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明細書 :高分子とキラリティーを有する液晶材料とからなる複合材料、該複合材料の製造方法、および該複合材料を用いる光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5269284号 (P5269284)
公開番号 特開2005-336477 (P2005-336477A)
登録日 平成25年5月17日(2013.5.17)
発行日 平成25年8月21日(2013.8.21)
公開日 平成17年12月8日(2005.12.8)
発明の名称または考案の名称 高分子とキラリティーを有する液晶材料とからなる複合材料、該複合材料の製造方法、および該複合材料を用いる光素子
国際特許分類 C09K  19/54        (2006.01)
C09K  19/02        (2006.01)
G02F   1/13        (2006.01)
G02F   1/1334      (2006.01)
G02F   1/139       (2006.01)
FI C09K 19/54 Z
C09K 19/02
G02F 1/13 500
G02F 1/1334
G02F 1/139
請求項の数または発明の数 21
全頁数 19
出願番号 特願2005-130712 (P2005-130712)
出願日 平成17年4月28日(2005.4.28)
優先権出願番号 2004134993
優先日 平成16年4月30日(2004.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年3月19日(2008.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
発明者または考案者 【氏名】菊池 裕嗣
【氏名】長谷場 康宏
【氏名】長村 利彦
【氏名】梶山 千里
個別代理人の代理人 【識別番号】100087675、【弁理士】、【氏名又は名称】筒井 知
審査官 【審査官】前田 憲彦
参考文献・文献 特表平06-509605(JP,A)
特開平05-224187(JP,A)
特開平05-173118(JP,A)
2003年日本液晶学会討論会講演予稿集,2003年10月14日,第245-246頁
Nature Materials,2002年,1(1),p.64-68
Chemical Physics,1999年,245(1-3),p.473-485
Molecular Crystals and Liquid Crystals Science and Technology, Section A: Molecular Crystals and Liquid Crystals,1996年,282,p.11-16
調査した分野 C09K 19/00
G02F 1/00
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
高分子と液晶材料からなり、液晶材料がキラリティーを有する液晶材料であり、モノマーと液晶材料との混合物を重合して得られる高分子/液晶複合材料において、モノマーと液晶材料の混合物が等方相を呈する温度で重合が開始されることを特徴とし、可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せず、かつ電界を印加していない時に光学的に等方性である高分子/液晶複合材料。
【請求項2】
高分子/液晶複合材料が可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の液晶相の状態で重合を終了することを特徴とする請求項1に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項3】
高分子/液晶複合材料が等方相を示す状態で重合を終了することを特徴とする請求項1に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項4】
カー係数が1×10-9mV-2以上を示すことを特徴とする請求項1に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項5】
カー係数が1×10-10mV-2以上を示し、かつ温度差10℃でのカー係数の比が1.5以下である領域が存在する請求項1に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項6】
室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が100μmから10nmである液晶材料を用いることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項7】
室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が10μmから10nmである液晶材料を用いることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項8】
室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が1μmから10nmである液晶材料を用いることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項9】
液晶材料含有率が65~99重量%であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項10】
高分子が架橋構造を有すことを特徴とする請求項1に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項11】
二官能以上のモノマーを含有するモノマーを用いることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項12】
高分子がメソゲン部位を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項13】
印加電界の二乗と電気複屈折値が比例関係にあることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
【請求項14】
請求項1に記載の高分子/液晶複合材料を製造する方法であって、モノマーと液晶材料の混合物の重合において可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の液晶状態または等方相で重合を終了することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1~13の何れか1項に記載の高分子/液晶複合材料を用いることを特徴とする光素子。

【請求項16】
少なくとも一方が透明な一対の基板、該基板の一方または両方に形成された電極、前記基板間に挟持された液晶層と前記基板の外側に偏光板を有し、前記電極を介して液晶層に電界を印加する電界印加手段を備えた液晶表示装置であって、前記液晶層が、請求項1に記載の高分子/液晶複合材料から構成され、電界を印加していない時には光学的に等方性であり、電界印加時には光学的異方性を示し、前記液晶材料が室温でのカイラルピッチ長が100μmから10nmのキラリティーを有し、前記高分子は三次元架橋の網目状構造を形成し、液晶材料は該高分子中で一つの連続した層を形成し、液晶層に対する液晶材料の含有率が65~99重量%であることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項17】
液晶層に用いる液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする請求項16に記載の液晶表示素子。
