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明細書 :三次元計測装置及び三次元計測方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3991040号 (P3991040)
公開番号 特開2005-098978 (P2005-098978A)
登録日 平成19年7月27日(2007.7.27)
発行日 平成19年10月17日(2007.10.17)
公開日 平成17年4月14日(2005.4.14)
発明の名称または考案の名称 三次元計測装置及び三次元計測方法
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
G01B  21/20        (2006.01)
G01B   7/00        (2006.01)
G01B   7/30        (2006.01)
FI G01B 11/24 K
G01B 11/24 A
G01B 21/20 101
G01B 7/00 103M
G01B 7/30 M
請求項の数または発明の数 7
全頁数 18
出願番号 特願2004-158554 (P2004-158554)
出願日 平成16年5月28日(2004.5.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成15年3月17日九州大学において開催された日本機械学会九州支部第56期総会講演会で発表
特許法第30条第1項適用 平成16年2月26日宮崎大学において開催された平成15年度宮崎大学工学部機械システム工学科卒業論文発表会で発表
優先権出願番号 2003296705
優先日 平成15年8月20日(2003.8.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成16年5月28日(2004.5.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】川末 紀功仁
個別代理人の代理人 【識別番号】100085660、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 均
審査官 【審査官】小野寺 麻美子
参考文献・文献 特開2003-130621(JP,A)
特開2003-130642(JP,A)
調査した分野 G01B 11/24
G01B 7/00
G01B 7/30
G01B 21/20
特許請求の範囲 【請求項1】
物体の三次元情報を入力して前記物体の三次元形状を計測する三次元計測装置において、前記物体に光を照射する投光手段と、該投光手段により前記物体表面に照射された光を撮像する撮像手段と、前記投光手段に備えられ該投光手段の三次元位置情報及び姿勢情報を生成する第1のセンサと、前記撮像手段に備えられ該撮像手段の三次元位置情報及び姿勢情報を生成する第2のセンサと、前記物体に照射された光の平面方程式を算出する方程式算出手段と、を備え、前記投光手段と撮像手段がそれぞれ独立に動作することにより前記第1のセンサ及び第2のセンサより得られる三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて、前記方程式算出手段が前記物体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記物体の三次元形状を計測することを特徴とする三次元計測装置。
【請求項2】
所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタを備え、前記第1のセンサ及び第2のセンサは前記磁界ベクトルを受信することにより、当該センサの前記三次元位置情報及びロール角、ピッチ角、及びヨー角の前記姿勢情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の三次元計測装置。
【請求項3】
前記物体が流体である場合には、当該流体の動きを可視化する可視化手段を更に備え、前記投光手段と撮像手段がそれぞれ独立に動作することにより、前記第1のセンサ及び第2のセンサより得られる三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて、前記方程式算出手段が前記可視化手段により可視化された流体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記流体の流動現象を計測することを特徴とする請求項1に記載の三次元計測装置。
【請求項4】
前記可視化手段は、所定の反射率を有する粒子状の物体であることを特徴とする請求項に記載の三次元計測装置。
【請求項5】
物体の三次元情報を入力して前記物体の三次元形状を計測する三次元計測方法において、前記物体にスリット光を照射する動作と該照射されたスリット光を撮像する動作を独立に行い、夫々の動作の三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて前記物体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記物体の三次元形状を計測することを特徴とする三次元計測方法。
