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明細書 :三次元ディスプレイ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3885077号 (P3885077)
公開番号 特開2005-309374 (P2005-309374A)
登録日 平成18年11月24日(2006.11.24)
発行日 平成19年2月21日(2007.2.21)
公開日 平成17年11月4日(2005.11.4)
発明の名称または考案の名称 三次元ディスプレイ
国際特許分類 G02B  27/22        (2006.01)
G02F   1/13        (2006.01)
G02F   1/1335      (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI G02B 27/22
G02F 1/13 505
G02F 1/1335
H05B 33/14 A
請求項の数または発明の数 36
全頁数 29
出願番号 特願2004-355172 (P2004-355172)
出願日 平成16年12月8日(2004.12.8)
優先権出願番号 2004092075
優先日 平成16年3月26日(2004.3.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年1月20日(2006.1.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】高木 康博
個別代理人の代理人 【識別番号】100079108、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 良幸
【識別番号】100080953、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 克郎
【識別番号】100093861、【弁理士】、【氏名又は名称】大賀 眞司
審査官 【審査官】三橋 健二
参考文献・文献 特開平09-236777(JP,A)
特開2003-185968(JP,A)
特開平10-186294(JP,A)
特開2004-118140(JP,A)
調査した分野 G02B 27/22
G02F 1/13
H04N 13/04
H04N 15/00
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には赤、緑、青の色画素が周期的に配置され、前記縦列の色画素は同色で構成される二次元ディスプレイと、
前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、を備え、
前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、
前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、色画素の垂直方向のピッチをpyとし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3M x N個の前記色画素から構成されている場合において、
θ = tan-1(3px/Npy)
の関係式を有する、三次元ディスプレイ。
【請求項2】
前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有する、請求項1に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項3】
前記Nは3の倍数である、請求項1または2に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項4】
前記三次元画素の構成において、Npy≦3Mpxである、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項5】
前記色画素の水平幅と垂直幅を、それぞれw、hとすると、
w = 3px/Nである、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項6】
前記wの値は、[1-(1/2)(h/py)](3px/N)~[1+(h/py)](3px/N)の範囲である、請求項5に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項7】
前記hの値と、前記pyの値とが同一または近似した値である、請求項6に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項8】
前記色画素から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ+xで表されるとき、前記直線上の一つの色画素内の光強度の和が、
【数1】
JP0003885077B2_000020t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数2】
JP0003885077B2_000021t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(I)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定する、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項9】
水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させ、前記縦列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させるとともに、前記色画素が斜めに同色であるように構成される二次元ディスプレイと、
前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、を備え、
前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、
前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、色画素の垂直方向のピッチをpyとする、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3MxN個の前記色画素から構成されている場合において、
θ = tan-1[(1-3/N)px/py]
の関係式を有する、三次元ディスプレイ。
【請求項10】
前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有する、請求項9に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項11】
前記Nは3の倍数である、請求項9または10に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項12】
前記三次元画素の構成において、Npy≦3Mpxである、請求項9ないし11のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項13】
前記色画素の水平幅、垂直幅を、それぞれw、hとすると、w = 3px/Nである、請求項9ないし12のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項14】
前記wの値は、
【数3】
JP0003885077B2_000022t.gif
の範囲である、請求項13に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項15】
前記hの値は、3py/(N-3)である、請求項14に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項16】
前記色画素から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ+xで表されるとき、前記直線上の一つの画素内の光強度の和が、
【数4】
JP0003885077B2_000023t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数5】
JP0003885077B2_000024t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(II)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定する、請求項9ないし12の何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項17】
水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には赤、緑、青の色画素が周期的に配置され、
前記縦列の色画素は同色で構成される二次元ディスプレイと、
前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、
