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明細書 :廃ガラスの再生方法および再生ガラス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4325856号 (P4325856)
登録日 平成21年6月19日(2009.6.19)
発行日 平成21年9月2日(2009.9.2)
発明の名称または考案の名称 廃ガラスの再生方法および再生ガラス
国際特許分類 C03C   6/02        (2006.01)
C03B   1/00        (2006.01)
C03B  20/00        (2006.01)
C03C   3/06        (2006.01)
C04B  18/16        (2006.01)
FI C03C 6/02
C03B 1/00
C03B 20/00 D
C03C 3/06
C04B 18/16
請求項の数または発明の数 15
全頁数 31
出願番号 特願2003-528733 (P2003-528733)
出願日 平成14年9月11日(2002.9.11)
国際出願番号 PCT/JP2002/009268
国際公開番号 WO2003/024879
国際公開日 平成15年3月27日(2003.3.27)
優先権出願番号 2001277147
2002079735
優先日 平成13年9月12日(2001.9.12)
平成14年3月20日(2002.3.20)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成17年4月27日(2005.4.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】赤井 智子
【氏名】陳 丹平
【氏名】増井 大二
【氏名】藏岡 孝治
【氏名】矢澤 哲夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100080034、【弁理士】、【氏名又は名称】原 謙三
審査官 【審査官】山崎 直也
参考文献・文献 特開平11-197641(JP,A)
特開2001-198565(JP,A)
特開2000-226248(JP,A)
特開平06-199538(JP,A)
特開平05-058650(JP,A)
特開2001-019450(JP,A)
特開2002-346500(JP,A)
調査した分野 C03B 1/00- 5/44
20/00
C03C 1/00-14/00
15/00-23/00
C04B 18/16
B09B 1/00- 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
ナトリウムを有する廃ガラスを粉砕して粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスを酸水溶液に浸漬させることにより、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させて、上記ナトリウムを除去する酸処理工程と、を含み、
上記粉砕廃ガラスの粒径が100μm以下であることを特徴とする廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項2】
上記粉砕廃ガラスの粒径が38μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項3】
溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料と廃ガラスと含んでなる酸化ホウ素含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程と、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において溶融された酸化ホウ素含有廃ガラスを固化して粉砕し、粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる酸処理工程と、を含むことを特徴とする廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項4】
溶融により酸化リンとなる酸化リン原料と廃ガラスとを含んでなる酸化リン含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化リン含有廃ガラス溶融工程と、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において溶融された酸化リン含有廃ガラスを固化して粉砕し、粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる酸処理工程と、を含むことを特徴とする廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項5】
上記酸処理工程における酸水溶液の温度が50℃以上200℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項6】
上記酸処理工程における酸水溶液の濃度が0.1規定以上4規定以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項7】
上記粉砕廃ガラスの粒径が6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の廃ガラスのリサイクル方法。
【請求項8】
廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する溶融工程と、上記溶融工程で得られた溶融物を固化させてガラスを得る固化工程と、上記固化工程で得られたガラスを酸水溶液と接触させる酸処理工程と、酸処理されたガラスを焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする透明ガラスの製造方法。
【請求項9】
上記溶融工程は、溶融温度が1350℃以上1450℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項8記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項10】
上記酸処理工程は、酸水溶液を新しいものに交換しながら複数回行われることを特徴とする請求項8記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項11】
上記焼成工程は、ガラスの焼成温度が800℃以上1200℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項8記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項12】
上記溶融工程は、廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と、溶融により酸化アルミニウムとなる酸化アルミニウム原料と共に加熱して溶融することを特徴とする請求項8に記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項13】
上記溶融工程は、溶融状態における各原料の量に換算した仕込み量として、廃ガラス100重量部に対して、40重量部以上100重量部以下の範囲内の酸化ホウ素原料と、30重量部以上150重量部以下の範囲内の酸化珪素と、4重量部以上20重量部以下の範囲内の酸化ナトリウム原料と、4重量部以上8重量部以下の範囲内の酸化アルミニウム原料とを共に加熱して溶融するものであることを特徴とする請求項12に記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項14】
上記固化工程の後に、ガラスを熱処理する熱処理工程をさらに含むことを特徴とする請求項8~13のいずれか1項に記載の透明ガラスの製造方法。
【請求項15】
上記熱処理工程は、熱処理の温度が500℃以上700℃以下の範囲内であることを特徴とする請求項14に記載の透明ガラスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、廃ガラス中から酸化珪素(SiO)以外の成分を除去することにより、廃ガラスを、例えば、セメント骨材や、酸化珪素粉末として再利用する廃ガラスのリサイクル方法、および再生ガラス、並びに、現在廃棄物として問題となっている着色廃ガラスから透明ガラスを製造する方法、より詳細には、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから、金属系の着色成分等の成分を除去して、紫外領域まで高い光透過率を持つ透明ガラスの製造方法、および透明ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において廃棄物処理場不足の問題は深刻であり社会問題となりつつある。このため、廃棄物を資源として再生し利用すること、即ちリサイクルして資源を節約するとともに環境汚染を防止することは大きな関心を集めている。
【0003】
現在、製品として利用された後に回収されるガラス(以下、市中廃ガラスと記す)のうち、比較的リサイクルが進んでいるのは無色および茶色のガラス瓶のみである。これら以外の黒色や緑色のガラス瓶、自動車のフロントガラス、ブラウン管用ガラス、液晶パネル用ガラス、窓ガラス等のガラス建材等は現在リサイクルが進みつつあるが大部分が廃棄されている。また、工場でガラスの製造プロセスにおいて生じるガラス(以下、工場廃ガラスと記す)のうち、不良品や切り落としくず等は再利用されているが、色や組成の異なるガラスを溶融する場合に炉を洗う際に出るガラスは大部分が廃棄されている。
【0004】
上記説明したように、近年、廃棄物処理場不足の問題は深刻であるため、上記市中廃ガラスおよび工場廃ガラス(以下両者を区別しない場合は、廃ガラスと記す)を回収して再利用することの重要性は今後さらに大きくなる。
【0005】
現在行われている廃ガラスのリサイクル方法としては、けい砂、ソーダ灰、石灰石等のガラス原料に混合して再溶融するカレットとして再利用する方法がある。しかし、廃ガラスをカレットとして再利用するためには、廃ガラスの組成と製造するガラスの組成とが類似している必要があり、また、カレットは通常ガラス原料に対して30重量%~70重量%程度の割合で使用されるものである。
【0006】
このため、回収された廃ガラスの全てをカレットとして再溶融して再利用することは困難である。このような状況下において、回収された大量の廃ガラスを処理し、資源として有効に再利用することができる廃ガラスのリサイクル方法が嘱望されている。
【0007】
また、このカレットとして再利用する方法では、廃ガラスを、化学的な処置を施すことなくそのまま再利用するので、廃ガラスに含まれる金属系の着色成分等の成分を除去することができない。したがって、この方法では、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから透明ガラスを得ることは不可能である。
【0008】
ここで、廃ガラスを処理するリサイクル方法として、例えば、特開2000-160028号公報(公開日:2000年6月13日)には廃ガラスを用いた人造大理石の製造方法が開示されており、特開2000-325917号公報(公開日:2000年11月28日)には廃ガラスを粉砕し焼成することにより長石の代替物として用いる方法が開示されている。また、特開平8-209615号公報(公開日:1996年8月13日)には廃ガラス(ガラスカレット)をアスファルト路材に混入する光反射材として用いるガラスカレットの製造方法が開示されており、特開2000-144745号公報(公開日:2000年5月26日)には廃ガラスを発泡ガラスとして利用する軽量土の施行法が開示されており、特開2000-191353号公報(公開日:2000年7月11日)にはガラス骨材の製造方法が開示されている。
【0009】
また、廃ガラスから酸化珪素を回収する方法として、例えば、日本セラミックス協会2001年年会予稿集143頁には、水酸化ナトリウムを用いたアルカリ融解により産業廃棄ビン等の廃ガラスから酸化珪素を回収する方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記公報に記載されている廃ガラスのリサイクル方法は、いずれも廃ガラスに粉砕等の物理的な処置を施して、さらに新しい成分と混合する方法である。すなわち、廃ガラスに化学的な処置を施すことなくそのまま再利用するものである。このため、時間の経過に伴って、ナトリウム等の廃ガラス中の成分が浸出するという問題が発生するおそれがある。また、廃ガラスが着色された色ガラスである場合には、着色を目的として配合されている着色成分として含まれている金属が浸出するおそれがある。