【請求項6】
前記物体の形状が滑らかな場合には、前記物体に照射されたスリット光の光軸と該スリット光を撮像する光軸との角度を大きくして撮像し、前記物体の形状が複雑な場合には、前記物体に照射されたスリット光の光軸と該スリット光を撮像する光軸との角度を小さくして撮像することを特徴とする請求項に記載の三次元計測方法。
【請求項7】
前記物体が流体である場合には、流体の動きを可視化し、前記流体にスリット光を照射する動作と該照射されたスリット光を撮像する動作を独立に行い、夫々の動作により得られた三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて可視化された流体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記流体の流動現象を計測することを特徴とする請求項に記載の三次元計測方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元計測装置に関し、さらに詳しくは、被測定対象物の測定死角を減少すると共に、流体の流動現象を計測する三次元計測装置と三次元計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータビジョンに関する研究が活発化し、撮像装置を用いた物体の三次元情報入力システムが身近なものになりつつある。この種の技術の中で、撮像装置としてテレビカメラを用い物体の三次元形状を入力する手法として、光切断法が広く知られている。これはスリット光を被測定対象物に照射し、その反射光をテレビカメラで撮像して、三角測量の原理から被測定対象物の三次元位置を求めるものである。
また近年、魚介類の養殖業における養魚介類生産技術を確立させるために高機能飼育水槽システムが開発され、水槽内の飼育環境の最適化を図る事業が実施されている。このような事業で重要なことは、目に見えない水の動きをどのように計測して管理するかである。即ち、水槽内での水の流れを計測する手法の確立が望まれている。
空気や水の流れなど目で見ることのできない現象を観察できるようにする技術は可視化と呼ばれる。可視化技術は、デジタル画像処理の技術を用いて解析を行うことで、流れの定性的な観察のみならず、速度分布などの定量計測にも使うことが可能となっている。また可視化する方法はそれぞれの目的に応じ多くの手法があるが、その中に、PIV(粒子画像流速測定法)と呼ばれるものがある。それは、可視化された画像を解析し、粒子群像の時間的変位から、二次元面内の速度を多点同時計測する技術である。PIVでは高精度な計測ができ、複雑な流れにも対応できる。
【0003】
また、従来の三次元画像情報入力装置として特開平9-210646号公報には、被写体に対してスリット光を走査する走査手段と、前記スリット光の位置を測定する位置測定手段と、被写体を光検出手段を用いて撮像する撮像手段と、カラー画像を撮影するカラー画像撮影手段とを備えた三次元画像情報入力装置について開示されている。
また米国ポヒマス社(Polhemus Inc.)は、非接触三次元形状入力装置として、ハンドヘルド・レーザスキャナFastSCAN(商品名)を製品化している。この製品は図24(a)に示すように、レーザダイオード50と、カメラ53と、図示しない磁気センサが一体化された本体52と、被測定対象物56の近傍に置かれ所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタ54とを備えて構成されている。そして、トランスミッタ54と本体52はケーブル55により接続され、図示しないPC等にケーブル53を介して接続されている。また、図24(b)に示す他の製品は、レーザダイオード61と、カメラ60a、60bと、図示しない磁気センサが一体化された本体62と、被測定対象物66の近傍に置かれ所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタ64と、被測定対象物66の所定の部分に取り付けられた磁気センサ63とを備えて構成されている。以上の製品は、三次元磁気センサを組合わせることにより、スキャナのカメラと被測定対象物との相対位置を特定できるため、大きな固定台やターンテーブルを必要とせず、三次元形状を素早く簡単に入力することができる、とされている。そして、この製品の原理について、[Hand-held Laser Scanning In Practice]としてBruce McCallum、Mark Nixon、Brent Price and Rick Fright等により詳細が報告されている。

【特許文献1】特開平9-210646号公報
【非特許文献1】[Hand-held Laser Scanning In Practice]Bruce McCallum,Mark Nixon,Brent Price and Rick Fright
