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明細書 :3次元位置観測方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4789177号 (P4789177)
公開番号 特開2007-017561 (P2007-017561A)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発行日 平成23年10月12日(2011.10.12)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
発明の名称または考案の名称 3次元位置観測方法及び装置
国際特許分類 G01B  11/00        (2006.01)
G01N  21/64        (2006.01)
G02B  21/00        (2006.01)
G02B  21/36        (2006.01)
FI G01B 11/00 H
G01N 21/64 E
G02B 21/00
G02B 21/36
請求項の数または発明の数 13
全頁数 11
出願番号 特願2005-197049 (P2005-197049)
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
審査請求日 平成20年5月21日(2008.5.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】501086714
【氏名又は名称】学校法人 学習院
発明者または考案者 【氏名】西坂 崇之
【氏名】水谷 佳奈
個別代理人の代理人 【識別番号】100130111、【弁理士】、【氏名又は名称】新保 斉
審査官 【審査官】関根 洋之
参考文献・文献 特開昭63-147117(JP,A)
特開平2-161332(JP,A)
特開昭59-129811(JP,A)
調査した分野 G01B 11/00
G01N 21/64
G02B 21/00
G02B 21/36
特許請求の範囲 【請求項1】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材と、
その偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けた
ことを特徴とする3次元位置観測装置。
【請求項2】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材と、
その偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けた
ことを特徴とする3次元位置観測装置。
【請求項3】
偏向部材が、ウェッジプリズムである
請求項1または2に記載の3次元位置観測装置。
【請求項4】
偏向部材が、同一の傾斜角をもつ2基のウェッジプリズムであり、
その2基のウェッジプリズムが、各傾斜面の傾斜方向を逆に配向された形態で組み合わされて配置される
請求項1または3に記載の3次元位置観測装置。
【請求項5】
ウェッジプリズムの傾斜面が、撮像面に対向する側に配置される
請求項3または4に記載の3次元位置観測装置。
【請求項6】
撮像面が、撮像手段の受光部である
請求項1ないし5に記載の3次元位置観測装置。
【請求項7】
観測装置が、蛍光顕微鏡構成を備える
請求項1ないし6に記載の3次元位置観測装置。
【請求項8】
観測対象物が、蛍光色素を結合され水溶液中に存する微粒子である
請求項7に記載の3次元位置観測装置。
【請求項9】
画像解析手段が、
撮像面における複数の各像について、輝度に関する重心を独立に算出する
請求項1ないし8に記載の3次元位置観測装置。
【請求項10】
画像解析手段が、
撮像面における複数の像の同一方向への移動量から、撮像面と平行な方位への観測対象物の変位を求める
請求項1ないし9に記載の3次元位置観測装置。
【請求項11】
画像解析手段が、
撮像面における複数の像の逆方向への移動量から、撮像面と垂直な方位への観測対象物の変位を求める
請求項1ないし10に記載の3次元位置観測装置。
【請求項12】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材を配設し、
画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する
ことを特徴とする3次元位置観測方法。
【請求項13】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材を配設し、
画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析する
ことを特徴とする3次元位置観測方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、観測対象物の3次元位置、特に、顕微鏡下における微粒子の3次元運動を高い精度で検出する3次元位置観測方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光学顕微鏡に関する技術の発展はめざましく、現在は水溶液中の1個の蛋白質を対象に研究ができる段階にまで到達している。この発展を可能にしたのは、全反射照明など光学系の新技術、様々なタイプの高感度カメラの開発、光学フィルターの特性の向上などである。数多くの実験的手法があみ出され、今や「1分子生理学」という新しい流れが生まれつつある。