【0011】
例えば、上記特開2000-144745号公報に開示されている廃ガラスを発泡ガラスとして利用する軽量土の施行法においては、廃ガラスが表面積の大きい発泡ガラスとして再利用されている。このため、表面積が増大することにより、上記発泡ガラス中に含まれている金属等の成分が浸出し易くなるため、環境に悪影響を与えるおそれもある。なお、ガラス中に含まれている金属としては、着色成分であるクロム(緑)、コバルト(青)をはじめ、セレン(黄、赤)、ニッケル(茶、青紫)、鉄(黒)、マンガン(紫、赤紫)その他光学材料に配合されている鉛等が挙げられる。また、環境に悪影響を与える有害物質ではないが、金、銀は高額であるため、またセリウムは資源として貴重であるため、これらの金属がガラス中に含まれている場合には回収する必要がある。
【0012】
また、例えば、上記特開2000-191353号公報に開示されているセメント骨材の製造方法では、セメント骨材中に多量に含まれるナトリウムが浸出することによりアルカリ骨材反応の一種であるアルカリシリカ反応が発生し、セメント骨材を含むセメントコンクリートにひび割れを引き起こす恐れがあるという問題がある。このように、廃ガラスをそのままセメント骨材として使用するとナトリウムの浸出によるアルカリシリカ反応が生じるため、実際に廃ガラスがセメント骨材として使用されることは少ない。
【0013】
上記説明したように、従来の廃ガラスをカレットとして再溶融するリサイクル方法では、処理できる廃ガラスの量が限られているという問題がある。また、再溶融以外のリサイクル方法は、いずれも廃ガラスをそのまま利用するものであるため、時間の経過にともない、廃ガラス中のナトリウムや金属等の成分が浸出するおそれがあるという問題がある。
また、これら従来の廃ガラスのリサイクル方法は、廃ガラスにさら新しい成分を加えることにより、廃ガラスを含む物を新たに製造する方法である。このため、将来において、リサイクルされたものから再度廃ガラスを取り出して再びリサイクルすること、すなわち廃ガラスを繰り返しリサイクルすることが困難であるという問題もある。
【0014】
上記説明した時間の経過に伴い廃ガラス中の成分が浸出することにより生じる問題の一つであるアルカリシリカ反応を抑制する方法として、日本セラミックス協会2001年年会予稿集第325頁には、廃ガラス表面をゾルゲル法により表面コーティングする方法が開示されている。しかしながら、このゾルゲル法による表面コーティングでは、廃ガラスの表面に均質なコーティング膜を形成することが困難であり、ポア(空隙)の多い膜しか得ることができない。このため、廃ガラス表面をゾルゲル法により表面コーティングする方法は、廃ガラスからナトリウム、金属等の浸出を防ぐためには不十分であり、アルカリシリカ反応を防止することができないという問題がある。さらに、ゾルゲル法は高価な金属アルコキシドを原料として用いる必要があるため、工業的に現実的なコストではない。すなわち、廃ガラスを工業的に大量に処理することはコストの観点より現実的ではないという問題がある。
【0015】
また、上記廃ガラスから酸化珪素を回収する方法は、廃ガラスに、その10倍の量の水酸化ナトリウムを加えて500℃に加熱するという方法である。このように、非常にアルカリ性の高い状態のものを500℃に加熱するため、危険であり、また、水酸化ナトリウムを多量に使用するためコストが高くなる。したがって、上記酸化珪素を回収する方法は、工業プロセスとして非現実的であるという問題がある。
【0016】
また、廃ガラス中に多量に含まれる珪素を全て水に溶かし込む処理は煩雑であり、ナトリウム成分を多量に含む酸化珪素は、通常、ゲル化を起こし易いため取り扱いが困難であるという問題もある。さらに、多量に用いられた水酸化ナトリウム等の廃棄物を処理する必要がある等の問題もある。
【0017】
すなわち、上記廃ガラスから酸化珪素を回収する方法は、操作性、安全性およびコストの観点より、工業プロセスに適用される方法として現実的でなく、さらに回収方法の過程において生じた廃棄物の処理が必要であるという問題がある。
【0018】
このような状況下において、回収された大量の着色廃ガラスを処理し、ガラスとして再生することができる廃ガラスのリサイクル方法が嘱望されている。
【0019】
一方、近年、光通信技術や情報処理技術の発達に伴って、光ファイバー用の高純度石英ガラス以外の様々なタイプの石英ガラス等の透明ガラスの需要が高まっている。しかしながら、従来の製造方法は、光ファイバー用の高純度石英ガラスを製造する方法であり、透明ガラスを安価に製造することができない。そのため、透明ガラスを大量にかつ安価に製造できる方法が嘱望されている。
【0020】
石英ガラスの製造方法としては、ホウケイ酸ガラスの酸処理を行った後、焼結させて石英ガラスを得るバイコール石英ガラスの作製法(バイコール法)が知られている。
【0021】
しかしながら、バイコール法は、新規な材料からホウケイ酸ガラスを製造し、このホウケイ酸ガラスから酸処理および焼結によって石英ガラスを得る方法であり、廃ガラスをリサイクルする方法ではない。また、この方法により製造されたものは、200nm以下の波長の光を透過しない、すなわち波長200nm以下の領域における光の透過を示さない。
【0022】
バイコール法では、NaO・B・SiOの三成分からなるガラス(ホウケイ酸ガラス)を用いた場合には比較的簡単に焼結できるが、着色成分や酸化カルシウム等を含む廃ガラスに適用すると、ガラスの組成が異なるために焼結時にクラック(割れ)が生じて透明なガラスを得ることができない。
【0023】
また、石英ガラスの原料となる高純度シリカの製造方法として、(1)非晶質シリカの微粒子と結晶質シリカの微粒子とを混合した後に焼結する方法(特開平5-163013号公報 公開日1993年6月29日)、(2)含水シリカゲルを酸処理した後に焼成する方法(特開平11-11929号公報 公開日1999年1月19日、特開平11-11931号公報 公開日1999年1月19日)、(3)スラグ又はスラグ誘導体を硫酸と反応させて石膏を生成させ、析出した石膏を固液分離し、分離した液の酸濃度を高めて非晶質シリカを析出させ、この非晶質シリカを酸および純水で洗浄する方法(特開平11-116233号公報公開日:1999年4月27日)等が知られている。
【0024】
しかしながら、これらの製造方法は、石英ガラスの原料となるシリカ(SiO)粉体を得るものであり、透明な石英ガラスを得るものではない。そのため、これらの製造方法を用いて石英ガラスを得るには焼結後に再溶融が必要であり、焼結後に固体状態のまま透明な石英ガラスを得ることはできない。それゆえ、これらの製造方法は、透明ガラスを得る方法としては簡便な方法ではない。
【0025】
また、これらの製造方法は、廃ガラスをリサイクルするものではない。また、これらの製造方法では、金属系の着色成分等の成分を取り除くことができないので、着色廃ガラスに適用した場合、透明ガラスを得ることができない。
【0026】
本発明は、上記問題を解消することを目的とするものであり、ナトリウム、金属等の酸化珪素以外の成分を廃ガラスから取り除いてリサイクルする、廃ガラスのリサイクル方法に関するものである。例えば、時間の経過に伴って廃ガラス中の成分が浸出することのないセメント骨材や、多くの用途に用いることができる純度の高い酸化珪素等として、廃ガラスをリサイクルすることができる、廃ガラスのリサイクル方法、およびこのリサイクル方法により再生されたセメント骨材や酸化珪素等の再生品ならびに再生ガラスを提供することにある。
【0027】
また、本発明は、さらに、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスをリサイクルすることができると共に、透明ガラスを安価にかつ簡便に製造することができる透明ガラスの製造方法、および透明ガラスを提供することをも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、ナトリウムを有する廃ガラスを粉砕して粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスを酸水溶液に浸漬させることにより、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させて、上記ナトリウムを除去する酸処理工程と、を含み、上記粉砕廃ガラスの粒径が100μm以下であることを特徴としている。
【0029】
上記の発明によれば、廃ガラスに含まれる酸化珪素以外の成分のうち、主にナトリウムを取り除くことができるため、粉砕廃ガラスを酸処理して得られる廃ガラスの再生品を、例えばセメント骨材や建材ブロックの原料等として大量に再利用することができる。
【0030】
すなわち、本発明の廃ガラスのリサイクル方法により得られる再生品は、廃ガラス中に含まれるナトリウムが、酸処理工程において酸水溶液中のプロトンと交換されて廃ガラスから脱離する。これにより、廃ガラス中に含まれているナトリウムが取り除かれて、ナトリウムを含まない再生品あるいはナトリウム含有量の少ない再生品が得られる。
【0031】
このため、上記再生品を例えばセメント骨材として再利用した場合に、セメントコンクリートの硬化後において、時間経過に伴ってセメント骨材中のナトリウムが浸出しないため、時間の経過に伴ってアルカリシリカ反応が発生し、セメントコンクリートにひび割れを引き起こすことがない。
【0032】
したがって、廃ガラスを、例えば、砂の代用品としてセメント骨材として大量に再利用することができる。これにより、現在大量に廃棄されている廃ガラスを酸処理して得られる再生品として、大量に再利用することが可能となる。
【0033】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法においては、上記粉砕廃ガラスの粒径が70μm以下であることがより好ましい。
【0034】
これにより、上記酸処理工程において、粉砕廃ガラスと上記酸水溶液との接触面積を大きくして、ナトリウムや金属等の酸化珪素以外の成分を酸水溶液に効果的に移動させ、粉砕廃ガラスからより確実に脱離させることができる。
【0035】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、上記の課題を解決するために、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料と廃ガラスとを含んでなる酸化ホウ素含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程と、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において溶融された酸化ホウ素含有廃ガラスを固化して粉砕し、粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる酸処理工程と、を含むことを特徴としている。
上記の発明によれば、廃ガラスが、色ガラスや光学材料として用いられる光学ガラスである場合に、着色等を目的として配合されている金属等を廃ガラスから取り除くことができる。
【0036】
すなわち、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料を含む廃ガラスを加熱して溶融、冷却、必要であれば更に熱処理を行うことで、酸化ホウ素含有廃ガラスを酸化珪素の相と酸化ホウ素の相とに分相させることができる。ここで、酸化ホウ素含有廃ガラス中に含まれる、色ガラスの着色成分である金属、光学材料に含まれる鉛、ナトリウム、カルシウム等を酸化ホウ素に溶解させて酸化ホウ素中に濃縮することができる。
【0037】
このようにして酸化珪素以外の成分を酸化ホウ素中に濃縮させた酸化ホウ素含有廃ガラスを、粉砕工程において、固化して粉砕し、酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラスとする。そして、酸処理工程において、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる。これにより、酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラス中から、酸化珪素以外の成分を含む酸化ホウ素を取り除くことができる。酸化ホウ素は酸水溶液に容易に溶解するものであるため、酸処理工程において、酸水溶液中に溶解させることができ、この際酸化ホウ素中の金属、鉛、ナトリウム、カルシウム等も酸水溶液中に溶解することとなる。
【0038】
