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明細書 :多環縮環型π共役有機材料、およびその合成中間体、並びに多環縮環型π共役有機材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4408416号 (P4408416)
登録日 平成21年11月20日(2009.11.20)
発行日 平成22年2月3日(2010.2.3)
発明の名称または考案の名称 多環縮環型π共役有機材料、およびその合成中間体、並びに多環縮環型π共役有機材料の製造方法
国際特許分類 C07F   7/08        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
C07F   7/18        (2006.01)
C08G  61/12        (2006.01)
C08G  77/60        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C07F 7/08 CSPW
C07F 7/10 Q
C07F 7/18 W
C08G 61/12
C08G 77/60
H05B 33/14 B
H05B 33/22 B
請求項の数または発明の数 12
全頁数 29
出願番号 特願2004-530587 (P2004-530587)
出願日 平成15年8月20日(2003.8.20)
国際出願番号 PCT/JP2003/010538
国際公開番号 WO2004/018488
国際公開日 平成16年3月4日(2004.3.4)
優先権出願番号 2002244315
優先日 平成14年8月23日(2002.8.23)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年1月18日(2006.1.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】山口 茂弘
【氏名】徐 彩虹
【氏名】玉尾 皓平
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】本堂 裕司
参考文献・文献 KOWALIK, Janusz et al.,Diphenylacetylene and the LICKOR Superbase: o,o'-Dimetalation and Reaction with Electrophiles. A Convenient Synthesis of o,o'-Disubstituted Diphenylacetylenes,Journal of Organic Chemistry,2001年,66(9),3229-3231
MA, Zhongxin et al.,Design and synthesis of novel blue-light-emitting photoluminescent monomers and polymers,Polymer Preprints (American Chemical Society, Division of Polymer Chemistry),1997年,38(2),249-250
調査した分野 C07F 7/08
C07F 7/10
C07F 7/18
C08G 61/12
C08G 77/60
H01L 51/50
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
多環縮環型π共役有機材料は、下記の式(1)
【化1】
JP0004408416B2_000020t.gif
[式(1)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは1~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を有するものである。
【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(2)
【化2】
JP0004408416B2_000021t.gif
にて表されるものである。
【請求項3】
多環縮環型π共役有機材料は、下記の式(3)
【化3】
JP0004408416B2_000022t.gif
[式(3)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R3は、アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、nは1~4の値をとる]にて表されるものである。
【請求項4】
多環縮環型π共役有機材料は、下記式(4)
【化4】
JP0004408416B2_000023t.gif
[式(4)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとる]にて表される化合物を繰り返し単位として含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が103~108の重合体である。
【請求項5】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(5)
【化5】
JP0004408416B2_000024t.gif
にて表されるものである。
【請求項6】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(6)
【化6】
JP0004408416B2_000025t.gif
にて表されるものである。
【請求項7】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記重合体が、さらに、下記の式(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、および(12)
【化7】
JP0004408416B2_000026t.gif
[式(7)~(12)中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、およびAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基,2価の複素環基,または金属錯体構造を有する2価の基を示し、X1、X2、X3、X4、およびX5は、それぞれ独立に、-CR4=CR5-,-C≡C-,-N(R6)-,-B(R7)-,または-(SiR89)q-を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,カルボキシル基,またはシアノ基を示し、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,またはアリールアルキル基を示し、o、p、およびqは、それぞれ独立に、1~12の整数を示す]からなる群から選択される少なくとも一つの繰り返し単位を含むものである。
【請求項8】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(13)
【化8】
JP0004408416B2_000027t.gif
[式(13)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y3、およびY4は、それぞれ独立に、リチウム,カリウム,ナトリウム,ハロゲン化マグネシウム,マグネシウムアミド,またはジアルキル亜鉛を示す]にて表される化合物である。
【請求項9】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(14)
【化9】
JP0004408416B2_000028t.gif
[式(14)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y5、およびY6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子,ハロゲン化マグネシウム,アルキルマグネシウム,ジアルキル亜鉛,ハロゲン化亜鉛,シリル基,スタンニル基,ボロン酸,またはボロン酸エステルを示す]にて表される化合物である。
【請求項10】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(15)
【化10】
JP0004408416B2_000029t.gif
[式(15)中、Y1、およびY2は、それぞれ独立に、水素原子,ハロゲン原子,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリールオキシ基,アリールチオ基,シリル基,またはスタンニル基を示し、また、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物である。
【請求項11】
多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、有機ケイ素基を有するアリールアセチレン系化合物に対して、金属還元剤を反応させ、分子内還元的環化反応を進行させて、下記の式(1)
【化11】
JP0004408416B2_000030t.gif
[式(1)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を得るものである。
【請求項12】
請求の範囲第11項に記載の多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、アリールアセチレン系化合物が、フェニルアセチレン系化合物である。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光(EL)素子等の発光材料や、電荷輸送材料に適用可能な多環縮環型π共役有機材料、その合成中間体、および多環縮環型π共役有機材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電界発光(EL)する発光素子を用いた表示装置は、小電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成るEL発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。
【0003】
特に、光の三原色の一つである青色をはじめとする発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発は、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
【0004】
しかし、色純度、発光効率の点、あるいは電荷(キャリヤー)移動度およびキャリヤー注入の点で、本当に優れた特性を備えた有機材料は依然限られており、現在、この分野における最大の課題の一つとなっている。
【0005】
高発光効率および高電荷輸送能を備えた有機材料の設計においては、高い平面性をもつπ共役系骨格を有する分子を構築することが有効な方法の一つとして挙げられている。その端的な例として、下記のtrans-スチルベンは、室温、溶液状態で0.05以下の蛍光量子収率しか発揮できないのに対し、その骨格をメチレン鎖で架橋した、下記の5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンは、室温でも1に近い蛍光量子収率を発揮できることが知られている(J. Saltiel, A. Marinari, D. W. L. Chang, J. C. Mitchener, and E. D. Megarity, J. Am. Chem. Soc., Vol.101, pp2982 (1979)、J. Saltiel, O. C. Zafiriou, E. D. Megarity, and A. A. Lamola, J. Am. Chem. Soc., Vol.90, pp4759 (1968))。
【0006】
【化1】
JP0004408416B2_000002t.gif