前記二次元ディスプレイと前記レンチキュラーシートとの間に配設された、複数の開口部を有する開口アレイと、を備え、
前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、
前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、前記色画素の垂直方向のピッチをpyとし、前記開口部の水平方向のピッチをpx'とし、前記開口部の垂直方向のピッチをpy'とし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3MxN個の前記色画素から構成されている場合において、
px = px'、py = py'であり、
θ = tan-1(3px'/Npy')
の関係式を有する、三次元ディスプレイ。
【請求項18】
前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有する、請求項17に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項19】
前記Nは3の倍数である、請求項17または18に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項20】
前記三次元画素の構成において、Npy'≦3Mpx'である、請求項17ないし19のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項21】
前記開口部の水平幅と垂直幅を、それぞれw'、h'とすると、
w' = 3px'/Nである、請求項17ないし20のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項22】
前記w'の値は、[1-(1/2)(h'/py')](3px'/N)~[1+(h'/py')](3px'/N)の範囲である、請求項21に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項23】
前記h'の値と、前記py'の値とが同一または近似した値である、請求項22に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項24】
前記開口部から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ+xで表されるとき、前記直線上の一つの色画素内の光強度の和が、
【数1】
JP0003885077B2_000025t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数6】
JP0003885077B2_000026t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(III)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定する、請求項17ないし20のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項25】
前記色画素は、上下左右に分割されたマルチドメイン構造を有する、請求項17ないし24のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項26】
前記二次元ディスプレイと前記開口アレイとの間に配設された拡散板をさらに備える、請求項17ないし25のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項27】
水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置させた複数の色画素を備え、前記横列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させ、前記縦列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させるとともに、前記色画素が斜めに同色であるように構成される二次元ディスプレイと、
前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、
前記二次元ディスプレイと前記レンチキュラーシートとの間に配設された、複数の開口部を有する開口アレイと、を備え、
前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、
前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、前記色画素の垂直方向のピッチをpyとし、前記開口部の水平方向のピッチをpx'とし、前記開口部の垂直方向のピッチをpy'とし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3MxN個の前記色画素から構成されている場合において、
px = px'、py = py'であり、
θ= tan-1[(1-3/N)px'/py']
の関係式を有する、三次元ディスプレイ。
【請求項28】
前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有する、請求項27に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項29】
前記Nは3の倍数である、請求項27または28に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項30】
前記三次元画素の構成において、Npy'≦3Mpx'である、請求項27ないし29のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項31】
前記開口部の水平幅、垂直幅を、それぞれw'、h'とすると、w' = 3px'/Nである、請求項27ないし30のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項32】
前記w'の値は、
【数7】
JP0003885077B2_000027t.gif
の範囲である、請求項31に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項33】
前記h'の値は、3py'/(N-3)である、請求項32に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項34】
前記開口部から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ+xで表されるとき、前記直線上の一つの画素内の光強度の和が、
【数4】
JP0003885077B2_000028t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数8】
JP0003885077B2_000029t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(IV)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定する、請求項27ないし30の何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項35】
前記色画素は、上下左右に分割されたマルチドメイン構造を有する、請求項27ないし34のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
【請求項36】
前記二次元ディスプレイと前記開口アレイとの間に配設された拡散板をさらに備える、請求項27ないし35のうち何れか一項に記載の三次元ディスプレイ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元画像表示方式に係り、レンチキュラーシートを用いた三次元画像表示に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、三次元ディスプレイの表示方式としては、二眼式立体表示方式が主流である。これは、左右の眼に異なる画像を表示し、人間が立体感を得ることを、その原理としている。二眼式立体表示方式においては、人間が頭を動かしたときに物体の見え方が変化しない、つまり運動視差がないという欠点を有する。さらに、眼のピント合わせ、つまり調節は画像を表示しているスクリーン上にあり、三次元物体の表示位置と一致しないといった矛盾がある。この矛盾が、三次元像を見たときの眼精疲労の原因であるといわれている。
【0003】
三次元ディスプレイにおいて、より自然な三次元表示を可能にすることが求められている。これは、異なる水平方向に多数の画像を同時に表示することで実現できる。多眼式立体表示方式では、空間の水平方向に複数の視点を設定し、それぞれの視点に異なる画像を表示する。視点間隔を両眼間隔より小さくすることで、左右の眼に異なる画像が表示される。また、視点数を増やすと、頭を動かしたときに見える画像が切り替わり、運動視差が得られる。
【0004】
