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明細書 :煉瓦壁の施工計画方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4173135号 (P4173135)
登録日 平成20年8月22日(2008.8.22)
発行日 平成20年10月29日(2008.10.29)
発明の名称または考案の名称 煉瓦壁の施工計画方法
国際特許分類 E04B   2/02        (2006.01)
G06F  17/50        (2006.01)
FI E04B 2/02 C
E04C 1/10 ESWN
G06F 17/50 680B
請求項の数または発明の数 16
全頁数 19
出願番号 特願2004-524321 (P2004-524321)
出願日 平成15年7月31日(2003.7.31)
国際出願番号 PCT/JP2003/009730
国際公開番号 WO2004/011734
国際公開日 平成16年2月5日(2004.2.5)
優先権出願番号 2002223353
優先日 平成14年7月31日(2002.7.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年2月16日(2006.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】松藤泰典
個別代理人の代理人 【識別番号】100094835、【弁理士】、【氏名又は名称】島添 芳彦
審査官 【審査官】新田 亮二
参考文献・文献 特開2002-366607(JP,A)
調査した分野 E04B 2/02
G06F 17/50
E04G 21/00
E04C 1/10
特許請求の範囲 【請求項1】
煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁の施工計画方法において、
前記煉瓦は、縦横比1:2の平面寸法比を有し、前記ナットの外径よりも小さい直径を有するボルト挿通孔が、前記煉瓦の第1正方形半部の中心を垂直に貫通し、ナットを収容可能な中空部が、前記煉瓦の第2正方形半部の中心を垂直に貫通し、前記ボルトは、上下2段の煉瓦を締結可能な全長を有し、
前記煉瓦の正方形半部の平面寸法に実質的に一致する多数の正方形グリッド単位を構成する格子状のXY座標を規定し、X方向及Y方向に交互に奇数段締付グリッド(α)及び偶数段締付グリッド(β)を設定し、
煉瓦壁の端部を割り当てたXY座標上の任意のグリッド単位を基準グリッド(γ)として設定し、
奇数段の煉瓦割付において、第1正方形半部が奇数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を前記基準グリッド上に位置決めし、該基準グリッドの煉瓦から奇数段の各煉瓦を順次配列し、偶数段の煉瓦割付において、第1正方形半部が偶数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を前記基準グリッド上に位置決めし、該基準グリッドの煉瓦から偶数段の各煉瓦を順次配列し、
奇数段煉瓦上のプレート割付において、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が前記奇数段締付グリッドに位置するように、該金属プレートを配列し、偶数段煉瓦上のプレート割付において、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が前記偶数段締付グリッドに位置するように、該金属プレートを配列することを特徴とする煉瓦壁施工計画方法。
【請求項2】
前記金属プレートは、前記正方形半部の平面寸法だけ相互離間した2乃至5個の前記ボルト穴を有することを特徴とする請求項1に記載の煉瓦壁施工計画方法。
【請求項3】
前記奇数段締付グリッドに位置する前記金属プレートのボルト穴に対して、奇数段煉瓦の前記ナットを割り当て、前記偶数段締付グリッドに位置する前記金属プレートのボルト穴に対して、偶数段煉瓦の前記ナットを割り当てることを特徴とする請求項1又は2に記載の煉瓦壁施工計画方法。
【請求項4】
煉瓦壁の角部を前記グリッドに割り当てることにより、前記基準グリッド(γ)を設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の煉瓦壁施工計画方法。
【請求項5】
煉瓦壁に沿って位置するグリッド数より前記煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量を積算することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の煉瓦壁施工計画方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載された煉瓦壁施工計画方法により決定した煉瓦割付及びプレート割付に従って施工され、前記ボルト及びナットを前記ボルト挿通孔及び前記中空部に収容したことを特徴とする建築物の煉瓦壁。
【請求項7】
煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁に関し、煉瓦壁施工用の煉瓦割付図を作成するようにコンピュータを機能させるための煉瓦割付用プログラムであって、
煉瓦の正方形半部の平面寸法に相応する正方形グリッドにより構成した格子状のXY座標を画面表示するグリッド座標表示手段、
XY座標に入力された建築設計図の壁体情報及び開口情報に基づき、前記グリッドに適合した奇数段及び偶数段の煉瓦割付モデルデータを生成する煉瓦割付モデル生成手段、
前記煉瓦割付モデルデータより煉瓦割付図データを自動生成する煉瓦割付図データ生成手段、及び
前記煉瓦割付図データを施工用図面として出力する図面データ出力手段としてコンピュータを機能させるための煉瓦割付用プログラム。
【請求項8】
前記煉瓦割付モデルデータより前記ボルト、ナット及び金属プレートの割付図データを自動生成するボルト、ナット及び金属プレート割付用の割付図データ生成手段として前記コンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項7に記載の煉瓦割付用プログラム。
【請求項9】
