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明細書 :差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置及びその測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4076962号 (P4076962)
公開番号 特開2004-340922 (P2004-340922A)
登録日 平成20年2月8日(2008.2.8)
発行日 平成20年4月16日(2008.4.16)
公開日 平成16年12月2日(2004.12.2)
発明の名称または考案の名称 差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置及びその測定方法
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
FI G01N 21/27 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 25
出願番号 特願2004-029060 (P2004-029060)
出願日 平成16年2月5日(2004.2.5)
優先権出願番号 2003118565
優先日 平成15年4月23日(2003.4.23)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成17年2月16日(2005.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】今任 稔彦
【氏名】浅野 泰一
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】樋口 宗彦
参考文献・文献 特表2001-511249(JP,A)
特開平09-257701(JP,A)
特開2002-214133(JP,A)
特開平09-292333(JP,A)
特開2003-202289(JP,A)
特開平09-096605(JP,A)
特開2002-214131(JP,A)
特開平07-159319(JP,A)
調査した分野 G01N21/00-21/61
実用新案ファイル(PATOLIS)
特許ファイル(PATOLIS)
特許請求の範囲 【請求項1】
(a)入射光の入射角が共鳴角を含んだ前後の角度になるような入射光学系と、
(b)一束の入射光の照射範囲にプリズムに蒸着した薄膜上の試料溶液固定部と参照溶液固定部がともに含まれるように配置される試料セット装置と、
(c)前記試料溶液固定部と参照溶液固定部からの反射光をそれぞれ分離し、それらの反射光の向きを変え1ライン上に投影する複数個のミラーを具備する投影光学系と、
(d)前記反射光を1ライン上のCCDで受光するリニアCCDセンサとを具備することを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項2】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記複数個のミラーは、前記試料溶液固定部からの反射光を第1の角度で反射する第1のミラーと、前記参照溶液固定部からの反射光を第2の角度で反射する第2のミラーとを具備することを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記プリズムの上に該プリズムとその屈折率を整合させた粘着力を持つ光インターフェイス粘着膜を具備することを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置。
【請求項4】
一定波長を持つ光源からの光をプリズムとガラス基板からなるセンサに線焦点を結ぶように当て、該線焦点上に一定間隔を保って配置された試料セルと参照セルの感応部で生じた表面プラズモン共鳴現象により強度が減少した反射光を、前記試料セルと参照セルの感応部の中心間隔と同じに保持しながら、互いに角度の異なる光分割ミラーを用いて反射させ、試料光と参照光を2光路に分割して、一つのCCDラインセンサの異なる二つの領域で検出する光学系を用いて、前記プリズムの上に密着させた、該プリズムとその屈折率を整合させた粘着力を持つ光インターフェイス粘着膜に試料部と参照部に対応した感応膜を併せ持った電極式複合型センサセルを押し付けることによって、前記センサ、前記光インターフェイス粘着膜およびプリズム間の光整合性を保ち、前記試料セルと参照セルで生じる表面プラズモン共鳴現象を測定することを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項5】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記光インターフェイス粘着膜が高分子光インターフェイス粘着膜であることを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項6】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記高分子がポリ塩化ビニールであることを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項7】
請求項又は記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記光インターフェイス粘着膜上に前記プリズム及びガラス基板と同一の屈折率を持つマッチングオイルなしで前記試料セルを設定することを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項8】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、機能性物質と相互作用があり、かつその結果屈折率が変化するような物質の化学センサ化を行うことを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項9】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記試料セルに抗体を固定することによって抗原-抗体反応を測定する免疫センサ化を行うことを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
【請求項10】
請求項記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記電極式複合型センサセルの押し付けは20ニュートンの力によることを特徴とする差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置及びその測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
20世紀後半の我が国における産業の高度発展は、我々の生活に物質的な豊かさをもたらしたが、一方ではその負の遺産として大気、水質、土壌汚染や青少年への乱用薬物の蔓延など人間社会に深刻な影響をもたらした。これらの中、無機物による大気、水質汚染についてはかなりの改善がなされたが、1990年代の初頭に明らかにされた生体への影響が心配されるダイオキシンなどに代表される環境ホルモン類、すなわち、ある種の人工低分子有機化合物による環境汚染や乱用薬物による心身の汚染、土壌汚染の解決は21世紀へ委ねられ、現在早急に解決されなければならない社会問題とされている。このことを計測化学上からみると、これらの有機化合物の測定は、濃度が極微量であり、かつ測定結果の信頼性が要求されるため、現在のところ高価でしかも操作に熟練を必要とするガスクロマトグラフィー・質量分析法で実施されている。そのため、その汚染実態を知るための情報量が少ないことも解決に至っていない大きな要因である。
【0003】
一般に有機物を計る方法としては、上記したガスクロマトグラフィー・質量分析法のほか、液体クロマトグラフィー、蛍光試薬や発光試薬を用いて化学反応に基づく光を計測する方法、酵素イムノアッセイ、表面プラズモン共鳴測定法などがある。これらの方法の中で操作の簡便さを満足する方法は、表面プラズモン共鳴測定法であると考えられる。その理由を以下に述べる。
【0004】
