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明細書 :リンカー化合物及びリガンド、並びにそれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3970811号 (P3970811)
公開番号 特開2004-157108 (P2004-157108A)
登録日 平成19年6月15日(2007.6.15)
発行日 平成19年9月5日(2007.9.5)
公開日 平成16年6月3日(2004.6.3)
発明の名称または考案の名称 リンカー化合物及びリガンド、並びにそれらの製造方法
国際特許分類 C07K   5/027       (2006.01)
C07K   9/00        (2006.01)
C07K   1/06        (2006.01)
G01N  33/543       (2006.01)
C07D 339/04        (2006.01)
C07H  15/04        (2006.01)
FI C07K 5/027
C07K 9/00
C07K 1/06
G01N 33/543 595
C07D 339/04
C07H 15/04 E
請求項の数または発明の数 10
全頁数 32
出願番号 特願2003-190568 (P2003-190568)
出願日 平成15年7月2日(2003.7.2)
優先権出願番号 2002263412
優先日 平成14年9月9日(2002.9.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年7月15日(2005.7.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】隅田 泰生
【氏名】荒野 明男
【氏名】楠本 正一
【氏名】マイケル ソベール
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
【識別番号】100113701、【弁理士】、【氏名又は名称】木島 隆一
【識別番号】100116241、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 一郎
【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
審査官 【審査官】内藤 伸一
参考文献・文献 特開2002-80488(JP,A)
特開平8-193948(JP,A)
日本化学会第79春季年会(2001)講演予稿集II、p1042、4G304欄
日本化学会第79春季年会(2001)講演予稿集II、p1042、4G305欄
日本化学会第81春季年会(2002)講演予稿集II、p949、1F6-33欄
調査した分野 C07K 5/027
C07D 339/04
C07H 15/04
C07K 1/06
C07K 9/00
G01N 33/543
CA(STN)
REGISTRY(STN)
BIOSIS(DIALOG)
WPI(DIALOG)
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】
JP0003970811B2_000021t.gif
(式中、nは1以上6以下の整数)にて表される構造を備え、
上記Xが、末端に芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素-窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、3鎖又は4鎖含んでなる多分岐構造部位である構造を備えていることを特徴とするリンカー化合物。
【請求項2】
上記Xは、一般式(2)
【化2】
JP0003970811B2_000022t.gif
(式中、m1,m2,m3は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とする請求項1記載のリンカー化合物。
【請求項3】
上記Xは、一般式(3)
【化3】
JP0003970811B2_000023t.gif
(式中、m4,m5,m6,m7,p1,p2は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とする請求項1記載のリンカー化合物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子を導入してなることを特徴とするリガンド。
【請求項5】
一般式(4)
【化4】
JP0003970811B2_000024t.gif
(式中、m1,m2,m3,nは、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とするリガンド。
【請求項6】
一般式(5)
【化5】
JP0003970811B2_000025t.gif
(式中、m4,m5,m6,m7,n,p1,p2は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることを特徴とするリガンド。
【請求項7】
チオクト酸と、芳香族アミノ基末端が保護基によって保護された分岐鎖を3鎖又は4鎖有するアミン化合物との縮合反応を行うステップと、
上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護するステップとを含んでいることを特徴とするリンカー化合物の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリンカー化合物と、糖分子とを用いて、還元アミノ化反応を行うことを特徴とするリガンドの製造方法。
【請求項9】
糖分子を支持体の表面に配列させる糖分子の導入方法であって、
請求項4ないし6の何れか1項に記載のリガンドを含む溶液と表面に金属を有する支持体とを接触させることを特徴とする糖分子の導入方法。
【請求項10】
請求項4ないし6の何れか1項に記載のリガンドを、表面に金属を有する支持体上に、固定化させてなることを特徴とするリガンド担持体。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面プラズモン共鳴のセンサチップ等のタンパク質分析用の支持体にオリゴ糖等の糖を固定することが可能なリンカー化合物、及び該リンカー化合物に糖を導入してなるリガンド、リガンド担持体、並びにこれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内に存在する種々の糖は、生物の活動や生命を維持するためのメカニズムの中で重要な役割を果たしている。このような糖の機能を精密に解明するためには、糖の複雑な構造に基づいてそれらの機能を解析する必要がある。糖の機能解析には、構造が解明されているオリゴ糖を用いて、糖の構造を一部ずつ再現し、これによって糖全体の構造と機能との関係を明らかにする手法が用いられる。
【0003】
上記糖の機能解析の手法としては、例えば、表面プラズモン共鳴(以下、SPRと記載する)が知られている。すなわち、糖の一部を模擬したオリゴ糖を含んでなるリガンドをセンサチップ表面上に導入し、このリガンドが導入されてなるセンサチップを用いて、オリゴ糖と特異的に相互作用するタンパク質等の物質を特定する。これにより、オリゴ糖の構造に基づく生物活性の正しい評価を行うことができる。
【0004】
ところが、オリゴ糖は、1分子だけでは活性がそれほど高くないため、オリゴ糖の生物活性を評価する場合には、オリゴ糖をセンサチップ上に集合化させることが必要となる。つまり、集合化したオリゴ糖を用いて、タンパク質との相互作用を解析することにより、オリゴ糖の生物活性の評価を行うことが可能になる。
【0005】
そこで、本発明者らは、これまでに、センサチップ表面に固定可能な部位及びオリゴ糖を導入可能な部位を分子内に有するリンカー化合物を得、このリンカー化合物に1単位又は2単位のオリゴ糖を導入してなるリガンドを得ている。そして、このリガンドを用いることによって、センサチップ上に、オリゴ糖を集合化して導入することができることを見出している(例えば、非特許文献1等を参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2003-836969号公報(2003年3月19日公開)
【0007】
【非特許文献1】
「日本化学会第79回春季年会-講演予稿集II」、社団法人日本化学会、2001年3月15日、p.1042
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1に記載のリガンドでは、オリゴ糖の糖鎖をセンサチップ表面に2次元的に配列させることは可能であるが、その配列を再現性よく得ることが困難であるという技術的課題が残されている。
【0009】
すなわち、上記のように、センサチップ表面に複数分子のオリゴ糖を集合化させ、オリゴ糖の生物活性を解析する場合には、オリゴ糖の糖鎖の集合化状態を同一にし、オリゴ糖とタンパク質との間の相互作用を再現性よく観測することが求められる。特に、オリゴ糖の生物活性を観測するためには、センサチップ表面に3単位~4単位のオリゴ糖を集合化し、これらのセンサチップ上にて再現性よく2次元的に配列させることによって、オリゴ糖の生物活性を再現性よく評価することが重要になる。
【0010】
ところが、上記非特許文献1に記載のリガンドでは、1つのリガンドが有するオリゴ糖は1単位又は2単位となっている。言い換えれば、上記のリガンドは、1つのリンカー化合物に対して、1つ又は2つのオリゴ糖が結合してなるものである。そのため、オリゴ糖の生物活性を観測するためには、上記リガンドをセンサチップ表面に配列させる際に、リガンド濃度を高めてリガンド同士を集合化させることによって、センサチップ表面上に3単位以上のオリゴ糖を集合化させる必要がある。
【0011】
