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明細書 :パラジウム触媒組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4773722号 (P4773722)
登録日 平成23年7月1日(2011.7.1)
発行日 平成23年9月14日(2011.9.14)
発明の名称または考案の名称 パラジウム触媒組成物
国際特許分類 B01J  31/28        (2006.01)
C07C  33/28        (2006.01)
C07C  69/54        (2006.01)
C07C  69/618       (2006.01)
FI B01J 31/28 Z
C07C 33/28
C07C 69/54 Z
C07C 69/618
請求項の数または発明の数 12
全頁数 41
出願番号 特願2004-535894 (P2004-535894)
出願日 平成15年9月1日(2003.9.1)
国際出願番号 PCT/JP2003/011131
国際公開番号 WO2004/024323
国際公開日 平成16年3月25日(2004.3.25)
優先権出願番号 2002267798
優先日 平成14年9月13日(2002.9.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成18年5月22日(2006.5.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000252300
【氏名又は名称】和光純薬工業株式会社
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】佐野 淳典
【氏名】大野 桂二
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 TOSHIMA, N. et al.,Substrate selectivity by the polymer support in hydrogenation over crosslinked polymer-immobilized metal catalysts,React. Polym.,1991年,Vol. 15,p. 135-145
KRALIK, M. et al.,Microporous poly-N,N-dimethylacrylamide-p-styrylsulfonate-methylene bis(acrylamide): a promising support for metal catalysis,J. Mol. Catal. A Chem.,1995年,Vol. 97, No. 3,p. 145-155
CORAIN, B. et al.,Generating palladium nanoclusters inside functional cross-linked polymer frameworks,J. Mol. Catal. A Chem.,2001年,Vol. 173, No. 1-2,p. 99-115
調査した分野 B01J 21/00-38/74
特許請求の範囲 【請求項1】
(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、
(2)スチレン系モノマー、及び
(3)アクリル酸系モノマー又は鎖中或いは末端に1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーの共重合体と、パラジウム触媒とを、当該共重合体を溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物を架橋反応させることにより得られる、
架橋型有機高分子化合物とパラジウム触媒とからなり、当該触媒が当該架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された、オレフィンの水素添加反応用、アリル位置換反応用、又はアルコールの酸化反応用触媒組成物。
【請求項2】
触媒組成物中のパラジウム触媒が、Pd(0)又はPd(II)塩である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Pd(0)が、配位子を有さないものである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物が、下記一般式[1]又は[2]で示されるグリシジルエーテル又はグリシジルエステル
JP0004773722B2_000068t.gifJP0004773722B2_000069t.gif(式中、R2、R3、R5及びR6は夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、X及びYは夫々独立して炭素数1~6のアルキレン基を表し、R2はR3或いはXの炭素原子と、R5はR6或いはYの炭素原子と夫々3~6員の環を形成していてもよい。R1及びR4は夫々独立して下記一般式[3]
JP0004773722B2_000070t.gif[式中、R7及びR8は夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R9は結合手、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~9のアリーレン基、炭素数7~12のアリールアルキレン基又は炭素数7~15のアリーレンアルキレン基を表す。また、上記したアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。]で示される基を表す。)であり、
(2)スチレン系モノマーが、一般式[6]
JP0004773722B2_000071t.gif(式中、R16及びR17は夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R19は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R18は炭素数6~10のアリール基を表し、上記したアリール基に於ける芳香環は、更に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。)で示されるものであり
(3)のアクリル酸系モノマーが、下記一般式[4]
JP0004773722B2_000072t.gif(式中、R10は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R11は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~12のアラルキル基を表し、上記したアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、R12は結合手、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~9のアリーレン基、炭素数7~12のアリールアルキレン基又は炭素数7~15のアリーレンアルキレン基を表す。)で示されるものであり、
(3)の1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーが、下記一般式[5]
JP0004773722B2_000073t.gif(式中、R13は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表し、R14はその鎖中或いは末端に酸素原子を含んでいてもよい直鎖状の炭素数1~50のヒドロキシアルキル基を表し、R15は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~12のアラルキル基を表し、これらアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。)で示されるものである、
請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
一般式[1]、[2]、[4]、[5]及び[6]で示される化合物又はモノマーの少なくとも一種以上が、芳香環を有するものである請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
一般式[1]、[2]、[4]、[5]及び[6]で示される化合物又はモノマー全てが、芳香環を有するものである請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
架橋型有機高分子化合物に於いて、重合性二重結合由来のアルキレン鎖と、重合性二重結合由来の別のアルキレン鎖との間に存在する架橋部分の最短原子数が、1~400個である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(3)のモノマーが、鎖中或いは末端に1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物がビニルベンジルグリシジルエーテル又はビニルフェニルグリシジルエーテルであり、(2)スチレン系モノマーがスチレン又はメチルスチレンであり、(3)のアクリル酸系モノマーがアクリル酸又はメタクリル酸であり、(3)の鎖中或いは末端に1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーがテトラエチレングリコール モノメタクリロイルエステル又はテトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルである請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
共重合体と均一化するパラジウム触媒が、トリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリエチルホスフィン又はトリメチルホスフィンとの錯体である請求項1に記載の組成物
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の組成物の存在下、アリル炭酸エステルと求核剤とを作用させることを特徴とするアリル位置換反応方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれかに記載の組成物をアルコールに作用させることを特徴とするアルコールの酸化反応方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、耐溶剤性に優れ、繰り返し使用してもその活性が低下しない、架橋型有機高分子化合物に担持されたパラジウム触媒から成る触媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウムは、有機合成に於いて種々の変換反応を起こすことから、有用性の高い触媒として知られている。この金属は高価である上、空気との接触によりその活性が低下したり、繰り返しの使用が出来ないことから、これを触媒としてそのまま使用するには多くの問題があった。これらの問題を解決する技術として、パラジウムを高分子に固定化するという試みがなされ、過去、高分子固定化パラジウムを用いた種々の反応についても多くの報告がなされているが、従来の高分子固定化パラジウムは触媒自体の安定性は向上しているものの、何れも触媒の回収率が悪く、繰り返しの使用によってその活性が低下するという共通の問題を有していた。
【0003】
即ち、例えば、本発明者等は、芳香環を有する高分子化合物であるポリスチレン系高分子化合物に、例えばパラジウム錯体化合物、有機パラジウム化合物、無機塩、有機塩等のパラジウム化合物を固定化させて得られるマイクロカプセル化金属触媒を創製した(例えば、特願2001-59742号明細書参照)。しかし、ここで担体として用いられている高分子化合物は何れも非架橋型であることから、一般的な有機反応に使用される有機溶媒、例えば塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等に溶解し易いという難点があるため、該マイクロカプセル化金属触媒は一般的な有機溶媒を使用する反応に利用することが困難であった。また、該マイクロカプセル化金属触媒の担体である高分子化合物は非架橋型であることから、該金属触媒組成物が容易に塊状となり、結果として該金属触媒組成物の表面積が小さくなるため、高分子担体に担持されている金属の量に対して実際に機能している触媒が少なくなって、非常に触媒効率が悪いという問題があり、更にはこれら金属触媒を用いた反応に於いて、原料や反応生成物が触媒を構成する担体高分子へ取り込まれるといった問題もあった。
【0004】
そこで、本発明者等は、これらの問題を解決すべく、上記ポリスチレン系高分子化合物としてジビニルベンゼン等で架橋して得られる架橋型高分子担体を用いることを検討した。しかしながら、金属を高分子上へ物理的に担持させるには、高分子担体を一旦溶媒に溶解する必要があるため、一般的な有機溶媒に不溶であるジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレンでは金属の固定化が不可能であった。
【0005】
一方、この様な架橋型高分子担体に金属触媒を担持させる方法としてイオン交換基を導入した架橋型高分子に金属触媒を担持させる方法(例えば、特開昭59-27840号公報参照)も知られているが、この様な方法で得られた担体担持金属触媒は、その使用時の液性によっては担持された金属触媒が漏れ出し、繰り返しの使用が困難な場合もあった。
【0006】