最近、空間に視点を設定せずに、三次元物体の平行投影画像である指向性画像を、投影方向を変えて多数用意し、対応する方向に準平行光で同時に表示する方法が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。表示する指向性画像を多くすると、自然な運動視差が得られる。特に、指向性画像数を64とした場合、三次元像に眼のピント合わせが可能となり、三次元像観察時の眼精疲労が解決できる可能性があることが報告されている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0005】
以上のように、三次元ディスプレイでは、水平方向に多数の画像を表示する必要がある。三次元ディスプレイの表示面を構成する水平・垂直に配置される画素は、多数の水平表示方向を持ち、それぞれの水平方向に表示する光の強度や色を制御できる必要がある。これを、三次元画素と呼称することにする。
【0006】
水平方向に多数の表示方向を有する三次元ディスプレイの構成方法としては、液晶パネルなどの二次元ディスプレイに、レンチキュラーシートを組み合わせる方法が知られている。ここで、レンチキュラーシートとは、一次元のレンズであるシリンドリカルレンズを、レンズ中心軸と直交方向に多数配置させたシートである。レンチキュラーシートを構成するシリンドリカルレンズの焦点面が液晶パネルの表示面に一致するように配置する。二次元ディスプレイの表示面は、水平・垂直に配置された多数の画素で構成されるが、水平方向に配置された複数の画素に一つのシリンドリカルレンズを対応させて三次元画素を構成する。シリンドリカルレンズ中心軸から各画素までの水平距離で、その画素から出射される光のシリンドリカルレンズ通過後の水平進行方向が決まる。したがって、用いた水平画素数と同じだけの水平表示方向が得られる。この構成方法では、水平表示方向を多くすると、三次元表示の水平方向の解像度が極端に低下するとともに、三次元表示の水平・垂直の解像度にアンバランスが生じるという問題点が指摘されている。
【0007】
この問題点を解決する方法が提案されている(特許文献1参照)。図1(A)は、従来技術におけるレンチキュラーシートを画素の垂直配列方向に対して傾けて配置する構成を示す図である。図1(A)では、カラー表示を実現する構成法を例示しており、図中の画素はRGBの色画素である。水平方向にM 個と垂直方向にN 個の、M x N 個の色画素で一つの三次元画素を構成し、M x N 個の水平表示方向を実現する。このとき、レンチキュラーシートの傾き角をθとすると、θ=tan-1(px/Npy)とすることで、三次元画素内のすべての色画素のシリンドリカルレンズ中心軸に対する水平距離を異なる値に設定することができる。ここで、pxは色画素の水平ピッチであり、pyは色画素の垂直ピッチである。
【0008】
図1(A)に例示する従来技術では、N=2、M=7/2として、7個の色画素を用いて一つの三次元画素を構成し、7個の水平表示方向を実現している。このように、レンチキュラーシート3を傾けて用いることで、水平方向の色画素2のみでなく、垂直方向の色画素2をも用いて、一つの三次元画素を構成することができ、三次元表示の水平方向の解像度の低下を抑え、水平・垂直方向の解像度のバランスを向上できることが報告されている。

【非特許文献1】高木康博:「変形2次元配置した多重テレセントリック光学系を用いた3次元ディスプレイ」映像情報メディア学会誌、Vol. 57. no.2, p294-300 (2003)
【非特許文献2】福冨武史、名手久貴、高木康博:「指向性画像の高密度表示を用いた3次元画像における調節応答」、映像情報メディア学会誌、vol.58, no.1, p69-74 (2004)
【特許文献1】米国特許第6,064,424号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図1(A)に開示した表示方法では、一つの水平表示方向に一つの色画素を対応させるため、三次元画素は一つの水平表示方向にRGB三原色のうち一色しか表示できない。特に、図1(B)では、7個の水平表示方向のうち4番目の水平表示方向への表示色を示している。そのため、図1(B)に示すように、3つの三次元画素を組み合わせて用いることでフルカラー表示を実現する方法が提案されている。
【0010】
三次元ディスプレイのスクリーンを人間が見ると、図2に示すように、目には多数の水平方向からの光線が入射する。特許文献1にて開示された表示方法では、水平表示方向によって三次元画素の表示色が変化するため、三次元像に色ムラが生じるという問題点が指摘されている。また、色画素の画素構造に依存して水平表示方向に対して最大強度が変化するため、網膜像に水平方向の強度ムラが生じる問題もある。
【0011】
以上のように、現在までに知られている表示方法では、三原色のうち一色しか表示できず、一つの三次元画素でRGBフルカラー表示は不可能である。また、画素構造に起因して水平表示方向による光強度変化があるため、三次元画像に色ムラや強度ムラが生じるという問題も指摘されている。
【0012】
また、従来から、液晶ディスプレイを代表とする二次元ディスプレイの色画素の形状は長方形をしていたが、最近では、視野角拡大などの目的でマルチドメイン形状などの変形した形状が用いられるようになってきてきる。そのため、二次元ディスプレイの色画素形状が、必ずしも三次元ディスプレイに適する色画素形状を有しているとは限らない。そのため、二次元ディスプレイ用に開発されたディスプレイパネルを三次元ディスプレイに利用可能にする要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記事情を鑑みて、上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、第一の態様にて、水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には赤、緑、青の色画素が周期的に配置され、前記縦列の色画素は同色で構成される二次元ディスプレイと、前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、を備え、前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、色画素の垂直方向のピッチをpyとし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3M x N個の前記色画素から構成されている場合において、θ = tan-1(3px/Npy)の関係式を有する、三次元ディスプレイを提供する。かかる構成によれば、本発明に係る三次元ディスプレイでは、色画素がストライプ配置である二次元ディスプレイを用いて、三次元画素からの光の一つの水平表示方向に対して、3種類の色画素すべてが対応することを可能にする。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記Nは3の倍数であることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向に色ムラを消失させることが実現される。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、Npy ≦ 3Mpx であることを特徴とする。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素の水平幅と垂直幅を、それぞれw、hとすると、w = 3px/Nであることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向に対する強度ムラの消失させることが可能となる。
【0018】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記wの値は、
[1 - (1/2)(h/py)](3px/N) ~ [1 + (h/py)](3px/N) の範囲であることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスレプレイにおいて、前記hの値が同一または近似した値であることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向における光強度の変化を低減させることができる。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ + xで表されるとき、前記直線上の一つの色画素内の光強度の和が、
【0021】
【数1】
JP0003885077B2_000002t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数2】
JP0003885077B2_000003t.gif
