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明細書 :熱電発電装置、熱交換機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4534060号 (P4534060)
公開番号 特開2006-296077 (P2006-296077A)
登録日 平成22年6月25日(2010.6.25)
発行日 平成22年9月1日(2010.9.1)
公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
発明の名称または考案の名称 熱電発電装置、熱交換機
国際特許分類 H02N  11/00        (2006.01)
F28D   1/047       (2006.01)
F28D   7/10        (2006.01)
H01L  35/30        (2006.01)
FI H02N 11/00 A
F28D 1/047
F28D 7/10 A
H01L 35/30
請求項の数または発明の数 8
全頁数 13
出願番号 特願2005-112806 (P2005-112806)
出願日 平成17年4月8日(2005.4.8)
審査請求日 平成18年6月23日(2006.6.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人 日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】鈴木 亮輔
【氏名】吉井 一倫
【氏名】吉川 信治
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】河村 勝也
参考文献・文献 特開平07-335943(JP,A)
特表2002-537658(JP,A)
特開2003-111459(JP,A)
特表2004-526322(JP,A)
特開平10-290590(JP,A)
特開平06-177437(JP,A)
特開2000-208823(JP,A)
調査した分野 H02N 11/00
F28D 1/047
F28D 7/10
H01L 35/30
特許請求の範囲 【請求項1】
各表面間での温度差を電気に変換するための熱電素子を備えた熱電パネルと、
上記熱電パネルの各表面に対し、それぞれ、互いに温度が異なる第一流体および第二流体を流すための配管部とを有し、
上記配管部は、上記第一流体を流すための第一流路管と、上記第二流体を流すための第二流路管とが、上記第一流体および上記第二流体の各流れ方向に沿って互いに隣接して設けられており、
上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状に設定され
上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面していることを特徴とする熱電発電装置。
【請求項2】
上記熱電パネルは、上記第一流路管と第二流路管とが互いに隣接する壁面部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
【請求項3】
上記第一流路管および上記第二流路管は、3段以上の多段式の螺旋形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電発電装置。
【請求項4】
各表面間での温度差を電気に変換するための熱電素子を備えた熱電パネルと、
上記熱電パネルの各表面に対し、それぞれ、互いに温度が異なる第一流体および第二流体を流すための配管部とを有し、
上記配管部は、上記第一流体を流すための第一流路管と、上記第二流体を流すための第二流路管とが、上記第一流体および上記第二流体の各流れ方向に沿って互いに隣接して設けられており、
上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状に設定され、
上記第一流路管および上記第二流路管は、3段以上の多段式の螺旋形状に形成され、
多段式の螺旋形状の上記第一流路管および上記第二流路管との間にそれぞれ設けられた二重螺旋形状の各熱電パネルの一方に代えて、上記熱電パネルと比べて大きな断熱性を有した断熱パネルが設けられていることを特徴とする熱電発電装置。
【請求項5】
上記第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比が1~10に形成されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項6】
上記第一流体および第二流体の少なくとも一方は、非圧縮性粘性流体であり、
