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明細書 :連続磁気分離装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4129548号 (P4129548)
公開番号 特開2005-342551 (P2005-342551A)
登録日 平成20年5月30日(2008.5.30)
発行日 平成20年8月6日(2008.8.6)
公開日 平成17年12月15日(2005.12.15)
発明の名称または考案の名称 連続磁気分離装置
国際特許分類 B03C   1/08        (2006.01)
B01D  21/01        (2006.01)
B03C   1/00        (2006.01)
B03C   1/025       (2006.01)
C02F   1/52        (2006.01)
FI B03C 1/08
B01D 21/01 101A
B03C 1/00 A
B01D 35/06 H
C02F 1/52 Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願2004-161495 (P2004-161495)
出願日 平成16年5月31日(2004.5.31)
審査請求日 平成16年6月2日(2004.6.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】508061505
【氏名又は名称】岡 徹雄
発明者または考案者 【氏名】岡 徹 雄
【氏名】横 山 和 哉
【氏名】能 登 宏 七
個別代理人の代理人 【識別番号】110000051、【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
審査官 【審査官】井上 雅博
参考文献・文献 特開平09-075631(JP,A)
特開昭50-022360(JP,A)
特開2003-320272(JP,A)
特開平11-314046(JP,A)
調査した分野 B03C 1/00-1/32
B01D 35/06
特許請求の範囲 【請求項1】
被処理液中の浮遊物質を、磁性体微粒子を含む凝集剤により凝集して、磁性を持った凝集固形物とした後被処理液から前凝集固形物を磁力により分離する磁気分離装置において、
上方に開口部を有し非磁性材料からなり、前記被処理液を容れる導管と、
記導管を挟んで異極、あるいは同極が対向するように、かつ前記被処理液の水位より下の位置に配置され、水平方向の磁場を形成する一対の、もしくは複数対の磁石と、
全体として円形板状になるように配置され成形された一つ又は複数の磁性体及びその周囲を覆う、複数の磁性フィラメントを含有する樹脂からなる磁性フィルタ層からなる吸着板であって、
前記磁場に平行な回転軸を有し、前記回転軸に垂直な表面が吸着面をなし、前記吸着面の少なくとも下半分の一部が、常に前記被処理液に浸されて前記磁場を横断しながら前記浮遊固形物を吸着し、前記吸着面の少なくとも上半分の一部が、常に前記浮遊固形物を吸着した状態で前記導管の開口部を経て前記導管の上方外部に露出するように回転可能に配置された吸着板と、
前記吸着板に吸着された浮遊固形物を削ぎ取るため、前記吸着板の前記導管の外部に露出した側の一部に配置された削ぎ取り部と、
を含んで構成されることを特徴とする連続磁気分離装置。
【請求項2】
前記一対の、もしくは複数対の磁石は、着磁された超伝導バルク磁石、永久磁石、電磁ソレノイドを用いた電磁石、又は超伝導コイルを用いた磁石で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続磁気分離装置。
【請求項3】
前記磁性フィルタ層は、複数の磁性フィラメントを含有する樹脂を前記円形板状の磁性体に塗布、成形、固着してなり、少なくとも半数の前記磁性フィラメントの長手方向が前記吸着面に平行である、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続磁気分離装置。
【請求項4】