このような手法によってオリゴ糖を集合化させた場合、オリゴ糖の糖鎖間を所定の間隔にて制御してオリゴ糖の配列を再現性よく得ることは困難である。それゆえ、上記従来のリガンドでは、オリゴ糖の生物活性を再現性よく観測することができず、糖の構造の解明や、オリゴ糖の生物活性の評価を行う場合に困難を伴う可能性がある。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、センサチップ表面上にオリゴ糖を再現性よく2次元的に配列し得る新規なリンカー化合物、及び、該リンカー化合物に糖分子が導入されてなる新規なリガンド、リガンド担持体、並びにこれらの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、3単位又は4単位の糖分子を導入可能な部位を有し、かつ、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサチップやアフィニティクロマトグラフィの担体等のタンパク質分析用の支持体に結合可能な部位を有する新規なリンカー化合物を用いることによって、上記支持体に3単位又は4単位の糖分子を再現性よく2次元的に配列させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明のリンカー化合物は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0015】
【化6】
JP0003970811B2_000002t.gif【0016】
(式中、nは1以上6以下の整数)にて表される構造を備え、上記Xは、末端に芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素-窒素結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を、3鎖又は4鎖含んでなる多分岐構造部位である構造を備えていることを特徴としている。
【0017】
上記炭化水素誘導鎖とは、炭素及び水素からなる炭化水素鎖にて、一部の炭素や水素が、他の原子や置換基に置き換わっていてもよいものを指すものとする。すなわち、上記炭化水素誘導鎖とは、末端に芳香族アミノ基を有し、炭化水素鎖の主鎖構造である炭素-炭素結合(C-C結合)の一部が、炭素-窒素結合(C-N結合)、炭素-酸素結合(C-O結合)、アミド結合(CO-NH結合)に置き換わっていてもよいものを指す。
【0018】
上記の構成によれば、上記リンカー化合物は、糖分子を簡便に導入できる部位として、芳香族アミノ基を有している。上記芳香族アミノ基は、各炭化水素誘導鎖に含まれているので、上記リンカー化合物には、3単位又は4単位の糖分子を導入することができる。また、上記タンパク質分析用の支持体に固定可能な部位として、S-S結合を有している。
【0019】
従って、上記リンカー化合物を介して、上記支持体に3単位又は4単位の糖分子を集合化させて導入することができる。また、3単位又は4単位の糖分子が1つのリンカー化合物に導入されているので、上記支持体表面に、3単位又は4単位の糖分子を再現性よく配列させることができる。これにより、上記支持体表面上にて、糖分子とタンパク質との相互作用の観測が可能になるとともに、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0020】
上記一般式(1)にて表される構造を備えているリンカー化合物において、上記Xは、一般式(2)
【0021】
【化7】
JP0003970811B2_000003t.gif【0022】
(式中、m1,m2,m3は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。
【0023】
上記リンカー化合物のXは、上記炭化水素誘導鎖を3鎖有しているので、このリンカー化合物を介して、上記支持体上に3単位の糖分子を導入することが可能である。そのため、上記支持体表面にて3単位の糖分子間の間隔を制御して、糖分子の配列を再現性よく得ることができるので、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0024】
また、上記一般式(1)にて表される構造を備えているリンカー化合物において、上記Xは、一般式(3)
【0025】
【化8】
JP0003970811B2_000004t.gif【0026】
(式中、m4,m5,m6,m7,p1,p2は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。
【0027】
上記リンカー化合物のXは、上記炭化水素誘導鎖を4鎖有しているので、このリンカー化合物を介して、上記支持体上に4単位の糖分子の導入が可能である。そのため、上記支持体表面にて4単位の糖分子間の間隔を制御して、糖分子の配列を再現性よく得ることができるので、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0028】
また、本発明のリガンドは、上記の課題を解決するために、上記したいずれかのリンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子を導入してなるものであることを特徴としている。
【0029】
上記リガンドは、具体的には、一般式(4)
【0030】
【化9】
JP0003970811B2_000005t.gif【0031】
(式中、m1,m2,m3,nは、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。
【0032】
あるいは、上記リガンドは、一般式(5)
【0033】
【化10】
JP0003970811B2_000006t.gif【0034】
(式中、m4,m5,m6,m7,n,p1,p2は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数)にて表される構造を備えていることが好ましい。
【0035】
上記リガンドのいずれかを用いることにより、上記タンパク質分析用の支持体表面に3単位(一般式(4)に示される構造を備えているリガンドを用いた場合)又は4単位(一般式(5)に示される構造を備えているリガンドを用いた場合)の糖分子を集合化して固定化することができる。このように、一つのリガンドが3単位又は4単位の糖分子を有しているので、上記リガンド同士を上記支持体表面に集合化することなく、一つのリガンドを用いることによって、3単位又は4単位の糖分子を集合化させることができるので、糖分子の生物活性を再現性よく測定することが可能になる。また、上記支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列することができる。従って、本発明のリガンドが固定されてなるタンパク質分析用の支持体を用いることによって、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0036】
また、本発明のリンカー化合物の製造方法は、上記の課題を解決するために、チオクト酸と、芳香族アミノ基末端が保護基によって保護された分岐鎖を3鎖又は4鎖有するアミン化合物との縮合反応を行うステップと、上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護するステップとを含んでいることを特徴としている。
【0037】
上記の方法によれば、上記タンパク質分析用の支持体に固定可能な部位としてのS-S結合と、糖分子を簡便に導入できる部位としての芳香族アミノ基とを有している、本発明のリンカー化合物を得ることができる。
【0038】
また、本発明のリガンドの製造方法は、上記の課題を解決するために、上記のリンカー化合物と、糖分子とを用いて、還元アミノ化反応を行うことを特徴としている。
【0039】
上記の方法によれば、還元アミノ化反応により、リンカー化合物に簡便に糖分子を導入して、本発明のリガンドを得ることができる。
【0040】
また、本発明の糖分子の導入方法は、上記の課題を解決するために、上記リガンドを含む溶液と、支持体表面の金属とを接触させることを特徴としている。
【0041】
上記の方法によれば、上記リガンド(リガンドに含まれるリンカー化合物)のS-S結合を、上記支持体表面の金属との結合に変換し、支持体表面に上記リガンドを固定することができる。従って、リガンドを含む溶液と支持体とを接触させるという簡便な方法で、リンカー化合物に結合した糖分子を支持体の表面に配列させることができる。
【0042】
また、本発明のリガンド担持体は、上記の課題を解決するために、上記リガンドを、表面に金属を有する支持体上に、固定化させてなることを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、硫黄-金属結合を介して、支持体表面にリガンドを強固に固定することができるので、支持体表面に複数の糖分子を再現性よく配列させてなるリガンド担持体を提供することができる。従って、上記リガンド担持体を用いれば、リガンドに含まれる糖分子と、該糖分子と相互作用するタンパク質等の物質との相互作用を再現性よく観測することができるので、糖分子の生物活性の定量的な評価が可能になる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0045】
本発明のリンカー化合物は、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサチップやアフィニティクロマトグラフィの担体等のタンパク質分析用の支持体とオリゴ糖等の糖(以下、糖分子と記載する)との間に介在して、上記支持体上に糖分子を固定化するために用いられる。そのため、上記リンカー化合物は、上記支持体に固定可能な部位、及び、糖分子を簡便に導入できる部位を分子内に有している必要がある。
【0046】
また、上記SPRやアフィニティクロマトグラフィでは、糖分子と特異的に相互作用するタンパク質等の物質を特定することや分離することを目的としている。そのため、上記リンカー化合物は、タンパク質等の物質との非特異的な相互作用を有していないものでなければならない。
【0047】
そこで、本発明のリンカー化合物は、上記支持体に固定可能な部位として、前記一般式(1)にて示すように、ジスルフィド結合(S-S結合)を有している。このジスルフィド結合の硫黄(S)は、例えば、タンパク質分析用の支持体表面にコートされた金(Au)と、硫黄-金結合(S-Au結合)を形成し、上記支持体に強固に結合することができる。
【0048】
また、上記リンカー化合物は、タンパク質分析用の支持体表面に2次元的に複数の糖分子を配列するとともに、個々の糖分子の糖鎖間の距離を制御するために、糖分子を簡便に導入できる部位として、複数のアミノ基を含んでなる多分岐部位を有している。すなわち、本発明のリンカー化合物の多分岐部位は、前記一般式(1)のXで表される構造を備えている部位であり、該Xは、前記したように、末端に芳香族アミノ基を有するとともに主鎖に炭素-窒素結合やアミド結合を有していてもよい炭化水素誘導鎖を3鎖又は4鎖含んでいる構造を備えている。なお、上記一般式(1)において、nは、1以上6以下の整数であれば限定されない。