【0007】
本発明者らは、上記のメチレン鎖をケイ素置換基に置き換えることを考えた。ケイ素で置き換えた場合も、メチレン鎖の場合と同様に高い発光効率を発揮できる。それに加え、ケイ素を導入した場合、ケイ素の置換基効果により高い電荷輸送能も併せ持たせることが可能となる。
【0008】
これは、シクロペンタジエンのケイ素類縁体であるシラシクロペンタジエン(シロール)環(上記化学式を参照)を含むπ共役化合物が高い電子移動度をもち、電子輸送材料として極めて高い特性を有することが知られているからである(M. Uchida, T. Izumizawa, T. Nakano, S. Yamaguchi, K. Tamao, K. Furukawa, Chem. Mater., Vol.13, pp268 (2001))。
【0009】
このような化合物としては、5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンが、下記の反応式(I)に示す方法により得られることが知られている(M. Serby, S. Ijadi-Maghsoodi, and T. J. Barton, XXXIIIth Symposium on Organosilicon Chemistry, Abstract No. PA-35, April 6-8, 2000, Saginaw, Michigan, USA)。
反応式(I)
【0010】
【化2】
JP0004408416B2_000003t.gif

【0011】
しかし、その合成法は、下記の反応式に示すように、特殊な高温熱分解反応によるものであり、(1) 大量合成に向かない、(2) 高分子合成に必要な官能基をもつ誘導体の合成に向かない、および(3) 多環縮環型の化合物の合成に応用できないといった合成上の致命的な制約があった。
【0012】
本発明者らは、これらの各制約を克服すべく、概念的に新しい合成法の開発に取り組み、本発明に至った。
【発明の開示】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記式(1)で示される構造を備えた化合物、およびその製造方法を新たに見出し、また、これを繰り返し単位に含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が103~108であることを特徴とする高分子化合物およびその製造方法を新たに見出した。さらに、それらが高い発光特性や電荷輸送能をもつことを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明の多環縮環型π共役材料は、上記課題を解決するために、下記の式(1)
【0015】
【化3】
JP0004408416B2_000004t.gif

【0016】
[式(1)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは1~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を有することを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、ベンゼン環とシロール環とを縮合させた、平面型の多環縮環型π共役有機材料であるので、高い発光特性や電荷輸送能を発揮でき、EL用等の発光有機材料や、電荷輸送有機材料などに有効に使用できる。
【0018】
なお、「mは1~50の値をとり」は、mが1から50までの整数の何れかに設定されることを意味し、「nは0~4の値をとる」は、nが0から4までの整数の何れかに設定され、かつnが0~3のときは4との差の数だけ、ベンゼン環の置換基が水素原子であることを意味している。
【0019】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。
【0021】
反応式(II)
【0022】
【化4】
JP0004408416B2_000005t.gif

