)
特開2001-111490(JP,A)
特開平09-061765(JP,A)
特開平03-171036(JP,A)
現代人の物理5 光とフーリエ変換,日本,朝倉書店,1992年 5月15日,初版,p.89-92
M.Romagnoli et.al.,“Time-domain Fourier optics for polarization-mode di,Opt.Lett.,米国,1999年 9月 1日,Vol.24,No.17,1197-1199
G.P.Agrawal/小田垣孝・山田興一,非線形ファイバー光学,日本,吉岡書店/吉岡誠,1997年 5月25日,原書第2版,p.71-83
T.Sakano et.al.,Large-dispersion-tolerance optical signal transmission system based on temporal imaging,Optics Letters,米国,2002年 4月15日,Vol.27,No.8,p583-585
調査した分野 H04B 10/00-10/28
H04J 14/00-14/08
H04J 1/00
H04J 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用い、
OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動する位相変調器と、群速度分散を与えるための分散要素とを備えた、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置を用いて、Nチャネルの前記OTDM信号パルス列をNチャネルの波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列を受信し、周波数スペクトル形状をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法。
【請求項2】
請求項に記載のOTDM伝送方法において、
OTDM信号パルス列への多重化前の光パルス列の繰り返し周波数Rに対して、N倍の多重化により繰り返し周波数NRのOTDM信号パルス列を用いる場合、光フーリエ変換のための駆動周波数として多重化前の光パルス列の繰り返し周波数Rを用いることを特徴とするOTDM伝送方法。
【請求項3】
請求項1に記載のOTDM伝送方法において、
前記光逆フーリエ変換装置は、光パルス列に同期して各光パルスに位相変調を印加するための位相変調器と、群速度分散を与えるための分散要素とを備え、
受信したWDM信号の隣接する周波数チャネルの周波数差に相当するビート信号に基づき、クロック信号を再生し、クロック信号の周波数の1/Nの繰り返し周波数で前記位相変調器を駆動するOTDM伝送方法。
【請求項4】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用い、
時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置を用い、前記光フーリエ変換装置の分散要素が、OTDM信号パルス列に群速度分散を与え、前記光フーリエ変換装置の位相変調器が、OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動し、前記分散要素から出力された光パルスに線形チャープを与え、前記分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスを入力して再度群速度分散を与え、残留チャープを補償して前記OTDM信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列を受信し、周波数スペクトル形状をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法。
【請求項5】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用い、
時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置を用い、前記光フーリエ変換装置の位相変調器が、OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動し、OTDM信号パルス列に線形チャープを与え、前記光フーリエ変換装置の分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスに群速度分散を与え、前記位相変調器が、前記分散要素から出力された光パルスを入力して再度線形チャープを与え、残留チャープを補償して前記OTDM信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列を受信し、周波数スペクトル形状をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法。
【請求項6】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用い、
時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置を用いて、前記OTDM信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列を受信し、周波数スペクトル形状をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、前記光フーリエ変換装置の分散要素が、受信した光パルス列に群速度分散を与え、前記光フーリエ変換装置の位相変調器が、受信した光パルス列から再生されたクロック周波数の1/N(ただし、Nは任意の整数)で駆動され、前記分散要素から出力された光パルスに線形チャープを与え、前記分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスを入力して再度群速度分散を与え、残留チャープを補償して光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法。
【請求項7】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用い、
時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置を用いて、前記OTDM信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列を受信し、周波数スペクトル形状をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、前記光フーリエ変換装置の位相変調器が、受信した光パルス列から再生されたクロック周波数1/N(ただし、Nは任意の整数)で駆動され、受信した光パルスに線形チャープを与え、
前記光フーリエ変換装置の分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスに群速度分散を与え、
前記位相変調器が、前記分散要素から出力された光パルスを入力して再度線形チャープを与え、残留チャープを補償して光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法。
【請求項8】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用いたOTDM伝送装置であって、
光時分割多重化された光パルスを送信する前記OTDM信号送信器と、
OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動する位相変調器と、群速度分散を与えるための分散要素とを有し、前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と、
前記光フーリエ変換装置から光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置を用いて、Nチャネルの前記OTDM信号パルス列をNチャネルのWDM信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列を前記光逆フーリエ変換装置を用いてOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置。
【請求項9】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用いたOTDM伝送装置であって、
光時分割多重化された光パルスを送信する前記OTDM信号送信器と、
前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と、
前記光フーリエ変換装置から光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置分散要素が、OTDM信号パルス列に群速度分散を与え、前記光フーリエ変換装置の位相変調器が、OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動し、前記分散要素から出力された光パルスに線形チャープを与え、前記分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスを入力して再度群速度分散を与え、残留チャープを補償して、前記OTDM信号パルス列をWDM信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列を前記光逆フーリエ変換装置を用いてOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置。
