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明細書 :光信号増幅3端子装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4436451号 (P4436451)
登録日 平成22年1月8日(2010.1.8)
発行日 平成22年3月24日(2010.3.24)
発明の名称または考案の名称 光信号増幅3端子装置
国際特許分類 G02F   2/02        (2006.01)
G02F   1/025       (2006.01)
G02F   3/00        (2006.01)
FI G02F 2/02
G02F 1/025
G02F 3/00 501
請求項の数または発明の数 14
全頁数 19
出願番号 特願2005-501565 (P2005-501565)
出願日 平成15年9月19日(2003.9.19)
国際出願番号 PCT/JP2003/011961
国際公開番号 WO2004/038492
国際公開日 平成16年5月6日(2004.5.6)
優先権出願番号 2002308946
2003059382
2003287576
優先日 平成14年10月23日(2002.10.23)
平成15年3月6日(2003.3.6)
平成15年8月6日(2003.8.6)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成18年7月5日(2006.7.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】前田 佳伸
個別代理人の代理人 【識別番号】100085361、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 治幸
審査官 【審査官】野田 定文
参考文献・文献 米国特許第05264960(US,A)
米国特許出願公開第2002/0181831(US,A1)
特開2003-005240(JP,A)
特開2002-262319(JP,A)
特開2001-264825(JP,A)
IEEE Photonics Technology Letters,1997年 6月,Vol.9,No.6,758-760
IEEE Photonics Technology Letters,2003年 2月,Vol.15,No.2,257-259
Jpn. Journal of Applied Physics,2002年,Vol.41,Part 1,No.7B,4828-4830
調査した分野 G02F 1/01
G02F 1/35-3/00
H01S 3/00-5/00
H04B 10/00
JSTPlus(JDreamII)
IEEE Xplore
特許請求の範囲 【請求項1】
pn接合からなる活性層をそれぞれ備えるとともに該活性層を通過した光を反射するための反射手段を一端面にそれぞれ備え、他端面から入力された光信号をクロスゲイン変調特性を利用して増幅および波長変換して該他端面から出力するための第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子と、
第1波長の第1入力光と第2波長の第2入力光とを前記第1半導体光増幅素子に入力させる第1光入力手段と、
前記第1半導体増幅素子からの光から前記第2波長の光を選択する第1波長選択素子と、
該第1波長選択素子により選択された第2波長の光と第3波長の第3入力光とを前記第2半導体光増幅素子へ入力させる第2光入力手段と、
該第2半導体光増幅素子からの光から第3波長の出力光を選択する第2波長選択素子とを、含み、
前記第3波長の出力光は、前記第1波長の第1入力光および/または第3波長の第3入力光の強度変化に応答して変調され、且つ前記第3波長の第3入力光に対する信号増幅率が2以上であることを特徴とする光信号増幅3端子装置。
【請求項2】
前記第1波長の第1入力光は変調光であり、前記第2波長の第2入力光は連続光であり、前記第3波長の第3入力光は制御光であり、前記第3波長の出力光は、該制御光の入力区間において該第1入力光の変調信号が増幅された信号波形を備えたものである請求項1の光信号増幅3端子装置。
【請求項3】
前記第3波長は、前記第1波長と同じ波長である請求項1または2のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項4】
前記第3波長の出力光の前記第3波長の制御光に対する信号増幅率は、10以上である請求項1乃至3のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項5】
前記半導体光増幅素子の活性層は、量子井戸、歪み超格子、または量子ドットから構成されたものである請求項1乃至4のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項6】
前記第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子の一端面に備えられた前記反射手段は、選択的に光を反射するものである請求項1乃至5のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項7】
前記反射手段は、前記第1半導体光増幅素子からの光のうちの前記第1波長の第1入力光は反射しないが前記第2波長の光は第2半導体光増幅素子へ向かって反射する第1の波長選択性ミラーと、該第2半導体光増幅素子からの光のうちの前記第1波長の第2入力光は反射しないが前記第3波長の光は反射する第2の波長選択性ミラーである請求項1乃至6のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項8】
前記第1半導体光増幅素子の一端面と光を反射するための反射手段との間には、前記第1波長の光は透過させないが前記第2波長の光は透過させる波長選択性フィルタが設けられ、前記第2半導体光増幅素子の一端面と光を反射するための反射手段との間には、前記第2波長の光は透過させないが前記制御光の波長は透過させる波長選択性フィルタが設けられたものである請求項1乃至6のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項9】
前記反射手段は、前記第1波長選択素子および/または第2波長選択素子として機能し、該反射手段に対して入力光の入射角度および/または出力光の出射角度を変えることによって、所定の半導体光増幅素子からの出力光を他の半導体光増幅素子へ入力させるものである請求項1乃至8のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項10】
前記第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子は、半導体基板の上に形成された光導波路においてそれぞれ複数組設けられ、それら複数組が1チップとして一体的に構成されたものである請求項1乃至5、7、8、9のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項11】
