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明細書 :流路用消音装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4553846号 (P4553846)
登録日 平成22年7月23日(2010.7.23)
発行日 平成22年9月29日(2010.9.29)
発明の名称または考案の名称 流路用消音装置
国際特許分類 F16L  55/04        (2006.01)
G10K  11/16        (2006.01)
F01N   1/06        (2006.01)
F16L  55/02        (2006.01)
FI F16L 55/04
G10K 11/16 B
F01N 1/06 F
F16L 55/02
請求項の数または発明の数 8
全頁数 34
出願番号 特願2005-517978 (P2005-517978)
出願日 平成17年2月10日(2005.2.10)
国際出願番号 PCT/JP2005/002066
国際公開番号 WO2005/078702
国際公開日 平成17年8月25日(2005.8.25)
優先権出願番号 2004036960
2004136646
優先日 平成16年2月13日(2004.2.13)
平成16年4月30日(2004.4.30)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成19年2月13日(2007.2.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】藤原 恭司
個別代理人の代理人 【識別番号】100114661、【弁理士】、【氏名又は名称】内野 美洋
審査官 【審査官】吉澤 伸幸
参考文献・文献 特開2003-216159(JP,A)
特開2004-330854(JP,A)
特表平10-512687(JP,A)
特開2004-219555(JP,A)
特開平01-165808(JP,A)
調査した分野 F16L 55/04
F01N 1/06
F16L 55/02
G10K 11/16
特許請求の範囲 【請求項1】
流路の内壁面上に、同内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に配置し、前記ソフト音響部は、壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成したことを特徴とする流路用消音装置。
【請求項2】
開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるように流路を隔壁で区分し、同隔壁の両側壁面上に、壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に配置し、前記ソフト音響部は、壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成したことを特徴とする流路用消音装置。
【請求項3】
前記音響管は、前記開口端に膜を覆設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流路用消音装置。
【請求項4】
前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部としたことを特徴とする請求項2に記載の流路用消音装置。
【請求項5】
断面視矩形状の流路の二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けるとともに、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設け、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に形成し、前記ソフト音響部は、前記内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成したことを特徴とする流路用消音装置。
【請求項6】
開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるように流路を隔壁で区分して、前記流路内に断面視矩形状の小型流路を複数形成し、同小型流路の二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けるとともに、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設け、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に形成し、前記ソフト音響部は、前記内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成したことを特徴とする流路用消音装置。
【請求項7】
前記音響管は、前記開口端に膜を覆設したことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の流路用消音装置。
【請求項8】
前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部としたことを特徴とする請求項6に記載の流路用消音装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、気体や液体が流れる流路を通して伝播する騒音を低減するために流路に取付けられる流路用消音装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、気体や液体を流す流路は、流体が流動するだけでなく騒音までも伝播してしまうため、その騒音の伝播を低減する消音装置が取付けられたものが知られている。
【0003】
その代表例として、騒音源の多い工業プラントや建築物では、それらの騒音がダクトを通じて容易に伝播してしまう問題があった。それらの騒音を低減させるために、一般的には騒音の音響エネルギーをグラスウールなどの吸音部材で吸収して消音させるダクト用消音装置が用いられてきた。
【0004】
上記吸音部材を用いたダクト用消音装置の一つとして、図23には、ダクトDの内部を金属板などの隔壁20で縦または横方向に細長く分割し、前記隔壁20の表面やダクトDの内壁面に吸音部材21を内張りしたスプリッター型ダクト用消音装置X1を、図24には、前記スプリッター型よりさらに細かいセル状にダクトDの内部を分割したセル型ダクト用消音装置X2を示している。
【0005】
これらのダクト用消音装置X1,X2では、ダクトDの内部を隔壁20で区切ることによって吸音部材21の配設面積を大きくし、騒音の減音量を増加させているが、前記グラスウールなどの吸音部材21は低周波数域での吸音性能が低いために、低周波数域の騒音の伝搬を防ぐことはできなかった。
【0006】
そこで、本発明者は、日本国特許公開2003-216159号公報(特許文献1)に開示したダクト用消音装置において、ダクトの内壁面上に、同内壁面上での音圧がほぼゼロとなる音響的にソフトなソフト音響部を配置することによって、低周波数域における騒音の伝搬を防ぐようにしたダクト用消音装置を提案した。前記ソフト音響部は、ダクトの内壁面上に配置した開口端から閉塞端までの長さが騒音となる音波の1/4波長となる音響管(以下、1/4波長音響管という)を、ダクトの長さ方向において前記騒音となる音波の半波長程度以上にわたり複数並設した構成となっていた。
【0007】