前記グリッド座標表示手段は、前記建築設計図の平面図を前記XY座標上に画面表示するように前記コンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項7又は8に記載の煉瓦割付用プログラム。
【請求項10】
前記煉瓦割付モデルデータより前記煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量を集計する資材数量集計手段として前記コンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の煉瓦割付用プログラム。
【請求項11】
前記煉瓦割付図データ生成手段における煉瓦割付図データの自動生成の規則に適応しない特殊部位を表示し、該特殊部位における前記煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの割付をマニュアル修正又はマニュアル入力可能にする個別編集手段として、前記コンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項8に記載の煉瓦割付用プログラム。
【請求項12】
煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁に関し、煉瓦壁施工用の煉瓦割付図を作成する煉瓦割付システムであって、
煉瓦の正方形半部の平面寸法に相応する正方形グリッドにより構成した格子状のXY座標を画面表示するための表示装置と、
建築設計図の壁体情報及び開口情報を前記XY座標に入力するための入力装置と、
前記グリッドに適合した奇数段及び偶数段の煉瓦割付モデルデータを生成するとともに、前記煉瓦割付モデルデータより煉瓦割付図データを自動生成するデータ処理装置と、
前記煉瓦割付モデルデータ及び煉瓦割付図データを記憶する記憶装置と、
前記煉瓦割付図データを施工用図面として出力するための出力装置とを有することを特徴とする煉瓦割付システム。
【請求項13】
前記データ処理装置は、前記煉瓦割付モデルデータより前記ボルト、ナット及び金属プレートの割付図データを自動生成し、
前記記憶装置は、ボルト、ナット及び金属プレートの割付図データを記憶し、
前記出力装置は、ボルト、ナット及び金属プレートの割付図データを施工用図面として出力することを特徴とする請求項12に記載の煉瓦割付システム。
【請求項14】
前記データ処理装置は、前記煉瓦割付モデルデータより前記煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量を集計し、
前記記憶装置は、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量を記憶し、
前記出力装置は、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量データを出力することを特徴とする請求項12又は13に記載の煉瓦割付システム。
【請求項15】
前記データ処理装置は、X方向及Y方向に交互に奇数段締付グリッド(α)及び偶数段締付グリッド(β)を設定し、煉瓦壁の端部を割り当てたXY座標上のグリッド単位を基準グリッド(γ)として設定し、ボルト挿通孔を有する煉瓦の第1正方形半部が奇数段締付グリッドに整合するように基準グリッドの煉瓦から奇数段の各煉瓦を順次配列し、前記第1正方形半部が偶数段締付グリッドに整合するように基準グリッドの煉瓦から偶数段の各煉瓦を順次配列することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の煉瓦割付システム。
【請求項16】
前記データ処理装置は、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が奇数段締付グリッドに位置するように奇数段の金属プレートを配列するとともに、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が偶数段締付グリッドに位置するように偶数段の金属プレートを配列することを特徴とする請求項13又は14に記載の煉瓦割付システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】

本発明は、煉瓦壁の施工計画方法に関するものであり、より詳細には、プレストレス下に上下の煉瓦を一体化する乾式煉瓦組積構法の煉瓦壁を施工するための施工計画方法に関するものである。
【背景技術】

木造、鉄筋コンクリート構造、鉄骨構造、ブロック組積構造等の各種の建築構法が知られている。建築構法の一種として、煉瓦(レンガ)を組積して壁体を構築する煉瓦組積構法が知られている。粘土を高温焼成してなる煉瓦は、テクスチュア、重厚感、風合い及び色彩等の意匠的又は美観的効果において高い評価を受けているばかりでなく、耐久性、遮音性、耐火性及び蓄熱性等の物理的性能においても優れており、世界各国で古くから親しまれ、建築物の壁材として広く使用されてきた。
本発明者は、乾式工法の煉瓦組積構法として、DUP(Distributed and Unbonded Prestress:分散型アンボンドプレストレス)工法を提案している。この構法は、金属ボルトの締結力によりプレストレスを導入しながら煉瓦を多層に積層する耐震性煉瓦組積構法として知られており、その実用化研究は、現在も継続的に実施されている(特願平4-51893号(特開平5-255982号)、特願平5-91674号(特開平6-299621号)、特願平6-20659号(特開平7-229215号)、特願平7-172603号(特開平9-21199号)、特願平8-43014号(特開平9-235801号))。
このような煉瓦組積構法に関し、本発明者は、ボルト挿通孔、大径中空部及び端面半円溝を煉瓦の所定位置に形成し、共通の煉瓦により、複雑且つ多様な壁体各部を構築するようにした煉瓦組積構法を特願2000-270219号(特開2002-81152号公報)及び特願2002-61227号において提案している。