したがって、廃ガラスとして、現在その大部分が廃棄されている色ガラスや光学用ガラスを用いる場合に、廃ガラスから金属等の酸化珪素以外の成分を取り除くことができる。これにより、廃ガラスから酸化珪素(シリカ成分)を採取すること、すなわち、廃ガラスからリサイクルされた再生品として酸化珪素を得ることができる。このため、廃ガラスから抽出された酸化珪素をガラス原料、セラミック原料、石英ガラス原料等、多用途に利用することができる付加価値の高い再生品として再利用することが可能となる。
【0039】
このように、廃ガラスから酸化珪素を抽出して、多用途に利用することができる酸化珪素として再利用することにより、例えば、再生品として製造されたガラス(再生ガラス)が使用後に廃ガラスとなった場合に、該廃ガラスから再度酸化珪素を抽出することができる。したがって、廃ガラスに他の成分を加えて再利用するリサイクル方法とは異なり、再生品をさらに再利用すること、つまり繰り返してリサイクルすることを容易に行うことができる。なお、酸処理工程において酸水溶液中に溶解した金属等を回収し、再利用することも可能である。
【0040】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、上記の課題を解決するために、溶融により酸化リンとなる酸化リン原料と廃ガラスとを含んでなる酸化リン含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化リン含有廃ガラス溶融工程と、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において溶融された酸化リン含有廃ガラスを固化して粉砕し、粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる酸処理工程と、を含むことを特徴としている。
【0041】
上記の発明によれば、廃ガラスが、色ガラスや光学材料として用いられる光学ガラスである場合に、着色等を目的として配合されている金属等を廃ガラスから取り除くことができる。
【0042】
すなわち、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において、溶融により酸化リンとなる酸化リン原料を含む廃ガラスを加熱して溶融することにより、酸化リン含有廃ガラスを酸化珪素の相と酸化リンの相とに分相させることができる。ここで、酸化リン含有廃ガラス中に含まれる、色ガラスの着色成分である金属、光学材料に含まれる鉛、ナトリウム、カルシウム等を酸化リンに溶解させて酸化リン中に濃縮することができる。
【0043】
このように、酸化珪素以外の成分を酸化リン中に濃縮させた酸化リン含有廃ガラスを粉砕工程において粉砕し、粉砕廃ガラスとする。そして、酸処理工程において、酸化リンを含有する粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる。これにより、酸化リンを含有する粉砕廃ガラス中から、酸化珪素以外の成分を含む酸化リンを取り除くことができる。酸化リンは酸水溶液に容易に溶解するため、酸処理工程において、酸水溶液中に溶解させることができ、この際酸化リン中の金属、鉛、ナトリウム、カルシウム等も酸水溶液中に溶解することとなる。
【0044】
なお、粉砕廃ガラスに含まれる酸化リンは水に容易に溶解し、該酸化リンの溶解した水溶液はリン酸水溶液となる。このため、酸水溶液の代わりに水を用いて粉砕廃ガラスを処理することによっても、酸化リンを含有する粉砕廃ガラス中から、酸化珪素以外の成分を含む酸化リンを取り除くことができる。すなわち、上記酸処理工程は粉砕廃ガラスと水とを接触させるものであってもよい。
【0045】
したがって、廃ガラスとして、現在その大部分が廃棄されている色ガラスや光学用ガラスを用いる場合に、廃ガラスから金属等の酸化珪素以外の成分を取り除くことができる。これにより、廃ガラスから酸化珪素(シリカ成分)を採取すること、すなわち、廃ガラスからリサイクルされた再生品として酸化珪素を得ることができる。このため、廃ガラスから抽出された酸化珪素をガラス原料、セラミック原料等、多用途に利用することができる付加価値の高い再生品として再利用することが可能となる。
【0046】
このように、廃ガラスから酸化珪素を抽出して、多用途に利用することができる酸化珪素として再利用することにより、例えば、再生品として製造されたガラスが使用後に廃ガラスとなった場合に、該廃ガラスから再度酸化珪素を抽出することができる。したがって、廃ガラスに他の成分を加えて再利用するリサイクル方法とは異なり、再生品をさらに再利用すること、つまり繰り返してリサイクルすることを容易に行うことができる。なお、酸処理工程において酸水溶液中に溶解した金属等を回収し、再利用することも可能である。
【0047】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法においては、特に限定されないが、上記酸処理工程における酸水溶液の温度は50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。また、特に限定されないが、上記酸処理工程における酸水溶液の温度は、200℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
【0048】
本発明の廃ガラスのリサイクル方法においては、特に限定されないが、上記酸処理工程における酸水溶液の濃度が0.1規定以上4規定以下の範囲内であることが好ましい。
これにより、上記酸処理工程において、粉砕廃ガラスからナトリウムや金属等の酸化珪素以外の成分をより確実に取り除くことができる。
【0049】
また、本発明の再生ガラスおよび本発明のセメント骨材は、上記廃ガラスのリサイクル方法により製造されたことを特徴としている。
【0050】
上記説明したように、上記廃ガラスのリサイクル方法により、廃ガラス中のナトリウムを取り除くことができるため、ナトリウムを含まない再生ガラス、およびナトリウムの浸出によるアルカリシリカ反応が発生しないセメント骨材を提供することが可能となる。
【0051】
また、上記廃ガラスのリサイクル方法により、廃ガラスを原料として99重量%以上のシリカを含む再生ガラス(高純度シリカ)を製造することができる。当該製造された再生ガラス(高純度シリカ)は、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程の酸化ホウ素原料、または酸化リン含有廃ガラス溶融工程の酸化リン原料に起因する、ホウ素またはリンをごく微量の不純物として含むものとなる。具体的には、再生ガラスには、ホウ素またはリンが10ppm以上含まれることとなる。ここで、再生ガラス中に含まれるホウ素またはリンの濃度とは、再生ガラスをフッ化水素で分解し、その溶液中のホウ素またはリンをプラズマ発光分析で定量して得られた値のことをいう。
【0052】
上記廃ガラスのリサイクル方法により、廃ガラスを原料として製造された再生ガラス(高純度シリカ)は、その表面積が大きくなるという特徴があり、具体的には表面積が10m/g以上のものとなる。ここで、再生ガラスの表面積とは、窒素吸着装置を用いた測定によって得られた値をいう。
【0053】
廃ガラスのリサイクル方法の一つである本発明の透明ガラスの製造方法は、上記の課題を解決するために、廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する溶融工程と、上記溶融工程で得られた溶融物を固化させてガラスを得る固化工程と、上記固化工程で得られたガラスを酸水溶液と接触させる酸処理工程と、酸処理されたガラスを焼成する焼成工程とを含むことを特徴としている。
【0054】
上記の発明によれば、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから着色成分を取り除いて透明な石英ガラスを得ることができる。
【0055】
すなわち、溶融工程において、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスを、酸化ホウ素原料、酸化珪素、および酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融し、得られた溶融物を固化工程で固化させてガラスを得ることで、ガラスを酸化珪素の相と、酸化ホウ素および酸化ナトリウムの相(以下、酸化ホウ素-酸化ナトリウム相と称する)とに分相させることができる。これにより、廃ガラス中に含まれる金属系の着色成分等の成分を酸化ホウ素および酸化ナトリウムに溶解させて酸化ホウ素-酸化ナトリウム相中に濃縮することができる。このようにして、固化工程で、金属系の着色成分等の成分を酸化ホウ素-酸化ナトリウム相中に濃縮させたガラスが得られる。
【0056】
そして、酸処理工程において、上記の分相したガラスと酸水溶液とを接触させる。酸化ホウ素および酸化ナトリウムは、酸水溶液に容易に溶解するものであるため、酸処理工程において酸水溶液中に溶解する。この際、酸化ホウ素-酸化ナトリウム相中の金属系の着色成分等の成分も酸水溶液中に溶解する。これにより、ガラス中から、金属系の着色成分等の成分を取り除くことができる。
【0057】
さらに、酸処理工程においては、酸化ホウ素-酸化ナトリウム相が取り除かれることによって多数の細孔が形成されるが、この多数の細孔は、焼成工程において焼成することによって消失し、透明なガラスが得られる。
【0058】
したがって、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから、金属系の着色成分等の成分を取り除き、ほぼ酸化珪素のみからなる透明ガラスを得ることができる。これにより、安価に入手可能な金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから、透明ガラスを製造することができる。このため、透明ガラスを安価に製造できる。
【0059】
また、上記方法によれば、上記固化工程で得られたガラスをそのままで酸処理し、次いで、再溶融することなく焼成することによって透明ガラスを得ることができる。したがって、上記方法では、酸処理後に、再溶融に必要な1200℃を超える温度(例えば1600℃程度)の加熱処理が不要となり、1200℃以下の比較的低温の加熱処理で済む。したがって、上記方法では、透明ガラスを簡便に製造することができる。
また、一般的な廃ガラスである酸化カルシウムを含む廃ガラス(例えば廃着色ソーダ石灰系ガラス等)を酸処理後に焼成した場合、廃ガラスに含まれている酸化カルシウムが酸処理後にガラス中に残留し、焼成時に、クラックをガラスに発生させ、透明ガラスが得られないおそれがある。
【0060】
しかしながら、上記方法では、酸処理の前に、廃ガラスを、酸化ホウ素原料、酸化珪素、および酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融するので、酸化カルシウムを含む廃ガラスを用いた場合にも、酸処理されるガラス中における酸化カルシウムの濃度を低減できる。それゆえ、上記方法では、酸処理後のガラス中に残留する酸化カルシウムの濃度を十分に低減できる。その結果、焼成時にガラスにクラックが発生することを防止し、透明ガラスを得ることができる。
【0061】
なお、本発明の透明ガラスの製造方法は、上記説明した廃ガラスのリサイクル方法と比較して以下に説明するような利点を備えている。上記廃ガラスのリサイクル方法は、廃ガラスと酸化ホウ素とを含む溶融物を固化することによって得られたガラスを、粉砕して粉体として利用するものであり、そのまま透明ガラスを得るものではない。これに対し、本発明の透明ガラスの製造方法は、溶融物を固化することによって得られたガラスからそのまま透明ガラスを得るものである。
【0062】
また、上記廃ガラスのリサイクル方法は、廃ガラスの溶融物に酸化ホウ素だけを加えるものである。これに対し、本発明の方法では、酸処理後の焼成時にクラックが生じることを防止するために、廃ガラスの溶融物に酸化ホウ素だけでなく、酸化珪素と酸化ナトリウムとを加えて、再溶融後のガラス中における酸化カルシウム濃度を低減している。
【0063】
本発明の透明ガラスの製造方法では、上記固化工程の後に、ガラスを熱処理する熱処理工程をさらに含むことがより好ましい。
【0064】
上記方法によれば、酸化珪素相と酸化ホウ素-酸化ナトリウム相との分相がより一層進行する。それゆえ、金属系の着色成分等の成分を酸化ナトリウム-酸化ホウ素相中にさらに効果的に濃縮することができる。その結果、酸処理工程において、ガラスから金属系の着色成分等の成分をより効果的に取り除くことができる。したがって、より高純度で、より高い光透過率を持つ透明ガラスを得ることができる。
【0065】
また、上記透明ガラスの製造方法により、廃ガラスを原料として製造された透明ガラスは、溶融工程の酸化ホウ素原料に起因するホウ素をごく微量の不純物として含むものとなる。具体的には、透明ガラスにはホウ素が10ppm以上含まれることとなる。ここで、透明ガラス中に含まれるホウ素の濃度とは、透明ガラスをフッ化水素で分解し、その溶液中のホウ素をプラズマ発光分析で定量して得られた値のことをいう。