上記第一流路管および上記第二流路管は、上記第一流路管および上記第二流路管内をそれぞれ流れるときの第一流体および第二流体が乱流となるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項7】
上記第一流路管および上記第二流路管は、上記第一流体および第二流体が互いに向流となるように設定されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の熱電発電装置。
【請求項8】
第一流体を流すための第一流路管と、上記第一流体と温度が異なる第二流体を流すための第二流路管とが、上記第一流体および上記第二流体の各流れ方向に沿って互いに隣接して熱交換するように設けられ、
上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状に設定され、
上記第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比が1~10に形成され
上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面していることを特徴とする熱交換機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換効率を向上できる熱交換機、それを用いた熱電発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、温度差を有する各領域や各状態があれば、その温度差を利用して発電できる熱電発電が、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる発電方式であり、その原理上、熱源および熱媒体を選ばない発電方式として知られている。
【0003】
このような熱電発電は、既存の発電施設の高効率化や廃熱の回収によってエネルギー利用効率を高めることができ、あるいは温泉や人間の体温など、従来電力源として利用されていなかったものからも発電が可能なものである。すなわち、熱電発電は、エネルギーの効率的利用とエネルギー源の多様化という二つの要請の双方に応えることが可能な発電方式である。さらに、熱電発電は、機械的駆動部分がないためモジュール化が可能で、半恒久的に利用できること、また、一般的な熱機関では利用できない低温熱源からも電力が回収可能であること等の利点を有し、新エネルギー源の有力な候補の一つといえる。
【0004】
したがって、上記熱電発電は、低温熱源(40℃以下)においても、温度差が生じていれば発電できて発電条件の自由度が高いこと、また、上記温度差から直接的に発電できるので発電の構造を簡素化できて小型・軽量化できることから、種々な応用が考えられている。
【0005】
そのような応用例としては、原子力発電や火力発電の熱排水を利用した発電(熱排水の熱交換による低温化も含めて)、また、空気を主成分とする高温燃焼ガスと水との熱交換を利用した発電と温水とを製造するコジェネレーション装置、さらには、ガソリンエンジンやジーゼルエンジンなどの排ガスと空気もしくは水とによる熱交換を利用する自動車用排ガス発電などが挙げられる。
【0006】
このような熱電発電については、排水、排ガスから、直流電力を回収することができて、発電に使用される化石燃料の使用量を低減することが可能となるので、上記化石燃料による発電の際に生じる二酸化炭素の発生量も抑制できるため、環境保護の点からも、今後の進展が大いに期待されている。
【0007】
上記熱電発電では、温度差を利用して効率的に発電するために、互いに温度が異なる二つの流体を連続的にそれぞれ独立に流す必要があり、よって、熱交換機の形状が好適に使用される。そのような熱交換機の例としては、隔壁型、パイプ型、シェルアンドチューブ型などが挙げられる。
【0008】
隔壁型の熱電発電装置としては、図5に示すように、角筒状の本体21の内部空間に対し、本体21の長手方向に上記内部空間を二分するように熱電パネル22を設け、上記熱電パネル22の両表面上に、それぞれ、第一流体23と、第一流体23と温度が異なる第二流体24とを流し、上記両者間の温度差により上記熱電パネル22にて発電するものが挙げられる。
【0009】
また、シェルアンドチューブ型(パイプ型も同様)の熱電発電装置としては、図6に示すように、円筒状の本体31の内部空間に対し、本体31の中心軸方向に沿って、上記内部空間を三分するように円筒状の互いに径が相違する各熱電パネル32、33を同軸状にそれぞれ設け、上記熱電パネル32の外表面上および上記熱電パネル33の内部空間にそれぞれ、各第一流体34、36と、上記熱電パネル32の内部空間に各第一流体34、36と温度が異なる第二流体35とを流し、上記両者間の温度差により上記各熱電パネル32、33にて発電するものが挙げられる。