で与えられ、ここで、fをシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(I)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、第二の態様にて、水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させ、前記縦列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させるとともに、前記色画素が斜めに同色であるように構成される二次元ディスプレイと、前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、を備え、前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、色画素の垂直方向のピッチをpyとする、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3M x N個の前記色画素から構成されている場合において、
θ = tan-1[(1-3/N)px/py]
の関係式を有する三次元ディスプレイを提供する。かかる構成によれば、本発明に係る三次元ディスプレイでは、斜め色画素配置である二次元ディスプレイを用いて、三次元画素からの光の一つの水平表示方向に対して、3種類の色画素すべてが対応することを可能にする。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記Nは3の倍数であることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向に色ムラを消失させることが実現される。
【0025】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、Npy ≦ 3Mpx であることを特徴とする。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素の水平幅、垂直幅を、それぞれw、hとすると、w = 3px/Nであることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向に対する強度ムラを消失させることが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記wの値は、
【数3】
JP0003885077B2_000004t.gif
の範囲であることを特徴とする。かかる構成によれば、三次元画素からの光の水平表示方向における光強度の変化を低減させることができる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記hの値は、3py/(N-3)であることを特徴とする。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ + xで表されるとき、前記直線上の一つの画素内の光強度の和が、
【数4】
JP0003885077B2_000005t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数5】
JP0003885077B2_000006t.gif
で与えられ、ここで、fをシリンドリカルレンズの焦点距離とし、
前記式(II)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定することを特徴とする。
【0030】
さらに、本発明は、第三の態様にて、水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置された複数の色画素を備え、前記横列には赤、緑、青の色画素が周期的に配置され、前記縦列の色画素は同色で構成される二次元ディスプレイと、前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、前記二次元ディスプレイと前記レンチキュラーシートとの間に配設された、複数の開口部を有する開口アレイと、を備え、前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、前記色画素の垂直方向のピッチをpyとし、前記開口部の水平方向のピッチをpx'とし、前記開口部の垂直方向のピッチをpy'とし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3M x N個の前記色画素から構成されている場合において、px = px'、py = py'であり、θ = tan-1(3px'/Npy')の関係式を有する、三次元ディスプレイを提供する。本発明の第三の態様では、色画素形状に対して所定の関係にある開口アレイを用いることにより、二次元ディスプレイの色画素から出射される光の発散を抑止し、最適な色画素を生成することができる。
【0031】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有することを特徴する。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記Nは3の倍数であることを特徴とする。
【0033】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記三次元画素の構成において、Npy' ≦ 3Mpx' であることを特徴とする。
【0034】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記開口部の水平幅と垂直幅を、それぞれw'、h'とすると、w' = 3px'/Nであることを特徴とする。
【0035】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記w'の値は、[1 - (1/2)(h'/py')](3px'/N) ~ [1 + (h'/py')](3px'/N) の範囲であることを特徴とする。
【0036】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記h'の値と、前記py'の値とが同一または近似した値であることを特徴とする。
【0037】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記開口部から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ + xで表されるとき、前記直線上の一つの色画素内の光強度の和が、
【数1】
JP0003885077B2_000007t.gif
で表現され、
前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数6】
JP0003885077B2_000008t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、前記式(III)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定することを特徴とする。
【0038】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素は、上下左右に分割されたマルチドメイン構造を有することを特徴とする。
【0039】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記二次元ディスプレイと前記開口アレイとの間に配設された拡散板をさらに備えることを特徴とする。
【0040】
さらにまた、本発明は、第四の態様にて、水平方向に延在する横列と、該水平方向と実質的に垂直な垂直方向に延在する縦列とに配置させた複数の色画素を備え、前記横列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させ、前記縦列には、赤、緑、青の色画素を周期的に配置させるとともに、前記色画素が斜めに同色であるように構成される二次元ディスプレイと、前記二次元ディスプレイの上に配設され、かつ、前記色画素がそれを通して観察され、互いに平行に延在する複数のシリンドリカルレンズを備えるレンチキュラーシートと、前記二次元ディスプレイと前記レンチキュラーシートとの間に配設された、複数の開口部を有する開口アレイと、を備え、前記シリンドリカルレンズの中心軸が、前記二次元ディスプレイの縦列に対してθの角度で傾斜している三次元ディスプレイであって、前記色画素の水平方向のピッチをpxとし、前記色画素の垂直方向のピッチをpyとし、前記開口部の水平方向のピッチをpx'とし、前記開口部の垂直方向のピッチをpy'とし、一つの三次元画素を構成する色画素群が、前記一つのシリンドリカルレンズの横列に3M個と、前記一つのシリンドリカルレンズの縦列にN個の3MxN個の前記色画素から構成されている場合において、
px = px'、py = py'であり、
θ= tan-1[(1-3/N)px'/py']
の関係式を有する三次元ディスプレイを提供する。本発明の第四の態様では、色画素形状に対して所定の関係にある開口アレイを用いることにより、二次元ディスプレイの色画素から出射される光の発散を抑止し、最適な色画素を生成することができる。
【0041】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記二次元ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはプラズマディスプレイの色画素を有することを特徴とする。