前記半導体光増幅素子の一端面を通して前記半導体光増幅素子内に入力光を入力させ、該一端面を通して該半導体光増幅素子内から出力される光を該入力光とは異なる光路へ導く光サーキュレータまたは方向性結合素子が設けられたものである請求項1乃至8のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項12】
前記第1波長選択素子または第2波長選択素子として機能する波長選択性ミラーまたは波長選択性フィルタは、光路内に設けられ、光伝播方向において屈折率が周期的に変化させられたグレーティングフィルタ、屈折率が異なる多数組の層が積層されて成る多層膜フィルタ、フォトニックバンドギャップを有するフォトニッククリスタルのいずれかから構成されたものである請求項1乃至11のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項13】
前記光信号増幅3端子装置は、光NANDゲート、光NORゲート、光フリップフロップ回路、または光演算増幅器を構成するものである請求項1乃至12のいずれかの光信号増幅3端子装置。
【請求項14】
前記第2波長選択素子は、前記第2半導体光増幅素子から出力される光のうちの前記制御光の波長に対応する第3波長の出力光を選択するとともに、該第3波長の出力光の波長に応じて複数の光伝送路へ分配する光分配装置である請求項1乃至13のいずれかの光信号増幅3端子装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)光信号を増幅、制御、或いはスイッチングする光信号増幅3端子装置、特に、高度情報処理が可能な光通信、光画像処理、光コンピュータ、光計測、光集積回路などの光エレクトロニクスに好適な光信号増幅装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
広帯域且つ高速伝送が可能な光ファイバ通信を用いた動画像通信や映像の分配といった広帯域な新サービスの広範な展開が期待されている。しかしながら、たとえばエレクトロニクスで言えば3端子のトランジスタに相当するような機能(信号増幅作用)素子、すなわち光信号を他の光信号で直接制御して信号増幅するような光機能素子は、未だ、実現されていない。
【0003】
このため、折角、高速で伝送した光信号を一旦電気信号に変換し、電子回路において情報処理が行われ、処理後の信号を再度光に変換して伝送するというのが実情である。したがって、光を光で直接制御することができないので、信号処理の高速性に限界があった。光信号のまま信号処理ができる場合には、並列処理が可能であると言われており、一層の処理時間の短縮化が期待できるのである。
【0004】
これに対し、非特許文献1或いは非特許文献2に記載されている装置は、光をスイッチングする装置、マッハツェンダー型光干渉による波長変換などを利用したゲートスイッチング装置に過ぎず、これらは、温度変化、振動に弱く、設定が厳しいという不都合があった。このような従来技術は、電子回路におけるトランジスタのように、入力光を制御光を用いて信号増幅された出力光を得る機能を備えた光信号増幅3端子装置を構成する点については何ら開示されていない。
【0005】
次に、広帯域、高速且つ高容量の信号伝送が可能な光通信の分野において、その光信号の通信、転送、分配がその広帯域、高速且つ高容量といった性質を損わないようにして行われることが期待されている。比較的近い将来に構築されることが予想されている波長分割多重(WDM)をベースとした光ネットワークでは、一方の光伝送路から伝送された波長の異なる複数種類のレーザ光である波長分割多重光信号を波長毎に所望の光伝送路へ転送する光信号の転送(光信号の中継)技術が重要となる。光ファイバなどの所定の伝送路(たとえば波長バス)を介して伝播した一連の光信号(たとえばパケット信号)を、その一連の光信号に付されているラベル或いはタグのような行先情報が示す他の伝送路へ転送するための光信号転送、たとえば光ネットワーク内或いは光ネットワーク間でルーティングするルーティングでは、大容量且つ高速であるという光信号伝送の特徴を損うものであってはならなず、ルータすなわち光信号中継(転送)装置においても高速で転送処理されること、信頼性が高く、小型であることなどが要求される。
【0006】
これに対し、たとえば特許文献1に記載された光パスクロスコネクト装置が提案されている。これによれば、波長多重伝送リンクの波長バスをG本ずつN個の波長群バスに分割する分波器と、その分波器によって分割された波長群毎にルーティング処理を実行するルーティング処理部とが備えられ、波長群毎にルーティング処理が行われるように構成されている。この光パスクロスコネクト装置のルーティング処理部は、波長群毎に波長変換する波長変換器と、それにより波長変換された光を分配するためにコントローラによって制御される光マトリックススイッチとから構成されている。そして、この光マトリックススイッチは、マトリックス状光路の交点に配置されたメカニカル動作の反射鏡スイッチをコントローラによって択一的に動作させ、複数の波長群のうちその反射鏡スイッチにより反射された1つの波長群を所望の伝送路へ出力させるように構成されるか(段落0042、図10(1))、或いは、コントローラによって択一的に動作させられる光スイッチとメッシュ配線とが配置され、複数の波長群のうちその光スイッチにより通過させられた1つの波長群をメッシュ配線内の1つの伝送路へ出力させるように構成される(段落0043、図10(2))。
【0007】
しかしながら、上記従来の光パスクロスコネクト装置では、コントローラによって作動制御される反射鏡スイッチ或いは光スイッチによってルーティング処理されることから、コントローラにおいて電子的に処理された出力であるルーティング先(行先)を示すが指令信号に従って反射鏡スイッチ或いは光スイッチが切換動作させられる。このため、光信号の一部を電気信号に変換してその電気信号に含まれる行先情報たとえばパケットのラベルやタグに含まれる転送関連信号を抽出し、それに従って反射鏡スイッチ或いは光スイッチを電気的に作動制御してから光信号を転送する必要があるため、応答速度が十分に得られなかった。また、転送先の伝送路(波長バス)の波長に合わせて波長を変換するために、上記ルーティング処理部の他に波長変換部が備えられており、そのような波長変換部がルーティング処理部に加えて設けられているので、装置が大型となるとともに、特にメカニカル作動の反射鏡スイッチが用いられる場合には信頼性が得られない場合があった。
【0008】
さらに、広帯域、高速且つ高容量の信号伝送が可能な光通信の分野において、光信号(たとえばパケット信号などの光データ)の識別、多重や分離、スイッチング、ルーティング(転送、分配)がその広帯域、高速且つ高容量といった性質を損わないようにして行われることが期待されている。このような光の領域では、たとえばフォトニックルータシステムに代表される光信号を処理する光信号処理システムの全般において、光信号を一時的に記憶し且つ所望のタイミングで取り出すことができる光信号記憶装置が求められている。エレクトロニクス分野の信号処理においてメモリが必須であると同様に、光信号処理分野においても光メモリ、光バッファと称される光信号記憶装置が必要不可欠であるからである。
【0009】