【請求項18】
液晶層に用いる液晶材料が室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、且つ該液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする請求項16または17に記載の液晶表示素子。
【請求項19】
一対の基板の一方の基板上において基板面に並行で、且つ少なくとも2方向に電界を印加できるよう電極が構成されていることを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項20】
電極がマトリックス状に形成されて、画素電極を構成し、各画素にはアクティブ素子を備え、このアクティブ素子が薄膜トランジスター(TFT)であることを特徴とする請求項16~19のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか1項に記載の液晶表示素子を用いることを特徴とする液晶表示装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は高分子と液晶材料とからなる高分子/液晶複合材料、該複合材料の製造方法、およびそれを用いる光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において、光素子とは電気光学効果を利用して、光変調や光スイッチングなどの機能を奏する各種の素子を指す。ディスプレイ、光通信システム、光情報処理や種々のセンサーシステムでは光の強度、位相あるいは偏光面を外部からの電気信号で変化させる光変調素子が必要とされる。電界印加による屈折率の変化を利用した光変調については、ポッケルス効果、カー効果が知られている。カー効果とは電気複屈折値Δnが電場Eの二乗に比例する現象であり、カー効果を示す材料ではΔn=KλEが成立する(K:カー係数(カー定数)、λ:波長))。ここで、電気複屈折とは、等方性媒体に電界を印加した時に誘起される複屈折値である。
【0003】
液晶材料が等方相である温度においてもカー効果が観測され、ネマチック相(カイラルネマチック相)-等方相転移温度直上において、非常に大きなカー定数が観測されている。これは等方相中におけるネマチック的分子配列の短距離秩序の存在に起因するものと考えられている。しかし液晶材料の大きなカー係数を利用した光素子の実用化には、大きなカー定数を示す温度範囲が狭いことが問題となる。高分子/液晶複合材料全体の33%のネマチック液晶(E-7、Δn(屈折率異方性値)=0.224、Δε(誘電率異方性値)=13.8)を用い、高分子としてNorland 60(エポキシ樹脂)を用いて、液晶材料の微小滴を高分子マトリックス中に形成する技術が報告されている(例えば特許文献1や非特許文献1を参照)。この材料のカー係数は、室温近傍において4×10-10mv-2程度であり、かつ温度依存性が大きい。また、単なるネマチック液晶を高分子等により、ほとんど可視光線を散乱しない程度の微少領域に分割し、カー効果材料として機能させる方法が提案されている(例えば特許文献2を参照)。菊池らにより、高分子ネットワークと連続相を有するネマチック液晶からなる複合体からなり、高分子の3次元ネットワーク構造により短距離の秩序を有する共同的液晶分子集団を能動的に形成させる技術が報告されている(例えば非特許文献2、非特許文献3または非特許文献4を参照)。しかし、これらに示されている技術においては、カー効果の発現温度範囲が不十分であり、かつカー係数も小さい。さらに、これらに示されている高分子/液晶複合材料中の液晶含有率は60%以内である。
【0004】
優れた光素子を作製するためには可視光以上の波長領域の光を実質的に散乱せず(以下、単に、高透明性ということがある)かつ光学的に等方性(以下、単に、等方性ということがある)とすること、次に、その高分子/液晶複合材料が大きなカー係数を安定的に広い温度範囲にわたって示すことが必要である。複合材料中の液晶含有率が低いと、光素子として使用した場合に電界印加時に複屈折の変化に寄与する部分が少ないため大きな電気複屈折を発現させることができない。他方、液晶含有率を高くすると、所望の高透明性と等方性を保持することができない。しかし、この二律相反する課題を解決した技術は見当たらない。
【0005】

【特許文献1】特開昭63-253334号公報
【特許文献2】特開平11-183937号公報
【非特許文献1】J. Appl. Phys., 67(9),4253-4259(1990)
【非特許文献2】高分子論文集, vol.59, No.10, 602-607 (2002)
【非特許文献3】第22回液晶討論会講演予稿集3D17、413頁(1996)
【非特許文献4】日本液晶学会討論会講演予稿集3C07、217頁(1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、例えば液晶(液晶材料)含有率が高いにもかかわらず、高透明性、等方性であり、かつ広い温度範囲にわたって大きくて安定したカー係数を示す高分子/液晶複合材料、およびその製造方法とそれを用いる光素子(例えば、液晶表示素子)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、従来技術の欠点を改良するために液晶材料および高分子を検討した結果、高分子ネットワークとキラリティーを有する液晶材料の複合材料が、高濃度の液晶材料含有率でありながら、高透明性と等方性を発現すること、およびこの複合材料が大きなカー係数を広い温度範囲で発現すること、さらにはカー係数の温度依存性が小さいことを見いだし本発明に到達したものである。
【0008】
かくして、上記課題は、以下の項に示す本発明によって達成される。
[1] 高分子と液晶材料からなり、可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せず、かつ電界を印加していない時に光学的に等方性であり、液晶材料がキラリティーを有する液晶材料であることを特徴とする高分子/液晶複合材料。
[2] カー係数が1×10-9mV-2以上を示す[1]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[3] カー係数が1×10-10mV-2以上を示し、かつ温度差10℃でのカー係数の比が1.5以下である領域が存在する[1]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[4] モノマーと液晶材料との混合物を重合して得られる[1]項に記載の高分子/液晶複合材料において、モノマーと液晶材料の混合物が等方相を呈する温度で重合が開始されることを特徴とする[1]項~[3]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[5] 重合過程で等方相から液晶相に相転移することを特徴とする[4]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[6] 重合終了まで等方相であることを特徴とする[4]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[7] 室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が100μmから10nmである液晶材料を用いる[1]項~[6]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[8] 室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が10μmから10nmである液晶材料を用いる[1]項~[6]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[9] 室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が1μmから10nmである液晶材料を用いる[1]項~[6]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[10] 液晶材料含有率が65~99重量%である[1]項~[9]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[11] 高分子が架橋構造を有する[1]項に記載の高分子/液晶複合材料。