【0023】
まず、本発明に係る、シロール環を有する、前記の式(1)にて示される環化生成物(多環縮環型π共役有機材料)は、例えば上記の式(15)により示される、有機ケイ素を置換基に有するベンゼン環を炭化水素として、三重結合を備えた直鎖式炭化水素(アリールアセチレン系化合物、フェニルアセチレン系化合物)に対して、金属還元剤を反応させることにより、ケイ素と三重結合炭素との間にて分子内還元的環化反応を進行させて得られる。上記直鎖式炭化水素では、三重結合を2以上有するポリイン類(polyynes)であってもよい。
【0024】
次に、上記の式(15)で示される化合物に関する合成例について説明する。上記の反応式(II)にて示すように、式(16)で示される原料を、有機金属塩基を用いたハロゲン-メタル交換反応によりポリメタル化した後、R12SiY89の一般式で表される有機ケイ素試薬で捕捉することにより、式(15)で示される化合物を合成することができる。
【0025】
この際、用いる有機金属塩基としては、n-BuLi、s-BuLi、t-BuLiなどの有機リチウム試薬、あるいはアルキルグリニャール試薬、アルキルマグネシウムアミドなどの有機マグネシウム試薬が使用できる。このうち、tert-BuLi(t-BuLi)を用いて、溶媒としてのTHF中でメタル化を行うとき、最も収率がよい。
【0026】
また、有機ケイ素試薬R12SiY89において、Y89は、それぞれ独立に、水素原子,ハロゲン原子,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリールオキシ基,アリールチオ基,シリル基,置換シリル基,スタンニル基,または置換スタンニル基である。
【0027】
式(15)において、Y1、Y2としては,水素原子またはアルコキシ基が特に有用である。Y1、Y2の少なくとも一方が水素原子である場合、合成に用いる有機ケイ素試薬R12SiY89としては、R12SiH2、R12SiHClなどが使用できる。Y1、Y2がアルコキシ基である場合、合成に用いる有機ケイ素試薬R12SiY89としては、R12Si(OR)2、またはR12SiCl(NR2)が使用できる。後者の場合には、R12SiCl(NR2)と一旦反応させた後、単離せずに、そのまま塩化アンモニウムなどの酸触媒存在下、アルコールと反応させることにより目的生成物を得ることができる。
【0028】
続いて、前記の分子内還元的環化反応について、下記の反応式(III)に基づき説明する。式(15)で示される化合物を金属還元剤と反応させることにより,分子内還元的環化反応が進行し、式(1)で示される環化生成物が得られる。
【0029】
反応式(III)
【0030】
【化5】
JP0004408416B2_000006t.gif

【0031】
この際、金属還元剤としては、リチウム,リチウムナフタレニド,リチウムビフェニリド,リチウム(4,4'-ジ-tert-ブチルビフェニリド),リチウム[8-(N,N-ジメチルアミノ)ナフタレニド],リチウム/液化アンモニア,ナトリウム,ナトリウムナフタレニド,ナトリウムビフェニリド,ナトリウム(4,4'-ジ-tert-ブチルビフェニリド),ナトリウム[8-(N,N-ジメチルアミノ)ナフタレニド],ナトリウム/液化アンモニア,カリウム,カリウムグラファイトなどが挙げられる。
【0032】
溶媒としては、THFの他,ジエチルエーテルやジメチルエーテル,1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル系溶媒が使える。反応温度としては、-78度から+50度、好ましくは、-20度から+30度で行うことができる。
【0033】
反応式(IV)
【0034】
【化6】
JP0004408416B2_000007t.gif

【0035】
次に、式(14)で示される合成中間体の合成について、上記の反応式(IV)に基づき説明する。まず、上記の反応式(IV)に示すように、式(1)で示される化合物のうち、式(17)の構造をもつ化合物を原料に用い、これを有機金属塩基と処理しオルトメタル化を行い、式(13)で示されるジメタル化物に変換した後、求電子性ハロゲン化剤あるいは求電子性メタル化剤と処理することにより、式(14)に示される化合物を合成することができる。
【0036】
この際、有機金属塩基試薬としては,n-BuLi,s-BuLi,t-BuLiなどの有機リチウム試薬,アルキルマグネシウムアミドなどの有機マグネシウム試薬,Li[t-Bu2ZnTMP](TMP:2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)などの亜鉛アート錯体あるいはn-BuLi/tert-BuOK混合試薬が使用できる。このうち、sec-BuLiを用いてTHF中でメタル化を行うとき、最も収率がよい。
【0037】
また、求電子性ハロゲン化剤としては、ICH2CH2I,I2,Br2,ICl,NIS,NBS,BrCH2CH2Br,BrCl2CCCl2Br,またはBrF2CCF2Brなどを使用できる。
【0038】
また、求電子性メタル化剤としてはMe3SnCl,Bu3SnCl,Ph3SnCl,R3SiCl,R2Si(OR)Cl,RSi(OR)2Cl,Si(OR)3Cl,R2SiF2,RSiF3,B(OR)3,(iPrO)B(-OCH2CMe2CMe2CH2O-),ClB(NR2)2,MgCl2,MgBr2,MgI2,ZnCl2,ZnBr2,ZnI2,またはZnCl2(tmen)などが使用できる(但し、上述のRはアルキル基を示す)。
【0039】
続いて、式(4)で示される繰り返し単位を含む高分子化合物(重合体)の合成について説明する。
【0040】
式(13)あるいは式(14)で示される官能基をもつ誘導体を原料に用いたニッケル触媒ホモカップリングによりそれ自身のホモポリマーを合成することができる。また、熊田-玉尾カップリング反応、根岸反応、小杉-右田-Stille反応、鈴木-宮浦反応、園頭-萩原反応、溝呂木-Heck反応などの一連の遷移金属触媒クロスカップリング反応を行うことにより、前述した式(7)-(12)で示されるモノマーとの共重合体を合成することができる。
【0041】
以下、各実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0042】
本実施例1の各合成スキームを、以下の反応式(V)に基づき以下に示す。
【0043】
最初に、式(15)にて示される原料化合物の一例としての、ビス[2-(エトキシジメチルシリル)-5-(メトキシ)フェニル]アセチレン(2ba)の合成方法について下記の反応式(V)に基づいて説明する。
【0044】
化合物1b (5.50 g, 13.9 mmol)のジエチルエーテル溶液(280 mL)にn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6M, 18.6 mL, 29.8 mmol)を,-35度で滴下して加えた。-30 °Cから-25 °Cに温度を保ちながら4時間撹拌した後、反応溶液に(N,N-ジエチルアミノ)ジメチルクロロシラン(5.0 g, 30.2 mmol)を-25 °Cで5分間かけて滴下した。
【0045】
滴下終了後、反応混合物をゆっくりと室温まで昇温しながら12時間撹拌した。その後、エチルアルコール(3.7 mL, 63.4 mmol)および塩化アンモニウム(0.40 g, 7.5 mmol)を加え、さらに23時間室温で撹拌した。反応液を濾過し、不溶物をのぞいた後、濾液を減圧下で濃縮した。
【0046】
得られた混合物をフロリジルカラムクロマトグラフィー(100~200 mesh, 5/1 hexane/AcOEt)により精製することにより、目的物2ba (5.85 g, 13.2 mmol)を白色固体として収率95%で得ることができた。反応式(V)
【0047】
【化7】
JP0004408416B2_000008t.gif