しかし、上記1/4波長音響管を用いた従来のダクト用消音装置は、ダクトの内壁面上に騒音となる音波の半波長程度以上にわたりソフト音響部を連続して設けなければならなかったために、そのソフト音響部を設ける所定領域においては、ダクトに他の構成を設けることができず、ダクトの構成が規制されたり、或いはダクト用消音装置を取付可能な領域が限定されたりしてしまうおそれがあった。
【0008】
また、上記1/4波長音響管を用いたダクト用消音装置は、ダクトの開口幅が騒音となる音波の半波長以下でなければ消音効果が発揮されないため、ダクトの開口幅が前記半波長を越える場合には、前記セル型やスプリッター型のダクト用消音装置のようにダクトの内部を隔壁で区切る必要があり、この隔壁に前記1/4波長音響管を配設しようとすると、隔壁が厚くなってダクトの断面積に対する開口率が低下してしまうという問題があった。
【0009】
例えば、図24に示すセル型ダクト用消音装置X2において吸音部材21の代わりに1/4波長音響管を配設しようとした場合、図25(a)に示すように一つのセルの開口幅tを最大値のλ/2(λは音波の波長)とすると、セルの周囲4面にλ/4の長さの音響管が配設されて、全体の断面積は2λ×2λ=4λとなり、そのうち気流の通過可能な面積はλ/2×λ/2×4=λとなる。すなわち、開口率は1/4となってしまう。
【0010】
また、図25(b)に示すように、たとえセルの周囲の対抗する2面のみに1/4波長音響管を配設した場合でも、開口率は1/2となってしまう。
【0011】
このように、1/4波長音響管をダクトの内部を区切る隔壁に用いると、ダクトの断面積の半分以上が構造物に占有されてしまうことになり、ダクトの通気性が低下して実用的ではなくなってしまうおそれがあった。

【特許文献1】特開2003-216159号公報
【発明の開示】
【0012】
そこで、請求項1に係る本発明では、流路の内壁面上に、同内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に配置し、前記ソフト音響部は、壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成することにした。

【0013】
また、請求項2に係る本発明では、開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるように流路を隔壁で区分し、同隔壁の両側壁面上に、壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に配置し、前記ソフト音響部は、壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成することにした。

【0015】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記音響管は、前記開口端に膜を覆設することにした。

【0016】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることにした。

【0018】
また、請求項5に係る本発明では、断面視矩形状の流路の二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けるとともに、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設け、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に形成し、前記ソフト音響部は、前記内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成することにした。

【0019】
また、請求項6に係る本発明では、開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるように流路を隔壁で区分して、前記流路内に断面視矩形状の小型流路を複数形成し、同小型流路の二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けるとともに、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設け、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたって流路の長さ方向に交互に形成し、前記ソフト音響部は、内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管で形成することにした。

【0021】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項5又は請求項6に係る本発明において、前記音響管は、前記開口端に膜を覆設することにした。

【0022】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項6に係る本発明において、前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることにした。

【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ダクト用消音装置の消音能力を測定する測定装置の説明図である。
【図2】試験対象となるダクト用消音装置の音響管配列体を示す斜視図である。
【図3】試験対象となるダクト用消音装置の音響管配列体を示す斜視図である。
【図4】試験対象となるダクト用消音装置の音響管配列体を示す斜視図である。
【図5】試験対象となる各ダクト用消音装置の境界面構造の説明図である。
【図6】ダクト用消音装置の消音能力を測定した結果を示すグラフである。
【図7】ダクト用消音装置の消音能力を測定した結果を示すグラフである。
【図8】ダクト用消音装置の消音能力を測定した結果を示すグラフである。
【図9】ダクト用消音装置の一実施形態の使用状態を示す断面視による説明図である。
【図10】図1のI-I線における断面形状の説明図である。
【図11】図1の領域IIにおけるソフト音響部及び非ソフト音響部の配置を示す説明図である。
【図12】ダクト用消音装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図13】他実施形態としてのダクト用消音装置を示す斜視図である。
【図14】試験対象となるダクト用消音装置の境界面構造を示す説明図である。
【図15】試験対象となるダクト用消音装置の境界面構造を示す説明図である。
【図16】ダクト用消音装置の消音能力を測定する測定装置の説明図である。
【図17】ダクト用消音装置の消音能力を測定した結果を示すグラフである。
【図18】ダクト用消音装置の消音能力を測定した結果を示すグラフである。
【図19】他実施形態としてのダクト用消音装置の使用状態を示す断面視による説明図である。
【図20】図19のIII-III線における断面形状の説明図である。
【図21】図19の領域IVにおけるソフト音響部及び非ソフト音響部の配置を示す説明図である。
【図22】音響管の開口部に膜を設けた場合の効果を確認した実験結果を示すグラフである。
【図23】従来のスプリッター型ダクト用消音装置の説明図である。
【図24】従来のセル型ダクト用消音装置の説明図である。
【図25】従来のセル型ダクト用消音装置に1/4波長音響管を配設した状態を示す説明図であり、(a)はセルの周囲4面に1/4波長音響管を配設した場合の説明図、(b)はセルの周囲の対向する2面のみに1/4波長音響管を配設した場合の説明図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る流路用消音装置は、吸気や排気を行うダクトや通気を行う通気孔に取付けられて使用されるものである。なお、以下の実施形態では、本発明に係る流路用消音装置のうちの代表的な実施形態としてダクトに取付けたダクト用消音装置について説明する。しかし、本発明は、当然にダクト用消音装置に限定されるものではなく、気体や液体などの流体の流路に取付けられる消音装置全般に適用されるものである。