【0066】
なお、本願明細書において、「透明ガラス」とは、厚みを1mmとしたときに300nmで40%以上の透過率を示すものを言うものとする。
【0067】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって充分判るであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
〔廃ガラスのリサイクル方法〕
本発明の廃ガラスのリサイクル方法の実施の一形態について、以下に説明する。本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、ナトリウムを有する廃ガラスを粉砕して粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスを酸水溶液に浸漬させることにより、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させて、上記ナトリウムを除去する酸処理工程と、を含み、上記粉砕廃ガラスの粒径が100μm以下である。
【0069】
廃ガラスとは、製品として利用された後に回収されたガラス(以下、市中廃ガラスと記す)および、工場におけるガラスの製造プロセスにおいて生成するガラス(以下、工場廃ガラスと記す)をいう。
【0070】
上記市中廃ガラスとしては、無色ガラス瓶、茶色ガラス瓶、黒色ガラス瓶、緑色ガラス瓶等のガラス瓶;自動車のフロントガラス、窓ガラス等の自動車用ガラス;ブラウン管用ガラス、液晶パネル用ガラス等の電化製品用ガラス;窓ガラス等の建材用ガラス等が挙げられる。また、上記工場廃ガラスとしては、不良品や切り落としくずとして出るガラス、色や組成の異なるガラスを溶融する場合に炉を洗う際に出るガラス等が挙げられる。
【0071】
本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、上記の廃ガラスのうち、特に、現在その大部分が廃棄されている黒色ガラス瓶、緑色ガラス瓶等の着色ガラス瓶、自動車用ガラス、電化製品用ガラス、建材用ガラス、および色や組成の異なるガラスを溶融する場合に炉を洗う際に出るガラスのリサイクル方法として好適に適用することができる。
【0072】
粉砕工程において廃ガラスを粉砕する方法としては、特に限定されないが、例えば、市販されている工業用ミルを用いた粉砕方法を挙げることができるが、メカニカルミリングのように粒径の小さい廃ガラスが得られる方法を用いることが好ましい。これにより、粉砕廃ガラスと、後の酸処理工程において用いられる酸水溶液との接触面積を大きくすることができ、さらに、廃ガラスが粉砕される際に加えられる力により、廃ガラスのガラス構造が破壊される。このため、後の酸処理工程において廃ガラス中の酸化珪素以外の成分が酸水溶液中に浸出する率、すなわち酸化珪素以外の成分の浸出率が高まる。したがって、廃ガラスから酸化珪素以外の成分を効果的に取り除くことができる。すなわち、粉砕廃ガラスの表面積を大きくすることにより、酸化珪素以外のナトリウム等の成分をガラス内部から外部へ移動し易くすることができる。
【0073】
粉砕廃ガラスの形状は、特に限定されないが、その粒径が100μm以下であるものが好ましく、70μm以下であるのものがより好ましく、38μm以下であるものがさらに好ましく、6μm以下であるものが最も好ましい。粉砕廃ガラスの粒径を上記の範囲内にすることにより、後の酸処理工程において廃ガラスから主にナトリウムを容易に取り除くことができる。
【0074】
酸処理工程において用いられる酸水溶液は、特に限定されるものではないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等の水溶液を用いることができる。これら例示の酸の中では、硝酸が好ましい。硝酸は塩素や硫黄を含まないため、酸処理工程において酸水溶液として硝酸水溶液を用いることにより、例えば廃ガラスのリサイクル方法により得られた再生品をセメント骨材として利用した場合に、セメントコンクリートと接する金属製の建材等に塩素や硫黄の影響による金属腐食が生じることを確実に防止することができる。
【0075】
上記酸水溶液の酸の濃度は、特に限定されないが、0.1規定以上4規定以下の範囲内であることが好ましく、1規定以上3規定以下であることがより好ましい。酸処理工程において上記範囲内の濃度の酸水溶液を用いることにより、粉砕廃ガラスからナトリウム等の酸化珪素以外の成分をより確実に取り除くことができる。
【0076】
酸処理工程の温度、処理時間は、粉砕廃ガラスの種類や、量、粒径、および酸水溶液の種類、濃度等に応じて決定することができるが、酸水溶液および粉砕廃ガラスの温度が、20℃以上400℃以下の範囲内であることが好ましく、70℃以上200℃以下の範囲内であることがより好ましく、90℃以上140℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、酸処理工程の温度を100℃以下とすることにより、圧力容器を用いる必要がなくなるため、酸処理工程の温度は90℃以上100℃以下の範囲内であることが最も好ましい。また、酸処理工程の処理時間は、8時間以上72時間以下の範囲内であることが好ましく、12時間以上48時間以下の範囲内であることがより好ましい。
【0077】
酸処理工程における粉砕廃ガラスと酸水溶液との比は特に限定されるものではないが、粉砕廃ガラスと酸水溶液との重量比が、1:500から2:5の範囲内であることが好ましく、1:200から1:5の範囲内であることがより好ましい。
【0078】
また、酸処理工程において粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させる方法は、特に限定されないが、例えば、廃ガラスを酸水溶液に浸漬させて攪拌すること、密閉容器中に廃ガラスと酸水溶液とを入れて加熱すること等により行うことができる。
【0079】
本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法によれば、粉砕工程において得られた粉砕廃ガラスを酸処理工程において酸水溶液と接触させることにより、酸化珪素以外の成分を酸水溶液に溶解させて取り除くこと、具体的には、主としてナトリウムを取り除くことができる。
【0080】
したがって、本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法により得られた再生品は、経時的にナトリウム成分が浸出するという問題が生じないため、アルカリシリカ反応の発生しないセメント骨材として好適に用いることができる。
【0081】
本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、上記粉砕工程の前に、溶融により酸化ホウ素(B)となる酸化ホウ素原料と廃ガラスとを含んでなる酸化ホウ素含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程をさらに含んでいてもよい。ここで、酸化ホウ素原料とは、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において、溶融されると酸化ホウ素となるものをいい、例えばホウ酸(HBO)が挙げられる。
【0082】
瓶ガラス、窓ガラス、板ガラス等として通常用いられているソーダ石灰系ガラス(NaO-CaO-SiO-Al)は、酸化ホウ素原料を加えて溶融すると、図1(a)に示すように酸化珪素相1(SiO相)と酸化ホウ素相2(B相)とに分相し、酸化珪素以外の成分は酸化ホウ素相2に溶解する。このため、廃ガラスが色ガラスである場合に着色成分として含まれているクロム(緑)、コバルト(青)、セレン(黄、赤)、ニッケル(青紫、茶)、鉄(黒)等、および廃ガラスが光学材料である場合に含まれる鉛等を酸化ホウ素相2に溶解させることができる。すなわち、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を酸化ホウ素相2中に濃縮することができる。酸化ホウ素含有廃ガラスは、溶融後、冷却して固化すると、透明なガラス状にガラス化する。この際に、酸化珪素相1と酸化ホウ素相2の非常に微細な分相が進行する。そして、溶融された酸化ホウ素含有廃ガラスを固化した後に、粉砕して酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラスとする。
【0083】
酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラス中の酸化ホウ素は、酸水溶液によって容易に溶解されるため、上記説明した酸処理工程において、酸化珪素以外の成分と共に酸水溶液中に溶解する。これにより、廃ガラス中に含まれているナトリウム、カルシウム、金属元素等の酸化珪素以外の成分を廃ガラスから取り除くことができる。すなわち、酸化珪素以外の成分を含んでいる酸化ホウ素相2を取り除いて、図1(b)に示すように酸化珪素相1とすることができる。さらに、酸処理工程において酸水溶液中に溶解した酸化珪素以外の成分を再利用することもできる。なお、酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラスの酸処理工程は、上記説明した酸処理工程と同様にして行うことができる。
【0084】
また、酸化ホウ素含有廃ガラス中の酸化ホウ素原料の量は、特に限定されないが、溶融状態における酸化ホウ素の量に換算した仕込み量として、廃ガラス100重量部に対して、10重量部以上50重量部以下の範囲内であることが好ましく、25重量部以上45重量部以下の範囲内であることがより好ましい。酸化ホウ素原料の仕込み量を上記範囲にすることにより、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を酸化ホウ素相2に効率良く濃縮して、酸処理工程により廃ガラス中から取り除くことができる。酸化ホウ素原料の仕込み量を、廃ガラス100重量部に対して10重量部以上とすることにより、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において、酸化珪素相1と酸化ホウ素相2とを十分に分相することができ、50重量部以下とすることにより酸処理工程後に処理すべき酸水溶液中の酸化ホウ素量が多くなることを防ぐことができる。
【0085】
酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程において、酸化ホウ素原料と廃ガラスとを溶融する方法は、両者を均一に溶融させることができれば良く、特に限定されない。例えば、両者を混合した状態で該混合物を加熱して溶融することとしても良く、あるいは、まず廃ガラスのみを加熱して溶融しておき、該溶融状態の廃ガラスに酸化ホウ素原料を加えることとしても良い。
【0086】
酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程における溶融温度は、廃ガラスに含まれている酸化珪素以外の成分の種類や量、処理時間等に応じて適宜設定することができるが、1100℃以上1450℃以下の範囲内とすることが好ましく、1250℃以上1350℃以下の範囲内とすることがより好ましく、1300℃以上1350℃以下の範囲内とすることがさらに好ましい。溶融温度を上記範囲内とすることにより、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を効果的に酸化ホウ素相2に濃縮し、後の酸処理工程において確実に取り除くことができる。
【0087】
また、酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程における溶融時間は、廃ガラスに含まれている酸化珪素以外の成分の種類や量、溶融温度等に応じて適宜設定することができるが、30分以上4時間以下の範囲内とすることが好ましく、2時間以上3時間以下とすることがより好ましい。
【0088】
また、上記酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程後に、酸化ホウ素含有廃ガラスの溶融物を冷却した後、更に熱処理を行うこととしてもよい。このように熱処理することにより、酸化珪素以外の成分を酸化ホウ素相2中にさらに効果的に濃縮することができる場合もある。この場合には、後の酸処理工程において、酸化珪素以外の成分を、酸化ホウ素を含有する粉砕廃ガラスから、より効果的に取り除くことができる。
【0089】
