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明細書 :超音波振動子及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3787725号 (P3787725)
公開番号 特開2005-118394 (P2005-118394A)
登録日 平成18年4月7日(2006.4.7)
発行日 平成18年6月21日(2006.6.21)
公開日 平成17年5月12日(2005.5.12)
発明の名称または考案の名称 超音波振動子及びその製造方法
国際特許分類 A61B   8/12        (2006.01)
FI A61B 8/12
請求項の数または発明の数 13
全頁数 14
出願番号 特願2003-358516 (P2003-358516)
出願日 平成15年10月17日(2003.10.17)
審査請求日 平成15年10月17日(2003.10.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000167989
【氏名又は名称】江刺 正喜
【識別番号】597086128
【氏名又は名称】芳賀 洋一
発明者または考案者 【氏名】江刺 正喜
【氏名】芳賀 洋一
【氏名】水島 昌徳
【氏名】松永 忠雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100082876、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 一幸
【識別番号】100069958、【弁理士】、【氏名又は名称】海津 保三
審査官 【審査官】右▲高▼ 孝幸
参考文献・文献 特開昭48-98692(JP,A)
特開平5-168094(JP,A)
特開2000-23290(JP,A)
特開2000-165996(JP,A)
特開2000-184498(JP,A)
特開2000-307162(JP,A)
特開2000-358299(JP,A)
特開2001-238885(JP,A)
特開2002-84597(JP,A)
芳賀洋一 他,超音波体腔内走査のためのマイクロマシン技術,先端医療,1998年 3月20日,vol.5, no.1, pp.48-51
調査した分野 A61B 8/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ベース部と、該ベース部の表面に配置されていて半球状に突出した表面を有する複数個の取付部と、上記各取付部毎にその表面に取り付けた第一電極と、上記各取付部の表面形状の曲率を備えるように上記第一の電極の上に配置された超音波素子と、これらの超音波素子の上に取り付けた共通電極としての第二電極と、を備えた超音波振動子。
【請求項2】
前記ベース部が円筒状に形成されており、前記各取付部が該ベース部の環状の先端面上に並んで配置されている、請求項1に記載の超音波振動子。
【請求項3】
前記ベース部が円柱状或いは角柱状に形成されており、前記各取付部が該ベース部の円状或いは矩形状の先端面上に並んで配置されている、請求項1に記載の超音波振動子。
【請求項4】
前記各取付部が該ベース部の側面上に並んで配置されている、請求項1に記載の超音波振動子。
【請求項5】
前記第一電極と前記第二電極との間で前記超音波素子以外の領域に、絶縁層を配置した、請求項1~4の何れかに記載の超音波振動子。
【請求項6】
前記ベース部をポリマーで形成した、請求項1~5の何れかに記載の超音波振動子。
【請求項7】
前記ベース部を液晶ポリマーで形成した、請求項6に記載の超音波振動子。
【請求項8】
前記超音波素子が、圧電セラミックスアレイをポリマーに埋め込むことにより構成されている、請求項1~7の何れかに記載の超音波振動子。
【請求項9】
前記超音波素子が、1-3コンポジット構造の圧電セラミックスアレイから構成されている、請求項7に記載の超音波振動子。
【請求項10】
前記超音波素子が、直径数十μmの圧電セラミックスを含んでいる、請求項8又は9に記載の超音波振動子。
【請求項11】
カテーテルの先端に、前記請求項1~10の何れかに記載の超音波振動子を取り付けた超音波式内視鏡。
【請求項12】
環状の先端面に沿って複数個の曲率を有する取付部を備えた円筒状のベース部の先端面に対して、第一電極を形成する第一の段階と、
上記ベース部の先端面に備えられた各取付部の表面に対して、平坦に形成された1-3コンポジット構造の圧電セラミックスアレイから成る超音波素子を押し型により押し付けて密着させる第二の段階と、
上記各取付部の表面に密着された各超音波素子の表面に第二電極を形成する第三の段階と、
を含んでいることを特徴とする、超音波振動子の製造方法。
【請求項13】