【0042】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記Nは3の倍数であることを特徴とする。
【0043】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記三次元画素の構成において、Npy' ≦ 3Mpx' であることを特徴とする。
【0044】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記開口部の水平幅、垂直幅を、それぞれw'、h'とすると、w' = 3px'/N
であることを特徴とする。
【0045】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記w'の値は、
【数7】
JP0003885077B2_000009t.gif
の範囲であることを特徴とする。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記h'の値は、3py'/(N-3)であることを特徴とする。
【0047】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記開口部から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)とし、前記シリンドリカルレンズの中心軸と平行であって、前記中心軸との水平距離がxの直線が、s = -ttanθ + xで表されるとき、前記直線上の一つの画素内の光強度の和が、
【数4】
JP0003885077B2_000010t.gif
で表現され、前記三次元画素全体の水平表示方向φに対する光強度が、
【数8】
JP0003885077B2_000011t.gif
で与えられ、ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離とし、前記式(IV)がxに依存せずに略一定の値となるように各パラメータを設定することを特徴とする。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記色画素は、上下左右に分割されたマルチドメイン構造を有することを特徴とする。
【0049】
本発明の好ましい態様によれば、前記三次元ディスプレイにおいて、前記二次元ディスプレイと前記開口アレイとの間に配設された拡散板をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、水平表示方向に多数の異なる画像が表示でき、色ムラおよび強度ムラを解消した三次元ディスプレイが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。なお、同じ参照番号が同じ部分を示すために、本明細書の全部の図面を通じて用いられている。
【0052】
本発明に係る三次元ディスプレイは、二次元ディスプレイと、該二次元ディスプレイ上に配設させたレンチキュラーシートと、を備える。
【0053】
(本発明の第一の態様)
本発明に用いる二次元ディスプレイでは、カラー表示を実現するために、RGBの三原色に対応した3種類の色画素が垂直方向と水平方向に二次元的に配置されている。本発明の第一の態様では、RGBの三原色に対応した3種類の色画素が垂直方向には同じ色画素が配置され、水平方向にはRGBの色画素が周期的に配置されたストライプ配置を利用して説明する。なお、以下の説明では、色画素としてRGBの3種類を用いて説明するが、3種類以外の場合、たとえば、4種類の場合にも、本発明の概念を適用することは可能である。
本発明で用いる、色画素構造を有する二次元ディスプレイとしては、以下のものに限定されるわけではないが、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイや有機ELディスプレイ等が挙げられる。
【0054】
また、本発明に用いるレンチキュラーシートとは、細長いかまぼこ形のレンズであるシリンドリカルレンズを複数備えるシートであって、シリンドリカルレンズ中心軸と直交方向に多数のシリンドリカルレンズを配設したシートである。
【0055】
本発明では、水平表示方向の数の3倍の数の色画素で一つの三次元画素を構成し、フルカラー表示可能な三次元画素を実現する。
【0056】
図3は、本発明による三次元画素の構成を概略的に示す図である。図3において、本発明に用いるレンチキュラーシート3は、前述のように、一次元のレンズであるシリンドリカルレンズ4を備え、前記シリンドリカルレンズ中心軸8と直交方向に多数のレンズを配置させたシートである。そして、レンチキュラーシート3は、シリンドリカルレンズの焦点面と二次元ディスプレイ1の色画素2が配置された表示面が一致するように配置される。
【0057】
シリンドリカルレンズ中心軸8に対して、水平方向に距離xだけ離れた二次元ディスプレイの表示面上の一点から発せられる光は、シリンドリカルレンズ4により屈折されて水平方向には、角度φ=tan-1(x/f)に表示される。ここで、fはシリンドリカルレンズの焦点距離を指し、φは三次元画素から出射される光線の水平表示方向を指す。したがって、シリンドリカルレンズ中心軸8を色画素2の垂直配置方向に対して傾けて用いることで、同じ水平位置で垂直位置の異なる同色の色画素2に対して異なる水平表示方向を与えることができる。
【0058】
図4は、水平表示方向φを説明するための図である。図4(A)に示すように、三次元ディスプレイ20から出射される光線のうち、三次元ディスプレイの表示面に対して垂直な一定の平面21において、前記表示面の法線に対して光線22が進行する角度φをいう。図4(B)は、前記平面21の一部を拡大した図であり、前記x、fおよびφの関係を模式的に示す。
【0059】
前述のように、本発明では、図3に示すように、一つのシリンドリカルレンズ4に、水平方向に3M 個と、垂直方向にN 個の3M x Nの色画素を対応させて一つの三次元画素を構成する。この場合、RGBの3種類の色画素群を、それぞれM x N 個用いることになる。なお、図3では、M = 4、N = 4の場合を例示している。
【0060】
色画素の垂直配列方向に対するシリンドリカルレンズ中心軸の傾き角θは、次のように求めることができる。すなわち、シリンドリカルレンズ中心軸からの水平距離を考えると、同色の色画素で、垂直位置が1画素分異なる直近の色画素の間で、水平距離はpytanθだけ変化する。N画素分の垂直位置の違いに対応する水平距離の変化N pytanθが、同じ水平線上にある同色の色画素の水平距離の変化3pxと等しくなると、一つの三次元画素内の同色の色画素の水平距離が等間隔で変化することになる。したがって、N pytanθ = 3pxより、レンチキュラーシートの傾きθは、θ=tan-1 (3px/Npy)と算出される。
【0061】
このとき、RGB各色に対応するM x N 個の色画素は、シリンドリカルレンズ中心軸8に対してすべて異なる水平距離をもち、その値は等間隔pytanθ = 3px/Nで変化する。したがって、RGBの各色に対してM x N 個の水平表示方向が実現でき、それぞれの水平表示方向に表示する光の強度と色を制御できる。図3では、水平方向に12個で垂直方向に4画素の色画素を用いて、16方向の水平表示方向を実現している。
【0062】
以上のように、本発明では、一つの三次元画素を水平方向に3M 個、垂直方向にN 個の3M x N 個の色画素で構成し、レンチキュラーシートの傾き角θを、
θ=tan-1(3px/Npy)とすることで、M x N 個の水平表示方向へのフルカラー表示を可能にする。
【0063】
一方、特許文献1に開示された先行技術では、一つの三次元画素を、水平方向にM 個で垂直方向にN 個のM x N 個の色画素で構成し、M x N個の水平表示方向を実現する。このため、一つの三次元画素では、基本的にRGBの一色しか表示できない。また、レンチキュラーシートの傾き角θは、θ=tan-1(px/Npy)である。このように、特許文献1に開示された表示方法では、一つの水平表示方向にRGBの色画素のうち一種類の色画素しか対応しないのに対し、本発明による表示方法では、一つの水平表示方向に対して、RGBの3種類の色画素すべてが対応することになる。
【0064】
一つの三次元画素内で、同一の水平方向に表示されるRGBの色画素の垂直位置の違いは、最大で三次元画素の垂直幅(Npy)程度となる。この垂直位置の違いが知覚されず、三次元画素が一つの画素として認識されるためには、この最大の垂直位置の違い(Npy)よりも、三次元画素の水平幅(3Mpx)が等しいか大きいことが望まれる。つまり、Npy ≦ 3Mpx であることが望ましい。
【0065】
色画素は点ではなく、それ自体は一定の大きさを有するものであるから、一つの色画素がシリンドリカルレンズ中心軸に対して持つ水平距離には、一定の幅があることになる。そのため、一つの色画素が担う水平表示方向にも幅があることになる。
【0066】
図5は、同色の色画素とシリンドリカルレンズの関係を示す図である。図5に示すように、一つの色画素2の中心とシリンドリカルレンズ中心軸8との水平距離をcで表示することとする。このシリンドリカルレンズ中心軸8に平行で、水平距離がxの直線を考えることとする。なお、図5中に示す記号11は、シリンドリカルレンズ中心軸と平行な直線を示す。
