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明細書 :非極性(Al、B、In、Ga)N量子井戸

発行国 日本国特許庁(JP)
公表番号 特表2007-524983 (P2007-524983A)
公報種別 特許公報(B2)
公表日 平成19年8月30日(2007.8.30)
特許番号 特許第5096677号 (P5096677)
登録日 平成24年9月28日(2012.9.28)
発行日 平成24年12月12日(2012.12.12)
発明の名称または考案の名称 非極性(Al、B、In、Ga)N量子井戸
国際特許分類 H01L  29/06        (2006.01)
H01L  21/20        (2006.01)
H01L  21/205       (2006.01)
FI H01L 29/06 601W
H01L 21/20
H01L 21/205
請求項の数または発明の数 17
全頁数 15
出願番号 特願2005-512863 (P2005-512863)
出願日 平成15年12月11日(2003.12.11)
国際出願番号 PCT/US2003/039355
国際公開番号 WO2005/064643
国際公開日 平成17年7月14日(2005.7.14)
審査請求日 平成18年12月8日(2006.12.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】クレイブン, マイケル ディー.
【氏名】デンバース, スティーブン ピー.
個別代理人の代理人 【識別番号】100089635、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 守
審査官 【審査官】酒井 朋広
参考文献・文献 米国特許出願公開第2003/0198837(US,A1)
米国特許出願公開第2002/0098641(US,A1)
特表2005-522889(JP,A)
調査した分野 H01L 29/06
H01L 21/20
H01L 21/205
特許請求の範囲 【請求項1】
窒化物半導体デバイスを形成する方法であって、以下:
(a)1以上の非極性窒化ガリウム(GaN)層を基板上に成長させることにより、非極性面である非極性GaN層の成長表面を得る工程;および
(b)1以上の非極性III族窒化物層を、該非極性GaN層の成長表面上に成長させ、少なくとも1つの非極性量子井戸を形成する工程であって、同じ放射波長で、非極性量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅が、極性c面量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅よりも大きい工程、を包含する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここで最大放射強度が、50Åより大きい非極性量子井戸の量子井戸幅と関連する、方法。
【請求項3】
前記非極性量子井戸が、最適量子井戸幅約52Åを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記GaN層の抵抗性の性質が、室温でのバンド端放射を抑制し、前記量子井戸からのみの放射を生じる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記基板がr-面サファイア基板である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記成長工程(a)が:
(1)前記基板をアニールする工程;
(2)該基板上に窒化物ベースの核生成層を堆積させる工程;
(3)該核生成層上に前記GaN層を成長させる工程;および
(4)窒素過圧下で該GaNを冷却する工程、
を包含する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記成長工程が、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)、液相エピタキシー(LPE)、水素化学気相エピタキシー(HVPE)、昇華およびプラズマ昂進化学気相成長法(PECVD)を含む群より選択される方法により実施される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を使用して製造されるデバイスであって、前記非極性量子井戸を含む発光活性層を有するオプトエレクトロニクデバイスである、デバイス。
【請求項9】
基板上に成長する1以上の非極性窒化ガリウム(GaN)層と、該GaN層の成長表面上に成長される、1以上の非極性III族窒化物層から形成される1以上の非極性量子井戸とからなる窒化物半導体デバイスであって、ここで該窒化物半導体デバイスが、以下:
(a)1以上の非極性窒化ガリウム(GaN)層を基板上に成長させ、非極性面である該非極性GaN層の成長表面を得る工程;および