表面プラズモン共鳴測定法は、プラズマ化された金表面に光を当て、物質の相互作用に基づき100nmの領域で起こる光の共鳴現象(表面プラズモン共鳴現象;surface plasmon resonance:SPR)を測定する方法である。この方法は、
(1)センサ表面で起こる化学反応をリアルタイムで追跡することができる。
(2)物質相互間の相互作用が100nmの領域で起こるので分析用試料が微量でよい。
(3)上記(2)の理由より、少ない試料で高感度濃縮が可能である。
(4)検出系の材料にガラスプリズムを使用しているので、検出器を限りなく小さくできる。
(5)プラズモン共鳴を起こすために金薄膜を用いているので、抗体など感応物質の固定化が容易で、測定対象を選択的に検出する検出系を構築することができる。
【0005】
以上の理由により、表面プラズモン共鳴測定法はパームサイズを指向する環境汚染低分子有機化合物を計測するためのユビキタスなフィールド機器を開発するために最適な方法と考えた。
【0006】
表面プラズモン共鳴とは、金属膜を蒸着したプリズムに光を入射すると、プリズム表面において常時発生しているエバネッセント波と金表面において励起された表面プラズモン波が共鳴し、反射光が減少する現象である。この表面プラズモン共鳴現象を起こす入射角度は試料溶液の誘電率によって変化するので、金属薄膜の表面に測定対象物と相互作用する物質を機能性膜として固定化することで、様々な有機物を測定するための化学センサを構築することが可能である。
【0007】
この現象は応用物理の光学分野では古くから知られていて、1902年にWoodによって見出され、1982年にはNylanderによってセンサ化された。これが科学的に応用されたのは最近で、金表面に抗体等を固定することによって生体膜と物質の相互作用をリアルタイムに計測することが可能になった。従来、生体膜と物質の相互作用を計測する方法としては、数日かけて相互の平衡状態を測る平衡法が一般的だったが、表面プラズモン共鳴測定法ではそれをリアルタイムで測定することができるので、免疫反応を測定する免疫センサ、蛋白質の相互作用の解析など、分析化学・生化学・薬品化学・医療計測などの広範囲な科学・産業分野で多彩な展開が図られている。
【0008】
ここで、表面プラズモン共鳴現象の原理について更に詳しく説明する。
【0009】
金あるいは銀のような金属をガラス基板の片面に蒸着して数十nmの箔状にして金属が蒸着されていないガラス基板側から光を当てると、表面プラズモンと呼ばれる波動が発生する。表面プラズモンとは、金属中における拘束の度合いが小さい、自由電子群のゆらぎを量子化したものをいう。これは音波と同じ粗密度で金属表面を接線方向に伝播することができる。そこで、伝播速度が同一の電磁波でゆさぶってやると共鳴して表面プラズモンが発生する。
【0010】
金属は陽イオンの周囲を電子が自由に動くため、固体プラズマと見なすことができる。このような固体プラズマの表面付近には電子の集団励起である表面プラズマ振動(この量子が表面プラズモン)が存在している。表面プラズモンは金属表面付近のみに局在する表面波で、その波数Kspと振動数ωの関係は金属の誘電率εm だけでなく、金属の接している媒質(試料)の屈折率ns にも依存し、次式で与えられる。
【0011】
【数1】
JP0004076962B2_000002t.gif
ここでcは真空中の光速である。
【0012】
上記(1)式より、試料に接する金属(誘電率εm が既知)の表面上での、振動数ωの表面プラズモンの波数Kspを知れば、試料屈折率ns が得られる。
【0013】
図18は表面プラズモン共鳴現象の原理を示す模式図である。
【0014】
この図において、1はプリズム(屈折率nD )、2は金属薄膜(誘電率ε)、3は溶液試料、4は入射光(波数Kp )、5はエバネッセント波(波数Kev)、6は反射光、7はCCD検出器、8は表面プラズモン(波数Ksp)である。
【0015】
この図に示すように、プリズム1に金属薄膜2を蒸着し、これを試料(ここでは溶液試料)3と接触させる。プリズム1側から臨界角以上の角度でプリズム1底面(センサ面)に入射光4を入射すると、エバネッセント波5が試料3中にしみだす。入射光4として平面波(波数Kp )を入射角θで入射すると、エバネッセント波5の波数Kevは入射光4の空間周波数のプリズム底面方向成分
ev=Kp sinθ …(2)
となる。臨界角以上の入射角ではKp sinθ>Ks (Ks は試料3中を伝搬する光の波数)なので、
ev=Kp sinθ>Ks …(3)
となる。すなわち、エバネッセント波5の波数Kevは試料3中を伝播する光の波数Ks よりも大きい。このため、Kev=Kspを満足する入射角θspが存在し、その角度θspで入射した光4は、そのエバネッセント波5によって表面プラズモン8を共鳴励起する。エバネッセント波5により表面プラズモン8が励起されると光のエネルギーの一部が表面プラズモン8に移り、プリズム1中に戻る反射光6の強度が減少する。このため、プリズム1側での反射率のエバネッセント波5の波数Kev依存性または平面波入射時の入射角依存性を測定すると、吸収ピークとして表面プラズモン8の励起が観測される。この吸収ピークの位置(波数Kevまたは入射角θsp)が表面プラズモン8の波数Kspを与え、これから上記(1)式と(2)式をもちいて試料屈折率ns を知ることができる。溶液試料3においてはその屈折率ns は溶液の濃度に依存するため屈折率測定より濃度の測定を行うことができる。
【0016】
また、図19に示すように、金属薄膜2表面上に測定物質と相互作用する物質を機能性膜9として固定化することで、この機能性膜9の誘電率と厚さは変化(各種の反応・結合)し、共鳴角は変化する。この角度変化をリアルタイムで測定することで各種の反応・結合の様子、速度、量およびサンプル濃度等を測定することができる。なお、図19は表面プラズモン共鳴現象を利用する免疫計測の例を示している。
【0017】
次に、従来のプラズモン共鳴現象測定装置について説明する。
【0018】
図20は差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の概要図である。
【0019】
この図において、11は光源、12はビームスプリッター、13はSPR検出器、14は試料用光検出器、15,18はプリアンプ、16,19はA/Dコンバータ、17は参照用光検出器、20はインターフェイス(I/F)、21はコンピュータである。
【0020】
図20に示すように、従来の光学系は光源11からの光をビームスプリッター12で二光路に分けて、プリズムで構成されるSPR検出器13の定められた2点にあて、表面プラズモン共鳴現象によって生じた光の減少を二つの独立した光検出器14,17で検出し、各々プリアンプ15,18で増幅するという方式がとられていた。
【0021】
図21は従来の表面プラズモン共鳴測定装置の検出系を示す図である。
【0022】
この図において、22はプリズム、23は光インターフェイスオイル膜、24はセンサ、25は試料、26は送液ポンプ、27はフローセル、28はフローセルホルダー、29は光である。
【0023】
この図に示すように、従来の検出系は、送液ポンプ26、フローセル27、セルホルダー28、センサ24、及びプリズム22との光整合性を保つための光インターフェイスオイル膜23で構成されていた。

【特許文献1】特開2000-039401号公報
【特許文献2】特開2001-183292号公報
【特許文献3】特開2001-255267号公報
【特許文献4】特許第3356212号公報
【特許文献5】特開2003-185572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、上記した図20に示すような複光路方式では、ビームスプリッター12で二光路に分けるためプリズムの小型化に限界があること、光検出系が二つ必要であることなどにより、構造的にある程度のスペースが必要であり、パームサイズを指向するにはその小型化に限界があった。
【0025】
そもそも、表面プラズモン共鳴測定装置はビアコア株式会社や日本レーザー電子株式会社から既に市販されているが、そのサイズは760×350×610cm(W×D×H)と大きく、また重さは50kg(ビアコア社:BIAcore1000)と重いため、実験室での使用に限られていた。