【非特許文献1】R. O. Suzuki, D. Tanaka, "Mathematical simulation of thermoelectric power generation with the multi-panels" J. Power Sources, Vol. 122, p.201-209 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、熱交換機やそれを用いた熱電発電装置においては、小型化のために、さらなる熱交換効率の向上や発電効率の改善が要求されている。
【0011】
また、非特許文献1には、複数の平板型熱電パネルを用いた熱電発電装置の設計のための平板型基礎理論が、将来、適用できると考えられるモデルとして、ダブルヘリカル(double helical model)の形状が示されている(Fig. 4(b))。
【0012】
しかしながら、上記非特許文献1では、ダブルヘリカルの形状が示されているだけで、その具体的な構造や形状について何ら開示されておらず、発電効率を向上できて小型化できるか不明である。特に、熱電パネルの形状が単純な平板から三次元的に変形、例えば湾曲させた場合には、上記平板型基礎理論を適用することは無理があった。
【0013】
本発明は、上記の要求や問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱交換効率を向上できて小型化できる熱交換機、それを用いて発電効率を改善できて小型化できる熱電発電装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の熱電発電装置は、前記課題を解決するために、各表面間での温度差を電気に変換するための熱電素子を備えた熱電パネルと、上記熱電パネルの各表面に対し、それぞれ、互いに温度が異なる第一流体および第二流体を流すための配管部とを有し、上記配管部は、上記第一流体を流すための第一流路管と、上記第二流体を流すための第二流路管とが、上記第一流体および上記第二流体の各流れ方向に沿って互いに隣接して設けられており、上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状に設定され、上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面していることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、互いに隣接する第一流路管および第二流路管を、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定したので、第一流路管および第二流路管の合計体積当たりの、第一流体と第二流体とが対面する面積を大きくできて、熱電パネルの各表面つまり各発電素子に印加される温度差の合計を大きくできる。また、上記構成は、各流路管内での圧力損失が小さくできるので効果的に流体を多く流すことが可能となる。さらに、矩形状断面は、熱電パネルの表面形状を平面化できるので、熱電パネルの製作上望ましい。
【0016】
上記熱電発電装置においては、上記熱電パネルは、上記第一流路管と第二流路管とが互いに隣接する壁面部に設けられていることが望ましい。
【0017】
上記構成によれば、上記第一流路管および上記第二流路管の間に上記熱電パネルが必ず挿入されるので、上記第一流体と第二流体との間の温度差が熱電パネルに付与されて、熱電発電と共に熱交換が行われる。
【0018】
上記熱電発電装置では、上記第一流路管および上記第二流路管は、3段以上の多段式の螺旋形状に形成されていてもよい。上記構成によれば、合計体積を小さくする効果を大きくできるので好ましい。
【0019】
上記熱電発電装置においては、多段式の螺旋形状の上記第一流路管および上記第二流路管との間にそれぞれ設けられた二重螺旋形状の各熱電パネルの一方に代えて、上記熱電パネルと比べて大きな断熱性を有した断熱パネルが設けられていてもよい。
【0020】
上記構成によれば、第一流路管と第二流路管との間に熱電パネルが挿入されると、次段の第二流路管と第一流路管との間には断熱パネルが挿入される。このように熱電パネルの一部を断熱パネルにて置き換えることで、流体の流動条件に関する制約が少なくなり、操作上簡易になる利点や、装置製作上容易となる利点を有する。
【0021】