前記削ぎ取り部は、前記吸着板の吸着面に接して、あるいは前記吸着板の吸着面から、前記凝縮固形物を削ぎ取るのに必要な間隔だけ近接して、前記吸着板の半径方向に延伸され固定されたヘラ又はブラシである、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続磁気分離装置。
【請求項5】
前記吸着板の磁性体は、互いに離隔して配置され成形された複数の磁性体からなり、
前記複数の磁性体の間隙には、前記吸着板の吸着面と前記導管の内側面との距離に等しい高さを有するストッパが埋め込まれ、
前記ストッパはバネによって、前記吸着板の吸着面に垂直な方向に往復移動可能に支持され、
前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されていない箇所にある場合には、前記ストッパは吸着面に垂直に突出しており、
前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されている箇所にある場合は、前記ストッパは前記削ぎ取り部によって押し込まれて、前記吸着板の吸着面より内部に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続磁気分離装置。
【請求項6】
前記吸着板の磁性体は、互いに離隔して配置され成形された複数の磁性体からなり、
前記複数の磁性体の間隙には、前記吸着板の吸着面と前記導管の内側面との距離に等しい高さを有するストッパが埋め込まれ、
前記ストッパはバネによって、前記吸着板の吸着面に垂直な方向から水平な方向に回転移動可能に支持され、
前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されていない箇所にある場合には、前記ストッパは吸着面に垂直に突出しており、
前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されている箇所にある場合は、前記ストッパは前記削ぎ取り部によって回転しながら倒されて、前記吸着板の吸着面に対して同一面内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の連続磁気分離装置。
【請求項7】
前記導管の、少なくとも浮遊固形物回収領域を含む部分が取り外し可能になっている、
ことを特徴とする、請求項1、5、及び6のいずれか1項に記載の連続磁気分離装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液中の物質を、磁性体微粒子を含む凝集剤により磁性を持った浮遊固形物とした後の被処理液から、前記浮遊固形物を磁力により分離する磁気分離装置に係り、特に、前記浮遊固形物の分離が連続的に行える連続磁気分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、上水、下水、産業廃水などに関する浄水化処理、特に、被処理水中から富栄養化した汚泥(主として、燐含有物)を分離する際に、実際の分離処理を行う前に、高勾配磁場を利用して生成された、例えば、マグネタイトなどのフェライト(粉状あるいは粒状の強磁性体:以下、磁性体微粒子と称す)を含む凝集剤で、被処理水中の汚濁物を、予め、磁性を持った浮遊固形物(フロック)としている。
【0003】
また、貴金属などを含む被処理液から有用な物質を回収したい場合にも、同様な浮遊固形物を形成する。
【0004】
そして、この状態の被処理液を、超伝導ソレノイドコイルを外側に巻回した非磁性材料からなる導管内に導き、前記超伝導ソレノイドコイルの付勢により導管内に磁場を発生し、この磁場の中に置かれたフィルタを介して、被処理液を濾過すると共に、その後、フィルタから、これに付着した浮遊固形物を廃棄あるいは回収するという、フィルタ式磁気分離装置が提唱されている。
【0005】
即ち、このような磁気分離装置は、被処理液中の物質が専ら汚濁物である場合は、被処理液の浄化装置となり、被処理液中の物質が有用である場合は、被処理液からの有用な物質の回収装置となる。
【0006】
フィルタ式磁気分離装置は、被処理液の流れに平行な方向の磁場が利用でき、フィルタによる浮遊固形物の分離効率がよい点で優れているが、被処理液中の浮遊固形物を捕捉するにつれ、フィルタが目詰まりをおこすので、断続的にフィルタを洗浄する必要があり、その間、磁場を切らなければならず、連続動作ができないという問題があった。