これに対し、たとえば特許文献に記載されているような、光メモリ装置が提案されている。これによれば、複数種類の遅延時間を与えるために長さの異なる光ファイバからそれぞれ構成された複数の光導波手段105~108が用意されており、その光導波手段105~108のいずれかを通過させることでその光導波手段105~108のいずれかの伝播時間に対応する遅延時間だけ、光信号を記憶させることができるように構成されている。
【0010】
しかしながら、上記従来の光メモリ装置では、光信号が伝播させられる光導波手段105~108のいずれかの伝播時間に対応する遅延時間だけ、その光信号の記憶時間が予め決定されるに過ぎず、任意のタイミングで光信号を取り出すことができないことから、光信号の処理の自由度が制限されて信号処理効率が低くなることが避けられなかった。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特開2002-262319号公報
【特許文献2】特開平8-204718号公報
【0012】

【非特許文献1】K.E.Stubkjaer,”Semiconductor optical amplifier-based all-optical gates for high-speed optical processing,”IEEE J.Quamtun Electron.,vol.6,no.6,pp.1428-1435,Nov./Dec.2000
【非特許文献2】T.Durhuus,C.Joergensen,B.Mikkelsen,R.J.S.Pedersen,and A.E.Stubkjaer.”All optical wavelength conversion by SOAs in a Mach-Zender configuratiom,”IEEE Photon.Technol.Lett.,vol.6,pp.53-55,Jan.1994
【0013】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、光信号の増幅処理を制御光を用いて直接行うことができる光信号増幅3端子装置を提供することにある。
【0014】
本発明者は、以上の事情を背景として種々の検討を重ねた結果、半導体光増幅素子や希土類元素添加ファイバアンプなどの光増幅素子において、所定波長λの入力光の周囲波長の自然放出光が、その入力光の強度変化に応答して強度変化し、その変化は入力光の信号強度変化に対して逆の強度変化をする点、および、その自然放出光の波長域内すなわち入力光の周囲波長域内の他の波長λのレーザ光を上記入力光に重畳させて入射させると、上記自然放出光の信号(振幅)変化は維持されつつ、全体の強度が急激に増加するという現象すなわちレーザ誘導光信号増強効果(Laser-induced signal enhancement effect)を見い出した。また、本発明者は、この現象を、波長λからλへの波長変換機能としても把握し、その波長変換を2段接続するタンデム波長変換素子に基づく光3端子装置(All-Optical Triode Based on Tandem Wavelength Converter)を着想し、光信号増幅3端子装置を見いだした。本発明はかかる知見に基づいて為されたものである。
【発明の開示】
【0015】
発明
すなわち、発明の光信号増幅3端子装置の要旨とするところは、(a)pn接合から構成される活性層を備えるとともにその活性層を通過した光を反射するための反射手段を一端面にそれぞれ備え、他端面から入力された光信号をクロスゲイン変調特性を利用して増幅および波長変換してその他端面から出力するための第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子と、(b)第1波長の第1入力光と第2波長の第2入力光とを前記第1半導体光増幅素子に入力させる第1光入力手段と、(c)前記第1半導体増幅素子からの光から前記第2波長の光を選択する第1波長選択素子と、(d)その第1波長選択素子により選択された第2波長の光と第3波長の第3入力光とを前記第2半導体光増幅素子へ入力させる第2光入力手段と、(e)その第2半導体光増幅素子からの光から第3波長の出力光を選択する第2波長選択素子とを、含み、(f)前記第3波長の出力光は、前記第1波長の第1入力光および/または第3波長の第3入力光の強度変化に応答して変調され、且つ前記第3波長の第3入力光に対する信号増幅率が2以上であることにある。
【0016】
このようにすれば、第1波長の第1入力光と第2波長の第2入力光とが入力された第1半導体光増幅素子からの光から選択された第2波長の光と、第3波長の第3入力光とが第2半導体光増幅素子へ入力させられるとき、その第2半導体光増幅素子から出された光から選択された第3波長の出力光は、前記第1波長の第1入力光および/または第3波長の第3入力光の強度変化に応答して変調された光であって、前記第3波長の第3入力光に対する信号増幅率が2以上の大きさの増幅信号となるので、光信号の増幅処理を制御入力光を用いて直接行うことができる光信号増幅3端子装置を得ることができる。また、第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子はpn接合から構成される活性層を備えた光増幅素子であるので、光信号増幅3端子装置が小型化されるとともに、信号増幅率が一層高められる。さらに、第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子は、その活性層を通過した光を反射するための反射手段を一端面にそれぞれ備え、他端面から入力された光信号をクロスゲイン変調特性を利用して増幅および波長変換してその他端面から出力するものであることから、その反射手段によって反射された光によるフィードバック効果が得られるので、出力信号の変調度が一層高められる。
【0017】
ここで、好適には、前記第1波長の第1入力光は変調光であり、前記第2波長の第2入力光は連続光であり、前記第3波長の第3入力光は制御光であり、前記第3波長の出力光は、その制御光の入力区間においてその第1入力光の変調信号が増幅された信号波形を備えたものである。このようにすれば、第3波長の出力光は、制御光の入力区間において前記第1波長の第1入力光の強度変化に応答して変調された増幅光となるので、増幅された光信号のスイッチング処理を制御入力光を用いて直接行うことができる光信号増幅3端子装置を得ることができる。
【0018】
また、好適には、前記第3波長は、前記第1波長と同じ波長である。このようにすれば、光信号増幅3端子装置の信号入力光としての第1入力光及び第3入力光と、出力光とが同じ波長となるので、共通の波長で複数の光信号増幅3端子装置を接続することが可能となり、複数個の光信号増幅3端子装置を用いて集積度の高い光回路を構成することができる。
【0019】
また、好適には、前記第3波長の出力光の前記第3波長の制御光に対する信号増幅率は、10以上の値である。このようにすれば、光信号増幅3端子装置の信号増幅率が一層高められる。
【0020】
また、好適には、前記半導体光増幅素子の活性層は、量子井戸または量子ドットから構成されたものである。このようにすれば、量子井戸または量子ドットから構成される活性層を備えた半導体光増幅素子が用いられるので、高速応答が可能となる。特に量子ドットを用いた場合には100GHz以上の応答速度が得られる。また、活性層として歪み超格子を用いると偏波依存性が小さくなる。
【0021】