【0048】
得られた目的物2baの物性値を1H NMR 、13C NMR 、29Si NMRにてそれぞれ測定し、それらの結果を以下に示した。
【0049】
1H NMR (CDCl3): δ 0.48 (s, 12H), 1.20-1.24 (m, 6H), 3.72~3.79 (m, 4H), 3.82 (s, 6H), 6.90 (dd, J = 2.4 and 6.0 Hz, 2H), 7.12 (d, J = 2.4Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.4Hz, 2H)。
【0050】
13C NMR (CDCl3): δ 0.72, 18.67, 55.15, 58.75, 92.73, 113,66, 117.38, 129.26, 131.60, 135.88, 160.21。
【0051】
29Si NMR (CDCl3): δ 6.46。
【0052】
Anal. Calcd for C24344Si2: C, 65.11; H, 7.74. Found: C, 65.37; H, 7.79.
次に、上記反応式(V)に示す他の合成例としての、ビス[2-(エトキシジメチルシリル)フェニル]アセチレン(2aa)について説明する。
【0053】
化合物2aaは、化合物2baの合成と同様の手法の合成により得られた。その収率は、43%であった。
【0054】
得られた目的物2aaの物性値を1H NMR 、13C NMR 、29Si NMRにてそれぞれ測定し、それらの結果を以下に示した。
【0055】
1H NMR (CDCl3): δ 0.52 (s, 12H), 1.21-1.25 (m, 6H), 3.75-3.82 (m, 4H), 7.33-7.40 (m, 4H), 7.53-7.58 (m, 2H), 7.65-7.68 (m, 2H)。
【0056】
13C NMR (CDCl3): δ -0.88, 18.62, 58.87, 93.19, 127.37, 127.98, 129.28, 131.90, 134.26, 140.42。
【0057】
29Si NMR (CDCl3): δ 6.59。
【0058】
次に、上記反応式(V)に示すさらに他の例としての、ビス[2-(ジメチルシリル)-5-(メトキシ)フェニル]アセチレン(2bb)について説明する。
【0059】
化合物1b (2.87 g, 7.25 mmol)のジエチルエーテル溶液(145 mL)にn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.6 M, 9.7 mL, 15.52 mmol)を、-35度で滴下した。反応溶液を-30度から-25度に温度を保ちながら4時間撹拌した後、ジメチルクロロシラン(2.5 mL, 22.5 mmol)を-78度で加えた。そして、反応混合物をゆっくりと室温まで昇温しながら3時間撹拌した。
【0060】
濾過により不溶物を除去した後、濾液を減圧下で濃縮することにより、目的物2bb (2.38 g, 6.71 mmol)を白色固体として収率93%で得ることができた。得られた目的物2bbの物性値を1H NMR 、13C NMR 、29Si NMRにてそれぞれ測定し、それらの結果を以下に示した。
【0061】
1H NMR (CDCl3): δ 0.42 (d, J = 3.9 Hz, 12H), 3.82 (s, 6H), 4.59 (m, 2H), 6.89 (dd, J = 2.4 and 8.1 Hz, 2H), 7.08 (d, J = 2.7 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.1 Hz, 2H)。
【0062】
13C NMR (CDCl3): δ -3.42, 55.18, 92.45, 113.79, 117.22, 129.90, 130.91, 136.11, 160.18。
【0063】
29Si NMR (CDCl3): δ -17.38。
【0064】
Anal. Calcd for C20262Si2: C, 67.74; H, 7.39. Found: C, 67.47; H, 7.25。
【0065】
次に、上記反応式(V)に示すさらに他の例としての、ビス[2-(ジメチルシリル)フェニル]アセチレン(2ab)について説明する。化合物2abは、上述した化合物2bbの合成と同様の手法により収率66%で合成した。
【0066】
1H NMR (CDCl3): δ 0.46 (d, J = 3.9 Hz, 12H), 4.59 (m, 2H), 7.30-7.40 (m, 4H), 7.53-7.58 (m, 4H)。
【0067】
13C NMR (CDCl3): δ -3.65, 92.88, 127.50, 128.75, 129.15, 131.62, 134.63, 139.78。
【0068】
29Si NMR (CDCl3): δ -16.58。
【0069】
Anal. Calcd for C1822Si2: C, 73.40; H, 7.53. Found: C, 73.40; H, 7.53.
本発明の有機材料としての2,7-ジメトキシ-5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデン(3b)を得た例について、上記反応式(V)に基づき以下に説明する。
【0070】
まず、化合物2ba (0.92 g, 2.07 mmol) およびリチウム(0.06 g, 8.7 mmol)の混合物にTHF (85 mL)を加え、5時間室温で撹拌した。反応混合物に水を加えた後、ジエチルエーテルを用いて抽出した。得られた有機層であるエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により乾燥剤を除いた後に、濾液を減圧下で濃縮した。
【0071】
その後、上記濃縮物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、その精製物をさらにヘキサンから再結晶を行うことにより、0.53 g (1.50 mmol)の目的物3bを無色結晶として収率72%で得ることができた。
【0072】
1H NMR (CDCl3): δ 0.43 (s, 12H), 3.84 (s, 6H), 6.74 (dd, J = 2.4 and 7.8 Hz, 2H), 6.85(d, J = 2.4 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 7.8 Hz, 2H)。
【0073】
13C NMR (CDCl3): δ -3.14, 55.25, 110.21, 112.28, 131.19, 132.98, 151.30, 161.46, 164.79。
【0074】
29Si NMR (CDCl3): δ -1.78。
【0075】
Anal. Calcd for C20242Si2: C, 68.13; H, 6.86. Found: C, 67.97; H, 6.86.