【請求項10】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用いたOTDM伝送装置であって、
光時分割多重化された光パルスを送信する前記OTDM信号送信器と、
前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と、
前記光フーリエ変換装置から光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置位相変調器が、OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍(ただし、Nは任意の整数)の繰り返し周波数によって駆動し、OTDM信号パルス列に線形チャープを与え、前記光フーリエ変換装置の分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスに群速度分散を与え、前記位相変調器が、前記分散要素から出力された光パルスを入力して再度線形チャープを与え、残留チャープを補償して、前記OTDM信号パルス列をWDM信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列を前記光逆フーリエ変換装置を用いてOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置。
【請求項11】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用いたOTDM伝送装置であって、
光時分割多重化された光パルスを送信する前記OTDM信号送信器と、
前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と、
前記光フーリエ変換装置から光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置を用いて、前記OTDM信号パルス列をWDM信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
前記光逆フーリエ変換装置を用いて、前記光逆フーリエ変換装置の分散要素が、受信した光パルス列に群速度分散を与え、前記光逆フーリエ変換装置の位相変調器が、受信した光パルス列から再生されたクロック周波数の1/N(ただし、Nは任意の整数)で駆動され、前記分散要素から出力された光パルスに線形チャープを与え、前記分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスを入力して再度群速度分散を与え、残留チャープを補償して、光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置。
【請求項12】
光時分割多重(OTDM)信号パルスとして、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するトランスフォームリミットなパルスを用いたOTDM伝送装置であって、
光時分割多重化された光パルスを送信する前記OTDM信号送信器と、
前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と、
前記光フーリエ変換装置から光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝搬した後の光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置を用いて、前記OTDM信号パルス列をWDM信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ伝送路に入射し、
前記光逆フーリエ変換装置を用いて、前記光逆フーリエ変換装置の位相変調器が、受信した光パルス列から再生されたクロック周波数1/N(ただし、Nは任意の整数)で駆動され、受信した光パルスに線形チャープを与え、前記光逆フーリエ変換装置の分散要素が、前記位相変調器から出力された光パルスに群速度分散を与え、前記位相変調器が、前記分散要素から出力された光パルスを入力して再度線形チャープを与え、残留チャープを補償して、光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後の前記WDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前の前記OTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置。
【請求項13】
請求項に記載のOTDM伝送装置において、
前記OTDM信号送信器は
繰り返し周波数Rを発生する信号源と、
前記信号源の出力で駆動され、繰り返し周波数Rの光パルスを送信データに従い伝送速度Rの光パルス信号列に変調する光変調器と、
前記光変調器からの伝送速度Rの光パルス列を伝送速度NRに多重化する多重化部と
を備え、前記光フーリエ変換装置の位相変調器の駆動周波数として前記信号源からの繰り返し周波数Rを用いるOTDM伝送装置。
【請求項14】
請求項に記載のOTDM伝送装置において、
前記光フーリエ変換装置は、OTDM信号パルス列の伝送速度の1/N倍の繰り返し周波数を得るための、OTDM信号パルス列のクロック信号周波数を1/N倍に分周する回路をさらに備えたOTDM伝送装置。
【請求項15】
請求項に記載のOTDM伝送装置において、
前記光逆フーリエ変換装置は、
光パルス列に同期して各光パルスに位相変調を印加するための位相変調器と、
群速度分散を与えるための分散要素と、
受信したWDM信号の隣接する周波数チャネルを切り出し、2つのチャネルの周波数差に相当するビート信号を出力する波長フィルタと
を有し、
該ビート信号に基づき、クロック信号を再生し、クロック信号の周波数の1/Nの繰り返し周波数で前記位相変調器を駆動することを特徴とするOTDM伝送装置。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光時分割多重(OTDM、optical time division multiplexing)伝送方法及び装置に係り、特に、OTDM伝送において、伝送速度を高速化したときに問題となり得る光ファイバ伝送路の分散および偏波モード分散による信号の時間波形歪みを完全に(又はほとんど完全に)除去することを可能にする新たなOTDM伝送方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信において、1本の伝送ファイバに収容する信号チャネル数を増やし回線の有効利用を図る多重化技術として、時分割多重(TDM)と波長分割多重(WDM)とが用いられている。電気の処理速度を超えた光伝送を実現するために、光パルスを各チャネルに分けてその多重化される前のパルス列の基本繰り返し周波数においてあらかじめデータ変調を行ない、再び各チャネルを光領域で時間多重する方法は、特に光時分割多重(OTDM)と呼ばれている。
【0003】
伝送速度が、例えば、40 Gbit/s以上の超高速OTDM伝送においては、従来の伝送方式に比べてパルス間隔が大幅に狭くなるため、信号光としてパルス幅が数ピコ秒からサブピコ秒の超短パルスを用いる必要がある。このような超短パルスを用いたOTDM伝送の実現にあたっては、波長分散や偏波分散をはじめとする光ファイバの線形効果による信号波形歪みの低減が重要な課題となる。
【0004】
超高速OTDM伝送としては、これまでに160 Gbit/s-480 km、640 Gbit/s-100 km、1.28 Tbit/s-70 kmといった実験結果が報告されている(非特許文献1~3参照)。これらの実験では、分散補償ファイバや分散スロープ補償ファイバを用い伝送ファイバ全体の分散値および分散スロープを極めて正確に制御することによって伝送信号の時間波形歪みを抑えている。
【0005】
また、本発明者は、任意の分散ならびに偏波モード分散、タイミングジッタを有する光ファイバに伝送される信号の波形歪みをフーリエ変換により同時にかつ完全に補償する新たな光伝送方法および光伝送装置(特許文献1)、及び、超高速光通信ならびに光計測などに用いられる超短パルス技術において、パルス光源から出力された光パルスの時間幅を任意の比率で圧縮するとともに、さらには任意のパルス波形を得ることができる光パルス圧縮器および光関数発生器(特許文献2)について出願している。
【0006】
【非特許文献1】
J. L. Auge, M. Cavallari, M. Jones, P. Kean, D. Watley, and A. Hadjifotiou, "Single channel 160 Gb/s OTDM propagation over 480 km of standard fiber using a 40 GHz semiconductor mode-locked laser pulse source," Optical Fiber Communication Conference (OFC) 2002, Paper TuA3.
【非特許文献2】
山本貴司、吉田英二、田村公一、中沢正隆、「フェムト秒パルスを用いた640 Gbit/s OTDM信号の100 km伝送」、信学論(C)、Vol. J83-B, pp. 625-633, 2000.
【非特許文献3】
山本貴司、田村公一、中沢正隆、「位相変調器による3次、4次分散同時補償を用いた1.28 Tbit/s-70 kmフェムト秒パルスOTDM伝送」、信学論(B)、Vol. J84-B, pp. 1587-1597, 2001.