【0026】
従って、現状では試料の表面プラズモン共鳴現象を測る場合には、試料を実験室に持ち帰らなければならず、現場で生きた測定結果を得ることは不可能であった。
【0027】
さらに、図21に示すような検出系の構成では、計測システムは必然的に大型となり、いつでも、どこでも計測できるユビキタス、オンサイト、フィールドユースを指向するパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の仕様を満足することはできなかった。
【0028】
本発明は、このような表面プラズモン共鳴計測の現状を打破するために、光学系と検出系に新たな考えを導入して、小型・安価であって操作に熟練を要さず、野外においても、誰でもが、どこでも、いつでも気軽に使えて、しかも測定結果に信頼性のある、pH測定用ガラス電極のようにセンサ感覚で使えるパームサイズの差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置を環境汚染有機物計測用として提供する。
【0029】
すなわち、本発明は、上記状況に鑑みて、安価・小型のうえ操作に熟練を要しないユビキタスな計測器として構築される差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置及びその測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置において、入射光の入射角が共鳴角を含んだ前後の角度になるような入射光学系と、一束の入射光の照射範囲にプリズムに蒸着した薄膜上の試料溶液固定部と参照溶液固定部がともに含まれるように配置される試料セット装置と、前記試料溶液固定部と参照溶液固定部からの反射光をそれぞれ分離し、それらの反射光の向きを変え1ライン上に投影する複数個のミラーを具備する投影光学系と、前記反射光を1ライン上のCCDで受光するリニアCCDセンサとを具備することを特徴とする。
【0031】
〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記複数個のミラーは、前記試料溶液固定部からの反射光を第1の角度で反射する第1のミラーと、前記参照溶液固定部からの反射光を第2の角度で反射する第2のミラーとを具備することを特徴とする。
【0032】
〕上記〔1〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置において、前記プリズムの上に該プリズムとその屈折率を整合させた粘着力を持つ光インターフェイス粘着膜を具備することを特徴とする。
【0033】
〕差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、一定波長を持つ光源からの光をプリズムとガラス基板からなるセンサに線焦点を結ぶように当て、この線焦点上に一定間隔を保って配置された試料セルと参照セルの感応部で生じた表面プラズモン共鳴現象により強度が減少した反射光を、前記試料セルと参照セルの感応部の中心間隔と同じに保持しながら、互いに角度の異なる光分割ミラーを用いて反射させ、試料光と参照光を2光路に分割して、一つのCCDラインセンサの異なる二つの領域で検出する光学系を用いて、前記プリズムの上に密着させた、このプリズムとその屈折率を整合させた粘着力を持つ光インターフェイス粘着膜に試料部と参照部に対応した感応膜を併せ持った電極式複合型センサセルを押し付けることによって、前記センサ、前記光インターフェイス粘着膜およびプリズム間の光整合性を保ち、前記試料セルと参照セルで生じる表面プラズモン共鳴現象を測定することを特徴とする。
【0034】
〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記光インターフェイス粘着膜が高分子光インターフェイス粘着膜であることを特徴とする。
【0035】
〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記高分子がポリ塩化ビニールであることを特徴とする。
【0036】
〕上記〔〕又は〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記光インターフェイス粘着膜上に前記プリズム及びガラス基板と同一の屈折率を持つマッチングオイルなしで前記試料セルを設定することを特徴とする。
【0037】
〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、機能性物質と相互作用があり、かつその結果屈折率が変化するような物質の化学センサ化を行うことを特徴とする。
【0038】
〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記試料セルに抗体を固定することによって抗原-抗体反応を測定する免疫センサ化を行うことを特徴とする。
【0039】
10〕上記〔〕記載の差動式表面プラズモン共鳴現象測定方法において、前記電極式複合型センサセルの押し付けは20ニュートンの力によることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明は、複合型センサセルの採用により真の意味で表面プラズモン共鳴現象のリアルタイム計測という利点を機器として具現化したもので、小型であり、外乱に強く、操作は極めて簡便である。
【0041】
詳細には、環境汚染物質測定のためのユビキタスな計測器の具備すべき条件として
(1)高感度、(2)簡便操作、(3)装置に可動部がない、(4)小型、(5)軽量、(6)オンサイト計測ができる、(7)ポータブルである、(8)安価、(9)電池駆動、(10)信頼性が高い、(11)化学センサ化されている、ということが必要であるが、本発明は、かかるユビキタスな計測器としての条件を十分に満足するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、誰でもどこでも使えるユビキタスな表面プラズモン共鳴現象測定センサを目指したもので、(1)光照射範囲の薄膜上に試料感応部分と参照感応部分が含まれるようにし、両部分からの反射光を分割ミラーでそれぞれからの反射光に分割したうえで、一つのリニアCCDラインセンサ上に並べて結像させる光学系、(2)試料感応部分と参照感応部分をプリズムに蒸着された薄膜上に簡便にセット、支持できるセンサセルを中心とする検出系、および(3)粘着性に優れ屈折率もマッチングオイルと同等で、かつマッチングオイル使用時に不可欠なセンサ基盤とプリズムとの機械的押し付けが不要となる、従来のマッチングオイルに代わるフィールド計測で扱いやすい光インターフェイス粘着膜、とから構成される。本発明によれば、試料と参照の両部分を同時に計測することができるので、計測のリアルタイム性が達成されるばかりでなく、ユビキタス使用に適した小型・簡便な高感度センサが実現できる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0044】
図1は本発明の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の概要図である。
【0045】
この図において、31は光源、32は試料セル32Aと参照セル32BからなるSPR検出器、33は光分割ミラー、34は試料光、35は参照光、36は光検出器、37はプリアンプ、38はA/Dコンバータ、39はインターフェイス、40はコンピュータである。
【0046】
本発明の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置は、従来法のSPR測定装置の小型化における構造上の限界を打破するために、図1に示すように、光分割ミラー33を用いて単一光源、単一光検出器を用いたSPRのための新規光学系を提供することにより、SPR測定装置のパームサイズ化〔10×170×50cm(H×W×D)〕と装置の軽量化(770g)を実現した。本発明に基づくパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置は、光学系、検出系、電気系の各ユニットと、ノート型コンピュータ〔WINDOWS XP(登録商標)対応〕及びSPR信号を取り込んで濃度変換するためのコンピュータソフトウェア(DUALSPRWIN)で構成される。
