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明細書 :血液透析用非穿刺型ブラッドアクセス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4352123号 (P4352123)
公開番号 特開2004-195203 (P2004-195203A)
登録日 平成21年8月7日(2009.8.7)
発行日 平成21年10月28日(2009.10.28)
公開日 平成16年7月15日(2004.7.15)
発明の名称または考案の名称 血液透析用非穿刺型ブラッドアクセス
国際特許分類 A61M   1/14        (2006.01)
FI A61M 1/14 540
請求項の数または発明の数 12
全頁数 16
出願番号 特願2003-342702 (P2003-342702)
出願日 平成15年9月30日(2003.9.30)
優先権出願番号 2002354517
優先日 平成14年12月6日(2002.12.6)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年3月20日(2006.3.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】593081431
【氏名又は名称】川村 明夫
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】川村 明夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
審査官 【審査官】内山 隆史
参考文献・文献 特許第2983540(JP,B2)
米国特許第04822341(US,A)
特開昭61-109572(JP,A)
特開2001-333976(JP,A)
特開昭53-126790(JP,A)
特表2002-515798(JP,A)
米国特許第04496350(US,A)
米国特許第03358961(US,A)
米国特許第02828146(US,A)
調査した分野 A61M 1/00 - 1/36
特許請求の範囲 【請求項1】
細長い本体とシャッター部材とシャッターカバーとキャップとを備えた血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスであって、
前記本体には、その上部に、内部にシャッター部材を支持するためのウェルを構成する周壁が設けられており、その下部に、本体の長さ方向に延びた貫通孔が設けられ、該貫通孔の両端において、人工血管に連結するためのポートが設けられ、前記ウェル底部には前記貫通孔に連通する血液流出孔と血液流入孔が設けられており、
前記シャッター部材には、前記本体の血液流出孔と血液流入孔とに連通可能な連通孔を有する連通部と、その下面が前記本体のウェル底部と面一になるように形成され、ウェル底部上を摺動可能に形成されている摺動部がそれぞれ設けられており、
前記シャッターカバーには、前記本体のウェルとの間に前記シャッター部材の摺動部を摺動・ガイドするポケットを形成しうるシャッター保持部と、前記シャッター部材の連通部の移動を可能とする立設部が設けられており、該立設部は前記キャップにより遮蔽することができ、
前記シャッター部材を摺動させることにより、前記本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、前記シャッター部材に設けられた連通孔と連通し又は連通が遮断されるように構成されているブラッドアクセスであって、
前記キャップが、キャップをシャッターカバーに装着したとき、シャッター部材が移動しないような突起を内面側に有していることを特徴とするブラッドアクセス。
【請求項2】
本体に設けられた血液流出孔及び血液流入孔が、傾斜していることを特徴とする請求項1記載のブラッドアクセス。
【請求項3】
シャッター部材が、垂直な連通部と水平板状の摺動部からなることを特徴とする請求項1又は2記載のブラッドアクセス。
【請求項4】
シャッター部材が、一対のシャッターを備え、各シャッターには連通部と摺動部がそれぞれ設けられており、シャッターを互いに遠去かる方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、互いに接近する方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項5】
シャッター部材が、一体的に形成されたシャッターを備え、シャッターには連通部と摺動部が所定の間隔をあけてそれぞれ2つ設けられており、シャッターを一方の端部から他方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、他方の端部から一方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項6】
シャッター部材の連通部外面に、カニューレに設けられた係止部材と協働して、カニューレがシャッター部材の連通孔から外れるのを防止するための係止部が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項7】
シャッター部材の連通孔が、カニューレアダプタのオスのテーパーを嵌入することができるように、メスのテーパー孔として形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項8】
本体のウェル底部に設けられた血液流出孔口及び血液流入孔口、又は、シャッター部材の底部の連通孔口にシーリングリングが設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項9】
シャッターカバーが、本体に圧入され、カシメられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項10】
シャッター部材の摺動時の負荷の程度が、3~6ニュートンであることを特徴とする請求項1~9のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項11】