【特許文献1】
特願2003-23973
【特許文献2】
特願2003-109708
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこのような超高速OTDM伝送においては超短パルスが用いられるため、伝送ファイバの分散に対する伝送システムの許容度がもともと小さく、分散値のわずかな変動によってパルスの伝送特性に大きな影響が出てくる。さらに超短パルス伝送においては、振動や温度変化などの外乱によって誘起される伝送信号の偏波状態のランダムな変化から生じるパルス広がり(偏波モード分散)の影響を考慮に入れなければならない。したがって分散値の変動や偏波モード分散に対するトレランスを十分確保するためには、分散の適応等化技術や偏波モード分散補償技術が必要とされている。このような分散補償技術は未だ実用化されるまでに至っていない。
【0008】
そこで本発明では、上述の課題を解決するために、光ファイバ中の線形効果によって時間波形歪みが発生してもスペクトル形状は完全に保存されるという性質、ならびに光フーリエ変換によってOTDM信号とWDM信号を相互に一括変換できるという性質を、OTDM信号伝送技術に積極的に応用する。すなわち、光ファイバ伝送路の送信側でOTDM信号のNビットを一括して光フーリエ変換することによってN個のWDM信号スペクトル列に変換しておき、受信側で伝送信号のスペクトル形状を光逆フーリエ変換によって時間波形に変換することで線形歪みのないもとの信号波形を完全に再生することができる。
本発明は、以上の点に鑑み、実質的に分散に依存しないOTDM無歪み伝送を実現するOTDM伝送方法及び装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の解決手段によると
時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトル波形又は包絡線に変換するための光フーリエ変換装置を用いて、光時分割多重(OTDM)信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ中に伝搬し、
光ファイバ中に伝搬された光パルス列を受信し、周波数スペクトル波形又は包絡線をそのパルスのもつ時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置を用いて、光ファイバを伝送後のWDM信号スペクトル列をOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前のOTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送方法が提供される。
【0010】
本発明の第2の解決手段によると、
送信光パルスを多重化する光時分割多重(OTDM)信号送信器と、
前記OTDM信号送信器から出力されたOTDM信号パルス列に対して、時間軸上の光パルス波形をそのパルスのもつ周波数スペクトルの形状に変換するための光フーリエ変換装置と
光ファイバ伝送路を伝搬した光パルス列に対して、光パルスのもつ周波数スペクトルの形状を時間軸上の光パルス波形に変換するための光逆フーリエ変換装置と、
前記光逆フーリエ変換装置から出力された光パルス列を低速光信号に多重分離しチャネルごとに受光するOTDM信号受信器と
を備え、
前記光フーリエ変換装置を用いて、OTDM信号パルス列を波長分割多重(WDM)信号スペクトル列に変換し、
変換された光パルス列を光ファイバ中に伝搬し、
光ファイバ伝送路に入射され光ファイバ伝送路を伝送後のWDM信号スペクトル列を前記光逆フーリエ変換装置を用いてOTDM信号パルス列に変換することにより、伝送前のOTDM信号パルス列の時間波形を再生し、
伝送された光パルスが光ファイバ伝送路中でいかなる線形時間歪みを受けても周波数スペクトルの形状が保存されることから、無歪み伝送を実現するためのOTDM伝送装置が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
1.OTDM伝送システム
図1は、本実施の形態のOTDM伝送システムの構成図である。OTDM伝送システムは、OTDM信号送信器1、光フーリエ変換装置2(20)、光逆フーリエ変換装置2’(20’)、光ファイバ伝送路3、OTDM信号受信器4を備える。
まず、OTDM信号送信器1からの時分割多重されたOTDM信号は、光フーリエ変換装置2中へ入射する。ここで光パルスがチャープのないフーリエ変換限界パルスであれば後述する光フーリエ変換を最も正確に実行できる。ここで、フーリエ変換限界パルスとは、トランスフォームリミットなパルスとも呼ばれ、時間波形に対して一切過不足のないスペクトル幅を有するパルスであり、例えばガウス型パルスの場合には、時間パルス幅Δτとそのスペクトル幅Δνの積はΔνΔτ≒0.441を満たしている。光フーリエ変換装置2は、パルスの時間波形を周波数軸上の信号へ変換し、一方、光逆フーリエ変換装置2’は、周波数軸上のスペクトル形状を時間波形(パルス)に変換するものである。光ファイバ伝送路3は、任意の分散および偏波モード分散を有する伝送線路である。これらの分散量は時間的な変動を伴ってもよい。OTDM信号受信器4は、伝送信号を光領域で低速光信号に多重分離した後、チャネルごとに光パルスを受光し、これを電気信号に変換する。OTDM信号受信器4において多重分離に用いるクロックは、例えば、光逆フーリエ変換装置2’(20’)が伝送信号から抽出したものを用いたり、独立にクロック信号源を設けること等、適宜の手段を用いることができる。
【0013】
なお、以下に光フーリエ変換装置と光逆フーリエ変換装置の第1及び第2の実施の形態を説明するが、両装置を第1の実施の形態又は第2の実施の形態を用いてもよいし、一方に第1の実施の形態、他方に第2の実施の形態を用いるようにしてもよい。
【0014】
2.OTDM伝送装置の第1の実施の形態
ここで、図2に、OTDM信号送信器1および光フーリエ変換装置2の第1実施の形態の構成図を示す。