このような状況から、高分子担体が有機溶媒に対して不溶であり、繰り返しの使用によっても担持されている金属の漏れが少なく、その活性が低下しない、より汎用性の高い新規架橋型高分子担持金属触媒の創製が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、1)架橋型有機高分子化合物とパラジウム触媒とからなり、該触媒が当該架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された触媒組成物、2)架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、パラジウム触媒とを、当該直鎖型有機高分子化合物を溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を架橋反応させることを特徴とする、上記1)の触媒組成物の製造方法、3)上記1)の触媒組成物の存在下、アリル炭酸エステルと求核剤とを作用させることを特徴とするアリル位置換反応方法、及び4)上記1)の触媒組成物をアルコールに作用させることを特徴とするアルコールの酸化反応方法、の発明である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、パラジウム触媒とを、当該直鎖型有機高分子化合物を溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を架橋反応させることにより、架橋型有機高分子化合物とパラジウム触媒とからなり、当該触媒が当該架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された触媒組成物を容易に調製し得ることを見出し、更にこのようにして得られた触媒組成物が、従来のパラジウム触媒よりも高い活性を示して各種反応に利用でき、しかも耐溶剤性に優れ、繰り返しの使用によってもその活性の低下が少なく、且つ取り扱いが容易であることを見出し、本発明を完成するに到った。更に、本発明者等は、更に鋭意研究を重ねた結果、特定構造の、架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、配位子により配位されたPd(0)とを、当該直鎖型有機高分子化合物を溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を架橋反応させることにより、配位子に配位されていないPd(0)が物理的に担持された触媒組成物をも容易に合成し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るパラジウム触媒とは、この分野でパラジウム触媒として用いられている物であれば全て含まれるが、Pd(0)、Pd(I)、Pd(II)由来のものが好ましい。Pd(0)由来のものとしてはPd(0)そのもの(配位子等を有さないもの)及び配位子が配位したPd(0)錯体が含まれ、Pd(I)由来のものとしては、例えばジクロロ-μ-ビス[ビス(ジメチルホスフィノ)メタン]二パラジウム(Pd2Cl2[(CH3)2PCH2P(CH3)2]2)、ジクロロ-μ-ビス[ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン]二パラジウム(Pd2Cl2[Ph2PCH2PPh2]2)等が挙げられ、Pd(II)由来のものとしては、例えばPd(II)塩が挙げられ、これには、例えばPd(II)ハロゲン化物(塩化物、臭化物、ヨウ化物等)、Pd(II)カルボン酸塩(例えば酢酸塩およびプロピオン酸塩)等が含まれる。中でもPd(0)及びPd(II)塩が好ましく、Pd(0)がより好ましい。
【0010】
Pd(0)錯体の配位子としては、例えば1,5-シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhNC)、イソシアニド(RNC)、トリエチルアルシン(As(Et)3)、例えばジメチルフェニルホスフィン(P(CH3)2Ph),ジフェニルホスフィノフェロセン(dPPf),トリメチルホスフィン(P(CH3)3),トリエチルホスフィン(P(Et)3),トリtert-ブチルホスフィン(P(tBu)3),トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3),トリメトキシホスフィン(P(OCH3)3),トリエトキシホスフィン(P(OEt)3),トリtert-ブトキシホスフィン(P(OtBu)3),トリフェニルホスフィン(PPh3),1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE),トリフェノキシホスフィン(P(OPh)3)等の有機ホスフィン配位子等が挙げられ、中でも有機ホスフィン配位子が好ましく、特にトリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン等が好ましい。中でも更にトリフェニルホスフィンが好ましい。本発明の触媒組成物に担持されたパラジウム触媒が配位子を有するPd(0)である場合、その配位子の数は、調製の際に使用する直鎖型有機高分子化合物の種類や架橋反応条件等により異なるが、通常1~4個である。
【0011】
架橋型有機高分子化合物としては、例えば、1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー1種以上を重合又は共重合して得られるポリマー又はコポリマーの架橋体、或いは1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー1種以上と2)重合性二重結合を有するモノマー1種以上とを共重合することにより得られるコポリマーの架橋体が挙げられ、中でも1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー2種と、2)重合性二重結合を有するモノマー1種とを共重合することにより得られるコポリマーの架橋体が好ましい。
【0012】
架橋性官能基としては、例えば酸の添加や加熱等による脱水縮合等の縮合反応により縮合し得る基、適当な架橋剤と反応し得る基等が挙げられ、具体的には、例えばエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、イソシアネート基、アミノ基等が挙げられる。
【0013】
上記した如き架橋型有機高分子化合物の架橋前のコポリマーを構成するモノマー単位は、架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー由来のモノマー単位若しくはこれと重合性二重結合を有するモノマー由来のモノマー単位である。
【0014】
本発明に係る架橋型有機高分子化合物に於いて、架橋前のコポリマー全体に対する架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー由来のモノマー単位の割合は、通常0.1~100mol%、好ましくは1~50mol%、より好ましくは5~40mol%、更により好ましくは5~20mol%である。
【0015】
本発明に係る架橋型有機高分子化合物の架橋前のポリマー又はコポリマーは、所謂直鎖型有機高分子化合物であり、該直鎖型有機高分子化合物の構成原料となる1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマーとしては、例えば
(1)下記一般式[1]又は[2]で示されるグリシジルエーテル又はグリシジルエステルから選ばれた、架橋性官能基としてエポキシ基を含有するグリシジル化合物
JP0004773722B2_000002t.gif
JP0004773722B2_000003t.gif(式中、R、R、R及びRは夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、X及びYは夫々独立して炭素数1~6のアルキレン基を表し、RはR或いはXの炭素原子と、RはR或いはYの炭素原子と夫々3~6員の環を形成していてもよい。R及びRは夫々独立して下記一般式[3]
JP0004773722B2_000004t.gif
【0016】
[式中、R及びRは夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Rは結合手、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~9のアリーレン基、炭素数7~12のアリールアルキレン基又は炭素数7~15のアリーレンアルキレン基を表す。また、上記したアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。]で示される基を表す。)、
(2)架橋性官能基としてカルボキシル基を含有する、下記一般式[4]で示されるモノマー
JP0004773722B2_000005t.gif
【0017】
(式中、R10は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R11は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~12アラルキル基を表し、上記したアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。また、R12は結合手、炭素数1~6のアルキレン基、炭素数6~9のアリーレン基、炭素数7~12のアリールアルキレン基又は炭素数7~15アリーレンアルキレン基を表す。)、又は
(3)架橋性官能基としてヒドロキシル基、アシルオキシ基、イソシアネート基又はアミノ基を含有する下記一般式[5]で示されるモノマー
JP0004773722B2_000006t.gif
【0018】
(式中、R13は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基を表し、R14はヒドロキシル基、アミノ基、カルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~50のヒドロキシアルキル基、炭素数6~10のヒドロキシアリール基、カルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよい炭素数7~50のヒドロキシアラルキル基、カルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよい炭素数7~50のヒドロキシアルキルアリール基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数7~15のアリールアシルオキシ基、炭素数2~7のイソシアネートアルキル基、炭素数7~20のイソシアネートアリール基、炭素数8~20のイソシアネートアラルキル基、炭素数8~20のイソシアネートアルキルアリール基、炭素数2~7のアミノアルキル基、炭素数7~20のアミノアリール基、炭素数8~20のアミノアラルキル基又は炭素数8~20のアミノアルキルアリール基を表し、上記したヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシアルキルアリール基、アリールアシルオキシ基、イソシアネートアリール基、イソシアネートアラルキル基、イソシアネートアルキルアリール基、アミノアリール基、アミノアラルキル基、アミノアルキルアリール基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を有していてもよい。R15は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基又は炭素数7~12のアラルキル基を表し、これらアリール基又はアラルキル基に於ける芳香環は、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基及び/又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。)等が挙げられる。
【0019】
上記(1)のエポキシ基及び重合性二重結合を含有するグリシジル化合物である一般式[1]又は[2]で示されるグリシジルエーテル又はグリシジルエステルに於いて、R、R、R及びRで表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、更に好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
一般式[1]に於いて、R及びRは共に水素原子であることが好ましく、また、一般式[2]に於いて、R及びRは共に水素原子であることが好ましい。
【0021】
X及びYで表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、更に好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0022】
一般式[3]に於けるR及びRで表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0023】
一般式[3]に於いて、R及びRは共に水素原子であることが好ましい。
【0024】
で表されるアルキレン基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0025】
で表されるアリーレン基としては、通常炭素数6~9のものが挙げられ、具体的には、例えばp-フェニレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、2-メチルフェニレン基、2,6-ジメチルフェニレン基、2,4-ジメチルフェニレン基、2,3-ジメチルフェニレン基等が挙げられる。
【0026】
で表されるアリールアルキレン基としては、通常炭素数7~12のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニルメチレン基、フェニルエチレン基、1-フェニルプロピレン基、2-フェニルプロピレン基、1-フェニルブチレン基、2-フェニルブチレン基、ナフチルメチレン基、ナフチルエチレン基等が挙げられる。

【0027】
で表されるアリーレンアルキレン基としては、通常炭素数7~15、好ましくは7~10のものが挙げられ、上記した如きアルキレン基とアリーレン基が適宜組み合わされて成るものであり、具体的には、例えば
【0028】
JP0004773722B2_000007t.gif
JP0004773722B2_000008t.gif
JP0004773722B2_000009t.gif等が挙げられる。
【0029】
一般式[3]で表されるRがアリーレン基又はアリーレンアルキレン基であるものが好ましく、中でも特にアリーレンアルキレン基が好ましい。
【0030】
一般式[1]及び[2]に於いて、RがR或いはXの炭素原子と、RがR或いはYの炭素原子と形成していてもよい環としては、通常3~6員のものが挙げられ、具体的にはシクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等が挙げられる。
【0031】
一般式[1]又は[2]で示されるグリシジル化合物のうち好ましい具体例としては、例えばビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルフェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、例えばグリシジルベンゾエート、グリシジルフェニルアセテート等のグリシジルエステル類が挙げられる。
【0032】
本発明に係るグリシジル化合物に於いては、一般式[1]で示されるグリシジルエーテル類が特に好ましい。
【0033】
上記(2)のカルボキシル基及び重合性二重結合を有する一般式[4]で示されるモノマーに於いて、R10及びR11で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0034】
11で表されるアリール基としては、通常炭素数6~10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0035】