上記熱処理の温度は、600℃以上750℃以下の範囲内とすることが好ましく、630℃以上650℃以下の範囲内とすることがより好ましい。熱処理の温度を上記範囲内とすることにより、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を効果的に酸化ホウ素相2に濃縮し、後の酸処理工程において確実に取り除き、酸化珪素以外の成分の脱離率を向上させることができる。
【0090】
また、酸化ホウ素含有廃ガラス熱処理工程における熱処理時間は、廃ガラスに含まれている酸化珪素以外の成分の種類や量、溶融温度等に応じて適宜設定することができるが、100時間以下とすることが好ましく、24時間以上70時間以下とすることがより好ましい。上記熱処理の時間を100時間より長くすると、分相がさら進行した結果として、酸化珪素とそれ以外の成分の結晶化が進行して、後の酸処理工程における酸化珪素以外の成分の脱離率が低下する場合がある。
【0091】
本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、上記粉砕工程の前に、溶融により酸化リンとなる酸化リン原料と廃ガラスとを含んでなる酸化リン含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化リン含有廃ガラス溶融工程をさらに含んでいてもよい。ここで、酸化リン原料とは、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において酸化リンとなるものをいい、例えばリン酸アンモニウム(NHPO)等が挙げられる。なお、酸化リンとしては、たとえば五酸化リン(P)等が挙げられる。
【0092】
瓶ガラス、窓ガラス、板ガラス等として通常用いられているソーダ石灰系ガラス(NaO-CaO-SiO-Al)は、酸化リン原料を加えて溶融すると、図1に示すように酸化珪素相1と酸化リン相12とに分相し、酸化珪素以外の成分は酸化リン相12に溶解する。このため、廃ガラスが色ガラスである場合に着色成分として含まれるクロム(緑)、コバルト(青)、セレン(黄、赤)、ニッケル(青紫、茶)、鉄(黒)等、および廃ガラスが光学材料である場合に含まれる鉛等を酸化リン相12に溶解させることができる。即ち、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を酸化リン相12中に濃縮することができる。酸化リン含有廃ガラスは、溶融後、冷却して固化すると、透明なガラス状にガラス化もしくは分相、結晶化により先透したガラスに同化する。この際に、酸化珪素相1と酸化リン相12の非常に微細な分相が進行する。そして、溶融された酸化リン含有廃ガラスを固化した後に、粉砕して酸化リンを含有する粉砕廃ガラスとする。
【0093】
酸化リンを含有する粉砕廃ガラス中の酸化リンは酸水溶液、または水によって容易に溶解されるため、上記説明した酸処理工程において、酸化珪素以外の成分と共に酸水溶液中、または水に溶解させることができる。これにより、廃ガラス中に含まれているナトリウム、カルシウム、着色成分等の金属元素、アルミニウム等の酸化珪素以外の成分を取り除くことができる。酸化リンは水に溶解し易く、溶解と同時にリン酸を生成して酸水溶液となるため、酸処理工程において酸水溶液の代わりに水を用いることが可能である。さらに、酸処理工程において酸水溶液中または水中に溶解した上記酸化珪素以外の成分を再利用することもできる。なお、酸化リンを含有する粉砕廃ガラスの酸処理工程は、上記説明した酸処理工程と同様にして行うことができる。
【0094】
また、酸化リン含有廃ガラス中の酸化リン原料の量は、溶融状態における酸化リンの量に換算した仕込み量として、廃ガラス100重量部に対して、90重量部以上200重量部以下の範囲内であることが好ましく、100重量部以上150重量部以下の範囲内であることがより好ましく、95重量部以上110重量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。酸化リン原料の仕込み量を上記の範囲にすることにより、酸化リン含有廃ガラス溶融工程において、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を酸化リン相12に効率良く濃縮し、酸処理工程により廃ガラス中から取り除くことができる。
【0095】
廃ガラス100重量部に対する酸化リン原料の仕込み量を100重量部以上とすることにより、酸化リン含有廃ガラスの加熱により溶融物としてガラス化させ、分相させることができる。そしてこれを酸処理することにより、酸化リン12中の成分を除くことができる。なお酸化リン原料の仕込み量が90部以下であると、酸化リン含有廃ガラスが溶融物とならずに固体のまま結晶化する。しかし、このように固体のまま結晶化した場合も1300℃~1500℃で熱処理し結晶化を進行させることで、酸水溶液または水に溶解する酸化リン結晶が選択的に生成する。このため、後の酸処理工程において、酸化リンに溶解したナトリウム、カルシウム等のアルカリ、および金属を選択的に取り除くことができ、酸化珪素を主成分とする粉末(再生ガラス)を再生品として得ることができる。
【0096】
酸化リン含有廃ガラス溶融工程において酸化リン原料と廃ガラスとを溶融する方法は、両者を均一に溶融させることができれば良く、特に限定されない。例えば、両者を混合した状態で該混合物を加熱し溶融することとしても良く、或いは、まず廃ガラスのみを加熱して溶融しておき、該溶融状態の廃ガラスに酸化リン原料を加えることとしても良い。
【0097】
酸化リン含有廃ガラス溶融工程における溶融温度は、廃ガラスに含まれている酸化珪素以外の成分の種類や量、処理時間等に応じて適宜設定することができるが、1000℃以上1650℃以下の範囲内とすることが好ましく、1300℃以上1600℃℃以下の範囲内とすることがより好ましい。上記範囲内の温度で溶融することにより、廃ガラス中の酸化珪素以外の成分を効果的に酸化リン相12に濃縮し、後の酸処理工程において確実に取り除くことができる。
【0098】
また、酸化リン含有廃ガラス溶融工程における溶融時間は、廃ガラスに含まれている酸化珪素以外の成分の種類や量、溶融温度等に応じて適宜設定することができるが、30分以上5時間以下の範囲内とすることが好ましく、2時間以上3時間以下とすることがより好ましい。
【0099】
本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、粉砕廃ガラスをオートクレーブ処理するオートクレーブ工程を含むものであってもよい。粉砕廃ガラスをオートクレーブ処理することにより、上記酸処理工程において、粉砕廃ガラス中の酸化珪素以外の成分が酸水溶液中に溶解し易くなるため、これらの成分を粉砕廃ガラス中から効果的に取り除くことができる。
【0100】
オートクレーブ工程の条件は、粉砕廃ガラスの種類、粒径等に応じて設定することができ、特に限定されないが、オートクレーブ処理の温度は100℃以上900℃以下の範囲内であることが好ましく、300℃以上700℃以下の範囲内であることがより好ましく、450℃以上600℃以下の範囲内とすることがさらに好ましい。また、オートクレーブ工程の時間は1時間以上48時間以下の範囲内であることが好ましく、6時間以上12時間以下の範囲内であることがより好ましい。したがって、オートクレーブの条件としては、温度を450℃以上600℃以下の範囲内として、時間を6時間以上12時間以下の範囲内とすることが最も好ましい。
【0101】
また、本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、粉砕工程により得られた粉砕廃ガラスから所望の粒径のものを得るために、粉砕工程と酸処理工程との間に、粉砕廃ガラスを分級する分級工程を含んでいてもよい。分級工程により、粉砕廃ガラスの粒径を揃えることができるため、粉砕廃ガラスの粒径に応じて、その粒径に適した条件を用いて酸処理工程を行うことが可能となる。
【0102】
また、本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法は、粉砕廃ガラスを酸処理して得られた再生ガラスに造粒処理、耐アルカリ処理等を施してもよい。
本発明のセメント骨材は、上記説明した本実施の形態の廃ガラスのリサイクル方法により製造されたものである。上記説明したように、上記廃ガラスのリサイクル方法により、廃ガラス中のからナトリウムを取り除くことができるため、ナトリウムの浸出によるアルカリシリカ反応が発生しない、高品質のセメント骨材を提供することができる。
【実施例】
【0103】
〔実施例および比較例〕
以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
実施例および比較例では、廃ガラス、粉砕廃ガラス、再生品等の測定試料中に含まれる元素は以下のようにして定量した。
【0104】
溶液中に含まれる元素のうち、ナトリウムは原子吸光分析を用いて定量し、ナトリウム以外の元素はプラズマ発光分析法(ICP;Inductively Coupled Plasma)を用いて定量した。また、ガラス、および再生品中に含まれる元素については、測定試料を水に溶解して得られた溶液を原子吸光分析・ICPを用いて定量した。珪素およびホウ素は、測定試料を過酸化ソーダ(N)で分解したものを水に溶解し、pHを調整してICPにより定量した。カリウム、アルミニウム、カルシウム、コバルトについては、測定試料をホウ砂を用いて溶融したものを水に溶解し、pHを調整してICPにより定量した。ナトリウムについては、測定試料をフッ酸と硫酸とにより分解し、加熱してフッ酸を除いた後に、pHを調整してICPにより定量した。
【0105】
〔実施例1〕
廃ガラスとしてのソーダライムガラス(15.3NaO-10.2CaO-73.2SiO-1.3Al)を打撃粉砕した後に、該粉砕されたソーダライムガラスを乳鉢と乳棒とを用いてすりつぶし、粉砕廃ガラスとした。この粉砕廃ガラスを分級して、粒径が38μm以下のものを取り出した。
【0106】
このようにして得た粉砕廃ガラスとしての粒径38μm以下のソーダライムガラス1部と、酸水溶液としての3規定硝酸水溶液200部とを、密閉容器中に仕込み、加熱して140℃とし、140℃において48時間の酸処理を行った後、水洗いして酸を取り除いた。なお、本実施例および以下の実施例、比較例においては、上記密閉容器として、金属保護具付きのポリテトラフルオロエチレン樹脂の容器(テフロン(登録商標)容器)を用いた。
【0107】
上記のようにして酸処理を行って得られたソーダライムガラス(再生品、再生ガラス)中のナトリウム含有量を測定した結果、酸処理前の26%であった。すなわち、廃ガラスを粉砕した後に上記のように酸処理することにより、廃ガラス中のナトリウムの74%を脱離することができた。結果を表1に示す。
【0108】
〔実施例2〕
実施例1の廃ガラスとしてのソーダライムガラスを打撃粉砕した後に、遊星ボールミル(商品名:P-7、フリッチェ社製)を用いて粒径6μm以下に粉砕し粉砕廃ガラスとした。
【0109】
このようにして得られた粉砕廃ガラスとしての粒径6μm以下のソーダライムガラス1部と、酸水溶液としての1規定硝酸水溶液25部とを密閉容器中に仕込み、加熱して90℃とし10時間の酸処理を行った後、水洗いして酸を取り除いた。
【0110】
上記のようにして得た酸処理後のソーダライムガラス(再生品、再生ガラス)中のナトリウム含有量を測定した結果、酸処理前の8.4%であった。すなわち、廃ガラスを粉砕した後に、上記のようにして酸処理することにより、廃ガラス中のナトリウムの91.6%を脱離することができた。結果を表1に示す。
【0111】
〔実施例3〕
実施例1と同様にして得られた粒径38μm以下ソーダライムガラス1部と3規定硝酸水溶液5部とを密閉容器中に仕込み、120℃で48時間加熱して酸処理を行った。その結果、加熱前のソーダライムガラス中のナトリウムの44%が脱離していた。すなわち、上記の処理により、粉砕廃ガラス中のナトリウムを44%取り除くことができた。このように処理して得られた酸処理後のソーダライムガラス(再生品、再生ガラス)60部と、セメント(普通ポルドランドセメント、大阪セメント製)40部とを混合してセメント混合物を調製した。高性能コンクリート減水剤(商品名:マイティー150、花王製)1000部と蒸留水10部とを混合し、高性能コンクリート減水剤液を調製した。そして、セメント混合物100部に高性能コンクリート減水剤液30部を加えて、十分に混練してコンクリートを調製した。
【0112】
このようにして調製したコンクリートを、塩化ビニル筒を用いて、円筒形に成型してコンクリート成型体とした。このコンクリート成型体を60℃の恒温槽中で24時間養生処理を行った。その後に、オートクレーブ装置を用いて120℃で24時間の加熱処理を行った。加熱処理後のコンクリート成型体をハンマーを用いて粉砕して、X線回折測定を行った結果を図2(a)に示す。
【0113】
〔比較例1〕