図2のOTDM信号送信器1は、光パルス光源11、クロック信号源12、光変調器13、OTDM多重化装置14、データ入力端子15を備える。光パルス光源11は、クロック信号源12から供給される周波数R [Hz]で動作する。光変調器13は、クロック信号源12から供給されるクロックで駆動され、基本繰り返し周波数R [Hz]の光パルス列をデータ入力端子15から入力される送信データに従い伝送速度R [bit/s]の光パルス信号列にデータ変調する。OTDM多重化装置14は、クロック信号源12から供給されるクロックで駆動され、基本繰り返し周波数Rでnチャネルの光パルス信号列を時分割多重化し伝送速度をn倍にし、OTDM信号パルス列の繰り返し周波数(伝送速度nR[bit/s])で出力する。なお同図で、実線および破線はそれぞれ光パルスおよび電気信号の経路を表している。
【0015】
図2の光フーリエ変換装置2は、入力端子21、光サーキュレータ23および23’、電気増幅器25、分散要素26、位相変調器27、出力端子28、逓倍器もしくは分周器29を備える。
位相変調器27としては、例えば、LiNbOなどの電気光学効果を用いた位相変調器が好適に用いられる。位相変調器27は、あるいはEA(Electro-Absorption)やSOA(Semiconductor Optical Amplifier)などにおける位相変調効果を用いてもよい。位相変調器27には一般に偏波依存性のあるものが多いが、無偏波形の光デバイスあるいは偏波ダイバーシティーによる方法を採用して無偏波化を図ってもよい。なお、位相シフタ及び光遅延ファイバを設けて、その際位相変調が光パルスに最適に同期して印加されるように機能するようにしてもよい。もし変調のタイミングが温度などによりずれる場合には、位相シフタが自動的に位相シフト量を調整し、最適な変調を印加する技術を用いることができる。また、電気増幅器を設けて、位相シフタの出力により位相変調器27を駆動するための駆動信号を出力するようにしてもよい。分散要素26としては、例えば、1.3μmの波長帯域付近に零分散領域が存在する群速度分散特性を有するような単一モード光ファイバあるいは回折格子対、ファイバブラッググレーティング等を用いることができる。
【0016】
入力端子21には光サーキュレータ23のポート23aが接続される。光サーキュレータ23のポート23aには、ポート23b、分散要素26および光サーキュレータ23’のポート23’bを介してポート23’aが接続される。光サーキュレータ23’のポート23’aとポート23’cとは位相変調器27を介してループ状に接続される。光サーキュレータ23のポート23bはポート23cを介して出力端子28に接続される。位相変調器27は、OTDM信号パルス列に同期した位相変調をパルスに印加するために、OTDM信号送信器1中のクロック信号源12から供給されるクロックを駆動周波数として用いる。すなわちクロック信号源12を電気増幅器25を介して位相変調器27の駆動回路に接続する(特許文献1及び2参照)。後述するように、本実施の形態では位相変調器27の駆動周波数を、一般にOTDM信号パルス列の繰り返し周波数の1/N倍(N:整数)に選ぶ。N=n(時間多重数)でもよい。このためには、必要に応じて、適切な逓倍器もしくは分周器29を電気増幅器25と位相変調器27との間に挿入したり省略したりすればよい。
【0017】
図4に、光逆フーリエ変換を実行する光逆フーリエ変換装置2’の第1の実施の形態の構成図を示す。図4は、入力端子21、光カップラ22、光サーキュレータ23および23’、クロック信号再生器24、電気増幅器25、分散要素26、位相変調器27、出力端子28、逓倍器もしくは分周器29を備える。図2と同符号の構成要素はそれぞれ、同様の構成・機能を有する。これは図2の光フーリエ変換装置2において、入力端子21に光カップラ22を接続し、一方の出力を光サーキュレータ23のポート23aに、もう一方の出力をクロック信号再生回路24および電気増幅器25を介して位相変調器27の駆動回路に接続したものである。なお同図で、実線および破線はそれぞれ光パルスおよび電気信号の経路を表している。
【0018】
送信側で用いた光フーリエ変換に対応する光逆フーリエ変換は、光逆フーリエ変換装置2’の分散要素D’の符号が、光フーリエ変換装置2に用いた分散要素Dと逆符号となるように(D’=-Dに)分散量を選ぶことで実現できる。このとき光逆フーリエ変換装置2’における位相変調器のチャープK’の符号も、光フーリエ変換装置2に用いた位相変調器のチャープKと逆符号となるように(すなわちK’=-Kに)選ぶ。位相変調器のチャープは位相変調器に印加する電圧の位相を反転することによって逆符号にすることができる。
【0019】
また、光逆フーリエ変換装置2’の位相変調器27において、信号パルス列に同期した位相変調をパルスに印加するために、光カップラ22、クロック信号再生回路24、及び電気増幅器25により、この信号パルス列からクロック信号を抽出し、得られたクロック周波数で位相変調器27を駆動する必要がある。もとのOTDM信号パルス列は送信端でWDM信号に変換されているので、WDM信号からは直接クロック信号を抽出することはできない。しかしWDM信号のチャネル間隔ΔωともとのOTDM信号のビット間隔ΔtはΔω=KΔtの関係にあるので、Δωからクロック信号を再生することができる。
【0020】
図5に、クロック信号再生回路24の構成図を示す。同図で、実線および破線はそれぞれ光パルスおよび電気信号の経路を表している。クロック信号再生回路24は、波長フィルタ31、光検出器32、および分周器33を備える。まず2つの隣接する周波数チャネルを波長フィルタ31によって切り出し、2つのチャネルの周波数差Δωに相当するビート信号を光検出器32に入射し電気信号に変換する。これを1/K倍の分周器23に通すことよって、ビット間隔Δtに相当するクロック信号を再生することができる。
【0021】
次に、このOTDM伝送方式の動作の概要を図1、図2および図4を用いて説明する。
まず、光フーリエ変換装置2の動作について説明する。
OTDM信号送信器1によって生成されたOTDM信号をu(t)、その周波数スペクトルをU(ω)とする。時間信号u(t)とその周波数スペクトルU(ω)は
【0022】
【数1】
JP0004495415B2_000002t.gifで関係づけられている。
【0023】
まず、このようなOTDM信号を図2の光フーリエ変換装置2の入力端子21に入射する。光サーキュレータ23のポート23a、23bを介して分散要素26を通過した後の信号の時間波形u(t)は
【数2】