【0026】
本発明に係る流路用消音装置の一実施形態であるダクト用消音装置は、ダクトの内壁面上に、同内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に配置したものである。
【0027】
すなわち、上記ダクト用消音装置は、ダクトの内側に取り付けることも、外側に取り付けることもでき、ダクトの内側に取り付けた場合には、ダクトの元の内壁面レベルよりもダクトの中心側に突出した位置にダクト用消音装置のソフト音響部と非ソフト音響部とからなる新たなダクト内壁面が形成されることとなり、ダクトの外側に取り付けた場合には、ダクトの元の内壁面と同じレベルにダクト用消音装置のソフト音響部と非ソフト音響部とからなる新たなダクト内壁面が形成されることになる。
【0028】
なお、上記ソフト音響部と非ソフト音響部との構成は、少なくともダクトの対向する1対の内壁面上に設けることが望ましい。
【0029】
また、ダクト用消音装置は、ダクトの開口幅が消音対象となる音波(以下、対象音波という)の波長よりも大きい場合には、前記開口幅が対象音波の半波長以下となるようにダクトを隔壁で区分した所謂セル型やスプリッター型のダクト用消音装置において、前記隔壁の両側壁面上に、壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に配置したものである。
【0030】
この隔壁においても、ダクト用消音装置を取り付けたときには、ダクト用消音装置のソフト音響部と非ソフト音響部とによって新たな壁面が形成されることになる。
【0031】
すなわち、ダクト用消音装置をダクトに取り付けたときには、ダクトの内壁面、或いは隔壁の壁面の所定領域が、ダクト用消音装置のソフト音響部及び非ソフト音響部により形成されることとなる。
【0032】
前記非ソフト音響部には、グラスウール、ロックウール、アルミ繊維を始めとする金属繊維、発泡アルミ、セラミック吸収材料などの吸音部材を用いたりして、ゼロにはならなくとも音圧を減少させる機能を持たせた吸音性音響部や、ダクトと同様に金属板などの剛体からなり、音圧を減少させる機能がない音響的に剛な剛音響部などが含まれ、消音機能(騒音低減機能)は必須条件ではない。例えば、ダクトの元々の壁面自体を非ソフト音響部とすることもできる。
【0033】
そして、ダクト用消音装置では、この非ソフト音響部を、ダクトの内壁面上や隔壁の両側壁面上において、消音機能を有するソフト音響部と交互に配置している。すなわち、ダクトの内壁面上や隔壁の両側壁面上において、ソフト音響部と非ソフト音響部とを市松模様状や縞状となるように並設している。
【0034】
このように、ダクトの内壁面上や隔壁の両側壁面上に、ソフト音響部だけでなく非ソフト音響部も配置するので、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができ、ダクトにおける本ダクト用消音装置の取付可能な領域を広げることができる。
【0035】
しかも、ダクト内において、ソフト音響部の消音機能によって対象音波の消音を行うことができるだけでなく、同ソフト音響部と交互に設けられた非ソフト音響部を前述したように吸音性音響部としたり或いは剛音響部としたりして、多目的に利用することができる。
【0036】
特に、前記非ソフト音響部を吸音性音響部とし、繊維素材などの音圧を減少させることができる吸音部材で構成するようにすれば、ソフト音響部で対象音波である所定周波数域の音波を消音することができるのみならず、非ソフト音響部においても別の所定周波数域の音波を消音することができ、消音装置における消音可能な周波数域を広げて消音効果を高めることができる。
【0037】
また、前述したようにダクトの壁面自体を非ソフト音響部とするなどして新たな構成を設けないようにすれば、消音装置の軽量化を図ることができる。
【0038】
一方、ソフト音響部は、具体的には壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管(1/4波長音響管)から構成することができる。ソフト音響部をかかる音響管から構成すれば、消音したい音の波長に応じて音響管の長さを変えることにより、様々な波長の音を消音することができる。
【0039】
しかも、ソフト音響部である音響管と音響管の間には非ソフト音響部が形成され、ソフト音響部が音響管で占められたとしても、非ソフト音響部は空間として空けておくこともできるので、その空いた空間を他の目的に利用することができる。例えば、ダクト用消音装置をダクトの外側に配設した場合には、ダクトの周囲にダクト用消音装置が突出することになるが、前記非ソフト音響部を空間として空けておけば、狭く、別の配線や配管などが多数存在する屋根裏や壁中のような空間においても、本ダクト用消音装置を設置できる可能性を広げることができる。
【0040】
また、前記音響管の開口部に、音響的には抵抗が少なく、流体としての抵抗が非常に大きい膜を設けると、前述した1/4波長より短い音響管でソフト音響部を形成可能となるので、音響管の開口部にプラスティックなどからなる膜を張ってダクト用消音
装置のコンパクト化を図り、ダクト用消音装置をより取り付けやすくしたり、軽量化を図ったりしてもよい。
【0041】
このように、音響管の開口端に膜を張設した場合には、ダクトの内部を流動する空気が音響管の開口端に衝突してダクト内の流れが乱されて騒音が発生してしまうのを未然に防止することもできる。
【0042】
また、ダクト内を区切る隔壁に上記音響管を用いた場合、隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることもできる。かかる構成とすれば、隔壁の厚みが音響管1本分の長さでよいので、隔壁を薄く形成することができる。そのため、隔壁でダクトを区切ったとしても、ダクト断面における隔壁の占める面積を可及的に小さくすることができ、ダクトにおける気体の流通性を低下させることなく対象音波の消音を行うことができる。
【0043】
上述したようにソフト音響部と非ソフト音響部とを交互に配置するためには、たとえソフト音響部を対象音波の半波長以上にわたってダクトの長さ方向に連続して設けなくても、前記半波長の間に所定間隔毎に配置したソフト音響部で対象音波を消音できなければならないが、そのことは、ソフト音響部を連続して設けたダクト用消音装置の消音能力と、ソフト音響部と非ソフト音響部とを交互に設けたダクト用消音装置の消音能力とを比較した比較試験によって証明されている。以下に、その比較試験について図面を参照しながら説明する。
【0044】
図1には、ダクト用消音装置の消音能力を測定する測定装置Mを示している。
【0045】
測定装置Mは、断面形状が10cm×10cmの正方形で長さが2mのアクリル樹脂製ダクトDを備えている。このダクトDの終端部は吸音楔M1を取り付けた無反射端となっており、同無反射端の反対側であるダクトDの始端部に音源としてのスピーカM2が取り付けられ、同スピーカM2よりも無反射端側である前記吸音楔M1の前方に、前記スピーカM2から出力された音を集音するマイクロホンM3が取り付けられている。
【0046】
そして、前記スピーカM2とマイクロホンM3との間、すなわち、スピーカM2よりも無反射端側であるダクトDの中央部に試験対象となるダクト用消音装置を取り付けて、スピーカM2から出力された音がダクト用消音装置を通過することによってどの程度消音されるのかを計測するようにしている。
【0047】
図2~図4には、今回試験を行ったダクト用消音装置A1~A9を構成する音響管配列体を示している。