上記熱電発電装置では、上記第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比が1~10に形成されていることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第一流路管および上記第二流路管を、それらの曲率半径比が1~10となるように形成することにより、圧力損失を小さく維持できて、流量の増大化または流体を流すための動力エネルギー低減化できると共に、流体を乱流状態に保持して熱伝達係数を大きくできて流体のもつ熱エネルギーを熱電パネルに多く印加できて、発電量を向上できる。
【0023】
上記熱電発電装置においては、上記第一流体および第二流体の少なくとも一方は、非圧縮性粘性流体であり、上記第一流路管および上記第二流路管は、上記第一流路管および上記第二流路管内をそれぞれ流れるときの第一流体および第二流体が乱流となるように設定されていることが望ましい。
【0024】
上記熱電発電装置では、上記第一流路管および上記第二流路管は、上記第一流体および第二流体が互いに向流となるように設定されていることが好ましい。上記熱電発電装置においては、上記熱電パネルは、断熱性を有していてもよい。
【0025】
本発明に係る熱交換機は、上記課題を解決するために、第一流体を流すための第一流路管と、上記第一流体と温度が異なる第二流体を流すための第二流路管とを、上記第一流体および上記第二流体の各流れに沿って互いに隣接するように備え、上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れの方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状に設定され、第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比が1~10に形成され、上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面していることを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比を1~10に形成して小型化を図っても、互いに隣接する第一流路管および第二流路管を、上記各流れの方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定することによって、第一流路管および第二流路管の合計体積当たりの、第一流体と第二流体とが対面する面積を大きくできる。
【0027】
この結果、上記構成は、小型化を図っても、上記両者間での熱交換効率を上記合計体積当たりにて向上できて、熱交換能を改善できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る熱電発電装置は、以上のように、熱電パネルの各表面に対し、それぞれ、互いに温度が異なる第一流体および第二流体を流すための配管部が、上記第一流体を流す
ための第一流路管と上記第二流体を流すための第二流路管とを、それらの各流れ方向に沿って互いに隣接するように設けられており、上記第一流路管および上記第二流路管を、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定し、上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面した構成である。
【0029】
それゆえ、上記構成は、互いに隣接する第一流路管および第二流路管を、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定したので、第一流路管および第二流路管の合計体積当たりの、第一流体と第二流体とが対面する面積を大きくできて、熱電パネルにおける、各表面つまり発電素子に印加される温度差の合計を大きくできる。
【0030】
この結果、上記構成は、上記温度差が各表面上にてそれぞれ生じる温度差に起因する熱電素子による発電効率を、上記合計体積当たりにて向上できるので、小型化が可能となるという効果を奏する。また、上記構成は、圧力損失減少のため、流量を多くすることができるので、発電量が増加するという優れた効果も奏する。
【0031】
本発明に係る熱交換機は、以上のように、第一流体を流すための第一流路管と、上記第一流体より温度が高い第二流体を流すための第二流路管とが、上記第一流体および上記第二流体の各流れ方向に沿って互いに隣接して熱交換するように設けられ、上記第一流路管および上記第二流路管は、上記各流れ方向が螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定され、上記第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比が1~10に形成され、上記第一流路管の矩形状の長手方向と上記第二流路管の矩形状の長手方向とが互いに対面している構成である。

【0032】