[12] 二官能以上のモノマーを含有するモノマーを用いることを特徴とする[1]項~[11]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[13] 高分子がメソゲン部位を有する[1]項~[12]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[14] 印加電界の二乗と電気複屈折値が比例関係にあることを特徴とする[1]項~[13]項のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料。
[15] [1]項に記載の高分子/液晶複合材料を製造する方法であって、モノマーと液晶材料の混合物の重合において可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の液晶状態または等方相で重合を終了することを特徴とする方法。
[16] [1]項~[15]項の何れか1項に記載の高分子/液晶複合材料を用いることを特徴とする光素子。
[17] 少なくとも一方が透明な一対の基板、該基板の一方または両方に形成された電極、前記基板間に挟持された液晶層と前記基板の外側に偏光板を有し、前記電極を介して液晶層に電界を印加する電界印加手段を備えた液晶表示装置であって、前記液晶層が、高分子と液晶材料からなる高分子/液晶複合材料から構成され、電界を印加していない時には光学的に等方性であり、電界印加時には光学的異方性を示し、前記液晶材料が室温でのカイラルピッチ長が100μmから10nmのキラリティーを有し、前記高分子は三次元架橋の網目状構造を形成し、液晶材料は該高分子中で一つの連続した層を形成し、液晶層に対する液晶材料の含有率が65~99重量%であることを特徴とする液晶表示素子。
[18] 液晶層に用いる液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする[17]項に記載の液晶表示素子。
[19] 液晶層に用いる液晶材料が室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、且つ該液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする[17]項または[18]項に記載の液晶表示素子。
[20] 一対の基板の一方の基板上において基板面に並行で、且つ少なくとも2方向に電界を印加できるよう電極が構成されていることを特徴とする[17]項~[19]項のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[21] 電極がマトリックス状に形成されて、画素電極を構成し、各画素にはアクティブ素子を備え、このアクティブ素子が薄膜トランジスター(TFT)であることを特徴とする[17]項~[20]項のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
[22] [17]項~[21]項のいずれか1項に記載の液晶表示素子を用いる液晶表示装置。

【0009】
本発明における第1の発明は、可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せず、かつ電界を印加していない時に光学的に等方性であり、液晶材料がキラリティーを有する液晶材料であることを特徴とする高分子/液晶複合材料である。
【0010】
本発明において好ましい態様は、カー係数が1×10-9mV-2以上を示し、特に好ましくは、カー係数が1×10-10mV-2以上を示し、かつ温度差10℃でのカー係数の比が1.5以下である領域が存在する高分子/液晶複合材料である。本発明において更に好ましい態様は、室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が100μmから10nmである液晶材料を用いる高分子/液晶複合材料である。本発明において更に好ましい態様は、室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が10μmから10nmである液晶材料を用いる高分子/液晶複合材料である。本発明において更に好ましい態様は、室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、かつカイラルピッチ長が1μmから10nmの液晶材料を用いる高分子/液晶複合材料である。
本発明において更に好ましい態様は、液晶材料含有率が65~99重量%である高分子/液晶複合材料である。
本発明において別の好ましい態様は、高分子が三次元架橋構造を有する高分子/液晶複合材料である。
本発明において別の好ましい態様は、高分子がメソゲン部位を有する高分子/液晶複合材料である。
本発明における別の好ましい態様は、印加電界の二乗と電気複屈折値ΔnEが比例関係にある高分子/液晶複合材料である。
【0011】
本発明における第2の発明は、上記の高分子/液晶複合材料を製造する方法であって、高分子の原料モノマーと液晶材料の混合物の重合において可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態で重合を終了することを特徴とする方法である。本発明における第3の発明は、上記の高分子/液晶複合材料を用いることを特徴とする光素子である。
【0012】
さらに、本発明における第4の発明は、少なくとも一方が透明な一対の基板、該基板の一方または両方に形成された電極、前記基板間に挟持された液晶層と前記基板の外側に偏光板を有し、前記電極を介して液晶層に電界を印加する電界印加手段を備えた液晶表示装置であって、前記液晶層が、高分子と液晶材料からなる高分子/液晶複合材料から構成され、無電界時には光学的に等方性であり、電界印加時には光学的異方性を示し、前記液晶材料が室温でのカイラルピッチ長が100μmから10nmのキラリティーを有し、前記高分子は三次元架橋の網目状構造を形成し、液晶材料は該高分子中で一つの連続した層を形成し、液晶層に対する液晶材料の含有率が65~99重量%であることを特徴とする液晶表示素子である。
【0013】
この本発明において好ましい態様は、液晶層に用いる液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする液晶表示素子である。本発明において更に好ましい態様は、液晶層に用いる液晶材料が室温でカイラルネマチック相またはブルー相を呈し、且つ該液晶材料のカイラルピッチ長が室温で1μmから10nmであることを特徴とする液晶表示素子である。
本発明において別の好ましい態様は、一対の基板の一方の基板上において基板面に並行で、且つ少なくとも2方向に電界を印加できるよう電極が構成されていることを特徴とする液晶表示素子である。
本発明において更に別の好ましい態様は、電極がマトリックス状に形成されて、画素電極を構成し、各画素にはアクティブ素子を備え、このアクティブ素子が薄膜トランジスター(TFT)であることを特徴とする液晶表示素子である。