チタンを用いて作製されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか記載のブラッドアクセス。
【請求項12】
シャッター部材が、フッ素樹脂コーティングされたチタン製であることを特徴とする請求項11記載のブラッドアクセス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は血液透析用非穿刺型ブラッドアクセス、より詳細には、構造が簡単で介助者の不要な、きわめて実用的な血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスに関する。
【背景技術】
【0002】
血液透析は、腎不全を治療する方法として広く使用されている。重度の腎疾患患者は、長期間にわたって規則的に血液透析を受けなければならないため、このような患者には、血液透析時に豊富な血液流が迅速に得られるように、血管に外科的な短絡回路(通常「シャント」と呼ばれる)が形成されている場合が多い。シャントは、内シャントと外シャントに大別されるが、内シャントは、血液透析の際に穿刺が必要であるという欠点を有しており、外シャントは、閉塞しやすい、感染の頻度が高い、生活に不便である等の欠点を有している。
【0003】
従来のシャントのこのような欠点を解消すべく、ヘマサイト(Hemasite)と名付けられた血液透析用ブラッドアクセスが開発されている(特許文献1参照)。ヘマサイトは、穿刺が不用であるという利点を有しているが、構造が複雑であるため、高価であるとともに取扱いに手間がかかるという欠点を有している。
【0004】
血液透析に関するこのような事情に鑑み、本発明者は、2つの型式の新規な血液透析用ブラッドアクセスをそれぞれ提案した(特許文献2及び特許文献3参照)。特許文献2に記載されたブラッドアクセスは、穿刺する必要がなく、構造が簡単で比較的廉価であり、且つ取扱いが容易であるという利点を有している。また、特許文献3に記載されたブラッドアクセスは、特許文献2に記載されているブラッドアクセスの利点を保持しつつ、介助者が不要であるという利点を更に有している。

【特許文献1】米国特許公報第4,496,350号
【特許文献2】特許公報第2983540号
【特許文献3】特開2001-333976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件発明者が提案した上述の血液透析用ブラッドアクセスは、血液透析患者にとって有用な装置であるが、本件発明者は、これらの装置を更に改良して、上述の装置の利点を保持しつつ、患者にとってより使い勝手の良い、より実用的な装置の開発に着手した。開発に際して、以下の点を基本コンセプトとした。
(1)血液が漏洩・噴出することなく、カニューレをブラッドアクセスに容易に接続することができ、介助者なしに血液透析を行うことが可能な構造とすること
(2)血液透析中であっても簡単な軽作業を行うことが可能な構造とすること
(3)血液透析の開始及び終了時におけるブラッドアクセス使用の違和感の少ない構造とすること
(4)長期間にわたり使用することができるように、漏洩血液による汚染が少ない上に、ブラッドアクセスの洗浄が容易な簡単な構造とすること
したがって、本発明の課題は、穿刺する必要がなく、構造が簡単で比較的廉価であり、取扱いが容易で介助者が不要であり、血液透析中であっても簡単な軽作業を行うことができ、ブラッドアクセス使用における違和感が少なく、ブラッドアクセスの洗浄が容易で長期間にわたり使用することができるきわめて実用的な血液透析用ブラッドアクセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記基本コンセプト(1)を達成するために、カニューレがブラッドアクセスに容易に装脱着可能であり、カニューレをブラッドアクセスに接続した後に、ブラッドアクセスを介して人工血管と血液透析装置とを連通させることができるように、カニューレを簡便に装脱着しうる連通孔を設ける構造を採用し、上記基本コンセプト(2)を達成するために、ブラッドアクセスとカニューレとの接続が簡単に外れない構造、例えば、連通孔が設けられたシャッターとカニューレとの間に係止手段を設けるという構造を採用し、上記基本コンセプト(3)を達成するために、ブラッドアクセスを介しての透析の開始及び終了時の血流の送出・遮断にシャッター方式を採用し、上記基本コンセプト(4)を達成するために、透析に際してブラッドアクセス内での血液の漏洩が少なく、また漏洩箇所が限定され、かかる限定された漏洩箇所の洗浄が容易であるという構造を採用したところ、上記本発明の課題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、細長い本体とシャッター部材とシャッターカバーとキャップとを備えた血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスであって、
前記本体には、その上部に、内部にシャッター部材を支持するためのウェルを構成する周壁が設けられており、その下部に、本体の長さ方向に延びた貫通孔が設けられ、該貫通孔の両端において、人工血管に連結するためのポートが設けられ、前記ウェル底部には前記貫通孔に連通する血液流出孔と血液流入孔が設けられており、
前記シャッター部材には、前記本体の血液流出孔と血液流入孔とに連通可能な連通孔を有する連通部と、その下面が前記本体のウェル底部と面一になるように形成され、ウェル底部上を摺動可能に形成されている摺動部がそれぞれ設けられており、
前記シャッターカバーには、前記本体のウェルとの間に前記シャッター部材の摺動部を摺動・ガイドするポケットを形成しうるシャッター保持部と、前記シャッター部材の連通部の移動を可能とする立設部が設けられており、該立設部は前記キャップにより遮蔽することができ、
前記シャッター部材を摺動させることにより、前記本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、前記シャッター部材に設けられた連通孔と連通し又は連通が遮断されるように構成されているブラッドアクセスであって、