(b)1以上の非極性III族窒化物層を、該非極性GaN層の成長表面から成長させ、少なくとも1つの非極性量子井戸を形成する工程であって、同じ放射波長で、該非極性量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅が、極性c面量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅より大きいことを特徴とする工程、を使用して製造される、デバイス。
【請求項10】
窒化物半導体デバイスであって、
(a)基板上で成長し、非極性面である非極性GaN層の成長表面を得る1以上の非極性窒化ガリウム(GaN)層;および
(b)該非極性GaN層の成長表面上に成長し、少なくとも1つの非極性量子井戸を形成する1以上の非極性III族窒化物層から形成される1以上の非極性量子井戸、を含み、同じ放射波長で、前記非極性量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅が、極性c面量子井戸の光ルミネセンス(PL)ピーク強度に要求される量子井戸幅より大きい、デバイス。
【請求項11】
前記非極性量子井戸の前記量子井戸幅が約20Å~約70Åの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記非極性量子井戸が1以上のGaN井戸層および1以上のAlaNバリア層を含み、該バリア層はドーパント濃度が2×1018cm-3のシリコンをドープされる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
最大放射強度が50Åより大きい非極性量子井戸の量子井戸幅と関連する、請求項10記載のデバイス。
【請求項14】
前記非極性量子井戸が、最適幅52Åを有する、請求項10記載のデバイス。
【請求項15】
前記基板がr-面サファイア基板である、請求項10記載のデバイス。
【請求項16】
前記非極性量子井戸の前記量子井戸が、約20Å~70Åの範囲の幅を有する、請求項10記載のデバイス。
【請求項17】
前記非極性量子井戸が1以上のGaN井戸層および1以上のAlaNバリア層を含み、該バリア層はドーパント濃度が2×1018cm-3のシリコンをドープされる、請求項10記載のデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、以下の同時継続特許出願および同一人に譲渡された特許出願の一部継続出願である:
国際特許出願第PCT/US03/21918号(2003年7月15日出願、Benjamin A.Haskell、Michael D.Craven、Paul T.Fini、Steven P.DenBaars、James S.SpeckおよびShuji Nakamura、発明の名称「GROWTH OF REDUCED DISLOCATION DENSITY NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY」、代理人整理番号30794.93-WO-U1、この出願は、米国仮特許出願番号第60/433,843号(2002年12月16日出願、Benjamin A.Haskell、Michael D.Craven、Paul T.Fini、Steven P.DenBaars、James S.SpeckおよびShuji Nakamura、発明の名称「GROWTH OF REDUCED DISLOCATION DENSITY NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY」、代理人整理番号30794.93-US-P1)の優先権を主張する);
国際特許出願第PCT/US03/21916号(2003年7月15日出願、Benjamin A.Haskell、Paul T.Fini、Shigemasa Matsuda、Michael D.Craven、Steven P.DenBaars、James S.SpeckおよびShuji Nakamura、発明の名称「GROWTH OF PLANAR,NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY」、代理人整理番号30794.94-WO-U1、この出願は、米国仮特許出願番号第60/433,844号(2002年12月16日出願、Benjamin A.Haskell、Paul T.Fini、Shigemasa Matsuda、Michael D.Craven、Steven P.DenBaars、James S.SpeckおよびShuji Nakamura、発明の名称「TECHNIQUE FOR THE GROWTH OF PLANAR,NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE BY HYDRIDE VAPOR PHASE EPITAXY」、代理人整理番号30794.94-US-P1)の優先権を主張する);