次に、ビス(シリルフェニル)アセチレン誘導体に対する、リチウムナフタレニドを還元剤とする分子内還元的環化反応により本発明の有機材料としての5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデン(3a)を得た例について、上記反応式(V)に基づき以下に説明する。
【0076】
まず、リチウム(132 mg, 19.03 mmol)およびナフタレン(2.44 g, 19.04 mmol)のTHF溶液(15 mL)を室温で4時間撹拌することにより,リチウムナフタレニドを調製した。この溶液に対して、前述の化合物2ab (1.40 g, 4.75 mmol)のTHF溶液(10 mL)を室温で加え、その後、10時間撹拌を続けた。
【0077】
溶媒を減圧下で留去した後、得られた混合物にクロロホルムを加え、不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製することにより、0.87 gの粗生成物を得た。さらに、ヘキサンより再結晶することにより0.73 g (2.51 mmol)の目的生成物3aを収率53%で無色結晶として得た。
【0078】
また、この化合物3aは、前述の化合物2aaを用い,上記化合物3bの合成で記した手法を用いることによっても合成できる。その場合の収率は61%であった。
【0079】
1H NMR (CDCl3): δ 0.45 (s, 12H), 7.17-7.39 (m, 6H), 7.54-7.57 (m, 2H)。
【0080】
13C NMR (CDCl3): δ -3.42, 124.65, 126.23, 129.94, 132.06, 140.48, 149.42, 163.67。
【0081】
29Si NMR (CDCl3): δ -0.75。
【0082】
Anal. Calcd for C1820Si2: C, 73.91; H, 6.89. Found: C, 73.72; H, 6.86.
続いて、本発明の有機材料としての2,7-ジヨード-3,8-ジメトキシ-5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデン(4)を得た例について、上記反応式(V)に基づき以下に説明する。
【0083】
最初に、化合物3b (0.20 g, 0.57 mmol)のTHF溶液(7 mL)にsec-ブチルリチウム/シクロヘキサン/ヘキサン溶液(0.98 M, 2.4 mL, 2.35 mmol)を-78度で滴下した。
【0084】
上記溶液を-78度から-25度まで徐々に昇温しながら8時間撹拌した後、反応溶液に1,2-ジヨードエタン(0.67 g, 2.4 mmol)のTHF(5 mL)溶液を5分間かけて滴下して加え、さらに30分撹拌した。
【0085】
反応混合物に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムを用いて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
【0086】
濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下で濃縮し、得られた混合物を熱ヘキサンにより洗浄した。不溶物として得られた固体をベンゼンから再結晶することにより、47.2 mg (0.78 mmol)の目的物4を淡黄色粉末として収率17%で得ることができた。
【0087】
1H NMR (CDCl3): δ 0.44 (s, 12H), 3.92 (s, 6H), 6.72(s, 2H), 7.89(s, 2H,)。
【0088】
13C NMR (CDCl3): δ -3.24, 56.18, 84.39, 108.30, 133.70, 142.39, 151.31, 159.59, 164.34。
【0089】
29Si NMR (CDCl3): δ -0.80。
【0090】
続いて、5,10-ジシラ-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンを構成単位とする、本発明に係る有機材料としての共重合体である、ポリ[(3,8-ジメトキシ-5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデン-3,7-ジイル)-co-[2,5-ビス(2-エチルヘキシロキシ)ベンゼン-1,4-ジエチニル]] (5) の合成の例を、上記反応式(V)を参照して以下に説明する。
【0091】
まず、前述の化合物4 (50 mg, 0.084 mmol)、1,4-ビス(2-エチルヘキシロキシ)-2,5-ジエチニルベンゼン(32 mg, 0.084 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (9.7 mg, 8.4 mmol)、およびヨウ化銅(3.3 mg, 17.22 mmol)の3/1 トルエン/ジイソプロピルアミン(3.5 mL)溶液の混合溶液を、60度で48時間加熱撹拌した。
【0092】
その後、反応混合物に水を加えクロロホルムにより抽出した。得られた有機層を、さらに5% NH4OH水溶液および飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した。
【0093】
濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下濃縮し、再び少量のクロロホルムに溶解させ、メタノールより再沈殿させることにより、50 mgの目的物5を黄色粉末として収率82%で得ることができた。
【0094】
1H NMR (CDCl3): δ 0.47 (s, 12H), 0.89-0.99 (br m, 12H), 1.34 (br m, 16H), 1.80 (br m, 2H,), 3.98 (br m, 10H), 6.82 (s, 2H), 7.04 (s, 2H), 7.67 (s, 2H)。平均分子量をポリスチレン換算GPCにより求めた結果、その平均分子量は(Mn)は、37,500であった。
【実施例2】
【0095】
以下に、下記の反応式(VI)に基づく、他の合成例を説明する。
【0096】
最初に、原料としての、1,4-ビス[(2-ブロモフェニル)エチニル]-2,5-ジブロモベンゼン (6)の合成方法について説明する。
【0097】
最初に、1,4-ジブロモ-2,5-ジヨードベンゼン(1.15 g, 2.35 mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (33 mg, 47 mmol)、およびヨウ化銅 (18 mg, 95 mmol)の3/1 トルエン/トリエチルアミン(12 mL)の混合溶液に対して、2-ブロモ-1-エチニルベンゼン(90 mg, 4.98 mmol)の3/1 トルエン/トリエチルアミン(9 mL)溶液を室温で加え、そのまま室温で12時間撹拌した。
【0098】
反応式(VI)
【0099】
【化8】
JP0004408416B2_000009t.gif