本発明における第5の発明は、上記の液晶表示素子を用いる液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、例えば可視光以上の波長領域の光を実質的に散乱せず(高透明性)かつ光学的に等方性(等方性)である高分子/液晶複合材料の調製が可能となり、この高分子/液晶複合材料は大きなカー定数を安定的に広い温度範囲にわたって示す。本発明の高分子/液晶複合材料を用いた光素子は、従来技術に比べて、低い電界で、あるいは高透明性、等方性で、あるいは誘電率異方性、屈折率異方性が低い液晶材料(一般的に比抵抗値が高く、信頼性に優れる液晶材料)を用いても、所望の電気複屈折値に到達することが可能である。さらに、これを用いた光素子は広い温度範囲でカー定数の温度依存性が小さいという特長を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において、液晶材料とは、使用する温度において液晶相を示す単一の化合物または液晶組成物をいう。本発明において、高分子/液晶複合材料とは、高分子と液晶材料からなる複合材料をいう。本発明は、キラリティーを有する液晶材料を用いることにより、高い液晶材料含有率においても高透明でかつ等方性である高分子/液晶複合材料を実現し、その結果、該複合材料が大きなカー係数を発現できるようにしたものである。ここで、本発明において、高透明でかつ等方性である高分子/液晶複合材料とは、可視光以上の波長領域の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性であることを意味する。
【0016】
また、本発明において、キラリティーを有する液晶材料とは、キラルな化合物を含有する液晶材料を指し、例えば、カイラルネマチック相(コレステリック相)、ブルー相、カイラルスメクチックC相、またはカイラルスメクチックC相を発現する液晶材料を挙げることができる。このように本発明の複合材料の成分の一つでありキラリティーを有する液晶材料として特に好ましいのは棒状化合物で構成されたサーモトロピック液晶材料であり、室温においてカイラルネマチック相またはブルー相を呈するものである。この他に、室温においてカイラルスメクチックC相またはカイラルスメクチックC相を呈するものも好ましい。もちろん、液晶表示素子に用いられている既知の液晶材料を併用することもできる。
【0017】
キラリティーを有する液晶材料を用いる本発明の高分子/液晶複合材料が高透明で等方性であり、大きなカー係数を発現するのは、キラリティーを有する液晶材料の分子配列秩序が高分子ネットワーク内に分断されていることにより、巨視的には等方性であるが、微視的には液晶材料の相関長が有限かつ長距離の液晶相を呈している状態を創製しているためと考えられる。
【0018】
既述のように、本発明において用いられるキラリティーを有する液晶材料とは、キラルな化合物を含有する液晶材料である。すなわち、カイラルネマチック相、ブルー相、カイラルスメクチックC相またはカイラルスメクチックC相を有する液晶材料としては、アキラルな液晶性化合物あるいは液晶性組成物(液晶性という語は、液晶相を有するものあるいは液晶材料との混合により著しく液晶相-等方相転移温度を低下させることのないものの総称である。以下同じ)にキラルな化合物もしくは組成物を混合したもの、またはキラルな液晶化合物もしくは液晶組成物を用いることができる。
【0019】
本発明において用いられるキラリティーを有する液晶材料のカイラルピッチ長はピッチ長の異なる2種以上の液晶性化合物を混合することによって調節することが可能である。ただしこの場合アキラルな化合物のピッチ長は無限大とする。
高分子含有率が同じであれば、液晶材料のカイラルピッチ長が短いほど、より高透明性と等方性となる傾向がみられる。したがって、本発明で用いられる液晶材料の室温でのカイラルピッチ長は、一般に100μm~10nmであり、好ましくは10μm~10nmであり、特に好ましくは1μm~10nmであり、例えば、1μm~100nmまたは1μm~50nmとする。1μm以下である液晶材料を用いると著しく高透明性と等方性となる。
本発明に用いる液晶材料の誘電率異方性の正負に関しては、特別の制限はない。但し、液晶材料の誘電率異方性値(Δε)の絶対値と屈折率異方性値(Δn)はそれぞれ大きいほど、カー係数は大きくなるため、いずれも大きいほど好ましい。しかし誘電率異方性値の絶対値あるいは屈折率異方性値が大きくなるほど、液晶材料の比抵抗値が大きくなる傾向にあるため、実際に光素子として用いる際に問題となる場合がある。本発明に従いキラリティーを有する液晶材料と高分子の複合材料を用いれば、液晶材料含有率を高くすることが可能であることから、従来技術より低い誘電率異方性値および屈折率異方性値の液晶材料を用いても、求められるカー係数を発現させることが可能である。液晶材料は二色性色素、フォトクロミック化合物を含有していてもよい。
【0020】
本発明の複合材料を構成するもう一つの成分である高分子について以下に説明する。本発明の複合材料を構成する高分子は特に限定されないが、高分子の原料としては、低分子量化合物から成るモノマーまたはマクロモノマーの他、オリゴマーを使用することもでき、本発明において高分子の原料モノマーとはこれらを包含する意味で用いている。また、二以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーを用いることによる三次元架橋構造を有するものが好ましい。さらに好ましくは三官能性以上のモノマーをモノマー中に10重量%以上含有させることが、高度に高透明性と等方性を発現させるためには好ましい。
【0021】
また高分子の原料モノマーとしてメソゲン部位を有するものを一部あるいは全部用いることが好ましい。三官能性以上のメソゲン部位を有さないモノマーとして、グリセロール・プロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、ペンタエリスリトール・プロポキシレート・トリアクリレート、ペンタエリスリトール・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・エトキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・プロポキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ペンタエリスリトール・テトラアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートを挙げることができるがこれに限定されない。
【0022】
メソゲン部位を有するモノマーは構造上特に限定されないが、式(1)で表される部分骨格を含有するモノマーを挙げることができる。
-A-Z-A-Z-A-Z-A- (1)
(式(1)中、AおよびAは、単結合、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ジオキサン環、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環またはチオフェン環などの環を示し、AおよびAはベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ジオキサン環、テトラヒドロピラン環、ラクトン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環またはチオフェン環などの環を示し、ただし式(1)中の環は1個以上の水素原子が、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基などの官能基で置換されていてもよく、Z1、Z2、Z3は独立して単結合、アルキレン基、-COO-、-OCO-を示すが、任意の-CH2-は、-O-、-S-、-CH=CH-(トランス)もしくは-C≡C-で置換されてもよいが、-O-は連続できず、水素原子はハロゲン原子に置換されてもよい。)