【0007】
そこで、フィルタを用いることなく、被処理液の流れに直行する方向の磁場を発生させ、導管の内壁面を利用して、被処理液中の浮遊固形物を捕捉する磁気分離装置が提案された。
【0008】
しかしながら、この方式では、導管外側に異極性の磁石が対向する配置となるので、導管内壁面に沿って一般に略均一な磁場が発生し、浮遊固形物が有効に捕捉できないという問題があった。
その原因は、浮遊固形物を捕捉する能力が、磁束密度だけではなく、磁束密度と磁束密度の勾配の積に比例するからである。
【0009】
この問題に対して本願発明者たちは特許文献1において、導管の内壁面(導管内に配置した板の面を含む)に、多数の磁性材料からなる誘導片を、その一端が内壁面に露出するように埋設することにより、前記誘導片に磁力線を集結させ、誘導片の近傍での磁場勾配を増大し、浮遊固形物を誘導片に誘導し効果的に捕捉するという、内壁埋設誘導片式磁気分離装置の技術を開示した。
【0010】
内壁埋設誘導片式によれば、フィルタ式の場合と同じように、導管内での被処理液の流れの中に十分な高勾配磁場を発生させることができた。
導管外側に対向して配置する異極性の磁石としては永久磁石や超伝導ソレノイドコイルを用いてもよいが、特にバルク超伝導体磁石を用いると、永久磁石に比べ、格段に大きい磁束密度、従って格段に大きい浮遊固形物捕捉能力が得られ、超伝導ソレノイドコイルに比べ、設備を大幅に簡素化でき、低コストで提供できるメリットが得られた。
【0011】
しかもフィルタを用いる浮遊固形物の捕捉と比べ、目詰まりのおそれもなく、フィルタ式の場合のような頻繁な洗浄が不要で、処理作業の中断による稼働率の低下も、最小限に留めることができる。
【0012】
しかしながら、内壁埋設誘導片式の場合、導管の内壁面には埋設した誘導片の近傍を中心に浮遊固形物が付着するので、フィルタ式の場合ほど頻繁ではないが、ある頻度での洗浄が必要であり、そのたびに処理作業の中断による稼働率の低下が避けられないという問題があった。
【0013】

【特許文献1】特開2003-320272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は上記の諸問題を解消するために、フィルタ式や内壁埋設誘導片式と同程度以上に効率的に浮遊固形物を捕捉でき、フィルタ式の場合のような頻繁な処理作業の中断を要しない、また、内壁埋設誘導片式と比べても事実上処理作業の中断を要しない、即ち、これまでにない連続処理作業が可能な連続磁気分離装置を安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するためになされた本発明による連続磁気分離装置は、 被処理液中の浮遊物質を、磁性体微粒子を含む凝集剤により凝集して、磁性を持った凝集固形物とした後被処理液から前凝集固形物を磁力により分離する磁気分離装置において、 上方に開口部を有し非磁性材料からなり、前記被処理液を容れる導管と、記導管を挟んで異極、あるいは同極が対向するように、かつ前記被処理液の水位より下の位置に配置され、水平方向の磁場を形成する一対の、もしくは複数対の磁石と、 全体として円形板状になるように配置され成形された一つ又は複数の磁性体及びその周囲を覆う、複数の磁性フィラメントを含有する樹脂からなる磁性フィルタ層からなる吸着板であって、 前記磁場に平行な回転軸を有し、前記回転軸に垂直な表面が吸着面をなし、前記吸着面の少なくとも下半分の一部が、常に前記被処理液に浸されて前記磁場を横断しながら前記浮遊固形物を吸着し、前記吸着面の少なくとも上半分の一部が、常に前記浮遊固形物を吸着した状態で前記導管の開口部を経て前記導管の上方外部に露出するように回転可能に配置された吸着板と、 前記吸着板に吸着された浮遊固形物を削ぎ取るため、前記吸着板の前記導管の外部に露出した側の一部に配置された削ぎ取り部とを含んで構成されることを特徴とする。
【0016】