また、好適には、前記半導体光増幅素子は、前記活性層を通過した光を反射するための反射手段をその一端面に備え、他端面を通して入力光が入力され且つ出力光が取り出されるものである。このようにすれば、1端面に備えられた反射手段によって活性層における通過路が実質的に長くされるので、信号増幅率が一層高められる。また、フィードバック効果によって、出力信号の変調度が一層高められる。
【0022】
また、好適には、前記第1半導体光増幅素子および/または第2半導体光増幅素子は、選択的に光を反射するための反射手段をその一端面側に備え、その反射手段は、レンズを通してその第1半導体光増幅素子および/または第2半導体光増幅素子の端面と光学的に結合されたものである。このようにすれば、この集光レンズにはマイクロレンズが好適に用いられ、入力光、出力光は光ファイバを介して伝送される。
【0023】
また、好適には、前記反射手段は、前記第1半導体光増幅素子からの光のうちの前記第1波長の第1入力光は反射しないが前記第2波長の光は第2半導体光増幅素子へ向かって反射する波長選択性ミラーと、前記第2半導体光増幅素子からの光のうちの前記第2波長の第2入力光は反射しないが前記第3波長の光は反射する波長選択性ミラーである。このようにすれば、反射手段は、第1波長選択素子として機能する波長選択性ミラーと第2波長選択素子として機能する波長選択性ミラーとにより構成される。
【0024】
また、好適には、前記第1半導体光増幅素子の一端面と光を反射するための反射手段との間には、前記第1波長の光は透過しないが前記第2波長の光は透過させる第1波長選択性フィルタが設けられ、前記第2半導体光増幅素子の一端面と光を反射するための反射手段との間には、前記第2波長の光は透過しないが前記制御光の波長は透過させる第2波長選択性フィルタが設けられたものである。このようにすれば、前記第1波長選択素子および第2波長選択素子が第1波長選択性フィルタおよび第2波長選択性フィルタによって構成される。また、第1入力光すなわち信号光の波長である第1波長の光が第1波長選択性フィルタによって透過させられないので、一層よい特性が得られる。
【0025】
また、好適には、前記反射手段は、前記第1波長選択素子および/または第2波長選択素子として機能し、その反射手段に対して入力光の入射角度および/または出力光の出射角度を変えることによって、所定の半導体光増幅素子から他の半導体光増幅素子へ入力させるものである。
【0026】
また、好適には、前記第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子は、半導体基板の上に形成された光導波路においてそれぞれ複数組設けられ、それら複数組が1チップとして一体的に構成されたものである。このようにすれば、光信号増幅3端子装置が一層小さな集積化1チップのモノリシック構造となる。
【0027】
また、好適には、前記半導体光増幅素子の他端面を通して前記半導体光増幅素子内に入力光を入力させ、その他端面を通してその半導体光増幅素子内から出力される光をその入力光とは異なる光路へ導く光サーキュレータまたは方向性結合素子が設けられたものである。このようにすれば、半導体光増幅素子の他端面から出た光はその他端面へ入力させる光を導く導波路に入ることがなく、専ら他の出力用導波路に導かれる。
【0028】
また、好適には、前記第1波長選択素子または第2波長選択素子として機能する波長選択性ミラーまたは波長選択性フィルタは、導波路または光ファイバ内の光伝播方向において屈折率が周期的に変化させられたグレーティングフィルタ、屈折率が異なる多数組の層が積層されて成る多層膜フィルタ、フォトニックバンドギャップを有するフォトニッククリスタルのいずれかから構成されたものである。このようにすれば、第1半導体光増幅素子或いは第2半導体光増幅素子からの光から第2波長或いは第3波長が好適に抽出される。
【0029】
また、好適には、前記光信号増幅3端子装置は、光NANDゲート、光NORゲート、光フリップフロップ回路、または光演算増幅器を構成するものである。このようにすれば、光デジタル回路、または光アナログ回路が前記光信号増幅3端子装置から好適に構成される。
【0030】
また、前記光信号増幅3端子装置において、第1半導体光増幅素子および第2半導体光増幅素子、第1波長選択素子および第2波長選択素子、それらへ入力される光を合波する光カプラなどの構成部品は、光を導く光ファイバや、半導体基板またはガラス基板のような透光性物質製基板の上に形成された光導波路などにより結合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1は、本発明の一実施例の光信号増幅3端子装置の構成を説明するブロック図である。
図2は、図1の実施例における光増幅素子が半導体光増幅素子により構成された場合の外形を示す斜視図である。
図3は、図1の光信号増幅3端子装置の作動を説明するタイムチャートであり、上段は第1入力光の波形を示し、中段は制御光の波形を示し、下段は出力光の波形を示している。
図4は、図1の光信号増幅3端子装置の入出力特性を示す図である。
図5は、図1の光信号増幅3端子装置の出力信号の周波数特性を示す図である。
図6は、図1の光信号増幅3端子装置によって構成される光フリップフロップ回路を示す図であって、(a)は一対の光NANDゲードから構成される光フリップフロップ回路、(b)は一対の光NORゲードから構成される光フリップフロップ回路をそれぞれ示している。
図7は、図1の光信号増幅3端子装置によって構成される光演算増幅回路を示す図である。
図8は、光信号増幅3端子装置の他の実施例の構成を説明する図1に相当する図である。
図9は、光信号増幅3端子装置の他の実施例の構成を説明する図1に相当する図である。
図10は、図9の光信号増幅3端子装置をモノリシック構造とした場合の構成を説明する図である。
図11は、光信号増幅3端子装置の他の実施例であって、4端子型光サーキュレータを用いた構成を説明する図1に相当する図である。
図12は、図11の光信号増幅3端子装置をモノリシック構造とした場合の構成を説明する図である。
図13は、光信号増幅3端子装置の他の実施例であって、半導体基板の上にエピタキシャル成長させられたV字型光導波路を備えたモノリシック構造の構成を説明する図である。
図14は、光信号増幅3端子装置の他の実施例の構成を説明する図1に相当する図である。
図15は、光信号増幅3端子装置の他の実施例であって、半導体基板の上にエピタキシャル成長させられたV字型光導波路を備えたモノリシック構造の構成を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
図1乃至図15は、光信号増幅3端子装置に関連する実際例を示すものであって、図1はその一実施例の光信号増幅3端子装置10を示している。
【0034】
図1において、第1レーザ光源12は、たとえば1555nmの第1波長λの第1レーザ光(第1入力光)Lを出力し、第1光変調器14が設けられた光ファイバFを介して伝播させる。第2レーザ光源16は、たとえば1548nmの第2波長λの第2レーザ光(第2入力光)Lを一定の強度で連続的に出し、第2光ファイバFを介して伝播させる。上記第1レーザ光源12はたとえば可変波長半導体レーザが用いられるが、第2レーザ光源16はたとえば単一波長の半導体レーザが用いられる。上記第1光変調器14は、図示しない信号発生器からの電気信号或いは光信号に従って、たとえば図3の上段の波形に示すように、その電気信号或いは光信号の周波数のパルス信号となるように通過光である第1レーザ光Lを強度変調する。第1光カプラ18は、第1光入力手段として機能するものであり、上記光ファイバFおよび光ファイバFを光ファイバFへ接続し、それら光ファイバFおよび光ファイバFを伝播してきた第1レーザ光Lおよび第2レーザ光Lを重畳(合波)し、第3光ファイバFおよび第1光サーキュレータ20を介して第1光増幅素子26へ入力させる。