11で表されるアラルキル基としては、通常炭素数7~12、好ましくは7~10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
【0036】
11で表されるアリール基及びアラルキル基に於ける芳香環が有していてもよい置換基であるアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0037】
上記した如き置換基は、R11で表されるアリール基及びアラルキル基に於ける芳香環に通常1~5個、好ましくは1~2個置換していてもよい。
【0038】
一般式[4]に於いてR12で表されるアルキレン基、アリーレン基、アリールアルキレン基、アリーレンアルキレン基は、上記一般式[3]に於けるRで表されるそれらと同様のものが挙げられる。
【0039】
一般式[4]で示されるモノマーに於いては、R12は結合手であることが好ましく、本発明に於いてはこのようなモノマーをアクリル酸系モノマーとも呼ぶ。
【0040】
アクリル酸系モノマーのうち、より好ましいものの例としては、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられ、中でも特にメタクリル酸が好ましい。
【0041】
上記(3)のヒドロキシル基、アシルオキシ基、イソシアネート基又はアミノ基と、重合性二重結合を有する一般式[5]で示されるモノマーに於いて、R13で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~20、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、更に好ましくは1~4、特に好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、シクロウンデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロイコシル基等が挙げられる。
【0042】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアルキル基のヒドロキシアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~50、好ましくは2~20、より好ましくは5~15、更に好ましくは8~13のものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-n-プロピル基、2-ヒドロキシ-n-プロピル基、3-ヒドロキシ-n-プロピル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシ-n-ブチル基、2-ヒドロキシ-n-ブチル基、3-ヒドロキシ-n-ブチル基、4-ヒドロキシ-n-ブチル基、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピル基、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル基、1-ヒドロキシ-2-メチルプロピル基、3-ヒドロキシ-1-メチルプロピル基、2-ヒドロキシ-1-メチルプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルプロピル基、1-ヒドロキシペンチル基、2-ヒドロキシペンチル基、3-ヒドロキシペンチル基、4-ヒドロキシペンチル基、5-ヒドロキシペンチル基、4-ヒドロキシ-1-メチルブチル基、3-ヒドロキシ-1-エチルプロピル基、1-ヒドロキシ-1-エチルプロピル基、1-ヒドロキシ-n-ヘキシル基、3-ヒドロキシ-n-ヘキシル基、6-ヒドロキシ-n-ヘキシル基、5-ヒドロキシ-3-ペンチル基、4-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチル基、1-ヒドロキシヘプチル基、7-ヒドロキシヘプチル基、8-ヒドロキシオクチル基、9-ヒドロキシノニル基、10-ヒドロキシデシル基、11-ヒドロキシドデシル基、12-ヒドロキシウンデシル基、13-ヒドロキシトリデシル基、14-ヒドロキシテトラデシル基、15-ヒドロキシペンタデシル基、16-ヒドロキシヘキサデシル基、17-ヒドロキシヘプタデシル基、18-ヒドロキシオクタデシル基、19-ヒドロキシノナデシル基、20-ヒドロキシイコシル基、25-ヒドロキシペンタコシル基、30-ヒドロキシトリアコンチル基、40-ヒドロキシテトラコンチル基、50-ヒドロキシペンタコンチル基、1-ヒドロキシシクロプロピル基,2-ヒドロキシシクロプロピル基,1-ヒドロキシシクロペンチル基,2-ヒドロキシシクロペンチル基,3-ヒドロキシシクロペンチル基,1-ヒドロキシシクロヘキシル基,2-ヒドロキシシクロヘキシル基,3-ヒドロキシシクロヘキシル基,1-ヒドロキシシクロヘプチル基、2-ヒドロキシシクロオクチル基、3-ヒドロキシシクロノニル基、3-ヒドロキシシクロデシル基、4-ヒドロキシシクロペンタデシル基等が挙げられる。
【0043】
上記した如きヒドロキシアルキル基は、その鎖中或いは末端にカルボニル基が通常1~5個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個、及び/又は酸素原子がその鎖中或いは末端に通常1~15個、好ましくは1~10個、より好ましくは3~5個含まれていてもよい。
【0044】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいるヒドロキシアルキル基の好ましい具体例としては、例えば
JP0004773722B2_000010t.gif
【0045】
JP0004773722B2_000011t.gif(式中、nは1~6の整数を示す。)
【0046】
JP0004773722B2_000012t.gif(式中、mは1~15の整数を表す。)
【0047】

JP0004773722B2_000013t.gif
【0048】
JP0004773722B2_000014t.gif(式中、nは前記と同じ。)
等が挙げられ、中でも酸素原子のみが含まれているヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0049】
14で表されるヒドロキシアリール基としては、通常炭素数6~10、好ましくは6のものもが挙げられ、具体的には、例えば2-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
【0050】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアラルキル基のヒドロキシアラルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数7~50、好ましくは7~30、より好ましくは8~20であり、具体的には、例えば2-ヒドロキシフェニルメチル基、3-ヒドロキシフェニルメチル基、4-ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシフェニルエチル基、ヒドロキシフェニルプロピル基、ヒドロキシフェニルブチル基、ヒドロキシフェニルヘキシル基、ヒドロキシフェニルヘプチル基、ヒドロキシフェニルオクチル基、ヒドロキシフェニルノニル基、ヒドロキシフェニルデシル基、ヒドロキシフェニルドデシル基、ヒドロキシフェニルウンデシル基、ヒドロキシフェニルトリデシル基、ヒドロキシフェニルテトラデシル基等が挙げられる。
【0051】
上記した如きヒドロキシアラルキル基は、その鎖中或いは末端にカルボニル基が通常1~5個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個、及び/又は酸素原子がその鎖中或いは末端に通常1~15個、好ましくは1~10個、より好ましくは3~5個含まれていてもよい。
【0052】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいるヒドロキシアラルキル基の好ましい具体例としては、例えば
JP0004773722B2_000015t.gif
【0053】
(式中、nは前記に同じ。)
JP0004773722B2_000016t.gif
【0054】
(式中、nは前記に同じ。)等が挙げられる。
【0055】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアルキルアリール基のヒドロキシアルキルアリール基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の通常炭素数7~50、好ましくは7~30、より好ましくは8~20のものが挙げられ、具体的には、例えば2-ヒドロキシメチルフェニル基、3-ヒドロキシメチルフェニル基、4-ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロキシエチルフェニル基、ヒドロキシプロピルフェニル基、ヒドロキシブチルフェニル基、ヒドロキシ-tert-ブチルフェニル基、ヒドロキシペンチルフェニル基、ヒドロキシイソペンチルフェニル基、ヒドロキシヘキシルフェニル基、ヒドロキシヘプチルフェニル基、ヒドロキシオクチルフェニル基、ヒドロキシノニルフェニル基、ヒドロキシデシルフェニル基、ヒドロキシドデシルフェニル基、ヒドロキシウンデシルフェニル基、ヒドロキシトリデシルフェニル基、ヒドロキシテトラデシルフェニル基等が挙げられる。
【0056】
上記した如きヒドロキシアルキルアリール基は、その鎖中或いは末端にカルボニル基が通常1~5個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個、及び/又は酸素原子がその鎖中或いは末端に通常1~15個、好ましくは1~10個、より好ましくは3~5個含まれていてもよい。
【0057】
14で表されるカルボニル基及び/又は酸素原子を含んでいるヒドロキシアラルキル基の好ましい具体例としては、例えば
JP0004773722B2_000017t.gif
【0058】
(式中、nは前記に同じ。)
JP0004773722B2_000018t.gif
【0059】
(式中、nは前記に同じ。)等が挙げられる。
【0060】
14で表されるアシルオキシ基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、通常炭素数2~6、好ましくは2~4のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等が挙げられる。
【0061】
14で表されるアリールアシルオキシ基としては、通常炭素数7~15、好ましくは7~10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等が挙げられる。
【0062】
14で表されるイソシアネートアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数2~7、好ましくは2~5のものが挙げられ、具体的には、例えば2-イソシアネートメチルフェニル基、3-イソシアネートメチルフェニル基、4-イソシアネートメチルフェニル基、イソシアネートエチルフェニル基、イソシアネートプロピルフェニル基、イソシアネートブチルフェニル基、イソシアネートtert-ブチルフェニル基、イソシアネートペンチルフェニル基、イソシアネートイソペンチルフェニル基、イソシアネートヘキシルフェニル基、イソシアネートヘプチルフェニル基、イソシアネートオクチルフェニル基、イソシアネートノニルフェニル基、イソシアネートデシルフェニル基、イソシアネートドデシルフェニル基、イソシアネートウンデシルフェニル基、イソシアネートトリデシルフェニル基、イソシアネートテトラデシルフェニル基等が挙げられる。
【0063】
14で表されるイソシアネートアリール基としては、通常炭素数7~20、好ましくは7~15のものが挙げられ、具体的には、例えばイソシアネートフェニル基、イソシアネートナフチル基、イソシアネートアントリル基等が挙げられる。
【0064】
14で表されるイソシアネートアラルキル基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、通常炭素数8~20、好ましくは8~15のものが挙げられ、具体的には、例えば2-イソシアネートフェニルメチル基、3-イソシアネートフェニルメチル基、4-イソシアネートフェニルメチル基、イソシアネートフェニルエチル基、イソシアネートフェニルプロピル基、イソシアネートフェニルブチル基、イソシアネートフェニルヘキシル基、イソシアネートフェニルヘプチル基、イソシアネートフェニルオクチル基、イソシアネートフェニルノニル基、イソシアネートフェニルデシル基、イソシアネートフェニルドデシル基、イソシアネートフェニルウンデシル基、イソシアネートフェニルトリデシル基、イソシアネートフェニルテトラデシル基等が挙げられる。
【0065】
14で表されるイソシアネートアルキルアリール基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、通常炭素数8~20、好ましくは8~15のものが挙げられ、具体的には、例えば2-イソシアネートメチルフェニル基、3-イソシアネートメチルフェニル基、4-イソシアネートメチルフェニル基、イソシアネートエチルフェニル基、イソシアネートプロピルフェニル基、イソシアネートブチルフェニル基、イソシアネートtert-ブチルフェニル基、イソシアネートペンチルフェニル基、イソシアネートイソペンチルフェニル基、イソシアネートヘキシルフェニル基、イソシアネートヘプチルフェニル基、イソシアネートオクチルフェニル基、イソシアネートノニルフェニル基、イソシアネートデシルフェニル基、イソシアネートドデシルフェニル基、イソシアネートウンデシルフェニル基、イソシアネートトリデシルフェニル基、イソシアネートテトラデシルフェニル基等が挙げられる。
【0066】
14で表されるアミノアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数2~7、好ましくは2~5のものが挙げられ、具体的には、例えば2-アミノメチルフェニル基、3-アミノメチルフェニル基、4-アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、アミノブチルフェニル基、アミノtert-ブチルフェニル基、アミノペンチルフェニル基、アミノイソペンチルフェニル基、アミノヘキシルフェニル基、アミノヘプチルフェニル基、アミノオクチルフェニル基、アミノノニルフェニル基、アミノデシルフェニル基、アミノドデシルフェニル基、アミノウンデシルフェニル基、アミノトリデシルフェニル基、アミノテトラデシルフェニル基等が挙げられる。
【0067】
