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明細書 :金属噴射装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4430617号 (P4430617)
登録日 平成21年12月25日(2009.12.25)
発行日 平成22年3月10日(2010.3.10)
発明の名称または考案の名称 金属噴射装置
国際特許分類 B22D  23/00        (2006.01)
B05B   7/02        (2006.01)
B22F   3/115       (2006.01)
B22F   9/08        (2006.01)
FI B22D 23/00 E
B05B 7/02
B22F 3/115
B22F 9/08 C
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2005-504218 (P2005-504218)
出願日 平成16年3月29日(2004.3.29)
国際出願番号 PCT/JP2004/004399
国際公開番号 WO2004/087352
国際公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
優先権出願番号 2003090946
優先日 平成15年3月28日(2003.3.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成19年3月28日(2007.3.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】591027282
【氏名又は名称】山口 勝美
発明者または考案者 【氏名】山口 勝美
【氏名】中村 弘史
個別代理人の代理人 【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
審査官 【審査官】小谷内 章
参考文献・文献 特開平06-088202(JP,A)
特開2001-293551(JP,A)
特開昭59-118805(JP,A)
特開平10-244355(JP,A)
調査した分野 B22D 19/00
B22D 23/00
特許請求の範囲 【請求項1】
溶融金属を内部に有する吐出ノズルと、前記吐出ノズルの一方端から前記溶融金属を噴射させる吐出口と、前記吐出ノズルの他方端から前記溶融金属を押圧する押圧体とを備え、前記押圧体で前記吐出ノズル内の前記溶融金属を間欠的に押して前記吐出口から噴射する金属噴射装置であって、前記吐出ノズルは、前記吐出口又は前記吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁を有することを特徴とする金属噴射装置。
【請求項2】
溶融金属を内部に有する吐出ノズルと、前記吐出ノズルの一方端から前記溶融金属を噴射させる吐出口と、前記吐出ノズルの他方端から前記溶融金属を押圧する押圧体とを備え、前記押圧体で前記吐出ノズル内の前記溶融金属を間欠的に押して前記吐出口から噴射する金属噴射装置であって、前記押圧体は、前記吐出口又は前記吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁を有することを特徴とする金属噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の金属噴射装置において、前記溶融金属を、金属粉若しくは非金属粉と液体との混合体、又は液体に代えたことを特徴とする噴射装置。
発明の詳細な説明
【0001】
本発明は、溶融した金属を噴射させて回路の接合を行う実装や三次元構造体を製造する装置などに利用される金属噴射装置および噴射方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを利用したプロトタイピング技術により、種々の三次元構造体を作製することが試みられている。たとえば、特許文献1には、金属材料を溶融してノズルから噴出させ、ノズルまたは三次元構造体の支持手段を製造する三次元構造体の構造データに従って移動させ、所望の三次元構造体を製造する構成が記載されている。
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】