【0048】
音響管配列体は、前記音響管を垂直方向及び/又は水平方向に複数配列したものであり、図2に示すように、断面形状が5cm×5cmの正方形で長さが1000Hzの音波の1/4波長であるアルミ製音響管(1/4波長音響管)1を2段10列に並設し、ダクトDの内部空間との境界になる面b(以下、境界面bという)、すなわち、ダクトDの内壁面となる面が、全て音響管1の開口部となるようにした第1音響管配列体6と、図3に示すように、前記第1音響管配列体6の音響管1のうち、偶数列或いは奇数列の音響管1の開口部を全てアルミ板などの剛体2で塞いだ第2音響管配列体7と、同第2音響管配列体7の音響管1の開口部を塞いでいる剛体2の上に吸音部材3であるグラスウールを貼設した第3音響管配列体8と、図4に示すように、隣り合う音響管1が連続して開口しないように、前記第1音響管配列体6の音響管1の開口部を互い違いに市松模様状にアルミ板などの剛体2で塞ぐと共に、同剛体2の上に吸音部材3であるグラスウールを貼設した第4音響管配列体9とがある。
【0049】
すなわち、上記第1~第4音響管配列体6,7,8,9は1000Hzを消音対象周波数に設定して設計されており、特に第1音響管配列体6は、境界面bが消音対象周波数の半波長以上にわたって全てソフト音響部4となっており、第2及び第3音響管配列体7,8は、境界面bが消音対象周波数の半波長以上にわたってソフト音響部4と非ソフト音響部5との縞状になっており、第4音響管配列体9は、境界面bが消音対象周波数の半波長以上にわたってソフト音響部4と非ソフト音響部5との市松模様状になっている。そして、本比較試験では、上記第1~第4音響管配列体6,7,8,9を複数組み合わせることにより、図5に示す9種類の消音装置(第1~第9消音装置A1~A9)を形成している。
【0050】
図5には、各消音装置A1~A9における音響管配列体の境界面構造を示している。図示するように、第1~第6消音装置A1~A6は、ダクトDの左壁及び右壁に取り付ける2つの音響管配列体からなり、第7~第9消音装置A7~A9は、ダクトDの左壁、右壁、天壁、及び底壁に取り付ける4つの音響管配列体からなる。図中、「▲」はダクトDの始端側(スピーカM2のある側)を示している。
【0051】
図6~図8には、上記第1~第9消音装置A1~A9の消音能力を測定した結果を示している。なお、図6~図8において、縦軸は、消音装置A1~A9を取り付けず、ダクトDの内壁面が全て剛体2である場合にマイクロホンM3で集音された音波の音量(dB)を基準値として、各消音装置A1~A9を取り付けたときに集音された音波の音量を前記基準値からの低減量として示している。また、横軸は周波数軸であり、300Hzから3000Hzまでの範囲を示している。
【0052】
図6は、境界面bがソフト音響部4と非ソフト音響部5との縞状になる第2及び第3音響管配列体7,8をダクトDの対向する1対の面に取り付けた消音装置A2,A3,A4の測定結果を示している。
【0053】
実線は、図5に示すように、コントロールとして、境界面bが全てソフト音響部4である第1音響管配列体6をダクトDの対向する1対の面に取り付けた第1消音装置A1を測定した結果であり、1000Hzを中心に850Hzから1200Hz程度の範囲で40dB以上の低減効果がある。
【0054】
一点鎖線は、図5に示すように、対向する1対の第2音響管配列体7の境界面構造が、ソフト音響部4にはソフト音響部4、非ソフト音響部5には非ソフト音響部5というように互いに一致する第2消音装置A2を測定した結果であり、低減効果は前記第1消音装置A1とほぼ同じであるが、低減効果を示す周波数範囲が低周波数の方へ移動している。
【0055】
二点鎖線は、図5に示すように、第2音響管配列体7と対向するもう一方の音響管配列体が第1音響管配列体6である第3消音装置A3を測定した結果であり、低減効果の現れた周波数範囲の上限が前記第2消音装置A2よりも若干高くなっている。
【0056】
点線は、図5に示すように、対向する1対の第3音響管配列体8の境界面構造が互いに一致する第4消音装置A4を測定した結果であり、設定された消音対象周波数である1000Hz前後での低減効果には変化なく、それよりも高い周波数範囲で大きな減衰量(約15dB)が得られている。これは吸音部材3の効果である。
【0057】
図7は、境界面bがソフト音響部4と非ソフト音響部5との市松模様状になる第4音響管配列体9をダクトDの対向する1対の面に取り付けた消音装置A5,A6の測定結果を示している。
【0058】
図7には、コントロールとして、前記図6において説明した第1消音装置A1と第4消音装置A4の測定結果も示している。実線が、前記第1消音装置A1の測定結果であり、二点鎖線が、前記第4消音装置A4の測定結果である。
【0059】
点線は、図5に示すように、対向する1対の第4音響管配列体9の境界面構造が互いに一致する第5消音装置A5を測定した結果であり、低減効果の現れた周波数範囲の上限は前記第4消音装置A4とほぼ同じであるが、下限が若干高くなっている。また、第5消音装置A5の場合、明らかな低減効果ではないにしても、消音対象周波数である1000Hz以下の周波数範囲においてある程度の低減効果が見られる。
【0060】
一点鎖線は、上記第5消音装置A5とは異なり、対向する1対の第3音響管配列体8の境界面構造が、ソフト音響部4には非ソフト音響部5というように互いに不一致となる第6消音装置A6を測定した結果であり、第5消音装置A5と比べると、低減効果の現れた周波数範囲はほぼ同じであるものの、消音対象周波数である1000Hz前後を除くと、全体的に低減効果が第5消音装置A5より低くなっている。
【0061】
図8は、境界面bがソフト音響部4と非ソフト音響部5との市松模様状になる第4音響管配列体9をダクトDの4面全てに取り付けた消音装置A8,A9の測定結果を示している。
【0062】
実線は、図5に示すように、コントロールとして、境界面bが全てソフト音響部4である第1音響管配列体6をダクトDの4面全てに取り付けた第7消音装置A7を測定した結果であり、前記第1消音装置A1と同様、1000Hz前後で40dB以上の低減効果がある。
【0063】
点線は、図5に示すように、対向する2対の第4音響管配列体9のそれぞれにおいて、向かい合う2つの第4音響管配列体9の境界面構造が互いに一致する第8消音装置A8を測定した結果であり、前記第7消音装置A7と比べると、1000Hz前後に現れる40dB以上の低減効果が見られる周波数範囲が狭い。しかも、1000Hzから2000Hzの周波数範囲でも消音効果が現れているが、10dB程度とあまり大きくはない。
【0064】
一点鎖線は、上記第8消音装置A8とは異なり、対向する2対の第4音響管配列体9のそれぞれにおいて、向かい合う2つの第4音響管配列体9の境界面構造が互いに不一致となる第9消音装置A9を測定した結果であり、消音対象周波数である1000Hzあたりでの低減効果も大きく、かつ2000Hz付近まで30dBもの大きな低減効果を示している。
【0065】
上記図6~図8に示す測定結果から、たとえソフト音響部4を対象音波(ここでは、1000Hz)の半波長以上にわたってダクトDの長さ方向に連続して設けなくても、前記半波長の間に非ソフト音響部5と交互に配置したソフト音響部4によって、前記ソフト音響部4を連続して設けた場合と同様の消音機能を獲得し得ることが分かる。
【0066】
しかも、非ソフト音響部5を吸音部材3からなる吸音性音響部にした場合、ソフト音響部4の消音機能に加えて、吸音性音響部による消音機能も作用させて、消音効果の現れる周波数域を広げることができることも明らかである。
【0067】
次に、ダクト用消音装置の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、ダクト用消音装置をセル型のダクト用消音装置に適用させた場合について説明する。