【0023】
メソゲン部位を有さない高分子の原料モノマーとしては、脂肪族モノマーおよび芳香族モノマーのいずれも用いることができる。
【0024】
本発明の複合材料に用いられる高分子は特に限定されないが、一般に、光硬化および熱硬化により調製される。重合性官能基は特に限定されないが、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基、スチレンなどを挙げることができるが、生産プロセスにおける重合速度の観点から上記の中ではアクリル基およびメタクリル基が好ましい。
【0025】
高分子/液晶複合材料中の液晶材料含有率は高透明と等方性を保持できる範囲であれば、カー係数を大きくするために可及的に高いことが好ましい。本発明の高分子/液晶複合材料においては、一般に30~99重量%という高い液晶材料含有率でこの要件を満たすことができ、好ましくは65~99重量%、特に好ましくは70~99%、さらに80~99重量%というきわめて高い液晶材料含有率でもこの要件を満たすことができる。実用上は、液晶材料含有率を例えば65~95重量%または65~90重量%とする。
【0026】
既述のように、本発明はキラリティーを有する液晶材料を用いることにより、高い液晶含有率においても高透明性と等方性を発現させることができ、結果として、大きなカー係数を発現する材料とすることを可能にし、さらに、カー係数の温度特性が穏やかな材料とすることも可能にしたものである。すなわち、本発明の高分子/液晶複合材料は、1×10-9mv-2以上のカー係数を示すことができ、特に好ましい態様においては、1×10-10mv-2以上のカー係数を示し、かつ温度差10℃(例えば、25℃と35℃)におけるカー係数の比が1.5以下である領域が存在する。カー係数が大きいことは低い電界強度で所望の電気複屈折が発現されることを意味し、また、温度差10℃でのカー係数の比が1.5以下であるというような小さな温度依存性は、電気複屈折値の温度依存性が小さく広い温度範囲にわたって安定していることと同義であり、光素子の設計上有意義である。
【0027】
本発明の高分子/液晶複合材料は液晶材料とモノマーを混合したものを光または熱で重合して製造することができる。この場合、光重合開始剤および熱重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤または光カチオン重合開始剤が好ましく、熱重合開始剤としては、熱ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0028】
光ラジカル重合開始剤の例は、チバスペシャリティー(株)のダロキュアーシリーズから1173および4265(いずれも商品名)、イルガキュアーシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959(いずれも商品名)、などである。
【0029】
熱によるラジカル重合の好ましい開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2´-アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、ジt-ブチルパーオキシド(DTBPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。
【0030】
光カチオン重合開始剤として、ジアリールヨードニウム塩(以下DASと略す)、トリアリールスルホニウム塩(以下TASと略す)などがあげられる。DASとしては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム-p-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウム-p-トルエンスルホナートなどが挙げられる。
【0031】
DASには、チオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルブレンなどの光増感剤を添加することで高感度化することもできる。
【0032】
TASとしては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホネートなどが挙げられる。
【0033】
光カチオン重合開始剤の具体的な商品名の例はUCCの製品のうちからサイラキュアーUVI-6990、サイラキュアーUVI-6974、サイラキュアーUVI-6992(それぞれ商品名)、旭電化(株)の製品からアデカオプトマーSP-150、SP-152、SP-170、SP-172(それぞれ商品名)、ローディアの製品からPhotoinitiator 2074(商品名)、チバスペシャリティーの製品からイルガキュアー250(商品名)、GEシリコンズの製品からUV-9380C(商品名)などである。
【0034】
重合温度は、高分子/液晶複合材料が高透明性と等方性を示す温度であることが好ましい。より好ましくはモノマーと液晶材料の混合物が等方相またはブルー相を発現する温度で、かつ、高分子/液晶複合材料が等方相ないしは可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態で重合を終了する温度とするのが好ましい。また重合中において温度を変化させてもよく、この場合、モノマーと液晶材料の混合物が等方相またはブルー相を発現する温度で重合を開始し、高分子/液晶複合材料が等方相ないしは可視光線以上の波長の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態を示す温度で重合を終了するのが好ましい。
【0035】
本発明の高分子/液晶複合材料は印加電界強度の二乗と電気複屈折値Δnが比例関係となる。ここで電気複屈折値とは、等方性媒体に電界を印加した際に誘起される複屈折値である。この場合、電気複屈折値には液晶材料の化学構造に起因して限界値があることなどにより、すべての印加電界強度において厳密に電気複屈折値が印加電界強度の二乗と比例することは要しないこととする。
【0036】
本発明の高分子/液晶複合材料は、如上の特長的な電気光学効果に基づく光変調や光スイッチングなどの機能を奏する各種の光素子として利用することができる。すなわち、本発明の高分子/液晶複合材料から成る光素子は、表示装置、光プリンター、光交換機、光演算装置、光記憶装置等の広い分野で用いることができる。これらの各装置は、それぞれの用途に応じて適宜工夫して構成され、特に限定されるものではないが、好ましい態様の幾つかを例示すると以下のようになる。
【0037】
光変調や光スイッチングのための基本的な素子としては、本発明の高分子/液晶複合材料を調光層とし、これを電極付基板で挟持させてなるもの、あるいは櫛形電極を有する基板と電極を有しない基板で狭持させてなるものを挙げることができる。この調光素子は電場により複屈折が誘起され偏光板と組み合わせることにより光素子とすることができる。表示装置においては、偏光板、透明電極、配向膜、調光層、配向膜、透明電極及び偏光板の順に配設された液晶シャッター、あるいは偏光板、調光層、櫛形電極および偏光板の順に配設された液晶シャッターであり、電界印加により光を通過又は遮断する調光層として本発明の高分子/液晶複合材料が用いられ、カラーフィルタ及びバックライトと合わせて表示装置を構成する。また、表示装置に用いる場合には、各種の位相差板フィルムや視野角補償フィルムなど各種の光学フィルムとの組み合わせが有効である。また、電界印加の回路手段としてTFT(薄膜トランジスター)との組み合わせも可能である。光プリンターにおいても本発明の複合材料から成る光素子が液晶シャッターとして機能し、光源ユニットと併せてプリンタヘッドを構成する。光交換機においては、光の進行方向を制御する液晶ホログラム素子として本発明の高分子/液晶複合材料が用いられ、光学系、液晶ホログラム素子、光デバイスアレイを順次配設し、機能素子間の光接続を切り替えるための部品として機能する。光演算装置においては、入射光の透過光量および透過方向が変化する透光性を有する材料の透過制御層で本発明の高分子/液晶複合材料が用いられ、この透過制御層を画定してアドレス電極と共に複数の単位構成体を構成し、各単位構成体に対して電界の強度を変化させ、透過光量および透過方向を制御し、各単位構成体が有する透過光量の分布や透過方向を用いて演算を行なうことができる。光記憶装置においては、回転対称な波面収差を発生させる光素子として本発明の高分子/液晶複合材料が用いられ、レーザー、ユリメートレンズ及び対物レンズと共に光ピックアップを構成する。