【0047】
図2は本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の光学系の模式図、図3はそのプラズモン共鳴現象測定装置の測定点を複合型ダブルセンサセルの上部から示した図である。
【0048】
これらの図において、41は光源LED(波長770nm)からの入射光、42はプリズム、43は高分子光インターフェイス粘着膜、44はガラス基板、45は感応膜、45Aは試料感応膜、45Bは参照感応膜、dは試料感応膜45Aと参照感応膜45Bの中心からの距離(それぞれの測定点45a,45b間の距離)で、本実施例では全体的なサイズとの兼ね合いでその間隔は5mmとした。46はセンサ支持体、47は電極式複合型ダブルセンサセルであり、その下部にはSPRを測定するポイントである試料感応膜45Aと参照感応膜45Bが配置されており、これらの感応膜45の下面に配置されるガラス基板44に高分子光インターフェイス粘着膜43を押し付けて試料と参照のSPRを測定するセンサを構成している。48はシリンドリカルレンズ、49は平凸レンズ、50はSPR反射光、51は反射ミラー、52はスリット、53は一方の分割ミラー53Aと他方の分割ミラー53Bからなる分割ミラー、54は一方の分割ミラー53Aからの反射光、55は他方の分割ミラー53Bからの反射光、56は両反射光54,55を1ライン上に投影するリニアCCDラインセンサである。
【0049】
上記したように、二つのミラー53A、53Bから構成される光分割ミラー53で、試料感応膜45Aの測定点45a(図3参照)からの反射光と参照感応膜45Bの測定点45b(図3参照)からの反射光を二つにわける。つまり、ダブルセンサセル47下部に配置された試料・参照それぞれの感応膜45A,45Bにおいて試料と参照の誘電率に基づいて発生するSPRよって生じた反射光50を、二枚の光分割ミラー53A,53Bによって試料からの反射光54と、参照からの反射光55とに分割し、これらの反射光54,55を1ライン上に投影するリニアCCDラインセンサ56に投影させる。
【0050】
本発明では単一光源からの光41を試料と参照の感応膜45A,45Bに線焦点を結ぶように当て、試料及び参照の感応膜45A,45B面で表面プラズモン現象を生ぜしめ、両者における反射光50を分割ミラー53を用いて試料光と参照光とに分割して、そのエネルギーを失うことなく、一つのリニアCCDラインセンサ56の1ライン上に投影する。つまり、差動法の電極式複合型ダブルセンサセル47と線焦点結像方式及び反射光分割ミラーがその特徴である。
【0051】
以下、そのプラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーの詳細な配置を示す。
【0052】
図4はそのプラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーの構成図(その1)、図5はそのプラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーの構成図(その2)、図6はその分割ミラーを用いる一光検出器二光検出の概要を示す図である。
【0053】
感応膜45Aと45Bからの反射光50を二つの分割ミラー53A,53Bを用いてリニアCCDラインセンサ56の等分なセンサ領域に投影するには、二つのミラー53A,53Bを2段階にわたって角度調整することが必要となる。
【0054】
以下に分割ミラー53A及び53Bの配置と角度調整について詳細に説明する。
【0055】
反射光50を試料光と参照光に分割するための分割ミラー53A及び53Bは、図6に示すように、それぞれの分割ミラー53A,53B上にある光分割点58Aおよび58Bが、Z軸57上に位置し、かつ試料感応膜の測定点45a及び参照感応膜の測定点45bからの光をそれぞれ含んで、距離dを置くような位置に配置した。
【0056】
図4に示したように、分割ミラー53A及び53Bを、光分割点58Aおよび58B点上のZ軸57を中心にして、リニアCCDラインセンサ56方向(図の右方向)へ試料感応膜の測定点45aおよび参照感応膜の測定点45bにおけるSPR反射光50を二分割するように、角度α,βを持つように配置した。
【0057】
さらに、図5に示すように分割ミラー53A及び53Bは、Z軸57からリニアCCDセンサ56のライン状光素子を含むXY平面とリニアCCDセンサ56のライン上へ試料感応膜の測定点45aと参照感応膜の測定点45bにおけるSPR反射光50を集光するように、その角度をθ,γに調整した。
【0058】
以上述べたように試料感応膜の測定点45aと参照感応膜の測定点45bにおける反射光の間隔を距離dに保つように、二つの分割ミラー53A,53Bの角度を2段階に調整して、検出点から受光点に至るまでの光路差のない二つの反射光54,55を作ることによって、試料感応膜の測定点45aおよび参照感応膜の測定点45bからの反射光50、すなわちSPRシグナル像を歪みのない同じサイズの光として、リニアCCDセンサ56のライン状光素子の上に等分割する。この結果、装置のパームサイズ化を実現することができた。
【0059】
次に、本発明のパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴測定装置の検出系について説明する。
【0060】
パームサイズ差動式表面プラズモン共鳴測定装置を構築するに当たっては、光学系のみならず検出系も合わせてパームサイズ化する必要がある。そのため、本来の目的を達成するためには、送液ポンプなどを必要としない化学センサ感覚で使用することのできる検出系を開発する必要があった。
【0061】
図7は本発明におけるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴測定装置の検出系の概要図であり、図7(a)はパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴測定装置の検出系の模式図、図7(b)は図7(a)のA-A線断面図である。
【0062】
これらの図において、61はプリズム、62は高分子光インターフェイス粘着膜、63はセンサ、64は試料セル64Aと参照セル64Bからなるダブルセンサセル、65はセンサセルガイド、66はセンサセル支持管、67はセンサセルキャップである。
【0063】
この図から明らかなように、本発明による差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の検出系にはポンプもセンサホルダーも必要としない。例えば、化学センサとしてよく知られているものにpH測定用ガラス電極がある。このセンサは、ガラスまたはプラスチック製のセンサセル支持管の先端にセンサとしてのpH応答性ガラス膜が装着されていて、銀-塩化銀で構成される参照電極と組み合わせて試料に挿入すると、試料のpHに応じた電位差が発生するものである。そこで、本発明のSPR計測の化学センサ化の概念を明確にするために、従来のpH測定用ガラス電極を用いpHを測定する場合〔図8(a)〕と対比して、表面プラズモン共鳴現象(SPR)を計測する場合〔図8(b)〕の化学センサ化の概念を示した。
【0064】
図8(a)において、71は試料、72はpH測定用ガラス電極73と銀-塩化銀参照電極74で構成される円筒状の複合型pH電極、75はpH測定用ガラス電極73と銀-塩化銀参照電極74の間で発生する電位を測定するための電位差計である。複合型pH電極72は、その直径が12mm、長さが150mm程度の棒状のものである。このように検出部分が化学センサ化されると、検出部が本体から分離されるため本体の構成が簡単になり、装置の小型化が容易になる。この類のものには、他に溶存酸素計、イオン濃度計などがある。
【0065】
図8(b)は、本発明に基づく化学センサ化されたSPR計測の概要を最も単純な化学計測システムであるpH測定用ガラス電極〔図8(a)〕と対比して示したものである。
【0066】