特開平10-193079号公報(第2頁1欄の特許請求の範囲、第3頁4欄(0007)~第4頁5欄(0009)、および図1~3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプロトタイピング技術など、金属噴射を使った方法においては、ノズルから空中に溶融金属を噴射させたとき、溶融金属が高温であるためにノズルの出口付近で空気中の酸素と反応して酸化し、セラミックなどの金属酸化物になる。この金属酸化物はノズルの出口付近に溜まるため、ノズルを詰まらせてしまい、溶融金属の噴射ができなくなることがしばしばある。また、溶融金属が吐出直後に酸化されると溶融金属粒状体が真球状にならず、尾を引いた形状になってしまうので、溶融金属粒状体の堆積が不規則になったりして、所望の製品ができなくなることがある。
【0005】
そこで本発明は、溶融金属を噴出させるノズルのノズル詰まりを防止することを目的とする。
また本発明は、ノズルから噴出した溶融金属の形状を球状化することを目的とする。
【0006】
第1の実施の形態による金属噴射装置は、溶融金属を内部に有する吐出ノズルと、この吐出ノズルの一方端から溶融金属を噴射させる吐出口と、吐出ノズルの他方端から溶融金属を押圧する押圧体とを備え、押圧体で吐出ノズル内の溶融金属を間欠的に押して吐出口から噴射する金属噴射装置であって、吐出ノズルは、吐出口又は吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁を有するものである。
本実施の形態によれば、吐出口又は吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁の作用によって、溶融金属に掛かる押圧力を吐出ノズルの吐出口に集中させることができる。従って、焦点付近に高圧部を発生させ、その圧力によって吐出口からドット状の溶融金属を噴射させることが可能となる。
第2の実施の形態による金属噴射装置は、溶融金属を内部に有する吐出ノズルと、この吐出ノズルの一方端から溶融金属を噴射させる吐出口と、吐出ノズルの他方端から溶融金属を押圧する押圧体とを備え、押圧体で吐出ノズル内の溶融金属を間欠的に押して吐出口から噴射する金属噴射装置であって、押圧体は、吐出口又は吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁を有するものである。
本実施の形態によれば、吐出口又は吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁の作用によって、溶融金属に掛かる押圧力を吐出ノズルの吐出口に集中させることができる。従って、焦点付近に高圧部を発生させ、その圧力によって吐出口からドット状の溶融金属を噴射させることが可能となる。
第3の実施の形態による噴射装置は、第1又は第2の実施の形態における溶融金属を、金属粉若しくは非金属粉と液体との混合体、又は液体に代えたものである。
本実施の形態によれば、混合体又は液体に掛かる押圧力を吐出ノズルの吐出口に集中させることができる。従って、焦点付近に高圧部を発生させ、その圧力によって吐出口からドット状の混合体又は液体を噴射させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は、本発明の実施例1における金属噴射装置の構成を示す一部断面側面図
図2は、本発明の実施例2における金属噴射装置の構成を示す概念図
図3は、本発明の実施例3における金属噴射装置の構成を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について、図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明の実施例1における金属噴射装置の構成を示す一部断面側面図である。本実施例の金属噴射装置の構成は、ノズル本体30の中心部から噴射させる溶融金属20を内部に有する吐出ノズル31と、ドットを吐出するための吐出口32とが配置されている。不活性ガス21を供給するガス流路33の経路途中には、加熱手段としてのヒータ39が設けられている。吐出ノズル31の吐出口32および不活性ガス供給手段としてのガス流路33の先端には、溶融金属20および不活性ガス21の通路となる空間35を有するノズルカバー34が設けられている。換言すれば、ノズルカバー34は、吐出口32およびガス流路33の出口に連通して下方に開口した空間35を有する構成である。ノズルカバー34の空間35の開口部下方周囲には、リング状の突出部36が形成されている。ノズル本体30の内部または外部には、吐出ノズル31を加熱する加熱手段としてのヒータ37が設けられている。
吐出ノズル31には金属供給路38が連通しており、外部から金属供給路38を介して吐出ノズル31に溶融金属20が供給される。ガス流路33には外部から溶融金属20と反応しない窒素ガス、ヘリウムガスなどの不活性ガス21が供給される。
吐出口32に対向した位置には、作製すべき製品26を支持する支持部材25が配置されており、吐出口32と支持部材25は相対的に移動可能に構成される。吐出口32と支持部材25の移動機構、移動方法は特許文献1に記載されたものと同一でよく、ここでは説明は省略する。