【0038】
以下実施例により本発明さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、Iは等方相、Nはネマチック相、BPはブルー相、Chはコレステリック相を表す。以下において、I-N相転移点をI-N点と言うことがある。I-Ch相転移点をI-Ch点と言うことがある。I-BP相転移点をI-BP点と言うことがある。
【0039】
本発明において、相関長の測定は以下の方法でおこなった。その他の物性値の測定は、日本電子機械工業規格(Standard of Electronic Industries Association of Japan)、EIAJ・ED-2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法に従った。
【0040】
相関長(ξ):測定に用いたセルはITO電極付ガラス2枚からなるセル(セル厚:12.6~12.9μm)に本発明のモノマーと光学活性な液晶材料の混合物を注入し、紫外線を照射することにより得た。このセルの散乱プロファイルを高分子フィルムダイナミックス解析装置(大塚電子(株)・DYNA-3000型)により測定した。測定に使用した光源はHe-Neレーザー(633nm)である。散乱プロファイルは散乱ベクトルqを変数とする散乱強度Iの変化として得られる。得られた散乱プロファイルから、下記のDebye-Buecheの式により相関長(ξ)を求めた。
I(q)=I(0)/(1+ξ
【0041】
相転移点(I-N点、I-Ch点、I-BP点;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、まず試料が等方相になる温度まで昇温した後、1℃/分の速度で冷却した。試料の一部が等方性液体からネマチック相、コレステリック相またはブルー相に変化したときの温度を測定した。
【0042】
ネマチック相の下限温度(TC;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、-10℃、-20℃、-30℃、および-40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が-20℃ではネマチック相のままであり、-30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、TC≦-20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0043】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):粘度の測定にはE型粘度計を用いた。
【0044】
光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光によりを用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行った。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n∥は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。Δn=n∥-n⊥、の式から計算した。
【0045】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
1)誘電率異方性が正である液晶材料:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度のTNセルに試料を入れた。このセルにサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε∥)を測定した。このセルにサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε∥-ε⊥、の式から計算した。
【0046】
2)誘電率異方性が負である液晶材料:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ホメオトロピック配向に処理した液晶セルに試料を入れ、サイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後の誘電率(ε∥)を測定した。さらに2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ホモジニアス配向に処理した液晶セルに試料を入れ、サイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後の誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε∥-ε⊥、の式から計算した。
【0047】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプである。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。このTN素子に印加する電圧は0Vから10Vまでを0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧-透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧である。
【0048】
電圧保持率(VHR;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60μ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7m秒のあいだ測定し、単位周期において電圧曲線と横軸との間の面積を求めた。TN素子を取り除いたあと測定した電圧の波形から同様にして面積を求めた。2つの面積の値を比較して電圧保持率を算出した。
【0049】
ピッチ(P;25℃で測定;nm):ピッチ長は選択反射を用いて測定した(液晶便覧196頁(2000年発行、丸善)。選択反射波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n∥2+n⊥2)/2}1/2。選択反射波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV-350)で測定した。得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチを求めた。
【0050】
可視光より長波長領域に反射波長を有するコレステリック液晶のピッチは、光学活性化合物濃度が低い領域では光学活性化合物の濃度の逆数に比例することから、可視光領域に選択反射波長を有する液晶のピッチ長を数点測定し、直線外挿法により求めた。
【実施例1】
【0051】