前記キャップが、キャップをシャッターカバーに装着したとき、シャッター部材が移動しないような突起を内面側に有していることを特徴とするブラッドアクセス(請求項1)や、本体に設けられた血液流出孔及び血液流入孔が、傾斜していることを特徴とする請求項1記載のブラッドアクセス(請求項2)や、シャッター部材が、垂直な連通部と水平板状の摺動部からなることを特徴とする請求項1又は2記載のブラッドアクセス(請求項3)や、シャッター部材が、一対のシャッターを備え、各シャッターには連通部と摺動部がそれぞれ設けられており、シャッターを互いに遠去かる方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、互いに接近する方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項4)や、シャッター部材が、一体的に形成されたシャッターを備え、シャッターには連通部と摺動部が所定の間隔をあけてそれぞれ2つ設けられており、シャッターを一方の端部から他方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、他方の端部から一方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項5)や、シャッター部材の連通部外面に、カニューレに設けられた係止部材と協働して、カニューレがシャッター部材の連通孔から外れるのを防止するための係止部が設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項6)や、シャッター部材の連通孔が、カニューレアダプタのオスのテーパーを嵌入することができるように、メスのテーパー孔として形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項7)や、本体のウェル底部に設けられた血液流出孔口及び血液流入孔口、又は、シャッター部材の底部の連通孔口にシーリングリングが設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項8)や、シャッターカバーが、本体に圧入され、カシメられていることを特徴とする請求項1~8のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項9)や、シャッター部材の摺動時の負荷の程度が、3~6ニュートンであることを特徴とする請求項1~9のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項10)や、チタンを用いて作製されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか記載のブラッドアクセス(請求項11)や、シャッター部材が、フッ素樹脂コーティングされたチタン製であることを特徴とする請求項11記載のブラッドアクセス(請求項12)に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、血液透析時に血液が漏れるおそれがないように、血管と透析器とを連通させることができるので、介助者なしに血液透析を行うことが可能になる。また、本体の構造が簡単であるため、患者に穿刺の苦痛を与えることなしに、比較的廉価で取扱いの容易な血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のブラッドアクセスとしては、細長い本体とシャッター部材とシャッターカバーとキャップとを備えた血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスであって、前記本体には、その上部に、内部にシャッターを支持するためのウェルを構成する周壁が設けられており、その下部に、本体の長さ方向に延びた貫通孔が設けられ、該貫通孔の両端において、人工血管に連結するためのポートが設けられ、前記ウェル底部には前記貫通孔に連通する血液流出孔と血液流入孔が設けられており、前記シャッター部材には、前記本体の血液流出孔と血液流入孔とに連通可能な連通孔を有する連通部と、その下面が前記本体のウェル底部と面一になるように形成され、ウェル底部上を摺動可能に形成されている摺動部がそれぞれ設けられており、前記シャッターカバーには、前記本体のウェルとの間に前記シャッター部材の摺動部を摺動・ガイドするポケットを形成しうるシャッター保持部と、前記シャッター部材の連通部の移動を可能とする立設部が設けられており、該立設部は前記キャップにより遮蔽することができ、前記シャッター部材を摺動させることにより、前記本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、前記シャッター部材に設けられた連通孔と連通し又は連通が遮断されるように構成されているものであれば特に制限されるものではなく、本発明のブラッドアクセスの体内での設置状態が模式的に示されている図1や、本発明のブラッドアクセスを使用して血液透析している状態が模式的に示されている図2からわかるように、本発明のブラッドアクセスは、血液透析用の非穿刺型のブラッドアクセスであり、上部を除き体内に埋め込まれて使用され、その上部でカニューレと連結され、その下部でシャントを形成する人工血管に吻合・連結されて用いられる。
【0010】