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PIV計測では、一般的にスリットレーザを用いて、流れに混入したトレーサ粒子を可視化し、トレーサ粒子の動きを計測することで間接的に流体の速度分布を求め、計測したい位置にレーザ平面を照射させ、レーザ平面上の速度ベクトルを算出する。しかし、計測が三角測量に基づくため、レーザ平面の位置や傾き、もしくはCCDカメラの位置や姿勢が変わるとキャリブレーションのやり直しが必要になり、計測としては操作性が悪いといった問題がある。
また特許文献1に開示されている従来技術は、一般的に三角測量の原理上、レーザ投光器やテレビカメラの配置を被測定対象物の大きさに合わせて予め決定し、固定しなければならない。そのため、被測定対象物背面や被測定対象物の形状、凹凸等が複雑な場合においては、死角が生じるといった問題がある。
また、非特許文献1により報告されている製品は、レーザダイオードとカメラが一体化されているため、レーザが照射されている個所がカメラに映らない場合があり、被測定対象物のくぼみ等が死角となる問題がある。これを改善するためにカメラを2台備えて異なる角度から撮像する製品(図24(b))もあるが、カメラが2台必要となるためコストが高くなるという問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑み、テレビカメラとレーザ投光器に三次元位置と方向を検出できる三次元磁気センサ(例えば、3SPACE FASTRACK,Polhemus Inc.)を取り付け、テレビカメラとレーザ投光器をそれぞれ独立して動作させながら被測定対象物全体を計測することにより、死角を減少させると共に、流体の流動現象を計測することが可能な三次元計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、物体の三次元情報を入力して前記物体の三次元形状を計測する三次元計測装置において、前記物体に光を照射する投光手段と、該投光手段により前記物体表面に照射された光を撮像する撮像手段と、前記投光手段に備えられ該投光手段の三次元位置情報及び姿勢情報を生成する第1のセンサと、前記撮像手段に備えられ該撮像手段の三次元位置情報及び姿勢情報を生成する第2のセンサと、前記物体に照射された光の平面方程式を算出する方程式算出手段と、を備え、前記投光手段と撮像手段がそれぞれ独立に動作することにより前記第1のセンサ及び第2のセンサより得られる三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて、前記方程式算出手段が前記物体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記物体の三次元形状を計測することを特徴とする。
従来の三次元計測装置は、投光手段と撮像手段が所定の角度で一体的に構成されていた。従って、投光手段により物体に光を照射した場合、その狭い範囲を撮像手段が撮像するため、くぼみ等が死角となる場合が多かった。そこで本発明では、投光手段と撮像手段を独立に動作するようにして、それぞれに三次元位置情報及び姿勢情報を生成するセンサを備え、それぞれが独立に動作することにより得られた三次元位置情報及び姿勢情報を基に平面方程式を算出するものである。これにより、くぼみ等の死角部分に対して撮像手段を自由に移動できるので、測定個所の死角を減少することができ、複雑な物体の三次元計測を迅速に且つ正確に行うことができる。
【0006】
請求項2は、所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタを備え、前記第1のセンサ及び第2のセンサは前記磁界ベクトルを受信することにより、当該センサの前記三次元位置情報及びロール角、ピッチ角、及びヨー角の前記姿勢情報を取得することを特徴とする。
投光手段と撮像手段の位置情報と姿勢情報を得るには、各種の方法が考えられるが、光の光路を邪魔せず、且つ視界を妨げない方法が必要条件である。その点では磁界による方法が最適である。本発明では半球状の磁界を発生するトランスミッタを備え、その磁界の磁力線に対するベクトルを計算することにより三次元位置情報及び姿勢情報を取得するものである。従って、物体と投光手段及び撮像手段の距離はこの磁界のエリア内に限定される。
【0008】
請求項は、前記物体が流体である場合には、当該流体の動きを可視化する可視化手段を更に備え、前記投光手段と撮像手段がそれぞれ独立に動作することにより前記第1のセンサ及び第2のセンサより得られる三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて、前記方程式算出手段が前記可視化手段により可視化された流体に照 射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記流体の流動現象を計測することを特徴とする。
物体が固形物で固定されているとは限らない。例えば、水や空気のような流体もある。しかし、これらの流体は目に見えないので何らかの方法で可視化する必要 がある。そこで本発明では、流体を可視化する手段をさらに備え、その可視化手段にレーザ光を照射することにより、平面方程式を算出して流体の流動現象を計測するものである。