【0067】
この平行線上の各点から出射する光は、シリンドリカルレンズ通過後に水平方向には同一方向に、角度φ=tan-1(x/f)で進む。したがって、この平行線が一つの色画素を横切る長さで、この水平方向に進む光の最大強度が決定される。
【0068】
色画素の形状が長方形の場合について検討する。長方形の水平幅をwとして、垂直幅をhとする。シリンドリカルレンズ通過後の光の水平表示方向φと最大強度Iの関係を求めると、以下のようになる。
【数9】
JP0003885077B2_000012t.gif
ここで、Iを水平表示方向φを変数とする関数で表すと、逆三角関数を含む複雑な式になるため、シリンドリカル中心軸からの距離xを変数として用いた。
【0069】
図6は、以上の結果を示す図である。図6(A)は、htanθ ≦ wの場合を示し、図6(B)は、htanθ ≧ wの場合を示す。同色の色画素群がシリンドリカルレンズ中心軸に対して持つ水平距離の値は、等距離pytanθで変化する。したがって、図6の強度分布を横軸方向にpytanθずつずらして足し合わせることで、三次元画素の水平表示方向に対する最大光強度を求めることができる。ここで、当然のことであるが、水平表示方向によって最大光強度が変化しないことが望ましい。
【0070】
図7は、一つの三次元画素の水平表示方向に対する最大光強度が一定になる条件を示す図である。水平表示方向によって、最大光強度が変化しないとは、図7(A)に示すように、一つの色画素に対する強度分布を表す台形の斜辺部が対向する台形の斜辺部分と完全に重なる場合に満足され、図7(B)のような強度分布を示す場合をいう。
【0071】
この条件は、htanθ ≦ wの場合には、台形の斜辺部が完全に重なるときの台形間の距離がwであることから、w = pytanθが成り立つときに達成される。換言すれば、tanθ = 3py/Npyより、色画素の水平幅がw = 3px/Nのときに達成されることがわかる。
【0072】
一方、htanθ ≧ wの場合には、台形の斜辺部が完全に重なるときの台形間の距離がhtanθであることから、htanθ = pytanθのとき、すなわち、h = pyのときに達成される。これは上下の色画素間に遮光部が存在し、h < pyであるため、完全に満足することはできない。遮光部を小さくして、ほぼ満足できたとしても、htanθ ≧ wとtanθ = 3py/Npyの関係より、px/w ≧ N/3である必要がある。左右の色画素間にも遮光部があるため、px/w ≦ 1であることを考えると、Nは3以下とする必要がある。したがって、三次元画素に用いる垂直方向の色画素数が制限される。
【0073】
次に、最大強度の変化を50%以下に抑えるための条件を求めることとする。ここでは、htanθ ≦ wの場合について考える。図8は、一つの三次元画素の水平表示方向に対する光強度変化が50%になる条件を示す図である。図8(A)は、台形が重なり過ぎる場合で、w - htanθ = pytanθより、これを満たす色画素の水平幅は、w= (1 + h/py)(3px/N)と求まる。この場合の三次元画素の水平表示方向に対する最大光強度を図8(B)に示す。図8(C)は、台形の重なりが足りない場合で、(1/2)htanθ + w = pytanθより、w = [1-(1/2)(h/py)](3px/N)と求まる。この場合の三次元画素の水平表示方向に対する最大光強度を図8(D)に示す。以上より、水平表示方向による光強度の変化が50%以下になるためには色画素の水平幅が、
【数10】
JP0003885077B2_000013t.gif
を満たす必要があることがわかる。理想的な色画素の幅3px/Nに対して、1-(1/2)(h/py)倍から1 + (h/py)倍までの許容範囲がある。特に、h/py が大きいほど、すなわち、色画素の垂直幅hが大きいほど、色画素の水平幅wに対する許容範囲が大きくなることがわかる。
【0074】
以上より、画素の製造精度を考えると、w = 3px/Nとした場合でも、画素の垂直幅hを大きくして、pyづけることが好ましいことが判明する。
【0075】
同様に考えて、最大強度の変化を20%以下に抑えるための条件を求めると、
【数11】
JP0003885077B2_000014t.gif
のようになる。
【0076】
色画素の水平幅が、w = 3px/Nの場合には、理論的には、水平表示方向による最大光強度の変化は生じない。しかし、実際には、製造誤差などの要因により、これを完全に満たせないことが考えられる。また、w = 3px/Nでない場合には、当然、水平表示方向により最大光強度の変化が生じる。RGBの各色で光強度が最大・最小になる方向が一致しない場合には、水平表示方向により色ずれが生じ、三次元像の色再現性が悪化する。たとえば、白色を表示した場合には、水平表示方向によって色がRGBに変化することになる。色の異なる色画素間では、シリンドリカルレンズ中心軸に対する水平距離は、pxあるいは2pxだけ異なった値になる。一方、同色の色画素では、シリンドリカルレンズ中心軸に対する色画素の水平距離は、等間隔pytanθ = (3/N)pxで変化する。同色の色画素の位置は垂直方向にN / 3画素分変化すると、水平距離がpxだけ変化し、2N / 3 画素分変化すると、水平距離が2pxだけ変化することになる。したがって、Nを3の倍数とすると、RGBの色画素が持つ水平距離を完全に一致させることができる。よって、水平表示方向による光強度の変化をRGBの三原色で同一にでき、水平表示方向による色ずれをなくすことができる。
【0077】
N = 3とした場合には、w = pxとなる。色画素間に遮光部があることを考えると、厳密にこの関係を満たすことは困難である。そこで、N = 6とした場合の例を図9に示す。図9では、レンチキュラーシートの傾きは、θ = tan-1(px/2py)となる。また、w = px/2として、水平表示方向による最大強度の変動をなくす設計になっている。さらに、Nを3の倍数とすることで、製造精度に起因して、w = px/2が厳密に満たされない場合に生じる色ずれを抑止する設計になっている。図9において、M = 6として、一つの三次元画素を108個の色画素で構成し、36方向の水平表示方向を実現している。
【0078】
図10は、N = 4の場合の設計例である。この場合、レンチキュラーシートの傾き角θは、θ = tan-1(3px/4py)となる。また、w = 3px/4として、水平表示方向による最大強度の変動をなくす設計になっている。図10では、M = 4として、一つの三次元画素を48個の色画素で構成し、16方向の水平表示方向を実現している。
【0079】
以上の説明では、色画素の形状を長方形で説明した。しかし、実際の色画素の形状は、長方形の一部が欠けた形状であったり、マルチドメイン構造のように変形した画素構造が用いられることがある。そこで、色画素が任意の形状の場合について、以下に詳述する。
【0080】
図11(A)は、任意形状の画素と出射光量分布を示す図であり、一方、図11(B)は、一画素が担う水平表示方向に対する最大光強度を示す図である。色画素から出射される最大光強度の分布を関数f(s,t)で表す。図11(A)において、二次元ディスプレイの発光面上で、シリンドリカルレンズ中心軸と平行な直線を考える。この平行線上から発せられる光は、シリンドリカルレンズ通過後に同一の水平方向に進む。したがって、画素中の平行線上にある各点の光強度の和で、対応する水平表示方向φへの最大光強度が求められる。シリンドリカルレンズ中心軸8と平行で水平距離がxの直線は、s = -t tanθ + x で表されるので、この直線上の画素の強度の和は、
【数12】
JP0003885077B2_000015t.gif
で与えられる。図11(B)はこれを例示したものである。同色の色画素のシリンドリカルレンズ中心軸からの水平距離は等間隔pytanθで変化する。よって、三次元画素全体の水平表示方向に対する光強度は、
【数13】
JP0003885077B2_000016t.gif
で与えられる。
【0081】
図12は、任意形状色画素を用いた三次元画素の水平表示方向に対する光強度を示す図である。図12中では、点線で示す各画素からの光強度を足し合わせることで、実線で示す三次元画素の水平表示方向に対する光強度が求まる。図12に示すように、実線で示す、前記足し合わせの光強度Is(x)が、水平表示方向に対して略一定になるように、画素構造、レンチキュラーシートの傾きθを決めることが望ましい。
【0082】
(本発明の第二の態様)
以上の説明では、RGBの三原色に対応した3種類の色画素がストライプ配置の場合を利用して説明した。色画素の配置としては、同色の色画素が斜め方向にずれていく斜め色画素配置も考えられ、かかる配置を用いて、本発明の第二の態様を説明する。
【0083】
図13は、本発明の第二の態様における、斜め色画素配置と、シリンドリカルレンズ中心軸から色画素中心までの水平距離を示す。同色の色画素について考えると、垂直位置が1画素分異なる直近の色画素の間で、水平距離がpx - pytanθだけ変化する。N画素分の垂直位置の違いに対応する水平距離の変化N(px - pytanθ)が、同じ水平線上にある同色の色画素の水平距離の変化3pxと等しくなると、一つの三次元画素内の同色の色画素の水平距離が等間隔に変化することになる。したがって、N(px - pytanθ) = 3pxより、レンチキュラーシートの傾き角θは、θ = tan-1[(1-3/N)px/py]と求まる。