図8(b)において、81はSPR信号の変化を検出するためのSPR検出器、82は一定のエネルギーを持つ光をプリズムを介してセンサに伝えるための高分子光インターフェイス粘着膜であり、プリズムに密着している。83は、図8(a)における複合型pH電極72に相当するSPR用電極式複合型ダブルセンサセルであって、複合型SPR電極というべきもので、その形状は直径が14mm、長さ25mm程度の円筒形である。電位や電流を測定する棒状のセンサを電極すなわちELECTRODEというのに対し、このセンサセルは、SPRを測定するための棒状のセンサという意味において、SPR電極即ちSPRODEとして定義付けることができる。84は計測時にセンサセルを固定するためのセンサセルガイドである。85は試料セル、86は参照セル、85Aは試料液、86Bは参照液である。87はセンサセルの基盤を成す厚さが0.1mm程度のガラス基板(膜)、88はガラス基板87に蒸着された厚さ45nmの金薄膜、89はその金薄膜88に化学的に固定された抗体等の感応膜である。90はプラスチック製のセンサセル支持体、91は厚さ1mm程度のシリコンシート、92はセンサセルキャップである。
【0067】
図9は、電極式SPR用複合型センサセルの光照射面を示したものである。図9において101はプリズムとセンサセルの界面で線焦点に結像した光、104Aは試料セル底部に位置する試料感応膜の中心点、104Bは参照セル底部に位置する参照感応膜すなわち金蒸着膜の中心点である。これらの点104Aと104Bの距離は、5mm一定とした。112はガラス基板(膜)、113はガラス基板112の上側に位置する参照感応膜、114はガラス基板112の上側に位置する抗体などが固定化された試料感応膜、115はセンサセル支持管である。
【0068】
図10は、SPR用センサセルの位置設定ガイドを示したものである。図10において、109はセンサセルガイド、117はセンサセルキャップである。118Aと118Bは、センサセルガイド109を本体であるSPR検出器に固定するためのネジ孔である。119Aはセンサセルガイド側の測定位置設定ガイドライン、119Bはセンサセル側の測定位置設定ガイドラインである。
【0069】
本発明ではSPRを起こすために線焦点幅として100μm、長さ10mm程度の光をプリズムに当てている。従って、試料感応膜と参照感応膜のSPRを起こすための反応点は、試料感応膜と参照感応膜の各々の中心点がその距離d=5mmの間隔を保って、かつ線焦点上に位置を決め、線焦点上に合わせてセンサセルガイド側の測定位置設定ガイドライン119Aを線焦点上に合わせた後、ネジ孔118Aと118Bで本体とセンサセルガイド109を固定している。ネジ孔118Aと118Bはセンサセルガイド109と本体の固定およびSPRを検出するための位置決めの二役を担っており、その孔径は自由度を持って設計されている。
【0070】
次に、高分子光インターフェイス粘着膜について説明する。
【0071】
従来、基本的に、センサのベースとなる金蒸着膜は、プリズムに直接蒸着される。この方法では、計測時のランニングコストが上がるために、通常は顕微鏡観察に用いるカバーガラスに金を蒸着してこれをセンサ基盤にしている。このような測定方式では、プリズムとセンサ基盤であるガラス基板との間の光整合性をとるためにプリズム及びガラス基板と同一の屈折率を持つマッチングオイルを塗る必要があった。また、表面プラズモン共鳴現象は、金表面100nm以下の領域で起こる現象であるため、フローセルとガラス基板およびプリズムをオイルを介して均一に機械的に押し付けて、平滑性を保ちながら測定しなければならなかった。しかしながら、このような方法はフィールド計測にはそぐわない。そこで本発明では、光整合性をとりセンサセルを簡単に固定するための高分子光インターフェイス粘着膜を新たに開発した。
【0072】
オイルを使わない光インターフェイス粘着膜については、既に本発明者らの報告がある。しかしながらこの方法は、膜の再現性、透明性、粘着性に難点があった。本発明の高分子光インターフェイス粘着膜は、先に本発明者らが提案した膜を改良したものとして位置づけることができる。
【0073】
高分子膜をマッチングオイルに代わる光インターフェイス粘着膜として使用するためには、(1)無色透明で、(2)粘着性が大きいこと、(3)屈折率がマッチングオイルと同じかあるいはそれにほとんど近く、(4)分析化学的には、マッチングオイルと比較してSPR信号が絶対的に等しいか、あるいは相対的に対応するかなどを考慮しなければならない。これらの条件を満たすために、まず最初に上記条件を満足させるための高分子膜の作製方法を検討した。高分子材料として、入手しやすいポリ塩化ビニール(PVC:重合度700)を用い、通常のPVCラッピングフィルムを作る操作に倣って新しい光インターフェイス粘着膜を開発した。
【0074】
図11はその高分子光インターフェイス粘着膜を用いた検出系の模式図である。
【0075】
この図において、121はプリズム、122は高分子光インターフェイス粘着膜、123はガラス膜(基板)、124は金蒸着膜、125は試料感応膜、126は試料溶液である。この図に示すように、光インターフェイスの固体膜化が図られている。
【0076】
図12はその高分子光インターフェイス粘着膜の作製方法の概要図であり、この図を参照しながら以下に基本的な操作を示す。
【0077】
PVC粉末をテトラヒドロフラン(THF)で溶解し、可塑剤としてフタル酸-2-エチルヘキシル(DOP)とリン酸トリトル(TCP)を加えた後、シャーレを用いてキャスチングし、温度制御のできるコーニング製プレート乾燥機を用いて、120℃で2時間加熱乾燥させることによって、無色透明な膜が再現性よくできることが明らかになった。次に乾燥温度の影響を調べた。その結果、SPR用の膜としては、乾燥温度は低い方がよく、実験の結果、80℃で作製した膜が粘着と脱着性能においてSPR用として優れていた。
【0078】
この検討結果は、PVCに対して高い親和性を持ち、相互作用を弱め、結果的には融点を低下させる働きをしている可塑剤は、乾燥温度を80℃に制御することによって、PVCの分子間の滑りを向上し、その結果ゴム弾性と粘着性が発現したものと考えられた。一方、PVCは可塑剤と温度の影響によって分子間力から解放され、分子間の滑りがよくなって柔らかくなり、結晶から無色透明のガラス状膜へ転移されたものと考えられた。
【0079】
次に可塑剤とPVCの組成が異なる種々のPVC膜を作製し屈折率を測定した。屈折率測定は、ATAGO社製のアッベ屈折計を用いた。その結果、PVC0.2gに対してDOPとTCPの量がそれぞれ0.5gの組成の膜が屈折率1.5211を示し、マッチングオイルの屈折率1.5150に最も屈折率が近かったので、この組成の膜を光インターフェイス粘着膜として新たに採用することにした。この膜をあらかじめ、センサセルの先端、あるいはプリズムに密着させた後、センサセルのガイドラインに合わせて、センサセルの円筒状のサポーター中へローディングし、センサセルを人差し指で、プリズムに約20ニュートン(N)の力で押し付けることによって最適なSPR信号を得ることができる。
【0080】
以上、本発明の基幹をなす光学系、検出系、高分子光インターフェイス粘着膜についてその詳細を述べたが、これらの発明を盛り込んだパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴測定装置は次のような仕様を持つ。
(1)装置
原理:表面プラズモン共鳴現象(SPR)
差動方式:分割ミラー・一受光素子
SPR計測配置:Krechmann配置
測定範囲:65~75°
電源:交直両用(100Vまたは9Vバッテリー)
最大連続時間:10時間
サイズ:170×100×50mm
本体重量:770g
(2)光学系
光源:点光源型LED(波長770nm、半値幅50nm)
プリズム材質:BK7
偏光フィルタ:消光比0.00071
受光素子:2048pixelCCDラインセンサ
金基盤サイズ:14mm角以内
光インターフェイス:粘着性PVC膜
(3)検出系
センサセル:複合型エスピーロード
フローセル:流量1~100μl/min
試料サイズ:1μl以上
(4)性能
共鳴角安定性
シングルライン:0.0002°
差動ライン:0.0004°
次に、本発明によって試作した差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置の実施例について説明する。
【0081】