請求項は、前記可視化手段は、所定の反射率を有する粒子状の物体であることを特徴とする。
可視化手段としては、例えば流体が水の場合は、その水の中に光を反射するトレーサ粒子等を混入するのが最も簡単で確実である。
【0009】
請求項は、物体の三次元情報を入力して前記物体の三次元形状を計測する三次元計測方法において、前記物体にスリット光を照射する動作と該照射されたスリット光を撮像する動作を独立に行い、夫々の動作の三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて前記物体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記物体の三次元形状を計測することを特徴とする。本発明は請求項1と同様の作用を奏する。請求項は、前記物体の形状が滑らかな場合には、前記物体に照射されたスリット光の光軸と該スリット光を撮像する光軸との角度を大きくして撮像し、前記物体の形状が複雑な場合には、前記物体に照射されたスリット光の光軸と該スリット光を撮像する光軸との角度を小さくして撮像することを特徴とする。請求項は、前記物体が流体である場合には、当該流体の動きを可視化し、前記流体にスリット光を照射する動作と該照射されたスリット光を撮像する動作を独立に行い、夫々の動作により得られた三次元位置情報及び姿勢情報に基づいて可視化された流体に照射された光の平面方程式を算出し、該算出結果から前記流体の流動現象を計測することを特徴とする。
本発明は請求項と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、の発明によれば、投光手段と撮像手段を独立に動作するようにして夫々に三次元位置情報及び姿勢情報を生成するセンサを備えたので、物体の測定個所の死角を減少することができ、複雑な物体の三次元計測を迅速に且つ正確に行うことができる。
また請求項2では、所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタを備えたので、各センサが磁界ベクトルを計算することにより、位置情報及び姿勢情報を正確に取得することができる。
【0011】
また請求項では、物体の形状に応じてスリット光の光軸と撮像手段の光軸との成す角度を変化させるので、物体の形状に応じて処理時間の短縮と死角の減少を両立させることができる。また請求項では、流体の動きを可視化する可視化手段を更に備えたので、目に見えない流体でも流体の流動現象を測定することができる。また請求項では、可視化手段が所定の反射率を有する粒子状の物体であるので、流体に簡単に混入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。図1は 本発明の第1の実施形態に係る三次元計測装置を使用して対象物を計測している斜視図である。この三次元計測装置100は、対象物1にレーザスリット光を照射するレーザ投光器20と、このレーザ投光器20により対象物1の表面に照射された光を撮像する撮像装置30と、所定のエリアに磁界ベクトルを形成するトランスミッタ40と、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)を備えて構成される。そして、レーザ投光器20はT字型の架台2と、スリット状のレーザ光を出射するレーザ光源3と、レーザ投光器20の位置情報と姿勢情報を生成する磁気センサ4とを備えて構成され、レーザ光源3への電源と磁気センサ4の情報はケーブル5によりPCに伝えられる。また、撮像装置30はT字型の架台6と、対象物1に照射されたレーザスリット光を撮像するCCDカメラ7と、撮像装置30の位置情報と姿勢情報を生成する磁気センサ8とを備えて構成され、CCDカメラ7の信号と磁気センサ8の情報はケーブル9によりPCに伝えられる。尚、架台2、6は磁界の影響をレシーバに与えないために、木製、プラスチック、ゴム等の材質により形成される(詳細は後述する)。また、光源としてレーザ光を使用したが、LED或いは他の可視光を使用しても構わない。また、本実施形態ではレーザ投光器20と撮像装置30の位置情報と姿勢情報を生成する手段として、トランスミッタ40からの磁界ベクトルを受信するために磁気センサを使用したが、他の手段により生成しても構わない。ここで、投光手段は主としてレーザ投光器20により構成され、撮像手段は主として撮像装置30により構成され、第1のセンサは主として磁気センサ4により構成され、第2のセンサは主として磁気センサ8により構成され、方程式算出手段は主としてPCにより構成される。
【0013】