【0068】
図9はダクト用消音装置の一実施形態の使用状態を示す断面視による説明図、図10は図1のI-I線における断面形状の説明図、図11は図1の領域IIにおけるソフト音響部4及び非ソフト音響部5の配置を示す説明図である。
【0069】
図示するように、本実施形態のダクト用消音装置A10は、空調用冷却塔を構成する断面視矩形状のダクトDの排気口D1部分に取り付けられており、ダクトDの対向する1対の内壁面にそれぞれ配設したダクト壁用音響管配列体10と、ダクトDを縦方向に区切る3つの縦隔壁を構成する隔壁用音響管配列体11と、ダクトDを横方向に区切る3つの横隔壁12とからなる。図中、13は送風機である。
【0070】
ダクト壁用音響管配列体10は、一端が閉塞し、他端がダクトDの内部空間に向かって開口した断面視矩形状のアルミ製1/4波長音響管1をダクト壁に沿って水平方向、及び垂直方向に並設して板状に形成すると共に、隣り合う音響管1が連続して開口しないように、音響管1の開口部を互い違いにアルミ板などの剛体2で塞いでその上にグラスウールからなる吸音部材3を取り付けたものであり、図11に示すように、ダクトDの内部空間との境界面b、すなわち、ダクトDの内壁面となる面が、音響管1の開口部(ソフト音響部4)と剛体2に取り付けた吸音部材3(非ソフト音響部5)とによって市松模様になっている。
【0071】
一方、隔壁用音響管配列体11は、一端が閉塞し、他端が開口した断面視矩形状のアルミ製1/4波長音響管1を、隣り合う2つの1/4波長音響管1の間で閉塞部或いは開口部が連続しないように互い違いに水平方向、及び垂
直方向に並設して板状に形成したものであり、本実施形態ではこの隔壁用音響管配列体11がそのまま縦隔壁となっている。
【0072】
すなわち、隔壁用音響管配列体11は、表裏両面がダクトDの内部空間との境界面bとなっており、一方の境界面b上に開口部が配置されている音響管1は、他方の境界面b上に閉塞部が配置されている。また、前記閉塞部にはグラスウールからなる吸音部材3を取り付けており、隔壁用音響管配列体11の表裏両方の境界面b,bには、図11に示すように、音響管1の開口部(ソフト音響部4)と閉塞部の吸音部材3(非ソフト音響部5)とにより市松模様が形成されている。
【0073】
なお、上記ダクト壁用音響管配列体10と隔壁用音響管配列体11とは、ダクトDの長さ方向に対象音波の半波長以上にわたって配設している。
【0074】
また、横隔壁12はアルミ板などの剛体2からなり、この横隔壁12と前記縦隔壁をなす隔壁用音響管配列体11とによって、ダクトDの開口幅tが対象音波の半波長以下となるように区切られている。
【0075】
このように、本実施形態のダクト用消音装置A10では、音響管1の開口部をソフト音響部4とすると共に、閉塞部を非ソフト音響部5としているので、隔壁11(隔壁用音響管配列体11)においては、一方の境界面bでソフト音響部4を構成する音響管1が、他方の境界面bで非ソフト音響部5を構成している。そのため、消音機能がありながらも薄い隔壁11(隔壁用音響管配列体11)を形成することができ、ダクトDからの排気性を低下させることなく、ダクトD内を伝搬する騒音を消音することができる。
【0076】
しかも、非ソフト音響部5にも吸音部材3を取り付けて騒音を吸収できるようにしたので、ソフト音響部4で消音可能な周波数域に加えて、非ソフト音響部5においても別の周波数域の騒音を消音することができ、消音効果の高いダクト用消音装置A10とすることができる。
【0077】
また、ダクト用消音装置は、断面視矩形状のダクトにおいては、二対の対向する内壁面の騒音伝搬に与える影響が互いに独立している点に着目して、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けると共に、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設けてもよい。
【0078】
しかも、ダクトの開口幅が消音対象となる音波(以下、対象音波という)の波長よりも大きい場合には、前記開口幅が対象音波の半波長以下となるようにダクトを隔壁で区分して、所謂セル型やスプリッター型のダクト用消音装置のように前記ダクト内に断面視矩形状の小型ダクトを複数形成し、同小型ダクトの二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けると共に、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設けてもよい。
【0079】
上述した消音特性とは、各消音手段によって消音可能な周波数帯域や、そのときに消音される音波の減衰量のことであり、このように、消音特性の異なる2種類の消音手段を用いることにより、各消音手段毎に異なる周波数帯域の音波を消音して、消音可能な周波数帯域を広げることができる。特に、第1の消音手段及び第2の消音手段として、お互いに消音の仕組みが異なる2種類の消音手段を組み合わせれば、消音特性がより多様化して、一層幅広い周波数帯域の音波を消音することができる。
【0080】
この2種類の消音手段としては、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部を、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に形成する第1の消音手段と、消音対象となる音波の音圧を減少させる吸音部を前記内壁面上に形成する第2の消音手段とを組み合わせることができる。かかる構成とすれば、第1の消音手段によって、騒音の主成分をなしているより限定された周波数帯域の音波を大きく消音することができると共に、第2の消音手段によって前記第1の消音手段では消音しきれなかったより広い周波数帯域の音波を消音することができ、効果的に騒音を低減することができる。
【0081】
なお、上記ダクト用消音装置は、ダクトの内側に取り付けることも、外側に取り付けることもでき、ダクトの内側に取り付けた場合には、ダクトの元の内壁面レベルよりもダクトの中心側に突出した位置にダクト用消音装置のソフト音響部と吸音部とからなる新たなダクト内壁面が形成されることとなり、ダクトの外側に取り付けた場合には、ダクトの元の内壁面と同じレベルにダクト用消音装置のソフト音響部と吸音部とからなる新たなダクト内壁面が形成されることになる。
【0082】
前記第1の消音手段によって形成されるソフト音響部は、具体的にはダクトの内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管(1/4波長音響管)から構成することができる。ソフト音響部をかかる音響管から構成すれば、消音したい音の波長に応じて音響管の長さを変えることにより、様々な波長の音を消音することができる。
【0083】
しかも、前記音響管の開口部に、音響的には抵抗が少なく、流体としての抵抗が非常に大きい膜を配設すれば、前述した1/4波長より短い音響管でソフト音響部を形成可能となるので、音響管の開口部にプラスティックなどからなる膜を張ってダクト用消音装置のコンパクト化を図り、ダクト用消音装置をより取り付けやすくしたり、軽量化を図ったりしてもよい。また、このように音響管の開口部に膜を配設して開口部を閉塞すれば、空気流による気流音の発生を抑えて、騒音低減周波数帯域を広げることもできる。
【0084】
また、第1の消音手段は、上述したように内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部を連続して設けるのみならず、同ソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に市松模様状や縞状となるように交互に形成した構成とすることもできる。その場合は、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができ、ダクトにおけるダクト用消音装置の取付可能な領域を広げることができる。