上記乾式工法の煉瓦組積構法は、ボルト・ナットの締結力により煉瓦壁を構築する乾式工法であり、従来の湿式工法の煉瓦組積工程と対比すると、工期全体を大幅に短縮するなど、所期の目的を達成したが、反面、金属プレートを介して各煉瓦に応力伝達したボルト・ナット締結トルクに壁体耐力を依存した構造を有することから、煉瓦の割付のみならず、煉瓦の各段毎にプレート及びボルト・ナットの割付を最適に計画する必要がある。このため、平面的及び立面的に煉瓦、プレート及びボルト・ナットの割付及び配列等を施工前又は施工時に的確且つ迅速に決定し、煉瓦割付立面図、各段毎の煉瓦割付平面図及びプレート割付平面図等を作成しなければならない。しかしながら、DUP工法の煉瓦、金属プレート、ボルト及びナットの配置を規則化し且つ最適化する割付則が未だ確立しておらず、これを確立する施工計画法の開発が要望される。
また、建築物の壁は、規則的且つ直線的な壁体ばかりでなく、壁体端部、壁体コーナー部、壁体接続部、建具開口部、間仕切壁出隅部・入隅部等の特異形状部分や、不規則な変形部分を含むことから、このような変則的部分を考慮し、多種多様のプレートを製作する必要が生じる。このため、プレートを予め用意し又は在庫し難い事情があり、建築現場の工期が、プレート製作日数及びその発注時期等により影響を受ける懸念がある。
更には、従来の煉瓦組積構法では、煉瓦の縦目地部分にもボルト・ナットを配置していたので、ボルト・ナットを外気から確実に遮断するとともに、ボルト・ナット及びその周辺構造に確実に防錆措置、耐候措置、耐火処理等を施す必要が生じる。このような付加的な措置を省略し又は簡略化するには、ボルト・ナットを縦目地部に配置せず、完全に煉瓦内に収容し、しかも、ボルト・ナットの締付力の効果を均等に壁面全体に分散して、構造上の弱点を回避し得る設計を採用することが望まれる。しかしながら、このような設計は、前述の如く、煉瓦割付平面図及びプレート割付平面図を煉瓦の各段毎に作成する必要がある煉瓦組積構法にあっては、容易に実行し難く、従って、このような設計を簡易・迅速且つ規則的に実施可能にする施工計画法の開発が要望される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、DUP工法の煉瓦壁の施工計画方法において、煉瓦、プレート及びボルト・ナットの割付等を施工前又は施工時に的確、簡易迅速且つ規則的に決定し、規格化した数種のプレートにより任意の煉瓦壁を構築可能にするとともに、ボルト・ナットを煉瓦内に収容し且つボルト・ナットの締付力の効果を壁面全体に均等に分散することを可能にする煉瓦壁の施工計画方法を提供することにある。
本発明は又、このような施工計画方法を実現する煉瓦割付用プログラム及び煉瓦割付システムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】

図1は、DUP工法の煉瓦壁を備えた住宅建築物の概略断面図である。
図2は、外壁を構成する煉瓦の平面図、正面図、I-I線断面図及び斜視図である。
図3は、他の形態の外壁煉瓦を示す平面図、正面図、II-II線断面図及び斜視図である。
図4は、煉瓦の組積過程を示す縦断面図である。
図5及び図6は、図4に示す組積過程により組積された煉瓦壁の構造を示す縦断面図、斜視図及び立面図である。
図7は、図5及び図6に示す煉瓦壁の上面に金属プレートを積層した状態を示す斜視図と、偶数段及び奇数段の煉瓦の各横断面図である。
図8は、煉瓦壁のコーナー部の煉瓦配列を例示する斜視図である。
図9は、煉瓦壁のT型接続部の煉瓦配列を例示する斜視図である。
図10は、建具開口部廻りの煉瓦配列を例示する斜視図である。
図11は、壁体接合部及び建具開口部を備えた煉瓦壁における2穴プレートの配列を例示する平面図である。
図12は、壁体接合部及び建具開口部を備えた煉瓦壁における3穴プレートの配列を例示する平面図である。
図13は、奇数段締付けグリッド及び偶数段締付けグリッドの各グリッドマスを縦横に交互に配列したグリッド平面を示す平面図及び部分拡大平面図である。
図14は、奇数段に位置する煉瓦及び金属プレートを割付ける過程を例示するグリッド平面図である。
図15は、偶数段に位置する煉瓦及び金属プレートを割付ける過程を例示するグリッド平面図である。
図16は、建築物全体の煉瓦割付、プレート割付及びボルト配置を規則的に設定する作業工程を示すフロー図である。
図17及び図18は、本発明の施工計画方法を実行する煉瓦割付システムの論理構成図及びシステム構成図であり、図19は、この煉瓦割付システムにより実行される処理を示すフロー図である。
【発明の開示】

本発明は、上記目的を達成すべく、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁の施工計画方法において、
前記煉瓦は、縦横比1:2の平面寸法比を有し、前記ナットの外径よりも小さい直径を有するボルト挿通孔が、前記煉瓦の第1正方形半部の中心を垂直に貫通し、ナットを収容可能な中空部が、前記煉瓦の第2正方形半部の中心を垂直に貫通し、前記ボルトは、上下2段の煉瓦を締結可能な全長を有し、
前記煉瓦の正方形半部の平面寸法に実質的に一致する多数の正方形グリッド単位を構成する格子状のXY座標を規定し、X方向及Y方向に交互に奇数段締付グリッド(α)及び偶数段締付グリッド(β)を設定し、
煉瓦壁の端部を割り当てたXY座標上の任意のグリッド単位を基準グリッド(γ)として設定し、
奇数段の煉瓦割付において、第1正方形半部が奇数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を前記基準グリッド上に位置決めし、該基準グリッドの煉瓦から奇数段の各煉瓦を順次配列し、偶数段の煉瓦割付において、第1正方形半部が偶数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を前記基準グリッド上に位置決めし、該基準グリッドの煉瓦から偶数段の各煉瓦を順次配列し、
奇数段煉瓦上のプレート割付において、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が前記奇数段締付グリッドに位置するように、該金属プレートを配列し、偶数段煉瓦上のプレート割付において、前記金属プレートの少なくとも1つのボルト穴が前記偶数段締付グリッドに位置するように、該金属プレートを配列することを特徴とする煉瓦壁の施工計画方法を提供する。