それゆえ、上記構成は、互いに隣接する第一流路管および第二流路管を、上記各流れ方向を螺旋状に、かつ、上記各流れ方向に直交する断面がそれぞれ矩形状となるように設定したので、第一流路管および第二流路管の合計体積当たりの、第一流体と第二流体とが対面する面積を大きくできる。
【0033】
この結果、上記構成は、上記両者間での熱交換効率を上記合計体積当たりにて向上でき、かつ、第一流路管および上記第二流路管の曲率半径比を1~10に形成したので、小型化できるという効果を奏する。また、上記構成は、圧力損失減少のため、流量を多くすることができるので、熱交換量を多くできるという優れた効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明に係る熱電発電装置の一実施の形態について図1ないし図4に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、上記熱電発電装置では、図1に示すように、内部が円筒状の内部空間を備えた本体1が、断熱部材から形成されている。上記断熱部材としては、熱伝導度が0.7×10-4(W/(m・K))以下、より好ましくは0.35×10-4(W/(m・K))以下、さらに好ましくは0.1×10-4(W/(m・K))以下である。そのような断熱部材としては、空気層、ポリウレタン、ポリスチレンといった合成樹脂板、ガラス繊維強化断熱板、グラスウール等のミネラルウールが内部に充填された金属板、およびコンクリート板(鉄筋入りでもよい)が挙げられる。
【0035】
本体1の内部空間には、円柱状の心棒部2が上記内部空間の中心軸と同軸状に設けられている。よって、上記心棒部2は、上記内部空間の内径より心棒部2の外径が小さく設定されている。また、上記心棒部2も、前記断熱部材から形成されていることが好ましい。
【0036】
そして、本体1の内部空間では、第一流路管3と第二流路管4とが、それらの中心軸を互いに平行となるように設定されている。また、第一流路管3と第二流路管4との間の壁部に熱電パネル7が設けられている。よって、熱電パネル7は、上記内部空間の内周面と心棒部2の外周面との間を上記内部空間の径方向に横切って上記内部空間をその軸方向に分断するように設定されている。
【0037】
このことから、第一流路管3と第二流路管4とは、それらの長手方向に互いに隣接するように形成されていることになる。第一流路管3には、第一流体5を流すようになっている。第二流路管4においては、第一流体5と温度が異なる第二流体6を流すようになっている。よって、第一流路管3と第二流路管4とは、第一流体5および第二流体6の各流れ方向に沿って互いに隣接するように形成されていることにもなる。本実施の形態においては、上記流れ方向に沿っては、上記流れと平行な方向と、上記流れとは逆方向(反平行)に平行な方向との双方を含むものとする。
【0038】
さらに、熱電パネル7は、第一流路管3と第二流路管4とが、上記各流れ方向を螺旋状に、かつ上記各流れ方向に直交する断面をそれぞれ矩形状となるように設定されている。このとき、第一流路管3と第二流路管4とは、それらの矩形状の長手方向が互いに対面していることになる。
【0039】
なお、本実施の形態では、第一流路管3と第二流路管4との矩形状における縦長l(本体1の中心軸方向に沿った方向の長さ)と横長w(本体1の径方向に沿った方向の長さ)との比(l/w)をアスペクト比という。また、第一流路管3と第二流路管4とを矩形状に設けたので、上記両者間に形成される熱電パネル7は、若干湾曲しているがほぼ平板状となっている。これにより、熱電パネル7をほぼ平板状に形成できるので、その製作を容易化できる。言い換えると、熱電パネル7を、図6に示した部材番号32、33のように、円筒状に製作するのは、技術的に容易でなく製造コスト上昇を招来する。
【0040】
また、第一流路管3と第二流路管4との曲率半径比rCが、1~10に形成されていることが好ましい。Rを曲率直径(円筒状の本体1における内部空間の直径)、deを相当直径(前述の縦長lと、前述の横長wとから、deは2lw/(l+w)と表される)とすると、上記曲率半径比rCは、(R/2)/deにて定義される。さらに、第一流路管3と第二流路管4とは、3段以上の多段式の二重螺旋形状に形成されていることが好ましい。
【0041】
その上、第一流路管3と第二流路管4とは、心棒部2の外周面に沿って密着して巻き付けられるように形成され、かつ、第一流路管3および第二流路管4の外周縁が本体1の内周面にて密に覆われているので、第一流路管3の第一流体5と第二流路管の第二流体6とは互いに混じり合うことが防止されている。
【0042】
第一流体5および第二流体6の少なくとも一方は、非圧縮性粘性流体であり、第一流路管3と第二流路管4は、第一流路管3と第二流路管4内をそれぞれ流れるときの第一流体5および第二流体6が乱流となるように設定されていることが熱電パネル7への伝熱効率を高める上で望ましい。