【0035】
上記第1光増幅素子26は、たとえば図2に示す半導体光増幅素子(SOA:semiconductor optical amplifier)から構成される。
【0036】
図2において、化合物半導体たとえばインジウム燐(InP)やガリウム砒素(GaAs)から構成される半導体基板26aの上に形成された光導波路26bは、その半導体基板26aの上にエピタキシャル成長させられ且つホトリソグラフィーにより所定の導波路パターンに形成されたたとえばInGaAsP、GaInNAs、AlGaInPなどのIII-V族混晶半導体の多層膜であり、たとえばホトリソグラフィーを用いて所定幅のテープ状突起となるように形成されている。この光導波路26bは、半導体基板26aよりも屈折率が高い物質で構成されているので、光を厚み方向に閉じ込めつつ伝播させる機能を備えている。上記光導波路26b内の多層膜内には、pn接合により構成された活性層26c、キャップ層などが含まれ、その上には上部電極26eが固着されている。この活性層26cは、半導体基板26aの下面に固着された下面電極26fと上記上部電極26eとの間に電圧が印加され且つ上記pn接合に励起電流が流されることによって電子・正孔対が形成され、その活性層26cを通過する光が誘導放射作用によって増幅されるようになっている。上記活性層26cは、多重量子井戸、歪み超格子、或いは量子ドットから構成されている。多重量子井戸である場合は、たとえば、InP半導体基板26aからエピタキシャル成長させられることにより格子整合されたInGaAs(100Åの厚み)とInGaAsP(100Åの厚み)との6対により構成され、その活性層26cの上には、組成(屈折率)が段階的に変化させられたグリン(GRIN)構造のガイド層(2000Å)が順次設けられている。この活性層26cのデバイス長(光路長さ)は600μmであり、たとえば250mAの電流値によるエネルギ注入によって注入された電子が通過する光子による誘導放射によって価電子帯へ移動させられるときに光エネルギを放出して通過光を増幅させると考えられている。この250mAの電流値によるエネルギ注入により、たとえば波長1555nmにおいて20dB程度の利得が得られる。
【0037】
前記第1光増幅素子26の1端面には、金属或いは誘電体がスパッタリングされることによって光を反射する処理が施された金属膜或いは誘電体多層膜などの反射手段26dが備えられているため、その1端面とは反対側に位置する他端面を通して光入力或いは光出力が行われるようになっている。したがって、前記第1レーザ光Lおよび第2レーザ光Lの合波光は、上記他端面を通して第1光増幅素子26内に入力されるとともに、上記反射手段26dに反射された光は再びその他端面を通して出力される。この第1光増幅素子26の活性層26c内では、上記第1レーザ光Lの入射によってその波長λを中心とする周囲波長の自然光が発生し、その自然光は第1レーザ光Lの強度変調に反比例して強度が増減する。この状態においてその自然光の波長範囲内にある第2波長λの第2レーザ光Lが通過させられると、その第2波長λは、その自然光と同様の変化を受けつつ増強させられる。すなわち、第1レーザ光Lの変調と同様ではあるが位相反転させられた変調を受けて増幅させられる。すなわち、第1光増幅素子26は、第2光増幅素子34とともにクロスゲイン変調特性すなわち相互利得変調特性を備えている。
【0038】
第1光サーキュレータ20は、第1光増幅素子26から出力された光を、第3光ファイバFではなく、第1波長選択素子28を備えた第4光ファイバFへ導く。第1波長選択素子28は、前記第1光増幅素子26に接続され、その第1光増幅素子26から出力された光のうちから第2波長λである1548nmの光を抽出する。この第1波長選択素子28は、光フィルタ素子として機能するものであり、たとえば紫外線が局部的に照射されることにより、第4光ファイバFの一部が長手方向において屈折率が周期的に変化させられたファイバーグレーティングフィルタであって、第2波長λを中心波長とし且つ半値幅が1nmの光を選択して透過させるものである。なお、第1波長選択素子28は、屈折率が異なる多数組の層が積層されて成る多層膜フィルタ、フォトニックバンドギャップを有するフォトニッククリスタルのいずれかから構成されてもよい。
【0039】
第2光カプラ30は、第2光入力手段として機能するものであり、上記第1波長選択素子28により第1光増幅素子26から出力された光のうちから選択された第2波長λの光と、たとえば図3の中段の波形に示す第3波長λの制御光である第3レーザ光Lとを重畳(合波)し、第5光ファイバFおよび第2光サーキュレータ32を介して第1光増幅素子26と同様に構成された第2光増幅素子34へ入力させる。この第2光増幅素子34では、変調された第2波長λは、その第2波長λを中心とする自然光の波長範囲内の第3波長λの制御光によってさらに変調を受け、第3波長λに関しては、図3の下段に示す波形とされる。第2光サーキュレータ32は、第2光増幅素子34から出力された光を、第5光ファイバFへではなく、第2光フィルタ素子36を備えた第6光ファイバFへ導く。上記第2光フィルタ素子36は、第2光増幅素子34から出力された光のうちから第3波長λの光を選択し、図3の下段に示す出力光Lとして出力する。図3において、中段の波形に示す制御光Lの実線、1点鎖線、破線は、下段に示す出力光Lの実線、1点鎖線、破線に対応しており、出力光Lは制御光Lに対して約30倍のゲイン(増幅率)を有している。
【0040】
図4および図5は、上記のようにして構成された光信号増幅3端子装置10の相互利得変調型波長変換作用の特性を示している。図4は、第1入力光である第1レーザ光Lの信号強度PINを示す横軸と出力光である第4レーザ光Lの信号強度POUTを示す縦軸とからなる二次元座標において、制御光Lの信号強度Pをパラメータとする第4レーザ光Lの入出力特性図である。図から明らかなように、トランジスタなどのような3端子増幅素子と同様に、出力光である第4レーザ光Lの信号強度POUTは、制御光Lの信号強度Pの変化に応答し、且つその変化が増幅されて変調させられるとともに、第1入力光である第1レーザ光Lの信号強度PINの変化に応答し、且つその変化が増幅されて変調させられる。また、図5は、第1入力光である第1レーザ光Lの周波数を示す横軸と出力光である第4レーザ光Lの信号変調度H(%)を示す縦軸とからなる二次元座標において、その第4レーザ光Lの周波数特性を示している。図5によれば、5GHzまでは信号変調度Hの低下が見られなかった。上記信号変調度Hはたとえば次式(1)により表される。但し、Imaxは光信号の最大値、Iminは光信号の最小値である。なお、前記活性層26cに量子ドットが用いられる場合には、100GHz以上の範囲において信号変調度Hの低下が見られない。
【0041】
H=100×(Imax-Imin)/(Imax+Imin)・・・(1)