液晶材料として液晶組成物J(I-N点=97℃、Δε=5.7、Δn=0.142)(その化学構造式と組成を図8に示す)を50重量%、4-ペンチル-4’-シアノビフェニル(5CB)を38.5重量%、キラル化合物ZLI-4572(レジストリーナンバー:154102-21-3,Merck社製)を11.5重量%混合した液晶組成物A1を調製した。液晶組成物A1の相転移点はI-53.2-BPII-52.5-BPI-51.7-Ch(℃)であった。また液晶組成物の25℃における選択反射波長は351nm、平均屈折率は1.6であった。したがってピッチ長は220nmであった。
モノマーと液晶材料の混合物の調製
液晶材料とモノマーの混合物として液晶組成物A1を87.1重量%、三官能性でメソゲンを有さないアクリレートであるトリメチロールプロパントリアクリレートを5.38重量%、メソゲンを有する二官能性モノマーである1,4-ジ(4-(6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)-2-メチルベンゼンを7.12重量%、光重合開始剤として2,2’-ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.41重量%混合した液晶組成物A2を調製した。A2のI-BP点は40.8℃であった。
高分子/液晶複合材料の調製
液晶組成物A2を配向処理の施されていないITO電極付ガラス基板間(電極間距離12.9μm)に狭持し、得られたセルを42.8℃の等方相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度1.5mWcm-2(365nm))を20分間照射した。照射終了後は得られた高分子/液晶複合材料A3は高透明性と等方性を発現した。この状態は室温以下まで保たれた。
【実施例2】
【0052】
モノマーと液晶材料の混合物の調製
液晶材料とモノマーの混合物として液晶組成物A1を87.0重量%、メソゲン基を有する三官能性アクリレートである1,2,4-トリ(4-(6-アクリロイルオキシヘキシルオキシ)-フェニルカルボニルオキシ)ベンゼンを12.7重量%、光重合開始剤として2,2’-ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.3重量%混合し、モノマーと液晶材料の混合物からなる液晶組成物B2を調製した。B2のI-BP点は51℃であった。
高分子/液晶複合材料の調製
液晶組成物B2を配向処理の施されていないITO電極付ガラス基板間(電極間距離13ミクロン)に狭持し、得られたセルを55.0℃の等方相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度1.5mWcm-2(365nm))を20分間照射した。得られた高分子/液晶複合材料B3は室温以下の温度まで冷却しても高透明性と等方性を発現した。
【0053】
〔比較例1〕
モノマーと液晶材料の混合物の調製
実施例2において液晶組成物A1を、液晶組成物Jを50重量%、5CBを38.5重量%、ZLI-4572のラセミ体である4-(4-ペンチルシクロヘキシル)ベンゾイックアシッド 1-フェニル-1,2-エタンジイル エステルを11.5重量%混合した液晶組成物C1とした以外は、実施例2の方法に準じてモノマーと液晶材料の混合物からなる液晶組成物C2を調製した。液晶組成物C2のI-N点は51℃であった。
高分子/液晶複合材料の調製
液晶組成物B2をC2に換え、かつ紫外光照射を52℃、55℃、80℃という異なる温度で行った以外は実施例2の方法に準じて高分子/液晶複合材料(C3a、C3b、C3c)を調製した。これらの複合材料はすべて等方相からの冷却下において52℃で明確に相転移し、散乱体となった。すなわち透明性と等方性が保持できなくなった。
【0054】
〔比較例2〕
モノマーと液晶材料の混合物の調製
比較例1において液晶組成物C1を、4-ヘプチル-4’-シアノビフェニル(7CB)とした以外は、比較例1の方法に準じてモノマーと液晶材料の混合物からなる液晶組成物D2を調製した。液晶組成物D2のI-N点は41℃であった。
高分子/液晶複合材料の調製
液晶組成物B2をD2に換え、かつ紫外光照射を43℃で行った以外は実施例2の方法に準じて高分子/液晶複合材料D3を調製した。この複合材料は等方相からの冷却下において42℃で明確に相転移し、散乱体となった。すなわち透明性と等方性が保持できなくなった。
【実施例3】
【0055】
実施例1で得られた、高分子/液晶複合材料A3が狭持されたセルを図1に示す光学系に配置した。セルに正弦波交流電界(周波数1KHz)を印加した際の透過光強度からΔnを算出した。Δnの算出は、図1の電界印加方向に対するレーザーの入射角が45°の系で測定した観測値Δn(45°)に補正係数を乗じることにより求めた。補正係数は、レーザーの入射角が電界印加方向に対し、90°となる系を別途作成し、この90°入射系で得られた値とΔn(45°)の値の比から算出した。補正係数は2.7であった。
電界強度の二乗に対するΔnのプロットの傾きから、高分子/液晶複合材料A3が示すカー定数を算出した。温度とカー定数の関係を図2に示した。図2から、実施例1で得られた高分子/液晶複合材料A3は1.9×10-9mV-2を超えるカー係数を発現し、かつ(25℃のカー定数)/(35℃のカー定数)=1.05であり、温度依存性が小さいことがわかった。
【実施例4】
【0056】
(ピッチと散乱強度との関係)
液晶組成物の調製
液晶組成物Jを56.5重量%、4-ペンチル-4’-シアノビフェニル(5CB)を43.5重量%混合することにより液晶組成物E1を調製し、これにキラル化合物ZLI-4572を種々の分率で添加し、ピッチの異なる液晶組成物E1a~E1hを調製した。液晶組成物E1a~E1hの組成、相転移点、25℃におけるピッチを表1に示した。ただしE1hは液晶組成物A1と同一の組成である。
【0057】
【表1】
JP0005269284B2_000002t.gif

【0058】
モノマーと液晶材料の混合物の調製
液晶組成物A1を液晶組成物E1a~E1hに代える以外は、実施例1の方法に準じてモノマーと液晶材料の混合物である液晶組成物E2a~E2hを調製した。
高分子/液晶複合材料の調製
紫外光照射を液晶組成物E1a~E1hのI-N点、I-Ch点、I-BP点より2.5℃高温で行った以外は実施例2の方法に準じて高分子/液晶複合材料E3a~E3hを調製した。
光散乱強度の測定
高分子/液晶複合材料E3a~E3hの散乱プロファイルを高分子フィルムダイナミックス解析装置DYNA-3000(商品名/大塚電子(株))を用いて測定した。光源はHe-Neレーザー(633nm)を用い、測定温度は高分子/液晶複合材料E3a~E3hに用いた液晶組成物E1a~E1hのI-N点、I-Ch点、I-BP点より10℃低温で行った。結果を図3に示した。図3(a)および(b)はそれぞれVv散乱プロファイルおよびHv散乱プロファイルであり、散乱ベクトルqを変数として散乱強度Iの変化として得られる。いずれも、キラリティーを有する液晶材料を用いた複合材料(E3b、E3cおよびE3d)において著しい散乱強度の減少が確認された。またさらに液晶材料としてブルー相を発現する液晶材料を用いた複合材料(E3e、E3f、E3h、およびE3g)は、ブルー相を発現せずかつカイラルネマチック相を発現する液晶材料を用いた複合材料より、散乱強度がさらに減少することが確認された。この結果から、液晶材料にキラリティーを導入することによって、複合材料の透明性と等方性が著しく向上し、さらにブルー相を発現する液晶材料を用いた複合材料は、より透明性と等方性が良好であることがわかった。
【実施例5】
【0059】
(透過率および消光比)
高分子/液晶複合材料の調製
紫外光照射をモノマーと液晶材料の混合物E2aおよびE2hのI-N点、I-BP点より2℃高温で行った以外は実施例2の方法に準じて高分子/液晶複合材料E4aとE4hを調製した。
透過率および消光比
図4はE4aとE4hの透過率と消光比を液晶材料のI-N点およびI-BP点で規格化した温度に対してプロットした図である。