本発明のブラッドアクセスを構成する細長い本体には、その上部に、内部にシャッター部材を支持するためのウェルを構成する周壁が設けられており、その下部に、本体の長さ方向に延びた貫通孔が設けられ、貫通孔の両端において、人工血管に吻合・連結するためのポートが設けられ、ウェル底部には貫通孔に連通する、透析装置に血液を送出するための血液流出孔と、透析後の血液を還流するための血液流入孔が設けられている。ウェル底部と貫通孔とを連通する血液流出孔と血液流入孔は、構造を簡単なものとするために(貫通孔の長手方向に対して)垂直に設けてもよいが、(貫通孔の長手方向に対して)傾斜させておく方が、特に血液流出孔の貫通孔側開口と血液流入孔側開口が離れた位置関係になるように傾斜させておく方が、血液流出孔と血液流入孔の貫通孔側近傍に発生する可能性がある血栓の除去しやすさ、血液透析時に透析後の血流が血液流入孔から貫通孔に還流されてきたとき、再び血液流出孔から流出するという再還流を防止しうる点で好ましい。本発明者の実験によると、血液流出孔と血液流入孔とをハの字型に傾き30゜のゆるい勾配をつけておくと、貫通孔における血液流出孔と血液流入孔の開口位置の間隔が拡がり、再還流率は5%以下になることが確かめられている。なお、人工血管の各端部を異なる血管に吻合してもよい。また、人工血管に吻合・連結するためのポートは、貫通孔の両端において突出した円筒形状として図示されているが、人工血管の端部と連結することができれば突出構造とする必要はない。
【0011】
ウェル底部は、摺動自在にシャッター部材を支持することができるように、通常、平滑平面として構成されているが、平滑曲面として構成してもよい。そして、シャッター部材により開閉されるウェル底部の血液流出孔と血液流入孔の開口周囲には、シーリングリングを設けることが好ましい。シーリングリングを設けることにより、ウェル底部における漏洩血液による汚染を少なくし、長期間にわたり使用することができる。また、漏洩血液による汚染箇所は、主としてウェル底部に限られることから、シャッター連通孔からウェル底部を簡便に洗浄することができ、この点で、本発明のブラッドアクセスは、洗浄が容易な簡単な構造を有するということができる。さらに、シーリングリングはブラッドアクセスの幅寸法を狭くするため楕円溝に嵌入することが好ましい。
【0012】
本発明のブラッドアクセスを構成するシャッター部材には、前記本体の血液流出孔と血液流入孔とに連通可能な連通孔を有する連通部と、その下面が前記本体のウェル底部と面一になるように形成され、ウェル底部上を摺動可能に形成されている摺動部がそれぞれ設けられている。シャッター部材としては、一体型シャッターとセパレート型シャッターを例示することができる。一体型シャッターは、一体的に形成されたシャッターを備え、シャッターには連通部と摺動部が所定の間隔をあけてそれぞれ2つ設けられており、シャッターを一方の端部から他方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、他方の端部から一方の端部に摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されている。セパレート型シャッターは、一対のシャッターを備え、各シャッターには連通部と摺動部がそれぞれ設けられており、シャッターを互いに遠去かる方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた連通孔と連通し、互いに接近する方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターにより連通が遮断されるように構成されている。
【0013】
シャッター部材における上記連通部は、一体型シャッターとセパレート型シャッターのいずれの型においても2箇所設けられ、摺動部に対して垂直に形成することもできるが傾斜して形成することもできる。傾斜した連通部の場合、連通孔も傾斜することになるが、垂直に形成された連通部の場合、連通孔を垂直に設けることもできるが、血液流出孔と血液流入孔が傾斜しているときは、傾斜した血液流出孔と血液流入孔と適合するように、その下方を傾斜させておくこともできる。また、シャッター部材をピンセット等により容易に移動することができるように、連通部の上面に溝や突起を設けることもできる。
【0014】
シャッター部材の連通孔に装脱着されることになるカニューレの先端は、装脱着の簡便さから通常オスのテーパー形状のアダプタとして構成されることが多く、かかる場合、カニューレアダプタのオスのテーパーを水密に嵌入することができるように、シャッター部材の連通孔をメスのテーパー孔として形成することが好ましい。この場合も含めて、連通孔にカニューレアダプタを水密に嵌入することができるように、連通孔内周面あるいはカニューレアダプタ外周面にシーリングリングを設けることが好ましい。また、シャッター部材の連通孔に段差を設け、カニューレアダプタの先端を連通孔に設けられた段差部分と当接させ、連通孔とカニューレアダプタとの連結部から血液が洩れないようにすることもできる。
【0015】
また、摺動部は、ウェル底部と面一になるように形成され、ウェル底部が平滑平面として構成されているときは平滑平面として、ウェル底部が平滑曲面として構成されているときは平滑曲面として構成することができる。そして、シャッター部材により開閉されるウェル底部26の血液流出孔と血液流入孔の開口周囲にシーリングリングが設けられていないときには、シャッター部材の底部の連通孔の開口周囲にシーリングリングを設けることが好ましい。
【0016】
連通孔にカニューレアダプタを装着した後、血液透析中に連通孔からカニューレアダプタが簡単に外れないように、連通孔-カニューレアダプタ脱落防止手段を設けることが、血液透析中であっても簡単な軽作業を行うことを可能とする点で好ましい。連通孔-カニューレアダプタ脱落防止手段としては、透析中にカニューレアダプタが連通孔から容易に外れないようにする手段であれば特に制限されないが、シャッター部材の連通部外面に設けられている係止部と、該係止部と協働してカニューレを固定するカニューレに設けられた係止部材との組合わせを好適に例示することができる。上記、カニューレに設けられた係止部材がカニューレに固定されている先端がレの字状のフックの場合、シャッター部材の連通部外面に設けられている係止部としては、連通部外面の全周又はその一部に設けられた溝や凸部を挙げることができ、連通孔とカニューレアダプタとの結合の強さは、レの字状のフックの先端の角度とそれに応じた溝の切込み角度等により調節することができる。他の態様の連通孔-カニューレアダプタ脱落防止手段として、カニューレアダプタの材質あるいはシャッター連通部の材質のどちらかを永久磁石とし、他方を磁力を有するステンレス合金材料とする組合せを例示することができる他、連通孔内周面の雌ねじとカニューレアダプタ外周面の雄ねじによる螺合、半接着性高分子接着剤の使用等を挙げることができる。その他、オスのテーパー形状として構成されているカニューレアダプタの材質を弾性体とすることにより、連通孔から外れにくくすることもできる。