次に本実施形態の三次元計測装置100の概略動作について説明する。まず、トランスミッタ40を対象物1の近傍に配置し、電源を投入してトランスミッタ40の磁界をレーザ投光器20及び撮像装置30が検出できるように対象物1との位置関係を設定する。これは図示しないPCの画面を見ながら調整を行う。例えば、市販のトランスミッタの場合は半径90cmの半円球の範囲に磁界が形成される。そしてレーザ投光器20と撮像装置30を手に持ち、PCの画面を見ながらCCDカメラ7が対象物1の全体画像を捉えられるように配置する。そしてレーザ光源3の電源を投入して、スリット光が対象物1の走査開始位置に来るようにしてPCに格納されたプログラムを開始する。そして、レーザ投光器20を対象物1の走査開始位置から順次上から下(或いは下から上)に移動し、対象物1の全体(背面を含む)の走査が完了するまで行う。これらの走査の過程でCCDカメラ7から読み込まれたスリット光の平面方程式がリアルタイムに計算される。また、走査の過程でレーザ投光器20及び撮像装置30を移動しても、磁気センサ4、磁気センサ8から位置情報とロール角、ピッチ角、ヨー角の姿勢情報がPCに取り込まれリアルタイムに処理されて対象物1の平面方程式に反映される。即ち、例えば対象物1に照射したスリット光がくぼみ等で死角となった場合、投光器20を移動して死角とならないようにスリット光を照射するか、或いは撮像装置30を移動して死角を防ぐようにすることが可能となる。
そして対象物1の走査が完了するとPCに取り込まれたデータに基づいて、対象物1の三次元画像を再生する。この三次元画像はあらゆる角度からのデータにより構成されているので、対象物を回転して任意の角度から観察することも可能となる。
【0014】
図2は図1の斜視図に基づいて本実施形態の三次元計測装置100の全体構成を表す模式図である。同じ構成要素には同じ参照番号が付されているので、重複する説明は省略する。ここで、CCDカメラ7の信号はケーブル9によりイメージプロセッサ17に接続され、磁気センサ8の信号はケーブル9によりレーザ位置検出回路11に接続され、磁気センサ4はケーブル5によりレーザ位置検出回路11に接続され、トランスミッタ40はケーブル41によりレーザ位置検出回路11に接続されている。またレーザ位置検出回路11の出力及びイメージプロセッサ17の出力信号はPC12に入力され、PC12を制御するプログラムはROM(Read Only Memory)13に格納されている。またPC12からは処理された三次元画像を表示するモニタ18が接続されている。尚、イメージプロセッサ17はCCDカメラ7により撮像された画像データをPC12が処理し易いように変換する機能があり、CCDカメラ7からの画像信号からレーザ輝線の座標をリアルタイムに演算するために回路をFPGA(Field Programmable Gate Array)により構成している。またレーザ位置検出回路11は磁気センサ4、磁気センサ8の信号から三次元位置情報及び姿勢情報を検出回路である。
また説明の都合上CCDカメラ7の光軸15とレーザ光源3の光軸16のなす角度をαとする。また対象物1の表面形状はさまざまなものが存在する。例えば、ヤカンのように表面が比較的滑らかで変化がない物もあれば、人物のブロンズ像のように表面の形状が複雑で凹凸が多い物もある。本実施形態ではこれらの対象物1の形状に応じてスリット光10の光軸16とCCDカメラ7の光軸15との成す角度αを変化させることにより、より迅速に且つ確実に死角を減少させることができる。即ち、対象物1の表面が滑らかな場合は、角度αを大きくして一度に広い範囲の情報を取得して処理し、対象物1の形状が複雑な場合は、角度αを狭くして狭い範囲を確実に走査して死角を減少させるようにするものである。これにより、対象物1の形状に応じて処理時間の短縮を図ると共に、対象物1の死角を減少させることもできる。
【0015】
図3は投光器20と撮像装置30の一例を示す図である(単位はmmとする)。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。図3(a)は撮像装置30の斜視図であり、この撮像装置30は、CCDカメラ7と、CCDカメラを支持する架台6と、架台6から起立した部位6aに取り付けた磁気センサ8により構成されている。図3(b)は投光器20の斜視図であり、投光器20は、レーザ光源3と、レーザ光源3を支持する架台2と、架台2から起立した部位2aに取り付けた磁気センサ4により構成されている。また架台6、2は金属による磁気センサへの影響を無くすために木製とするのが好ましい。なお、磁気センサ8は検知部の中心がCCDカメラ7の光軸上になるように取り付けてあり、磁気センサ4は検知部の中心をレーザの光軸上に設置する。図4はトランスミッタ40の一例を示す外形図である(単位はmmとする)。図4(a)は上面図であり、図4(b)は側面図である。そしてP点は電気的な中心を表している。図5は磁気センサ8、4の一例を示す外形図である(単位はmmとする)。図5(a)は上面図であり、図5(b)は側面図である。そしてQ点は電気的な中心を表している。図6は本発明の磁気センサ4、8が位置情報と姿勢情報を生成する原理を説明する図である。図6(a)は磁界ベクトルと各レシーバの位置関係を表す図であり、トランスミッタ40から放射された磁界ベクトル42が半球状に形成され、その磁界ベクトル42上に例えば磁気センサ4、8が存在し、対象物1が磁界ベクトル42の内側に含まれるものとする。図6(b)は磁界ベクトルを説明する模式図である。例えば磁気センサ4ではトランスミッタ40の位置における磁界の強さおよび方向をAとし、磁界の強さおよび方向AのX軸方向磁界の強さ、Y軸方向磁界の強さ、Z軸方向磁界の強さをそれぞれAx、Ay、Azとし、cosα、cosβ、cosγを磁界の強さおよび方向Aの方向余波とすれば、Ax=Acosα、Ay=Acosβ、Az=Acosγであり、磁気センサ4のX軸方向の磁界検出コイルからはAxの出力が、Y軸方向の磁界検出コイルからはAyの出力が、Z軸方向の磁界検出コイルからはAzの出力が送出される。そして磁界の強さおよび方向Aは、A=(Ax2+Ay2+Az21/2で与えられる。同じく磁気センサ8の磁界の強さおよび方向Bは、B=(Bx2+By2+Bz21/2で与えられる。