米国特許出願番号第10/413,691号(2003年4月15日出願、Michael D.CravenおよびJames S.Speck、発明の名称「NON-POLAR A-PLANE GALLIUM NITRIDE THIN FILMS GROWN BY METALORGANIC CHEMICAL VAPOR DEPOSITION」、代理人整理番号30794.100-US-U1、この出願は、米国仮特許出願第60/372,909号(2002年4月15日出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P.DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、発明の名称「NON- POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS」、代理人整理番号30794.95-US-P1)の優先権を主張する);
米国特許出願番号第10/413,690号(2003年4月15日出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P.DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、発明の名称「NON-POLAR(Al,B,In,Ga)N QUANTUM WELL AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS AND DEVICES、代理人整理番号30794.101-US-U1、この出願は、米国仮特許出願番号第60/372,909号(2002年4月15日出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P.DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、発明の名称「NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS」、代理人整理番号30794.95-US-P1)の優先権を主張する);
米国特許出願番号第10/413,913号(2003年4月15日出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P.DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、発明の名称「DISLOCATION REDUCTION IN NON-POLAR GALLIUM NITRIDE THIN FILMS」、代理人整理番号30794.102-US-U1、この出願は、米国仮特許出願番号第60/372,909号(2002年4月15日出願、Michael D.Craven、Stacia Keller、Steven P.DenBaars、Tal Margalith、James S.Speck、Shuji NakamuraおよびUmesh K.Mishra、発明の名称「NON-POLAR GALLIUM NITRIDE BASED THIN FILMS AND HETEROSTRUCTURE MATERIALS」、代理人整理番号30794.95-US-P1)の優先権を主張する);
これら出願の全ては、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、半導体材料、方法およびデバイスに関し、より具体的には、非極性(Al、B、In、Ga)N量子井戸に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
(注記:本出願は、本明細書全体にわたって示したような多くの異なる刊行物を、1以上の参照番号により参照する。これらの参照番号によって整理されたこれらの異なる刊行物の一覧表は、以下の表題「参考文献」の節に見出され得る。これらの刊行物の各々は、本明細書中に参考として援用される)。
【0004】
現在、技術水準における窒化物ベースのエピタキシャルデバイス構造が、熱力学的に安定なウルツ鉱(Al、Ga、In)N単位セルの極性c軸に沿って成長させられる。窒化物の強い分極率(polarization constant)[非特許文献1]に起因して、ヘテロ構造内の界面分極不連続は、強い内部電場を生成する固定シート電荷に関連する。これらの「組込み(built-in)」分極誘導電場は、量子井戸活性領域を使用するオプトエレクトロニクデバイスの性能を制限する。詳細には、電子の空間的分離および内部磁界により生じる正孔波動関数(すなわち、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)は、遷移の振動子強度を減少させ、最終的に、量子井戸の再結合効率を制限する[非特許文献2]。非極性方向に沿った窒化物結晶の成長は、窒化物ベースの量子構造を生成する有効な手段を提供する。この窒化物ベースの構造は、極性軸が薄膜の成長面内に存在するので、これらの強い分極誘導電場より影響を受けない。
【0005】
【数1】
JP0005096677B2_000002t.gif
m面GaN/AlGaN多重量子井戸(MQW)構造は、アルミン酸リチウム基板を使用してプラズマ補助分子線エピタキシ(MBE)によって最初に実証された[非特許文献3]。この最初の実証以来、水素化物気相エピタキシ(HVPE)により成長した何にも支持されていない(free-standing)m面GaN構造は、続いての、MBE[非特許文献4]および有機金属化学気相成長法(MOCVD)[非特許文献5]の両方によるエピタキシャルなGaN/AlGaN MQWの成長のために使用された。m面に加えて、研究の努力により、MBE[非特許文献6]およびMOCVD[非特許文献7]の両方によりr面サファイア基板上に成長したa面GaN/AlGaN MQW構造が調べられている。これらの構造の光学的特性評価は、非極性量子井戸は分極誘導電場により影響を受けないということを示している。
