TOP > 国内特許検索 > 炭素化合物を内包する微小粒子の複合体 > 明細書

明細書 :炭素化合物を内包する微小粒子の複合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4746834号 (P4746834)
公開番号 特開2005-113090 (P2005-113090A)
登録日 平成23年5月20日(2011.5.20)
発行日 平成23年8月10日(2011.8.10)
公開日 平成17年4月28日(2005.4.28)
発明の名称または考案の名称 炭素化合物を内包する微小粒子の複合体
国際特許分類 C08L  53/00        (2006.01)
C08K   3/04        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
FI C08L 53/00
C08K 3/04
B82B 1/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2003-352666 (P2003-352666)
出願日 平成15年10月10日(2003.10.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2003年9月24日~26日山口大学において開催された社団法人高分子学会第52回高分子討論会で発表。 特許掲載公報には、上記の摘記事項が掲載される。
審査請求日 平成18年9月26日(2006.9.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】長崎 幸夫
【氏名】片岡 一則
【氏名】小高 亮輔
個別代理人の代理人 【識別番号】110000741、【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
【識別番号】100094293、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 幸喜
審査官 【審査官】川上 智昭
参考文献・文献 特開2002-241307(JP,A)
特開平09-235235(JP,A)
特開2003-147418(JP,A)
調査した分野 C08L51/00-53/00,C08F293/00-297/00,
A61K31/131,A61K9/14,A61K47/34,
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
フラーレンC60と下記式(1)
【化1】
JP0004746834B2_000004t.gif
(式中、Lは3,3-ジエトキシプロピル基であるかまたは未置換のC1-12アルキル基を表し、R1および R2は、相互に独立してC1-6のアルキル基を表し、mは10~20,000であり、そしてnは1~10,000である。)で表されるブロックコポリマーから形成される複合体であって、かつ、水中で透明な分散液を形成しうる、ことを特徴とする複合体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、フラーレン60を内包し、そしてブロックコポリマーをベースとする微小粒子の複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
フラーレンC60は、それらの新奇な構造のため、多岐にわたる技術分野、例えば、医薬、体内診断、化粧品、等での使用が期待されている。
【0003】
しかし、特に、これらの技術分野で使用するには、フラーレンが水に不溶性であるため一定の制限があった。したがって、フラーレンを可溶化するためにフラーレンの炭素原子にヒドロキシル基を導入した各種フラロールの提供(特許文献1参照。)や、例えば、金属内包フラーレンまたはその塩の表面をスルホン基、ケトン基、アミノ基およびアルキル基からなる群より選ばれる官能基を有する多糖類で被覆したものも提供されている(特許文献2参照。)。

【特許文献1】特開平7-048302号公報
【特許文献2】特開平8-143478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フラーレンの可溶化が達成された新たな組成物または複合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの一部は、DNA等の生体内標的への有力な送達手段として、DNAとポリエチレングリコール-block-ポリ(2-N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレートのポリマーミセル複合体を提供した(K. Kataoka et al., Macromolecules 1999, 32, 6892-6894参照)。しかし、以外にも、本発明者らは、かかるブロックコポリマーは、水溶性であり、しかも炭素原子から本質的になるフラーレンC60とも複合体を形成し、それらを可溶化しうることを、ここに見出した。
【0006】
したがって、本発明によれば、フラーレンC60を内包したポリマーをベースとする微小粒子の複合体であって、微小粒子が、一般式(1):
【0007】
【化1】
JP0004746834B2_000002t.gif