14で表されるアミノアリール基としては、通常炭素数7~20、好ましくは7~15のものが挙げられ、具体的には、例えばアミノフェニル基、アミノナフチル基、アミノアントリル基等が挙げられる。
【0068】
14で表されるアミノアラルキル基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、通常炭素数8~20、好ましくは8~15のものが挙げられ、具体的には、例えば2-アミノフェニルメチル基、3-アミノフェニルメチル基、4-アミノフェニルメチル基、アミノフェニルエチル基、アミノフェニルプロピル基、アミノフェニルブチル基、アミノフェニルヘキシル基、アミノフェニルヘプチル基、アミノフェニルオクチル基、アミノフェニルノニル基、アミノフェニルデシル基、アミノフェニルドデシル基、アミノフェニルウンデシル基、アミノフェニルトリデシル基、アミノフェニルテトラデシル基等が挙げられる。
【0069】
14で表されるアミノアルキルアリール基としては、直鎖状、分枝状、或いは環状でもよく、通常炭素数8~20、好ましくは8~15のものが挙げられ、具体的には、例えば2-アミノメチルフェニル基、3-アミノメチルフェニル基、4-アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、アミノブチルフェニル基、アミノtert-ブチルフェニル基、アミノペンチルフェニル基、アミノイソペンチルフェニル基、アミノヘキシルフェニル基、アミノヘプチルフェニル基、アミノオクチルフェニル基、アミノノニルフェニル基、アミノデシルフェニル基、アミノドデシルフェニル基、アミノウンデシルフェニル基、アミノトリデシルフェニル基、アミノテトラデシルフェニル基等が挙げられる。
【0070】
上記した如きヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシアルキルアリール基、アリールアシルオキシ基、イソシアネートアリール基、イソシアネートアラルキル基、イソシアネートアルキルアリール基、アミノアリール基、アミノアラルキル基、アミノアルキルアリール基に於ける芳香環が有していてもよい置換基であるアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0071】
上記した如き置換基は、R14で表されるヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基、ヒドロキシアルキルアリール基、アリールアシルオキシ基、イソシアネートアリール基、イソシアネートアラルキル基、イソシアネートアルキルアリール基、アミノアリール基、アミノアラルキル基、アミノアルキルアリール基に於ける芳香環に通常1~5個、好ましくは1~2個置換していてもよい。
【0072】
一般式[5]で示されるモノマーに於いては、R14がカルボニル基又は/及び酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアルキル基であることが好ましく、更にR14が酸素原子を含んでいてもよい直鎖状のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。尚、R14が酸素原子を含む基である場合は酸素原子の数が通常1~15、好ましくは1~10個、より好ましくは3~5個をそのアルキル鎖中に含んでいるものが好ましい。
【0073】
一般式[5]に於いて、R15で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、secヘキシル基、tert-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0074】
15で表されるアリール基としては、通常炭素数6~10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0075】
15で表されるアラルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数7~12、好ましくは7~10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
一般式[5]で示されるモノマーのうち、好ましい具体例としては、例えば、
JP0004773722B2_000019t.gif
JP0004773722B2_000020t.gif
【0076】
JP0004773722B2_000021t.gif

【0077】
等が挙げられ、中でも特に
JP0004773722B2_000022t.gifJP0004773722B2_000023t.gif及び
JP0004773722B2_000024t.gifが好ましい。
【0078】
本発明に係る架橋型有機高分子化合物の架橋前のコポリマーである直鎖型有機高分子化合物の合成原料となる、2)重合性二重結合を有するモノマーとしては、例えば下記一般式[6]
JP0004773722B2_000025t.gif
【0079】
(式中、R16及びR17は夫々独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R19は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R18はカルボキシル基、ヒドロキシル基、炭素数2~6のアシルオキシ基、炭素数7~15のアリールアシルオキシ基、炭素数2~6のアルコキシカルボニル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~12のアラルキル基を表し、上記したアリールアシルオキシ基、アリール基及びアラルキル基に於ける芳香環は、更に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。)で示されるものが挙げられる。
【0080】
一般式[6]に於いて、R16~R19で表されるアルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~4、より好ましくは1~2のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基,エチル基,n-プロピル基,イソプロピル基,n-ブチル基,イソブチル基,sec-ブチル基,tert-ブチル基,n-ペンチル基,イソペンチル基,sec-ペンチル基,tert-ペンチル基,ネオペンチル基,n-ヘキシル基,イソヘキシル基,sec-ヘキシル基,tert-ヘキシル基,シクロプロピル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0081】
19で表されるハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0082】
18で表されるアシルオキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数2~6、好ましくは2~4のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられる。
【0083】
18で表されるアリールアシルオキシ基としては、通常炭素数7~15、好ましくは7~10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基等が挙げられる。
【0084】
18で表されるアルコキシカルボニル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数2~6、好ましくは2~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニルキ、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、シクロプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0085】
18で表されるアリール基としては、通常炭素数6~10、好ましくは6のものが挙げられ、具体的には、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0086】
18で表されるアラルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数7~12、好ましくは7~10のものが挙げられ、具体的には、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
【0087】
上記した如きR18で表されるアリールアシルオキシ基、アリール基及びアラルキル基に於ける芳香環が有していてもよい置換基であるアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、通常炭素数1~4のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等が挙げられ、また、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0088】
上記した如き置換基は、R18で表されるヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基及びヒドロキシアルキルアリール基に於ける芳香環に通常1~5個、好ましくは1~2個置換していてもよい。
【0089】
一般式[6]で示されるモノマーに於いては、R18がアリール基、より好ましくはフェニル基であることが好ましく、本発明に於いてはこのようなモノマーをスチレン系モノマーとも呼ぶ。
【0090】
スチレン系モノマーの好ましい具体例としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、α-エチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン等が挙げられ、中でもスチレン及びα-メチルスチレンが好ましく、特にスチレンが好ましい。
【0091】
上記した如き1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマーである一般式[1]、[2]、[4]及び[5]で示されるモノマー及び2)重合性二重結合を有するモノマーである一般式[6]で示されるモノマーの少なくとも一種以上が、その分子中に芳香環を有するものであることが好ましく、中でも一般式[6]で示されるモノマー中に芳香環があることが望ましく、更には全てのモノマー中に芳香環があることが望ましい。
【0092】
本発明に係る架橋型有機高分子化合物としては、(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、(2)スチレン系モノマー及び(3)アクリル酸系モノマー又は1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を有するモノマーの共重合体を架橋することにより得られるものが好ましく、中でも(3)のモノマー成分が、1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を有するモノマーであるものが好ましく、更には(1)芳香環、エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、(2)スチレン系モノマー及び(3)芳香環、1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を有するモノマーの共重合体を架橋することにより得られるものが更に好ましい。即ち、各モノマー単位は芳香環を有するものが望ましいが、全モノマー単位の通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは100%が芳香環を有していればよい。
【0093】
また、上で述べた1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー1種以上を重合又は共重合して得られるポリマー又はコポリマー、或いは1)架橋性官能基及び重合性二重結合を有するモノマー1種以上と2)重合性二重結合を有するモノマー1種以上とを共重合することにより得られるコポリマーを、直鎖型有機高分子化合物と略記することがある。
【0094】
架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物を得る際には、上記した如き各種モノマーを適当な溶媒に溶解或いは懸濁させ、適当な重合開始剤を加えた後加熱しながら撹拌反応させるという、公知の方法に従って重合すればよい。
【0095】
即ち、例えば上記した如き各種モノマーを上記した如き比率となるように混合し、モノマーに対して1~10倍容量の適当な溶媒、例えばトルエン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン等に溶解し、窒素気流下でモノマーに対して0.1~30重量%の重合開始剤、例えばアゾイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオン酸メチル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の存在下、50~150℃で1~20時間反応させ、反応後は高分子取得の常法に従って処理することにより目的の直鎖型有機高分子化合物が得られる。
【0096】
本発明に係る直鎖型有機高分子化合物の重量平均分子量(Mw)は、適当な溶媒に溶解する物であれば特に限定されないが通常2,000~3,000,000、好ましくは10,000~100,000である。
【0097】
上記した如き直鎖型有機高分子化合物を構成するモノマー単位は、上記一般式[1]で示されるモノマー由来の下記一般式[1']
JP0004773722B2_000026t.gif
【0098】
(式中、R~R及びR~Rは前記と同じ。)で示されるモノマー単位、上記一般式[2]で示されるモノマー由来の下記一般式[2']
JP0004773722B2_000027t.gif
【0099】
(式中、R~Rは前記と同じ。)で示されるモノマー単位、上記一般式[4]で示されるモノマー由来の下記一般式[4']
JP0004773722B2_000028t.gif
【0100】
(式中、R10~R12は前記と同じ。)で示されるモノマー単位、上記一般式[5]で示されるモノマー由来の下記一般式[5']
JP0004773722B2_000029t.gif
【0101】
(式中、R13~R15は前記と同じ。)で示されるモノマー単位及び上記一般式[6]で示されるモノマー由来の下記一般式[6']
JP0004773722B2_000030t.gif
【0102】
(式中、R16~R19は前記と同じ。)で示されるモノマー単位等が挙げられる。
【0103】