上記DUP工法の煉瓦壁においては、煉瓦は、特有の平面寸法比(縦横比1:2)を有する。煉瓦の各半部の中心には、ボルト挿通孔及び中空部の一方が配置される。DUP工法の煉瓦壁では、上下2段の煉瓦を締結可能な全長にボルト長を設定し、ナット締結位置を立面的に交互に規則的に位置決めすることができる。煉瓦の半部を平面的にグリッド(grid)の一単位(unit square)として認識した場合、このようなDUP工法の規則性及び特殊性より、奇数段の煉瓦層のグリッド単位がナット締結位置を示すとき、その直上又は直下に位置する偶数段の煉瓦層のグリッド単位は、ナットの非締結位置を示す(その逆も又、成立する)。従って、グリッド平面を規定し、グリット平面上の任意のグリッドに煉瓦壁の端部(又は角部)を割り当てると、建物全域の煉瓦割付を規則的に決定することができる。しかも、金属プレートのボルト穴は、直下の煉瓦のボルト挿通孔に対応することになるので、各段の煉瓦割付に関連して各段の金属プレートの割付をも規則的に決定することができる。
かくして、上記構成の煉瓦壁施工計画方法によれば、コンピュータ又は電子素子・電子回路等の電子工学技術又は情報処理技術を用いて、煉瓦、プレート及びボルト・ナットの割付を的確、簡易迅速且つ規則的に決定することができる。また、金属プレートの割付をも同様に規則的に行うことができるので、金属プレート自体も、割付規則に相応するように予め規格化することができ、このため、予め製作又は在庫した数種の規格プレートを用いて任意の煉瓦壁を構築することが可能となる。しかも、上記構成の施工計画方法によれば、ボルト・ナットは、煉瓦の目地部に位置することなく、煉瓦内に収容され、外界から確実に遮断されるので、ボルト・ナットの耐久性及び耐火性を向上することができる。更に、ボルト・ナットは、煉瓦壁全域に均等に配置されるので、ボルト・ナットの締付力は、壁面全体に均等に分散する。
他の観点より、本発明は、上記煉瓦壁施工計画方法により設定した煉瓦割付及びプレート割付により施工され、上記ボルト及びナットをボルト挿通孔及び中空部に夫々収容したことを特徴とする建築物の煉瓦壁を提供する。
本発明は又、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁に関し、煉瓦壁施工用の煉瓦割付図を作成するようにコンピュータを機能させるための煉瓦割付用プログラムであって、
煉瓦の正方形半部の平面寸法に相応する正方形グリッドにより構成した格子状のXY座標を画面表示するグリッド座標表示手段、
XY座標に入力された建築設計図の壁体情報及び開口情報に基づき、前記グリッドに適合した奇数段及び偶数段の煉瓦割付モデルデータを生成する煉瓦割付モデル生成手段、
前記煉瓦割付モデルデータより煉瓦割付図データを自動生成する煉瓦割付図データ生成手段、及び
前記煉瓦割付図データを施工用図面として出力する図面データ出力手段としてコンピュータを機能させるための煉瓦割付用プログラムを提供する。
煉瓦割付用プログラムにより制御されるコンピュータは、正方形グリッドを構成する格子状のXY座標を規定し、X方向及Y方向に交互に奇数段締付グリッド(α)及び偶数段締付グリッド(β)を設定する。グリッドの各正方形単位の寸法設定値は、煉瓦の正方形半部の平面寸法に実質的に一致する。好ましくは、XY座標上の任意のグリッドが基準グリッド(γ)として設定される。上記第1正方形半部を奇数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を基準グリッド上に位置決めすることにより、基準グリッドの煉瓦から奇数段の各煉瓦を順次配列することができ、上記第1正方形半部が偶数段締付グリッドに整合するように壁体端部の煉瓦を基準グリッド上に位置決めすることにより、基準グリッドの煉瓦から偶数段の各煉瓦を順次配列することができる。コンピュータは、金属プレートの少なくとも1つのボルト穴を奇数段締付グリッドに位置決めすることにより、奇数段の金属プレートを自動的に割付けることができる。コンピュータは又、金属プレートの少なくとも1つのボルト穴を偶数段締付グリッドに位置決めすることにより、偶数段の金属プレートを自動的に割付けることができる。煉瓦壁に沿って位置するグリッド数に基づいて、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートの数量を自動積算するように上記プログラムを構成しても良い。
本発明は更に、煉瓦、ボルト、ナット及び金属プレートにより構築され、前記ボルト及びナットの締結力によってプレストレス下に煉瓦を一体化する乾式工法の煉瓦壁に関し、煉瓦壁施工用の煉瓦割付図を作成する煉瓦割付システムであって、
煉瓦の正方形半部の平面寸法に相応する正方形グリッドにより構成した格子状のXY座標を画面表示するための表示装置と、
建築設計図の壁体情報及び開口情報を前記XY座標に入力するための入力装置と、
グリッドに適合した奇数段及び偶数段の煉瓦割付モデルデータを生成するとともに、前記煉瓦割付モデルデータより煉瓦割付図データを自動生成するデータ処理装置と、
前記煉瓦割付モデルデータ及び煉瓦割付図データを記憶する記憶装置と、
前記煉瓦割付図データを施工用図面として出力するための出力装置とを有することを特徴とする煉瓦割付システムを提供する。
本発明の好適な実施形態によれば、上記金属プレートは、上記正方形半部の平面寸法だけ相互離間した2乃至5個のボルト穴を有する。金属プレートは、少なくとも2つの煉瓦に跨がるように配置される。奇数段煉瓦のナットが、奇数段締付グリッドに位置する金属プレートのボルト穴に対して割り当てられ、偶数段煉瓦のナットが、偶数段締付グリッドに位置する金属プレートのボルト穴に対して割り当てられる。好ましくは、建築物の角部に位置する煉瓦外壁の角部をXY座標の任意のグリッドに割り当てることにより、上記基準グリッド(γ)が設定される。
【発明を実施するための最良の形態】

以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1は、DUP工法の煉瓦壁(brick wall structure)を備えた住宅建築物の概略断面図である。
建築物は、基礎及び床スラブ1、外壁2、内側壁3、2階床組5、天井6、小屋組4及び屋根材(図示せず)より概ね構成される。外壁2は、基礎及び床スラブ1上に煉瓦10をDUP工法にて組積した煉瓦壁からなり、また、内側壁3は、木造2×4工法に使用される木製パネル部材からなり、基礎及び床スラブ1上に建込まれる。小屋組4は、内側壁3の上端に支持され、屋根材は、小屋組4の上面に施工される。小屋組4の荷重は、鉛直荷重として内側壁3に作用し、内側壁3の耐荷力により支持される。