【0085】
特に、前記非ソフト音響部は、グラスウール、ロックウール、アルミニウム繊維を始めとする金属繊維、発泡アルミニウム、セラミック吸収材料などの吸音部材を用いたりして、ゼロにはならなくとも音圧を減少させる機能を持たせた吸音性音響部や、ダクトと同様に金属板などの剛体からなり、音圧を減少させる機能がない音響的に剛な剛音響部とすることができ、消音機能(騒音低減機能)を必須条件としない。例えば、ダクトの元々の壁面自体を非ソフト音響部とすることもできる。従って、第1の消音手段として、ソフト音響部と非ソフト音響部とを交互に形成する構成とすれば、ダクト内において、ソフト音響部の消音機能によって対象音波の消音を行うことができるだけでなく、同ソフト音響部と交互に設けられた非ソフト音響部を前述したように吸音性音響部としたり或いは剛音響部としたりして、多目的に利用することができる。
【0086】
また、非ソフト音響部を前記吸音性音響部とし、繊維素材などの音圧を減少させることができる吸音部材で構成するようにすれば、ソフト音響部で対象音波である所定周波数域の音波を消音することができるのみならず、非ソフト音響部においても別の所定周波数域の音波を消音することができ、消音装置における消音可能な周波数域を広げて消音効果を高めることができる。
【0087】
一方、前述したようにダクトの壁面自体を非ソフト音響部とするなどして新たな構成を設けないようにすれば、消音装置の軽量化を図ることができる。
【0088】
さらに、前述したようにソフト音響部を音響管から構成した場合でも、音響管と音響管との間には非ソフト音響部が形成されるので、ソフト音響部が音響管で占められたとしても、非ソフト音響部は空間として空けておくことができ、その空いた空間を他の目的に利用することができる。例えば、非ソフト音響部を空間として空けておけば、音響管を途中から屈曲させて、隣接する非ソフト音響部に音響管の一部を配置することもでき、その場合には、音響管をまっすぐに伸延させた場合と比べてダクト用消音装置をコンパクト化することができる。そのため、本ダクト用消音装置を設置できる可能性を広げることができる。
【0089】
また、ダクト内を複数の小型ダクトに区切る隔壁に上記音響管を用いる場合、隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることもできる。かかる構成とすれば、隔壁の厚みが音響管1本分の長さでよいので、隔壁を薄く形成することができる。そのため、隔壁でダクトを区切ったとしても、ダクト断面における隔壁の占める面積を可及的に小さくすることができ、ダクトにおける気体の流通性を低下させることなく対象音波の消音を行うことができる。
【0090】
一方、第2の消音手段によって形成される吸音部は、具体的には、グラスウール、ロックウール、アルミニウム繊維を始めとする金属繊維、発泡アルミニウム、セラミック吸収材料などの吸音部材から構成することができる。吸音部をかかる吸音部材から構成すれば、特に高周波数帯域において幅広い周波数帯域の音波を消音することができる。しかも、吸音部材に前記セラミック吸音材料などの非繊維性材料を用いれば、これまで問題視されていた材料飛散の問題も解決できる。
【0091】
以下、ダクト用消音装置の具体的な実施形態を図面に基づき説明する。
【0092】
図12には、ダクト用消音装置の一実施形態である第1ダクト用消音装置A11を示している。
【0093】
第1ダクト用消音装置A11は、消音能力を測定するために設計した試験用のダクト用消音装置であり、第1の消音手段である左右一対の第1音響管配列体37と、第2の消音手段である上下一対の吸音部材33とから、内部空間の断面形状が10cm×10cmの正方形で、長さが50cmの筒状に形成している。
【0094】
前記第1音響管配列体37は、音響管を垂直方向及び/又は水平方向に複数配列したものであり、断面形状が5cm×5cmの正方形で、長さが1000Hzの1/4波長である85mmのアルミニウム製音響管(1/4波長音響管)1を2段10列に並設し、ダクトD’の内部空間との境界になる面b(以下、境界面bという)、すなわち、ダクトD’の内壁面となる面が全て音響管31の開口部となるようにしている。
【0095】
また、前記吸音部材33は、厚さ50mm、密度32kg/m3の板状のグラスウールからなり、ダクトD’の内部空間に向かって吸音部36を形成している。しかも、ダクトD’の内部空間に面さない外周部分は厚さ20mmのアクリル板からなるケース14により覆い、ダクトD’の内部からダクトD’の外部への騒音の漏れを防ぐと共に、ダクトD’の外部からダクトD’の内部へと騒音が侵入しないようにしている。
【0096】
また、図13には、他実施形態としての第2ダクト用消音装置A12を示している。
【0097】
第2ダクト用消音装置A12も消音能力を測定することを前提に設計した試験用のダクト用消音装置であり、上記第1ダクト用消音装置A11と音響管配列体の構成のみが異なる。すなわち、第2ダクト用消音装置A12では、前記第1音響管配列体37の音響管31のうち、隣り合う音響管31が連続して開口しないように、前記第1音響管配列体37の音響管31の開口部を互い違いに市松模様状にアルミニウム板などの剛体32で塞ぐと共に、同剛体32の上に吸音部材33であるグラスウールを貼設した第2音響管配列体38を用いている。
【0098】
このように、第1ダクト用消音装置A11においても第2ダクト用消音装置A12においても、音響管配列体は1000Hzを消音対象周波数に設定して設計されており、第1ダクト用消音装置A11の第1音響管配列体37は、境界面bが消音対象周波数の半波長以上にわたって全てソフト音響部34となっている一方、第2ダクト用消音装置A12の第2音響管配列体38は、境界面bが消音対象周波数の半波長以上にわたってソフト音響部34と非
ソフト音響部35との市松模様状になっている。
【0099】
なお、上述した第1ダクト用消音装置A11及び第2ダクト用消音装置A12では音響管31をアルミニウム製とすると共に吸音部材33としてグラスウールを用いたが、第1ダクト用消音装置A11及び第2ダクト用消音装置A12はあくまでも試験用のダクト用消音装置であり、ダクト用消音装置では、これらの素材に限定されることなく、ソフト音響部34及び吸音部36を構成しうる素材を適宜用いることができる。また、音響管31の形状も断面矩形状に限定されるものではなく、筒状であればどのような断面形状としてもよい。また、音響管配列体の構成や吸音部材33の厚みなども適宜調整することができる。さらに、第2ダクト用消音装置A12においては、対向する2つの第2音響管配列体38を、ソフト音響部34同士、及び非ソフト音響部35同士が対向するように構成することも、ソフト音響部34と非ソフト音響部35が対向するように構成することもできる。
【0100】
上記第1ダクト用消音装置A11と第2ダクト用消音装置A12とは、それぞれ第1の消音手段しか設けていないダクト用消音装置及び第2の消音手段しか設けていないダクト用消音装置と消音能力の比較を行った。
【0101】
図14には、第1ダクト用消音装置A11と、同第1ダクト用消音装置A11の比較対象となる第3ダクト用消音装置A13及び第5ダクト用消音装置A15の境界面構造を示しており、第3ダクト用消音装置A13は、前記第1ダクト用消音装置A11において第2消音手段である吸音部材33を設けていた箇所にも第1の消音手段である第1音響管配列体37を設けて、ダクトD’の内部空間に面する4面の全てを第1の消音手段のみで構成したものであり、第5ダクト用消音装置A15は、前記第1ダクト用消音装置A11において第1消音手段である第1音響管配列体37を設けていた箇所にも第2の消音手段である吸音部材33を設けて、ダクトD’の内部空間に面する4面の全てを第2の消音手段のみで構成したものである。