【0049】
上記芳香族アミノ基のアミノ基(-NH2基)は、オリゴ糖等の糖分子との還元アミノ化反応により、上記リンカー化合物に糖分子を導入するための反応基となる。つまり、糖分子中の平衡によって生じるアルデヒド基(-CHO基)又はケトン基(-CRO基、Rは炭化水素基)と、上記リンカー化合物が有するアミノ基とが反応する。そして、この反応によって形成されたシッフ塩基を引き続き還元することによって、芳香族アミノ基に容易に糖分子を導入することができる。
【0050】
従って、前記一般式(1)のXは、上記のような炭化水素誘導鎖を3鎖又は4鎖含むことにより、糖分子を導入可能な芳香族アミノ基を複数併せ持った多分岐型部位である構造を備えている。この多分岐型部位に含まれる各芳香族アミノ基に、オリゴ糖等の糖分子が導入されるので、前記一般式(1)にて表される構造を備えているリンカー化合物を介して、タンパク質分析用の支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列することが可能になる。
【0051】
具体的には、上記Xは、前記一般式(2)にて示すように、3鎖の炭化水素誘導鎖が、芳香族アミノ基とは反対側の末端にて、1つの炭素(C)に結合することによって分岐構造を形成している。そして、この炭素に-NH-が結合している。これにより、上記Xは、3鎖の炭化水素誘導鎖を備えた多分岐型部位となる。なお、上記一般式(2)において、m1,m2,m3は、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。このうち、上記多分岐部位を有する化合物の製造時の簡便さの点から、上記m1~m3は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に2であることが好ましい。
【0052】
あるいは、上記Xは、前記一般式(3)にて示すように、2鎖の炭化水素誘導鎖が、芳香族アミノ基とは反対側の末端にて、1つの窒素(N)に結合した2分岐構造を2つ有している構造を備えていてもよい。この場合、2つの2分岐構造の上記窒素が、-CO-CH2-を介して、1つの窒素(N)に結合することによって分岐構造を形成する。これにより、上記Xは、4鎖の炭化水素誘導鎖を備えた多分岐型部位である構造を備えることになる。なお、上記一般式(3)において、m4,m5,m6,m7は、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。このうち、上記多分岐部位を有する化合物の製造時の簡便さの点から、上記m4~m7は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に2であることが好ましい。またp1,p2は、1以上6以下の整数であれば特に限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。このうち、製造の簡便性の点から、p1,p2は、互いに同じ整数であることが好ましく、特に1であることが好ましい。
【0053】
このように、上記Xは、炭素や窒素等の原子にて、上記炭化水素誘導鎖を複数結合して分岐構造を形成している多分岐型部位である構造を備えている。なお、上記Xに含まれる複数の炭化水素誘導鎖は、すべて同じであることが好ましいが、末端に芳香族アミノ基を有していれば、互いに異なる構造であってもよい。
【0054】
以上のように、一般式(1)にて表される構造を備えているリンカー化合物は、タンパク質分析用の支持体に結合可能なS-S結合と、オリゴ糖鎖等の糖分子に結合可能なアミノ基とを有している。従って、例えばS-Au結合により上記リンカー化合物が、タンパク質分析用の支持体上に固定されるので、上記リンカー化合物を介して、上記支持体上に糖分子を強固にかつ簡単に結合させることができる。
【0055】
また、上記リンカー化合物は、多分岐型部位を有し、該多分岐型部位の各末端に芳香族アミノ基を有している。そのため、上記リンカー化合物に糖分子を導入してなるリガンド(後述)を用いることにより、上記支持体表面に効率よく糖分子を集合化させることができる。また、多分岐型部位を有しているので、リンカー化合物を含んでなるリガンドを支持体表面に結合させた場合に、2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列させることができる。
【0056】
さらに、上記リンカー化合物は、タンパク質との非特異的な相互作用の影響をほぼ無視することができる。それゆえ、本発明のリンカー化合物を用いることによって、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0057】
上記リンカー化合物は、以下に示す製造方法によって製造される。すなわち、上記リンカー化合物は、チオクト酸と、芳香族アミノ基末端が保護基によって保護された分岐鎖を3鎖又は4鎖有する多分岐構造を含んでなるアミン化合物との縮合反応を行い、上記芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護することによって製造される。
【0058】
上記チオクト酸は、下記一般式(6)
【0059】
【化11】
JP0003970811B2_000007t.gif【0060】
にて表される構造を備えている。
【0061】
また、上記アミン化合物は、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有する分岐鎖を含んでいれば特に限定されるものではなく、上記したリンカー化合物の多分岐部位に相当する構造を含んでいればよい。
【0062】
従って、上記分岐鎖は、上記した炭化水素誘導鎖に含まれる芳香族アミノ基の代わりに、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有する以外は、上記炭化水素誘導鎖に含まれる構造を有していればよい。つまり、上記分岐鎖は、炭素及び水素からなる炭化水素鎖にて、一部の炭素や水素が他の原子や置換基に置き換わっていてもよいものである。より具体的には、上記分岐鎖は、保護基によって保護された芳香族アミノ基末端を有するとともに、炭化水素鎖の主鎖構造である炭素-炭素結合(C-C結合)の一部が炭素-窒素結合(C-N結合)、また炭素-酸素結合(C-O結合)に置き換わっていてもよいものである。
また、上記保護基とは、芳香族アミノ基のアミノ基が上記縮合反応によって反応しないように導入される置換基である。このような保護基は、二級アミノ基の保護基を脱保護する際に影響を受けないものであれば、特に限定されるものではない。上記保護基としては、例えば、t-ブトキシカルボニル基(-COOC(CH33基;Boc基と記載する)、ベンジル基、アリルカルバメート基(-COOCH2CH=CH2、Alloc基)等を挙げることができる。
【0063】
上記アミン化合物としては、例えば、下記一般式(7)や下記一般式(8)
【0064】
【化12】
JP0003970811B2_000008t.gif【0065】
にて表される構造を備えている化合物を挙げることができる。なお、上記一般式(7)、(8)中のn,m1~m7,p1,p2は、それぞれ独立して、1以上6以下の整数である。これらのアミン化合物の合成方法については、後の実施例にて詳述する。
【0066】
上記チオクト酸とアミン化合物との縮合反応により、チオクト酸のカルボキシル基(-COOH基)と、アミン化合物のアミノ基(-NH2基)とが縮合して、アミド結合が形成される。その後、芳香族アミノ基末端の保護基を脱保護して、保護基を取り外し、芳香族アミノ基にすることによって、上記したリンカー化合物を得ることができる。
【0067】
次に、上記リンカー化合物の芳香族アミノ基に、糖分子が導入されてなるリガンドについて説明する。本発明のリガンドにおいては、リンカー化合物のアミノ基が、糖分子中の平衡によって生じるアルデヒド基又はケトン基と反応し、この反応によって形成されたシッフ塩基を引き続き還元することによって、芳香族アミノ基に糖分子を導入することができる。すなわち、この還元アミノ化反応により、上記リンカー化合物と糖分子とが結合する。
【0068】
本発明のリガンドに含まれる糖分子は、還元末端を有する還元糖であれば、特に限定されない。例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース等の単糖類、結合している糖の数が2糖~10糖であるマルトース、ラクトース、後述する硫酸化オリゴ糖等のオリゴ糖類、単糖類やオリゴ糖類が組み合わされて糖数が11以上であるヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸等の多糖類を挙げることができる。
【0069】
また、上記オリゴ糖類として、抗血液凝固活性を有することで知られている硫酸化多糖ヘパリン中の下記一般式(9)
【0070】
【化13】
JP0003970811B2_000009t.gif【0071】
にて表される特定の部分二糖構造(GlcNS6S-IdoA2S)を有する硫酸化オリゴ糖、該硫酸化オリゴ糖の還元末端である水酸基にグルコースを導入してなる下記一般式(10)
【0072】
【化14】
JP0003970811B2_000010t.gif【0073】
にて表される構造を備えているオリゴ糖を挙げることができる。
【0074】
なお、上記オリゴ糖類や多糖類は、同一の単糖分子からなる単一オリゴ糖や単一多糖であってもよく、種々の単糖分子やその誘導体からなる複合糖質や、種々の単糖分子やその誘導体、オリゴ糖類を含んでなる複合多糖類であってもよい。また、上記糖分子は、いずれも、自然界から単離・精製して得られる種々の天然の糖であってもよく、人工的に合成された糖であってもよい。
【0075】
具体的には、本発明のリガンドは、前記一般式(4)にて表される構造を備えているものである。この一般式(4)にて表される構造を備えているリガンドは、前記一般式(1)にて表され、Xが前記一般式(2)にて表される構造を備えているリンカー化合物に、上記一般式(10)にて表される構造を備えている糖分子を導入してなるものである。一般式(2)にて表されるXは、3鎖の炭化水素誘導鎖を有している構造を備えているので、一般式(4)にて表される構造を備えているリガンドは、上記リンカー化合物に3単位の糖分子が結合したものである。なお、上記一般式(4)において、m1~m3は、一般式(2)中のm1~m3と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。また、nは1以上6以下の整数であれば特に限定さない。