例えば、分子モーターや蛋白質分解酵素は、基質の結合によりダイナミックな構造変化を伴い、それが機能に密接に関係すると考えられている。
このような1個の生体分子の中で起こる構造変化を、分子レベルで生きたまま顕微鏡下で可視化できるようにする技術が求められている。この大きな流れを、次の新たなステップに進ませるためには、新しい視点に基づいた革新的な手法が必要とされている。
【0003】
1分子の蛋白質を観察する手法の1つとして、蛋白質を蛍光色素で特異的にラベルし、その1個の蛍光色素分子からの信号をとらえるという技術がある。
蛍光顕微鏡は、ある特定の波長の光が当たると、その光の波長より長い波長の光を出す色素を利用し、蛍光色素を光らせるための励起光を照射するための光学系と、それにより発生した蛍光を観察する光学顕微鏡とを組み合わせた構成を備える。
観察したい細胞内の構造に蛍光色素の結合させた試薬を結合させ、所定波長の光をその蛍光色素分子に照射すると、目的の細胞内の構造が暗黒を背景にして蛍光を発する。
【0004】
一般の蛍光顕微鏡で観察可能な蛍光色素分子の数は数十個以上であり、蛍光色素分子1個を識別することはできない。
これは、蛍光色素分子1個から得られる光信号強度より、ノイズ、すなわち周囲からの光信号強度の方が大きいためである。
それに対し、性能向上のために改良がなされ、フィルターの性質、対物レンズの品質の向上等により、1個の蛍光色素分子を可視化できる蛍光顕微鏡が開発されている。
【0005】
蛍光色素分子1個の観察のためには、エバネッセント場による照明により、蛍光色素分子が蛍光を発することを利用する。
具体的には、対象試料を含む水溶液とガラスとの境界面に対して、ガラス側から全反射角以上の角度でレーザー光を照射(全反射照明)し、境界面近傍に発生する非伝播光であるエバネッセント場によって対象試料を照明することで、蛍光色素分子に蛍光を発生させる。
【0006】
エバネッセント場は、境界面に垂直な方向に対して指数関数的に減衰するため、境界面に近い局所領域のみを照明することになるので、通常光による照明と比較して、背景光が極端に少ない利点がある。
また、試料水溶液中に多数の蛍光色素分子が存在するような条件下でも、境界面近傍の水溶液側に蛍光色素分子が存在する確率は小さいので、境界面上に固定されている1個の標的蛍光色素分子以外から発せられる蛍光は少ない。そのため、背景光や他の蛍光色素分子の蛍光によるノイズが極端に少なく、所望の標的蛍光色素分子1個からの蛍光を観察することが可能となる。
【0007】
全反射照明による1分子観察では、例えば、蛍光色素で標的した蛋白質や、DNA、基質であるATPなどの生体分子をガラス面に結合させ、1個1個の分子を独立した輝点として検知する。
そして、1分子からの微弱な信号を2次元の映像として画像化するためには、イメージインテンシファイアーやクールドCCDなどの高感度カメラが用いられる。
【0008】
本発明者は、1個の生体分子の特定部分の構造変化をリアルタイムで検出するために、全反射型蛍光顕微鏡を作製し観察を行っている。
例えば、本発明者による特許文献1の「全反射型蛍光顕微鏡」は、その技術の基本概念と光学系に関するものであり、振動面が任意の向きの色素分子を観察できる全反射型蛍光顕微鏡の構成を開示している。

【特許文献1】特許3577514号
【0009】
本発明者による特許文献2の「全反射型蛍光顕微鏡および照明光学系」は、蛍光色素分子と結合した試料の振動モーメントの方向によらず、その対象色素分子を観察できる全反射蛍光顕微鏡を開示している。

【特許文献2】特許3671227号
【0010】
このように、1個の生体分子を観察できるようになってきたが、従来技術で得られる位置情報は2次元情報であった。すなわち、顕微鏡の対物レンズが上下する方向に関する情報は得られなかった。
顕微鏡下で運動する原子分子の3次元位置情報が観測できれば、蛋白質1分子の変位を正確に検知するなど、飛躍的な進歩が望める。
【0011】
例えば、蛍光顕微鏡に関連する従来技術には、次のような文献もある。

【特許文献3】特開2005-37572号「蛍光顕微鏡用照明装置および蛍光顕微鏡」
【特許文献4】特開2000-56233「顕微鏡の照射光路における波長または波長領域を調整下で集束化するための装置」
【特許文献5】特表平11-513145号「二重対物レンズ系を有する共焦点顕微鏡」
【0012】