本発明に基づいて、差動方式表面プラズモン共鳴現象を検出するための光学系、複合型センサセル及びPVC光インターフェイス粘着膜を試作し、差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置としてシステム化して、装置の性能評価を行った。
1.SPR強度と共鳴角変化の関係
図13は、本発明における差動方式によるSPR強度と共鳴角変化の関係を示したものである。図13(a)は複合型センサセルの試料セルAと参照セルBにpH7.4緩衝液を入れたブランクにおけるSPR曲線を示したものである。ブランクにおいてはSPR強度は試料セルAと参照セルBにおいて同じであるからSPRは重なっている。図13(b)は、参照セルBはそのままに、試料セルAをpH7.4緩衝液で0.1mol/l濃度のグルコースに変化させた場合のSPR曲線の変化を示したものである。共鳴角はグルコース濃度の変化に従って変化していることが分かり、この試料と参照の共鳴角の差をとることによって、差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置を構築することができることが明らかになった。このようなSPR曲線の変化が観察されるということは、複合型センサセルの2点におけるSPR現象の差が、分割ミラーによって正しく二分割されていることを示しているものと考えられた。
2.本発明による共鳴角の安定性
図14は、本発明におけるPBS緩衝液(pH7.4)における共鳴角の安定性を示したものである。図14(b)は、参照セルの共鳴角の変化を示すシングルライン〔B〕、図14(a)は、試料セルと参照セルの共鳴角の変化の差を示す差動ライン〔A-B〕を示したものである。この結果、本発明による共鳴角度の安定性は、シングルラインで0.0002°、差動ラインで0.0004°であった。一方、同様の原理に基づくシングル方式表面プラズモン共鳴現象測定装置で得られる安定性は、図15に示したように、0.001°で本発明による差動方式はシングル方式に比べ角度分解能が5倍上がっていることが明らかになった。差動ラインの角度安定性は、0.0004°とシングルラインに比べて大きくなっているが、試料セルAと参照セルBの共鳴角の差をとることによるマイナスのばらつきの影響と考えられた。本発明の光学系は、シングル方式と同じ2048pixel数のCCDラインセンサを使用している。差動方式においては、センサセルからの反射光を分割ミラーによって二分割しているために、実用pixel数を900から、約半分の500に落としている。その結果、シングルラインの分解能が5倍向上したのではないかと考えられたため、分割ミラーを調整して実用pixel数を250に落としてみた。その結果を表1に示した。
【0082】
【表1】
JP0004076962B2_000003t.gif
この表1から明らかなように、予想どおり、シングルラインの共鳴角の安定性は0.00004°と更に5倍分解能が向上した。同様の理由で差動ラインの共鳴角の安定性は0.00008°であった。以上述べたように、本発明における光学系を用いた差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置で得られる共鳴角の分解能は、実用pixel数に反比例するという新しい知見が得られた。
3.免疫計測への適用
本発明に基づく差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置による免疫計測の可能性を明らかにするために、複合型センサセルを試作し、ダイオキシン類似物として知られる2-4ジクロロフェノールのSPR計測を検討した。
【0083】
試作した複合型センサセルの構造を図16に示した。この図に示したように、本体φ14mm、高さ20mmのサイズを持つ複合型センサセル130は、45nmの厚さの金膜136を蒸着したガラス基板135、エポキシ樹脂製の支持管134、φ16mmのセンサセルキャップ131で構成した。試料セル132と参照セル133の内径はφ3.5mm、両者の中心間の距離は5mmとした。この複合型センサセル130の試料セル132に常法に従って2-4ジクロロフェノール抗体を固定して2-4ジクロロフェノール複合型免疫センサとした。2-4ジクロロフェノール複合型免疫センサを4個用意し、参照セル133にはPBS緩衝液(pH7.4)を参照液として注入した。試料セル132にはそれぞれPBS緩衝液で濃度を調整した10,25,50,100ppmの2-4ジクロロフェノール溶液を注入し、測定用センサセルとした。定量操作はあらかじめ測定装置本体に固定されているPVC光インターフェイス粘着膜にセンサガイドを通じて複合型センサセルを静かに落とし込み、約20Nの力をかけて人差し指で押さえつけ、プリズムに結像した10mmの線焦点上で試料セル132と参照セル133のSPR感応面の1点で生じるSPRによって減少する試料と参照の反射光をCCD受光素子で計測した。
【0084】
このようにして得られた検量線を図17に示した。この図から明らかなように、センサセル間に固体差があるにも関わらず2-4ジクロロフェノールの濃度が10から100ppmの濃度領域において、良好な検量線が得られ、その重相関係数は0.973であった。これらの結果から、本発明に基づく差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置は、複合型センサセルの試料セルに抗体を固定することによって、抗体を標識することなく、抗原-抗体反応を簡単にリアルタイムで測定できることがわかった。なお、ここではSPR法の免疫センサ化について述べたが、本発明はSPR計測の化学センサ化という点において汎用性があり、機能性物質と相互作用があり、かつその結果屈折率が変化するような物質であれば、すべて化学センサ化することができることは言うまでもない。
【0085】
以上、本発明における実施例を示した。本発明は、従来ラボにおいて、研究用にその用途が限定されていたSPR計測を、
(1)光学系を創案することによって、小型化、差動化、高分解能化を実現し、
(2)定量操作の簡便化を図るために、高分子光インターフェイス粘着膜と複合型センサセルを考案して、安価で、誰でもが、どこでも、手軽に操作できるユビキタスなポータブルの小型機器として、化学センサ化したことに意義があると考えられる。
【0086】
現在、しのびよる化学物質汚染としてダイオキシンなどの環境ホルモンや覚醒剤、麻薬などの低分子有機化合物による社会的な影響が憂慮されている。しかしながら、上記有害な有機化合物に関しては、測定用の機器が高価でしかも操作が難しいために、科学的な情報が乏しく、オンサイトで誰でもがどこでも簡単に操作でき、多面的な情報を得ることのできる携帯用機器への要望が高い。しかし、従来、化学物質をセンサによって簡便に測定するセンサ侵漬型パームサイズ機器としてはpH、DO(溶存酸素)、ある種のイオン等、無機物に測定対象が限定されており、有機物用の簡易測定装置というものは存在しなかった。本発明は認識物質を固定化した試料感応膜と参照感応膜を組み合わせた複合型センサセルという概念を提供することによって、有機物に対するセンサープッシュ式新規SPR簡易計測法(エスピーロード法:Sprodemetry)への道を開くものであると考えられる。しかしながら、環境ホルモンなど低分子有機化合物の環境における濃度は極めて小さく、通常ppt(pg/ml)からppb(ng/ml)もオーダーである。
【0087】
一方、分子量が200前後の低分子有機化合物に対するSPR法による免疫計測における直接計測における検出感度は、100ng/l程度である。一般に2-4ジクロロフェノール(分子量:175)のような低分子有機化合物の免疫計測の高感度化には、抗体と抗原を添加して抗体固定化センサと競合させる競合法がよく用いられている。この方法の感度は5ppd程度である。しかしながら、このような方法では定量操作が一つ増えることになり、SPR法の特色であるリアルタイム計測の利点を損なうので好ましくない。しかしながら、SPR法の絶対感度不足は、直接測定が可能な固相抽出によって補完することができる。固相抽出法は、その汎用性と1000倍濃縮が簡単にできるので、SPR法の感度不足を補完する手段として有効である。表2は、固相抽出法の可能性を知るために、2-4ジクロロフェノールに対する125倍濃縮を検討した結果である。
【0088】
【表2】
JP0004076962B2_000004t.gif