JP0004495415B2_000003t.gifとなる。ここでDは分散要素26の分散量であり、分散要素26が、二次分散k”、長さLの光ファイバで構成されているとするとD=k”Lである。すなわちこの作用により、次の光フーリエ変換によって生じる位相の時間的変化(チャープ)をあらかじめ補償しておく。
【0024】
次に光サーキュレータ23’のポート23’b、23’aを介して位相変調器27を通過した後の信号の時間波形u(t)は
【数3】
JP0004495415B2_000004t.gifと表される。ここでKは位相変調器27のチャープ率である。さらに光サーキュレータ23’のポート23’c、23’bを介して再び分散要素26を通過し光サーキュレータ23のポート23b、23cを介して出力端子28で得られる信号の時間波形v(t)は次式で与えられる。
【0025】
【数4】
JP0004495415B2_000005t.gifここで位相変調器27のチャープ率をK=1/Dに選ぶと次式を得る。
【0026】
【数5】
JP0004495415B2_000006t.gifしたがって、光フーリエ変換装置2を通った後の出力端子28における信号の時間波形v(t)は、式(5)からわかるように入力端子21におけるもとのOTDM信号のスペクトル形状U(t/D)に対応している。このとき出力端子28における信号の周波数スペクトルV(ω)は式(5)より
【0027】
【数6】
JP0004495415B2_000007t.gifと表される。ここで
【0028】
【数7】
JP0004495415B2_000008t.gifを用いた。ただし、δ(Ω)はデルタ関数で、Ω=0のときに1、それ以外のときに0の値をとる関数である。
【0029】
したがって、出力端子28における信号の周波数スペクトルV(ω)は、入力端子21におけるもとのOTDM信号の時間波形u(-Dω)に対応している。このようにして光フーリエ変換された信号v(t)を光ファイバ伝送路3に入射し伝搬させる。なおここで光ファイバ伝送路3への入力信号v(t)∝U(t/D)の時間幅が分散量Dの大きさを変えることによって制御できることに注意する。例えばDを2倍にすることでv(t)の時間幅を2倍にすることができる。
【0030】
ここで、図11に、光フーリエ変換装置の入出力における時間波形とその周波数スペクトルの説明図を示す。本発明及び本実施の形態の重要なポイントのひとつは、位相変調器27の駆動周波数をOTDM信号パルス列の繰り返し周波数の1/N倍(N:整数)に選び、光フーリエ変換装置2によってN個のパルス時間波形を一括してフーリエ変換すると、出力端子28では中心周波数の異なるN個のスペクトルが得られる点である。すなわち、もとのOTDM信号u(t)のパルス間隔をΔt(伝送速度B=1/Δt)とすると、N個のパルス列の光フーリエ変換に必要な位相変調器27の駆動周波数はf=1/(NΔt)で与えられ、光フーリエ変換された信号のスペクトルV(ω)は、V(ω)∝u(-Dω)(式(6))より周波数間隔Δω=Δt/DのN個のスペクトル列となる。このようにして光フーリエ変換によってN個のOTDM信号系列はNチャネルのWDMスペクトル系列に変換される。このとき出力端子28における時間信号波形v(t)は、式(5)よりもとのOTDM信号のスペクトル形状U(t/D)で与えられる。N個のパルス列(パルス間隔Δt)の周波数スペクトルはf=1/Δtとその整数倍の周波数にピークをもつ形状であるので、v(t)はt=D(2πf)=2πD/Δtとその整数倍の時間位置にピークをもつ波形で与えられる。このようにOTDM信号パルス列の繰り返し周波数の1/N倍の低速な位相変調器によって光フーリエ変換を実現できるということは、本伝送方式の実現を容易にするうえで極めて有用な特徴である。
【0031】
光ファイバ伝送路3中を伝搬する光パルスは、該光ファイバ伝送路の有する分散ならびに偏波モード分散によって複雑な線形波形歪みを受ける。特に超高速OTDM伝送においては超短パルスが光信号に用いられるため、分散や偏波モード分散といった線形効果による信号波形の歪みが伝送性能を決定する。しかし光ファイバの線形効果は周波数軸上では伝送信号のスペクトルの位相変化を生じるだけであり、スペクトルの包絡線形状(スペクトル波形)は一切変形されない。したがって該光ファイバ伝送路に入射する前にOTDM信号の時間波形を光フーリエ変換装置2によって、この光フーリエ変換装置2の出力信号の周波数スペクトル形状に変換しておき、その出力信号を伝送信号として光ファイバ伝送路3中を伝搬させることで、光ファイバ伝送路3の任意の地点で周波数スペクトルから光逆フーリエ変換装置2’による光逆フーリエ変換によってもとの信号時間波形を正確に再現することができる。OTDM信号受信器4に含まれる光検出器ではパルスの包絡線のみを検出するので、線形効果による位相変化は一切問題とならない。
【0032】
つぎに、光逆フーリエ変換装置2’の動作について説明する。
光ファイバ伝送路3から伝送されたWDM信号のスペクトルをQ(ω)、光逆フーリエ変換装置2’の出力の時間波形をr(t)、周波数スペクトルをR(ω)とする。Q(ω)は光ファイバ伝送路3を伝送前の信号スペクトルV(ω)と
【0033】
【数8】
JP0004495415B2_000009t.gifで関係づけられる。ここでφ(ω)は光ファイバ伝送路3の線形効果によって伝送信号のスペクトルに生じる位相変化である。
分散要素D’=-D、チャ-プ率K’=-Kとして、式(5)から、
【0034】
【数9】
JP0004495415B2_000010t.gifと表される。さらに、式(6)を代入して、
【0035】
【数10】
JP0004495415B2_000011t.gifを得る。したがって光逆フーリエ変換された信号の時間波形(t)は、(t)∝u(t)となり、位相変化φ(-t/D)を除いて光ファイバ伝送路3による時間歪みを完全に除去することができる。
【0036】