前記第二の段階の後、ベース部の先端面の各取付部を除いた領域の表面に対して、絶縁層を形成する段階を含んでいることを特徴とする、請求項12に記載の超音波振動子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロマシン分野に利用し、複雑な機械や配管に入り込んで検査やメンテナンスなどを行い、さらにカテーテルとして人体の血管や器官などに入り込んで診断又は治療などに利用し得る能動導管に利用することができる超音波振動子とその製造方法に係り、例えば、カテーテルの先端に取り付けられ、血管内の超音波画像を得るための超音波プローブとして使用される超音波振動子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば動脈硬化病変の診断や、血管内狭窄部拡張後のステント留置の経過観察のために、外径2mm程度の血管内超音波内視鏡が広く利用されている。このような血管内超音波内視鏡はその殆どが海外製品であり、非常に高価であった。
【0003】
ここで、このような血管内超音波内視鏡は、例えばメカニカルスキャン方式や電子スキャン方式のものが知られている。メカニカルスキャン方式のものは、発振子と受信子を兼用する一個の超音波素子を回転させるように構成されている。しかしながら、このようなメカニカルスキャン方式のものは、音響レンズを使用して超音波を集束させる必要があって構造が複雑となることから、部品コスト及び組立コストが高くなってしまう。
【0004】
また、電子スキャン方式のものは、例えば32個または64個の振動子アレイを使用して個々の振動子を電気的に切り換えて、見かけ上走査範囲を回転させるように構成されている。しかしながら、このような電子スキャン方式のものは、適宜の指向性を備えた最適なビームを生成するための制御系に負担が大きく、高価になってしまう。
【0005】
これに対して、例えば特許文献1や非特許文献1及び2に示すような構成の超音波内視鏡も知られている。
特許文献1による超音波振動子は、可撓性のポリマーシート上に複数個の直線状の超音波トランスデューサを平行に並べることにより変形可能に構成されており、このポリマーシートを円筒状に丸めることにより超音波内視鏡が構成され得るようになっている。このような構成によれば、この円筒状の超音波内視鏡を血管内に挿入することによって血管内腔から周囲を観察することが可能になる。
【0006】
また、非特許文献1による超音波内視鏡は、超音波振動子を凸面形状に形成することによって超音波振動子の指向性を低減するように構成されている。この構成によれば、超音波振動子の凸面から超音波が拡散して放射されることにより、超音波振動子の指向性が拡ることになる。
【0007】
さらに、非特許文献2による超音波振動子は、可撓性のあるポリマー製の圧電超音波センサーを凹状に形成することにより、指向性を備えるように構成されている。

【特許文献1】米国特許第6238347号明細書
【非特許文献1】南部雅幸、他3名、「凸形表面送波子を用いたリングアレイプローブ」,電気学会論文誌E,121巻3号,2001年刊、107~112頁
【非特許文献2】Aaron Fleischman他5名「Miniature high frequency focused ultrasonic transducers for minimally invasive imaging procedures 」Sensors and Actuaters A:Physical,103巻,2003年刊、76乃至82頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した各特許文献及び非特許文献による超音波振動子または超音波内視鏡においては、下記のような問題があった。即ち、特許文献1においては、超音波内視鏡がポリマーシートを丸めることにより構成されていることから、各超音波振動子による超音波の指向性を制御することは困難である。また、振動子が小さくなるほど指向性が低くなってしまうという問題がある。
【0009】
また、非特許文献1においては、凸面形状は、PZT振動子の表面を凸形に形成することにより得られるが、このようなPZT振動子の加工は困難であり、微小化するほど必要とされる曲率半径は小さくなり、微小化には限界がある。
【0010】
最後に、非特許文献2においては、凹型形状は、高分子圧電膜材料であるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)の表面を凹型に形成することにより得られ、比較的高い指向性を得ることが可能であるが、円状の超音波素子をアレイ状に並べている。しかし、この振動子はフレキシブルなPVDFシートを吸引することによって得られるが、PVDFよりも発振強度の大きいPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)またはPZTの複合圧電振動子にPVDFシートと同様に吸引による取付け適用することは、PZTが硬いことから難しい。