【0042】
なお、本発明者の実験によれば、上記制御光Lを第3波長λから第1波長λへ変更することにより、第1波長λの出力光Lが得られるとともに、上記と同様の光信号増幅効果結果が得られた。また、上記においては、第2レーザ光Lの第2波長λは第1レーザ光Lよりも短波長であったが、その第2レーザ光Lの第2波長λを第1レーザ光Lよりも長波長としても上記と同様の光信号増幅効果結果が得られただけでなく、たとえば図3の下段の波形の最低値が零に近づくというような、出力光Lの基線が第1レーザ光Lと同様に零に近接するという更なる効果が認められた。また、第1波長λの第1入力光Lを第2波長λの第2レーザ光Lと同様に連続光(バイアス光)として、第3波長λの第3入力光Lに信号変調をかけると、第3波長λの出力光Lは、その第3入力光Lの信号が10以上の増幅率で増幅されたものとして出力された。
【0043】
図6(a)は、上記光信号増幅3端子装置10が適用された2つの光NANDゲート40から構成されたフリップフロップ回路42を示し、図6(b)は2つの光NORゲート44から構成されたフリップフロップ回路46を示している。電子回路におけるNANDゲートおよびNORゲートはよく知られているように複数のトランジスタから構成されており、そのトランジスタに替えて上記光信号増幅3端子装置10が光回路中に設けられることにより光NANDゲート40およびNORゲート44が構成され、それら1対の光NANDゲート40および1対の光NORゲート44からフリップフロップ回路42および46が構成される。このフリップフロップ回路42および46によれば、光により情報が記憶される。
【0044】
図7は、前記光信号増幅3端子装置10が適用された光演算増幅器(光オペレーショナルアンプ)48を示している。電子回路における演算増幅器はよく知られているように複数のトランジスタから構成されており、そのトランジスタに替えて上記光信号増幅3端子装置10が光回路中に設けられることにより、光演算増幅器48が構成される。
【0045】
以上のように構成された図1の光信号増幅3端子装置10においては、第1波長λの第1入力光Lと第2波長λの第2入力光Lとが入力された第1光増幅素子26からの光から選択された第2波長λの光と、第3波長λの第3入力光(制御光)Lとが第2光増幅素子34へ入力させられるとき、その第2光増幅素子34から出された光から選択された第3波長λの出力光Lは、前記第1波長λの第1入力光Lおよび/または第3波長λの第3入力光Lの強度変化に応答して変調された光であって、その第3波長λの第3入力光(制御光)Lに対する信号増幅率が2以上の大きさの増幅信号となるので、光信号の増幅処理を制御入力光を用いて直接行うことができる光信号増幅3端子装置10を得ることができる。
【0046】
また、本実施例の光信号増幅3端子装置10によれば、前記第1波長λの第1入力光Lは変調光であり、前記第2波長λの第2入力光Lは連続光であり、前記第3波長λの第3入力光Lは制御光であり、前記第3波長λの出力光Lは、その制御光Lの入力区間においてその第1入力光Lの変調信号が増幅された信号波形を備えたものであることから、第3波長λの出力光Lは、制御光Lの入力区間において第1波長λの第1入力光Lの強度変化に応答して変調された増幅光となるので、増幅された光信号のスイッチング処理を制御入力光を用いて直接行うことができる光信号増幅3端子装置10を得ることができる。
【0047】
また、本実施例では、前記第1波長λと第3波長λとは、同じ波長とすることもできることから、光信号増幅3端子装置10の信号入力光としての第1入力光L及び第3入力光Lと、出力光Lとが同じ波長となるので、共通の波長で複数の光信号増幅3端子装置10を接続することが可能となり、複数個の光信号増幅3端子装置10を用いて集積度の高い光回路を構成することができる。
【0048】
また、本実施例では、前記第2波長λは、前記第1波長λよりも長波長とすることができるので、このような場合には、変調された第1入力光Lの増幅光である出力光Lが示す波形が、その第1入力光の波形の基線と同様に零レベルに近い基線となる利点がある。すなわち、変調度を大きくする利点がある。
【0049】
また、本実施例では、第3波長λの出力光Lの第3波長λの制御光Lに対する信号増幅率は、10以上の値であるので、光信号増幅3端子装置の増幅機能が一層高められ、その応用範囲が拡大される。
【0050】
また、本実施例では、第1光増幅素子26および第2光増幅素子34は、pn接合から構成される活性層26cを備えた半導体光増幅素子であることから、信号増幅率および応答速度が一層高められた光信号増幅3端子装置10が得られる。
【0051】
また、本実施例では、第1光増幅素子26および第2光増幅素子34の活性層26cは、量子井戸または量子ドットから構成されたものであることから、一層高い信号増幅率および速い応答速度を備えた光信号増幅3端子装置10が得られる。特に量子ドットを用いた場合には100GHz以上の応答速度が得られる。また、活性層として歪み超格子を用いると偏波依存性が小さくなる。
【0052】
また、本実施例では、第1光増幅素子26および第2光増幅素子34は、活性層26cを通過した光を反射するために金属蒸着などにより形成されたミラーなどの反射手段26dをその一端面に備え、他端面を通して入力光が入力され且つ出力光が取り出されるものであることから、1端面に備えられたミラーなどの反射手段26dによって活性層26cにおける通過パスが実質的に長くされるので、信号増幅率が一層高められる。また、フィードバック効果によって一層変調度が高められる。
【0053】
また、本実施例では、第1光増幅素子26および第2光増幅素子34の他端面を通してその中に入力光を入力させ、その他端面を通して出力される光をその入力光とは異なる光路へ導く光サーキュレータ20および32が設けられていることから、第1光増幅素子26および第2光増幅素子34の他端面から出た光はその他端面へ入力させる光を導く導波路に入ることがなく、専ら他の出力用導波路に導かれる。
【0054】
また、本実施例では、第1波長選択素子28および/または第2波長選択素子36は、導波路または光ファイバ内の光伝播方向において屈折率が周期的に変化させられたグレーティングフィルタ、屈折率が異なる多数組の層が積層されて成る多層膜フィルタ、フォトニックバンドギャップを有するフォトニッククリスタルのいずれかから構成されたものであることから、第1光増幅素子26或いは第2光増幅素子34からの光から第2波長λ或いは第3波長λが好適に抽出される。
【0055】
また、前述の光信号増幅3端子装置10は、光NANDゲート40、その一対の光NANDゲート40から成る光フリップフロップ回路42、または光演算増幅器46を構成することができ、光集積回路の機能を高めることができる。
【0056】
また、本実施例の第1光増幅素子26において、第2波長λは第1波長λの第1入力光Lの周囲光の波長域内の波長であり、第2光増幅素子34において、第3波長λは、第2波長λの入力光の波長域内の波長であるので、第1光増幅素子26或いは第2増幅素子34からの出力光に含まれる第2波長λ或いは第3波長λの信号が好適に増幅される。
【0057】