【0076】
また、本発明の他のリガンドは、前記一般式(5)にて表される構造を備えているものである。この一般式(5)にて表される構造を備えているリガンドは、前記一般式(1)にて表され、Xが前記一般式(3)にて表される構造を備えているリンカー化合物に、上記一般式(10)にて表される構造を備えている糖分子を導入してなるものである。一般式(3)にて表されるXは、4鎖の炭化水素誘導鎖を有している構造を備えているので、一般式(5)にて表される構造を備えているリガンドは、上記リンカー化合物に4単位の糖分子が結合したものである。なお、上記一般式(5)において、m4~m7は、一般式(3)中のm4~m7と同様に、1以上6以下の整数であれば限定されず、互いに異なる整数であってもよく、一部あるいは全てが同じ整数であってもよい。また、p1,p2は、一般式(3)中のp1,p2と同様に、1以上6以下の整数であれば特に限定されず、互いに異なる整数であってもよく、互いに同じ整数であってもよい。また、nは1以上6以下の整数であれば特に限定さない。
【0077】
上記のリガンドは、いずれもリンカー化合物と糖分子とを含んでなっているので、リンカー化合物内のS-S結合にて、タンパク質分析用の支持体表面の金属と、硫黄(S)-金属結合、例えば硫黄-金(S-Au)結合により結合することができる。これにより、このS-Au結合を介して、上記支持体表面に3単位又は4単位の糖分子を集合化して固定化されてなるリガンド担持体を提供することができる。それゆえ、上記リガンドを用いることによって、例えばタンパク質分析用の支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列してリガンド担持体を得、該リガンド担持体を用いることによって、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。なお、上記支持体表面の金属としては、上記Auの他、Cu、Ag、Pt等の金属が用いることができるが、特にAuが好ましく用いられる。
【0078】
このように、本発明のリガンドを、S-金属結合を介して支持体の表面に固定化させてなるリガンド担持体も本発明に含まれる。このリガンド担持体はタンパク質分析の用途に限定されず、糖分子との相互作用を調べるために、タンパク質以外の物質の分析用として用いることもできる。
【0079】
上記リガンド担持体は、該リガンドを含むリガンド溶液と表面に金属膜を有する支持体とを接触させることにより、リガンドのS-S結合の各S原子が、支持体表面の金属とS-金属結合によって結合して、支持体表面に上記リガンドが導入される。具体的には、上記リガンド溶液に、タンパク質分析用の支持体を所定時間浸漬する、あるいは、上記支持体にリガンド溶液を注入する(支持体表面にリガンド溶液を流す)ことによって、上記リガンド(リガンドに含まれるリンカー化合物)のS-S結合を、上記支持体表面の金等とのS-Au結合に変換して、支持体表面に上記リガンドを固定することができる。
【0080】
リガンド溶液に用いる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、水、ジメチルアセトアミド(DMAc)や、これらの混合溶媒等を挙げることができる。また、浸漬時間は、0.5時間~12時間程度であればよく、注入量は、0.01mM~1mM程度であればよい。
【0081】
このように、本発明のリガンドは、S-S結合を有しているので、タンパク質分析用の支持体表面に簡単に固定化することができ、上記支持体上に糖分子を簡単に導入することができる。
【0082】
なお、上記のように支持体に糖分子を導入する方法も本発明に含まれる。
【0083】
本発明のリガンド担持体は、糖分子と、例えばタンパク質等の他の物質との相互作用の分析に、利用可能である。具体的には、上記リガンド担持体は、SPR測定、アフィニティクロマトグラフィ等に適用することができる。
【0084】
例えば、タンパク質分析として、SPR測定を行うには、以下のようにすればよい。すなわち、金薄膜等の金属薄膜を蒸着した支持体に、本発明のリガンドを固定化してなるリガンド担持体を用い、該リガンド担持体とタンパク質とを接触させ、常法に従って、表面プラズモン共鳴装置を用いて共鳴角度を測定すれば、該リガンド担持体とタンパク質との結合挙動を観測することができる。なお、SPR測定に用いる上記支持体(センサチップ)としては、例えば、ガラス、プラスチック等を用いることができ、特にガラスが好適に用いられる。また、リガンド担持体とタンパク質の接触は、例えば、タンパク質をランニングバッファーに溶解した溶液を、該リガンド担持体の表面に流入することにより行えばよい。このランニングバッファーとしては、例えば、リン酸緩衝溶液等を挙げることができる。
【0085】
本発明のリガンド担持体は、上記リガンドを有しているので、支持体表面に2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列することができる。それゆえ、糖分子の生物活性を再現性よく観測でき、糖分子の構造の解明や、糖分子の生物活性について定量的な評価を行うことができる。
【0086】
また、本発明のリガンド担持体として、リガンドを導入したセンサチップは、例えば、以下のようなSPR測定に使用することができる。すなわち、第1の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第1のセンサチップと、上記第1の糖分子とは末端構造が異なる第2の糖分子が支持体表面に固定化されてなる第2のセンサチップとを用いて、第1のセンサチップを用いて得られたSPR測定の検出結果と、第2のセンサチップを用いて得られたSPR測定の検出結果との差を検出し、糖分子の相互作用を観測することがすることができる。これらのセンサチップは、固定化される糖分子が異なっているリガンドを用いればよい。比較する糖分子には、例えば、ラクトースとグルコース、マルトースとグルコース、コージビオースとグルコース等が挙げられる。ここでは、2つのセンサチップを用いたが、これ以上の数の、導入される糖分子の種類が異なるセンサチップを用いてもよい。なお、糖分子の末端とは、センサチップに固定されていない側のことである。
【0087】
上記SPR測定では、第1の糖分子に特異的に作用するタンパク質等を用いて、測定条件を一定にして、上記2つのセンサチップに作用させ、両者の共鳴角度を観測する。この両者の共鳴角度の差を検出することで、糖分子とタンパク質等との特異的な相互作用として測定することができる。
【0088】
また、糖分子との相互作用を観測する物質は、タンパク質に限定はされない。
【0089】
上記では、2つの種類のセンサチップ同時に測定したが、これに限定されることはなく、2種類以上のセンサチップを測定してもかまわなし、同時に測定しなくてもかまわない。また、少なくとも1つのセンサチップに糖分子を導入していないものを用いてもよい。例えば、リンカー化合物のみを固定化したものを用いてもよい。
【0090】
上記のようなSPR測定を行うと、糖分子以外は同じ構造のリガンドを有する少なくとも2つのセンサチップを用いて、測定をすることができるため、少なくとも2つのセンサチップ相互作用の差は、糖分子に起因したものとして観測される。従って、上記測定方法を用いれば、糖分子以外の部分と、他の物質との非特異的な相互作用を低減させ、糖分子と他の物質との特異的な相互作用を観測することができる。
【0091】
【実施例】
以下、本発明のリンカー化合物及びリガンドの合成について、より詳細に説明する。
【0092】
〔実施例1・リンカー化合物の合成〕
本発明のリンカー化合物である、前記一般式(1)にてnが1であり、Xが前記一般式(2)にて表され、m1,m2,m3が2である構造を備えているリンカー化合物は、以下の手順にて合成した。
【0093】
下記一般式(11)にて示すように、65℃-70℃のジメトキシエタン中、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムの存在下にて、ニトロメタン(化合物1)に対し、3単位のt-ブチルアクリレート(化合物2)をマイケル付加させ、91%の収率にて化合物3を得た。次いで、水素雰囲気下(6kg/cm2)、50℃のエタノール中にて、ラネーニッケル(Raney Ni)を用いて、上記化合物3のニトロ基を還元して、98%の収率にて化合物4を得た。
【0094】
その後、CH2Cl2中、1.1当量の1-ヒドロキシ-7-アザペンゾトリアゾール(式中、HOAt)、1.1当量の水溶性カルボジイミド塩酸塩(式中、WSCI・HCl)の存在下にて、上記化合物4に1.1当量のZ-グリシンを縮合させ、85%の収率にてZ-グリシン体(化合物5)を得た。
【0095】
【化15】
JP0003970811B2_000011t.gif【0096】
より具体的に説明すれば、上記化合物4は、文献(G. R. Newkomeら、OPPI BRIEFS, 28巻, p.495, 1996)の方法に従って、まず、ニトロメタン(12.2g,200mmol)を1,2-ジメトキシエタン50mLに溶解して、65-70℃に加熱し、40%水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム-メタノール溶液(2mL)を加えて、ニトロメタン溶液とした。次いで、このニトロメタン溶液の温度を75℃まで上昇させ、t-ブチルアクリレート(90.8mL,620mmol)をゆっくり滴下した後、溶液温度を70-75℃に保ちながら、40%水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム-メタノール溶液を1mLずつ4回に分けて加えて2.5時間攪拌し、ニトロメタン/t-ブチルアクリレート反応溶液を得た。このニトロメタン/t-ブチルアクリレート反応溶液中の不溶物をデカンテーションにより取り除いて濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルに溶かして、氷冷した10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び水で2回ずつ洗浄して残渣溶液を得た。その後、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて、該残渣溶液を乾燥させ、セライトを用いて該乾燥剤を除去して、減圧濃縮した後、濃縮残渣をエタノールに溶解して再結晶を行い、化合物3(81.8g,91%)を白色針状結晶として得た。