【0006】
本発明は、GaN量子井戸幅に対するa面GaN/AlGaN MQW放射の依存を記載する。さらに、MOCVD成長a面MQWおよびMOCVD成長c面MQWに対するGaN井戸幅の範囲の研究は、非極性配向に独特な放射特性の指標を提供する。

【非特許文献1】F.Bernardini,V.FiorentiniおよびD. Vanderbilt,「Phys.Rev.」1997年,第B56巻,R10024
【非特許文献2】T.Takeuchi,H.AmanoおよびI.Akasaki,Jpn.「J.Appl.Phys.」2000年,第39巻,第413号
【非特許文献3】P.Waltereit,O.Brandt,A.Trampert,H.T.Grahn,J.Menniger,M.Ramsteiner,M.ReicheおよびK.H.Ploog,「Nature」,2000年,第406巻,第865号
【非特許文献4】A.Bhattacharyya,I.Friel,S.Iyer,T.C.Chen,W.Li,J.Cabalu,Y.Fedyunin,K.F.Ludwig,T.D.Moustakas,H.P.Maruska,D.W.Hill,J.J.Gallagher,M.C.ChouおよびB.Chai,「J.Cryst.Growth」,2003年,第251巻,第487号
【非特許文献5】E.Kuokstis,C.Q.Chen,M.E.Gaevski,W.H.Sun,J.W.Yang,G.Simin,M.A.Khan,H.P.Maruska,D.W.Hill,M.C.Chou,J.J.GallagherおよびB.Chai,「Appl.Phys.Lett.」,2002年,第81巻,第4130号
【非特許文献6】H.M.Ng,「Appl.Phys.Lett.」,2002年,第80巻,第4369号
【非特許文献7】M.D.Craven,S.H.Lim,F.Wu,J.S.SpeckおよびS.P.DenBaars,「Appl.Phys.Lett.」,2002年,第81巻,第469号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、非極性a面GaN/(Al、B、In、Ga)N多重量子井戸(MQW)を製造する方法を記載する。この点に関して、a面MQWは、有機金属化学気相成長法(MOCVD)により適切なGaN/サファイアテンプレート層上に成長し、井戸の幅は20Å~70Åの範囲である。a面MQWからの室温光ルミネセンス(PL)放射エネルギーは、自己無頓着ポアソン-シュレディンガー(self-consistent Poisson-Schrodinger(SCPS))計算を使用してモデリングされた井戸型傾向を伴った。最適PL放射強度は、a面MQWについて52Åの量子井戸幅で得られる。
【0008】
ここで、同様の参照番号が全体にわたって対応する部分を表す図面を参照する。
【0009】
(発明の詳細な説明)
以下の好ましい実施形態の記載において、参照は、本明細書の一部を形成する添付の図面に対してなされ、ここでは、本発明が実施され得る特定の実施形態が例示によって示される。他の実施形態が利用され得、構造の変更が本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解される。
【0010】
(概要)
非極性窒化物ベースの半導体結晶は、極性窒化物ベースの量子構造の挙動を支配する分極誘導電場の効果を受けない。ウルツ鉱窒化物単位セルの分極軸は極性窒化物結晶の成長方向に対して平行に整列しているので、内部電場は、極性窒化物へテロ構造に存在する。これらの「組込み」電場は、技術水準におけるオプトエレクトロニクデバイスおよび電子デバイスの性能に対して、有害な影響を有する。窒化物結晶を非極性方向に沿って成長させることにより、分極誘導電場により影響を受けない量子構造が実現される。目的の量子井戸のエネルギーバンドのプロフィールは成長方向に依存して変化するので、異なる科学的原理が、高性能の非極性量子井戸を設計するために適用されなければならない。本発明は、最適化された非極性量子井戸を生成するために使用される設計原理を記載する。
【0011】
(プロセス工程)
図1は、本発明の好ましい実施形態に従って量子井戸を形成する方法の工程を例示するフローチャートである。本方法の工程は、a面GaN/r面サファイアテンプレート層上に非極性a面GaN/AlGaN MQWを成長させる。
【0012】
ブロック100は、垂直閉鎖空間シャワーヘッドMOCVDリアクター中へのサファイア基板のローディングを表す。この工程に関して、サファイアr面の+/-2°内で結晶学的に配向した表面を有するエピレディ(epi-ready)サファイア基板は、商業的業者から入手され得る。ex-situ調製は、MOCVDリアクター中へのサファイア基板のローディングの前に実施される必要はないが、サファイア基板のex-situ洗浄は、予防手段として使用され得る。