好ましくは請求項2に記載のとおり、 前記一対の、もしくは複数対の磁石は、着磁された超伝導バルク磁石、永久磁石、電磁ソレノイドを用いた電磁石、又は超伝導コイルを用いた磁石で構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載のとおり、 前記磁性フィルタ層は、複数の磁性フィラメントを含有する樹脂を前記円形板状の磁性体に塗布、成形、固着してなり、少なくとも半数の前記磁性フィラメントの長手方向が前記吸着面に平行であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載のとおり、 前記削ぎ取り部は、前記吸着板の吸着面に接して、あるいは前記吸着板の吸着面から、前記凝縮固形物を削ぎ取るのに必要な間隔だけ近接して、前記吸着板の半径方向に延伸され固定されたヘラ又はブラシであることを特徴とする。
前記間隔は例えば5mm以下である。
【0019】
また、請求項5に記載のとおり、 前記吸着板の磁性体は、互いに離隔して配置され成形された複数の磁性体からなり、 前記複数の磁性体の間隙には、前記吸着板の吸着面と前記導管の内側面との距離に等しい高さを有するストッパが埋め込まれ、 前記ストッパはバネによって、前記吸着板の吸着面に垂直な方向に往復移動可能に支持され、 前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されていない箇所にある場合には、前記ストッパは吸着面に垂直に突出しており、 前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されている箇所にある場合は、前記ストッパは前記削ぎ取り部によって押し込まれて、前記吸着板の吸着面より内部に位置することを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載のとおり、 前記吸着板の磁性体は、互いに離隔して配置され成形された複数の磁性体からなり、 前記複数の磁性体の間隙には、前記吸着板の吸着面と前記導管の内側面との距離に等しい高さを有するストッパが埋め込まれ、 前記ストッパはバネによって、前記吸着板の吸着面に垂直な方向から水平な方向に回転移動可能に支持され、 前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されていない箇所にある場合には、前記ストッパは吸着面に垂直に突出しており、 前記吸着板に設けられた前記ストッパ前記削ぎ取り部の配置されている箇所にある場合は、前記ストッパは前記削ぎ取り部によって回転しながら倒されて、前記吸着板の吸着面に対して同一面内に位置することを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載のとおり、 前記導管の、少なくとも浮遊固形物回収領域を含む部分が取り外し可能になっていることを特徴とする。

【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被処理液中の浮遊固形物は、磁束密度×磁束密度勾配の最も大きい箇所、即ち、導管の内壁ではなく吸着板の吸着面に殆どすべてが吸着され、しかも吸着された浮遊固形物は吸着板の回転につれて削ぎ取り部で削ぎ取られて、吸着板は常に、浮遊固形物のない、もしくは浮遊固形物の殆どない、状態で被処理液に浸されるので、安価で効率的な連続運転が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明による磁気分離装置では、予め被処理液中の物質を、磁性体微粒子を含む凝集剤により磁性を持った浮遊固形物としておくことにより、非処理液中の物質の分離(除去又は回収)を有効に、あるいは効率的に行える。
【0025】
図1を参照すると、本発明による連続磁気分離装置100は、主容器10とそれに連接する導管20を含み、両者は浮遊固形物32を含む被処理液30で、1点鎖線で示す水位35まで満たされる。2点鎖線15は主容器10と導管20の連接部を示す線である。
導管20は非磁性材料からなり、上方に開口部22を有する。
【0026】
導管20の側面外壁に近接して導管20を挟んで異極が対向するように一対の、断面が略円形の磁石40、40(一方のみを図示)が配置される。
一対の磁石40、40は被処理液30の水位35より略、下の位置に配置され、前記導管内の被処理液の流れ方向に略直交する水平方向の磁場を形成する。
【0027】
本発明による、一対の磁石に関する第1の実施形態では、一対の磁石40、40は、永久磁石、電磁ソレノイドを用いた電磁石、又は超伝導コイルを用いた磁石で構成される。