実施例3の酸処理後のソーダライムガラスの代わりに、実施例3の酸処理を行う前の粒径38μm以下のソーダライムガラスを用いた以外は、実施例3と同様にしてコンクリート成型体を作製し、養生処理および加熱処理を行った。加熱処理後のコンクリート成型体をハンマーを用いて粉砕して、X線回折測定を行った結果を図2(b)に示す。
【0114】
〔比較例2〕
実施例3の酸処理後のソーダライムガラスの代わりに、ナトリウムを含まない粒径38μm以下の石英ガラスを用いた以外は、実施例3と同様にしてコンクリート成型体を作製し、養生処理および加熱処理を行った。加熱処理後のコンクリート成型体をハンマーを用いて粉砕して、X線回折測定を行った結果を図2(c)に示す。
【0115】
図2(a)に示すように、実施例3の酸処理を行ったソーダライムガラスとセメントとを混合して調製したコンクリートのX線回折の測定結果は、図2(c)のナトリウムを含まない石英ガラスとセメントとを混合して調製したコンクリートのX線回折の測定結果とX線回折のパターンが同じである。これに対し、図2(b)に示すように、比較例1の酸処理前のソーダライムガラスとセメントとを混合して調製したコンクリートのX線回折の測定結果は2θ=18°付近にピークがあり、図2(c)のコンクリートの測定結果とは異なる。
【0116】
これにより、酸処理を行ったソーダライムガラスをセメント骨材として用いることにより、酸処理を行わないソーダライムガラスをセメント骨材として用いた場合に問題となるアルカリシリカ反応(アルカリ骨材反応)等の、ナトリウムの関与する反応を抑制できることが分かる。したがって、粉砕廃ガラスを酸処理して得られる再生品は、セメント骨材として好適に用いられることが分かる。
【0117】
〔実施例4〕
着色成分として0.1%の酸化コバルトを含む廃ガラスとしての青色着色ソーダライムガラス100部と、ホウ酸(HBO)54部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ホウ素(B)が30部となる量)との混合物を、温度1400℃の条件の下で溶融した。そして、これを冷却固化した後、粉砕して粉砕廃ガラスとした。
【0118】
上記粉砕廃ガラス1部と、酸水溶液としての1規定硝酸水溶液25部とを密閉容器中に仕込み、加熱して90℃において24時間の酸処理を行った後、水洗いして酸を取り除いた。
【0119】
上記のようにして得られた再生品としての酸処理後の粉砕廃ガラス(再生ガラス)に含まれる元素を測定した結果、珪素、アルミ以外のほとんどの元素が存在しておらず、酸処理により、アルミ以外の成分が取り除かれていることが確認された。
【0120】
上記酸処理後の1規定硝酸水溶液中に浸出した各元素の量と、酸処理がなされた青色着色ソーダライムガラスに含まれている各元素の量とから各元素の浸出率を求めた。すなわち、各元素の測定結果を、浸出率(%)=(1規定硝酸水溶液中の元素量(重量)/青色着色ソーダライムガラス中の元素量(重量))×100として求めた結果を表2に示す。また、酸処理後の粉砕廃ガラス(再生ガラス)について元素分析を行った結果を表3に示す。
【0121】
〔実施例5〕
廃ガラスとしてのソーダライムガラスを、着色成分として0.1%の酸化コバルトを含む青色着色ソーダライムガラスとした以外は、実施例2と同様にして、粒径6μm以下の粉砕廃ガラスを得た。
【0122】
上記粒径6μm以下の粉砕廃ガラスを実施例4と同様の条件の下で酸処理を行い、酸処理に用いられた1規定硝酸水溶液中に浸出した各元素の量を定量した。その結果、廃ガラスとして青色着色ソーダライムガラスを用いた場合も、着色成分を含まないものと同様に、廃ガラス中からナトリウムを取り除くことができることが示された。
【0123】
上記1規定硝酸水溶液中に浸出した各元素の量を測定し、青色着色ソーダライムガラス中に含まれている各元素の浸出率を、浸出率(%)=(1規定硝酸水溶液中の元素量(重量)/青色着色ソーダライムガラス中の元素量(重量))×100として求めた結果を表2に示す。
【0124】
【表1】
JP0004325856B2_000002t.gif

【0125】
上記表1に示す結果より、粉砕工程により得られた粉砕廃ガラスを酸処理することにより得られた再生品は、酸処理前の廃ガラスに含まれるナトリウムが脱離していることが示される。これより、粉砕廃ガラスを酸処理することにより、粉砕廃ガラス中のナトリウムが取り除かれることが分かる。
【0126】
【表2】
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【0127】
【表3】
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【0128】
上記表2、3の結果より、着色廃ガラスに酸化ホウ素を加えて溶融する溶融工程を行い、粉砕した後に酸処理することにより、ナトリウムに加えて、カルシウムおよび着色廃ガラスに着色成分として含まれているコバルトを完全に取り除くことができることが分かる。
【0129】
〔実施例6〕
着色成分として0.1%の酸化クロムCrを含む廃ガラスとしての緑色着色ソーダライムガラス100部と、ホウ酸(HBO)81部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ホウ素(B)が45部となる量)との混合物を、温度1400℃の条件の下で溶融した。これを急冷後粉砕して粉砕廃ガラスとした。
【0130】
上記粉砕廃ガラス1部と、酸水溶液としての1規定硝酸水溶液25部とを密閉容器中に仕込み、加熱して90℃において24時間の酸処理を行った後、150℃で24時間乾燥した。この酸処理後の廃ガラスと3規定硝酸水溶液25部とを密閉容器中に仕込み、90℃において24時間の酸処理を行った後、水洗いして酸硝酸を取り除いた。
上記のようにして得られた再生品としての酸処理後の粉砕廃ガラス(再生ガラス)について元素分析を行った結果を表4に示す。
【0131】
【表4】
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【0132】
上記表4の結果より、着色廃ガラスに酸化ホウ素を加えて溶融する溶融工程を行い、粉砕した後に酸処理することにより、ナトリウムに加えて、カルシウムおよび着色廃ガラスに着色成分として含まれているクロムを完全に取り除くことができることが分かる。
本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、以上のように、ナトリウムを有する廃ガラスを粉砕して粉砕廃ガラスとする粉砕工程と、粉砕廃ガラスを酸水溶液に浸漬させることにより、粉砕廃ガラスと酸水溶液とを接触させて、上記ナトリウムを除去する酸処理工程と、を含み、上記粉砕廃ガラスの粒径が100μm以下である
【0133】
それゆえ、ナトリウム等の酸化珪素以外の成分を、廃ガラスから取り除くことができる。このため、粉砕廃ガラスを酸処理して得られる再生品を、例えばセメント骨材として大量に再利用することができるという効果を奏する。
本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、以上のように、酸化ホウ素原料と廃ガラスとを含んでなる酸化ホウ素含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程を含むものである。
【0134】
これにより、廃ガラスが色ガラスや光学ガラスである場合に、上記酸処理工程において金属等を取り除くことができる。このため、廃ガラスから酸化珪素を抽出して再利用することができるという効果を奏する。
【0135】
また、本発明の廃ガラスのリサイクル方法は、以上のように、酸化リン原料と廃ガラスとを含んでなる酸化リン含有廃ガラスを加熱して溶融する酸化ホウ素含有廃ガラス溶融工程をさらに含むものである。
【0136】
これにより、廃ガラスが色ガラスや光学ガラスである場合に、上記酸処理工程において金属等を取り除くことができる。このため、廃ガラスから酸化珪素を抽出して再利用することができるという効果を奏する。
【0137】
本発明のセメント骨材は、以上のように、上記廃ガラスのリサイクル方法により製造されたものである。
【0138】
それゆえ、ナトリウムの浸出によるアルカリシリカ反応が発生しないセメント骨材を提供することができるという効果を奏する。
【0139】
〔透明ガラスの製造方法〕
本発明の廃ガラスを用いた透明ガラスの製造方法の実施の一形態について、以下に説明する。本実施の形態にかかる廃ガラスを用いた透明ガラスの製造方法は、廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する溶融工程と、上記溶融工程で得られた溶融物を固化させてガラスを得る固化工程と、上記固化工程で得られたガラスを酸水溶液と接触させる酸処理工程と、酸処理されたガラスを焼成する焼成工程とを含む方法である。
【0140】
廃ガラスとは、製品として利用された後に回収されたガラス(以下、市中廃ガラスと記す)、および、工場におけるガラスの製造プロセスにおいて生成するガラス(以下、工場廃ガラスと記す)をいう。本実施の形態に係る透明ガラスの製造方法では、金属系の着色成分等の成分を含む廃ガラスから、着色成分である金属までも取り除くことができるから、着色成分を含む廃ガラスを原料として透明ガラスを製造することが可能となる。
【0141】
上記市中廃ガラスとしては、茶色ガラス瓶、黒色ガラス瓶、緑色ガラス瓶等のガラス瓶;自動車のフロントガラス、窓ガラス等の自動車用ガラス;ブラウン管用ガラス、液晶パネル用ガラス等の電化製品用ガラス;窓ガラス等の建材用ガラス等が挙げられる。また、上記工場廃ガラスとしては、不良品や切り落としくずとして出るガラス、色や組成の異なるガラスを溶融する場合に炉を洗う際に出るガラス等が挙げられる。
【0142】
本発明の透明ガラスの製造方法は、これらの廃ガラスのうち、金属系の着色成分を含む廃ガラス(以下、適宜、着色廃ガラスと称する)、特に、現在その大部分が廃棄されている黒色ガラス瓶や緑色ガラス瓶等の着色ガラス瓶、自動車用着色ガラス、電化製品用着色ガラス、建材用着色ガラス、および色や組成の異なるガラスを溶融する場合に炉を洗う際に出る着色ガラス等の廃棄物をリサイクルする方法として好適である。
【0143】
上記着色廃ガラスは、無色ガラスに金属系の着色成分を添加したものである。
【0144】
上記無色ガラスは、二酸化珪素(SiO)のみからなるか、あるいは、二酸化珪素を主成分とし、二酸化珪素以外の成分を含むものである。無色ガラスに含まれうる他の成分としては、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化鉛(PbO)、酸化ホウ素(B2O3)、酸化アルミニウム(Al)等が挙げられる。二酸化珪素以外の成分を含むガラスの典型例としては、瓶ガラス、窓ガラス、板ガラス等として通常用いられているソーダ石灰系ガラス(NaO-CaO-SiO-Al)が挙げられる。
【0145】
上記金属系の着色成分としては、緑色成分であるクロム(Cr3+等)、青色成分であるコバルト(Co2+等)、黄色成分または赤色成分であるセレン、茶色成分または青紫色成分であるニッケル、黒色成分である鉄(Fe2+等)、紫色成分または赤紫色成分であるマンガン等が挙げられる。
【0146】
本発明の透明ガラスの製造方法は、酸化カルシウム(CaO)を含む着色廃ガラスを用いても、クラックおよび失透のない透明ガラスが得られるので、酸化カルシウムを含む着色廃ガラスのリサイクル法として特に有効である。酸化カルシウムを含む着色廃ガラスとしては、例えば、着色ソーダ石灰系ガラス(ソーダ石灰系ガラスに金属系の着色成分を添加したもの)が挙げられる。
【0147】
また、本発明の透明ガラスの製造方法は、着色成分以外の金属(例えば鉛)等の成分を含む廃ガラスを用いても、これらの成分が除去された透明ガラスを得ることができるので、これらの成分を含む廃ガラスのリサイクル法としても有効である。
上記溶融工程において使用される酸化ホウ素原料は、上記溶融工程において溶融されたときに酸化ホウ素となるものであればよい。上記酸化ホウ素原料としては、例えば、ホウ酸(HBO)、酸化ホウ素等が挙げられる。
【0148】
また、酸化ホウ素原料の仕込み量は、特に限定されないが、溶融状態における酸化ホウ素の量に換算した仕込み量として、着色廃ガラス100重量部に対して、40重量部以上200重量部以下の範囲内であることが好ましく、70重量部以上120重量部以下の範囲内であることがより好ましい。酸化ホウ素原料の仕込み量を上記範囲にすることにより、溶融工程において着色廃ガラス中の金属系の着色成分等の成分を酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2に効率良く濃縮して、酸処理工程により着色廃ガラス中から取り除くことができる。酸化ホウ素原料の仕込み量を、着色廃ガラス100重量部に対して40重量部以上とすることにより、溶融工程において、二酸化珪素相1と酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2とを十分に分相することができ、200重量部以下とすることにより酸処理工程後に処理すべき酸水溶液中の酸化ホウ素量が多くなることを防ぐことができる。