【0013】
ブロック102は、高温(>1000℃)においてインサイチュ(in-situ)でサファイア基板をアニールする工程を表し、これは、原子スケールでサファイア表面の品質を改善する。アニール後、基板温度は、続いての低温核生成層堆積のために低下される。
【0014】
ブロック104は、サファイア基板上の緩衝層として、薄い低温低圧窒化物ベースの核生成層を堆積させる工程を表す。そのような層は、c面(0001)窒化物半導体のヘテロエピタキシャルな成長に一般的に使用される。好ましい実施形態では、上記核生成層は、約400~900℃および1気圧で堆積された1~100ナノメーター(nm)のGaNから構成されるが、これに限定されない。
【0015】
核生成層を堆積させる工程の後、リアクターの温度は、高温にまで上昇され、ブロック106は、上記基板上に堆積された上記核生成層上に、約1.5μmの厚さまで、意図的ではなくドープした(unintentionally doped(UID))a面GaN層を1回以上成長させる工程を表す。高温の成長条件としては、約1100℃の成長温度、0.2気圧以下の成長圧、30μmol/分のGa流速、および40,000μmol/分のN流速が挙げられるが、これらに限定されず、これらによって、約1300のV/III比を提供する。好ましい実施形態では、III族供給源およびV族供給源として使用される前駆物質は、トリメチルガリウム、アンモニアおよびジシランであるが、代替の前駆物質が井戸として使用され得る。さらに、成長条件は、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる成長速度(例えば、5Å/秒と9Å/秒との間)を生成するために変化され得る。
【0016】
高温での成長工程が完了すると、ブロック108は、窒素過圧下でエピタキシャルなa面GaN層を冷却する工程を表す。
【0017】
最後に、ブロック110は、1つ以上の(Al、B、In、Ga)N層がa面GaN層上に成長される工程を表す。好ましくは、これらの成長層は、約2×10cm-3のSi濃度でドープされた約100ÅAl0.16Ga0.84Nバリアを含む。さらに、上のブロックは、必要に応じて繰り返され得る。一例では、ブロック110は、幅が約20Å~約70Åの範囲名UID GaN井戸を形成するために10回繰り返された。
【0018】
(実験結果)
非極性窒化物量子井戸について、フラットエネルギーバンドプロフィールが存在し、そして上記QCSEは、存在しない。従って、非極性量井戸放射は、極性量子井戸と比較して異なる傾向に従うと考えられる。第1に非極性量子井戸は、改善された再結合効率を示し、そしてより厚い量子井戸からの強い放射が可能である。さらに最適化非極性量子井戸放射に要求される量子井戸幅は、極性量子井戸より大きい。
【0019】
以下は、量子井戸幅の関数としてのc面構造と比較した、非極性GaN/(約100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWの室温PL特性を記載する。本方法を達成するために、10ピリオドのa面MQW構造およびc面のMQW構造は、約20Å~70Åの範囲の井戸幅を有して、MOCVDにより、上記適切なGaN/サファイアテンプレート層上に同時に再成長した。
【0020】
3軸様式でのCuKα1放射を使用してPhilips MRD XPERT PROTM回折計でなされたHRXRD測定[9]の運動学的解析は、量子井戸次元およびバリア組成物を確認した。He-Cdレーザー(励起電力密度、約10W/cm)の325nm線を使用した室温連続波(c-w)PL分光分析を、MQW放射性質を特徴づけるのに使用した
図2は、同時に再成長したa面69ÅGaN/96ÅAl0.16Ga0.84N MQWスタックおよびc面72ÅGaN/98ÅAl0.16Ga0.84N MQWスタックのHRXRDスキャンの図である。さらに上記量子井戸次元に加えて、上記HRXRDプロフィールは、衛星ピークのFWHMによるMQW界面品質の定性的な比較を提供する。
【0021】
a面構造およびc面構造の回折格子表面上に軸がある(on-axis)2θ-ωのスキャンを、それぞれGaN
【0022】
【数2】
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および(0004)反射について行った。X線プロフィールの解析は、上記AlGa1-xNバリアのアルミニウムの組成と上記量子井戸次元(井戸厚さおよびバリア厚さ)の両方を与え、それは同時に成長したa面サンプルおよびc面サンプルについて7%以内で一致し、MOCVD成長スキームが質量輸送により制限されることを示す。両方のHRXRDプロフィールが、GaN層からの強い反射に加えて、二次元超格子(SL)ピークを示す。SLピークのFWHMは、量子井戸界面の品質[10]の定性的な計量を提供する;従って、図2に示されるスキャンから、a面MQWの界面品質が、c面サンプルの界面品質より劣っているという結論がなされ得る。a面MQW構造品質の解析([9]に記載)は、a-GaNテンプレートからのMQWを通して拡大する高い貫通転位密度にもかかわらず、鋭い界面を示した。c面と比較して、より高い貫通転移(TD)密度およびa面成長の増加した表面の粗さは、おそらくa面MQW界面のより大きな粗さおよびSLピークの広がりの原因である。さらに、a面TD密度はc面TD密度より約2桁大きいと考えられる。