本発明に係る直鎖型有機高分子化合物を構成する各種モノマー単位の組み合わせが、例えば(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、(2)スチレン系モノマー及び(3)アクリル酸系モノマーである場合には、それらに対応するモノマー単位である、一般式[1']又は[2']、一般式[6']及び一般式[4']の内、一般式[1']又は[2']、及び一般式[4']で示されるモノマー単位が架橋性官能基を有するものであるからこれらが上記した如き比率となるように直鎖型有機高分子化合物が合成される。また、(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、(2)スチレン系モノマー及び(3)1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を有するモノマーである場合には、同様に一般式[1']又は[2']、及び一般式[5']で示されるモノマー単位が上記した如き比率となるようには直鎖型有機高分子化合物が合成される。また、(1)エポキシ基及び重合性二重結合を有するグリシジル化合物、(2)スチレン系モノマー及び(3)1個以上の酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を有するモノマーの構成比率としては、好ましくは(1):(2):(3)=3~12:78~92:5~10程度である。
【0104】
上記一般式[1']、[2']、[4']、[5']及び/又は[6']で示されるモノマー単位から構成されているコポリマーが架橋された後の所謂本発明に係る架橋型有機高分子化合物は、モノマー単位に存在する
JP0004773722B2_000031t.gif
【0105】
で示される構造を重合性二重結合由来のアルキレン鎖とすると、重合性二重結合由来のアルキレン鎖と、重合性二重結合由来の別のアルキレン鎖との間に架橋部分が存在し、本発明に於ける当該架橋部分の最短原子数は、通常1個以上、下限が順に好ましく2、3、5、8、10、11、15、18、19であり、上限が順に好ましく400、200、100、80、70、60、50、45、40、35、30、28である。

【0106】
JP0004773722B2_000032t.gif 上記の架橋部分の最短原子数とは、例えば、高分子化合物の架橋部分が下記
で示される構造を有する場合には、構造式中に数字で示したように最短原子数は9個ということになる。
【0107】
本発明の、パラジウム触媒が上記した如き架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された触媒組成物は、例えば架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、パラジウム触媒とを、当該直鎖型有機高分子化合物を溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を縮合反応させる架橋反応に付すことにより製造し得る。尚、この際にパラジウム触媒は溶媒に溶解している必要はなく、均一に懸濁されていればよく、このような状態からも目的の本発明の触媒組成物を調製することは可能である。
【0108】
尚、本発明の触媒組成物を製造するに当たり、パラジウム触媒として配位子に配位されたPd(0)(以下、配位Pd(0)と略記する場合がある。)を用い、且つ最終的な架橋部分の最短原子数が10~35、好ましくは15~30となるように適当な架橋性官能基を組み合わせて架橋反応を行わせた場合、本発明の触媒組成物に担持されるパラジウム触媒は配位子が配位していないPd(0)そのものとなることが判った。従来Pd(0)そのものは極めて不安定であり安定な形では取り出せないと考えられていたが、本発明の方法を、特定のパラジウム触媒(配位Pd(0))と、上記した如き特定の架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物とを組み合わせて実施することによりPd(0)そのものを物理的に担持した触媒組成物が容易に(例えば還元処理等することなく)得られるのである。このような目的で用いられる好ましい反応性官能基の組み合わせとしては、例えば一般式[1]又は[2]で示されるモノマーに於けるエポキシ基を有するグリシジル基と、一般式[5]で示されるモノマーに於けるR14で示されるカルボニル基又は/及び酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアルキル基との組み合わせ等が好ましく挙げられる。また、上記のような目的に用いられる配位子としては、例えば1,5-シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、トリエチルアルシン(As(Et)3)、例えばジメチルフェニルホスフィン(P(CH3)2Ph),ジフェニルホスフィノフェロセン(dPPf),トリメチルホスフィン(P(CH3)3),トリエチルホスフィン(P(Et)3),トリtert-ブチルホスフィン(P(tBu)3),トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3),トリメトキシホスフィン(P(OCH3)3),トリエトキシホスフィン(P(OEt)3),トリtert-ブトキシホスフィン(P(OtBu)3),トリフェニルホスフィン(PPh3),1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE),トリフェノキシホスフィン(P(OPh)3)等の有機ホスフィン配位子等が挙げられ、中でも有機ホスフィン配位子が好ましく、特にトリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン等が好ましい。中でも更にトリフェニルホスフィンが好ましい。尚、何故このような現象が起こるのかについては明確ではないが、上記した如き特定の架橋性官能基を架橋させることにより、立体的な障害が起こり配位Pd(0)から配位子が脱離されるためではないかと考えている。
【0109】
担持させるパラジウム触媒の量は、架橋型高分子化合物1gに対して通常0.00001~0.01mol、好ましくは0.00005~0.005molであり、架橋型高分子化合物に担持されるパラジウム金属の量は、架橋型高分子化合物に対して通常0.00001~50重量%、好ましくは0.0001~30重量%、より好ましくは0.001~15重量%、更に好ましくは0.01~10重量%である。
【0110】
上記した如き架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物を溶解する溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン等のエーテル類、例えばシクロヘキサン、n-ヘキサン等の炭化水素類、例えば塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
【0111】
また、架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物を上記溶媒に溶解する際の溶媒の温度は、通常-78~200℃、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~50℃である。
【0112】
架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、パラジウム触媒と上記溶媒中で均一化させることによって、パラジウム触媒が架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物に物理的に担持される。
【0113】
尚、上記した如き物理的な担持とは、所謂イオン結合、共有結合等の化学結合による担持とは異なり、パラジウム触媒が直鎖型有機高分子化合物の分子鎖に挟まれた状態や包まれた状態等、それらが単に固定化(担持)されていることを示す。
【0114】
溶媒中に析出した、パラジウム触媒が架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物に物理的に担持された組成物を濾取し、当該組成物を、例えば溶媒を用いることなく加熱する方法等により当該析出物中の架橋性官能基を架橋反応させることにより、当該組成物が有する各種架橋性官能基が架橋反応し、架橋が起こる。この結果生じる架橋の程度は目的の触媒作用に支障を来さない範囲であれば特に限定されないが、架橋されたモノマー単位が全モノマー単位の0.1~10%、好ましくは0.5~5%、より好ましくは0.5~3%程度が望ましい。
【0115】
尚、本発明に係る架橋反応は、上記した如き加熱による方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、縮合剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に従っても行うことが出来る。
【0116】
尚、パラジウム触媒の物理的担持状態は、担体である高分子が架橋されることにより網目構造になるため、先に述べた金属触媒の直鎖型高分子化合物への物理的担持に比べて、より強固に固定化(担持)され、その結果パラジウム触媒の漏れ出しが生じ難くなることとなる。
【0117】
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~300℃、好ましくは70~200℃、より好ましくは100~180℃である。
【0118】
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは3~10時間である。
【0119】
架橋剤を用いて架橋させる場合の架橋剤としては、1)架橋性官能基としてエポキシ基を有するポリマーには、例えばヘキサメチレンジアミン,ヘキサメチレンテトラミン等のポリアミン化合物、例えばエチレングリコール,プロピレングリコール,グリセリン等のポリオール、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物等の架橋剤、2)架橋性官能基としてカルボキシル基を有するポリマーには、例えばエチレングリコール,グリセリン等のポリヒドロキシ化合物、例えばエチレンオキサイド,プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物等の架橋剤、3)架橋性官能基としてヒドロキシル基及び/又はアシルオキシ基を有するポリマーには、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物、例えばエチレンオキサイド,プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物、例えばヘキサメチレンジアミン,ヘキサメチレンテトラミン等のポリアミン化合物等の架橋剤、4)架橋性官能基としてイソシアネート基を有するモノマー由来のモノマー単位を有するポリマーには、例えば水、例えばエチレングリコール,グリセリン等のポリヒドロキシ化合物、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物、例えばヘキサメチレンジアミン,ヘキサメチレンテトラミン等のポリアミン化合物等の架橋剤、5)架橋性官能基としてアミノ基を有するポリマーには、例えばマロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸等のポリカルボン酸及びそれらの無水物、例えばエチレンオキサイド,プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド化合物等の架橋剤が挙げられる。
【0120】
縮合剤を用いて架橋させる際に使用する縮合剤としては、例えば架橋性官能基としてカルボキシル基を有するポリマーの場合には例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド類等の脱水剤が挙げられる。
【0121】
上記した如き架橋反応により生じる架橋の部分構造の種類としては、例えば架橋性官能基であるエポキシ基同士を加熱架橋した結果生じる
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【0122】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表す。)、例えば縮合官能基であるエポキシ基とカルボキシル基とを加熱架橋した結果生じる
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【0123】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表す。)、例えば縮合官能基であるエポキシ基とヒドロキシル基とを加熱架橋した結果生じる
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【0124】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表す。)、例えば縮合官能基であるエポキシ基とアミノ基とを加熱架橋した結果生じる
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【0125】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表す。)、例えば縮合官能基であるエポキシ基とポリアミン架橋剤アミノ基とを架橋した結果生じる
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【0126】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表し、-NH-Q-NH- = ポリアミン由来の基である。)例えば架橋性官能基であるエポキシ基同士をポリオール架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0127】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表し、-O-Q-O-はジオール由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるエポキシ基同士を、ポリカルボン酸架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0128】
(式中、Rは前記R又はRを表し、R'は前記R又はRを夫々表し、-O-OC-Q-CO-O-はポリカルボン酸由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるカルボキシル基同士を、ポリヒドロキシ化合物架橋剤又はアルキレンオキサイド架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0129】