また、第1光増幅素子26の一端面に設けられた反射手段26が、第1波長λの光は透過させるが第2波長λの光は反射する波長選択性反射膜から構成されている場合は、第1波長選択素子28が不要となる。第1光増幅素子26と同様に構成されている第2光増幅素子34の反射手段が、第2波長λの光は透過させるが第3波長λの光は反射する波長選択性反射膜(波長選択性ミラー)から構成されている場合は、第2波長選択素子36が不要となる。上記波長選択性反射膜は、たとえば屈折率が異なる誘電体層が交互に積層された誘電体多層膜から構成される。
【0058】
次に、他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図8は、前述の光信号増幅3端子装置10の他の実施例の光信号増幅3端子装置50の構成例の要部を示している。本実施例の波長変換装置50は、第1光入力手段として機能するハーフミラー51および集光レンズ52を通して光信号Lが第1光増幅素子26の一方の端面に入力され、その第1光増幅素子26の他方の端面から集光レンズ53を通して出力された光のうち第1波長λの光は透過させられるが、バイアス光Lの波長λの光は第1波長選択素子として機能する波長選択型ミラー54により反射されて第1光増幅素子26に戻される。その第1光増幅素子26の一方の端面から出力された光は上記ハーフミラー51により反射されるとともに第2光入力手段として機能するハーフミラー55により制御光Lと合波され、集光レンズ56を通して第2光増幅素子34の一方の端面に入射される。この第2光増幅素子34の他方の端面から集光レンズ57を通して出力された光のうちのバイアス光Lの波長λの光は透過させられるが、制御光Lと同じ波長成分は第2波長選択素子として機能する波長選択型ミラー58により反射されて第2光増幅素子34に戻される。その第2光増幅素子34の一方の端面から出された出力光Lは、前述の光信号増幅3端子装置10と同様のものとなる。このように構成された波長変換装置50によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られる。上記波長選択型ミラー58および波長選択型ミラー54は、集光レンズ57および集光レンズ53を通して第2光増幅素子34の端面および第1光増幅素子26の端面と光学的に結合されている。上記集光レンズ52、53、56、57はたとえばマイクロレンズにより構成され、上記光信号Lや出力光Lなどは光ファイバにより伝送される。なお、ハーフミラー51および55は光カプラ又は光サーキュレータにより置き替えられてもよい。
【0060】
図9は、前記光信号増幅3端子装置10の他の実施例の光信号増幅3端子装置59の構成例の要部を示している。本実施例の光信号増幅3端子装置59は、直列に配設された第1光増幅素子26および第2光増幅素子34と、光信号Lおよびバイアス光L(波長λ)を第1光増幅素子26の内側端面に入射させる光カプラ60および61と、第1光増幅素子26の外側端面からの光のうち第1波長λの光は透過させるが波長λの成分を反射して第1光増幅素子26内に戻す波長選択性の反射器62と、その第1光増幅素子26の内側端面から出射した光のうち波長λの成分を通過させて第2光増幅素子34の内側端面に入射させるフィルタ63と、その第2光増幅素子34の外側端面に制御光Lを入射させる光カプラ64と、その第2光増幅素子34の外側端面から出射した光のうち制御光Lと同じ波長成分の光を透過させ、出力光Lとして出力させるフィルタ65とを備えている。上記光カプラ60および61は第1光入力手段として機能し、上記光カプラ64が第2光入力手段として機能し、上記反射器62およびフィルタ65は第1波長選択素子および第2波長選択素子として機能している。このように構成された波長変換装置59によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られる。上記制御光Lの波長λの光信号はフィルタ63で反射され且つフィルタ65を透過して出力される。波長λの光成分はフィルタ65を透過しない。上記光カプラ60および61は、1個の光カプラから構成されてもよい。
【0061】
図10は上記光信号増幅3端子装置59を、図2に示すモノリシック構造の第1光増幅素子26と同様のモノリシック構造すなわち1チップ構造で半導体基板26aの上に構成した例を示している。本実施例のモノリシック構造の光信号増幅3端子装置59では、第1光増幅素子26の外側位置、第1光増幅素子26と第2光増幅素子34との間の位置、第2光増幅素子34の外側位置には、屈折率が周期的に変化させられたグレーティングにより構成された反射器62、フィルタ63、フィルタ65が順次設けられている。なお、直線状の光導波路26bから分岐させられている一対の分岐導波路は、前記光カプラ60および61および光カプラ64に対応している。
【0062】
図11は、前述の光信号増幅3端子装置10の他の実施例の光信号増幅3端子装置66の構成例の要部を示している。本実施例の波長変換装置66は、一対の反射型の第1光増幅素子26および第2光増幅素子34と、その一対の反射型の第1光増幅素子26および第2光増幅素子34に接続された第2端子67bおよび第3端子67cを含む4端子を備え、その4端子間において光を伝送するが所定の端子からの出射光とその端子への入射光とが異なる光路とする4端子型光サーキュレータ67と、光信号Lおよびバイアス光L(波長λ)を合波して4端子型光サーキュレータ67の第1端子(第1ポート)67aに入射させる光カプラ68と、反射型第1光増幅素子36から4端子型光サーキュレータ67の第2ポート67bに向かう波長λの光に制御光Lを合波して第2光増幅素子34に入射させる光カプラ69とを備え、4端子型光サーキュレータ67の第4ポート67dから制御光Lと同じ波長成分の光を透過させる。上記第1光増幅素子26の反射面には、第1波長λの光は透過させるが第2波長λの光を選択的に反射する反射膜26dが設けられており、上記第2光増幅素子34の端面には、第2波長λの光は透過させるが制御光Lと同じ波長λ成分の光を反射する反射膜34dが設けられている。このように構成された光信号増幅3端子装置66によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られるとともに、4端子型光サーキュレータ67を通されるために出力光Lの変調度が高められる。本実施例の光信号増幅3端子装置66は図1の光信号増幅3端子装置10に比較して構成が簡単となる利点がある。なお、上記光カプラ69は、4端子型光サーキュレータ67の第3ポート67cから第2光増幅素子34に向かう波長λの光に制御光Lを合波して第2光増幅素子34に入射させるものであってもよい。本実施例では、光カプラ68および光カプラ69が第1光入力手段および第2光入力手段として機能し、反射膜26dおよび34dが第1波長選択素子および第2波長選択素子として機能している。
【0063】
図12は、上記光信号増幅3端子装置66がモノリシック構造とされた場合の例が示されている。このモノリシック構造の光信号増幅3端子装置66も、前述の図6、図10に示すものと同様に、半導体基板26aの上に形成された光導波路26bを備えている。この光導波路26bは、4端子型光サーキュレータ67と同様の機能を出すためのZ字状の部分と、光カプラ68および69としての機能を出すためにその一部から分岐させられた分岐導波路とが設けられている。上記光導波路26bのZ字状の部分のうちの屈折点には、一対の反射型第1光増幅素子26および第2光増幅素子34が前述の図2、図10に示すものと同様に構成されている。なお、反射膜26dおよび34dは、それら反射型第1光増幅素子26および第2光増幅素子34の外端面に設けられている。