【0028】
これらの磁石により形成される磁場は一般に外周部を除き、中央部と周辺部で略均一な磁束密度を有し、その値は永久磁石で0.2~0.3T(テスラ)、電磁ソレノイド又は超伝導コイルを用いた磁石では2テスラ程度である。永久磁石の場合の例を図3(A)に示す。
このように磁束密度が均一、即ち磁束密度勾配が小さいので、浮遊固形物の吸着能力が必ずしも高くない。
【0029】
本発明による、一対の磁石に関する第2の実施形態では、一対の磁石40、40は、超伝導バルク磁石で構成する。
冷却温度に依存するが、超伝導バルク磁石では、1.7T(テスラ)(冷却温度=77°K;液体窒素冷却の場合)~3テスラ(冷却温度=35°K;冷凍冷却の場合)が実現できる。液体窒素冷却の場合の例を図3(B)に示す。
【0030】
このように、超伝導バルク磁石では発生する磁束密度が均一ではなく中央部で最も強いので、一体の磁石で急峻な磁束密度勾配が得られる。
【0031】
図2を参照すると、超伝導バルク磁石の場合、一対の磁石40、40は、各々真空容器42、42に収容され、真空容器42、42には真空ポート44、44が連結されると共に、超伝導バルク磁石40,40は冷凍機46、46に連接され、冷凍機46、46にはヘリウム配管48、48が連結され、ヘリウム配管48、48は図示しないヘリウムコンプレッサに接続されて運転される。
【0032】
真空ポート44、ヘリウム配管48は各々、図示していない真空ポンプ、ヘリウムコンプレッサに接続されて、一対の磁石40、40は所定の真空度において、所定の温度に冷却され、図3(B)のような形状の磁場(ただし、冷凍機冷却であるので、磁束密度Bのピーク値は1.7テスラではなく3テスラを越える。)を発生する。
なお、図1、図2において、構成要件42~48以外の構成要件はすべての実施形態に共通するものである。
【0033】
再び図1、図2を参照すると、略円形の吸着板50が一対の磁石40、40の間に、これらの磁石によって形成される磁場を横切って回転可能なように配置されている。
【0034】
吸着板50の回転軸52は水位35の上方にあって、回転軸52の上方にあるモータ51aとプーリ51bからなる図示しない回転動力機構により矢印51の方向に回転される。
プーリ51bはチェインベルトなどで置き換えることができる。いずれにしても、吸着板50は、回転軸52の延長方向が両側ともに磁石系により塞がれている場合は、回転軸の上方から駆動されなければならない。
このようにして吸着板を回転すると、吸着板50の略下半分は常に被処理液に浸され、吸着板50の略上半分は導管20の開口部22を通じて導管20の上方に位置する。
【0035】
本発明による、吸着板に関する第1の実施形態では、図4(A)、(B)を参照すると、吸着板50は、全体として略円形板状になるように互いに密着して配置され成形された6個の扇型の磁性体53aと、その周囲を覆う磁性フィルタ層54とからなり、回転軸52により軸支されて、磁性フィルタ層54の回転軸52に垂直な面が吸着面55となる。
【0036】
本発明による、前記吸着板に関する第2の実施形態では、図5(A)、(B)を参照すると、吸着板50は、全体として略円形板状になるように配置され成形された複数個の、扇型の磁性体53b又は長方形の磁性体53cを含み、磁性体53b又は53cは互いに密着していなくてもよい。
これらの磁性体の形状と相互間隔は、得られる吸着能力が全体として最大になるように選ばれる。
【0037】
本発明による、吸着板を形成する磁性フィルタ層に関する実施形態では、図6を参照すると、吸着板50を形成する磁性フィルタ層54の部分的断面図であり、磁性フィルタ層54は複数の磁性フィラメント、例えば磁性ステンレスSUS430からなるフィラメント、56a、56bを含有する樹脂57を磁性体53に塗布、成形、固着してなり、磁性フィラメント56a、56bの長さと樹脂57の、成形、固着後の塗布厚さは、磁性フィラメント56a、56bの少なくとも半数の長手方向が吸着面に略平行になるように設定されている。
フィラメント56aはその長手方向が紙面奥行き方向に一致している場合であり、56bはその長手方向が紙面奥行き方向と紙面水平方向の中間にある場合であり、各々フィラメントの断面が円、楕円となって見えている。