【0008】
(式中、Lはジエトキシル化されているかまたは未置換のC1-12アルキル基を表し、R1 および R2は、相互に独立してC1-6のアルキル基を表し、mは 10~20,000であり、そしてnは1~10,000である。)で表されるブロックコポリマーから形成され、ポリエチレングリコールのポリマー鎖セグメントをシェル部とし、ポリ(メタクリル酸アルキルアミノエチル)のポリマー鎖セグメントをコア部とする、ことを特徴とする複合体が提供される。
【0009】
微小粒子が三級アミノ基または二級アミノ基を担持した反復単位を含有するポリマー鎖セグメントをコアとし、そして非イオン性の親水性ポリマー鎖セグメントをシエルとする構造物を形成できるブロックコポリマーに由来することを特徴とする微小粒子の複合体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従う、フラーレンを内包する微小粒子の複合体は、調製後に凍結乾燥した場合であっても、極めて容易に水中に分散もしくは溶解して透明で、かつ安定な溶液を形成しうる。
【0011】
以下、本発明をより具体的に記述する。
【0012】
本発明にいう、「フラーレンC60」とは、当該技術分野で周知の60の炭素原子からなる閉殻(またはかご形)構造を有する化合物である。また、本発明では、フラーレンC60の他に、フラーレンC50、C70および/またはC76等が10%程度まで含まれていても本発明の範囲に包含されるものと理解されねばならない。
【0013】
このような、フラーレンC60を上記一般式(1)で表されるブロックコポリマーで形成される微小粒子に封入するには、フラーレンC60とブロックコポリマーの両者を、それらを溶解しうる溶媒、例えば、塩化メチレン等に溶解した後、溶媒を留去し、次いで残留物を水に徐々に溶解していくか、または後述する実施例に記載する方法によればよい。
【0014】
こうして形成される微小粒子の複合体は、通常、ブロックコポリマー対炭素化合物を、重量比で、10000:1、好ましくは100:1の割合で含む。かような微小粒子の複合体は、水中で安定かつ透明な分散液または溶液を形成しうる。
【0015】
以下、具体例を参照しながら本発明をさらに具体的に説明するが、本発明をこれらに限定することを意図するものでない。
<ブロックコポリマーの製造例>
【0016】
【化2】
JP0004746834B2_000003t.gif
アセタール-PEG/PAMAの構造式
【0017】
アルゴン下200mLナスフラスコに溶媒として蒸留テトラヒドロフラン(THF)50mLを入れ、開始剤として3,3′-ジエトキシ-1-プロパノール(Mw=148、d=0.941)を157μL入れた。その後、カリウムナフタレン(K-Naph(c=0.3656mol/L))を2.73mL入れメタル化した。次にエチレンオキシド(EO(Mw=44、d=0.88))5.68mLを入れた後水冷下で2日間撹拌した。2日後、少量をサンプリングし、GPCで解析を行った後、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(PAMA;MW=157.21)を4.29mL入れ、氷冷下で30分撹拌し、GPCでサンプリングを行った。最後にメタノールで反応を停止させた。
【0018】
反応停止後、イソプロピルアルコール再沈、遠心分離を行い、ベンゼン凍結乾燥をし、回収した。
【0019】
精製したポリマーの分子量はPEG/PAMA=4,500/5,500であった。
【実施例1】
【0020】
透析法による水中でのフラーレンの分散安定化
フラーレン:アセタール-PEG-PMAMAブロックコポリマーの混合比(F:P)が1:0、1:0.5、1:1となるように溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)25mL中にフラーレン1mg、ブロックコポリマー13.8mgを加え(F:P=1:1の場合)、6時間超音波処理を行った後、一晩静置した。その後、蒸留水で一晩膨潤させた分画分子量12000-14000の透析膜中に溶液を入れ、透析を行った(水交換3回)。こうして得られた30mLのフラーレン内包微小粒子の溶液の溶媒を凍結乾燥により除去し、その後蒸留水5mL加え、再分散させた。その後、再度DLS測定を行った。
【0021】
こうして濃縮後の溶液はフラーレン特有の黒褐色を呈した。ブロックコポリマー非存在下では濃縮によって濁度を生ずるものの、本発明に従う複合体では凍結乾燥後にも極めて容易に水中に分散溶解した。混合比がF:P=1:1、1:0.5のものを再度DLS測定を行ってみたところ、濃縮再分散を行う前よりはフォトンカウントが増加したが、依然測定に十分なフォトンカウントは得ることができなかった。このようにこの条件で調製したフラーレン粒子は光散乱で検出できる粒径(およそ3nm)以下のほぼ分子状分散に近い形で分散している。
【実施例2】
【0022】
バブリング蒸発法による水中でのフラーレンの分散安定化
フラーレン1mgを塩化メチレン溶媒25mLに混ぜ、超音波をかけることで塩化メチレン中に溶解させた。その後、アセタール-PEG-PMAMAブロックコポリマー139mgを溶媒に入れ、超音波を2時間かけた後、一晩静置した。
【0023】
このようにして調製した塩化メチレン溶液をアルゴンバブリングをしている蒸留水40mLに滴下していった。こうして調製した溶液は、実施例1に記載のものと同様に、淡黄色の透明溶液を与える微小粒子の複合体を提供した。得られた水中分散安定化フラーレン複合体の溶液のDLS測定を行った結果、粒径170nm程度のナノ粒子が形成されていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に従う、フラーレン内包微小粒子複合体は、フラーレンを水可溶化しうるので、医薬、診断薬等の分野でのフラーレンの使用範囲を拡大できる。