図6に、光パルスの時間波形及び周波数スペクトルの説明図を示す。この図はこれまでに説明したOTDM伝送方式の原理をまとめたものである。図中(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ図1中の点A、B、C、Dにおける信号の時間波形と周波数スペクトルに対応している。OTDM信号送信器1によって発生したOTDM信号パルス列(図6(a))は光フーリエ変換装置2によってWDM信号(図6(b))に変換され、光ファイバ伝送路3に入射する。光ファイバ伝送路3で線形歪みを受けた伝送信号(図6(c))が受信側で光フーリエ変換装置2’を通過すると、光ファイバ伝送路3中の伝搬で位相変化を除いてスペクトル形状が保存されている(図6(b)および(c))ことから、もとのOTDM信号パルス列(包絡線)が完全に再現される(図6(d))。
【0037】
なお、N個のパルス列の光フーリエ変換を行なっている場合、光ファイバ伝送路3中のパルス伝搬において時間波形の歪みあるいは広がりが時間ブロックNΔtを超えると、隣接する時間ブロックの信号と重なってしまい逆フーリエ変換によってもとの信号を再現できない。このような問題を解決するにはブロック長Nを大きくするか、上で述べたように光フーリエ変換に用いる分散量Dを大きくすることで光フーリエ変換後の信号波形v(t)の時間幅を大きくし線形効果による波形歪みをできるだけ小さく抑える必要がある。光フーリエ変換後の全スペクトル帯域幅はブロック数をNとすると~NΔt/2πDで与えられるので、Nの最大値は光増幅器の利得平坦帯域幅によって決まる。ここで、光増幅器は、光ファイバ伝送路3中のものを含め、本方式で用いられる光増幅器全てについてのものである。
【0038】
図7は、光フーリエ変換をより正確に実行するためにOTDM信号系列の各時間ブロックの両端に設ける空白ビット(ガード)の設定例を示す図である。以上の説明では、光フーリエ変換に用いる位相変調器の変調特性は、式(3)のように放物型であると仮定した。しかし通常の正弦波変調特性を有する位相変調器を用いるときには、位相変調特性が放物型から外れる領域に位置するビットの光パルスに対して光フーリエ変換を正確に実行することができない可能性がある。その場合は、図7に示すように、各ブロックの両端に空白のビットを加え黒く示したガードを設けておくことにより、光フーリエ変換を正確に実行することができる。
【0039】
3.OTDM伝送装置の第2の実施の形態
図2中の光フーリエ変換装置2において、分散要素26と位相変調器27を入れ替えることによっても同様の光フーリエ変換を実現することができる(特許文献2参照)。
図3に、OTDM信号送信器1及び光フーリエ変換装置20の第2の実施の形態の構成図を示す。OTDM信号送信器1は、前述の第1の実施の形態と同様である。
【0040】
光フーリエ変換装置20は、入力端子21、光サーキュレータ23および23’、電気増幅器25、分散要素26、位相変調器27、出力端子28、逓倍器もしくは分周器29及び光遅延素子30を備える。この場合には、ポート23bから位相変調器27に入射するパルス列に対しては、クロック信号源12から電気増幅器25および逓倍器もしくは分周器29を介して供給されるクロック信号に従って位相変調器27を駆動し、OTDM信号系列のパルスのピークが位相変調特性のタイミングに同期するよう位相変調を該パルスに印加する。それと同時に、ポート23’bから位相変調器27に入射するパルス列に対してもパルスのピークが位相変調特性のタイミングに同期するよう、分散要素26の後に光遅延素子30を挿入し適切な時間遅延を与えておく。
【0041】
入力された光パルスは光サーキュレータ23のポート23aからポート23bを介して位相変調器27に入力され、光パルス列から再生されたクロック信号に従ったタイミングで駆動する位相変調器27によって光パルスに線形チャープが与えられる。すなわち該光パルスの各時間位置に異なる周波数シフトが割り当てられる。チャープを受けた該光パルスは光サーキュレータ23のポート23’bおよび23’aを介して分散要素26を通過する。このとき該光パルスの時間波形には上記周波数シフトに応じた時間遅延が与えられ、時間軸上で異なる周波数成分が分別される。第1の実施の形態と同様に、位相変調器27のチャープ率Kに対して分散要素26の分散量DをD=1/Kに選ぶことによって、時間波形u(t)のフーリエ変換像U(ω)が時間軸上で生成される。
【0042】
図12は、光逆フーリエ変換装置の第2実施の形態の構成図である。この光逆フーリエ変換装置20’は、図1中の光フーリエ変換装置Fにおいて分散要素26と位相変調器27を入れ替え、さらに光サーキュレータ23’のポート23’aとポート23’cを結ぶループにおいて分散要素26のあとに光遅延素子30を挿入したものである。位相変調器27には図4と同様、光カップラ22からクロック信号抽出回路24および電気増幅器25を介して再生されたクロック信号が駆動回路に供給されている。なお、図4と同符号の構成要素は、それぞれ同様の構成・機能を有する。
送信側で用いた光フーリエ変換に対応する光逆フーリエ変換は、光逆フーリエ変換装置20’の分散要素D’の符号を、光フーリエ変換装置20に用いた分散要素Dと逆符号となるように(D’=-Dに)選ぶことで実現できる。このとき光逆フーリエ変換装置20’における位相変調器のチャープK’の符号も、光フーリエ変換装置20に用いた位相変調器のチャープKと逆符号となるように(すなわちK’=-Kに)選ぶ。
【0043】
つぎに、このOTDM伝送方式の動作の概要を、図1、図3及び図12を用いて説明する。
まず、光フーリエ変換装置20の動作について説明する。
OTDM信号送信器1によって生成されたOTDM信号u(t)と出力パルス波形v(t)の関係は以下のようにして求められる。u(t)が位相変調器27によって位相変調を受けた後の時間信号u(t)は式(2)と同様
【0044】
【数11】
JP0004495415B2_000012t.gifで与えられる。このパルスが位相変調器27の後に置かれた分散要素26を通過した後のパルス波形u(t)はu(t)を用いて、
【0045】
【数12】
JP0004495415B2_000013t.gifと表される。式(25)より式(26)は入力パルス波形u(t)を用いて
【0046】
【数13】
JP0004495415B2_000014t.gifと表される。ここで分散要素26の分散量DをD=1/Kに選ぶと、式(27)は
【0047】
【数14】