【0011】
このようにして、従来の超音波振動子を利用した超音波内視鏡は、指向性を制御し、直径2mm以下に微小化して構成することは困難であった。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑み、簡単な構成により、容易に指向性を制御して高画質の超音波画像を得ることができると共に、微小化して構成し得るようにした超音波振動子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の超音波振動子は、ベース部と、ベース部の表面に配置されていて半球状に突出した表面を有する複数個の取付部と、上記各取付部毎にその表面に取り付けた第一電極と、上記各取付部の表面形状の曲率を備えるように上記第一の電極の上に配置された超音波素子と、これらの超音波素子の上に取り付けた共通電極としての第二電極と、を備えている。
なお、前記ベース部が円筒状に形成されている場合には、前記各取付部がベース部の環状の先端面上に並んで配置され、前記ベース部が円柱状或いは角柱状に形成されている場合には、前記各取付部がベース部の円状或いは矩形状の先端面上に並んで配置される。また、前記ベース部が円筒状,円柱状,角柱状の何れかの形に形成されている場合には、前記各取付部がベース部の側面上に並んで配置されてもよい。
【0014】
さらに、本発明の超音波振動子は、前記第一電極と前記第二電極との間で前記超音波素子以外の領域に、絶縁層を配置していることを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の超音波振動子は、例えば、前記ベース部をポリマー又は液晶ポリマーで形成していることを特徴としている。
【0016】
さらに、本発明の超音波振動子においては、前記超音波素子が、圧電セラミックスアレイをポリマーに埋め込むことにより構成されている。さらに、好ましくは、前記超音波素子は、1-3コンポジット構造の圧電セラミックスアレイから構成される。
【0017】
さらに、本発明の超音波振動子においては、前記超音波素子が、直径数十μmの圧電セラミックスを含んでいる
【0018】
このように構成された超音波振動子をカテーテルの先端に取り付けて、超音波式内視鏡として使用することができる。
【0019】
さらに、本発明の超音波振動子の製造方法は、環状の先端面に沿って複数個の曲率を有する取付部を備えた円筒状のベース部の先端面に対して、第一電極を形成する第一の段階と、上記ベース部の先端面に備えられた各取付部の表面に対して、平坦に形成された1-3コンポジット構造の圧電セラミックスアレイから成る超音波素子を押し型により押し付けて密着させる第二の段階と、上記各取付部の表面に密着された各超音波素子の表面に第二電極を形成する第三の段階と、を含んでいることを特徴としている。
【0020】
さらに、本発明の超音波振動子の製造方法は、前記第二の段階の後、ベース部の先端面の各取付部を除いた領域の表面に対して、超音波素子とほぼ同じ高さの絶縁層を形成する段階を含んでいる。
【0021】
さらに、本発明の超音波振動子の製造方法は、前記絶縁層がエポキシ樹脂から構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
上記構成によれば、取付部を備えたベース部は、例えば微細加工による精密型を使用することにより、微細に形成され得ると共に、超音波素子が曲率を有する取付部の表面に対して第一電極の上から押し付けられることにより、その可撓性に基づいて取付部の表面形状に従って変形し、その表面に密着して配置され得る。このようにして、個々の取付部の表面に配置される超音波素子は、それぞれ取付部の表面形状に従って、所定の曲率を備えることになる。
【0023】
従って、ベース部の各取付部が例えば液晶ポリマー等のポリマーによって微細成形にて高精度に形成されることにより各超音波素子も同様に高精度で形成されるので、超音波素子から出射される超音波の指向性が各取付部の表面形状に基づいて高精度に制御される。そして、ベース部が微細加工により成形されることによって、超音波振動子全体が容易に微小化され、外径数mm以下に構成される。
【0024】
ここで、ベース部の先端面が凸状に形成されているので、各取付部に密着した超音波素子がそれぞれ凸状に配置されることになり、各超音波素子の表面から出射する超音波の指向性が低くなるので、広い角度範囲に亘って超音波を照射することができる

【0025】