【0097】
続いて、化合物3の結晶(10g,22.4mmol)とT-1ラネーニッケル(6.0g)とを無水エタノール50mLに加え、6kg/cm2の水素雰囲気下、50℃で23時間攪拌した後、セライトを用いてT-1ラネーニッケルを濾去することによって得られた化合物3反応溶液を減圧濃縮した。この化合物3反応溶液の減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を、分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/メタノール=20/1)で精製し、化合物4(収量9.2g、収率98%)を白色固体として得た。
【0098】
より具体的には、Z-グリシン(1.26g,6.62mol)と、HOAt(0.90g,6.62mmol)と、WSCI・HCl(1.27g,6.62mmol)とを無水ジクロロメタン(28mL)に溶かしたZ-グリシン溶液に、0℃の温度条件下、化合物4(2.50g,6.02mmol)を無水ジクロロメタン(2mL)に溶かした化合物4溶液を加えて、アルゴン雰囲気下、室温で36時間攪拌して、Z-グリシン/化合物4反応溶液を得た。このZ-グリシン/化合物4反応溶液に、ジクロロメタンと10%クエン酸水溶液とを加えてジクロロメタンで抽出し、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および水で1回ずつ洗浄し、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮を行った。この減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム)で精製し、化合物5(収量3.09g、収率85%)を白色固体として得た。
【0099】
得られた上記化合物5のESI-MS(positive)測定(飛行時間型質量分析計測定)を行ったところ、m/z(質量/電荷比)629.4[(M+Na)+]であった。これにより、化合物5の構造を確認することができた。
【0100】
次に、下記一般式(12)にて示すように、CH2Cl2/H2O=10/1の混合溶媒中にて、トリフルオロ酢酸(以下、TFAと記載する)を用いて、上記化合物5のt-ブトキシカルボニル基(-COOC(CH33基;一般式(12)中、tBu)を脱保護して、収率95%にて化合物6を得た。
【0101】
その後、4.5当量のペンタフルオロフェニルジフェニルホスフェート(式中、FDPP)、11当量のジイソプロピルエチルアミン(式中、DIPEA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下にて、上記化合物6とBoc基によってアミノ基が保護されたm-フェニレンジアミン誘導体(化合物7、10当量)とを縮合させ、収率99%にてN-Bocアミン誘導体(化合物8)を得た。続いて、メタノール(図中、MeOH)中、Pd/C(活性炭担持パラジウム)の存在下にて接触水素還元を行い、化合物8に縮合した上記Z-グリシンのベンジルオキシカルボニル基(式中、Z基)を脱保護して、収率79%にて化合物9を得た。
【0102】
【化16】
JP0003970811B2_000012t.gif【0103】
上記化合物6~9を得るために、具体的には、以下の操作を行った。
【0104】
すなわち、化合物6を得るために、化合物5(2.98g,4.90mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶かし、-10℃でTFA(15mL)と水(1.5mL)とを加えた後、室温で1.5時間攪拌して化合物5反応溶液を得た。該化合物5反応溶液を減圧濃縮した後、氷浴中で濃縮残渣にpHが5になるまで10%水酸化ナトリウム水溶液を加え、さらにpHが2になるまで濃塩酸を加えて、白色固体を析出させた。得られた白色固体を水で洗浄し、化合物6(収量2.04g、収率95%)を白色固体として得た。
【0105】
得られた上記化合物6のESI-MS(negative)測定を行ったところ、m/z437.1[(M-H)-]であった。また、核磁気共鳴(1H-NMR、400MHz,d6-DMSO)測定を行ったところ、δ=7.34-7.14 (6H, m), 5.00 (1H, s), 3.55 (2h, d, J = 5.9 Hz), 3.33 (3H, bs), 2.11 (6H, m), 1.81 (6H, m)であった。これらにより、化合物6の構造を確認することができた。
【0106】
また、化合物7を得るために、m-フェニレンジアミン(0.50g,4.62mmol)をメタノール(35mL)に溶かし、0℃で(Boc)2O(1.06mL,4.62mmol)とトリエチルアミン(0.65mL,4.65mmol)とを加えた後、室温で24時間攪拌して、減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/アセトン=10/1)で精製し、化合物7(収量665mg、収率68%)を白色固体として得た。
【0107】
上記化合物7のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z231.2[(M+Na)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、δ=7.02 (1H, t, J = 8.0 Hz), 6.95 (1H, bs), 6.54 (1H, dd, J = 2.0 Hz, J = 8.0 Hz), 6.41 (1H, bs), 6.35 (1H, dd, J = 2.2 Hz, J = 7.9 Hz), 3.66 (2H, bs), 1.53, 1.50 (9H, s, s)であった。これらにより、化合物7の構造を確認することができた。
【0108】
また、化合物8を得るために、上記化合物6(100mg,228μmol)、上記化合物7(475mg,2.28mmol)、FDPP(394mg,1.03mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(447μL,2.57mmol)を無水ジメチルホルムアミド(2mL)に溶かし、アルゴン雰囲気下で、室温で29時間攪拌した後、酢酸エチル及び水を加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を0.5N塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で1回ずつ洗浄して、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させて、乾燥反応溶液を得た。得られた乾燥反応溶液から、乾燥剤を濾去して減圧濃縮し、濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/アセトン=3/1)で精製し、化合物8(収量228mg、収率99%)を白色固体として得た。
【0109】
上記化合物8のESI-MS(positive)測定を行ったところm/z1009.5[(M+H)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、δ=8.75 (3H,s), 7.67 (3H, s), 7.30-6.95 (18H, m), 6.52 (1H, bs), 5.04 (2H, s), 3.71 (2H, d, J = 5.0 Hz), 2.23 (6H, m), 1.97 (6H, m), 1.47 (27H, s)であった。これらにより、化合物8の構造を確認することができた。
【0110】
また、化合物9は、具体的には次のようにして得た。すなわち、化合物8(200mg,198μmol)をメタノール(3mL)に溶解し、10%Pd/C(62.3mg)を加え、水素雰囲気下、室温で15時間攪拌した後、上記Pd/Cを濾去して、減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/メタノール=8/1)で精製して、化合物9(収量136mg、収率78%)を白色固体として得た。
【0111】
上記化合物9のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z875.5[(M+H)+]であった。これにより、化合物9の構造を確認することができた。
【0112】
さらに、下記一般式(13)にて示すように、1.0当量のWSCI・HCl、1.0当量の1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(一般式(13)中、HOBt)、CH2Cl2中、上記化合物9を、1.0当量のチオクト酸(化合物10)と縮合させ、収率75%にてチオクト酸誘導体(化合物11)を得た。
【0113】
上記にて得られた化合物11を、CH2Cl2中、トリメチルシリルクロリド(式中、TMSCl)、フェノール(PhOH)の存在する酸性条件下にて、上記Boc基を脱保護し、芳香族アミノ基を有する炭化水素誘導鎖を3鎖含んでなるリンカー化合物として、化合物12を得た(収率32%以上)。
【0114】
【化17】
JP0003970811B2_000013t.gif【0115】
具体的に、化合物11、12を得るために以下の操作を行った。
【0116】
すなわち、化合物11を得るために、化合物10(23.6mg,114mol)とHOBt(15.4mg,114mmol)を無水ジクロロメタン(2.3mL)に溶解し、0℃の温度条件下、化合物9(2.50mg,6.02mmol)を加えて、アルゴン雰囲気下で、遮光して室温で36時間攪拌した後、10%クエン酸水溶液とを加えてからクロロホルムで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。その後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮し、濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/メタノール=40/1)で精製して、化合物11(収量91.0mg、収率75%)を白色固体として得た。