【0017】
上記一体型シャッターを用いる場合、シャッターが一方の端部(左端部又は右端部)に位置するときは、シャッターが閉状態で、シャッター連通孔と血液流出孔及び血液流入孔との連通が遮断されているが、シャッターを他方の端部(右端部又は左端部)に復帰させる方向に摺動させながら移動させると、シャッターが開状態となり、シャッター連通孔と血液流出孔及び血液流入孔とが連通することになる。この一体型シャッターを用いる場合、セパレート型シャッターに比べて部品数が少なく、一つのシャッターの移動により開閉することができ、また、シャッター連通部間の間隔が広くなり、例えば、カニューレに固定されている先端がレの字状のフックを用いる場合、該フックのシャッター連通部への取付け操作がし易くなる。
【0018】
上記一対のシャッターを備えたセパレート型シャッターを用いる場合、一対のシャッターが線対称で近接しているとき、シャッターが閉状態で、シャッターを互いに遠去かる方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッター連通孔と連通し、互いに接近する方へ摺動させると、本体に設けられた血液流出孔と血液流入孔が、シャッターに設けられた摺動部で閉塞されるようになっている。セパレート型シャッターを用いる場合、一方のみを摺動させ、血液流出孔と血液流入孔のいずれかと一つとシャッター連通孔とを連通状態とすることが可能となり、血液流出孔と血液流入孔の貫通孔側近傍に発生する可能性がある血栓を順次除去する作業が容易となる。
【0019】
本発明のブラッドアクセスを構成するシャッターカバーには、前記本体のウェルとの間に前記シャッター部材の摺動部を摺動・ガイドするポケットを形成しうるシャッター保持部と、前記シャッター部材の連通部の移動を可能とする立設部が設けられている。本体ウェルにシャッター部材をセットして、本体のウェルを構成する周壁上部にシャッターカバーを固着する方法は特に制限されないが、シャッターカバーを本体周壁上部に圧入した後、カシメる方法を好適に例示することができる他、溶着・溶接による固着方法や接着剤による固着方法を挙げることができる。シャッターカバーを本体周壁上部に圧入した後カシメる方法によると、シャッター部材の摺動時の操作荷重を簡便に調節しうる点で好ましい。シャッター部材の摺動時のクリアランスが大きく、操作荷重が小さすぎる場合、シャッター部材を軽い力で移動させることができることから、血液透析の開始及び終了時におけるシャッター摺動時のブラッドアクセス埋込み部での負荷が小さく、痛み等の違和感は少ないが、シャッター連通孔と血液流出孔及び血液流入孔との接続部で血液が漏洩するおそれがあり、他方、シャッター部材の摺動時のクリアランスが小さく、操作荷重が大きすぎる場合、シャッター部材の移動が重くなり、血液透析の開始及び終了時におけるシャッター摺動時のブラッドアクセス埋込み部での負荷が大きく、痛み等の違和感は大きいが、シャッター連通孔と血液流出孔及び血液流入孔との接続部で血液が漏洩するおそれがなくなる。
【0020】
このように、シャッター部材の摺動時の負荷の程度は、この種ブラッドアクセスの実用化の点で重要であり、2~8ニュートン、好ましくは3~6ニュートンとすることにより、シャッター摺動時のブラッドアクセス埋込み部での痛み等の違和感が少なく、また、シャッター連通孔と血液流出孔及び血液流入孔との接続部での血液漏洩の可能性が減少する。なお、本発明のブラッドアクセスにおいては、透析の開始及び終了時の血流の送出・遮断にシャッター方式を採用していることから、ブラッドアクセス埋込み部での痛み等の違和感は、シャッター移動方向である直線方向によるものに限られるが、例えば、前記特許文献3に記載されたブラッドアクセスは、透析の開始及び終了時の血流の送出・遮断に、円筒形の外部本体に嵌め込まれた円柱形の内部本体の回転を利用することから、ブラッドアクセス埋込み部での痛み等の違和感は、回転方向の捻れによるものであり、シャッター方式の採用により、ブラッドアクセス埋込み部での痛み等の違和感を大幅に削減することができる。
【0021】
上記シャッターカバーの立設部は、シャッター部材の連通部の移動を可能とするように、通常、シャッター保持部のほぼ中央に中空状に立設した細長小判状の周壁として構成されている。シャッター保持部より平面視小面積の立設部を設けることにより、皮膚から露見する部分を小面積とすることができる。また、シャッターカバー立設部の高さは、ブラッドアクセスを装着する患者の肉付きの程度にもよるが、シャッター部材をセットしたときの連通部の高さより高くすることが好ましく、この場合、立設部を容易にキャップにより遮蔽することができる。
【0022】
本発明のブラッドアクセスを構成するキャップは、シャッター部材の連通部の移動を可能とするシャッターカバー立設部を遮蔽する。この種ブラッドアクセスの安全使用の面からして必要である。かかるキャップの形状等は、シャッターカバー立設部に着脱可能で、シャッターカバー立設部を遮蔽しうるものであれば特に制限されないが、装着したときに簡単に外れないようなキャップ形状が好ましい。このようなキャップとして、シャッターカバーの立設部外周面上部に設けられた環状溝(環状突起)に嵌合する、外側周内面に設けられた環状突起(環状溝)を有するキャップや、シャッターカバーの立設部に密に嵌合しうる栓タイプのキャップを例示することができる。また、キャップをシャッターカバーに装着している間に、不慮にシャッター部材が動かないように、キャップ天板内面側に凸部を設けることが好ましい。かかる凸部としては、2つのシャッター連通孔に挿入しうる2つのテーパー状の凸部や、シャッター連通部とシャッターカバー立設部との間に挿入しうる凸部を例示することができる。その他、開閉にキーを必要とするロック方式とすることもできる。
【0023】