【0064】
図13は、前述の光信号増幅3端子装置10の他の実施例の光信号増幅3端子装置70の構成例の要部を示している。本実施例の光信号増幅3端子装置70は、たとえばGaAs等の矩形半導体基板71上に成長させられたたとえばGaInNAsなどのpn接合層(活性層)を有する混晶半導体層がホトリソグラフィーによりV字状に形成された第1光導波路72および第2光導波路73と、それら第1光導波路72および第2光導波路73に図示しない電極が設けられることによって設けられた第1光増幅素子26、第2光増幅素子34と、上記矩形半導体基板71の一端面であって上記第1光導波路72および第2光導波路73の交差部に設けられ、バイアス光Lの第2波長λの光および制御光Lは第2光導波路73へ向かって反射するが光信号L第1波長λの光を選択的に透過させる波長選択性反射膜74と、矩形半導体基板71の一端面であって上記第2光導波路73の出力側に設けられ、第2波長λの光は反射するが制御光Lと同じ波長成分の光を透過させる波長選択性反射膜75とを備えている。光信号Lとバイアス光Lは光カプラ76によって合波されてから光導波路72の端面に入射され、制御光Lは、上記波長選択性反射膜75の外側に設けられた光カプラ77から第2光導波路156内に入射されるようになっている。このように構成された光信号増幅3端子装置70によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られる。また、本実施例の光信号増幅3端子装置70は、たとえばGaAs等の矩形半導体基板上に成長させられたGaInNAsなどのIII-V族混結晶半導体層から成るpn接合層(活性層)を有する混晶半導体層がホトリソグラフィーによって処理され且つ電極が付与されることによって1チップ化されるので、極小のサイズに構成される利点がある。本実施例では、上記光カプラ76および77が第1および第2光入力手段として機能し、上記波長選択性反射膜74および波長選択性反射膜75が第1波長選択素子および第2波長選択素子として機能している。
【0065】
図14は、前述の光信号増幅3端子装置10の他の実施例の光信号増幅3端子装置78の構成例の要部を示している。本実施例の光信号増幅3端子装置78は、合波素子として用いられる光カプラ79、光分波素子として用いられる光カプラ80、および集光レンズ52を通して光信号Lが第1光増幅素子26の一方の端面に入力され、その第1光増幅素子26の他方の端面から集光レンズ53を通して出力された光のうち上記光信号Lの波長λは波長選択性フィルタ81により透過させられない(吸収される)がバイアス光の波長λの光はそのフィルタ81を透過し且つ全反射型ミラー82により反射されて第1光増幅素子26に戻される。その第1光増幅素子26の一方の端面から出力された光は上記光カプラ80から他の光カプラ83へ伝送され、そこで制御光Lと合波される。次いで、光カプラ84および集光レンズ56を通して第2光増幅素子34の一方の端面に入射される。この第2光増幅素子34の他方の端面から集光レンズ57を通して出力された光のうちバイアス光の波長λの光は波長選択性フィルタ85により透過させられない(吸収される)が制御光Lと同じ波長λの成分はその波長選択性フィルタ85を透過し且つ全反射型ミラー86により反射されて第2光増幅素子34に戻される。その第2光増幅素子34の一方の端面から出された出力光Lは、光カプラ84によって外部たとえば後述の光分配装置150へ出力される。このように構成された光信号増幅3端子装置78によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られるだけでなく、光信号Lの波長λは波長選択性フィルタ81により吸収されて透過させられないことにより第1光増幅素子26側へ戻される割合が極めて少なくなり、特性が一層改善される利点がある。本実施例では、光カプラ79および光カプラ84が第1光入力手段および第2光入力手段として機能し、上記波長選択性フィルタ81および波長選択性フィルタ85が第1波長選択素子および第2波長選択素子として機能している。
【0066】
図15は、前述の光信号増幅3端子装置10の他の実施例であって、1チップに複数個(本実施例では2個)の光信号増幅3端子装置88が集積化されたモノリシック構造の構成例の要部を示している。本実施例の複数組の光信号増幅3端子装置88は、たとえばGaAs等の矩形半導体基板89上に成長させられたたとえばGaInNAsなどのpn接合層(活性層)を有する混晶半導体層がホトリソグラフィーにより一方の端面から他方の端面にわたって直線状に形成され、互いに隣接する1対でV字状を成す第1光導波路90、第2光導波路91、および第3光導波路92と、それら第1光導波路90、第2光導波路91、および第3光導波路92に図示しない電極が設けられることによって設けられた第1光増幅素子26、第2光増幅素子34、および第3光増幅素子93と、上記矩形半導体基板89の一端面であって上記第1光導波路90および第2光導波路91の交差部と上記第3光導波路92の出力側端面とにわたって設けられ、バイアス光Lの第2波長λの光および制御光Lは第2光導波路91へ向かって反射するが光信号Lの第1波長λの光および制御光Lを選択的に透過させる波長選択性反射膜(波長選択性ミラー)94と、矩形半導体基板89の一端面であって上記第2光導波路91の出力側端面に設けられ、第2波長λの光は透過するが制御光Lと同じ波長成分の光を第3光導波路92へ向かって反射する波長選択性反射膜(波長選択性ミラー)95とを、それぞれ備えている。光信号Lとバイアス光Lは光カプラ96によって合波されてから第1光導波路90の入力側の端面に入射され、制御光Lは、上記波長選択性反射膜94の外側から第2光導波路91内に入射されるようになっている。このように構成された光信号増幅3端子装置88によれば、前述の光信号増幅3端子装置10と同様の相互利得変調型の波長変換作用および光増幅作用が得られる。本実施例の光信号増幅3端子装置88は、たとえばGaAs等の矩形半導体基板上に成長させられたGaInNAsなどのIII-V族混結晶半導体層から成るpn接合層(活性層)を有する混晶半導体層がホトリソグラフィーによって処理され且つ電極が付与されることによって1チップ化されるので、たとえば1.3μm波長帯の光信号の信号処理が可能な光信号増幅3端子装置10が極小のサイズに構成される利点がある。また、本実施例によれば、サーキュレータが不要となるとともに、3つの光増幅素子26、34、93により高出力が得られる。本実施例では、光カプラ96が第1光入力手段として機能し、波長選択性反射膜94が第2光入力手段および第1波長選択素子として機能し、波長選択性反射膜95が第2波長選択素子として機能している。
【0067】
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更が加えられ得るものである。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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