【0043】
さらに、本発明の熱電発電装置では、第一流体5および第二流体6が互いに向流(互いに逆方向で平行の流れ)となるように設定されていることが熱電パネル7への熱伝達による温度差の印加を、熱電パネル7の表面方向に沿う長手方向に対して、より均一化できて発電量を向上できる上で好ましい。
【0044】
熱電パネル7は、二種の異なった金属で閉回路を形成し、その接合部を互いに異なった温度にそれぞれ設定すると、上記閉回路に起電力Vが発生するものであり、第一流路管3と第二流路管4との間の壁部にそれぞれ形成されている。
【0045】
このような熱電パネル7は、図2(a)および図2(b)に示すように、一対の電気的絶縁板7aに挟まれて、n型素子7b、p型素子7c、および電極7dを備えている。なお、互いに隣り合うn型素子7bとp型素子7cとの間には、電気的な絶縁空間が設けられている。電極7dは、n型素子7bおよびp型素子7cでの起電力を外部に取り出すためのものである。n型素子7b、p型素子7cが、それぞれ熱電素子である。
【0046】
上記起電力Vが数mVから数100mVと現状では低いため、n型素子7bおよびp型素子7cを多数配列し、必要な電圧となる分、互いに直列に接続されている。n型素子7bおよびp型素子7cは、直方体形状に成形され、熱電パネル7の厚さ方向の長さは同一に設定されている。一方、n型素子7bおよびp型素子7cにおける、熱電パネル7の表面方向の各断面積sは、必要に応じて、同一でも、また相違していてもよい。n型素子7bおよびp型素子7cの各断面積sの比については、よく知られた最適化条件を適用することもできる。
【0047】
螺旋状の熱電パネル7におけるn型素子7bおよびp型素子7cの配置例としては、図3(a)に示すように、すべての流路方向の沿った、単位長さ、例えば1(m)中に含まれる熱電素子対数がj個で一定になるような配置の仕方をパターン1とし、また、図3(b)に示すように、原点から放射状に、すべての流路片において1(ラジアン)中に含まれる素子数対がi個で一定になるような配置の仕方をパターン2とする。また、熱電パネル7における径方向に並ぶ熱電素子対の列数をNにて示した。図3では、Nは3となる。
【0048】
本実施の形態では、n型素子7bおよびp型素子7cの各素材には、ビスマス-テルル系金属を用い、例えば下記の表1に示したように、n型素子7bにはBi-64.5at%Teを用い、p型素子7cには、Bi-54.3at%Teを用いた。このような熱電パネル7では、その両表面上にそれぞれ第一流体5と第二流体6とを接触させて、上記両表面間に温度差を生じさせることで、上記起電力Vによる電気を負荷8に取り出し電力Pを得ることができる。表1のαはゼーベック係数(V/K)を示し、ρは、比抵抗(Ωm)を示し、λは熱伝導率(W/m K)を示す。
【0049】
【表1】
JP0004534060B2_000002t.gif

【0050】
また、本発明の熱電発電装置の一変形例として、多段式の螺旋形状の第一流路管3および第二流路管4との間にそれぞれ設けられた二重螺旋形状の各熱電パネル7の一方に代えて、図4に示すように、上記熱電パネル7と比べて大きな断熱性を有した断熱パネル9が設けられていてもよい。よって、断熱パネル9は、対面して隣り合う熱電パネル7とほぼ平行となるように設けられている。また、断熱パネル9の素材としては、前述の断熱部材の熱伝導度を有するものを用いることができ、図4に示す本変形例では、断熱パネル9として空気層が用いられている。
【0051】
このような熱電発電装置では、一つの段の第一流路管3と第二流路管4との間に熱電パネル7が挿入されていると、次段の第二流路管4と第一流路管3との間には断熱パネル9が挿入され、各段毎に、熱電パネル7と断熱パネル9とが交互に上記間に挿入されることになる。
【0052】
このように二重螺旋型の各熱電パネル7の一方を断熱パネル9にて置き換えることで、流体の流動条件に関する制約が少なくなり、操作上簡易になる利点や、装置製作上容易となる利点を有する。しかしながら、上記熱電発電装置においては、発電量および熱交換量ともにほぼ半減する上、合計体積が増加する。
【0053】
次に、本実施の形態に係る、螺旋型(Helical)モデルの熱電発電装置と、比較例としての円筒型(Cylindrical)モデルの熱電発電装置とを比較した。円筒型モデルの条件は、底面の半径0.25(m)で、そのうち熱電パネル厚さが0.05(m)、熱電パネル間距離が内側、外側において、それぞれ、同一の0.10(m)に固定し、熱電パネルは単層にした。流体は空気で物性値は300(K)での空気の値を用いた。また、流入方向は向流で流入温度差200(K)、熱電パネルの素材は本実施の形態と同一のビスマス-テルル系金属を用いた。熱電パネルでのp型およびn型の各素子における断面積sの比はsp:sn=1:1、流入質量流量は1(kg/s)で、熱伝達率h=500(W/m2K)を用いた。このとき、円筒型モデルは、高さ37.9(m)のとき最大電力2.85(kW)を示した。