JP0004495415B2_000015t.gifと書くことができる。ただしU(ω) [ω=t/D] はu(t)のフーリエ変換(式(1))である。上式における残留チャープexp(-iKt/2)は、位相変調器27によって上と同じ大きさの位相変調exp(iKt/2)を再度印加することで取り除くことができる。パルス列は再び位相変調器27に入射するため予め光遅延素子30によって適当な時間遅延を与えられる。遅延量はパルスのピークが位相変調器27の位相変調特性のタイミングと同期するように設定する。このようにして残留チャープが完全に補償された光パルス
【0048】
【数15】
JP0004495415B2_000016t.gifは、光サーキュレータ23のポート23b、23cおよび光出力端子10を介して外部に出力される。
このとき出力端子28における信号の周波数スペクトルV(ω)は上式より、
【0049】
【数16】
JP0004495415B2_000017t.gifとなる。
【0050】
つぎに、光逆フーリエ変換装置20’の動作について説明する。
光ファイバ伝送路3から伝送されたWDM信号のスペクトルをQ(ω)、光逆フーリエ変換装置20’の出力の時間波形をr(t)、周波数スペクトルをR(ω)とする。Q(ω)は光ファイバ伝送路3を伝送前の信号スペクトルV(ω)と
【0051】
【数17】
JP0004495415B2_000018t.gifで関係づけられる。ここでφ(ω)は光ファイバ伝送路3の線形効果によって伝送信号のスペクトルに生じる位相変化である。
分散要素D’=-D、チャ-プ率K’=-Kとして、式(5)から、
【0052】
【数18】
JP0004495415B2_000019t.gifと表される。さらに、式(6)を代入して、
【0053】
【数19】
JP0004495415B2_000020t.gifを得る。したがって光逆フーリエ変換された信号の時間波形w(t)は、w(t)∝u(t)となり、位相変化φ(-t/D)を除いて光ファイバ伝送路3による時間歪みを完全に除去することができる。
【0054】
4.有効性
図8~10に、本発明の実施の形態に基づくOTDM伝送方式の有効性を確認するために行なった数値計算の結果の説明図を示す。
ここでは、一例として、光ファイバ伝送路3には二次分散-1.2 ps/nm/km (β=1.53 ps/km)、三次分散0.07 ps/nm/km、非線形係数n=2.3x10-20/W, 実効コア断面積Aeff=50 μm、損失0.2 dB/kmを有する光ファイバを用いている。また該伝送路において光増幅器を50 km間隔に挿入している。伝送前の入力信号はガウス型パルスu(t)=Aexp(-t/2T), T=TFWHM/1.665で構成される、伝送速度40 Gbit/sの128ビット擬似ランダム系列のOTDM信号である。各ビットの信号ピークパワーは0.4 mW、パルス幅はTFWHM=12.5 psである。光フーリエ変換装置2および光逆フーリエ変換装置2’における位相変調器17は理想的な二乗位相変調特性を有するとし、駆動周波数はOTDMのクロック周波数40 GHzの1/64倍(すなわち625 MHz)としている。すなわち64ビットを一ブロックとして一括して光フーリエ変換している。また光フーリエ変換装置2における分散要素17の分散量はD=395 psとしている。このときビット間隔Δt=25 psの64ビットパルス列はチャネル間隔Δf=10 GHz、帯域幅640 GHz (5.1 nm)のスペクトル列に変換されている。このように時間ブロック長Nを大きくとり変調幅を広げ、また光フーリエ変換に用いる分散量Dを大きくすることで、波形歪みをできるだけ小さく抑えることができる。なおこのとき光逆フーリエ変換装置2’における分散要素の分散量はD’=-D=-395 psである。さらに、各時間ブロックの両端にはガードとしてそれぞれ4ビット分の空白ビットを設けている。
【0055】
図8は、光フーリエ変換装置2の入出力におけるOTDM信号の時間波形とその周波数スペクトルを示している。図8(a)および(b)はそれぞれOTDM信号送信器1から発生しフーリエ変換装置2に入力されるOTDM信号の時間波形u(t)ならびに周波数スペクトルU(ω)を、図8(c)および(d)はそれぞれフーリエ変換装置2によって光フーリエ変換されたOTDM信号の時間波形v(t)ならびに周波数スペクトルV(ω)を示している。図8(a)および(c)において点線は位相変調器27の位相変調の周期を表している。
【0056】
例えば、図8(a)において-1600~0psの領域にあるパルス列、ならびに0~1600psの領域にあるパルス列がそれぞれ64ビットのブロックに対応している。これらの図から、OTDM信号が光フーリエ変換装置2によって64ビットを時間ブロック単位として64チャネルのWDM信号に変換され、同時にもとのOTDM信号のスペクトルが光フーリエ変換後時間軸上に再生されていることがわかる。なお、図8(a)における各パルスの振幅のわずかな揺らぎは、デューティー比が50 %と高いため隣接ビットのパルスの裾野がオーバーラップしていることによるものである。また、図8(c)の2つの時間波形は図8(a)における各ブロックの時間波形のスペクトル形状に対応しているので、図8(c)において見られる2つの波形の差異は、図8(a)における各ブロックのビットパターンの依存性を反映している。図8(d)における周波数スペクトルV(ω)のパターンは2つの振幅の集まりであるが、これらは同図(a)における2つのブロックの時間波形をそのまま重畳して得られたものである。この周波数スペクトルは実際には時間的に変動する周波数スペクトルとして観測される。
【0057】
図9(a)および(b)はそれぞれ250 kmの光ファイバ伝送路3を伝搬した後の伝送信号の時間波形ならびに周波数スペクトルを、図9(c)および(d)はそれぞれ光逆フーリエ変換された伝送信号の時間波形ならびに周波数スペクトルを示している。
WDM信号に変換され異なったスペクトルを有する1つの時間波形がファイバ中を伝搬することによりパルス内群遅延が生じるために、時間軸上で分離される。これが図9(a)に見られる信号波形歪みとして現れる。伝送前の2つの時間波形(図8(c))は光ファイバ伝送路3の分散による波形歪みの結果250 km伝搬後互いに干渉し始めるのに対し、伝送前のスペクトル形状(図8(d))は250 km伝搬後も保存されている。その結果、光逆フーリエ変換装置2’によって伝送信号をOTDM信号に逆変換することで、入力におけるOTDM信号パルス列が時間軸上で正確に再生できていることがわかる。その様子を図9(c)に示す。なお図9(c)において、再生されたパルス列がもとの入力パルス列(図8(a))よりも大きな振幅揺らぎを有しているのは、例えば、光ファイバ伝送路3のもつ非線形性(四光波混合)によってWDMスペクトル形状が変化することに起因する。実際に、伝送前のWDMスペクトル(図8(d))と伝送後のWDMスペクトル(図9(b))を比較すると、例えば、光ファイバ伝送路3において発生するWDMチャネル間の非線形クロストークにより、スペクトル形状がわずかに変化していることがわかる。