【0084】
以上のように、ストライプ配置の場合は、同色の色画素の水平距離は等間隔pxtanθで変化したのに対し、斜め色画素配置では、等間隔px - pytanθで変化する。一方、レンチキュラーシートの傾きは、ストライプ配置の場合は、θ = tan-1(3px/Npy)であったのに対し、斜め色画素配置では、θ = tan-1[(1-3/N)px/py]である。
【0085】
以上の2点について変更を行うことで、ストライプ配置の場合に得られた結果を、斜め色画素配置の場合にも適用することが可能となる。
【0086】
そこで、三次元画素の水平表示方向による最大強度が一定になるための条件を求めると、以下のようになる。色画素が長方形の場合は、一つの色画素が担う水平表示方向に対する光強度は、ストライプ配置の場合と同様に表すことができ、図6で示される分布を有する。ただし、同色の色画素がシリンドリカルレンズ中心軸に対して持つ水平距離は、等間隔
px - pytanθで変化するので、図7のpytanθをpx - pytanθで置換して考える必要があり、htanθ ≦ w の場合には、w = px - pytanθのときに達成できることが分かる。したがって、w = 3px/Nであればよいことが分かる。また、htanθ ≧ w の場合には、htanθ = px - pytanθのとき達成されることが分かる。したがって、h = 3py/(N-3)であればよいことが分かる。
【0087】
また、水平表示方向による光強度の変化が50%以下になるために、色画素の水平幅が、
【数14】
JP0003885077B2_000017t.gif
を満たす必要がある。そして、最大強度の変化を、20%以下に抑止するための条件は、
【数15】
JP0003885077B2_000018t.gif
のようになる。
【0088】
また、一つの三次元画素を構成する垂直方向の色画素数Nは、ストライプ配置の場合と同様な理由で、3の倍数であることが好ましい。同様に、Npy ≦ 3Mpx であることが望ましい。
【0089】
以上より、斜め色画素配置の場合における、本発明の好ましい実施形態の例を図14に示す。図14に示す本発明の第二の態様における一つの実施形態では、N = 6として、w = px/2とした。図14に示す実施形態では、レンチキュラーシートの傾き角は、
θ = tan-1(px/2py)となる。また、w = px/2として、水平表示方向による最大強度の変動をなくす設計になっている。さらに、Nを3の倍数とすることで、製造精度に起因してw = px/2が厳密に満たされない場合に生じる色ずれを抑える設計になっている。図14では、M = 6として、一つの三次元画素を108個の色画素で構成し、36方向の水平表示方向を実現している。
【0090】
図15は、N = 4の場合の設計例である。この場合、レンチキュラーシートの傾き角は、
θ = tan-1(px/4py)となる。また、w = 3px/4として、水平表示方向による最大強度の変動をなくす設計になっている。また、図15では、M = 4として、一つの三次元画素を48個の色画素で構成し、16方向の水平表示方向を実現している。
【0091】
本発明による第二の態様において、色画素が長方形ではなく、任意形状の場合も、ストライプ配置の場合と同様に考えることが可能である。任意形状の場合、同色の色画素の水平距離は、等間隔px - pytanθで変化するので、三次元画素全体の水平表示方向に対する光強度は、
【数16】
JP0003885077B2_000019t.gif
により表現される。よって、Is(x)が略一定になるように、画素構造、レンチキュラーシートの傾き角を決めることが望ましい。
【0092】
以上の説明では、レンチキュラーシートを傾ける方法について説明したが、当業者であれば、レンチキュラーシートを傾ける代わりに、二次元ディスプレイを傾けることでも、同様の効果を得ることができることは容易に理解される。
【0093】
本発明の第一および第二の態様の説明では、本発明に係る構成方法は、レンチキュラーシートを用いて説明したが、レンチキュラーシートに代えて、パララックスバリアを用いても実現できることは、当業者には容易に理解できる。ここで、パララックスバリアとは、スリットをその長さ方向と直交方向に並べてものである。この場合、パララックスバリアは二次元ディスプレイの観察者側のみならず、観察者と反対側、すなわち、ディスプレイ表示面とバックライトの間に設置することもできる。
【0094】
また、以上の説明では、三次元画素を構成する色画素群の真上に対応するように、シリンドリカルレンズが配置された構成を利用して説明した。つまり、三次元画素の水平ピッチとレンチキュラーシートを構成するシリンドリカルレンズの水平ピッチが等しい構成を用いて説明した。しかし、この二つのピッチが等しくしない場合であっても、本発明は適用可能である。これは、三次元スクリーンからの特定の観察距離において、三次元像の水平観察範囲を広げるために、広く用いられる手法である。
【0095】
(本発明の第三の態様)
本発明の第三の態様による三次元ディスプレイは、その基本的構成態様は、本発明の第一の態様と同様である。そのため、二次元ディスプレイの色画素の水平方向のピッチ、垂直方向のピッチ、シリンドリカルレンズの中心軸の傾きθ、シリンドリカルレンズの横列および縦列における色画素群の個数における関係式は、本発明の第一の態様と同じである。
【0096】
しかし、本発明の第三の態様による三次元ディスプレイ50は、図16に示すように、二次元ディスプレイ1とレンチキュラーシート3との間に配設された開口アレイ30を備える。ここで、本発明に用いる開口アレイは、以下のものに限定されるわけではないが、クロムマスクなどの金属膜を用いることができる。あるいは、液晶ディスプレイパネルで色画素間の配線部の遮光に用いられる光吸収材料で作られたブラックストライプを、開口アレイに用いることができる。なお、二次元ディスプレイで用いられるブラックストライプでは、開口部にRGBの色フィルターが形成されているが、本発明で用いられる開口アレイには色フィルターは必要ではない。また、図16に示す開口アレイ30と二次元ディスプレイとの間には、二次元ディスプレイ1と前記開口アレイ30とを平行に保持し、二次元ディスプレイ1と開口アレイ30との距離を一定に維持するため、ガラス基板やアクリル等のプラスチック板を介在されることが好ましい。
【0097】
図17は、本発明の第三の態様において用いる二次元ディスプレイ1と開口アレイ30との関係を説明する図である。なお、図17では、二次元ディスプレイ1の色画素の形状をくの字型で説明するが、本発明はこの形状に限定されるものではない。図17に示す二次元ディスプレイ1の色画素の水平方向と垂直方向のピッチを、それぞれ、px、pyとする。一方、本発明の第三の態様において用いる開口アレイ20の各開口部22の水平方向と垂直方向のピッチを、それぞれ、px'、py'とし、その開口部の水平幅と垂直幅を、それぞれ、w'とh'とする。
【0098】
そして、px、py、px'およびpy'との間に、以下の関係式があるとき、色画素を介して出射される光は、開口アレイを通じて、三次元ディスプレイにおける最適な形状を有する仮想的な色画素を生成させることができる。
px = px'、py = py'であり、θ = tan-1(3px'/Npy') である。
【0099】
なお、θ = tan-1(3px'/Npy') の関係式の意義は、本発明の第一の態様で説明したとおりである。
【0100】
このように、前述の関係式を有する開口部を備える開口アレイを用い、その開口形状を最適な形状とすることで、二次元ディスプレイからの各光RGBの色画素の最適な形状とすることで、水平表示方向に対する光強度の変化と色ムラの抑止が実現される。
【0101】
図18は、本発明の第三の態様と、後述する第四の態様で用いることができる二次元ディスプレイの色画素構造の概略図を示す。ここで、図18に例示する色画素構造は、上下左右に分割されており、いわゆるマルチドメイン構造を有し、RGBは、垂直方向に同色の色画素を有する。かかる色画素構造でも、本発明の第三の態様および後述する第四の態様にて適用可能である。
【0102】
図19は、本発明の第三の態様の変形である、拡散板35を、開口アレイ30と二次元ディスプレイとの間に配設させた、三次元ディスプレイ50の概略断面図である。なお、開口アレイ30と拡散板35との間と、二次元ディスプレイ1と前記拡散板35との間は、二次元ディスプレイ1と、前記拡散板35および前記開口アレイの平行度を保持し、各部材1、35、30との距離を一定に維持するために、ガラス基板やアクリル等のプラスチック板を介在させることが好ましい。図19に例示する構成は、二次元ディスプレイ1の色画素から発せられる光線の拡散性が低い場合、開口アレイ30の開口部に十分な光強度分布が得られないとき、二次元ディスプレイの色画素と開口アレイの間に拡散板を配設して、光線の拡散性を調整することができる。