【0100】
1N塩酸水溶液を反応混合物に加えた後、塩化メチレンを用いて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、濾液を減圧下濃縮した。得られた混合物をベンゼンより再結晶することにより、1.17 g (1.97 mmol)の目的物6を白色固体として収率84%で得ることができた。
【0101】
1H NMR (CDCl3): δ 7.20-7.35 (m, 4H), 7.59-7.65(m, 4H), 7.83 (s, 2H)。
【0102】
13C NMR (CDCl3): δ 90.81, 95.00, 123.57, 124.47, 125.59, 126.40, 127.02, 130.15, 132.54, 133.66, 136.34。
【0103】
Anal. Calcd for C2210Br4: C, 44.49; H, 1.70. Found: C, 44.42; H, 1.54。
【0104】
続いて、上記化合物6を用いて、合成中間体としての2,5-ビス[[2-(エトキシジメチルシリル)フェニル]エチニル]-1,4-ビス(エトキシジメチルシリル)ベンゼン (7)の合成例について説明する。
【0105】
まず、化合物6 (0.50 g, 0.85 mmol)のTHF溶液(35 mL)に対して、tert-ブチルリチウム/ペンタン溶液(1.6 M, 4.3 mL, 6.88 mmol)を-78度で滴下した。そのまま-78度で2時間撹拌した後、反応混合物に(N,N-ジエチルアミノ)ジメチルクロロシラン(1.3 g, 7.84 mmol)を加え、10時間かけて室温まで昇温しながら撹拌した。
【0106】
その後、エチルアルコール(1 mL, 17.13 mmol)および塩化アンモニウム(23 mg, 0.43 mmol) を加え、室温で14時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮した後、ジエチルエーテルを加え、不溶物を濾過により除去した。
【0107】
濾液を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5/1 hexane/EtOAc)により精製した。得られた粗生成物をさらに分取GPC(クロロホルム)により精製することにより、272 mg (0.40 mmol)の目的化合物7を収率47%で淡黄色固体として得ることができた。
【0108】
1H NMR (CDCl3): δ 0.53 (d, J = 1.8 Hz, 24H), 1.22-1.27 (m, 12H), 3.76-3.83 (m, 8H), 7.32-7.41 (m, 4H), 7.56 (m, 2H), 7.68 (m, 2H), 7.85 (s, 2H)。
【0109】
13C NMR (CDCl3): δ -1.03, -0.85, 18.67, 58.87, 58.95, 93.42, 94.90, 126.76, 127.50, 127.80, 129.28, 131.96, 134.28, 137.65, 140.63, 141.39。
【0110】
29Si NMR (CDCl3): δ 6.29, 6.36。
【0111】
次に、上記化合物7を用いて、本発明に係る有機材料としての、5,7,12,14-テトラシラ-ジインデノ[3,2-b:3,2-h](1,5-ジヒドロ-s-インダセン) (8)の合成例を説明する。
【0112】
リチウム(81.2 mg, 11.70 mmol)およびナフタレン(1.50 g, 11.74 mmol)のTHF溶液(20 mL)を室温で4時間撹拌することによりリチウムナフレタレニドを調整した。この溶液に対し、化合物7 (1.00 g, 1.46 mmol)のTHF溶液(6 mL)を室温で加え、5時間撹拌した。
【0113】
そして、撹拌後の溶液に対してヨウ素/THF溶液を加え、続いて、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、エーテルにより抽出した。得られたエーテル層を、さらに1NのHCl水溶液、続いて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにより乾燥した。
【0114】
上記エーテル層の反応混合物を減圧下濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(5/1 hexane/EtOAc)により精製することにより、0.68 g (1.33 mmol)の目的生成物8を収率91%で黄色固体として得ることができた。
【0115】
1H NMR (CDCl3): δ 0.49 (d, J = 3.3 Hz, 24H), 7.18-7.39 (m, 4H), 7.47 (s, 2H), 7.57 (m, 2H)。
【0116】
13C NMR (CDCl3): δ -3.35, -3.30, 124.52, 126.12, 128.39, 129.97, 132.04, 140.48, 142.99, 148.04, 149.62, 163.00, 163.80。
【0117】
29Si NMR (CDCl3): δ -0.90, -0.60。Anal. Calcd for C3034Si4: C, 71.08; H, 6.76. Found: C, 71.31; H, 6.78。
【0118】
続いて、化合物3aおよび化合物8の光特性をそれぞれ調べた。まず、THF中におけるUV-visible吸収スペクトルにおいて、化合物3aおよび化合物8の吸収極大波長は、それぞれ360 nmおよび424 nmであった。
【0119】
一方、蛍光スペクトルにおいては、両者ともに著しく強い蛍光を示した。それぞれの発光色は青色および緑青色であり、それらの蛍光極大波長は426 nmおよび473 nmであり、発光有機材料として用いることが可能なことがわかった。
【0120】
化合物3aの吸収および蛍光極大波長は、類似する骨格を有する5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンよりも、37 nmおよび64 nmもそれぞれ長波長側の値であった。
【0121】
本発明の多環縮環型π共役材料は、前記課題を解決するために、下記の式(1)
【0122】
【化9】
JP0004408416B2_000010t.gif