【0016】
次にレーザ平面方程式の算出方法について説明する。
図7は各座標系の位置関係を表す図である。カメラ座標(画像モニタ上の座標u,v)50、CCDカメラ7に取り付けられた磁気センサ8のレシーバ座標51、レーザ光源3に取り付けられた磁気センサ4のレシーバ座標54、トランスミッタ40の中心を基準とした実座標であるワールド座標53をそれぞれ設定する。レーザ平面52の位置や傾きを自由に設定することを可能にするために、レーザ光源3に取り付けられた磁気センサ4が検知した情報(投光器20の位置と姿勢)を用いて、随時、レーザ平面52の方程式を算出することを行う。また、図7のように受像面55上にある計測点の位置Pとカメラの焦点Fを結ぶ直線lが磁気センサ8が検知した情報、(撮像装置30の位置と姿勢)を基に決定される。また、直線lとレーザ平面52の方程式の交点を求めることで、計測点のワールド座標53(X,Y,Z)を算出する。
【0017】
図8はレシーバ座標54とレーザ平面52の関係を表す図である。
即ち、レーザ投光器20と撮像装置30取り付けられた磁気センサ4、8を用いてレーザ平面方程式をリアルタイムに算出することでレーザスリット平面の独立走査が可能となる。三次元磁気センサからはセンサ自体の位置(xow,yow,zow)と姿勢(φ,θ,ψ)のデータが得られる。三次元磁気センサのレシーバ座標に原点を置いたレシーバ座標上の点(xr,yr,zr)は、出力された三次元磁気センサのデータを基に(1)式によって、トランスミッタ40を原点としたワールド座標に変換される。

JP0003991040B2_000002t.gif ここで
JP0003991040B2_000003t.gifC:Cos、S:Sinとする。
レシーバ座標上でレーザ平面上の任意の3点の座標(xr,yr,zrを式(1)に代入し、ワールド座標に変換することでレーザ平面の方程式を得ることができる。つまり、
JP0003991040B2_000004t.gif
JP0003991040B2_000005t.gifが得られるレーザ平面の方程式である。
【0018】
図9はカメラ座標とレシーバ座標の関係を示す図である。また、図10に二次元化したカメラ焦点と受像面及び計測点の関係を示す。カメラの焦点20から受像面までの距離をfと置くと、受像面上の座標(カメラ座標50)はカメラの焦点20を原点とした座標系において、

JP0003991040B2_000006t.gifとなる。

z=λとおき、線形化すると、

JP0003991040B2_000007t.gifと表される。
ここで、式(6)を三次元磁気センサのレシーバを原点とした座標系(レシーバ座標54)で表すために、回転・平行移動を考慮して、以下のような行列で表すことができる。

JP0003991040B2_000008t.gif ここでk11~k33のパラメータにはCCDカメラ7の位置や姿勢などをはじめとする計測対象と、CCDカメラ7の位置を表すデータが全て含まれている。従って、式(7)がレシーバ座標(x,y,z)54とカメラ位置(u,v)の関係式になる。
式(7)を展開し、整理すると次式のように表せる。

JP0003991040B2_000009t.gif 尚、11個の未知数k11~k33は、既知のワールド座標の基凖点(x,y,z)と、それに対応するカメラ座標21の点(u,v)の組み合わせを式(8)に代入し、連立方程式を解くことで求めることができる。
また式(8)の2平面の交線で表される直線はカメラの焦点から計測点に向かう直線で以下のような媒介変数で表せる。


JP0003991040B2_000010t.gif 式(9)はレシーバ座標54であるので、式(1)と同様にワールド座標53に変換する。

JP0003991040B2_000011t.gif ここで、(wx,wy,wz)はトランスミッタ40を原点とした磁気センサ8のワールド座標である。
カメラの焦点から計測点に向かう直線である式(10)とレーザ平面上の方程式である式(4)を連立させ計測点21のワールド座標(X,Y,Z)を求めることができる。
【0019】
図11はキャリブレーションの構成を示す図である。50mmおきに目盛りが書かれたキャリブレーションボード70、71をレシーバ72のXY平面と平行になるように設置し撮影する。そして、画面上での座標(u,v)をクリックし読み取る。また、対応するキャリブレーションボード上の座標(x,y,z)も読み取る。同じz軸方向距離で4点の座標を読み取り、それをz軸方向に50mm移動しながら複数回(6回以上)繰り返す。
式(8)に画面上での座標(u,v)と対応するキャリブレーションボード上の座標(x,y,z)の組み合わせを代入し、以下の連立方程式を組み立てる.