剪断補強金物7の外端部が、外壁2の最上端部に固定され、内側壁3側に水平に延びる。剪断補強金物7の内端部は、下側に直角に屈曲し、内側壁3の上端部に連結される。小屋組4及び内側壁2に作用する水平荷重(地震力等)は、剪断補強金物7を介して外壁2に伝達し、外壁2の耐震力により支持される。2階床組5及び上階内側壁3は、横架材9によって支持され、中間階剪断補強手段8が、横架材9と外壁2とを応力伝達可能に相互連結する。
図2及び図3は、外壁2を構成する2種類の煉瓦を示す煉瓦単体の平面図、正面図、縦断面図及び斜視図であり、図4、図5、図6及び図7は、煉瓦の組積方法を示す断面図、斜視図及び立面図である。
図2に示す第1煉瓦10Aは、粘土を高温焼成した一体成形品からなり、全体的に直方体形状に形成される。煉瓦10Aの正面及び背面には、隆起部分12が形成され、円形断面且つ垂直な大径中空部20及びボルト挿通孔30が、煉瓦10Aの幅方向に整列配置され、煉瓦10Aを上下方向に貫通する。大径中空部20及びボルト挿通孔30の各中心は、煉瓦10Aの中心線上に位置し、煉瓦10Aの幅(W)方向に均等な相互間隔(b)を隔てており、ボルト挿通孔30は、煉瓦10Aの片側半部(図示左側の半部)の中心に位置し、大径中空部20は、煉瓦10Aの他側半部(図示右側の半部)の中心に位置する。
図3に示す第2煉瓦10Bは、第1煉瓦10Aと同一の素材及び製法により製造された直方体形状の煉瓦であり、第1煉瓦10Aと同じく、中心線上に等間隔に整列配置した円形断面且つ垂直な大径中空部20及びボルト挿通孔30を備える。第1煉瓦10Aと同様、ボルト挿通孔30は、煉瓦10Bの片側半部(図示左側の半部)の中心に位置し、大径中空部20は、煉瓦10Bの他側半部(図示右側の半部)の中心に位置する。煉瓦10Bは、正面、背面、両端面、上面及び底面に隆起部12を夫々有する点において、第1煉瓦10Aと相違する。
煉瓦10A、10B、ボルト挿通孔30及び中空部20の各寸法(単位mm)は、本例において、以下のとおり設定される。
煉瓦の幅W、奥行D、高さH:220×110×85
ボルト挿通孔及び中空部の中心位置a、b:55、55
ボルト挿通孔及び中空部の直径d1、d2:16、40
これらの寸法値より明らかなとおり、煉瓦10A、10Bは、縦横比1:2(平面寸法比)のプロポーションを有し、半部の平面形状は、正方形である。
図4には、煉瓦組積の作業手順が示されている。図4に示す如く、金属プレート50が、煉瓦10の第1段A及び第2段Bの間に介挿され、金属プレート50のボルト穴53は、大径中空部20及びボルト挿通孔30と整列する。2層に積層した煉瓦と同等の高さ(長さ)を有する全螺子ボルト60Aが、中空部20、挿通孔30、ボルト穴53を貫通し、ボルト60Aを螺入可能な長ナット70が、中空部20の中空領域21に配置される。ボルト60Aの下端部は、ナット70に螺入し、締付けられる。
既に組積した煉瓦10(第1段A:第2段B)の上面にプレート50が配置され、丸座金63及びバネ座金62が、ボルト穴53と整合するようにプレート50上に載置される。ボルト60Aは、ボルト穴53、丸座金63及びバネ座金62を貫通して上方に突出し、長ナット70の内螺子71がボルト60Aの上端部に螺着する。
長ナット70をボルト60Bに螺着するにあたって、図4に仮想線で示す専用脱着工具100が使用される。脱着工具100は、携帯可能な駆動部101、ボルト60及び長ナット70に選択的に係合可能なソケット部102、更には、ソケット部102の基端部を駆動部101の回転軸104に一体的に連結可能な連結部103を備える。ソケット部102は、長ナット70を受入れ、駆動部101のトルクを長ナット70に伝達し、長ナット70を螺合方向に回転させる。長ナット70は、ボルト60Aに対して相対回転し、ボルト60Aの上端部に締結される。
引き続く組積工程において、上層の煉瓦10(第3段C)が下層煉瓦B上に更に組積される。長ナット70が中空部20内に収容され、金属プレート50が第3段Cの煉瓦10の上に積層され、更に上層の煉瓦10(第4段D)が金属プレート50上に積層される。ボルト60Bが、最上層煉瓦10(第4段D)のボルト挿通孔30に挿入され、ボルト60Bの下端部が長ナット70内に螺入する。上述の脱着工具100は、ボルト60Bを長ナット70に螺合すべく使用される。即ち、脱着工具100のソケット部102は、ボルト60Bの上端部を受入れ、駆動部101のトルクをボルト60Bに伝達し、ボルト60Bを螺合方向に回転させ、この結果、ボルト60Bは、ナット70に締結する。
かくして組積した煉瓦10(第1~4段A:B:C:D)の状態が図5及び図6に示されている。上端部及び下端部が長ナット70に螺合したボルト60には、締結トルクに相応する引張応力がプレストレスとして作用し、上下のプレート50間の煉瓦10には、圧縮応力がプレストレスとして作用する。脱着工具100により加えられた上層のボルト60及び長ナット70のトルクは、直下のボルト60及び長ナット70に伝達し、これを更に締結せしめるように作用する。従って、直列に連結した一連のボルト60及び長ナット70は、上層のボルト60及び長ナット70の締結トルクを下層のボルト60及び長ナット70に伝達し、下層のボルト60及び長ナット70は、煉瓦1を上層に組積するにつれて更に強力な締結トルクで螺合する。このため、下層のボルト60及び煉瓦10には、かなり高強度のプレストレスが作用し、この結果、水平加振力及び垂直加振力に対する外壁2の剛性及び靭性は、実質的にかなり向上する。
図7(A)は、第4段Dの煉瓦10上に更に金属プレート50、丸座金63、バネ座金62及び長ナット70を組付ける工程を示す斜視図である。図4に示す組積工程は、煉瓦C:Dの上層において更に反復実施され、これにより、煉瓦を緊締要素60:62:63:70によって一体的に締付けた乾式煉瓦組積構造の連続壁(建築物の外壁又は内部間仕切壁)が施工される。
図7(B)は、偶数段B、Dの煉瓦列の横断面図であり、図7(C)は、奇数段A、Cの煉瓦列の横断面図である。各図に示すように、中空部20に挿入したナット70と、ボルト挿通孔30に挿通したボルト60は、均等な相互間隔(2b)を隔てて煉瓦壁の中心線上に交互に配置される。
なお、上下及び左右の煉瓦10の間に形成された横目地及び縦目地には、所望により、シーリング材等の目地充填材が充填される。