【0123】
[式(1)中、R1、およびR2、は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは1~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を有することを特徴としている。
【0124】
上記構成によれば、ベンゼン環とシロール環とを縮合させた、平面型の多環縮環型π共役有機材料であるので、高い発光特性や電荷輸送能を発揮でき、EL用等の発光有機材料や、電荷輸送有機材料などに有効に使用できる。
【0125】
なお、「mは1~50の値をとり」は、mが1から50までの整数の何れかに設定されることを意味し、「nは0~4の値をとる」は、nが0から4までの整数の何れかに設定され、かつnが0~3のときは4との差の数だけ、ベンゼン環の置換基が水素原子であることを意味している。
【0126】
また、上記のmとnとについては、以下の各化学式でも同様である。
【0127】
上記多環縮環型π共役有機材料では、前記化合物は、下記の式(2)
【0128】
【化10】
JP0004408416B2_000011t.gif

【0129】
にて表されるものであってもよい。
【0130】
本発明の他の多環縮環型π共役有機材料は、前記課題を解決するために、下記の式(3)
【0131】
【化11】
JP0004408416B2_000012t.gif

【0132】
[式(3)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R3は、アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、nは1~4の値をとる]にて表されるものであることを特徴としている。
【0133】
本発明のさらに他の多環縮環型π共役有機材料は、前記課題を解決するために、下記式(4)
【0134】
【化12】
JP0004408416B2_000013t.gif

【0135】
[式(4)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとる]にて表される化合物を繰り返し単位として含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が、103~108の重合体であることを特徴としている。
【0136】
上記構成によれば、平面型の多環縮環型π共役有機材料であるので、高い発光特性や電荷輸送能を発揮でき、EL用等の発光有機材料や、電荷輸送有機材料などに有用なものにできると共に、重合体であるから成形性に優れる。
【0137】
上記多環縮環型π共役有機材料では、前記化合物は、下記の式(5)
【0138】
【化13】
JP0004408416B2_000014t.gif

【0139】
にて表されるものであってもよい。
【0140】
上記多環縮環型π共役有機材料においては、前記化合物は、下記の式(6)
【0141】
【化14】
JP0004408416B2_000015t.gif

【0142】
にて表されるものであってもよい。
【0143】
上記多環縮環型π共役有機材料では、前記重合体は、さらに、下記の式(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、および(12)
【0144】
【化15】
JP0004408416B2_000016t.gif

【0145】
[式(7)~(12)中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、およびAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基,2価の複素環基,または金属錯体構造を有する2価の基を示し、X1、X2、X3、X4、およびX5は、それぞれ独立に、-CR4=CR5-,-C≡C-,-N(R6)-,-B(R7)-,または-(SiR89)q-を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,カルボキシル基,置換カルボキシル基,またはシアノ基を示し、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,またはアリールアルキル基を示し、o、p、およびqは、それぞれ独立に、1~12の整数を示す]からなる群から選択される少なくとも一つの繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0146】
上記構成によれば、式(4)にて示される化合物を繰り返し単位として含む重合体に、さらに上記群から選択された一つの繰り返し単位を含むことにより、上記重合体の高発光効率を維持したまま、上記重合体の発光波長を変化させることが可能となる。
【0147】
本発明に係る、多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、前記の課題を解決するために、下記式(13)
【0148】
【化16】
JP0004408416B2_000017t.gif