【0149】
上記溶融工程において使用される酸化珪素は、上記溶融工程において溶融されたときに二酸化珪素(SiO)であればよく、一酸化珪素(SiO)でも二酸化珪素でもよい。また、二酸化珪素は、結晶状態(石英、水晶、トリディマイト、クリストバル石等)、非晶質状態(合成シリカ粉、石英ガラス等)、含水ゲル状(シリカゲル)等、いずれの状態であってもよい。酸化珪素としては、細かいほど溶融し易くなる一方、細かすぎると泡が生じて得られる透明ガラスの透過率が低下するおそれがあることから、平均粒径が500μm~1mmの粉末状のものが好適である。
【0150】
また、酸化珪素の仕込み量は、特に限定されないが、溶融状態における二酸化珪素(SiO)の量に換算した仕込み量として、着色廃ガラス100重量部に対して、30重量部以上150重量部以下の範囲内であることが好ましく、50重量部以上100重量部以下の範囲内であることがより好ましい。着色廃ガラス100重量部に対する酸化珪素の仕込み量を30重量部以上とすることにより、後の固化工程で得られるガラス中の酸化カルシウム濃度を十分に低減することができる。したがって、焼成時にガラスにクラックが発生し、ガラスが失透することをより確実に防止できる。また、着色廃ガラス100重量部に対する酸化珪素の仕込み量を150重量部以下とすることにより、製造コストの増大を防ぐことができる。
【0151】
上記溶融工程において使用される酸化ナトリウム原料は、上記溶融工程において溶融されたときに酸化ナトリウムとなるものであればよい。酸化ナトリウム原料としては、例えば、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭化水素ナトリウム(NaHCO)、酸化ナトリウム等が挙げられる。
【0152】
また、酸化ナトリウム原料の仕込み量は、特に限定されないが、溶融状態における酸化ナトリウムの量に換算した仕込み量として、着色廃ガラス100重量部に対して、4重量部以上20重量部以下の範囲内であることが好ましく、7重量部以上12重量部以下の範囲内であることがより好ましい。酸化ナトリウム原料の仕込み量を上記範囲にすることにより、溶融工程において着色廃ガラス中の金属系の着色成分等の成分を酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2に効率良く濃縮して、酸処理工程により着色廃ガラス中から取り除くことができる。酸化ナトリウム原料の仕込み量を、着色廃ガラス100重量部に対して4重量部以上とすることにより、溶融工程において、二酸化珪素相1と酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2とを十分に分相することができ、20重量部以下とすることにより酸処理工程後に処理すべき酸水溶液中の酸化ナトリウム量が多くなることを防ぐことができる。
【0153】
溶融工程において、廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する方法は、各成分を均一に溶融させることができれば良く、特に限定されない。例えば、各原料を混合した状態で該混合物を加熱して溶融することとしても良く、あるいは、まず一部の原料、例えば着色廃ガラスのみを加熱して溶融した後、他の成分を加えても良い。
【0154】
溶融工程においては、着色廃ガラスを、酸化ホウ素原料、酸化珪素、および酸化ナトリウム原料に加えて、他の原料、例えば、酸化アルミニウム原料と共に加熱して溶融してもよい。着色廃ガラスが、着色ソーダ石灰系ガラス等のような酸化アルミニウムを含むガラスである場合、溶融工程において、着色廃ガラスを、酸化ホウ素原料、酸化珪素、酸化ナトリウム原料、および酸化アルミニウム原料と共に加熱して溶融することが好ましい。これにより、焼成工程での割れをさらに防止することができる。
【0155】
上記酸化アルミニウム原料は、上記溶融工程において溶融されたときに酸化アルミニウム(Al)となるものである。酸化アルミニウム原料としては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウム(Al(OH))等が挙げられる。
また、酸化アルミニウム原料の仕込み量は、特に限定されないが、溶融状態における酸化アルミニウムの量に換算した仕込み量として、着色廃ガラス100重量部に対して、2重量部以上10重量部以下の範囲内であることが好ましく、4重量部以上8重量部以下の範囲内であることがより好ましい。酸化アルミニウム原料の仕込み量を、着色廃ガラス100重量部に対して2重量部以上とすることにより、焼成工程での割れをより一層防止することができ、10重量部以下とすることにより、溶融工程における溶融温度が上昇するのを防止することができる。
【0156】
溶融工程における溶融温度は、着色廃ガラスに含まれている二酸化珪素以外の成分の種類や量、処理時間等に応じて適宜設定することができるが、1250℃以上1600℃以下の範囲内とすることが好ましく、1350℃以上1450℃以下の範囲内とすることがより好ましい。溶融温度を上記範囲内とすることにより、着色廃ガラス中の金属系の着色成分等の成分を効果的に酸化ホウ素相2に濃縮し、後の酸処理工程において確実に取り除くことができる。
【0157】
また、溶融工程における溶融時間は、着色廃ガラスに含まれている二酸化珪素以外の成分の種類や量、溶融温度等に応じて適宜設定することができるが、30分以上5時間以下の範囲内とすることが好ましく、3時間以上4時間以下とすることがより好ましい。
【0158】
このようにして、着色廃ガラスを、酸化ホウ素原料、酸化珪素、および酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する。その結果、得られる溶融物は、図1(a)に示すように、二酸化珪素相1(SiO相)と、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2(NaO-B相)とに分相し、二酸化珪素と酸化ナトリウムと酸化ホウ素とを除く成分(以下、他の成分と称する)は、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2に溶解する。すなわち、廃ガラスに含まれている金属系の着色成分等の成分、例えば、着色廃ガラスが着色ソーダ石灰系ガラスである場合に含まれている、金属系の着色成分や酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の成分を、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2に溶解させることができる。したがって、溶融工程において、廃ガラス中における金属系の着色成分や酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の成分を、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2中に濃縮することができる。
【0159】
溶融工程の後、固化工程で、得られた溶融物を冷却して固化すると、溶融物は、塊状にガラス化(固化)し、ガラスが得られる。この際に、二酸化珪素相1と酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2の非常に微細な分相が進行する。この2相は、互いに非常に細かく分離しており、その大きさは、典型的には数十Åである。
【0160】
上記酸処理工程では、上記固化工程で得られたガラスの形状をほぼ保持したままで酸処理を行う。上記ガラス中の酸化ナトリウムおよび酸化ホウ素は、酸水溶液によって容易に溶解される。そのため、上記酸処理工程において、酸化ナトリウムおよび酸化ホウ素は、他の成分と共に酸水溶液中に溶解する。これにより、廃ガラス中に含まれている、金属系の着色成分や酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の成分をガラスから取り除くことができる。すなわち、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2を取り除いて、図1(b)に示すように二酸化珪素相1とすることができる。
【0161】
上記酸処理工程において用いられる酸水溶液は、特に限定されるものではないが、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等の水溶液を用いることができる。
【0162】
上記酸水溶液の酸の濃度は、特に限定されないが、0.1規定以上4規定以下の範囲内であることが好ましく、0.5規定以上1規定以下であることがより好ましい。酸処理工程において上記範囲内の濃度の酸水溶液を用いることにより、ガラスから金属系の着色成分等の成分をより確実に取り除くことができる。それゆえ、より高純度で、より高い光透過率を持つ透明ガラスを得ることができる。
【0163】
酸処理工程の温度、処理時間は、着色廃ガラスの種類や、量、粒径、および酸水溶液の種類、濃度等に応じて決定することができるが、酸水溶液およびガラスの温度が、20℃以上400℃以下の範囲内であることが好ましく、70℃以上200℃以下の範囲内であることがより好ましく、90℃以上140℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。なお、酸処理工程の温度を100℃以下とすることにより、圧力容器を用いる必要がなくなるため、酸処理工程の温度は90℃以上100℃以下の範囲内であることが最も好ましい。また、酸処理工程の処理時間は、8時間以上72時間以下の範囲内であることが好ましく、12時間以上48時間以下の範囲内であることがより好ましい。
【0164】
酸処理工程におけるガラスと酸水溶液との比は特に限定されるものではないが、ガラスと酸水溶液との重量比が、1:500から2:5の範囲内であることが好ましく、1:200から1:5の範囲内であることがより好ましい。
【0165】
上記酸処理(ガラスと酸水溶液との接触処理)は、1回のみでもよいが、酸水溶液を新しいものに交換しながら複数回行うことがより好ましい。これにより、大量の酸水溶液を使用することなく、ガラスから金属系の着色成分等の成分をより確実に取り除くことができ、透明ガラス中への金属系の着色成分等の残留量を低減できる。それゆえ、より高純度で、より高い光透過率を持つ透明ガラスを安価に得ることができる。酸処理の繰り返し回数が多いほど透明ガラス中への金属系の着色成分等の残留量を低減できるが、繰り返し回数があまり多くなると操作に手間がかかるので、酸処理の繰り返し回数は3回以下であることがより好ましい。
【0166】
また、酸処理工程においてガラスと酸水溶液とを接触させる方法は、特に限定されないが、例えば、ガラスを酸水溶液に浸漬させて攪拌すること、密閉容器中に着色廃ガラスと酸水溶液とを入れて加熱すること等により行うことができる。
【0167】
酸処理工程においてガラスと酸水溶液とを接触させることにより、図1(b)に示すように、ガラスから酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2が取り除かれ、二酸化珪素相1が元の形を保ったままで残る。その結果、二酸化珪素相1が骨格となり、酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2が取り除かれた場所に細孔が形成された多孔質のガラスが得られる。
【0168】
焼成工程では、この多孔質のガラスを焼成することによって、細孔が消失して、全体が収縮すると共に透明なガラスとなる。このとき、酸化カルシウム残留量が多いガラスを焼成すると、ガラスにクラックが生じ、ガラスが失透する(透明性を失う)恐れがある。しかし、本実施形態の方法では、上記溶融工程において、酸化珪素および酸化ナトリウム原料を用いたことにより、酸処理されるガラス中の酸化カルシウムの濃度が低く抑えられている。そのため、焼成されるガラス中の酸化カルシウム残留量が低く抑えられている。その結果、焼成工程において、ガラスにクラックが生じてガラスが失透することを防止できる。
【0169】
焼成工程におけるガラスの焼成温度は、800℃以上1200℃以下の範囲内とすることが好ましく、1000℃以上1100℃以下の範囲内とすることがより好ましい。焼成温度を上記範囲内とすることにより、より確実に細孔を消失して透明なガラスを得ることができる。
【0170】