【0117】
上記化合物11のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z1085.5[(M+H)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、δ=9.01 (3H, bs), 7.67 (3H, s), 7.31 (1H, bs), 7.27-7.00 (12H, m), 3.71 (2H, bs), 3.64-3.39 (1H, m), 3.12-2.99 (2H, m), 2.33 (1H, m), 2.32 (6H, m), 2.20 (2H, m), 2.04 (6H, m), 1.82-1.73 (1H, m), 1.62-1.47 (4H, m), 1.47 (27H, s), 1.39-1.25 (2H, m)であった。これらにより、化合物11の構造を確認することができた。
【0118】
また、化合物12を得るために、トリメチルシリルクロリド(0.25mL,2.64mmol)をジクロロメタン(0.49mL)に溶解し、フェノール(549mg,5.83mmol)をジクロロメタン(1.46mL)に溶解したフェノール溶液を加えて攪拌した後、さらに、化合物11(34.7mg,32.6μmol)を加え、室温で、遮光下1.5時間攪拌して、化合物11反応溶液を得た。続いて、該化合物11反応溶液にクロロホルムを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して、黄色固体を析出させた。析出した黄色固体を酢酸に溶解して4℃まで冷却し、凝集した固体を濾別して、化合物12(収量7.9mg、収率32%)を白色固体として得た。
【0119】
上記化合物12のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z763.6[(M+H)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)測定を行ったところ、δ=9.57 (3H, s), 7.97 (1H, m), 6.87(6H, m), 6.67 (3H, d, J = 7.7 Hz), 6.21 (3H, d, J = 7.7 Hz), 4.98 (6H, bs), 3.67 (2H, d, J = 5.1 Hz), 3.56 (1H, m), 3.16-3.04 (2H, m), 2.36 (1H, m), 2.25 (6H, m), 2.19-2.07 (2H, m), 1.93 (6H, m), 1.83 (1H, m), 1.50 (4H, m), 1.33 (2H, m)であった。これらにより、化合物12の構造を確認することができた。
【0120】
〔実施例2・リガンドの合成〕
実施例1にて得られたリンカー化合物12を用いて、前記一般式(4)にて、m1,m2,m3が2、nが1である構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。
【0121】
下記一般式(14)に示すように、実施例1にて得られたリンカー化合物12と、前記一般式(10)にて表される糖分子である化合物13(5当量)とを、H2O/ジメチルアセトアミド(式中、DMAc)/酢酸(AcOH)=5/20/1の混合溶媒に溶解し、pH3~4、37℃にて、シッフ塩基を形成させた後、溶媒をH2O/DMAc/AcOH=20/5/24の混合系に変え、pH3~4、37℃にて、30当量のNaBH3CNを加えて還元アミノ化反応を行った。その後、得られた化合物をSephadex G-50(アマーシャムバイオシステムズ社製)を用いて、ゲル濾過クロマトグラフィにより精製し、さらに脱塩処理を行って、糖分子を3単位含んでなるリガンドとして化合物14を得た。
【0122】
【化18】
JP0003970811B2_000014t.gif【0123】
具体的に化合物14を得るために、実施例1にて得られたリンカー化合物12(0.5mg,655nmol)と化合物13(2.8mg,3μmol)とを、水(25mL)とジメチルアセトアミド(100mμL)と酢酸(5μL)との混合溶媒に溶解し、封管中37℃で終夜加熱して、リンカー化合物12/化合物13反応溶液を得た。NaBH3CN(2.7mg、39.2μmol)を酢酸(20μL)に溶解したNaBH3CN溶液を、上記リンカー化合物12/化合物13反応溶液に加え、37℃で3日間加熱した後、減圧濃縮し、Sephadex G-50(溶媒:0.3MのNaClを加えたPBS)を用いてゲル濾過クロマトグラフィーを行った。得られた目的画分を減圧濃縮し、濃縮残渣をSephadex G-25(溶媒:水)を用いて脱塩した。脱塩した目的画分を減圧濃縮し、水に溶かして凍結乾燥を行って、化合物14(収量1.5mg、収率66%)を白色粉体として得た。
【0124】
得られるべき化合物14の質量は3291.28ダルトン(dalton)であり、飛行時間型質量分析計測定によって得られた質量/電荷比(m/z)1008.19のピークは、上記一般式(14)中に示される化合物14が3価のイオン[M-12Na+9H]3-として観測された。また、1H-NMR(500MHz,D2O)測定を行ったところ、δ=7.20 (3H, m), 6.82 (6H, m), 6.64 (3H, m), 5.35 (3H, d, J = 3.5 Hz), 5.13 (3H, J = 2.5 Hz), 4.51 (3H, d, J = 2.4 Hz), 4.29 (6H, m), 4.18 (6H, m), 4.06(6H, m), 3.97 (9H, m), 3.87 (3H, m), 3.82 (3H, m), 3.78 (6H, m), 3.68 (9H, m), 3.56 (9H, s), 3.34 (6H, m), 3.24 (3H, dd, J = 3.4, 10.5 Hz), 3.08 (4H, m), 2.44 (6H, m), 2.33 (1H, m), 2.27 (2H, t), 1.86 (1H, m), 1.56-1.46 (2H, m), 1.35-1.14 (4H, m)であった。これらから、化合物14の構造を確認することができた。
【0125】
〔実施例3・リンカー化合物の合成〕
本発明のリンカー化合物である、前記一般式(1)にてnが1であり、Xが前記一般式(3)でm4,m5,m6,m7が全て2、p1及びp2が1である構造を備えているリンカー化合物は、以下の手順にて合成した。
【0126】
下記一般式(15)にて示すように、MeOH中に2.3当量のトリフルオロホウ素・エーテル付加物(式中、BF3・OEt2)を加えて、酸性条件下にて還流を行い、ジカルボン酸(化合物15)をエステル化して、収率79%にてエステル体(化合物16)を得た。
【0127】
その後、1.1当量のHOBt、1.1当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(式中、DCC)、CH2Cl2中にて、1.1当量のZ-グリシンを上記化合物16に縮合させ、収率94%にてグリシン誘導体(化合物17)を得た。
【0128】
続いて、MeOH中に2NのNaOHを加えて、アルカリ条件下にて化合物17のエステル基を加水分解し、ジカルボン酸誘導体(化合物18)を収率98%にて得た。
【0129】
【化19】
JP0003970811B2_000015t.gif【0130】
具体的には、化合物16~19を得るために、以下の操作を行った。
【0131】
すなわち、化合物16を得るために、化合物15(イミノ二酢酸;10.0g,75.1mmol)とBF3・OEt2(三フッ化ホウ素-ジエチルエーテル錯体;22mL,173mmol)を無水メタノール50mLに溶解し、アルゴン雰囲気下にて5時間還流した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、クロロホルムで抽出した。続いて、pHが9になるまで水層にトリエチルアミンを加え、さらにクロロホルムで抽出し、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮して、化合物16(収量9.61g、収率79%)を黄色油状物として得た。
【0132】
上記化合物16のESI-MS(positive)測定を行ったところm/z162.1[(M+H)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったこところ、δ=3.74(6H, s),3.48(4H, s),2.00(1H, s)であった。これらにより、化合物16の構造を確認することができた。
【0133】
また、化合物17を得るために、化合物16(1.00g,6.21mmol)とジシクロヘキシルカルボジイミド(1.41g,6.83mmol)とHOBt(0.92g,6.83mmol)を無水ジクロロメタン25mLに溶解し、アルゴン雰囲気下、0℃で0.5時間攪拌した後、Z-グリシン(1.42g,6.83mmol)を加えて、室温で5日間攪拌した。該撹拌によって析出した沈殿物を濾別し、濾液をクロロホルムで抽出し、有機層を1N塩酸と、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とで2回ずつ洗浄し、さらに水で1回洗浄して、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/アセトン=2/1)で精製して、化合物17(収量2.05g、収率94%)を白色固体として得た。
【0134】
上記化合物17のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z375.1[(M+Na)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、δ=7.36 (5H, m), 5.69 (1H, bs t), 5.12 (2H, s), 4.22, 4.12 (4H, s, s), 4.06 (2H, d), 3.78, 3.73 (4H, s, s)であった。これらにより、化合物17の構造を確認することができた。
【0135】