本発明のブラッドアクセスの材質としては、最外層が生体適合性材料となる材質であれば金属、プラスティック、シリコーンコーティング材など特に制限されないが、軽量でかつ強度で、血液適合性等に優れた材質が好ましい。さらに、酸化カルシウムと二酸化チタンと五酸化二リン及び酸化二ナトリウムから得られるリン酸カルシウムとチタンとを主成分とする多孔質結晶化ガラスに、線溶酵素を共有結合により固定化した血栓溶解能を有する生体適合性材料(特開平7-101878号公報)なども有利に用いることができる。生体適合性金属材料としては、チタン、チタン-バナジウム-アルミニウム合金、コバルト-クロム合金、コバルト-クロム-モリブデン合金、コバルト-ニッケル-クロム-モリブデン合金、生体適合性ステンレススチール、タンタル、ニオブ、ハフニウム、タングステンを挙げることができ、中でも軽量でかつ強度に優れるチタンが好ましい。例えば、シーリングリングを除く本体、シャッター部材、及びシャッターカバーをチタン製とすることが好ましいが、チタン間の摩擦によるカジリを軽減し、シャッターの開閉操作における操作荷重をより安定にするために、シャッター又は本体ウェル内面をテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂コーティングすることが好ましい。また、血液が接触する箇所を抗凝固性のパイロライトカーボンで被覆したり、生体組織と接触する箇所を生体組織との癒合性を高めかつ外部から侵入する細菌のバリアとするため、ダクロンベロアーのような生体親和性を有する繊維で被覆することもできる。そして、シーリングリングやキャップの材質としてはシリコンゴムを好適に例示することができる。
【0024】
体内に埋め込まれた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスを用いて人工透析を実施するには、シャッター閉の状態で、キャップを外し、透析装置に連結されたカニューレアセンブリのカニューレの先端を、シャッターの連通孔に挿入してカニューレと連結し、カニューレを把持して、あるいはピンセット等により、カニューレを連結したままシャッターを移動させ、シャッター開の状態とし、2つのシャッター連通孔と本体の血液流出孔と血液流入孔とを連通させて血液透析を行う。血液透析が終了すると、カニューレを連結したままシャッターを移動させシャッター閉の状態とし、2つのシャッター連通孔と本体の血液流出孔と血液流入孔との連通を遮断した後、カニューレをシャッター連通孔から抜き、キャップをかぶせる。このように、本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスを用いると、カニューレを連結したままシャッターを移動させることができることから、血液が漏洩・噴出することなく、また、カニューレをブラッドアクセスに容易に接続することができ、介助者なしに血液透析を行うことが可能となる。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスについてより詳細に説明する。なお、図1及び図2には本発明のブラッドアクセスの体内での設置状態やその使用状態が模式的に示されている。図3~図10にはセパレート型シャッターを備えた本発明のブラッドアクセスが、図11及び図12には一体型シャッターを備えた本発明のブラッドアクセスが示されている。図13~図15には本発明のブラッドアクセスとカニューレが連結された状態が示されている。本発明のブラッドアクセス10は、細長い本体20とシャッター部材30とシャッターカバー40とキャップ50とを備えている。
【0026】
本発明のブラッドアクセス10を構成する細長い本体20は、その上部に、内部にシャッター部材30を支持するためのウェル21を構成するほぼ垂直方向上方に延びた周壁22が設けられており、その下部に、本体の長さ方向に延びた貫通孔23が設けられ、貫通孔23の両端において、人工血管12U,12Dに吻合・連結するための円筒状のポート24U,24Dが設けられている。ポート24U,24Dには、嵌め込まれた人工血管12U,12Dが外れないように、凹凸25U,25Dが形成されている。ウェル底部21Bには貫通孔23に連通する、透析装置に血液を送出するための血液流出孔26Uと、透析後の血液を還流するための血液流入孔26Dが設けられている。
【0027】
図4~6及び図9~12に示される本発明のブラッドアクセス10では、傾斜した血液流出孔26Uと血液流入孔26Dとして構成され、図7及び8に示される本発明のブラッドアクセス10では、血液流出孔26Uと血液流入孔26Dが垂直に設けられている。また、ウェル底部21Bは、摺動自在にシャッター部材30を支持することができるように、平坦な平滑面として構成されており、ウェル底部21Bの血液流出孔26Uと血液流入孔26Dの開口周囲には、図4~6及び図9~12に示されるように、楕円形状のシーリングリング27が設けられている。
【0028】
本発明のブラッドアクセス10を構成するシャッター部材30には、本体の血液流出孔26Uと血液流入孔26Dとにそれぞれ連通可能な連通孔31U,31Dを有する連通部32U,32Dと、その下面が前記本体のウェル底部21Bと面一になるように平坦な平滑面として形成され、ウェル底部上を摺動可能に形成されている摺動部33がそれぞれ設けられている。
【0029】
シャッター部材30として、図4~6に示される本発明のブラッドアクセス10では、下方が傾斜したメスのテーパー孔として形成された連通孔31U,31Dが設けられた、外周面にカニューレアダプタ62に設けられたフックを係止する切欠き34U,34Dをもつ、垂直に形成された連通部32U,32Dを有する、一対のシャッター30U,30Dを備えたセパレート型シャッターとして構成されている。
【0030】
図7及び8に示される本発明のブラッドアクセス10では、シャッター部材30が、垂直な断面円形の連通孔31U,31Dが設けられた、シャッター部材を容易に移動することができるように上面に溝35U,35Dをもつ、垂直に形成された連通部32U,32Dを有する、一対のシャッター30U,30Dを備えたセパレート型シャッターとして構成されている。
【0031】