JP0003991040B2_000012t.gifここで
JP0003991040B2_000013t.gif
JP0003991040B2_000014t.gif
JP0003991040B2_000015t.gif
JP0003991040B2_000016t.gif
JP0003991040B2_000017t.gifこの行列式を解き係数
JP0003991040B2_000018t.gifが求まると、カメラ座標とレシーバ座標の関係式(7)が決定される。

【0020】
(実施例)
また、本発明の三次元計測装置の計測性能を検証するために、形状が既知である物体を計測した。計測は数回行い、任意の10回分の結果を選択し誤差を算出した。その結果、本発明の三次元計測装置におけるRMS誤差は約1mmであった。また、本実施例による手法では三角測量の原理を用いているため、磁気センサ4磁気センサ8の角度差と奥行き方向についての精度を算出した。図12は計測対象1をCCDカメラ7から奥行き方向276mmのところに設置して距離を計測したときのRMS誤差を示した図である。横軸にCCDカメラ7の光軸15とレーザ光源3の光軸16のなす角度を表し、縦軸に誤差の値を表している。この図から明らかなように、角度が30度以上あれば誤差が1mm以下となり、角度が30度より小さくなると急激に誤差が大きくなることが解る。この結果から、CCDカメラ7の光軸15とレーザ光源3の光軸16のなす角度αは少なくとも30度以上確保することが必要である。以上の通り、CCDカメラ7とスリット光の分離走査を行うことで、計測対象1に凸凹が部分的にあるなど、計測対象が複雑な部分と滑らかな部分が含まれる対象全域についても効率良く計測することが可能となった。本発明の三次元計測装置における誤差は約1mmであり、計測対象1の全域を一度で計測できる精度としては十分であるといえる。また、本発明の三次元計測装置は人体、骨、歯型などの医療分野や骨董品、化石、出土品などの美術・考古学分野などの計測として様々な分野への応用が考えられる。図13は本発明の第2の実施形態に係る三次元計測装置を使用して対象物を計測している斜視図である。同じ構成要素には同じ参照番号を付して説明する。この三次元計測装置200は、トレーサ粒子86を混入した水81を貯水する水槽80と、水81に気泡を注入するエアストーン85と、水槽80を保持する水槽台82と、エアストーン85にホース83を介して空気を送り込むポンプ84とを備えて構成される。そしてアングルで作成した水槽台82に対し鉛直方向に水槽80を立て、ポンプ84により空気を送り込み、水槽80の下部のエアストーン85から気泡を作り出す。そこにトレーサ粒子86を入れ周囲を暗くした状態で水槽80の側面からスリットレーザ光87を当てるとトレーサ粒子86は光り、水槽80内の流れを可視化することができる。それを水槽80の正面からCCDカメラ7により撮影し、イメージプロセッサ17とPC12により画像処理を行い、レーザ平面上での流動現象を計測する。レーザ光源3に取り付けた三次元磁気センサ4からのデータを監視することで、レーザの位置と傾きを任意に変更しながら計測を行うことができる。また、CCDカメラ7にも同様に磁気センサ8を取り付けることで、CCDカメラ7の移動を監視する。
【0021】
以上の手続きにより、異なる時刻に撮影された画像間で、流体と共に運動するトレーサ粒子86の位置を算出することで、速度ベクトルを算出することができる。即ち、CCDの画素に対し比較的粒子の径が大きい場合は、それぞれの粒子が簡単に認識され、受像面上に撮影された粒子の座標(u,v)、レーザ平面の方程式などにより前述した方法により、トレーサ粒子のワールド座標が算出され、それぞれの粒子を追跡することで流体の状態を定量的に把握することができる。
しかしながら粒子がCCDの画素に対し過小であるために、一つ一つの粒子が認識されない場合がある。その場合は、一個一個の粒子の位置に着目するのではなく、複数の粒子で構成されるパターンを追跡することにより、流れの状態を把握することを行うこの手法は、画像相関を用いることで実現できる。
相互相関法とは、2枚の画像を比べて、粒子群(輝度値)が最も近似している場所を探し、その位置関係から速度ベクトルを求める方法である。粒子一個一個に着目するのでは無く、画像を碁盤の目のように細かく分割し、それぞれの微小領域を計測点とする。即ち、ある時刻に撮影された画像のある微小領域Aの位置を計測点(u1,v1)とし、異なる時刻に撮影された画像内から、微小領域Aに最も近いパターンをもつ位置(u2,v2)を探し出す処理を行う。(u1,v1)および(u2,v2)が決定されたら前述した処理により、これらの座標をワールド座標に変換し、速度ベクトルを三次元的に求めることができる。そして分割した全ての領域に対して行えば、多点同時計測を行うことができる。図14、図15に異なる時刻に撮影された二枚の画像例を示す。