図8は、煉瓦壁のコーナー部の煉瓦配列を例示する斜視図であり、図9は、煉瓦壁のT型接続部の煉瓦配列を例示する斜視図であり、また、図10は、窓、ドア等の建具開口部200廻りの煉瓦配列を例示する斜視図である。
図8に示す如く、煉瓦壁の角部は、直交方向に配向した煉瓦10B(図3)を交互に組積した構造を有する。煉瓦10Bの中空部20及びボルト挿通孔30は、上下方向に交互に配置される。煉瓦10A(図2)を組積してなる直線的な煉瓦壁が、角部から直交方向に延びる。
図9には、煉瓦10A(図2)を組積した直線的な煉瓦壁をT字型に接続する壁体接合部が例示されている。直交する壁体同士の接合部には、半割煉瓦10Cが一般に使用される。
図10には、窓開口部、ドア開口部等の建具開口部200廻りの壁体構造が例示されている。開口部廻りの煉瓦壁は、直交方向の煉瓦10A(図2)及び煉瓦10B(図3)を適当に組合せた変則的な構造を有する。
図11及び図12は、このような壁体接合部及び建具開口部を備えた煉瓦壁における金属プレート50の配列を示す平面図である。
一対のボルト穴53を備えた2穴プレート50’が、図11(A)に示され、3つのボルト穴53を備えた3穴プレート50”が、図12(A)に示されている。図11(B)に示す煉瓦壁上に2穴プレート50’を配置した状態が、図11(C)に示され、図11(B)に示す煉瓦壁上に主に3穴プレート50”を配置した状態が、図12(B)に示されている。基本的に、各々の金属プレート50は、少なくとも2つの煉瓦10に跨がるように配置される。
煉瓦10のボルト挿通孔30は、プレート50’、50”の少なくとも1つのボルト穴53の下側に位置し、当該ボルト穴53を貫通したボルト60の上端部には、ナット70を締付けなければならない。しかしながら、金属プレート50の種類を例えば2種類(プレート50’、50”)に制限した場合、このような建具開口部200や、内部間仕切壁(内壁)の出隅・入隅部等の特異形状部分又は変形部分では、最適なプレート配置及びボルト位置を容易には設定し難い。
図13(A)は、煉瓦、金属プレート及びボルト・ナットの配置を規則的且つ的確に設定可能にするXY座標を示す平面図であり、図13(A)に示すXY座標の部分拡大図が、図13(B)に示されている。XY座標系は、煉瓦、金属プレート及びボルト・ナットを的確に位置決めするためのテンプレートとして認識ないし把握しても良い。
XY座標のX軸及びY軸は直交し、煉瓦10の半部寸法D×W/2=2a×2b(本例では、110mm×110mm)の寸法を有する多数の正方形グリッド単位が、X軸方向及びY軸方向の線分によりXY座標に形成される。正方形グリッド単位は、奇数段締付けグリッドαと、偶数段締め付けグリッドβとに分類される。グリッドα、βは、X方向及びY方向に交互に配置され、均等寸法の格子状市松模様を座標全域に形成する。
図13(B)に示す如く、煉瓦壁の角部を任意のグリッドγに位置決めすると、グリッドγを基準に建築物全体の煉瓦割付、プレート割付及びボルト配置を規則的に設定することができる。
以下、図14及び図15を参照して、煉瓦及びプレートの割付(layout)方法について説明する。
図14には、前述の煉瓦A:C(図6)の如く奇数段に位置する煉瓦及び金属プレートを割付ける過程が例示されており、図15には、前述の煉瓦B:D(図6)の如く偶数段に位置する煉瓦及び金属プレートを割付ける過程が示されている。
奇数段煉瓦の割付けは、図14(A)に示す如く、基準グリッドγに煉瓦壁の角部を割り当て、建物全体の平面計画に従って、基準グリッドγより煉瓦10を順次配列することにより実行され、これにより、建築物の平面図に相応する奇数段煉瓦の割付平面図(layout plan or planar distribution map)が作成される。同時に、図14(B)に示す如く、金属プレート50が、奇数段煉瓦の割付平面図に対応して基準グリッドγより順次割り当てられ、奇数段煉瓦割付平面図に対応した奇数段金属プレート割付図が作成される。なお、本例では、金属プレート50として、主に2穴プレート50’を用いている。
煉瓦10は、ボルト挿通孔30が奇数段締付けグリッドαに位置するという割付条件に従って割付けられる。金属プレート50は、2つの煉瓦10に跨がり、少なくとも一方のボルト穴53が奇数段締付けグリッドαに位置するという割付条件に従って割付けられる。
図15(A)に示す如く、偶数段煉瓦の割付けは、奇数段煉瓦の割付けと同様、基準グリッドγに煉瓦壁の角部を割り当て、建物全体の平面計画に従って、基準グリッドγより煉瓦10を順次配列することにより実行され、これにより、建築物の平面図に相応する偶数段煉瓦の割付平面図が作成される。偶数段煉瓦の割付けは、奇数段煉瓦の割付けと異なり、ボルト挿通孔30が偶数段締付けグリッドβに位置するという割付条件に従って決定される。同時に、図15(B)に示す如く、金属プレート50が、偶数段煉瓦の割付平面図に対応して基準グリッドγより順次割り当てられ、偶数段煉瓦割付平面図に対応した偶数段金属プレート割付図が作成される。金属プレート50は、2つの煉瓦10に跨がり、少なくとも一方のボルト穴53が偶数段締付けグリッドβに位置するという割付条件に従って割付けられる。
上記座標を用いて建築物全体の煉瓦割付、プレート割付及びボルト配置を規則的に設定する作業のフローチャートが、図16に示されている。
建築主及び建築設計者等が決定した建築物の平面計画により建築物の平面計画が確定すると、開口部等の情報を含む壁体各部の位置情報を上述のXY座標系に適用することにより、煉瓦割付立面を確定し、煉瓦割付立面図を作成することができる。同時に、壁体平面を各段(layer or step)に展開して、煉瓦割付け情報及びプレート割付け情報を含む各段の壁体平面を確定し、ボルト挿通孔30を奇数段では奇数段締付けグリッドαに配置し且つ偶数段では偶数段締付けグリッドβに配置し、更には、煉瓦輪郭等を決定することより、各段の煉瓦割付平面図を作成することができる。
金属プレート50に関しては、各段の壁体平面図より、プレート50のボルト穴53を奇数段では奇数段締付けグリッドαに配置し且つ偶数段では偶数段締付けグリッドβに配置し、プレート50の基本割付を行い、所望によりプレート特殊部位の検討・置換等を行い、これにより、各段のプレート割付平面図を作成することができる。