なお、ガス流路33は、ノズル本体30とノズルカバー34との間に溝を設けて構成してもよい。すなわち、ノズル本体30又はノズルカバー34のいずれかの面に、螺旋状の溝又は蛇行させた溝を設けることで構成してもよい。また加熱手段として、ヒータ37とヒータ39を設けたが、ヒータ37によってガス流路33を加熱する構成であってもよい。
【0009】
次に動作を説明する。ノズル本体30内の吐出ノズル31には、金属供給路38を介して吐出させるべき溶融金属20が供給される。溶融金属20としては、作製する製品26を構成する金属材料が使用され、たとえば、半田、銀、錫合金などの鉛フリー半田、融点の低いホワイトメタルの合金、あるいはアルミニウムなどが任意に選択され、製品26の構造に従って適宜その種類を変更して使用される。溶融金属20は溶融した状態で供給され、吐出ノズル31内に充満させる。このとき、ヒータ37で吐出ノズル31を加熱することにより溶融金属20の溶融状態を維持することができる。
一方、ガス流路33には、溶融金属20とは反応しない不活性ガス21が供給される。不活性ガス21の供給量は、ノズルカバー34の空間35内に不活性ガス21が充満され、わずかにノズルカバーから流出する程度の微量でよい。不活性ガス21のガス供給路33もヒータ39で加熱されているので、空間35内に充満する不活性ガス21も加熱状態を維持している。従って、空間35内の不活性ガス21は浮力により空間35内にとどまり、ノズルカバー34から外部に漏れる量は微量である。また、ノズルカバー34の先端である空間出口の周囲には、リング状の突出部36が形成されており、この突出部36により、ノズルカバー34の外部から空気や酸素などの外気27が、ノズルカバー34の空間35内に侵入することを防止する。従って、空間35は外気27に接しているにもかかわらず、常時不活性ガス21が充満した状態を保つことができる。
この状態で、吐出ノズル31内の溶融金属20に吐出信号22を与えると、吐出信号22に応じて溶融金属20が吐出口32から空間35内に粒状体23として吐出する。吐出信号22としては、特許文献1に記載されている放電による方法、圧電素子による方法、レーザ照射による方法など溶融金属の種類に応じて適宜選択した方法で与えることができる。
空間35内は、前述したように不活性ガス21が充満しているので、金属の粒状体23は酸化することがなく瞬間的に球状になる。球状の粒状体23は、吐出信号22によるパワーでノズルカバー34の空間35から外部に噴射され、支持部材25上に順次堆積して、製品26が形成される。この粒状体23の堆積による製品26のうち、三次元構造体の製造過程は特許文献1に記載された方法と同様である。
以上のように実施例1の金属噴射装置によれば、空間35内に不活性ガス21が充満していると吐出直後に酸化しないので、吐出口32の付近に酸化金属が溜まってノズル詰まりを起こすことがなくなるだけでなく、吐出口32から噴出した溶融金属の形状を球状化(真球状化)することができる。
【0010】
(第2実施例)
図2は、本発明の実施例2における金属噴射装置の構成を示す概念図である。実施例2の金属噴射装置においては、実施例1に比べて、吐出ノズル41の一方端にある吐出口42、この吐出口42側に位置する吐出ノズル41の内壁41a、および吐出ノズル41の他方端にあって溶融金属20を押圧する押圧体43の構成が異なり、他は実施例1と同じ構成である。吐出ノズル41は円筒形状からなり、その上部に円柱形状の押圧体43を内蔵する。吐出ノズル41の吐出口42側にあって溶融金属20に接する内壁41aは、曲面形状に作製されている。そして、吐出ノズル41は、その溶融金属20を噴射させる吐出口42を内壁41aの曲面が結ぶ焦点44の近くに配置する構成となっている。
換言すれば、吐出ノズル41は、吐出口42の中心または近傍に焦点44を結ぶ曲面形状の内壁41aを有する構成である。この内壁41aの曲面形状としては、例えば焦点距離が短く吐出口42に焦点44を持ってくるのに容易な放物線の曲面からなるパラボラ形状がある。そして、押圧体43は、吐出口42から噴出させる溶融金属20を背後から押圧するための手段であり、例えば圧電素子からなり、吐出信号22によって例えばパルス運動する。
【0011】
次に動作を説明する。押圧体43で溶融金属20を間欠的に押すと、パラボラ形状を有する内壁41aの作用で溶融金属20にかかった圧力波を、焦点44に、即ち焦点44近傍の吐出口42に、集中させることができる。その結果、焦点44付近に発生させた高圧部によって、吐出口42からドット状の溶融金属20を噴射させることができる。その他の動作および作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