(式中、-O-Q-O-はポリヒドロキシル化合物又はアルキレンオキサイド由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるカルボキシル基同士を、ポリアミン化合物架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0130】
(式中、-HN-Q-NH- はポリアミン由来の基を表す。)例えば、架橋性官能基であるヒドロキシル基同士を、ポリカルボン酸架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0131】
(式中、-OOC-Q-COO-はポリカルボン酸由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるヒドロキシル基同士を、アルキレンオキサイド架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0132】
(式中、-O-Q-O-はアルキレンオキサイド由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるイソシアネート基同士を、水を用いて架橋した結果生じる、
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【0133】
例えば、架橋性官能基であるイソシアネート基同士を、ポリヒドロキシ化合物架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0134】
(式中、-O-Q-O-はジヒドロキシ化合物由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるイソシアネート基同士を、ポリカルボン酸架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0135】
(式中、-O-CO-Q-OC-O-はジカルボン酸由来の基を表す。)、例えば、架橋性官能基であるイソシアネート基同士を、ポリアミン架橋剤を用いて架橋した結果生じる
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【0136】
(式中、-HN-Q-NH- はポリアミン由来の基を表す。)例えば、架橋性官能基であるアミノ基とカルボキシル基とを脱水剤を用いて架橋した結果生じる
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【0137】
例えば、架橋性官能基であるヒドロキシル基とカルボキシル基とを脱水剤を用いて架橋した結果生じる
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【0138】
等が挙げられる。
【0139】
また、未架橋状態の高分子化合物として重合性二重結合を有する第2の高分子化合物を用いて本発明に係る架橋型有機高分子化合物を調製しても良い。その方法としては、例えば無水マレイン酸等の重合性二重結合を有するモノマーの存在下又は不存在下に例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、例えば2,2'-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等の触媒を作用させることによって架橋反応を行う等が挙げられる。
【0140】
ビニルグリシジルエーテル、アクリル酸及びスチレンを原料モノマーとして用いた場合を例に取り、それらを重合して未架橋高分子化合物を製造し、得られた高分子化合物を架橋して本発明の架橋高分子化合物を製造する反応の一例を以下に示す。
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【0141】
斯くして得られる本発明の触媒組成物は、パラジウム触媒が架橋型有機高分子化合物に物理的に担持されている。このことにより、架橋型有機高分子化合物担体中の芳香環、特にスチレン系モノマー単位中の芳香環により電子を供与され、従来のパラジウム触媒に比べ触媒活性が向上していると考えられる。
【0142】
また、本発明の触媒組成物は、耐溶剤性に優れ、繰り返しの使用によっても架橋型有機高分子化合物に担持された金属触媒の漏れが少なく、且つその活性が低下せず、取り扱いが容易であるため、各種反応の触媒として非常に有用性が高い。
【0143】
更に、0価のパラジウム触媒、特に配位されていないPd(0)は、空気中で自然発火するものもあったり空気中で活性の低下が起こる等、従来はそれ自体の取り扱いが容易ではなかったが、これを架橋型有機高分子化合物に物理的に担持させている本発明の触媒組成物によれば、触媒活性は従来以上になり、且つ安全に長期間保存・使用することが可能となる。
【0144】
上記した如き優れた特徴を有することから、本発明の触媒組成物は、種々の化学反応の触媒として工業的に有利に使用することが出来る。
【0145】
例えば、反応性二重結合を有する化合物の炭素-炭素二重結合水素化反応(還元)がその1つである。これは、反応性炭素-炭素二重結合に水素を添加するというものであり、本発明の触媒組成物を触媒として使用することにより、例えばオレフィンに水素が添加されて、これが炭素-炭素単結合結合となり、容易にオレフィンが還元される。
【0146】
反応基質である反応性二重結合を有する化合物としては、反応性二重結合を有するものであれば如何なるものでもよく、例えばオレフィン、ジエン化合物、不飽和環式炭化水素化合物はもちろんのこと、分子内に反応性二重結合を1個以上有するものであれば、高分子化合物でも、如何なる官能基及び/又は芳香環を置換基として有しているものでもよい。
【0147】
水素添加反応に使用する本発明の触媒組成物の使用量は、反応基質に対して、通常0.000001~50wt%、好ましくは0.00001~20wt%、より好ましくは0.001~10wt%となる量である。
【0148】
上記水素添加反応に於いては、適当な溶媒を用いても或いは無溶媒で反応を行ってもよい。
【0149】
溶媒を用いる場合の溶媒としては、反応温度で液体であれば如何なるものでよく、その具体例としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、例えばベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン等のアルキル置換芳香族炭化水素類、例えばビフェニル、ターフェニル等のビフェニル類、例えばフルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、トリフルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ペンタクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、トリブロモベンゼン、テトラブロモベンゼン、ペンタブロモベンゼン、ヘキサブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジヨードベンゼン、トリヨードベンゼン、テトラヨードベンゼン、ペンタヨードベンゼン、ヘキサヨードベンゼン、クロロナフタレン、ジクロロナフタレン、フルオロトルエン、クロロトルエン、ブロモトルエン、ヨードトルエン等のハロゲン置換芳香族炭化水素類、例えばアニソール、エトキシベンゼン、プロピルオキシベンゼン、ブトキシベンゼン、ペンチルオキシベンゼン、ヘキシルオキシベンゼン等のアルコキシ置換芳香族炭化水素類等、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ベンジルアルコール等のアルコール類、例えばフェノール、カテコール、レゾルシノール、クレゾール等のフェノール類、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、ブロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、ヘキサン酸エチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、コハク酸ジメチルコハク酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチル、アセト酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル等の芳香族カルボン酸、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ヘキサノン、シクロヘキシルアセトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、アセトイン等のケトン類、例えばジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルフェニルエーテル等のエーテル類、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ニコチンアルデヒド、グリセルアルデヒド、グリコールアルデヒド、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、グリオキサル、アミノアセトアルデヒド、アミノブチルアルデヒド、アスパラギンアルデヒド等のアルデヒド類、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、1-エチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ナフチルアミン、ベンゾフランアミン等のアミン類等の有機溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、反応基質の種類、反応温度或いは目的とする反応時間等によって適宜選択され、単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0150】
尚、反応基質の水素添加反応が優先されるように、炭素-炭素二重結合等の水素添加反応を起こすような構造を有する化合物からなる溶媒でないものを用いることが好ましい。
【0151】
また、上記溶媒に反応基質が完全に溶解しなくとも、懸濁状態で反応を行うことが出来る。
【0152】
溶媒を用いない場合には、反応基質を溶融して反応を行ってもよく、また気相中で基質を反応させてもよい。
【0153】
反応温度は、通常-30~300℃、好ましくは0~200℃、より好ましくは20~100℃である。
【0154】
反応時間は、通常0.1~200時間、好ましくは0.2~24時間、より好ましくは1~12時間である。
【0155】
反応圧力は、通常常圧~100MPa、好ましくは常圧~10MPa、より好ましくは常圧~1MPaである。
【0156】
尚、上記以外の反応条件や後処理方法は、自体公知の水素添加反応に準じて行えばよい。
【0157】
オレフィンとしてベンザルアセトンを例にとり、本発明の触媒組成物を触媒として用いた場合の上記水素添加反応を下記式に示す。
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【0158】
オレフィン等の水素添加反応では、従来、反応に使用する触媒が反応溶媒溶けない不均一系触媒として、0価の金属触媒である、例えば白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ラネーニッケル等が用いられており、白金はPtO2として、その他の金属は例えば活性炭、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機不活性担体に保持された状態で使用されていた。中でも活性炭に固定化したパラジウム(パラジウム炭素)は、水素を用いた炭素-炭素二重結合の還元(水素添加)に最も頻繁に使用されている触媒である。
【0159】
しかしながら、活性炭上に固定化されたパラジウムは、その使用中に固定化されている金属が流出するという問題があり、繰り返しの使用が出来ないという問題を有していた。
【0160】
上記した如き本発明の触媒組成物は、従来使用されてきたパラジウム炭素と同等以上の活性であり、取り扱いが容易で多数回繰り返し使用出来、且つ多数回の使用してもその活性が低下することはなく、金属の流出も殆どないことから、上記の様なオレフィン等の水素添加反応の触媒として極めて有用である。
【0161】
尚、本発明の触媒組成物は、オレフィン等の水素添加反応用の触媒以外にも、カルボニル基、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基等の還元にも有用である。
【0162】
また、本発明の触媒組成物は、所謂アリル位置換反応の触媒としても有用である。
【0163】
本発明の触媒組成物の存在下、アリル炭酸エステルと炭素求核剤とを適当な溶媒に溶解し、そこに適当な配位子(例えばトリフェニルホスフィン等)を加え、撹拌反応させることにより、アリル炭酸エステルの炭酸エステルの部分に炭素求核剤が置換した化合物が得られる。
【0164】
アリル炭酸エステルとして炭酸アリルメチルを用い、炭素求核剤としてフェニルマロン酸ジメチルを用いた場合のアリル位置換反応を下記式に示す。
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【0165】
上記した如きアリル位置換反応に於いて使用する本発明の触媒組成物としては、エステル結合を有さない架橋型有機高分子化合物から成るものであることが好ましい。
【0166】
本発明のアリル位置換反応に於ける反応基質のうち、アリル炭酸エステルとしては、例えばアリル炭酸メチル、アリル炭酸エチル、アリル炭酸プロピル、アリル炭酸フェニル等が挙げられる。
【0167】
炭素求核剤としては、例えば塩化メチレン、マロン酸エステル、シアノ酢酸エステル、活性炭素等の電子密度の小さい化合物が挙げられる。
【0168】
反応時に添加する配位子としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン配位子が挙げられ、中でもトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0169】
反応溶媒としては、通常この分野で用いられる物であれば特に限定されることなく使用可能である。
【0170】
反応温度は、通常-78~200℃、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~50℃である。
【0171】