以上のように、本実施の形態の透明ガラスの製造方法によれば、溶融工程および固化工程において、廃ガラスと酸化珪素と酸化ナトリウムと酸化ホウ素とを含むガラスを作製し、ガラスを酸化珪素相1と着色成分や酸化カルシウム等を含む酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2とに分相させ、酸処理工程においてこのガラスを酸水溶液と接触させることにより、ガラスの形状を保ったままで、金属系の着色成分や酸化カルシウム等の成分を酸水溶液に溶解させて取り除くことができる。また、このとき、溶融工程で酸化珪素および酸化ナトリウムを用いることによって、酸処理されるガラス中の酸化カルシウム濃度を低減しているので、酸処理工程において酸化カルシウムをほぼ完全に除去できる。そして、この酸化カルシウムがほぼ完全に除去されたガラスを焼成工程において焼成することによって、ガラスの形状を保ったままで、クラックを発生させることなく、細孔を消失させることができ、透明なガラスが得られる。
【0171】
したがって、本実施の形態の透明ガラスの製造方法によれば、現在廃棄物として問題となっている廃ガラス、特に着色廃ガラスをリサイクルできると共に、透明ガラスを安価にかつ簡便に製造することができる。
【0172】
なお、上記製造方法では、上記固化工程後に、得られたガラスに対してさらに熱処理を行ってもよい。このように熱処理することにより、分相がより一層進行する。それゆえ、金属系の着色成分等の成分を酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2中にさらに効果的に濃縮することができる。その結果、後の酸処理工程において、ガラスから金属系の着色成分等の成分をより効果的に取り除くことができる。したがって、より高純度で、より高い光透過率を持つ透明ガラスを得ることができる。
【0173】
上記熱処理の温度は、500℃以上700℃以下の範囲内とすることが好ましく、570℃以上590℃以下の範囲内とすることがより好ましい。熱処理の温度を上記範囲内とすることにより、ガラス中の金属系の着色成分等の成分を効果的に酸化ナトリウム-酸化ホウ素相2に濃縮することができる。その結果、後の酸処理工程において、ガラスから金属系の着色成分等の成分をより確実に取り除くことができる。したがって、より高純度で、より高い光透過率を持つ透明ガラスを得ることができる。
【0174】
また、上記熱処理工程における熱処理時間は、着色廃ガラスに含まれている二酸化珪素以外の成分の種類や量、溶融温度等に応じて適宜設定することができるが、100時間以下とすることが好ましく、24時間以上70時間以下とすることがより好ましい。上記熱処理の時間を100時間より長くすると、分相がさら進行した結果として、二酸化珪素とそれ以外の成分の結晶化が進行して、後の酸処理工程における二酸化珪素以外の成分の脱離率が低下する場合がある。
【0175】
上記説明した製造方法により、酸化ケイ素の純度が高く、高い光透過率を持つ透明ガラスを得ることができる。また、この透明ガラスは、溶融工程の酸化ホウ素原料に起因するホウ素をごく微量の不純物として含み、具体的には10ppm以上含むこととなる。
【0176】
〔実施例および比較例〕
以下に、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例に記載の「部」は「重量部」を示し、「%」は「重量%」を示す。
【0177】
〔実施例7〕
本実施例では、廃ガラスとして、図4(a)に示す着色廃ガラスである緑色着色ソーダライムガラス(酸化ナトリウム(NaO)15.2%、酸化カルシウム(CaO)10.2%、二酸化珪素(SiO)73.2%、酸化アルミニウム(Al)1.3%、着色成分としての酸化コバルト(Cr)0.1%)を使用した。緑色着色ソーダライムガラスの光吸収スペクトルを図3に曲線Aで示す。
【0178】
緑色着色ソーダライムガラス100部と、粉末状の酸化珪素(SiO)75部(ソーダライムガラスが溶融した状態において二酸化珪素(SiO)が75部となる量)と、炭酸ナトリウム(NaCO)15部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ナトリウム(NaO)が8.8部となる量)と、水酸化アルミニウム(Al(OH))9.2部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化アルミニウム(Al)が6.0部となる量)と、ホウ酸(HBO)171部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ホウ素(B)が95部となる量)とを混合した。
【0179】
次いで、得られた混合物を温度1400℃の条件の下で4時間加熱して溶融させることにより溶融物を得た。得られた溶融物を冷却して固化させることによりガラスを板状に成形し、ガラス板を得た。このガラス板の光吸収スペクトルを図3に曲線Bで示す。その後、このガラス板を580℃で40時間熱処理を行った。
【0180】
次に、容器中に酸水溶液としての0.5規定硝酸水溶液25部を入れ、該硝酸水溶液中に上記の熱処理を施したガラス板1部を浸漬し、90℃に加熱しながら24時間にかけて酸処理を行った。次に、容器中の硝酸水溶液を新しい1規定硝酸水溶液25部に交換し、90℃に加熱しながら24時間かけて再度、酸処理を行った。
【0181】
その後、1日間風乾した後、1050℃で3時間焼成を行った。その結果、図4(b)に示す透明ガラス板が得られた。得られた透明ガラス板の光吸収スペクトルを図3に曲線Cで示す。
【0182】
図3に示す結果より、本発明の方法により、着色廃ガラスから着色成分が取り除かれ、紫外領域および可視光領域に高い透過率を持つ透明ガラスが得られることが分かる。
本実施例で得られた透明ガラスは、ほぼ酸化珪素のみからなるものであり、酸化珪素を95重量%程度含むと予想される。したがって、本実施例で得られた透明ガラスは、高純度ではないものの石英ガラスとして使用できると考えられる。
【0183】
〔実施例8〕
市販の緑色および青色の混合廃ガラス(市販の酒瓶の廃ガラスを混合したもの)100部と、粉末状の酸化珪素(SiO)75部(ソーダライムガラスが溶融した状態において二酸化珪素(SiO)が75部となる量)と、炭酸ナトリウム(NaCO)10.2部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ナトリウム(NaO)が6.0部となる量)と、水酸化アルミニウム(Al(OH))9.2部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化アルミニウム(Al)が6.0部となる量)と、ホウ酸(HBO)153部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ホウ素(B)が85部となる量)とを混合した。
【0184】
次いで、得られた混合物を温度1400℃の条件の下で4時間加熱して溶融させることにより溶融物を得た。得られた溶融物を冷却して固化させることによりガラスを板状に成形し、ガラス板を得た。その後、このガラス板を585℃で24時間熱処理を行った。
次に、容器中に酸水溶液としての1規定硝酸水溶液を入れ、該硝酸水溶液中に上記の熱処理を施したガラス板を浸漬し、90℃に加熱しながら48時間にかけて酸処理を行った。
【0185】
その後、1日間風乾した後、炭素を入れて還元雰囲気にした炉中で、ゆっくりと加熱して、10時間焼成を行った。この焼成においては、炉中の温度を段階的に変化させた。具体的には、加熱開始からの炉中の温度が、順に、50℃で2時間、120℃で2時間、360℃で1時間、650℃で1時間、850℃で1時間、950℃で1時間、1100℃で2時間、となるように加熱して、焼成を行った。なお、炉中の温度変化は、上記所定の温度を超えないように注意しつつ、速やかに行った。その結果、溶融石英と同様200nm以下の波長の光でも透過する透明ガラス板が得られた。より具体的には、1mmの厚みで波長200nmにおいて25%以上の透過率、具体的には30%の透過率を示す透明ガラス板が得られた。得られた透明ガラス板の光吸収スペクトルを図5に示す。
【0186】
図5に示す結果より、本発明の方法により、着色廃ガラスから着色成分が取り除かれ、紫外領域および可視光領域に、非常に高い透過率を持つ透明ガラスが得られることが分かる。このように、本実施例の透明ガラスは、石英ガラス(溶融石英)と同レベルの高い光透過性を有するため、例えば紫外線領域における高い光透過性が要求される、測定セルや基板等の光材料として非常に有用であり、石英ガラスの代替品としても使用することができる。
【0187】
本実施例で得られた透明ガラスの元素分析を行った結果、ナトリウム400ppm(0.04%)、カルシウム220ppm(0.022%)、ホウ素5280ppm(0.528%)、アルミニウム3400ppm(0.34%)、クロム10ppm(0.0001%)未満、鉄70ppm(0.007%)、銅10ppm(0.0001%)未満であった。
【0188】
〔比較例5〕
酸化珪素、炭酸ナトリウム、および水酸化アルミニウムを使用せず、ホウ酸(HBO)の使用量を72部(ソーダライムガラスが溶融した状態において酸化ホウ素(B)が40部となる量)に減らした点以外は、実施例と同様の配合および操作でガラス板を製造した。
【0189】
その結果、焼成工程において、ガラスにクラックが生じると同時に、ガラスが失透した。
【0190】
本発明の透明ガラスの製造方法は、以上のように、廃ガラスを、溶融により酸化ホウ素となる酸化ホウ素原料、酸化珪素、および溶融により酸化ナトリウムとなる酸化ナトリウム原料と共に加熱して溶融する溶融工程と、上記溶融工程で得られた溶融物を固化させてガラスを得る固化工程と、上記固化工程で得られたガラスを酸水溶液と接触させる酸処理工程と、酸処理されたガラスを焼成する焼成工程とを含む方法である。
【0191】
上記方法では、廃ガラスの溶融物に酸化ホウ素だけでなく、酸化珪素と酸化ナトリウムとを加えて固化させることによって、ガラスを酸化珪素相と他の成分からなる相とに分相させるだけでなく、ガラス中における金属系の着色成分や酸化カルシウム等の濃度を低減している。これにより、酸処理工程において、金属系の着色成分や酸化カルシウム等をほぼ完全に除去し、焼成工程において、ガラスの形状を保ったまま、クラックを発生させることなく透明なガラスを得ることができる。
【0192】
したがって、本発明は、現在廃棄物として問題となっている廃ガラス、特に金属系の着色成分を含む廃ガラスをリサイクルできると共に、透明ガラスを安価にかつ簡便に製造することができるという効果を奏する。
【0193】
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0194】
以上のように、本発明の廃ガラスのリサイクル方法および透明ガラスに製造方法は、廃ガラス、特に着色廃ガラスをリサイクルする方法として有用である。また、本発明の再生ガラスは、大量に消費されるセメント骨材や建材ブロックの原料、ガラス原料等として有用であり、本発明の透明ガラスは高い光透過性を有するため、光ファイバー等に用いられる石英ガラスの代替品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1(a)】図1(a)は、本発明の廃ガラスのリサイクル方法おより透明ガラス製造方法の酸処理工程を説明する、廃ガラスが分相している状態を説明する概略図である。
【図1(b)】図1(b)は、本発明の廃ガラスのリサイクル方法おより透明ガラス製造方法の酸処理工程を説明する、酸処理により酸化珪素以外の成分が取り除かれた状態の概略図である。
【図2(a)】図2(a)は、実施例3のコンクリートのX線回折の測定結果を示す図である。
【図2(b)】図2(b)は、比較例1のX線回折の測定結果を示す図である。
【図2(c)】図2(c)は、比較例2のX線回折の測定結果を示す図である。
【図3】図3は、実施例7の緑色着色廃ガラス、該緑色着色廃ガラスに各種成分を混合して溶融することにより得られたガラス板、および酸処理後の焼成によって得られた透明ガラス板のそれぞれの光吸収スペクトルを示すグラフである。
【図4(a)】図4(a)は、本発明にかかる処理の前後におけるガラスの透明性の変化を示す図であり、処理前の実施例7の緑色着色廃ガラスを示す。
【図4(b)】図4(b)は、本発明にかかる処理の前後におけるガラスの透明性の変化を示す図であり、処理後に得られた実施例7の透明ガラスを示す。
【図5】図5は、該緑色着色廃ガラスに各種成分を混合して溶融することにより得られた実施例8の透明ガラス板の光吸収スペクトルを示すグラフである。
図面
【図1(a)】
0
【図1(b)】
1
【図2(a)】
2
【図2(b)】
3
【図2(c)】
4
【図3】
5
【図4(a)】
6
【図4(b)】
7
【図5】
8