【0058】
図10は、図1中の光ファイバ伝送路3を伝搬する伝送信号のQ値を計算した結果ならびに該光ファイバ伝送路を500km伝搬し光フーリエ変換装置2’を通過した後の信号波形のアイパターンを示す図である。図10(a)は光ファイバ伝送路3中を伝搬した伝送信号に受信端で1回だけ光逆フーリエ変換を施した後の信号波形に対するQ値を計算したものである。ただし、受信距離は50kmごとに増やしている。Q値とは受信信号のアイパターンの信号対雑音(S/N)比を表し、伝送システムのビット誤り率と一対一の関係にあるためシステムの性能評価の指標として用いられる。一方同図(b)は該光ファイバ伝送路を500km伝送後、1回だけ光逆フーリエ変換を施した信号の時間波形に対するアイパターンを示している。同図(a)で実線は該光ファイバ伝送路中に挿入された光増幅器から発生する自然放出雑音を考慮し計算を行なった結果を、破線は自然放出雑音を加えずに計算を行なった結果をそれぞれ表している。前者で光増幅器の雑音指数はNF=5 dBとしている。両者を比較して、500kmまでの距離ではQ値の劣化は光増幅器の自然放出雑音のみによるものであり、該伝送路の線形効果はQ値の劣化要因とはなっていないことがわかる。これは本伝送方式によって実質的に分散フリーな無歪み伝送が実現できていることを明確に示している。なお図9(a)の結果では既に250km伝搬後の時点で波形歪みが隣りの時間ブロックに及んでいたが、図10で500km伝搬後も高いQ値が維持されているのは、異なるWDMチャネルどうしの干渉が光逆フーリエ変換に実質的に影響を及ぼさないからである。550km以降伝送品質が急激に劣化するのは、群速度が最も大きい両端のWDMチャネルが時間軸上でフーリエ変換の有効時間幅に相当する時間だけ移動し、その結果隣りのブロックの時間スロットに誤って光逆フーリエ変換されてしまうことによる。
【0059】
以上の結果から、本実施形態では分散補償ファイバによる伝送ファイバの線形効果の補償を介さずに40 Gbit/s OTDM信号パルス列を500kmにわたって伝搬できている。光フーリエ変換を用いないときの伝送距離は50kmに制限される(該伝送ファイバの分散距離すなわちパルス幅が√2倍となる距離z=T/βは37kmである)。本実施例では伝送距離は二次分散の累積による波形歪みで制限されていたので、受信端で分散補償ファイバにより伝送ファイバの累積二次分散を補償することで伝送距離を大幅に伸ばすことができる。ただしこの場合、増幅器雑音によるS/Nの劣化と非線形効果によるスペクトルの形状歪みによって伝送距離が制限される。
【0060】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、光フーリエ変換によってOTDM信号パルス列の時間波形をWDM信号の周波数スペクトル形状に変換しておくことで、伝送ファイバの線形効果により伝送信号に波形歪みが生じても光逆フーリエ変換によって伝送信号の周波数スペクトルからもとのOTDM信号を常に再生することができる。したがって本OTDM伝送方式を用いることで、光ファイバ伝送路の伝搬特性に依存せず信号の正確な伝送が可能となり、超高速OTDM伝送の実現にあたって大きな障害となっていた線形波形歪みによる信号劣化を完全に克服することができる。また、本発明のOTDM伝送方式を用いることで、光伝送システムのさらなる高速化、長距離化、低価格化を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】OTDM伝送方式の実施の形態を示す模式図である。
【図2】図1中のOTDM信号送信器1および光フーリエ変換装置2の構成の一例を示す模式図である。
【図3】図1中のOTDM信号送信器1および光フーリエ変換装置2の構成の他の一例を示す模式図である。
【図4】図1中の光逆フーリエ変換装置2’の第1の実施の形態の構成を示す模式図である。
【図5】図4中のクロック信号再生回路の構成を示す模式図である。
【図6】図1中の光伝送路のA~Dの各部分における光パルスの時間波形および周波数スペクトルの概略を示す図である。
【図7】光フーリエ変換をより正確に実行するためにOTDM信号系列の各時間ブロックの両端に設ける空白ビット(ガード)の設定例を示す図である。
【図8】図1中の光フーリエ変換装置2の入出力におけるOTDM信号の時間波形とその周波数スペクトルを示す図である。
【図9】図1中の光ファイバ伝送路3を250km伝搬した後の伝送信号波形および光フーリエ変換装置2’を通過後の信号波形を示す図である。
【図10】図1中の光ファイバ伝送路3を伝搬する伝送信号のQ値を計算した結果ならびに該光ファイバ伝送路を500km伝搬し光フーリエ変換装置2’を通過した後の信号波形のアイパターンを示す図である。
【図11】光フーリエ変換装置の入出力における時間波形とその周波数スペクトルの説明図である。
【図12】図1中の光逆フーリエ変換装置の第2の実施の形態の構成図である。
【符号の説明】
1 OTDM信号送信器
2、20 光フーリエ変換装置
2’、20’ 光逆フーリエ変換装置
3 光ファイバ伝送路
4 OTDM信号受信器
11 光パルス光源
12 クロック信号源
13 光変調器
14 OTDM多重化装置
21 入力端子
22 光カップラ
23、23’ 光サーキュレータ
24 クロック信号再生回路
25 電気増幅器
26 分散要素
27 位相変調器
28 出力端子
29 逓倍器もしくは分周器
30 光遅延素子
31 波長フィルタ
32 光検出器
33 分周器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
10
【図12】
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