【0149】
[式(13)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y3、およびY4は、それぞれ独立に、リチウム,カリウム,ナトリウム,ハロゲン化マグネシウム,マグネシウムアミド,またはジアルキル亜鉛を示す]にて表される化合物であることを特徴としている。
【0150】
上記構成によれば、R4を備えていることで、Y3、およびY4をより簡便に確実に導入することができて、上述の優れた特性を有する重合体をより安定に得ることができる。上記構成では、Y3、およびY4は、ケイ素が結合している炭素に対してメタ位に結合していることが、π共役系を直線状に延ばすことができて発光等を安定化できる。この場合では、R4を、ケイ素が結合している炭素に対してパラ位に位置して有することが望ましい。
【0151】
本発明に係る、多環縮環型π共役有機材料の他の合成中間体は、前記の課題を解決するために、下記式(14)
【0152】
【化17】
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【0153】
[式(14)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y5、およびY6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子,ハロゲン化マグネシウム,アルキルマグネシウム,ハロゲン化亜鉛,ジアルキル亜鉛,シリル基,置換シリル基,スタンニル基,置換スタンニル基,ボロン酸,またはボロン酸エステルを示す]にて表される化合物であることを特徴としている。
【0154】
上記構成によれば、式(1)中、式(4)で示される構造を有する化合物の場合には、オルトメタル化により式(13)に示されるジメタル化物へと変換することができる。さらに、これを求電子性ハロゲン化剤あるいは求電子性メタル化剤と処理することにより、式(14)に示される化合物へと収率よく安定に誘導することが可能となった。
【0155】
その上、式(13)あるいは式(14)で示される官能基を有する誘導体を原料に用いた、それ自身の、あるいは、式(7)~(12)に示すような他のモノマーとのカップリング反応により、式(4)で示される化合物を繰り返し単位に少なくとも含む高分子化合物(重合体)を収率よく安定に得ることができる。
【0156】
本発明の多環縮環型π共役有機材料のさらに他の合成中間体は、前記課題を解決するために、下記式(15)
【0157】
【化18】
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【0158】
[式(15)中、Y1、およびY2は、それぞれ独立に、水素原子,ハロゲン原子,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリールオキシ基,アリールチオ基,シリル基,置換シリル基,スタンニル基,または置換スタンニル基を示し、また、R1、およびR2、は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,置換アミノ基,シリル基,置換シリル基,シリルオキシ基,置換シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,置換アミノ基,置換シリル基,置換シリルオキシ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,置換カルバモイル基,イミノ基,置換イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,置換スルフォ基,置換スルファモイル基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基などのオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物であることを特徴としている。
【0159】
上記構成によれば、前述した、優れた特性を有する多環縮環型π共役有機材料、およびその重合体を、分子内還元的環化反応により安定に得ることができる。上記合成中間体では、R3の少なくとも一つは、それが結合しているベンゼン環に結合しているケイ素の結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。これにより、前記の重合体の合成に好適な合成中間体(前記の式(13)や式(14))を効率よく得ることができる。
【0160】
また、上記合成中間体においては、ベンゼン環に結合したケイ素は、三重結合炭素との結合位置に対してオルト位置が好ましい。これによって、分子内還元的環化反応の進行を促進できる。
【0161】
本発明に係る、多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、前記の課題を解決するために、有機ケイ素基を有するアリールアセチレン系化合物に対して、金属還元剤を反応させ、分子内還元的環化反応を進行させて、前記の式(1)にて表される化合物を得ることを特徴としている。
【0162】
上記方法によれば、前述した、優れた特性を有する多環縮環型π共役有機材料およびその合成中間体を、分子内還元的環化反応により、効率よく得ることができる。
【0163】
上記製造方法では、アリールアセチレン系化合物は、フェニルアセチレン系化合物であることが好ましい。上記方法によれば、アリールアセチレン系化合物は、フェニルアセチレン系化合物とすることで、分子内還元的環化反応をより安定に進行させることが可能となる。
【0164】
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の多環縮環型π共役有機材料、その合成中間体、および多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、以上のように、有機ケイ素を置換基に有するベンゼン環を炭化水素として、三重結合を備えた直鎖式炭化水素(アリールアセチレン系化合物、フェニルアセチレン系化合物)に対して、金属還元剤を反応させることにより、ケイ素と三重結合を有する炭素との間にて、分子内還元的環化反応を進行させて得られるものである。
【0166】
本発明の多環縮環型π共役有機材料は、発光材料や電荷輸送材料として使用可能な新規な化合物である。
【0167】
また、本発明の多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、従来のような特殊な高温熱分解反応を省いて、(1) 大量合成に向き、(2) 高分子合成に必要な官能基をもつ誘導体の合成が可能となり、および(3) 多環縮環型の化合物の合成にも応用できて、上述した有用な多環縮環型π共役有機材料の製造を安定に、確実化できる。