図9及び10に示される本発明のブラッドアクセス10では、シャッター部材30が、雌ねじが形成された大径部と雌ねじが形成されていない小径部からなる段差を有する傾斜した連通孔31U,31Dが設けられた、シャッター部材を容易に移動することができるように上面に溝35U,35Dをもつ、対向する上部が面取りされた連通部32U,32Dを有する、一対のシャッター30U,30Dを備えたセパレート型シャッターとして構成されている。特に、図10では、一対のシャッター30U,30Dが独立して移動しうることを示している。シャッター30Uでは連通孔31Uが血液流出孔26Uと連通しているが、シャッター30Dでは連通孔31Dと血液流出孔26Dとが連通していない。
【0032】
図11及び12に示される本発明のブラッドアクセス10では、下方が傾斜したメスのテーパー孔として形成された連通孔31U,31Dが設けられた、外周面にカニューレに設けられたフックを係止する切欠き34U,34Dをもつ、垂直に形成された連通部32U,32Dを有する、一体型シャッター30Mとして構成されている。
【0033】
図4~10に示されるセパレート型シャッターを備えた本発明のブラッドアクセス10では、一対のシャッター30U,30Dを互いに遠去かる方へ摺動させたときに、シャッター30U,30Dの各連通孔31U,31Dが、本体20に設けられた血液流出孔26Uと血液流入孔26Dと連通するようになっている。また、図11及び12に示される一体型シャッターを備えた本発明のブラッドアクセス10では、一体型シャッター30Mを一方の端部から他方の端部に摺動させたときに、シャッター30Mの各連通孔31U,31Dが、本体20に設けられた血液流出孔26Uと血液流入孔26Dと連通するようになっている。そして、連通時には、人工血管12U→貫通孔23→血液流出孔26U→シャッター連通孔31U→往路カニューレ61U→血液透析装置14→復路カニューレ61D→シャッター連通孔31D→血液流入孔26D→貫通孔23→人工血管12Dという透析還流経路が形成されることになる。
【0034】
本発明のブラッドアクセス10を構成するシャッターカバー40には、本体20のウェル21との間にシャッター部材30の摺動部33を摺動・ガイドするポケットを形成しうるプレート状のシャッター保持部41と、シャッター部材30の連通部32の移動を可能とする立設部42が設けられている。各ポケット内には、シャッター部材30が摺動可能に収容されることになる。立設部42は、シャッター保持部41のほぼ中央に中空状に立設した細長小判状の周壁として構成されており、周壁上方外面には、キャップ外側周内面に設けられた環状突起と嵌合する環状溝43が設けられている。図4~6並びに図11及び12に示される本発明のブラッドアクセス10では、シャッターカバー40が本体周壁22上部に圧入後、カシメることにより取り付けられている。図7~10に示される本発明のブラッドアクセス10では、シャッターカバー40が本体周壁22上部に溶着・溶接等により取り付けられている。
【0035】
本発明のブラッドアクセス10を構成するキャップ50は、シャッターカバー40の立設部42を遮蔽することができる。図4~12に示される本発明のブラッドアクセス10では、その不使用時にキャップ50が外れないように、シャッターカバーの立設部外周面上部に設けられた環状溝43に嵌合する、外側周内面に設けられた環状突起51を有するキャップとして構成され、また、キャップ50をシャッターカバー40に装着している場合であっても、不慮にシャッター部材30が動かないように、図4に示される本発明のブラッドアクセス10では、2つのシャッター連通孔31U,31Dに挿入しうる2つのテーパー状の凸部52が形成されたキャップとして、また、図5に示される本発明のブラッドアクセス10では、シャッター連通部32U,32Dとシャッターカバー立設部42との間に挿入しうる凸部53が形成されたキャップとして構成されている。
【0036】
本発明のブラッドアクセス10により透析する際には、透析装置14に連結されるカニューレアセンブリ60が用いられる。カニューレアセンブリ60には、通常可撓性材料で形成されている往路カニューレ61Uと復路カニューレ61Dを有し、各カニューレ61U,61Dの一端には、カニューレアセンブリ60をブラッドアクセス10のシャッター連通孔31U,31Dに装着するためのアダプタ62U,62Dが取付けられている。
【0037】
図13に示されるように、カニューレアダプタ62は、プラスチック等の合成樹脂材料製のチューブで形成されており、シャッター連通孔31に挿入し易いように、先端がシャッター連通孔31の内径よりも僅かに小さくかつ僅かに先細の形状に形成されている。また、カニューレアダプタ62には、過度の挿入を防ぐためのストッパ63が形成されている。さらに、カニューレアダプタ62には、血液透析時のカニューレ61の脱落を防止するためのフック64が取付けられている。フック64の先端には、シャッター連通部32の外周面に設けられた切欠き34に係止するための突起64aが設けられており、フック64自体は、リング64bによってアダプタ62に取付けられている。なお、図14に示されるように、シャッター連通部32の外周面に突起38を設け、フック64の先端には、突起38に係止される凹部64cを設けてもよい。
【0038】
また、図15に示されるように、カニューレアダプタ62の材質を永久磁石とし、シャッター部材30を磁力を有するステンレス合金材料として、シャッター連通孔31内面にシーリングリング39を配置する構成とし、カニューレアダプタ62のシャッター連通孔31への挿入をガイドし、かつカニューレアダプタ62とシャッター連通孔31とを水密に連結することもできる。
【0039】
カニューレ61は、透析装置14への連結回路を構成する管であり、図2に示されるように、カニューレ61には、透析装置14側の端部に、透析装置14の端子15に連結するためのコネクタ65が取付けられている。コネクタ65は、通常のねじ式コネクタでよく、カニューレ61は、血液透析時に患者が或る程度動き回ることができるのに必要な長さ(少なくとも3m)を有している。また、カニューレ61U,61Dは、別々の2本の管によって形成してもよく、2本の管を合体させて外見上1本の管のようにしたものでもよい。さらに、復路カニューレ61Dには、ロータリーバルブ66を設け、透析開始時と透析終了時の脱エアー処理を簡便に行うこともできる。