【0103】
(本発明の第四の態様)
本発明の第四の態様による三次元ディスプレイは、その基本的構成態様は、本発明の第二の態様と同様である。そのため、二次元ディスプレイの色画素の水平方向のピッチ、垂直方向のピッチ、シリンドリカルレンズの中心軸の傾きθ、シリンドリカルレンズの横列および縦列における色画素群の個数における関係式は、本発明の第二の態様と同じである。
【0104】
しかし、本発明の第四の態様による三次元ディスプレイ50は、図16に示すように、二次元ディスプレイ1とレンチキュラーシート3との間に配設された開口アレイ30を備える。ここで、本発明に用いる開口アレイは、本発明の第三の態様にて説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0105】
図17は、本発明の第四の態様において用いる二次元ディスプレイ1と開口アレイ30との関係を説明する図である。なお、図17では、二次元ディスプレイ1の色画素の形状をくの字型で説明するが、本発明はこの形状に限定されるものではない。図17に示す二次元ディスプレイ1の色画素の水平方向と垂直方向のピッチを、それぞれ、px、pyとする。一方、本発明の第四の態様において用いる開口アレイ20の各開口部22の水平方向と垂直方向のピッチを、それぞれ、px'、py'とし、その開口部の水平幅と垂直幅を、それぞれ、w'とh'とする。
【0106】
そして、px、py、px'およびpy'との間に、以下の関係式があるとき、色画素を介して出射される光は、開口アレイを通じて、三次元ディスプレイにおける最適な形状を有する仮想的な色画素を生成させることができる。
px = px'、py = py'であり、θ = tan-1[(1-3/N)px'/py'] である。
【0107】
なお、 θ = tan-1[(1-3/N)px'/py']の関係式の意義は、本発明の第二の態様で説明したとおりである。
【0108】
このように、前述の関係式を有する開口部を備える開口アレイを用いて、二次元ディスプレイからの各光RGBの色画素の最適な形状とすることで、水平表示方向に対する光強度の変化と色ムラの抑止が実現される。
【0109】
図19は、本発明の第四の態様の変形である、拡散板35を、開口アレイ30と二次元ディスプレイとの間に配設させた、三次元ディスプレイ50の概略断面図である。図23に例示する構成は、二次元ディスプレイ1の色画素から発せられる光線の拡散性が低い場合、開口アレイ30の開口部に十分な光強度分布が得られないとき、二次元ディスプレイの色画素と開口アレイの間に拡散板を配設して、光線の拡散性を調整することができる。
【実施例】
【0110】
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
【0111】
二次元ディスプレイとしては、解像度数が、3,840 x 2,400の液晶ディスプレイパネル(IBM社製T221)を用いた。色画素は、RGB画素が水平方向に配置されるストライプ構造を有しており、色画素の画素数は、11,520 x 2,400 画素である。色画素のピッチは、px = 0.0415mmで、py = 0.1245mmである。
【0112】
図20は、本発明による実施例に用いた液晶ディスプレイパネルの画素構造の概略図を示す。これは、水平方向の6個分、垂直方向に3個分の色画素を示している。色画素は上下左右に分割されたマルチドメイン構造を有している。
【0113】
図20に示すように、色画素は長方形ではないため、前記の式(I)を用いて、三次元画素に用いる垂直画素数を N = 6に決定した。これは、図20において、その水平幅wは、水平ピッチpxの約半分であることからも妥当であることがわかる。
【0114】
図21は、本発明による実施例における、(A)一つの色画素の水平表示方向に対する強度分布と、(B)一つの三次元画素の水平表示方向に対する強度分布の一部を示す。画素構造に起因した若干の強度ムラがあるものの、略一定な強度分布が得られている。
【0115】
図22は、本発明による、N = 6として設計した三次元ディスプレイの仕様を示す。図22において、タイプIとは水平表示方向数を重視した設計であり、一方、タイプIIは、三次元画素数を重視した設計である。
【0116】
次に、本発明によるタイプIの仕様に基づき、三次元ディスプレイを試作した。M = 12である、すなわち、水平方向に36個で、垂直方向に6個の合計216個の色画素を用いて、一つの三次元画素を構成した。水平表示方向は72方向である。図23は、三次元ディスプレイで得られた三次元像の写真を示す。図23に示す写真は、数多の異なる水平方向から撮影した写真を示す。図23に示すように、本発明による三次元像では運動視差が観測され、その画像の強度ムラがほとんど観測されていないことが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1(A)は、従来技術による三次元表示によるカラー表示において、二次元ディスプレイとレンチキュラーシートとの間の関係を図式的に図解する平面図である。図1(B)は、特定の水平方向に表示される三次元画素の色を示す。
【図2】三次元表示における水平表示方向と網膜像との関係を図示的に図解する水平断面図である。
【図3】図3は、本発明の第一の態様における三次元画素の構成を概略的に示す図である。
【図4】図4(A)は、三次元画素から出射される光線の水平表示方向φを説明するための図である。図4(B)は、図4(A)に示す平面21の一部を拡大した模式図である。
【図5】図5は、本発明の第一の態様における、同色の色画素とシリンドリカルレンズの関係を示す図である。
【図6】図6は、本発明において、色画素の形状を長方形とした場合、水平表示方向と最大光強度の関係を示す。図6(A)は、htanθ ≦ wの場合を示し、図6(B)は、htanθ ≧ wの場合を示す。
【図7】図7は、本発明において、一つの三次元画素の水平表示方向に対する最大光強度が一定になる条件を示す図である。ここで、水平表示方向によって、最大光強度が変化しないとは、図7(A)に示すように、一つの色画素に対する強度分布を表す台形の斜辺部が対向する台形の斜辺部分と完全に重なる場合に満足される。
【図8】図8は、一つの三次元画素の水平表示方向に対する光強度変化が50%になる条件を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第一の態様における一つの実施形態において、N = 6とした場合の三次元画素の構成を概略的に示す図である。
【図10】図10は、本発明の第一の態様における別の実施態様において、N = 4とした場合の三次元画素の構成を概略的に示す図である。
【図11】図11は、任意形状の画素の(A)出射光量分布と、(B)水平表示方向に対する最大光強度を示す図である。
【図12】図12は、本発明において、任意形状色画素を用いた三次元画素の水平表示方向に対する光強度を示す図である。
【図13】図13は、本発明の第二の態様における、斜め色画素配置と、シリンドリカルレンズ中心軸から色画素中心までの水平距離との関係を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第二の態様における一つの実施形態である、N = 6とした場合の三次元画素の構成を示す。
【図15】図15は、本発明の第二の態様における別の実施形態である、N = 4の場合の三次元画素の構成を示す。
【図16】図16は、本発明の第三および第四の態様における三次元ディスプレイの概略断面図を示す。
【図17】図17は、本発明の第三および第四の態様における二次元ディスプレイと開口アレイとの間の関係を説明する図である。なお、図中のハッチング部は、遮光部を示す。
【図18】図18は、本発明に利用される二次元ディスプレイの色画素構造の一例を示す概略断面図である。なお、図18中のRGBは、垂直方向に同色の色画素を有する。
【図19】図19は、本発明の第三および第四の態様による三次元ディスプレイにおいて、拡散板を配設した三次元ディスプレイの概略断面図を示す。
【図20】図20は、本発明による実施例に用いた色画素構造の概略図を示す。なお、図13中のBGRは、垂直方向に同色の色画素を有する。
【図21】図21は、本発明による実施例における、(A)一つの色画素の水平表示方向に対する強度分布と、(B)一つの三次元画素の水平表示方向に対する強度分布の一部を示す。
【図22】図22は、本発明による、N = 6として設計した三次元ディスプレイの仕様を示す。
【図23】図23は、本発明によるタイプIの仕様に基づき試作した三次元ディスプレイで得られた三次元像の写真を示す。
【符号の説明】
【0118】
1…二次元ディスプレイ、2…色画素、3…レンチキュラーシート、4…シリンドリカルレンズ、5…遮光部、6…三次元スクリーン、7…眼、8…シリンドリカルレンズ中心軸、9…色画素の垂直配列方向、10…一つの三次元画素を構成する色画素群、20、50…三次元ディスプレイ、21…三次元ディスプレイ20の表示面に対して垂直な一定の平面、30…開口アレイ、35…拡散板



図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22