【0102】
また、図15には、第2ダクト用消音装置A12と、同第2ダクト用消音装置A12の比較対象となる第4ダクト用消音装置A14及び第5ダクト用消音装置A15との境界面構造を示している。第4ダクト用消音装置A14は、前記第2ダクト用消音装置A12において第2消音手段である吸音部材33を設けていた箇所にも第1の消音手段である第2音響管配列体38を設けて、ダクトD’の内部空間に面する4面の全てを第1の消音手段のみで構成したものであり、第5ダクト用消音装置A15は、前記第2ダクト用消音装置A12において第1消音手段である第2音響管配列体38を設けていた箇所にも第2の消音手段である吸音部材33を設けて、図14において説明したように、ダクトD’の内部空間に面する4面の全てを第2の消音手段のみで構成している。
【0103】
そして、図16には、上記第1~第5ダクト用消音装置A11~A15の消音能力を測定した測定装置M'を示している。
【0104】
測定装置M'は、断面形状が10cm×10cmの正方形で長さが2mのアクリル樹脂製ダクトD’を備えている。このダクトD’の終端部は吸音楔M'1を取り付けた無反射端となっており、同無反射端の反対側であるダクトD’の始端部に音源としてのスピーカM'2が取り付けられ、同スピーカM'2よりも無反射端側である前記吸音楔M'1の前方に、前記スピーカM'2から出力された音を集音するマイクロホンM'3が取り付けられている。
【0105】
そして、前記スピーカM'2とマイクロホンM'3との間、すなわち、スピーカM'2よりも無反射端側であるダクトD’の中央部に試験対象となる前記第1~第5ダクト用消音装置A11~A15を取り付けて、スピーカM'2から出力された音がダクト用消音装置を通過することによってどの程度消音されるのかを計測している。なお、前記図14及び図15中に示される「▲」は、この測定装置M'にダクト用消音装置を取り付けたときに、ダクトD’の始端側(スピーカM'2のある側)となる方向を示している。
【0106】
図17には、上記第1ダクト用消音装置A11、及びその比較対象となる第3ダクト用消音装置A13、第5ダクト用消音装置A15の消音能力を測定した結果を示している。なお、図17において、縦軸は、第1ダクト用消音装置A11を取り付けず、ダクトD’の内壁面が全て剛体32である場合にマイクロホンM'3で集音された音波の音量(dB)を基準値として、各ダクト用消音装置A11,A13,A15を取り付けたときに集音された音波の音量(dB)を前記基準値からの低減量(dB)として示している。また、横軸はマイクロホンM'3で集音された音波の周波数(Hz)を315Hzから3000Hzまでの範囲を示している。
【0107】
実線は、図14に示すように、第1ダクト用消音装置A11を測定した結果であり、1/4波長音響管31の設計周波数である1000Hzを中心にして約800Hzから約1800Hzまでの周波数帯域で40dB以上の大きな減衰量が得られ、1オクターブ以上にわたる比較的広い周波数帯域に消音効果が現れたことを示している。
【0108】
一方、一点鎖線は、図14に示すように、第1音響管配列体37のみからなる第3ダクト用消音装置A13を測定した結果であり、前記第1ダクト用消音装置A11と比較すると、全ての周波数帯域において前記第1ダクト用消音装置A11のほうが大きな減衰量を得ている。特に1600Hzよりも高周波帯域側においては、その消音効果の差が大きくなっている。
【0109】
また、点線は、図14に示すように、吸音部材33のみからなる第5消音装置A15を測定した結果であり、前記第1ダクト用消音装置A11と比較すると、800Hzから1900Hzの範囲で前記第1ダクト用消音装置A11のほうが非常に大きな減衰量を得ていることが分かる。
【0110】
このように、断面視矩形状のダクトD’の二対の対向する内壁面にそれぞれ消音特性の異なる消音手段を配置した第1ダクト用消音装置A11は、二対の対向する内壁面に同じ消音特性の消音手段を配置した第3ダクト用消音装置A13及び第5消音装置A15と比べて、幅広い周波数帯域で高い消音効果を得られることが分かった。
【0111】
図18には、上記第2ダクト用消音装置A12、及びその比較対象となる第4ダクト用消音装置A14、第5ダクト用消音装置A15の消音能力を測定した結果を示している。図18においても、前記図17と同様、縦軸は、各ダクト用消音装置A12,A14,A15を取り付けたときにマイクロホンM'3で集音された音波の音量(dB)を前記基準値からの低減量(dB)として示しており、横軸は、マイクロホンM'3で集音された音波の周波数(Hz)を315Hzから3000Hzまでの範囲で示している。
【0112】
実線は、図15に示すように、第2ダクト用消音装置A12を測定した結果であり、この場合には、1/4波長音響管31の設計周波数である1000Hzを中心にして約900Hzから約1600Hzまでの周波数帯域で40dB以上の減衰量が得られた。しかも、約800Hz以上の周波数帯域では、常に30dB以上の減衰量が得られた。これは、前記第1ダクト用消音装置A11と比較すると40dB以上の減衰量を得られる周波数帯域は若干狭いが、2000Hz以上の高周波数帯域においては、第1ダクト用消音装置A11よりも安定して30dB以上の減衰量を得られている。
【0113】
また、一点鎖線は、図15に示すように、第2音響管配列体38のみからなる第4消音装置A14を測定した結果であり、前記第2ダクト用消音装置A12と比較すると、ほとんど全ての周波数帯域において前記第2ダクト用消音装置A12のほうが大きな減衰量を得ている。
【0114】
また、点線は、図14に示すように、吸音部材33のみからなる第5消音装置A15を測定した結果であり、前記第2ダクト用消音装置A12と比較すると、前記第1ダクト用消音装置A11と比較した場合と同様、1/4波長音響管31の設計周波数を中心に1オクターブにわたって前記第2ダクト用消音装置A12のほうが大きな減衰量を得ている。
【0115】
このように、第1の消音手段として、ソフト音響部34と非ソフト音響部35とを市松模様状に配置した第2音響管配列体38を用いた第2ダクト用消音装置A12においても、断面視矩形状のダクトD’の二対の対向する内壁面に同じ消音特性の消音手段を配置した第4ダクト用消音装置A14及び第5消音装置A15と比べて、幅広い周波数帯域で高い消音効果を得られることが分かった。
【0116】
次に、他実施形態として、ダクト用消音装置をセル型のダクト用消音装置に適用させた場合について説明する。
【0117】
図19は他実施形態としての第6ダクト用消音装置A16の使用状態を示す断面視による説明図、図20は図19のIII-III線における断面形状の説明図、図21は図19の領域IVにおけるソフト音響部34及び非ソフト音響部35の配置を示す説明図である。
【0118】
図示するように、第6ダクト用消音装置A16は、空調用冷却塔を構成する断面視矩形状のダクトD’の排気口D'1部分に取り付けており、ダクトD’の対向する左右一対の内壁面にそれぞれ配設した第1の消音手段としてのダクト壁用音響管配列体39と、ダクトD’の対向する前後一対の内壁面にそれぞれ配設した第2の消音手段としてのダクト壁用吸音体41とから断面視矩形状の筒状に形成している。しかも、その内側にダクトD’を縦方向に区切る縦隔壁となる第1の消音手段としての3つの隔壁用音響管配列体40と、ダクトD’を横方向に区切る横隔壁となる第2の消音手段としての3つの隔壁用吸音体42とを配設して、ダクトD’の内部に断面視矩形状の複数の小型ダクトD’2を形成している。図中、43は送風機である。