【0022】
次にこれらの画像に相互相関を適用する例を説明する。フレーム画像全体を小さな領域に分割し、その領域の中心を計測点とする。例えば、図16のようなフレーム画像全体90を図示しない小さな領域に分割し、例えば拡大図91の中心92を計測点とする。
さらに詳細に説明するために、図17を参照して説明する。一枚目の画像のある微小領域をA1とする(図17(a))。画像にそれぞれの画素において輝度データが存在する(数字が大きい方が輝度が明るい)。この輝度データをもとに相関処理を行う。例えば、A1領域が微小時間後にどこに移動したかを知るために、図17(b)の画像において、計測点近傍の領域A2から同じ輝度データを探す。しかし、完全に一致することはないので、最も近似している領域を探す。つまり図18(a)のようなA1領域に最も近似している領域を探すと、図18(b)のようにA2領域が図のようにあると仮定すると、検索した結果、右下方向(符号93)で類似度が最大になることがわかる。その結果、図18(c)のように計測点94に対するベクトル方向は矢印95の方向であることが解る。
図19は水槽内流れを定量計測する実験装置の構成図である。この実験装置は、図13と同様の装置を使用して、レーザ位置87を撮像装置30に近い壁面から水槽中心まで20mm間隔で奥行き方向にレーザ投光器20をシフトしていき、各奥行き距離での水槽内流れを定量計測する実験を行った。
図20は実際に2枚の画像から相互相関法によりベクトル表示した画像である。そしてCCDカメラ7の焦点と図20のベクトルの始点座標、終点座標のそれぞれを通る二本の直線とレーザ平面の方程式を算出することで、速度ベクトルを三次元的に求めることができる。
次に計測性能評価について説明する。図21は水槽の奥行き方向のRMS誤差と距離の関係を表し、図22は水槽の水平方向のRMS誤差と距離の関係を表し、図23は水槽の高さ方向のRMS誤差と距離の関係を表している。これらの図から明らかなように、トランスミッタ40からの距離が離れるにつれて各方向ともRMS誤差が大きくなっているのが解る。従って、トランスミッタ40は可能な限り水槽に近づけて使用する方が誤差が少ないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元計測装置を使用して対象物を計測している斜視図。
【図2】本発明の図1の斜視図に基づいて本実施形態の三次元計測装置100の全体構成を表す模式図。
【図3】投光器20と撮像装置30の一例を示す図。
【図4】トランスミッタ40の一例を示す外形図。
【図5】磁気センサ8、4の一例を示す外形図。
【図6】本発明の磁気センサ4、8が位置情報と姿勢情報を生成する原理を説明する図。
【図7】各座標系の位置関係を表す図。
【図8】レシーバ座標54とレーザ平面52の関係を表す図。
【図9】カメラ座標とレシーバ座標の関係を示す図。
【図10】二次元化したカメラ焦点と受像面及び計測点の関係を示す図。
【図11】キャリブレーションの構成を示す図。
【図12】計測対象1をCCDカメラ7から奥行き方向276mmのところに設置して距離を計測したときのRMS誤差を示した図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る三次元計測装置を使用して対象物を計測している斜視図。
【図14】異なる時刻に撮影された二枚の画像例を示す図(フレーム1画像)。
【図15】異なる時刻に撮影された二枚の画像例を示す図(フレーム2画像)。
【図16】計測点を説明する図。
【図17】輝度データの検索を説明する図。
【図18】ベクトル表示を説明する図。
【図19】水槽内流れを定量計測する実験装置の構成図。
【図20】実際に2枚の画像から相互相関法によりベクトル表示した画像を示す図。
【図21】水槽の奥行き方向のRMS誤差と距離の関係を表す図。
【図22】水槽の水平方向のRMS誤差と距離の関係を表す図。
【図23】水槽の高さ方向のRMS誤差と距離の関係を表す図。
【図24】従来の三次元形状装置により物体を計測している図。
【符号の説明】
【0024】
1 対象物、2、6 架台、3 レーザ光源、4、8 磁気センサ、7 CCDカメラ、11 レーザ位置検出回路、12 PC、13 ROM、17 イメージプロセッサ、18 モニタ、20 レーザ投光器、30 撮像装置、40 トランスミッタ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
23