また、明視野顕微鏡法や、暗視野顕微鏡法、位相差顕微鏡法、微分干渉顕微鏡法、レーザー共焦点顕微鏡法などの顕微鏡技術の進展も著しいが、従来の顕微鏡観察で得られる位置情報は、観察面に相当するスライドガラスに平行な面(x-y平面)内における2次元情報であり、それに垂直な方位(z軸)の位置情報は得られなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、観測対象物の3次元方向の位置を同時に検出し、顕微鏡下で運動する蛋白質1分子の3次元運動を高精度で検出することにも寄与する3次元位置観測方法と、それを実施する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の3次元位置観測方法は、合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材を配設し、画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析することを特徴とする。
【0015】
同様に、合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材を配設し、画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析してもよい。
【0016】
本発明の3次元位置観測装置は、合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材と、その偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けたことを特徴とする。
【0017】
同様に、合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材と、その偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けてもよい。
【0018】
ここで、偏向部材としてウェッジプリズムを用いて、構成の簡素化に寄与させてもよい。
【0019】
偏向部材を、同一の傾斜角をもつ2基のウェッジプリズムとし、その2基のウェッジプリズムを、各傾斜面の傾斜方向を逆に配向した形態で組み合わせて配置させて、簡易に像を2分してもよい。
【0020】
ウェッジプリズムの傾斜面を、撮像面に対向する側に配置して、光学系を構成しやすくしてもよい。
【0021】
撮像面を、ビデオカメラなど撮像手段の受光部として、画像解析処理の利便に寄与させてもよい。
【0022】
観測装置に蛍光顕微鏡構成を設けて、蛍光色素の観測に供してもよい。
【0023】
観測対象物として、蛍光色素が結合され水溶液中に存する微粒子を用いて、蛋白質などの3次元変位の高精度検出に供してもよい。
【0024】
画像解析手段で、撮像面における複数の各像について、輝度に関する重心を独立に算出して、演算処理してもよい。
【0025】
撮像面における複数の像の同一方向への移動量を解析すると、撮像面と平行な方位への観測対象物の変位を求めることができる。
【0026】
撮像面における複数の像の逆方向への移動量を解析すると、撮像面と垂直な方位への観測対象物の変位を求めることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、微粒子の3次元変位を原理的にはオングストロームオーダーで検出可能となるので、蛋白質等の動的な特徴を画像化することができ、分子モーターや蛋白質分解酵素などの動作原理の解明に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、図面を基に本発明の実施形態を説明する。
なお、ここでは、蛍光色素が結合され水溶液中に存する微粒子を蛍光顕微鏡によって観測する例を挙げるが、試料を像として結像させる手段なら任意の照明手段を有する顕微鏡に利用できる。また、本発明は、微小な物質に限らず、大きな物体にも適宜適用可能である。微小物質に関しては、例えば、10nm程度の微粒子や、蛍光色素1分子にも応用が可能である。
【0029】
図1は、本発明の実施例である観測装置の要部構成を示す説明図であり、図2~4は、それによる作用を示す模式図である。
複数のガラス板の間に、蛍光色素を有する観測対象試料を含む水溶液が保持される。
観測対象物からCCDカメラ等の撮像面に至る光路の途中に、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材が配設される。
図示の例では、偏向部材としてダブルウェッジプリズムを採用している。一般に、ウェッジプリズムは、光学的隔離用コンポーネントとして使用されている。
【0030】
本実施例では、同一形状のウェッジプリズムを2基組み合わせ、光路の中央に配置した。しかし、ウェッジプリズムの数は2基に限らず3基以上でもよく、後述のように1基でもよい。また、その複数のウェッジプリズムの形状も同一でなくてもよい。
【0031】
2基のウェッジプリズムは、同一の傾斜角をもつものを用い、その2基のウェッジプリズムの各傾斜面の傾斜方向を逆に配向した形態で組み合わせて配置する。更に、その傾斜面が、カメラに対向する側になるように配置することが好ましい。
【0032】
なお、偏向部材は、輝点信号の進行方向を変える作用を有するものであればよく、プリズムの代わりに、ミラーや、光の方向を電気的に制御する素子も利用できる。
【0033】
観測対象物は、その水溶液中で3次元的に移動しうる。図1及び2に示す例では、対物レンズが上下する方位(z軸方向)に沿って、3通りの試料位置A~Cを配列して示している。図2では、観測対象物が観測面に垂直な方向(z方向)へ変位した時、撮像面における2つの像の変位が模式的に示されている。