また、化合物18を得るために、化合物17(1.50g,4.26mmol)をメタノール(20mL)に溶解し、2NのNaOH(9mL)を加えて、0℃で2.5時間攪拌した後、Dowex 50WX-8(H+ form)をpH6になるまで加えて中和し、該Dowex 50WX-8を濾別して減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣に水を加えて不溶物を濾別した後、減圧濃縮及び凍結乾燥を行って、化合物18(収量1.30g、収率98%)を白色固体として得た。
【0136】
上記化合物18のESI-MS(negative)測定を行ったところ、m/z321.1[(M-2H+Na)-]であった。また、1H-NMR(400MHz,d6-DMSO)測定を行ったところ、δ=7.32 (5H, m), 7.21 (1H, m), 5.01 (2H, s), 3.93, 3.84 (4H, s, s), 3.72 (2H, d, J = 5.4 Hz)であった。これらにより、化合物18の構造を確認することができた。
【0137】
次に、下記一般式(16)に示すように、2.5当量のFDPP、2.5当量のDIPEA、DMF中にて、芳香族アミノ基末端をBoc基で保護した化合物19(2.5当量)を上記化合物18に反応させ、収率60%でN-Bocアミン誘導体(化合物20)を得た。
【0138】
続いて、MeOH中にて、Pd/Cの存在下、接触水素還元を行い、化合物20に縮合している上記Z-グリシンのZ基を脱保護して、収率92%にてアミン誘導体(化合物21)を得た。
【0139】
【化20】
JP0003970811B2_000016t.gif【0140】
具体的に、化合物19~21を得るために以下の操作を行った。
【0141】
すなわち、化合物19を得るために、4-アミノ安息香酸(3.33g,14.0mmol)と、HOBt(1.93g,14.3mmol)とを無水ジクロロメタン(60mL)に懸濁させ、アルゴン雰囲気下、0℃で15分撹拌し、WSCI・HCl(2.87g,15.0mmol)を無水ジクロロメタン(30mL)に溶解させたWSCI・HCl溶液を加えて、50分撹拌して、4-アミノ安息香酸/HOBt反応溶液とした。該4-アミノ安息香酸/HOBt反応溶液にジエチレントリアミン(0.79mL,7.00mmol)を加え、遮光下、室温で終夜撹拌し、白色結晶を得た。この白色結晶を濾取した後、メタノールから再結晶して、化合物19を白色結晶として得た。収量は3.53g(収率92.9%)であった。
【0142】
上記化合物19のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z542.4[(M+H)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CD3Cl)測定を行ったところ、δ=7.77-7.74 (4H, d, J = 8.7 Hz), 7.50-7.48 (4H, d, J = 8.6 Hz), 3.70-3.66 (4H,m, J = 5.2 Hz), 3.34-3.28 (4H,m, J = 5.6 Hz), 1.53 (18H, s)であった。これらにより、化合物19の構造を確認することができた。
【0143】
また、化合物20を得るために、化合物18(50.0g,154μmol)と、化合物19(209mg,386μmol)とFDPP(148mg,386μmol)とを無水ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解した後、ジイソプロピルエチルアミン(67.2μL,386μmol)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で20時間攪拌して、化合物18/化合物19反応溶液とした。この化合物18/化合物19反応溶液を減圧濃縮して得られた濃縮残渣をクロロホルムで抽出し、有機層を10%クエン酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製して、化合物20(収量125mg、収率59%)を白色固体として得た。
【0144】
上記化合物20のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z1393.7[(M+Na)+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CDCl3)測定を行ったところ、δ=7.88 (1H, bs), 7.73-7.66 (10H, m), 7.56 (1H, bs), 7.38 (4H, d, J = 8.4 Hz), 7.34-7.29 (6H, m), 7.17, 7.05 (2H, bs, bs), 5.35 (1H, bs), 5.00 (2H, s), 3.96 (2H, bs), 3.64 (4H, band), 3.55 (4H, band), 3.51 (6H, band), 3.43, 3.27, 3.17 (6H, bs, bs, bs), 1.50, 1.49 (36H, s, s) であった。これらにより、化合物20の構造を確認することができた。
【0145】
また、化合物21を得るために、化合物20(103mg,74.4μmol)をメタノール(3mL)に溶解し、10%Pd/C(84mg)を加え、水素雰囲気下、室温で47時間攪拌した後、上記Pd/Cを濾去して減圧濃縮し、化合物21(収量84.9mg、収率92%)を白色固体として得た。
【0146】
上記化合物21のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z630.3[(M+H+Na)2+]であった。これにより、化合物21の構造を確認することができた。
【0147】
さらに、下記一般式(17)にて示すように、CH2Cl2/DMF=4/1の混合溶媒中にて、1.1当量のHOBt、1.0当量のWSCI・HClの存在下、上記化合物21を、1.1当量のチオクト酸(化合物10)と縮合させ、収率75%にてアミド化合物(化合物22)を得た。
【0148】
さらに、上記にて得られた化合物22を、CH2Cl2中、TFAの存在する酸性条件下にて、Boc基を脱保護し、芳香族アミノ基を有する炭化水素誘導鎖を4鎖含んでなるリンカー化合物として、化合物23を得た(収率91%)。
【0149】
【化21】
JP0003970811B2_000017t.gif【0150】
具体的に、化合物22、23を得るために、以下の操作を行った。
【0151】
すなわち、化合物22を得るために、化合物10(12.8g,62.2μmol)とHOBt(8.4mg,62.2μmol)とを無水ジクロロメタン(10mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下、0℃で遮光して攪拌して、化合物10/HOBt反応溶液とした。次いで、化合物21(70.0mg,56.5μmol)をジメチルホルムアミド(0.5mL)に溶解して、上記化合物10/HOBt反応溶液に滴下した後、室温で19時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を10%クエン酸水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とで1回ずつ洗浄し、乾燥剤として無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた後、該乾燥剤を濾去して減圧濃縮を行った。該減圧濃縮によって得られた濃縮残渣を分取シリカゲルクロマトグラフィ(溶媒:クロロホルム/メタノール=15/1)で精製して、化合物22(収量60.8mg、収率75%)を白色固体として得た。
【0152】
上記化合物22のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z735.3[(M+2Na)2+]であった。また、1H-NMR(400MHz,CDCl3)測定を行ったところ、δ=7.76-7.79 (11H, m), 7.55 (1H, bs), 7.42 (4H, d, J = 8.6 Hz), 7.35 (5H, m), 7.13, 7.00, 6.97 (3H, bs, bs, bs), 5.84 (1H, bs), 4.04 (2H, bs), 3.67 (4H, band), 3.55 (4H, band), 3.48 (8H, band), 3.41, 3.29, 3.22 (6H, bs, bs, bs), 3.16-3.03 (2H, m), 2.39 (1H, m), 2.02 (2H, m), 1.84 (1H, m), 1.58-1.52 (4H, m), 1.51, 1.49 (36H, s, s), 1.35 (2H,
m)であった。これらにより、化合物22の構造を確認することができた。
【0153】
また、化合物23を得るために、化合物22(48.2mg,33.8μmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えて遮光下0℃で1時間攪拌した後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をメタノールに溶解してDowex Marathon A(OH- form)を加えて中和した。中和後、該Dowex Marathon Aを濾別して、減圧濃縮し、化合物23(収量31.6mg、収率91%)を白色固体として得た。
【0154】
上記化合物23のESI-MS(positive)測定を行ったところ、m/z534.2[(M+2Na)2+]であった。これにより、化合物23の構造を確認することができた。
【0155】
〔実施例4・リガンドの合成〕
実施例3にて得られたリンカー化合物23を用いて、前記一般式(5)にて、m4,m5,m6,m7が全て2、nが1、p1とp2とが1である構造を備えているリガンドを以下の手順にて合成した。
【0156】
下記一般式(18)に示すように、実施例3にて得られたリンカー化合物23と、下記一般式(18)にて表される糖分子である化合物13(5当量)とを、H2O/DMAc/AcOH=5/20/1の混合溶媒に溶解させ、pH3~4、37℃にて、シッフ塩基(式中、imine form)を形成させた。次いで溶媒をH2O/DMAc/AcOH=9/20/22の混合系に替えて、pH3~4、37℃にて、64当量のNaBH3CNを加えて還元反応(式中、reduction)を行った。その後、得られた化合物をSephadex G-50を用いて、ゲル濾過クロマトグラフィにより精製し、さらに脱塩処理を行って、糖分子を4単位含んでなるリガンドとして化合物24を得た。