【0040】
以上のように構成された本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセス10の使用例について説明する。まず、図1に示されるように、上腕等の所望の部位にブラッドアクセス10を設置し、あらかじめブラッドアクセス10に連結されている人工血管12U,12Dを動脈又は静脈に吻合する。透析しようとする場合には、キャップ50を外し、透析装置15に連結されたカニューレアセンブリ60のカニューレ61U,61Dのアダプタ62U,62Dを、ブラッドアクセス10のシャッター連通孔31U,31Dに挿入し、フック64を用いてカニューレ61が外れないようにする。しかる後、セパレート型シャッターでは一対のシャッター30U,30Dを互いに遠去かる方へ摺動させ、一体型シャッターではシャッター30Mを一方の端部から他方の端部に摺動させて、血液流出孔26Uとシャッター連通孔31U及び血液流入孔26Dとシャッター連通孔31Dとを連通させる(図6,8,10,12参照)。
【0041】
連通後、血液透析装置14に設けられた駆動ポンプにより、血液は人工血管12U→貫通孔23→血液流出孔26U→シャッター連通孔31U→往路カニューレ61U→血液透析装置14に送出される。その際、人工血管12U→貫通孔23→血液流入孔26D→シャッター連通孔31D→復路カニューレ61Dとの経路で血液が流出するが、復路カニューレ61Dに設けられたロータリーバルブ66により遮断される。血液透析装置14で浄化された血液は、復路カニューレ61Dに戻され、緩衝液や空気の混在した初流の血液はロータリーバルブ66を介して廃棄された後、ロータリーバルブ66よりブラッドアクセス側の復路カニューレ61D→シャッター連通孔31D→血液流入孔26D→貫通孔23→人工血管12Dという経路で血管に還流される。血液透析が終了すると、セパレート型シャッターでは一対のシャッター30U,30Dを互いに接近する方へ摺動させ、一体型シャッターではシャッター30Mを他方の端部から一方の端部に摺動させて、血液流出孔26Uとシャッター連通孔31U及び血液流入孔26Dとシャッター連通孔31Dとの連通を遮断させる。次いで、カニューレ61を抜き、キャップ50で被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの体内での設置状態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスを使用して血液透析している状態を模式的に示す図である。
【図3】セパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの斜視図及び分解図である。
【図4】セパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの非透析時の状態を示す断面図である。
【図5】他の態様のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの非透析時の状態を示す断面図である。
【図6】図4及び図5のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの透析時の状態を示す断面図である。
【図7】他の態様のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの非透析時の状態を示す断面図である。
【図8】図7のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの透析時の状態を示す断面図である。
【図9】他の態様のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの非透析時の状態を示す断面図である。
【図10】図9のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの透析時の状態を示す一部拡大断面図である。
【図11】一体型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの非透析時の状態を示す断面図である。
【図12】図11の一体型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスの透析時の状態を示す断面図である。
【図13】図7のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスのシャッター連通孔にカニューレが挿入されている状態を示す一部拡大断面図である。
【図14】図7のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスのシャッター連通孔にカニューレが挿入されている状態を示す他の態様の一部拡大断面図である。
【図15】図4及び図5のセパレート型シャッターを備えた本発明の血液透析用非穿刺型ブラッドアクセスのシャッター連通孔にカニューレが挿入されている状態を示す一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 血液透析用非穿刺型ブラッドアクセス
12 人工血管
14 血液透析装置
20 本体
21 ウェル
22 ウェルを形成する周壁
23 貫通孔
24 ポート
26U 血液流出孔
26D 血液流入孔
27 シーリングリング
30 シャッター部材
30M 一体型シャッター
30U,30D セパレート型シャッター
31 連通孔
32 連通部
40 シャッターカバー
41 シャッター保持部
42 立設部
50 キャップ
60 カニューレアセンブリ
61 カニューレ
62 カニューレアダプタ
64 フック
66 ロータリーバルブ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14