対物レンズが上下する方位(z軸方向)に沿った各試料位置A~Cに位置する観測対象物の像は、それぞれ焦点a~cに対応する。
【0034】
各ウェッジプリズムを透過した観測光は、進行方向が変えられるので、図示のように分割されて2つの像を結ぶ。
そして、試料位置A~Cに応じて、焦点a~cの位置も同じ方向にずれるので、カメラの撮像面では、2つの像も、試料位置A~Cに応じた位置及び形状を現す。
このとき、観測対象物が観測面に垂直な方向へ変位した時は、撮像面における2つの像の輝度の重心は、逆方向へ対称的に変位する。
そのため、その移動量から、観測面と平行な方位への変位を相対量として求めることができる。
【0035】
図3は、同様に、観測対象物が観測面に平行な横方向(x方向)へ変位した時、撮像面における2つの像の変位を示す説明図である。
観測対象物が観測面に平行な横方向へ変位した時(試料位置B、D、E)は、撮像面における2つの像も、同一の横方向へ揃って変位する。
そのため、その移動量から、観測面と平行な方位への変位を絶対量として求めることができる。
その際、カメラの撮像面における各像の位置は、画像解析によって、輝度に関する重心を独立に算出して求める。
【0036】
図4は、観測対象物が観測面に平行な縦方向(y方向)へ変位した時、撮像面における2つの像の変位を示す説明図である。
この場合も、上記と同様に、観測対象物が観測面に平行な縦方向へ変位した時(試料位置B、F、G)は、撮像面における2つの像も、同一の縦方向へ揃って変位するので、その移動量から、観測面と平行な方位への変位を絶対量として求めることができる。
【0037】
図5は、x方向の変位と対物レンズの変位との関係を示すグラフである。実線は代表的な実験値の一例を示し、点線が平均値を示している。
z方向の変位の絶対量を求めるため、対物レンズを上下させることによって間接的に、x方向の変位との関係を求めた。
すなわち、観測面に固定した蛍光粒子に対して 、対物レンズを0.1μmずつずらしていき、2つの像の位置の相対変化を測定した。その結果、本実施例では、「x方向の相対変位 = 0.46 × z方向の変位」との関係を得た。
【0038】
この系を利用して、ブラウン運動の解析を行った。
図6~8は、8秒間における径0.5μmの蛍光単粒子のx、y、z方向への変位を、それぞれ示したグラフであり、図9は、それを立体的に表示したグラフである。図9における点は、33ms毎にプロットしてある。
これにより、ブラウン運動する粒子の軌跡が、3次元的に検知された。
【0039】
図10は、振幅20nm、周波数0.5Hzの矩形波を入力した時のz方向の変位を示すグラフである。
蛍光単粒子をガラス面に吸着させた状態で、位置精度を求めたところ、x-y方向では~4nm、z方向では~15nmの値が得られた。これらの結果から、蛍光単粒子の動きを、観測面に平行な方位ではナノメートルオーダー、それに垂直な方位では10ナノメートルオーダーで3次元的に検出できることが明らかになった。
また、本発明によると、1枚の撮像画像から3次元の位置情報を得られる利点もある。
ステージの安定性を保ち、1枚の撮像の露光時間を長くし、撮像データのフィルタリングを高めると、オングストロームオーダーの精度で位置情報を得ることが可能となる。
【0040】
ウェッジプリズムは、必ずしも前記のように複数設けなくてもよい。ウェッジプリズムを複数用いてもよいが、全ての観測光をプリズムに透過させるのではなく、偏向させないで直進させる観測光も生成させてもよい。
この場合も、前記の場合と同様に、撮像面において2つの像の変位を検知できる。そのため、偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析することが可能になる。
前記実施例との違いは、光学素子が簡便になるという点と、撮像面における2つの像の相対距離が半分になるという点である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によると、簡易な構成でありながらも観測対象物の3次元位置情報を得られる。蛍光単粒子による標識を用いればあらゆる蛋白質に応用でき、一分子の動的な挙動をオングストロームオーダーの精度で追跡可能となる。
これによって、生体分子の構造変化をリアルタイムで3次元表示することができ、一分子生理学を進める推進力になり、用途が広く産業上非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明実施例である観測装置の要部構成を示す説明図
【図2】観測対象物がz方向へ変位した時の像を示す説明図
【図3】観測対象物がx方向へ変位した時の像を示す説明図
【図4】観測対象物がy方向へ変位した時の像を示す説明図
【図5】x方向の変位と対物レンズの変位との関係を示すグラフ
【図6】蛍光単粒子のx方向への時間変位を示したグラフ
【図7】蛍光単粒子のy方向への時間変位を示したグラフ
【図8】蛍光単粒子のz方向への時間変位を示したグラフ
【図9】蛍光単粒子の時間変位を立体的に表示したグラフ
【図10】矩形波を入力した時のz方向の変位を示すグラフ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
9