以上のように、実施例2の金属噴射装置によれば、空間35内に不活性ガスを充満させた状態で、この空間35内に吐出口42から溶融金属20の粒状体23を噴射させることができるので、実施例1と同様に、吐出口42から噴出した溶融金属20が吐出口42の近傍で酸化しない。従って、吐出口42のノズル詰まりを防止できる。また、粒状体23がドット状で噴出するので、溶融金属20の形状を球状化することができる。
【0012】
(第3実施例)
図3は、本発明の実施例3における金属噴射装置の構成を示す概念図である。実施例3の金属噴射装置においては、実施例2に比べて、吐出ノズル31、この吐出ノズル31の一方端にある吐出口32、および吐出ノズル31の他方端にあって溶融金属20を押圧する押圧体45の構成が異なり、他は実施例2と同じ構成である。吐出ノズル31は円筒形状からなり、その上部に円柱形状の押圧体45を内蔵する。押圧体45は、吐出口32から噴出させる溶融金属20を背後から押して高圧にするものであり、例えば圧電素子からなり、吐出信号22によってパルス運動する。また、押圧体45の溶融金属20に接する側となる押圧体内壁45aは、曲面形状に作製されている。例えば焦点距離が長く吐出口に焦点44を持ってきやすい凹面鏡形状に作製されている。そして、吐出ノズル31は、その溶融金属20を噴射させる吐出口32を、押圧体内壁45aの曲面が結ぶ焦点44の近くに配置する構成となっている。換言すれば、押圧体45は、吐出ノズル31の吐出口32の中心または近傍に焦点44を結ぶ曲面形状の押圧体内壁45aを有する構成である。
【0013】
次に動作を説明する。押圧体45で背後から溶融金属20を間欠的に押すと、凹面鏡形状を有する押圧体内壁45aの作用で溶融金属20に掛かった圧力を焦点44に集中させることができる。その結果、焦点44近傍の吐出ノズル31の吐出口32から、瞬間的に高圧でドット状の溶融金属20を噴射させることができる。その他の動作および作用は実施例1及び実施例2と同様であるので説明を省略する。
以上のように、実施例3の金属噴射装置によれば、空間35内に不活性ガスを充満させた状態で、この空間35内に吐出口32から溶融金属20の粒状体23を噴射させることができるので、実施例2と同様に、吐出口32から噴出した溶融金属20が酸化しない。従って、吐出口32のノズル詰まりを防止できる。また、粒状体23がドット状で噴出するので、溶融金属20の形状を球状化することができる。
なお、上記実施例においては、吐出ノズル41の内壁41a、又は押圧体内壁45aのいずれかを、パラボラ形状からなる曲面形状で構成したものを説明したが、吐出ノズル41の内壁41a及び押圧体内壁45aの双方の形状によって、吐出口32、42、又は吐出口32、42の近傍に焦点44が位置するように構成してもよい。また、吐出口32、42、又は吐出口32、42の近傍に焦点44が位置するように構成するためには、必ずしもパラボラ形状でなくてもよい。
また、上記実施例2及び実施例3においては、溶融金属を噴出させる金属噴射装置として説明したが、必ずしも溶融金属でなくても、金属粉若しくは非金属粉と液体との混合体や、吐出口32、42から重力によって自然落下しない程度の粘性を有する液体に代えても同様の効果を奏する。なお、金属粉若しくは非金属粉と液体との混合体、又は液体の場合には、酸化作用を生じないため、不活性ガスを供給したり、不活性ガスを充満させる空間35を設ける必要はない。
【0014】
以上のように本発明の金属噴射装置および噴射方法によれば、簡便な方法でノズル先端部のみを不活性ガスで充満させた状態とし、吐出ノズルから金属の粒状体を噴射させることができるので、ノズルから噴出した溶融金属が酸化しない。従って、金属噴射ノズルのノズル詰まりを防止することができる。また、ノズルから噴出した溶融金属の粒状体形状を球状化することができる。さらに、空間の開口周辺の突出部により、空間内への外部からの空気や酸素の侵入を防止することができる。
また、本発明の金属噴射装置によれば、吐出口近傍に焦点を結ぶ曲面形状の内壁の作用によって、溶融金属に掛かる押圧力を吐出ノズルの吐出口に集中させることができる。従って、焦点付近に高圧部を発生させ、その圧力によって吐出口からドット状の溶融金属を噴射させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、溶融した金属を噴射させて回路の接合を行う実装や三次元構造体を製造する装置などに利用される。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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