このようにして、本発明によれば、カテーテル用超音波振動子をカテーテルの先端に装着して、超音波内視鏡を構成した場合に、外径数mm以下の超音波内視鏡を構成することが可能になると共に、上述したようにベース部の各取付部の表面形状に基づいて、超音波振動子から出射する超音波の指向性を制御することができるので、戻って来る超音波を受信することにより、高画質の超音波画像を取得することができる。
【0026】
従って、種々の曲率半径を有する取付部を備えたベース部を使用して超音波振動子を構成することにより、取付部の曲率半径に依存した指向性を有する複数種類の超音波振動子を構成することができる。これにより、最適な指向性を有する超音波振動子を使用して超音波内視鏡を構成することによって、簡単な構成により低コストで、例えば血管内狭窄部に関して高画質の超音波画像を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に示した実施形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。
図1~図4は、本発明によるカテーテル用の超音波振動子の一実施形態を示している。図1において、超音波振動子10は、鎖線で示されたカテーテル20の先端に装着されるものであって、円筒状のベース部11と、ベース部11の環状の先端面にて円周方向に沿って備えられた複数の取付部11aに対して取り付けられた超音波素子12と、から構成されている。
【0028】
上記ベース部11は、図2に示すように、例えば液晶ポリマー等のポリマーから構成され、例えば精密立形加工装置を使用することにより微細加工により形成されている。そして、上記ベース部11は、カテーテル20の外径とほぼ同じ外径、例えば3.0mmを有し、またカテーテル20の内径とほぼ同じ内径、例えば1.5mmを有している。
【0029】
さらに、上記ベース部11は、その環状の先端面にそって、複数個、図示の場合8個の取付部11aを一体に備えている。各取付部11aは、図3に示すように、それぞれベース部11の先端面から高さH(例えば0.2mm)だけ立ち上がった後、曲率半径R(例えば0.66mm)を備えるように半球状に形成されている。また、図3に示す構成例では、ベース部11の先端面から膨出している取付部11aは、ベース部11の先端面に環状に8個形成されているが、取付部11aの数は8個に限定されるものではない。
【0030】
上記超音波素子12は、各取付部11aにそれぞれ一つずつ設けられるものであり、平面状に構成されていて、図3に示すように、上記各取付部11aの凸状の表面に対して押し型を使用して密着され、例えば導電性接着剤等により固定される。これにより、超音波素子12は、当該取付部11aの表面形状と実質的に同じ曲率半径を備えるようになっている。
【0031】
そして、上記超音波素子12は、図4に示すように、所謂1-3コンポジット構造であって、例えば縦25μm×横25μmの面を有する角柱に形成されたPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)から成る圧電セラミックスアレイ12aを可撓性を有するポリマー12bに埋め込むことにより構成されている。なお、1-3コンポジット構造とは、本発明において言えば、PZTとポリマーとの配置関係であり、具体的に言えば、角柱に形成されたPZTの上面と底面とを除く全側面をポリマーが覆うように、PZTまわりにポリマーが配置されている構造を言う。因みに、直方体のPZTの全周、全ての面(六面)をポリマーが覆うような配置構造を0-3コンポジット構造と言う。
【0032】
さらに、上記超音波素子12に対して配線を行なうために、図3にて各超音波素子12の下面及び上面に第一電極13及び第二電極14が設けられている。
第一電極13は、例えばNi/Cu等から構成されており、ベース部11の先端面にて、各取付部11aを含む表面全体に例えば無電解めっき等により形成されると共に、各取付部11a毎に分割されるように、例えばレーザ加工により切断線13aに沿って切断されている。また、第二電極14は、例えばCr/Au等から構成され、各超音波素子12の上から、ベース部11の表面全体に例えば無電解めっき等により形成されている。なお、第二電極14は、接地(アース)の共通電極であるので、第一電極と異なり、各取付部11a毎に分割されてはいない。
【0033】
ベース部11の先端面は、超音波素子12がそれぞれ取り付けられる取付部11a以外の領域にて、第一電極13上に絶縁層15が形成されている。この絶縁層15は、例えばエポキシ樹脂により構成されており、第一電極13と第二電極14を互いに電気的に絶縁するようになっている。
【0034】
ここで、上記超音波素子12は、例えば図5に示すようにして、所謂Dice and Fill法により作製される。即ち、図5において、まず工程Aにて、例えば厚さ150μmのPZT板30を熱剥離シート31上に載置し、続いて工程Bにて、ダイサー(図示せず)を使用して、幅70μmの位置で幅35μmの縦方向に延びる平行な溝32を加工した後、工程Cにて上記溝32内にエポキシ樹脂33を充填する。