図16に示す作業フローを情報処理技術によりプログラミングし、所望によりCADソフトウエア等の作図ソフトウェアと連携又はプラグインし、これにより、煉瓦、プレート及びボルトに関するDUP工法固有の割付用コンピュータプログラム及び煉瓦割付システムを構築することができる。また、このような割付用コンピュータプログラムの各種データを情報処理し、建築物の施工に必要な煉瓦、プレート、ボルト等の資材数量を自動積算することができる。
図17及び図18は、本発明の施工計画方法(method of construction Planning,execution scheme or execution scheduling)を実行する煉瓦割付システムの論理構成図及びシステム構成図であり、図19は、この煉瓦割付システムにより実行される処理を示すフロー図である。
図17に示す如く、煉瓦割付システムは、プロジェクト管理手段、煉瓦割付モデル(原型)作成手段、煉瓦割付図作成手段、施工図面出力手段及び資材数量集計手段を備える。プロジェクト管理手段は、住宅建築物毎に生成した各種データをフォルダー単位に管理するとともに、各住宅建設プロジェクト毎に生成した各種データを関連付け、連携させる。プロジェクト管理手段は又、各データの更新履歴管理、バックアップ管理、一括出力制御(図面連続印刷等)及びアクセス管理等を行う。煉瓦割付モデル作成手段は、工務店又は建築設計事務所等が作成した住宅建築物の設計図(少なくとも平面図を含む)を壁体情報としてグリッド座標上に表示し、オペレータのマニュアル操作によるグリッド適合及び煉瓦段数設定を可能にする。煉瓦割付モデル作成手段は、オペレータのグリッド適合操作及び煉瓦段数設定操作により、設計図上の壁体位置及び壁体平面寸法に相応する奇数段及び偶数段の煉瓦割付モデルデータを壁体の全高に亘って生成する。煉瓦割付モデル作成手段は又、設計図に記載された窓、ドア等の開口部の位置及び寸法(開口情報)に関し、グリッド及び煉瓦段数に適合した入力操作を可能にするとともに、グリッド適合し且つ煉瓦段数設定した開口部の位置及び寸法(開口部データ)を煉瓦割付モデルデータに合成する。煉瓦割付図作成手段は、開口部データを合成した偶数段及び奇数段の煉瓦割付モデルデータに基づき、煉瓦割付平面図、立面図、軸組図及び断面図等を自動作成する。煉瓦割付図作成手段は又、煉瓦割付モデルデータに基づき、プレート配置図及びボルト・ナット配置図等の自動作成を行う。施工用図面出力手段は、煉瓦割付図作成手段が作成した各種の煉瓦割付図面(煉瓦割付平面図、立面図、軸組図及び断面図)をプロジェクト管理手段の制御下に施工用図面として連続印刷し、資材数量積算手段は、煉瓦、プレート及びボルト・ナット等の資材の数量を集計し、集計結果を資材数量集計表としてプリント出力する。プロジェクト管理手段は、上記過程で生成した各種データファイルを同一フォルダー内に格納し、コンピュータの基本OS(Operating System)が規定するデータ階層構造を利用して各種データファイルを管理する。
図18及び図19を参照して、煉瓦割付システムの作動について、具体的に説明する。
煉瓦割付システムは、汎用のPC(パーソナルコンピュータ)を用いて具現化することができる。図18に示す如く、PCを構成するCPU(中央処理装置)、メインメモリ、外部記憶装置、入力装置、出力装置及び表示装置は、バス配線により相互接続される。PCには、本発明の施工計画方法を具体的にプログラミングした煉瓦割付用プログラムが予めインストールされ、煉瓦割付用プログラムは、その起動時にメインメモリに制御プログラムとして記憶される。CPU及び(制御プログラムを記憶した)メインメモリは、各種データを生成及び合成するデータ処理装置を構成する。
工務店等が作成した住宅建築物の平面図は、インターネット、イントラネット又はLAN(Local Area Network)等の通信網又は通信手段、FD、MD、ZIP、外付けHDD等の移動記憶媒体、或いは、スキャナ等の画像入力手段を介してPCに入力される。
CPU(中央処理装置)は、住宅平面図(原図)を内蔵HDD等の外部記憶装置(ファイル装置)に格納するとともに、メインメモリに読み込んだ制御プログラムの指令を受け、住宅平面図及びグリッド座標を表示装置によりコンピュータディスプレイ上に画面表示する。グリッド座標は、図13~図15に示すようなXY座標系として画面表示され、住宅平面図は、グリッド座標に重なった状態で画面表示される。一般に、住宅建築物の設計モジュールは、煉瓦の単位寸法(220(110)×110×85)の倍数に一致せず、このため、通常は、住宅平面図の壁体位置及び壁体寸法をグリッドに整合させるべく、寸法調整による壁体位置及び壁体寸法のグリッド適合操作と、壁体高さに相応した煉瓦段数設定の操作とが要求される。グリッド適合及び煉瓦段数設定の操作は、例えば、マウス等のポインティングデバイスや、キーボードを用いたオペレータのマニュアル操作により実行される。住宅平面図(原図)に示された壁体位置及び壁体寸法、即ち、壁体情報は、このようなグリッド適合操作の結果、図14(A)及び図15(A)に示す如く、画面上のグリッドに適合するように平面位置及び平面寸法を調整され、また、煉瓦段数設定の操作により、煉瓦の単位寸法に適応した壁体高さ寸法に高さ設定される。CPUは更に、制御プログラムの指令を受け、奇数段及び偶数段の煉瓦割付パターンを決定し、これを煉瓦割付モデルデータとして外部記憶装置に格納する。なお、このようなデータ処理及びデータ保存は、住宅建築物の各階毎に実行されるので、外部記憶装置には、各階毎の煉瓦割付モデルデータ及び住宅平面図(原図)が格納される。
次に、工務店等作成の設計図に示された開口部(窓及びドア等)の開口位置及び開口寸法(開口情報)が、グリッド及び煉瓦段数に適合するように煉瓦割付モデルに入力される。開口位置及び開口寸法のグリッド適合及び煉瓦段数設定の操作は、前述した壁体のグリッド適合及び煉瓦段数設定の操作と同様、ポインティングデバイス及びキーボードを用いたオペレータのマニュアル操作により実行される。このような開口情報の入力の結果、住宅平面図(原図)に示された開口部の平面位置は、画面上のグリッドに適合するように煉瓦割付モデルに規定され、開口部の立面位置(上端及び下端)は、煉瓦の段数に適応した立面位置において煉瓦割付モデルに規定される。煉瓦割付モデルに規定した開口位置及び開口寸法は、煉瓦割付に適応した開口部データとして、外部記憶装置に格納される。