抽出カラムは、IST社のジビニールベンゼン系カラム、ENV+ (固相重量200mg、リザーバー容量6ml)を用いた。濃縮条件は、試料1L(pH2)、流量60ml/min、溶出条件は、0.1%ギ酸/50%メタノール8mlであった。この表2から明らかなように、抽出過程でのロスはあるものの、ppbオーダーの2-4ジクロロフェノールが、平均-8.7%の濃縮誤差で確実にppmオーダーに濃縮されることが明らかになった。現時点においても上記の検討した結果と固相抽出を組み合わせることで、本発明による測定装置を用いてppbオーダーの2-4ジクロロフェノールの定量ができるといえる。SPRは、センサー界面100nmの領域で起こるため、定量に用いる試料は1μl程度で十分である。従って、このSPRの利点を生かして、分析用試料は1μlを得るための抽出カラムのマイクロサイズ化を行うことにより、さらに濃縮効率を向上させることができる。この場合には、1Lの原水で1pptの2-4ジクロロフェノールの定量が可能になると考えられる。
【0089】
以上、本発明の実施例について述べた。本発明による差動方式表面プラズモン共鳴現象測定装置は、SPR計測用としてパームサイズながら、ラボ用として使用が限定されていた従来の装置と同等またはそれ以上の基本性能を有していることが明らかになった。また、従来装置がなしえなかった、どこでも、誰でもという携帯性と簡便性をも具備している。本発明が社会に具現した暁には、有機物が関与する環境、分析化学、医薬、安全、化学産業、研究などのそれぞれの分野において、本発明に基づく差動方式プラズモン共鳴現象測定装置によって、ユビキタスなアプローチが行われ、多くの有力な化学情報が生まれ、そしてそれらの情報に基づいて各分野において適切な判断が行われ、結果として、人間社会の改善や進歩に本発明が貢献することは確実である。
【0090】
最後に本発明の効果について概括する。
【0091】
1.光学系
本発明による光学系の特徴は次の通りである。従来型の光学系では、プリズム上のサンプルチップの1点を測定していたが、本発明では、SPRシグナルを含むプリズム上の2点からの反射光を光検出器へ入射する際に、その手前に置かれた2個の分割ミラーにより光検出器の2位置にそれぞれ分けて投影することにより、プリズム上のセンサ上の2点を測定可能にしたことにある。得られるSPRシグナルの理論分解能は、従来と同じ素子を持つリニアCCD素子を使用した場合、半分となるが、従来のコンピュータ演算による高分解能ピーク検出に必要なデータポイント数は十分にあるので、角度分解能上の問題はないと考えられる。
【0092】
一方、従来の光学系のまま、リニアCCDセンサを2個用意した場合、エレクトロニクスとしてプリアンプ2台、A/D変換器2台が必要となり、コストもサイズもアップせざるを得ないことになる。従って、本発明の光学系の効果は、次に述べる各項目において明らかである。
(1)差動化及び小型化
単一のリニアCCDセンサの構成を生かして、表面プラズモン共鳴現象測定装置を差動化及び小型化するための新規光学系としてその意義が認められる。事実試作器においてその大きさとサイズは、170×100×50cm(W×H×D)、770gを実現した。また、本発明による光学系は、分割ミラーを反射ミラーに変えることにより、従来同様の単能光学系としても利用することができる。
(2)温度補償
従来型のサンプル1点のみの測定では、SPRシグナルは原理的にサンプルの屈折率(または誘電率)を測定しているため、温度によるドリフトがある。これを補償する手段は、別途温度計測用として高分解能を持つ半導体温度センサ等を設け、得られる温度データよりSPRシグナルデータを演算により校正する必要があった。SPRシグナルは、バイオセンサとして抗原-抗体反応に使用される場合、その変化量は極めて少ない。そこで、差動式SPRで同一サンプルチップ上の2点の測定位置にサンプル溶液1点、温度補償用として温度係数の大きなサンプルを1点用意することにより、この温度センサの代替目的での使用が可能となる。また、前記に加えて、SPRシグナルの温度補償を行う場合、その温度特性とマッチングした温度センサが必要となるが、本発明では、同一センサ上の2点の測定位置にそれぞれ試料溶液、温度補償用としてサンプルと同一溶液組成でかつ分析対象を含まない参照溶液を用意することにより、同一組成溶液で屈折率及び温度変化をリアルタイムで補償して、抗原抗体反応本来のSPR信号を計測することが出来る。
(3)SPRリアルタイム計測
同一センサ上の試料セルと参照セル2点に試料液と、試料と同じ溶液組成で分析対象を含まない参照液を用意し、この2点を同時に測定することにより、SPR信号の反応前ゼロ点を常時測定し、このゼロ点と試料計測時におけるSPR信号を同時に計測し、その差を求めることによって、分析対象との反応後のSPR信号をリアルタイムに計測することができる。また、同一センサ上の試料セルに試料液を、参照セル2点の測定位置に試料と同じ溶液組成で既知の濃度の分析対象を含む参照液を用意し、2点を同時に測定することにより、反応量基準となる参照液のSPR信号を常時測定し、この参照液によるSPR信号と試料液によるSPR信号との差を1つの検出器上で同時に観測し、分析対象との大小比較をリアルタイムに観測することができるので、スクリーニング的、オンオフ警報的利用も可能となる。
(4)多点計測
本発明の詳細を述べるに当たって、プリズムとPVC光インターフェイス粘着膜を介して、SPR複合型センサセルの5mm間隔の2点におけるSPR信号を分割ミラーによって、試料部と参照部におけるSPR信号に分けて一つの光検出器上に分けて測定する2点差動方式を中心に説明してあるが、測定点の間隔をさらに短くしたり、センサをマイクロチップ化することによって、あるいは逆にセンサやプリズムをある程度大きくすることによって、基本的に同じ光学系で分割ミラーを3,4,5…n分割ミラーを用いて、一つに光検出器で3,4,5…n点の測定点を同一検出器上で、多点SPR計測することも可能となる。
2.検出系
(1)複合型センサセル(SProde)
複合型センサセルは、従来の表面プラズモン計測の可能性を更に発展させ、SPR計測の化学センサ化を実現したものである。一般に、pH測定用ガラス電極は、水素イオン濃度に選択的に応答するガラス膜の界面で生じる電気化学的な現象を棒状のセンサで測定するという意味においてpH electrode(ピーエッチエレクトロード)と称されている。本発明において提案するSPR用複合型センサセルは、測定対象と選択的応答する感応膜界面で生じる光の変化である表面プラズモン共鳴現象をpH電極同様の棒状のセンサで測定するものである。従って、本発明に基づく複合型センサセルは、SPRに基づく光を検出原理とする新たな化学センサ、即ちSProde(エスピーロード)として定義付けることができ、化学センサ分野における新領域が誕生したことになる。
【0093】
以上述べたように、本発明によるSPR計測の化学センサ化によって、従来研究用に限られていた表面プラズモン計測がより簡便化され、誰でもが、どこでも、いつでも使用することのできるオンサイト用のフィールド機器として、新たな展開が期待される。
【0094】
表面プラズモン共鳴現象を検出するための従来法は、光整合性オイルを介してセンサの上にフローセルをセルホルダーを用いて機械的に密着させてから、まず最初にフローセルにポンプで参照液を送液して、この際生じるSPRの光強度を記憶し、次に試料について同様の操作を行い、SPR信号の差を測定対象成分の濃度に対応させていた。しかしながら、小型化、フィールド機器化に際して、このような方法では、試料を送液するための高価なポンプ及びフローセルを機械的に押さえつけるためのセルホルダーをSPRの計測のために必要とするため、小型化と計測操作の簡便化に限界があること、参照液と試料液の測定に時間差があり、真の意味でリアルタイム計測ではないこと、差動化するためには少なくとも2流路が必要で、構造的にスペースに限界があることなど検出系サイドにおいても解決すべき問題が残されていた。
【0095】
本発明では以上述べた従来法の持つ問題点が複合型センサセルおよび高分子光インターフェイス粘着膜の考案により解決された。本発明により、LED光源(波長770nm)を用いて、SPRを起こすためのエネルギーとしての可視光線を複合型センサセル上の試料感応膜と参照感応膜に線焦点として当て、試料感応膜と参照感応膜の1点で同時に起こるSPR信号を同時に測定するため、試料と参照のSPR信号の相対値は真の意味でリアルタイムになった。また本発明によれば、計測すべき試料が多い場合には、参照セルに基準液を入れておくことにより、オンオフ/スクリーニング的応用も容易となる。