【0054】
この円筒型モデルの結果と、本発明に係る熱電発電装置である螺旋型モデルの性能を比較するため、螺旋型モデルの条件を以下のように設定した。底面の半径を0.25(m)に固定し、そのうち、中心から流路内側までの距離すなわち心棒部の半径rin=0.08(m)、管断面の横長(径方向長さ)w=0.17(m)とした。また、流入速度は円筒型のパネル内側への流入速度と同一として、27.0(m/s)とした。熱電パネル厚さdは0.05(m)とし、熱電パネルにおけるp型およびn型の各素子の配置の仕方は前述したパターン1を、径方向での素子対数を示すNとして10を用いた。発電量が小さく、体積が大きくなる不利な点をもつが、解析上容易である、断熱パネルを挿入した二重螺旋型の図4に示した熱電発電装置に上記各条件を適用した。ただし、断熱パネル9の熱通過は無視できるものとし、その厚さは無限小と仮定した。その他の条件は円筒型と同じに設定した。
【0055】
これらの条件で、比較の仕方1(Case 1 )として、螺旋型モデルの高さも37.9(m)に固定し、矩形状の流路断面の縦長さl(本体1の軸方向に沿った)を変化させたときの最高電力と比較した。また、比較の仕方2(Case 2 )として、同様に流路断面の縦長さlを変化させ、円筒型モデルの最大電力とほぼ同じ最大電力を示すときの高さを比較した。それらの結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
JP0004534060B2_000003t.gif

【0057】
この表2の結果により、螺旋型モデルのほうが円筒型モデルに比べ、同じシステム体積であれば、より大きな発電量を得ることができ、また、同じ発電量を得るときには、よりコンパクトに(小型化)できることがわかった。このことは、単位体積あたりの発電量を示すP/V(kW/m3)からも明らかである。
【0058】
また、熱電発電のシステムの製作上、現状では最も高価である熱電素子を用いる熱電パネルの使用体積を比較しても、同一の出力時において、螺旋型モデルのほうが円筒型モデルよりも少ない量で設計できることがわかった。これは、螺旋型モデルにおける熱電素子の表面積も円筒型より少ないことを示している。図1に示した熱電発電装置に比べ、発電量が小さく、体積の増大が自明な図4に示した熱電発電装置の解析例であっても、上記のように円筒型モデルより優れた結果を示した。
【0059】
このことより、螺旋型の発電量が大きい理由は、螺旋型のほうが単位体積あたりの表面積が多いということだけではなく、螺旋型という幾何学的形状による温度差分布と内部抵抗の関係が円筒型モデルよりも優れているためである。
【0060】
なお、本実施の形態では、第一流路管3と第二流路管4との間の壁部に熱電パネル7や断熱パネル9を組み込んだ熱電発電装置について説明したが、上記壁部を、例えば熱伝導率が高い、銅板やステンレス板といった金属板にて形成することで、熱交換効率の向上した本発明に係る熱交換機とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る熱電発電装置および熱交換機は、発電効率や熱交換効率を向上できるので、火力発電および原子力発電での廃熱利用の分野や、温水の製造と発電とを行うコジェネレーションといった分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の熱電発電装置の一部破断の斜視図である。
【図2】上記熱電発電装置の熱電パネルを示し、(a)は斜視図、(b)は拡大斜視図である。
【図3】上記熱電パネルにおける、各熱電素子の配置を示し、(a)は周方向での単位長さにおいて、同数の熱電素子を配置した例を示す要部斜視図であり、(b)は径方向の距離に合わせて熱電素子を大きくなるように設定した例の要部斜視図である。
【図4】本発明の熱電発電装置における一変形例の一部破断の要部斜視図である。
【図5】従来の熱電発電装置の斜視図である。
【図6】従来の他の熱電発電装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 本体
2 心棒部
3 配管部、第一流路管
4 配管部、第二流路管
5 第一流体
6 第二流体

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5