CPUは、制御プログラムの指令を受け、開口部データを煉瓦割付モデルデータに合成し、合成後の煉瓦割付モデルデータに基づいて各煉瓦段毎の煉瓦割付平面図を自動作成するとともに、煉瓦割付立面図、軸組図(煉瓦のみを作図した立面図)及び断面図を自動作成する。煉瓦割付平面図、立面図、軸組図及び断面図は、CAD(Computer Aided Design)データ、或いは、CAD互換データとして、外部記憶装置に格納される。
同時に、CPUは、図14(B)及び図15(B)に示す如く、煉瓦間に介挿される金属プレートの配置を決定するととともに、煉瓦を緊締するボルト及びナットの配置を決定し、プレート配置図及びボルト・ナット配置図を自動作成する。プレート配置図及びボルト・ナット配置図は、CADデータ、或いは、CAD互換データとして、外部記憶装置に格納される。
CPUは、制御プログラムに設定された自動割付規則(煉瓦割付則及びプレート・ボルト・ナット配置規則)に適応しない特殊部位をチェックし、自動割付規則に適応しない特殊部位を図面上に指示する。特殊部位の指示は、例えば、丸印で特殊部位を囲み、或いは、特殊部位のみを特定の色で表示することなどにより、行われる。この種の特殊部位として、例えば、開口部の位置が壁の端部、角部又は交差部に極端に近く、金属プレートを適切に配置し難い壁体部分や、壁芯が僅かにずれた壁体接続部分などが例示される。このような部分は、経験的には、現実の住宅建築物において比較的頻繁に生じると予想される。
この種の不規則部分(特殊部位)は、表示装置により画面表示され、オペレータは、特殊部位の煉瓦割付及びプレート・ボルト・ナット配置を個別編集によりマニュアル修正し、或いは、マニュアル入力する。マニュアル修正又はマニュアル入力により特殊部位を補正した煉瓦割付平面図、立面図、軸組図、断面図、プレート配置図及びボルト・ナット配置図のCADデータ又はCAD互換データは、施工用図面データとして、外部記憶装置に格納される。
施工用図面データは、オペレータのポインティングデバイス操作又はキー操作により、プロッター等の出力機器から連続的にプリント出力される。プリント出力した施工用図面は、工務店、建築設計事務所又は建設現場等に配布される。施工用図面をCADデータ又はCAD互換データとして記憶媒体に格納し、この記憶媒体を工務店等に提供したり、或いは、通信手段を介して工務店等にデータ送信しても良い。
CPUは更に、制御プログラムの指令により、煉瓦、プレート、ボルト及びナット等の資材数量を自動積算する。自動積算は、施工用図面データから各資材を自動集計し、表形式に自動集計することにより実行される。各資材の数量データは、表計算ソフトのプラグイン又は連携により迅速に集計処理される。オペレータは、ポインティングデバイスの操作や、キー操作により、資材数量集計表をプリンタ等の出力機器からプリント出力することができる。所望により、制御プログラムは、資材数量及び工数の関数式、資材数量及び副資材数量の関数式等を設定可能に構成され、CPUは、制御プログラムの指令により、工数、副資材数量等を自動算出する。このように制御プログラムを構成した場合、オペレータは、ポインティングデバイスの操作や、キー操作により、工数、副資材数量等を出力機器からプリント出力することができる。
制御プログラムは、外部記憶装置に記憶した各種データを管理するプロジェクト管理情報を外部記憶装置又はメインメモリに記憶するようにCPUに指令する。上述の各種データは、各々の住宅建築物の設計・施工プロジェクトを遂行する都度、外部記憶装置に格納され、多量のデータが外部記憶装置に蓄積されるが、プロジェクト管理手段は、プロジェクト管理情報に基づき、各プロジェクト毎の各種データをフォルダー別に一元管理するとともに、各種データを関連付け、連携させる。このため、初期データとしての住宅の設計図(原図)に設計変更が加えられた場合、煉瓦割付モデルデータを修正することにより、煉瓦割付平面図、軸組図、断面図、立面図、プレート配置図、ボルト・ナット配置図及び積算結果を煉瓦割付モデルデータの修正にリンクして自動修正し、修正後の各種データを前述の如く外部出力することができる。
プロジェクト管理手段は又、設計変更の履歴を記録する手段として機能するとともに、各住宅建築物の施工時及び施工後の管理上の情報源として機能する。これにより、品質管理及び工期管理等を行うために必要なプロジェクト経過情報等を建設現場、工務店、建築設計事務所及び施主等に迅速に提供することが可能となる。
以上の如く、上記グリッド平面を用いた煉瓦、プレート及びボルトの割付方法(グリッド法)によれば、奇数段では奇数段締付けグリッドαにより、また、偶数段では偶数段締付けグリッドβにより、煉瓦10、プレート50、ボルト60及びナット70の割付等を施工前又は施工時に的確、簡易迅速且つ規則的に決定することができる。このようなグリッド法によれば、数種の金属プレートによる最適設計を規則的且つ単純な人的又は機械的作業で行うことができるので、金属プレートの種類を制限することができ、従って、金属プレートを規格生産し、在庫することが可能となる。更には、上記グリッド法を用いることにより、実質的に全てのボルト・ナットを煉瓦10の中空部20及びボルト挿通孔30内に収容することができるので、ボルト・ナットの耐候性及び耐火性等が向上し、しかも、ボルト・ナットは、煉瓦壁全域に均等に分散するので、ボルト・ナット締付力の効果は、壁面全体に均一化する。
以上、本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能であり、該変形例又は変更例も又、本発明の範囲内に含まれるものであることは、いうまでもない。
【産業上の利用可能性】

以上説明したとおり、本発明の上記構成によれば、DUP工法の煉瓦壁の施工計画方法において、煉瓦、プレート及びボルト・ナットの割付等を施工前又は施工時に的確、簡易迅速且つ規則的に決定し、規格化した数種のプレートにより任意の煉瓦壁を構築可能にするとともに、ボルト・ナットを煉瓦内に収容し且つボルト・ナットの締付力の効果を壁面全体に均等に分散することができる煉瓦壁の施工計画方法が提供される。
また、本発明によれば、このような施工計画方法を実現する煉瓦割付用プログラム及び煉瓦割付システムを提供することができる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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