その後、工程Dにて、同様にして横方向に延びる溝34を加工し、ポリマーとしてのエポキシ樹脂33を充填する。
【0035】
次に、工程Eにて、PZT板30上にはみだしているエポキシ樹脂33を研磨等により除去して、工程Fに示すようにPZT板30の上面を露出させる。
続いて、工程Gにて、例えばO2 反応性イオンエッチング法により、エポキシ樹脂33を例えば20μm程度エッチングにより除去する。なお、図5中に示す工程E~Gの図は、PZT板30を側面視した概略拡大図である。
最後に、工程Hにて、例えばレーザ加工により、直径800μm~950μm程度の円形に切断加工する。
このようにして、各取付部11aの表面形状に対応した寸法の平坦な円板状の超音波素子35が完成することになる。そして、この平坦な円板状の超音波素子35は、PZT板30によるPZT圧電セラミックスの微小な柱の配列が可撓性を備えたポリマーであるエポキシ樹脂33中に埋め込まれた、所謂1-3コンポジット構造となる。
【0036】
本発明実施形態によるカテーテル用の超音波振動子10は以上のように構成されており、図6に示すようにして組立てが行なわれる。
即ち、図6において、まず工程Aにて、凸状の取付部11aを備えたベース部11を液晶ポリマーにより微細加工し、続いて工程Bにて、ベース部11の各取付部11aを含む表面全体に、第一電極13となるべき電極層40を、例えば無電解メッキ等により形成すると共に、各取付部11a毎に電極層40をレーザ加工により切断加工する。その後、工程Cにて、電極層40の上から、各取付部11aの表面領域に対して導電性接着剤41を塗布する。
【0037】
他方、工程Dにて、ベース部11の取付部11aを含む先端面に対応して形成された押し型42に関して、その取付部11aに対応する凹部42a上に前述した平坦な円板状の超音波素子35を載置する。ここで、凹部42aは、取付部11aの表面形状に対応して半球面状に形成されており、その開口端部に段42bを有している。この段42bに超音波素子35を載置する。
そして、工程Eにて、工程Cで導電性接着剤41を塗布したベース部11を上下逆転して、取付部11aを下向きにした状態で押し型42に対向させて、各取付部11aを超音波素子35を介して対応する凹部42a内に押し込む。これにより、平坦な円板状の超音波素子35は、それぞれ凹部42a内にてベース部11の対応する取付部11aにより押圧され、そのポリマーの可撓性に基づいて、取付部11aの表面形状に従って変形すると共に、前記導電性接着剤41の接着力により取付部11aの表面に沿って密着する。
【0038】
その後、工程Fにて、押し型42からベース部11を外すと、ベース部11の各取付部11aの表面には、それぞれ超音波素子35が押し型42によって変形して密着され、導電性接着剤41の接着力により固定保持され、超音波素子12が取り付けられることになる。続いて、工程Gにて、ベース部11の取付部11aを除いた領域にエポキシ樹脂43が塗布され、硬化することにより絶縁層15が形成される。
最後に工程Hにて、ベース部11の取付部11aそして超音波素子12を含む表面全体に亘って第二電極14が形成される。このようにして超音波振動子10が完成する。
【0039】
このようにして組み立てられた超音波振動子10によれば、ベース部11の後端面が、例えばカテーテルの先端面に取り付けられることにより、超音波内視鏡が構成される。そして、超音波内視鏡が、例えば血管内に挿入されることによって、その先端に取り付けられた超音波振動子10では、第一電極13と第二電極14の間に選択的に電圧の印加が行なわれることにより、選択された超音波素子12のみが駆動されて、当該超音波素子12から超音波が出射される。そして、血管内の狭窄部等による反射エコーが再び超音波素子12に当たることにより超音波素子12により受信され、外部に接続された検出装置等により受信信号が処理されて超音波画像が取得されることになる。
【0040】
この場合、各超音波素子12は、ベース部11の対応する取付部11aの凸状の形状に基づいて凸状に配置されていることから、より広い角度範囲で超音波を出射することになり、低指向性を備えることになる。例えば、図7(A)に示す従来の平坦な超音波素子による音場シミュレーションと比較して、上述した本発明の実施形態に係る凸状の超音波素子12による音場シミュレーションは、図7(B)に示すように、広い角度範囲で拡って超音波が出射することが確認された。
【0041】
そして、指向性については、超音波源として、ニードル形PVDF超音波センサー(駆動周波数15MHz)を使用して評価実験を行なった結果、図8(A)に示す従来の平坦な超音波素子による相対強度0.5以上となる角度範囲が13度であるのに対して、上述した本発明の実施形態に係る凸状の超音波素子12による指向性は、図8(B)に示すように、同様に相対強度0.5以上となる角度範囲が23度と、低指向性を有することが確認された。