【0023】
図3(a)および図3(b)は、約20Å~約70Åの範囲の井戸幅を有する(a)a面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWおよび(b)c面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWの室温PLスペクトルのグラフである。各図面の垂直の灰色の線は、バルクのGaNバンド端を示す。
【0024】
結晶配向に依存せずに、MQW PL放射は量子閉じ込めが減少して、量子井戸幅が増加するにつれて、長波長側にシフトする(同等に、PL放射が減少する)。
【0025】
特に、a面MQWの放射エネルギーは、上記井戸幅が増加するにつれて、確実にバルクGaNバンド端に近づくが、それを超えて赤色シフトはしない。UID a-GaNフィルムの抵抗性の性質が、図3(a)で見られるように、室温でのバンド端放射を抑制し、量子井戸からのみの放射を生じる。
【0026】
逆に、c面MQW放射エネルギーは、上記GaN量子井戸幅が38Åから50Åに増加する場合、GaNバンド端より下に赤色シフトする。50Åより広い極性GaN井戸について、下にあるGaNからのPL放射のみが、検出された。c-GaN緩衝放射の外観は、c面テンプレートが、a面テンプレートより最初からの点欠陥密度がより低いことを意味する。さらに、黄色バンド放射が、非極性MQWおよび極性MQWの両方について観察された;従って、深い捕獲準位の本来の性質は、おそらくa面形態を維持するのに必要な成長条件であって、非極性配向の特性ではない。
【0027】
PL放射スペクトル、放射エネルギーおよび放射強度の2つの主な特性は、量子井戸幅の関数として図4および図5にまとめられている。放射エネルギーは、量子閉じ込め効果に起因する井戸幅の増加につれて、放射エネルギーは減少する。
【0028】
図4は、a面MQWおよびc面MQWの室温PL放射エネルギーの井戸幅依存性のグラフである。研究された全ての量子井戸幅に関して、上記a面MQW放射は、バルクGaNバンド端に関して青色シフトし、その青色シフトは、量子閉じ込めが量子井戸の基底状態エネルギーを上げて井戸幅を減少させるにつれて、増加する。上記a面MQW放射エネルギー傾向は、図4における点線で示されるように井戸型SCPS計算[11]を使用して正確にモデル化される。理論と実験との間の一致は、非極性MQWからの放射が分極誘導電場により影響されないことを確証する。この一致にもかわらず、理論的モデルは、15~35meV量子井戸幅を減少させる実験的データを、益々過大評価する。その逸脱する傾向は、GaN/AlGaN MQWの井戸幅が減少するにつれて励起子結合エネルギーの予測される増加[12、13]により説明され得る。何故なら励起子結合エネルギーは、SCPSモデルでは説明できないからである。逆に、図4は、井戸幅が増加するにつれてc面MQW放射における劇的な赤色シフトを示し、QCSE[14~18]により規定された広く観察される傾向である。具体的に、c面MQWの実験的放射エネルギー傾向は、Grandjeanら[13]により提唱された極性QW基底状態のモデルと一致する。実験データを挿入して、約43Åより大きなGaN井戸幅を有するc面MQWからの放射は、バルクGaNバンド端より下である。井戸厚さが増加することは、量子井戸内の電荷キャリアの空間的分離を増加し、再結合効率が、MQW放射がもはや観察されなくなるまで減少する(50Åより広い井戸)。a面(107Å GaN)/(101Å Al0.25Ga0.75N)MQWからの以前に報告された放射[9]は、非極性MQWについての改善された量子効率のさらなる証拠を提供する。
【0029】
図5は、a面成長配向およびc面成長配向の両方に関するGaN量子井戸幅の関数としてプロットされた正規化された室温PL放射強度のグラフである。それぞれの配向に関するデータは、別々に正規化され、従ってa面MQWおよびc面MQWの相対強度間の直接的な比較は、不可能である。上記テンプレート層の微細構造品質は、実質的に異なるので、a面MQW放射強度とc面MQW放射強度との直接的比較は、決定的ではない。
【0030】
最大a面MQW放射強度は、52Åの最適量子井戸幅と関連し、一方、最大c面放射強度は28Å幅井戸で観察される。QCSEの結果として、最適放射強度は、AlGaNバリア層[13]の厚さおよび組成に依存して、比較的薄い極性GaN量子井戸(20Å~35Å)から得られる。厚い井戸における減少する再結合効率と、ヘテロ界面における増加する非放射性遷移および薄い井戸[19]の外側の電子波動関数の拡張に起因する減少する再結合とのバランスが、最適c面井戸幅を決定する。逆に、非極性MQWはQCSEを受けていないので、上記最適井戸幅は、材料品質、界面の粗さおよび励起子ボーア半径により決定されることが予測される。a面構造の界面の粗さがc面より大きいが、非極性配向の有利な効果は明白である。また、改善された非極性表面および界面品質で、最適井戸幅は、おそらくこれらのサンプルから観察される最適幅からシフトすることには注目すべきである。