【0038】
吸着板50が前記磁場を横断する際、巨視的には上記のように吸着板上で磁石の中央部に対応した部分で吸着能力(磁束密度×磁束密度勾配)が最大になるが、その中でも、磁性フィラメント56の長手方向に垂直な方向に磁力線58が集中する、即ち、磁束密度と磁束密度勾配が共に増大するので、微視的には吸着面55の、個々の磁性フィラメント56a、56b近傍で高い吸着能力が得られる。
【0039】
三たび図1、図2を参照すると、吸着板50の吸着面55は被処理液に浸されて前記磁場を横断する際に、浮遊固形物32を吸着、合体して吸着物34とし、吸着板50の回転につれて吸着物34を吸着した状態で導管20の開口部22を経て導管20の上方外部に露出する。
【0040】
削ぎ取り部60は、吸着板50の導管の外部に露出した部分のうち、下降回転部分の水位35に近い部分に配置され、吸着板50に吸着された浮遊固形物34を削ぎ取り、溜め容器69に収容する。
【0041】
前記削ぎ取り部に係る本発明の第1の実施形態では、削ぎ取り部60は、図2に示すように吸着板50の吸着面55に接して、あるいは、図8に示すように前記吸着板の吸着面から所定の間隔だけ離隔されて、吸着板50の半径方向外側下方に傾けて延伸され固定されたヘラ又はブラシからなる。ヘラ又はブラシが吸着面から離隔されている場合の間隔は、5mm以下である。
【0042】
本発明による、前記吸着板に関する第3の実施形態では、浮遊固形物34の削ぎ取りがさらに効率的に行うことができる構造の吸着板50を開示する。
図7(A)、(B)を参照すると、吸着板50は、互いに離隔して配置され成形された複数の磁性体53dを含み、磁性体53dの間隙には複数のストッパ部70が設けられる。
【0043】
本発明による、ストッパ部に関する第1の実施例では、図8(A)、(B)を参照すると、ストッパ部70は、吸着板50に設けられたスリット71と、スリット71に埋め込まれた、吸着面55と導管20の内側面との距離に略等しい高さを有するストッパ72を含み、ストッパ72は、磁性体53dと一体成形された座金74に固定された複数個のバネ73によって支持されている。
【0044】
吸着板50が削ぎ取り部60以外の箇所にある場合には、ストッパ72は吸着板50の吸着面55に垂直に突出していて、隣接するストッパ72、72の間に浮遊固形物34(図示せず)を保持するのに寄与している。
吸着板50が削ぎ取り部60にある場合は、ストッパ72は削ぎ取り部60であるヘラ又はブラシによって、ガイド72aに沿って矢印方向に押し込まれて、吸着面55の略同一面内に位置しながら削ぎ取り部を潜り抜けるので、浮遊固形物は、さらに効率的に吸着、回収される。
【0045】
本発明による、ストッパ部に関する第2の実施例では、図9(A)、(B)を参照すると、スリット71に埋め込まれた、吸着面55と導管20の内側面との距離に略等しい高さを有するストッパ72は、磁性体53dと一体成形された座金76に固定された複数個の蝶番75によって支持されている。
【0046】
吸着板50が削ぎ取り部60以外の箇所にある場合には、ストッパ72は蝶番75の有するバネによって支持され吸着面55から垂直に突出している。
吸着板50が削ぎ取り部60にある場合は、ストッパ72は削ぎ取り部60であるヘラ又はブラシによって回転しながら矢印方向に倒されて2点鎖線のように、吸着面55に対して略同一面内に位置するので、浮遊固形物は、さらに効率的に吸着、回収される。
【0047】
なお上記では、一対の磁石40、40が異極対向の場合を説明してきたが、一対の磁石が同極対向の場合が浮遊固形物32をより有効に回収できる場合がある。この場合、吸着板50の表面55での磁束密度は減少するが、導管20の内壁での磁束密度勾配が増大し、導管20の内壁でも浮遊固形物32を有効に吸着し、削ぎ取り部60(より正確には、削ぎ取り部60の、導管20の内壁に接する面)により回収できるからである。
【0048】
以上説明したように、本発明によれば、実質的に中断せずに連続動作ができる磁気分離装置が得られるが、それでも稼動が長期にわたると、吸着面55に吸着物34の削ぎ残しが累積し、また導管20の内側壁にも浮遊固形物の付着が僅かずつであるが累積し、全体としての吸着能力を劣化させるので、定期的な清掃保守が必要である。