反応時間は、通常0.1~200時間、好ましくは0.2~24時間、より好ましくは1~12時間である。
【0172】
また、架橋型有機高分子化合物が、例えばスチレンモノマー単位等の芳香環を有するものである本発明の触媒組成物を触媒とし、上記した如き炭素求核剤の代わりに、例えばフェノール基、更にニトロ基、シアノ基等の電子吸引基を有するフェノール等の酸素求核剤を用いても、炭素求核剤と同様に高収率にて反応が進行する。
【0173】
従来、電子吸引基を有するフェノール等の酸素求核剤を使用した場合には、炭素求核剤を用いた上記アリル位置換反応に比べ著しく反応性が低下することが知られていることから、上記した如き本発明の触媒組成物に於いては、その担体部分である架橋型有機高分子化合物に存在するスチレンモノマー単位の芳香環より、担持されている金属触媒が電子を供与されて、触媒自体の活性が向上したものと推定される。
【0174】
更にまた、本発明の触媒組成物は、アルコールの酸化触媒としても有用である。
【0175】
例えば、二級アルコールやアリル型アルコールの酸化では、先ず、それらアルコールを炭酸アリルと反応させて炭酸アリルエステルとし、該エステルを適当な溶媒中、本発明の触媒組成物の存在下で反応させることによりβ脱離が起こって、ケトン体が生成し、結果的に二級アルコールやアリル型アルコールが酸化されたこととなる。
【0176】
上記した如きアルコールの酸化反応に於いて、アリル型アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、クロチルアルコール、シンナミルアルコール等が挙げられる。
【0177】
また、本発明の触媒組成物を触媒として使用して、例えばシンナミルアルコール等の一級アルコールを下記式のようにOne-Pot反応で酸化することが出来る。
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【0178】
既に述べたように、炭酸アリルエステルを用いた反応では、反応系中にトリフェニルホスフィンが存在すると、アリル位置換反応が進行し、酸化反応は進行しない。上記した如きシンナミルアルコールの酸化反応では本発明の触媒組成物を用いてもアリル位置換反応は全く起こらず、目的とするアルコールの酸化が進行していることから、本発明の触媒組成物はホスフィン配位子に配位された金属触媒を原料として製造されているものの、本発明の触媒組成物中にはホスフィン配位子が全く含まれていないことが確認できる。
【0179】
以上述べた如く、架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、パラジウム触媒とを、これらを溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を縮合反応させる架橋反応に付すことにより得られる、パラジウム触媒が架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された本発明の触媒組成物は、自然発火等の心配をすることなく、安全且つ容易に取り扱うことができ、種々の化学反応の触媒としても極めて有用であり、また、繰り返しの使用によってもその活性が低下せず、金属触媒が担体である高分子化合物から漏れることがないという効果を奏する。従来、本発明の触媒組成物のようなヘテロージニアス型触媒は一般に活性が低下すると言われていたが、本発明の触媒組成物ではむしろ従来のものよりも高い触媒活性を示すという意外な効果をも奏する。
【0180】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【実施例】
【0181】
参考例1.グリシジル化合物の合成
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【0182】
水素化ナトリウム(純度60%)4.00gを石油エーテルで洗浄した後、減圧乾燥し、そこにジメチルホルムアミド200mLを加え、氷浴にて冷却した。次いで、グリシドール6.6mLを撹拌しながら系中に加え、反応液を室温下にて1時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液に4-ビニルベンジルクロリド7mL及びヨウ化テトラ-n-ブチルアンモニウム1.84gを加え、更に5時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液を氷冷し、ジエチルエーテルで希釈した後、これに飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。溶液の有機層を分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出し、分離した有機層と合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後、これを濾過し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフフィーによって精製し、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル6.86gを得た(収率73%)。得られた4-ビニルベンジルグリシジルエーテルを1H-NMR及び13C-NMRにより測定した結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3) d=2.60(d, 1H, J=2.5, 5.1 Hz), 2.57(d, 1H, J=4.2, 5.1 Hz), 3.17(dddd, 1H, J=2.7, 2.9, 5.1, 5.7 Hz), 3.41(dd, 1H, J=5.7, 11.3 Hz), 3.75(dd, 1H, J=2.9, 11.3 Hz), 4.56(dd, 2H, J=12.1, 22.8 Hz), 5.23(d, 1H, J=11.0 Hz), 5.74(d, 1H, J=17.6 Hz), 6.70(dd, 1H, J=11.0, 17.6 Hz), 7.30(d, 1H, J=8.3 Hz), 7.38(d, 1H, J=8.3 Hz)
13C-NMR(CDCl3) d=40.2, 50.7, 70.7, 72.9, 113.8, 126.2, 127.9, 136.4, 137.0, 137.4
【0183】
参考例2.酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーの合成
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【0184】
塩化メチレン200mLにトリエチルアミン7.0mL及びテトラエチレングリコール9.71gを添加した後、0℃に冷却し、そこにメタクリロイルクロリド4.9mLを加えた。反応混合物を室温下で12時間撹拌反応させた後、溶媒を減圧留去し、残渣にジエチルエーテルを加え、トリエチルアミンの塩酸塩を濾別した。濾液を再び減圧濃縮し、残渣に塩化メチレンを加え、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を乾燥後、これを濾過し、減圧濃縮して生成物10.3gを得た(収率78%)。該生成物を1H-NMRで測定したところ、テトラエチレングリコール モノメタクリロイルエステルであることが確認された。
【0185】
参考例3.酸素原子を含むヒドロキシアルキル基及び重合性二重結合を含有するモノマーの合成
(1)3-ヒドロキシ-2-フェニルプロペンの合成
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【0186】
過tert-ブチルアルコールの5~6mol/Lデカン溶液12.5mLを塩化メチレン50mLで希釈し、そこに二酸化セレン111mg及び酢酸90.1mgを加え、室温下で30分撹拌反応させた。次いで反応液に2-フェニルプロペン6.5mLを加えて72時間撹拌反応させた後、反応液を減圧濃縮し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して3-ヒドロキシ-2-フェニルプロペン3.98gを得た(収率59%)。得られた3-ヒドロキシ-2-フェニルプロペンを1H-NMR及び13C-NMRにより測定した結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3) d=1.27(s, 1H), 4.55(s, 2H), 5.36(s, 1H), 5.48(s, 1H), 7.28-7.40(m, 3H), 7.42-7.50(m, 2H)
13C-NMR(CDCl3) d=65.0, 112.6, 126.0, 127.9, 128.5, 138.4, 147.2
(2)3-クロロ-2-フェニルプロペンの合成
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【0187】
得られた3-ヒドロキシ-2-フェニルプロペン3.94gにs-コリジン3.84g及び塩化リチウム1.245gを含有するジメチルホルムアミド溶液10mLを加え、0℃に冷却した。得られた懸濁液にメタンスルホニルクロリド2.45mLを滴下した。反応液を室温まで8時間かけて昇温した後、ジエチルエーテルで希釈し、水を加えて反応を停止させた。反応液の有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで二度抽出した後、分離した有機層を合わせ、これを水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後、これを濾過、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフフィーによって精製して、3-クロロ-2-フェニルプロペン3.53gを得た(収率79%)。得られた3-クロロ-2-フェニルプロペンを1H-NMR及び13C-NMRにより測定した結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3) d=4.50(s, 2H), 5.49 (s, 1H), 5.60 (s, 1H), 7.30-7.60 (m, 5H)
13C-NMR(CDCl3) d=46.5, 116.7, 126.1, 128.2, 128.5, 137.6, 143.9
(3)テトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルの合成
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【0188】
水素化ナトリウム(純度60%)1.82gを石油エーテルにて洗浄した後、減圧乾燥を行い、そこにテトラヒドロフラン70mLを加え、氷浴にて冷却した。次いで、テトラヒドロフラン10mLにテトラエチレングリコール8.81gを溶解した溶液を撹拌しながら系中に加えた。反応溶液を室温下にて1時間撹拌反応させた後、上で得た3-クロロ-2-フェニルプロペン3.46gをテトラヒドロフラン10mLに溶解した溶液を加え、更に12時間撹拌させた。反応終了後、反応液を氷冷し、ジエチルエーテルで希釈した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。反応液の有機層を分離した後、水層をジエチルエーテルで抽出し、これを分離した有機層に加え、得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥後、これを濾過し、次いで減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフフィーによって精製し、テトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル4.52gを得た(収率64%)。得られたテトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルを1H-NMR及び13C-NMRにより測定した結果を以下に示す。
1H-NMR(CDCl3) d=2.72(s, 1H), 3.58-3.74(m, 16H), 4.42(s, 2H), 5.34(d, 1H, J=1.2 Hz), 5.53(d, 1H, J=0.5 Hz), 7.25-7.36(m, 3H), 7.44-7.52(m, 2H)
13C-NMR(CDCl3) d=61.7, 69.2, 70.3, 70.53, 70.58, 72.4, 73.1, 114.4, 126.1, 127.7, 128.3, 138.7, 144.0
参考例4.直鎖型高分子化合物の合成-1
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【0189】
トルエン50mLにスチレン37.4g、参考例1で得られた4-ビニルベンジルグリシジルエーテル3.8g、メタクリル酸1.7g及び2,2'-アゾビス(2,4-メチルバレロニトリル)1gを加え、70~80℃で8時間加熱還流して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、これを氷冷したヘキサン500mL中へ滴下し、ポリマーを固化させた。固化させたポリマーを濾取し、これをTHF50mlに溶解しヘキサン500mlを注入して再沈殿した。この操作を繰り返し減圧乾燥してポリマー11.8gを得た(収率65%)。1H-NMRの測定により、得られたポリマー(スチレン/4-ビニルベンジルグリシジルエーテル/メタクリル酸)の各モノマー単位の比(X:Y:Z)=61:28:11であった。得られたポリマーの重量平均分子量MW=19504であった。
参考例5.直鎖型高分子化合物の合成-2
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【0190】
クロロホルム100mLにスチレン23.3g、参考例1で得られた4-ビニルベンジルグリシジルエーテル5.33g、参考例2で得られたテトラエチレングリコールモノメタクリロイルエステル7.74g及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル328.4mgを加え、80℃で48時間加熱還流して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、これを氷冷したメタノール500mL中へ滴下し、ポリマーを固化させた。固化させたポリマーを濾取し、メタノールにて洗浄後、減圧乾燥してポリマー23.03gを得た(収率65%)。1H-NMRの測定により、得られたポリマー(スチレン/4-ビニルベンジルグリシジルエーテル/テトラエチレングリコールモノメタクリロイルエステル)の各モノマー単位の比(X:Y:Z)=82:10:8であった。得られたポリマーの重量平均分子量Mwは22087、数平均分子量Mnは 12473であり、Mw/Mnは1.771であった。