(2)センシングにおけるリアルタイム計測
従来の簡易免疫法としては、イライザー法として知られている酵素免疫法が一般的である。この方法は、抗原-抗体反応を酵素の系に導いて定量すること、物理的な非特異的吸着の影響を除くためB/F分離が必要であることなどの理由でリアルタイム計測ではない。このような方法では定量操作に時間がかかり、オンサイト、フィールド計測には適当でない。一方、SPR計測は原理的にリアルタイム計測である。しかしながら、フローセルを用いる計測では、ブランクの測定をした後に試料の測定を行い、その信号の差をとるので厳密にはリアルタイムではない。試料やブランクのセンサへの導入のためにポンプを用いない本発明の複合型センサセル方式では試料セルと参照セルの線焦点上の一定間隔の一点でSPRが起こるため、CCDラインセンサ上で検出される反射光は時間差がなくリアルタイム計測される。
(3)SPR免疫計測の信頼性
従来のイライザー法は上記(2)で述べたように、免疫反応に基づく情報を得るためにB/F分離が必要であった。本発明の複合型センサセル方式では試料セルと参照セルで起こるSPRを同じに測定できるので、試料セルで免疫反応に基づく信号、非特異的信号、バルク成分の信号を、参照セルで非特異的信号、バルク成分の信号を同時に計測することによって、B/F分離操作をすることなしに、選択的に免疫反応に基づく信号測定をすることができる。
3.高分子光インターフェイス粘着膜
従来法ではプリズムとセンサ間の光整合性をとるために、プリズムとセンサ基盤であるガラス基板と同じ屈折率を持つマッチングオイルを測定を開始する前にその都度プリズム表面に塗り、その上にガラス基板からなるセンサをセットし、かつセンサとプリズムとの密着性を図るためにセンサホルダーで機械的に押し付ける必要があった。また、マッチングオイルには毒性があるので、その使用に細心の注意が必要である。従って、このようなオイルの使用はフィールドユースを指向する装置には不適当である。本発明では最初にプリズムにPVCインターフェイス粘着膜を固定しておけば、あとは複合型センサセルをインターフェイス粘着膜に人差し指で押し付けるだけでよい。その膜には粘着性があるのでセンサセルホルダーを必要としない。また、その膜の溶剤は、PVCにより固体化されているのでオイルに比べると遙かに安全性は高い。本発明による差動式表面プラズモン共鳴測定装置は、高分子光インターフェイス粘着膜の採用により、より小型化され、定量操作はより安全、簡便になった。
【0096】
以上、本発明における主な効果を述べたが、本発明による差動式表面プラズモン共鳴測定装置は、複合型センサセルの採用により真の意味でSPR計測のリアルタイム計測という利点を機器として具現化したもので、小さくて、外乱に強く、操作は極めて簡便である。
【0097】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置及びその測定方法は、パームサイズを指向する環境汚染低分子有機物を計測するためのユビキタスなフィールド機器として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の概要図である。
【図2】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の光学系の模式図である。
【図3】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の測定点を複合型ダブルセンサセルの上部から示した図である。
【図4】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーの構成図(その1)である。
【図5】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーの構成図(その2)である。
【図6】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の分割ミラーを用いる一光検出器二光検出の概要を示す図である。
【図7】本発明によるパームサイズ差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の検出系の概要図である。
【図8】表面プラズモン共鳴現象計測の化学センサ化を示す図である。
【図9】電極式SPR用複合型センサセルの光照射面を示す図である。
【図10】SPR用センサセルの位置設定ガイドを示す図である。
【図11】光インターフェイス粘着膜を用いた検出系の模式図である。
【図12】高分子光インターフェイス粘着膜の作製方法の概要図である。
【図13】本発明における差動方式によるSPR強度と共鳴角変化の関係を示す図である。
【図14】本発明におけるPBS緩衝液(pH7.4)における共鳴角の安定性を示す図である。
【図15】シングル式装置による共鳴角信号の安定性を示す図である。
【図16】本発明にかかる試作した複合型センサセルの構造を示す図である。
【図17】本発明による差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置への2-4ジクロロフェノールの濃度変化追従性を示す図である。
【図18】表面プラズモン共鳴現象の原理を示す模式図である。
【図19】表面プラズモン共鳴現象を利用する免疫計測の模式図である。
【図20】従来の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の概要図である。
【図21】従来の差動式表面プラズモン共鳴現象測定装置の検出系の模式図である。
【符号の説明】
【0100】
31 光源
32,81 SPR検出器
32A 試料セル
32B 参照セル
33 光分割ミラー
34 試料光
35 参照光
36 光検出器
37 プリアンプ
38 A/Dコンバータ
39 インターフェイス
40 コンピュータ
41 入射光
42,61,121 プリズム
43,62,82,122 高分子光インターフェイス粘着膜
44 ガラス基板
45 感応膜
45A,125 試料感応膜
45a 試料感応膜の測定点
45B 参照感応膜
45b 参照感応膜の測定点
d 試料感応膜と参照感応膜の中心からの距離
46 センサ支持体
47,83 電極式複合型ダブルセンサセル
48 シリンドリカルレンズ
49 平凸レンズ
50 SPR反射光
51 反射ミラー
52 スリット
53 分割ミラー
53A 一方の分割ミラー
53B 他方の分割ミラー
54 一方の分割ミラーからの反射光
55 他方の分割ミラーからの反射光
56 1ライン上に投影するリニアCCDラインセンサ
57 Z軸
58A,58B 光分割点
63 センサ
64 ダブルセンサセル
64A,85,132 試料セル
64B,86,133 参照セル
65,84,109 センサセルガイド
66,115 センサセル支持管
67,92,117,131 センサセルキャップ
85A 試料液
86B 参照液
87,112,123,135 ガラス基板
88,124 金薄膜(金蒸着膜)
89 化学的に固定された抗体等の感応膜
90 プラスチック製のセンサセル支持体
91 厚さ1mm程度のシリコンシート
101 プリズムとセンサセルの界面で線焦点に結像した光
104A 試料セル底部に位置する試料感応膜の中心点
104B 参照セル底部に位置する参照感応膜(金蒸着膜)の中心点
113 ガラス基板の上側に位置する参照感応膜
114 ガラス基板の上側に位置する抗体などが固定化された試料感応膜
118A,118B ネジ孔
119A センサセルガイド側の測定位置設定ガイドライン
119B センサセル側の測定位置設定ガイドライン
126 試料溶液
130 複合型センサセル
134 エポキシ樹脂製の支持管
136 45nmの厚さの金膜
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
19
【図21】
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