【0049】
その際、前記導管に係る本発明の第2の実施形態では、導管20の、少なくとも浮遊固形物回収領域、即ち図1において、導管20全体が連接線15を境に、主容器10から取り外し可能になっているので、吸着板50や導管20の内側壁の清掃保守が容易である。
【0050】
なお、以上の実施例1においては、吸着板50は導管20が主容器20に連接する側で上方に回転しており、導管20は片側(図1において右方)が閉鎖されている場合であるが、この他いろいろの態様がある。
【0051】
例えば、吸着板50を逆向きに回転する、導管20を開放路として主容器への帰還路を設ける、導管20の途中にポンプを設けて被処理液の強制循環を図る、あるいは、前記帰還路にも別のもう一組の磁気分離装置を設けて(その場合、吸着板の回転方向を互いに逆にする。)、浮遊固形物回収の効率化を実現することができる。
【0052】
なお又、上述のように一対の磁石ではなく、複数対の磁石を被処理液30の流れに対して並列あるいは直列に配置することにより、回収効率を上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明によれば、実質的な連続運転が可能で、しかも吸着能力の高い磁気分離装置が得られるので、被処理液の浄化という観点からは、化学工業関連の廃水処理、上下水道処理、河川水の管理など多くの環境関連分野での活用が期待できる。
【0054】
また、有用資源の回収という観点からも、金属・石油などの鉱業、各種の工業における中間生成物からの貴金属その他の有用資源の回収の工程の一部としても、やはり環境関連分野に係る活用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
(図4~8においては、図1を立面図、図2を平面図と称した視線の向きを一致させるため、図4(A)、図5(A)、図6、図7(A)、図8(A)、図9(A)を「平面図」と称し、図4(B)、図5(B)図7(A)、図8(A)、図9(A)を「立面図」と称しており、単独の吸着板などの通常の呼称とは逆にしてある。)
【図1】本発明による連続磁気分離装置の立面図である。
【図2】本発明による一対の磁石に関する第2の実施形態を示す連続磁気分離装置の平面図である。
【図3】(A)は永久磁石の磁束密度分布の例を示す図であり、(B)は超伝導バルク磁石の磁束密度分布の例を示す図である。
【図4】本発明による吸着板に関する第1の実施形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は立面図である。
【図5】本発明による吸着板に関する第2の実施形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は立面図である。
【図6】本発明による吸着板の磁性フィルタ層における磁場の状態を示す平面断面図である。
【図7】本発明による吸着板に関する第3の実施形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は立面図である。
【図8】本発明による吸着板のストッパ部に関する第1の実施形態を示す図であり、(A)は、図7のX-Xで切った断面の平面図、(B)は立面図である。
【図9】本発明による吸着板のストッパ部に関する第2の実施形態を示す図であり、(A)は、図7のX-Xで切った断面の平面図、(B)は立面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 主容器
15 連接線
20 導管
22 開口部
30 被処理液
32 浮遊固形物
34 吸着物
35 水位
40 磁石
42 真空容器
44 真空ポート
46 冷凍機
48 ヘリウム配管
50 吸着板
51a モータ
51b プーリ
52 回転軸
53、53a、53b、53c 磁性体
54 磁性フィルタ層
55 吸着面
56a、56b 磁性フィラメント
57 樹脂
58 磁力線
60 削ぎ取り部
69 溜め容器
70 ストッパ部
71 スリット
72 ストッパ
72a ガイド
73 バネ
74、76 座金
75 蝶番
100 連続磁気分離装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8