ネマチック液晶材料で構成されるE1aから調製されたE4aはE1aのI-N点近傍で急激に透過率が減少し、かつ消光比が増大しているのがわかる。すなわち、E1aの相転移点近傍で透明性が大きく減少し、等方性も失われたことがわかる。一方、キラリティーを有する液晶材料E1hから調製されたE4hはE1hのI-BP点より低温側においても、透過率、消光比に大きな変化はみられないことがわかる。すなわちE1hの相転移点より約30℃低温側でも、透明性と等方性が保たれていることがわかる。
【実施例6】
【0060】
実施例1の液晶組成物A2を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し、得られたセルを42.8℃の等方相まで加熱した。基板の間隔は13μmである。この状態で、紫外光(紫外光強度1.5mWcm-2(365nm))を20分間照射した。得られた高分子/液晶複合材料を用いた液晶セルF3は高透明性と等方性を発現した。また、この状態は室温以下まで保たれた。櫛型電極基板の電極は、図5に示す寸法であり、電極には蒸着したAl膜を使用した。
ここで得られた高分子/液晶複合材料液晶セルF3を図6に示した光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光学系へのセットは、図1の光学系とは異なり、レーザー光のセルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるようにセットした。1kHz交流正弦波を印加した時の、コントラスト比(電界印加時と非印加時の透過光量比)は図7のようになり、電界印加により透過光のオン/オフが出来ることが分かった。なお、測定温度は室温の25℃である。
【実施例7】
【0061】
実施例2の液晶組成物B2を実施例6と同じように、櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し、得られたセルを55.0℃の等方相まで加熱した。基板の間隔は12μmである。この状態で、紫外光(紫外光強度1.5mWcm-2(365nm))を20分間照射した。得られた高分子/液晶複合材料G3は高透明性と等方性を発現した。この状態は室温以下まで保たれた。この液晶セルを、偏光方向を直交させた2枚の偏光板に挟んで、50Vの交流電界を印加したところ、電界のオン/オフで明と暗の2状態を実現できることが分かった。印加交流は1kHz交流正弦波である。液晶セルを恒温槽内に設置し、温度を10~50℃の間で変えて同様に電界オン/オフを試みた所、この温度範囲内で2状態が出現することを確認した。
【実施例8】
【0062】
紫外光照射温度を55.0℃とした以外は実施例1と同じようにして高分子/液晶複合材料H3を得た。この複合材料H3は室温以下の温度においても高透明性と等方性を発現した。このものを実施例3と同じようにしてカー係数を測定したところ、35℃におけるカー係数は2.3×10-9mV-2、25℃におけるカー係数は2.2×10-9mV-2であった。(35℃のカー定数)/(25℃のカー定数)=1.05であり、温度依存性が小さいことがわかった。
【実施例9】
【0063】
液晶材料とモノマーの混合物として液晶組成物A1を84.48重量%、三官能性でメソゲンを有さないアクリレートであるトリメチロールプロパントリアクリレートを6.49重量%、メソゲンを有する二官能性モノマーである1,4-ジ(4-(6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)-2-メチルベンゼンを8.57重量%、光重合開始剤として2,2’-ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.46重量%混合した液晶組成物I2を調製した。液晶組成物I2のI-BP点は38.6℃であった。液晶組成物A2に換え液晶組成物I2を用いた以外は実施例1と同じようにして高分子/液晶複合材料I3を調製した。この複合材料I3は室温以下の温度においても高透明性と等方性を発現した。このものを実施例3と同じようにしてカー係数を測定したところ、35℃におけるカー係数は1.65×10-9mV-2、25℃におけるカー係数は1.64×10-9mV-2であった。(35℃のカー定数)/(25℃のカー定数)=1.01であり、温度依存性が小さいことがわかった。
【実施例10】
【0064】
液晶材料とモノマーの混合物として液晶組成物A1を79.38重量%、トリメチロールプロパントリアクリレートを8.61重量%、1,4-ジ(4-(6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)-2-メチルベンゼンを11.38重量%、光重合開始剤として2,2’-ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.63重量%混合した液晶組成物J2を調製した。液晶組成物J2のI-Ch点は34.6℃であった。液晶組成物A2に換え液晶組成物J2を用いた以外は実施例1と同じようにして高分子/液晶複合材料J3を調製した。この複合材料J3は室温以下の温度においても高透明性と等方性を発現した。このものを実施例3と同じようにしてカー係数を測定したところ、35℃におけるカー係数は1.1×10-9mV-2、25℃におけるカー係数は1.1×10-9mV-2であった。(35℃のカー定数)/(25℃のカー定数)=1であり、温度依存性が小さいことがわかった。
【実施例11】
【0065】
液晶材料とモノマーの混合物として液晶組成物A1を69.03重量%、トリメチロールプロパントリアクリレートを12.93重量%、1,4-ジ(4-(6-(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)-2-メチルベンゼンを17.08重量%、光重合開始剤として2,2’-ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.96重量%混合した液晶組成物K2を調製した。液晶組成物K2のI-Ch点は26.4℃であった。液晶組成物A2に換え液晶組成物K2を用いた以外は実施例1と同じようにして高分子/液晶複合材料K3を調製した。この複合材料K3は室温以下の温度においても高透明性と等方性を発現した。このものを実施例3と同じようにしてカー係数を測定したところ、35℃におけるカー係数は2.98×10-10mV-2、25℃におけるカー係数は2.92×10-10mV-2であった。(35℃のカー定数)/(25℃のカー定数)=1.02であり、温度依存性が小さいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上の詳細な説明から明らかなように、本発明の高分子/液晶複合材料は、高透明性で等方性であり、広い温度範囲にわたり大きなカー係数を示す優れた光素子として、産業上の多くの分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】カー効果を測定するために用いた光学系を示す。
【図2】高分子/液晶複合材料の1例について測定されたカー係数(K)と温度との関係を示す。
【図3】高分子/液晶複合材料について測定した散乱プロフィルを示す。
【図4】高分子/液晶複合材料について測定した透過率と消光比の温度変化を示す。
【図5】櫛歯電極セルの櫛歯電極パターンを示す。
【図6】櫛歯電極セルのカー効果を測定するために用いた光学系を示す。
【図7】櫛歯電極セルのコントラストと電界強度の関係を示す。
【図8】実用例で用いた液晶組成物Jの化学構造式と組成を示す。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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