参考例6.直鎖型高分子化合物の合成-3
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【0191】
クロロホルム100mLにスチレン23.3g、参考例1で得られた4-ビニルベンジルグリシジルエーテル5.33g、参考例3で得られたテトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル9.08g及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル328.4mgを加え、80℃で48時間加熱還流して反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、これを氷冷したメタノール500mL中へ滴下し、ポリマーを固化させた。固化させたポリマーを濾取し、メタノールにて洗浄後、減圧乾燥してポリマー23.0gを得た(収率68%)。1H-NMRの測定により、得られたポリマーの比は(スチレン/4-ビニルベンジルグリシジルエーテル/テトラエチレングリコール モノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル)の各モノマー単位の比(x:y:z)=90:4:6であった。また、得られたポリマーの重量平均分子量Mwは69985、数平均分子量Mnは12098であり、Mw/Mnは5.785であった。
【0192】
実施例1.本発明の触媒組成物の合成(MSVポリマー担持)
テトラヒドロフラン20mLに参考例4で得られた直鎖型高分子化合物1.0gを溶解し、そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム200mgを加え室温下で24時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液にその貧溶媒であるヘキサンを加え、ポリマーを固化させた後、12時間静置した。ヘキサン層をデカンテーションした後、ポリマーを減圧下にて乾燥した。得られたポリマーを粉砕した後、無溶媒条件下、120℃にて2時間撹拌し、ポリマーを室温まで冷却した後、そこにテトラヒドロフランを加えて撹拌し、その後テトラヒドロフランを用いて濾取及び洗浄を行い、減圧下乾燥して、本発明の触媒組成物750mgを得た。
【0193】
濾液からはトリフェニルホスフィンが、使用したテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムに対応する全量分回収された。また、パラジウム金属の高分子担体への導入率は93%であり、本発明の触媒組成物1g中に含まれるパラジウム金属は0.215mmolであった。
【0194】
尚、パラジウム金属の導入率は、濾液に存在するパラジウム金属を、蛍光X線分析装置を用いて定量し、反応に用いた金属量との比較により決定した(以下同じ。)。
【0195】
実施例2.本発明の触媒組成物の合成
テトラヒドロフラン20mLに参考例6で得られた直鎖型高分子化合物1.0gを溶解し、そこにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム100mgを加え、室温下で24時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液にその貧溶媒であるヘキサンを加え、ポリマーを固化させた後、12時間静置した。ヘキサン層をデカンテーションした後、ポリマーを減圧下にて乾燥した。得られたポリマーを粉砕した後、無溶媒条件下、120℃にて2時間撹拌し、ポリマーを室温まで冷却した後、そこにテトラヒドロフランを加えて撹拌し、その後テトラヒドロフランを用いて濾取及び洗浄を行い、減圧下乾燥して、本発明の触媒組成物790mgを得た。濾液からはトリフェニルホスフィンが、使用したテトラキス(トリフェニルホスフィン)に対応する全量分回収された。また、パラジウム金属の高分子担体への導入率は97%であり、本発明の触媒組成物1g中に含まれるパラジウム金属は0.108mmolであった。
【0196】
実施例3.本発明の触媒組成物の合成
高分子担体として参考例6で得られた直鎖型高分子化合物の代わりに参考例5で得られた直鎖型高分子化合物を用いた以外は実施例2と同様にして本発明の触媒組成物792mgを得た。濾液からはトリフェニルホスフィンが、使用したテトラキス(トリフェニルホスフィン)に対応する全量分回収された。また、パラジウム金属の高分子担体への導入率は97%であり、本発明の触媒組成物1g中に含まれるパラジウム金属は0.108mmolであった。
実験例1.オレフィンの水素添加反応-1
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【0197】
テトラヒドロフラン5mLに、実施例1で得られた本発明の触媒組成物115mg(含まれるパラジウム金属の量:0.025mmol)及びベンザルアセトン73.0mgを添加し、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液にヘキサンを加えて撹拌を行い、反応液が透明になったところで、使用した本発明の触媒組成物を濾過した。濾液を濃縮後、シリカゲル薄層クロマトグラフフィーにより精製し、4-フェニル-2-ブタノン50.3mgを得た(収率68%)。尚、精製前の濾液を蛍光X線測定により測定したところ、本発明の触媒組成物からはパラジウムの流出が起きていないことが確認された。
【0198】
また、濾取した本発明の触媒組成物は、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥して回収した。
【0199】
得られた生成物は、1H-NMR及び13C-NMRの測定により、4-フェニル-2-ブタノンであることが確認された。
【0200】
実験例2.オレフィンの水素添加反応-2
テトラヒドロフラン5mLに、実施例2で得られた本発明の触媒組成物 231mg(含まれるパラジウム金属の量:0.025mmol)及びベンザルアセトン73.0mgを添加し、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌反応させた。反応終了後、反応液にヘキサンを加えて撹拌を行い、反応液が透明になったところで、使用した本発明の触媒組成物を濾過した。濾液を濃縮後、シリカゲル薄層クロマトグラフフィーにより精製し、4-フェニル-2-ブタノン60.0mgを得た(収率81%)。尚、精製前の濾液を蛍光X線測定により測定したところ、本発明の触媒組成物からはパラジウムの流出が起きていないことが確認された。
【0201】
また、濾取した本発明の触媒組成物は、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥して回収した。
【0202】
得られた生成物は、1H- NMR及び13C-NMRの測定により4-フェニル-2-ブタノンであることが確認された。
【0203】
回収された本発明の触媒組成物を、再び触媒として上記と同様の操作を4回繰り返した。触媒の使用回数と各反応に於いて得られた4-フェニル-2-ブタノンの収率を表1に示す。
【0204】
実験例3.オレフィンの水素添加反応-3
実施例2で得られた本発明の触媒組成物の代わりに実施例3で得られた本発明の触媒組成物を用いた以外は実験例1と同様にして反応を行った。得られた4-フェニル-2-ブタノンの収率を表1に併せて示す。
【0205】
比較例1.オレフィンの水素添加反応
本発明の触媒組成物の代わりにパラジウム炭素(Pd5%含有)を用いた以外は実験例1と同様にして反応を行った得られた4-フェニル-2-ブタノンの収率を表1に併せて示す。
【0206】
【表1】
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【0207】
尚、表中の-は実施していないことを示す(以下の表についても同様。)。
【0208】
表1から明らかな如く、本発明の触媒組成物は、従来使用されていた触媒と同等の活性があり、また、多数回繰り返し使用してもその活性は殆ど低下しないことが判る。
【0209】
実施例4.アリル位置換反応-1
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【0210】
実施例1で得られた本発明の触媒組成物115mg(含まれるパラジウム金属の量:0.025mmol)及びトリフェニルホスフィン26.3mgの存在下、テトラヒトロフラン5mLに炭酸アリルメチル63.9mg及びフェニルマロン酸ジメチル104.1mgを加え、12時間加熱乾留して反応させた。反応終了後、反応液にヘキサンを加えて攪拌を行い、溶液が透明になったところで本発明の触媒組成物を濾去した。濾液を濃縮し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、アリルフェニルマロン酸ジメチル67.1mgを得た(54%)。尚、精製前の濾液を蛍光X線測定により測定したところ、本発明の触媒組成物からはパラジウムの流出が起きていないことが確認された。
【0211】
また、濾取した本発明の触媒組成物は、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥して回収した。
【0212】
回収された本発明の触媒組成物を再び触媒として用い、上記と同様の操作を2回繰り返した。触媒の使用回数と各反応に於いて得られたアリルフェニルマロン酸ジメチルの収率を表2に示す。
【0213】
実施例5.アリル位置換反応-2
実施例2で得られた本発明の触媒組成物231mg(含まれるパラジウム金属の量:0.025mmol)及びトリフェニルホスフィン26.3mgの存在下、テトラヒトロフラン5mLに炭酸アリルメチル63.9mg及びフェニルマロン酸ジメチル104.1mgを加え、12時間加熱乾留して反応させた。反応終了後、反応液にヘキサンを加えて攪拌を行い、溶液が透明になったところで本発明の触媒組成物を濾去した。濾液を濃縮し、シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製し、アリルフェニルマロン酸ジメチル109.3mgを得た(88%)。尚、精製前の濾液を蛍光X線測定により測定したところ、本発明の触媒組成物からはパラジウムの流出が起きていないことが確認された。
【0214】
また、濾取した本発明の触媒組成物は、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥して回収した。
【0215】
回収された本発明の触媒組成物を再び触媒として用い、上記と同様の操作を4回繰り返した。使用された本発明の触媒組成物は、上記計5回の使用によってもパラジウムの流出は全く検出されなかった。
【0216】
触媒の使用回数と反応に於いて得られたアリルフェニルマロン酸ジメチルの収率を表2に併せて示す。
【0217】
実施例6.アリル位置換反応-3
実施例2で得られた本発明の触媒組成物の代わりに実施例3で得られた本発明の触媒組成物を用いた以外は実施例5と同様にして反応を行った。触媒の使用回数と各反応に於いて得られたアリルフェニルマロン酸ジメチルの収率を表2に併せて示す。
【表2】
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【0218】
表2から明らかな如く、本発明の触媒組成物は多数回の使用によっても殆どその活性は低下していない。また、実施例5から、本発明の触媒組成物は多数回繰り返し使用しても、高分子担体に担持されている金属が流出していないことが判る。
【0219】
実施例7.アリル位置換反応-4
反応時間を2時間とした以外は実施例6と同様にしてアリル位置換反応を行った。また、使用した触媒を回収して5回同じ反応を繰り返した。触媒の使用回数と、各反応によって得られたアリルフェニルマロン酸ジメチルの収率を表3に示す。尚、全ての反応に於いて本発明の触媒組成物からの金属の流出は観測されなかった。
【表3】
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【0220】
実施例7から明らかな如く、実施例3で得られた本発明の触媒組成物は、反応時間を大幅に短縮しても良好な活性を示していことが分かる。
実施例8~12.アリル位置換反応
下記表4に記載したアリル炭酸エステルを0.55mmol及び表4に記載した求核剤を0.50mmol使用した以外は実施例7と同様にしてアリル位置換反応を行った。各反応に於いて得られた化合物とその収率を表4に併せて示す。
【表4】
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【0221】
一般に、ニトロ基等の電子吸引基を有するフェノール等の酸素求核剤を用いた場合にはアリル位置換反応の反応性が著しく低下することが知られているが、表4の実施例12から明らかな如く、本発明の触媒組成物を用いれば、電子吸引基を有する酸素求核剤を用いた場合でも、極めて効率的に反応が進行することが判る。このことから、本発明の触媒組成物は従来の触媒に比べその触媒活性が高いことが判る。
実施例13.アルコールの酸化反応
アセトニトリル5mLに実施例3で得られた本発明の触媒組成物0.025mmol、シンナミルアルコール67.1mg及び炭酸アリルメチル63.9mgを加え、80℃で2時間撹拌反応させた。反応終了後、本発明の触媒組成物を濾去し、濾液を濃縮した後、シリカゲル薄層クロマトグラフフィーによって精製し、シンナムアルデヒド45.4mgを得た(収率69%)。尚、精製前の濾液を蛍光X線測定により測定したところ、本発明の触媒組成物からはパラジウムの流出は観測されなかった。
【0222】
また、濾取した本発明の触媒組成物は、テトラヒドロフランで洗浄した後、減圧乾燥して回収した。
【0223】
実施例13より明らかな如く、本発明の触媒組成物を使用することにより、アリル位置換反応を起こすことなくシンナミルアルコールが酸化されることから、反応系にはホスフィン配位子が存在していないことが判る。即ち、本発明の触媒組成物にはその合成時に使用したトリフェニルホスフィン配位子が全く含まれていないことが判る。
【0224】
架橋性官能基を有する直鎖型有機高分子化合物と、配位子により配位された0価の金属触媒とを、これらを溶解する溶媒中で均一化させ、次いで生じた組成物を析出させ、当該析出物中の架橋性官能基を縮合反応させる架橋反応に付すことにより、0価の金属触媒が架橋型有機高分子化合物に物理的に担持された触媒組成物を得ることができる。更に、このようにして得られた触媒組成物は、自然発火等の心配をすることなく、安全且つ容易に取り扱うことができ、種々の化学反応の触媒としても極めて有用であり、また、繰り返しの使用によってもその活性が低下せず、金属触媒が担体である高分子化合物から漏れることがない。