【0031】
【化1】
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【0032】
【化2】
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(結論)
これで、本発明の好ましい実施形態の説明を終える。以下は、本発明を完成するいくつかの代替的実施形態を記載する。
【0033】
例えば、非極性(Al、In、Ga)N量子井戸およびへテロ構造設計およびMOCVD成長条件における変化は、代替的実施形態において使用され得る。さらに、各層の特定の厚さおよび組成は、成長した量子井戸の数に加えて、量子井戸構造設計に対する固有の変化量であり、本発明の代替的実施形態において使用され得る。
【0034】
さらに、特定のMOCVD成長条件は、量子井戸構造層の次元および組成を決定する。この点に関して、MOCVD成長条件は、反応炉依存性であり、特定の反応炉設計の間で変化し得る。このプロセスの多くの変化は、現在産業およびアカデミアにおいて使用される種々の反応炉設計に関して可能である。
【0035】
例えば、成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体フローおよび原料物質などの条件の変化は、本発明の範囲から逸脱しないで可能である。界面品質の制御は、本プロセスの別の重要な局面であって、特定の反応炉設計のフロー切り替え能力と直接関連する。上記成長条件の継続的な最適化は、上述の集積量子井戸層のより正確な組成および厚さの制御という結果になる。
【0036】
さらにMOCVD以外の多くの異なる成長方法は、本発明に使用され得る。例えば、上記成長方法はまた、分子線エピタキシー(MBE)、液相エピタキシー(LPE)、水素化物気相エピタキシー(HVPE)、昇華、またはプラズマ昂進化学気相成長法(PECVD)であり得る。
【0037】
最後に、サファイア以外の基板は、使用され得る。これらの基板としては、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウムおよび没食子酸リチウムが挙げられる。
【0038】
本発明の1以上の実施形態の前述の記載は、例示および説明の目的で提示される。完全であるとか開示された正確な形態に本発明を限定するようには意図されていない。多くの改変および変化は、上記の教示に照らして可能である。本発明の範囲は、本詳細な説明により限定されず、むしろ本明細書に添付した特許請求の範囲により限定されるよう意図される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態に従って非極性a面GaN/(Al、B、In、Ga)N量子井戸を形成する方法の工程を例示するフローチャートである。
【図2】図2は、同時に再成長したa面(69ÅGaN)/(96ÅAl0.16Ga0.84N)およびc面(72ÅGaN)/(98ÅAl0.16Ga0.84N)MQWスタックの高分解能x線回折(HRXRD)のグラフである。量子井戸直径に加えて、そのHRXRDプロフィールは、サテライトピークの半値幅(full width at half maximum(FWHM))によるMQW界面品質の定性比較を提供する。
【図3a】図3(a)および(b)は、20Å~70Åの範囲の量子幅を有する(a)a-面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWおよび(b)c-面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWの室温PLスペクトルのグラフである。各プロット上の灰色の垂直線は、バルクGaN層のバンド端を示す。
【図3b】図3(a)および(b)は、20Å~70Åの範囲の量子幅を有する(a)a-面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWおよび(b)c-面GaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWの室温PLスペクトルのグラフである。各プロット上の灰色の垂直線は、バルクGaN層のバンド端を示す。
【図4】図4は、a面MQWおよびc面MQWの室温PL放射エネルギーの井戸幅依存のグラフである。点線は、フラットバンドGaN/(100ÅAl0.16Ga0.84N)MQWについての自己無頓着ポアソン-シュレディンガー(SCPS)計算の結果である。放射エネルギーは、成長配向の両方について井戸幅が増加するにつれて減少するが、臨界(critical)の井戸幅より上では、c面MQW放射エネルギーは、GaN層のバンド端より下で赤色シフトする。
【図5】図5は、a面成長配向およびc面成長配向の両方についてのGaN量子井戸幅の関数としてプロットした正規化室温PL強度のグラフである。各配向についてのデータは、別々に正規化される。したがって、a面MQWの相対強度とc面MQWの相対強度との間の直接的な比較は、不可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3a】
2
【図3b】
3
【図4】
4
【図5】
5