【0042】
このようにして、本発明の実施形態によれば、ベース部11の取付部11aを、例えばμmレベルの微細加工技術を応用して微細加工することによって、サブmmサイズの微細な曲面の取付部11aを備えたベース部11を高精度で微小に成形することができる。そして、このような高精度の取付部11aの表面に対して平坦に形成されると共に、ポリマーにより可撓性を備える1-3コンポジット構造の超音波素子12を、押し型42を使用して密着させることにより、高精度の曲率半径を有する超音波素子12を配置することが可能である。
【0043】
従って、ベース部11の取付部11aを高精度に加工することにより超音波素子12を高精度の曲率半径で整形することが可能となり、これにより超音波素子12の超音波の指向性を制御することが可能になると共に、ベース部11自体の微小化によって超音波振動子10自体を微小に構成することが可能になる。従って、例えば血管内狭窄部の観察等のために、カテーテルの先端に装着して超音波内視鏡を構成するために適した超音波素子を構成することができる。
【0044】
上述した実施形態においては、ベース部11の各取付部11aが凸状に形成されていることで、各超音波素子12が対応する取付部11aの表面形状に従って凸状に形成され、広い角度範囲の指向性を備えるようになっているが、これに限らず、ベース部11の成形型を製造する際に適宜の曲率半径を付与することによって、ベース部11の各取付部11aは平坦にもまた凹状にも形成することができる。特に、図9に示すように、取付部11aが凹状に形成される場合には、各超音波素子12も、取付部11aの表面形状に従って凹状に形成されることになり、比較的狭い指向性を備えることになる。従って、凹状の超音波素子12を使用することによって、血管内狭窄部等のより正確な超音波画像を取得することが可能になる。
このように、取付部11aは、ベース部11の先端面に対して突出したり、凹んだりした任意の形状に形作ることができが、その取付部11の表面形状は、非球面形状に形成されてもよいことは勿論である。
【0045】
また、上記の説明では、ベース部11が円筒状に形成される場合を例示したが、図10(A)に示すようにベース部11を円柱状に形成したり、図10(B)に示すようにベース部11を直方体,立方体などの角柱状に形成してもよい。また、取付部11aの配置は、上記説明ではベース部11の先端面であったが、その位置に限らず、例えば、図10(C)に示すように、ベース部11の側面に取付部11aを配置してもよい。なお、図10(A)~(C)に示すベース部11においても、取付部11が突出して或いは凹んで形成されてもよいこことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるカテーテル用超音波振動子の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の超音波振動子におけるベース部の構成を示す概略斜視図である。
【図3】図1の超音波振動子における超音波素子付近の構成を示す部分概略断面図である。
【図4】図1の超音波振動子で使用される超音波素子の取付前の状態を示す拡大斜視図である。
【図5】図4の超音波素子の製造工程の一例を順次に示す工程図である。
【図6】図1の超音波振動子の組立工程を順次に示す工程図である。
【図7】(A)は従来の超音波振動子を、(B)は図1の超音波振動子の音場シミュレーションを示す図である。
【図8】(A)は従来の超音波振動子を、(B)は図1の超音波振動子の指向性を示すグラフである。
【図9】本発明の実施形態に係る超音波振動子における超音波素子付近の他の構成例を示す部分概略断面図である。
【図10】(A)~(C)は、本発明の実施形態に係るベース部の他の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10 カテーテル用の超音波振動子
11 ベース部
11a 取付部
12,35 超音波素子
12a 圧電セラミックスアレイ
12b ポリマー
13 第一電極
13a 切断線
14 第二電極
15 絶縁層
20 カテーテル
30 PZT板
31 熱剥離シート
32,34 溝
33 エポキシ樹脂(ポリマー)
34 平坦な円板状の超音波素子
40 電極層
41 導電性接着剤
42 押し型
42a 凹部
43 エポキシ樹脂
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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