【0157】
【化22】
JP0003970811B2_000018t.gif【0158】
具体的に化合物24を得るために、リンカー化合物23(0.5mg,488nmol)と化合物13(2.1mg,2.4μmol)とを、水(25μL)とジメチルアセトアミド(100μL)と酢酸(5μL)との混合溶媒に溶解し、封管中37℃で3時間加熱して、リンカー化合物23/化合物13反応溶液を得た。NaH3CN(2.18mg,31.2μmol)を酢酸(45μL)に溶解して、上記リンカー化合物23/化合物13反応溶液に加え、37℃で3日間加熱した後、減圧濃縮して、Sephadex G-50(1.6 x 80 cm、PBS-0.3N NaCl)を用いて精製した。該精製によって得られた目的画分を減圧濃縮し、濃縮残渣をSephadex G-25(1.6 x 40 cm、水)を用いて脱塩した。該脱塩により得られた目的画分を減圧濃縮し、水に溶かして凍結乾燥を行い、化合物24(収量1.0mg、収率47%)を白色粉体として得た。
【0159】
得られるべき化合物24の質量は4396.37ダルトンであり、飛行時間型質量分析計測定によって得られた質量/電荷比(m/z)1368.93のピークは、上記一般式(18)中に示される化合物24が3価のイオン[M-13Na+10H]3-として観測された。また、NMRスペクトルを測定したところ、δ=7.70-7.55 (8H, m), 6.78-6.64 (8H, m), 5.34 (4H, s), 5.20 (8H, d, J = 3.3 Hz), 5.15 (4H, bs), 4.52 (4H, bs), 4.29 (8H, m), 4.19 (8H, m), 4.05 (4H, m), 3.99 (4H, band), 3.87-3.80 (16H, band), 3.73-3.66 (24H, m), 3.87 (3H, m), 3.57 (12H, s), 3.49 (4H, dd, J = 3.8, 9.7), 3.39-3.34 (14H, m), 3.26-3.19 (12H, m), 2.60 (1H, m), 2.21-2.13 (2H, m), 1.77 (1H, m), 1.50-1.13 (4H, m)であった。これらによって、化合物24の構造を確認することができた。
【0160】
〔実施例5・リガンド化合物を用いたSPR測定〕
実施例2で得られた、前記一般式(4)にて、m1,m2,m3が全て2、nが1である構造を備えているリガンドである化合物14を用いて、SPR測定を行った。
【0161】
すなわち、金薄膜を蒸着したガラス基板表面に下記の操作を行うことにより、リガンド(化合物14)を固定化し、化合物14とヘパリン結合性タンパク質であるリコンビナントフォンビルブラント因子(以下、rvWFと略する)との結合挙動を観測した。
【0162】
(5-1 リガンド導入チップの調製)
初めに、13×20×0.7mmのガラス基板に50nmの金薄膜を蒸着したセンサチップ(日本レーザー電子株式会社製)を、UVオゾンクリーナー(商品名:NL-UV253、日本レーザー電子株式会社)に入れて紫外線を20分間照射し、オゾンでセンサチップの金表面を洗浄した。次に、このセンサチップを、セル内のテフロン(登録商標)製セルホルダーに装着し、該セルに0.1mMの化合物14のメタノール溶液を50μL加えて密封し、室温で、Bio Dancer(商品名、New Brunswick Scientific社)を使用し、終夜緩やかに振とうさせた。その後、上記セルをメタノール100μLで6回洗浄して、上記センサチップをテフロン(登録商標)製セルホルダーから取り外した。続いて、取り外されたセンサチップをメタノールで満たされたシャーレに浸漬させ、穏やかに振とうして洗浄する操作を2回繰り返した後、水、メタノールの順で上記と同様にしてセンサチップを洗浄して、リガンド導入チップ(リガンド担持体)を得た。このリガンド導入チップを風乾後、表面プラズモン共鳴装置SPR670(商品名、日本レーザー電子株式会社)のセンサチップカートリッジ(ガラスプリズム)に取り付けた。
【0163】
(5-2 リガンド導入チップとタンパク質との疎水性相互作用による非特異的相互作用の検討)
上記にて得られたリガンド導入チップ上に、25℃の温度条件下、流速15μL/minにて、上記表面プラズモン共鳴装置を用いて測定される共鳴角度変化が一定になるまで、ランニングバッファーとしてのリン酸緩衝溶液(PBS;pH7.4)を流した。その後、SPR測定に用いられるタンパク質である牛血清アルブミン(BSA)の濃度が0.1mg/mLとなるように、該BSAをランニングバッファーに溶解したBSA溶液を調製し、該BSA溶液60μLを、流速15μL/minにてリガンド導入チップ表面に注入した。
【0164】
上記BSA溶液を流入したリガンド導入チップ表面の金と、タンパク質であるBSAとの疎水性相互作用に基づく非特異的相互作用を検討するために、表面プラズモン共鳴装置を用いて測定を行ったところ、共鳴角度変化はほとんど観測されなかった。このことから、化合物14が導入されてなるリガンド導入チップを用いた場合、タンパク質とリガンド導入チップとの非特異的な相互作用による影響を低減することができるので、タンパク質と糖との結合相互作用の定量的な評価を行うことができると考えられる。
【0165】
(5-3 rvWFの解離定数の解析)
前記(5-1)にて得られたリガンド導入チップ上に、上記(5-2)のBSA溶液に代えて、rvWF溶液を用いた以外は、上記(5-2)と同様の手順にて、リガンド導入チップ表面にrvWF溶液を注入した。なお、rvWF溶液は、125nM~1600nMの範囲の濃度になるように、rvWFを上記ランニングバッファーに溶解して調製した。
【0166】
上記rvWF溶液の濃度を変えて、リガンド導入チップ表面にrvWF溶液を注入し、rvWF溶液の注入時間(time(sec))経過に対する、化合物14とrvWFとの結合に基づくレスポンス(Response(RU;Response Unit))を、表面プラズモン共鳴装置を用いて測定することによって調べた。その結果を図1に示す。
【0167】
なお、上記rvWFが導入されたリガンド導入チップは、該リガンド導入チップ表面に、流速60μL/minで、10mMのNaOHを1分間以上流すことによって再生させて、再使用した。
【0168】
また、表面プラズモン共鳴装置(SPR670)に付属のソフトウェアを用い、リガンドである化合物14とrvWFとの結合挙動の観測結果(図1)に基づいて、解離定数(KD)、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)の値を算出した。その結果を表1に示す。
【0169】
【表1】
JP0003970811B2_000019t.gif【0170】
〔比較例〕
特許文献1に記載の手順に従って、前記した一般式(10)にて表される構造を備えているオリゴ糖を1単位有し、下記一般式(19)によって示される構造を有するリガンドである化合物25を調製した。
【0171】
【化23】
JP0003970811B2_000020t.gif【0172】
次いで、前記化合物14に代えて、上記化合物25を用いた以外は、前記実施例5の(5-1)と同様の手順にて、リガンド導入チップを得た。このリガンド導入チップを用いて、前記実施例5の(5-2)と同様の手順にて、リガンド導入チップとタンパク質との疎水性相互作用に基づく非特異的相互作用が起こらないことを確認した。その後、前記実施例5の(5-3)と同様の手順にて、リガンド導入チップ表面にrvWF溶液を注入し、rvWF溶液の注入時間経過に伴う共鳴角度変化を、表面プラズモン共鳴装置を用いて測定して、化合物25とrvWFとの結合挙動を調べた。その結果を図2に示す。
【0173】
また、図2に基づいて、前記実施例5の(5-3)と同様の手順にて、解離定数(KD)、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)の値を算出した。その結果を上記表1に示す。
【0174】
上記表1に示すように、本実施例のリガンドである化合物14を用いたリガンド導入チップの方が、化合物25を用いたリガンド導入チップよりも、rvWFに対して高い親和性を示すことがわかった。このように、本実施例のリガンド導入チップを用いれば、糖分子の生物活性を再現性よく観測できるので、上記リガンド導入チップは、糖分子の構造の解明や、糖分子の生物活性の評価を行うのに、非常に優れていることがわかる。
【0175】
【発明の効果】
本発明のリンカー化合物は、以上のように、3単位又は4単位の糖分子を導入可能な部位として、芳香族アミノ基末端を有している。また、表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサチップやアフィニティクロマトグラフィの担体等のタンパク質分析用の支持体に結合可能な部位として、S-S結合を有している。
【0176】
それゆえ、上記リンカー化合物を用いることによって、上記支持体表面上に、3単位又は4単位の糖分子を再現性よく2次元的に配列させることができるという効果を奏する。また、上記リンカー化合物は、タンパク質との非特異的な相互作用の影響をほぼ無視することができるので、糖分子とタンパク質との相互作用を観測する際に、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になる。
【0177】
また、本発明のリガンドは、上記リンカー化合物に糖分子を導入してなるものである。
【0178】
それゆえ、上記リガンドをタンパク質分析用の支持体表面に導入することにより、2次元的に複数の糖分子を再現性よく配列することができるので、糖分子の生物活性を再現性よく評価することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物14を固定化したリガンド導入チップとrvWFとの結合をSPR測定した結果を示すグラフである。
【図2】化合物25を固定化したリガンド導入チップとrvWFとの結合をSPR測定した結果を示すグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
1