【0119】
前記ダクト壁用音響管配列体39は、一端が閉塞し、他端がダクトD’の内部空間に向かって開口した断面視矩形状のアルミニウム製1/4波長音響管31をダクト壁に沿って水平方向、及び垂直方向に並設して板状に形成すると共に、隣り合う音響管31が連続して開口しないように、音響管31の開口部を互い違いにアルミニウム板などの剛体32で塞いでその上にグラスウールからなる吸音部材33を取り付けたものであり、図21に示すように、ダクトD’の内部空間との境界面b、すなわち、ダクトD’の内壁面となる面が、音響管31の開口部(ソフト音響部34)と剛体32に取り付けた吸音部材33(非ソフト音響部35)とによって市松模様になっている。
【0120】
一方、隔壁用音響管配列体40は、一端が閉塞し、他端が開口した断面視矩形状のアルミニウム製1/4波長音響管31を、隣り合う2つの1/4波長音響管31の間で閉塞部或いは開口部が連続しないように互い違いに水平方向、及び垂直方向に並設して板状に形成したものであり、本実施形態ではこの隔壁用音響管配列体40がそのまま縦隔壁となっている。
【0121】
すなわち、隔壁用音響管配列体40は、表裏両面がダクトD’の内部空間との境界面bとなっており、一方の境界面b上に開口部が配置されている音響管31は、他方の境界面b上に閉塞部が配置されている。また、前記閉塞部にはグラスウールからなる吸音部材33を取り付けており、隔壁用音響管配列体40の表裏両方の境界面b,bには、図21に示すように、音響管31の開口部(ソフト音響部34)と閉塞部の吸音部材33(非ソフト音響部35)とにより市松模様が形成されている。
【0122】
なお、上記ダクト壁用音響管配列体39と隔壁用音響管配列体40とは、ダクトD’の長さ方向に対象音波の半波長以上にわたって配設している。
【0123】
また、ダクト壁用吸音体41は、グラスウールからなる吸音部材33をダクトD’の内部空間と面するように配置すると共に、その外側をアルミニウム板などからなるケース44により覆った構成となっている。
【0124】
一方、隔壁用吸音体42は、アルミニウム板などの骨格部材45の両面に吸音部材33を取り付けて、その表裏両面が吸音部36となるようにしたものであり、そのまま横隔壁となっている。そして、この横隔壁をなす隔壁用吸音体42と前記縦隔壁をなす隔壁用音響管配列体40とによって、ダクトD’の開口幅tが対象音波の半波長以下となるように区切られている。
【0125】
上記第6ダクト用消音装置A16においても、断面視矩形状の小型ダクトD’2の対向する一対の内壁面に第1の消音手段を配置し、もう一対の対向する内壁面に第2の消音手段を配置しているので、低周波数帯域から
高周波数帯域にわたってダクトD’内を伝搬した騒音を消音することができる。特に第6ダクト用消音装置A16では、音響管31の開口部をソフト音響部34とすると共に、閉塞部を非ソフト音響部35としているので、縦隔壁(隔壁用音響管配列体40)においては、一方の境界面bでソフト音響部34を構成する音響管31が、他方の境界面bで非ソフト音響部35を構成している。そのため、消音機能がありながらも薄い縦隔壁(隔壁用音響管配列体40)を形成することができ、ダクトD’からの排気性を低下させることなく、ダクトD’内を伝搬する騒音を消音することができる。
【0126】
しかも、非ソフト音響部35にも吸音部材33を取り付けて騒音を吸収できるようにしたので、ソフト音響部34で消音可能な周波数域に加えて、非ソフト音響部35においても別の周波数域の騒音を消音することができ、消音効果の高いダクト用消音装置とすることができる。 なお、ダクト用消音装置は、上述した空調用冷却塔の他にも、空調設備の屋外機や、大型トンネル排気装置や、発電装置など、騒音が問題となる箇所に設けられた全てのダクトD’において用いることができる。
【0127】
図22は、音響管の開口部に薄膜を設けた場合の効果について確認した実験結果を示している。
【0128】
図22において、破線(図中、A17で示す。)は、矩形断面のダクトの対向する一対の内壁面にグラスウール(厚さ50mm、密度32Kg/m3)を貼り付ける一方、もう一対の内壁面に音響管を設けてソフト音響部とした場合の測定結果であり、点線(図中A18で示す。)、は、前記ソフト音響部にも市松模様状にグラスウール(厚さ25mm、密度64Kg/m3)を貼り付けた場合の測定結果であり、また、太い実線(図中、A19で示す。)は、前記破線で示したA17のダクトの音響管の開口部に薄膜(厚さ50μm)を無張力で貼り付けた場合の測定結果であり、さらに、細い実線(図中、A20で示す。)は、前記点線で示したA18のダクトの音響管の開口部に薄膜(厚さ50μm)を無張力で貼り付けた場合の測定結果である。
【0129】
図22において、A17とA19、或いは、A18とA20とを比較すると、いずれの場合も、音響管の開口部に薄膜を貼り付けることによって、消音効果の高い周波数が低周波数側にシフトするとともに、高周波数域においても消音効果が発揮されることが確認された。
【0130】
このように、音響管の開口部に薄膜を貼り付けることによって消音効果の高い周波数が低周波数側にシフトすることから、音響管の開口部に膜を設けることによって、開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さよりも短い音響管を使用して、所望の消音効果を発揮させることができることがわかる。すなわち、消音対象となる音波の波長が同じ場合には、音響管の開口部に膜を設けることで、音響管の長さを短くすることができ、消音装置の小型化や軽量化を図ることができる。
【0131】
また、音響管の開口部に薄膜を貼り付けることによって高周波数域においても消音効果が発揮されることから、音響管の開口部に膜を設けることによって、消音装置の消音効果が発揮される周波数帯域を増大させることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明によれば、ダクトの内壁面上に、同内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に配置することにしたので、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができ、ダクトにおけるダクト用消音装置の取付可能な領域を広げることができる。
【0133】
また、開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるようにダクトを隔壁で区分し、同隔壁の両側壁面上に、壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に配置することにしたので、隔壁において、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができ、隔壁におけるダクト用消音装置の取付可能な領域を拡大することができる。
【0134】
また、前記ソフト音響部は、壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管からなることにしたので、消音したい音の波長に応じて音響管の長さを変えて、様々な波長の音を消音することができる。特に、ソフト音響部である音響管と音響管の間に非ソフト音響部を設けており、ソフト音響部が音響管で占められたとしても、前記非ソフト音響部には音響管を配設する必要がないので、その空いた空間を他の目的に利用することができる。
【0135】
また、前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることにしたので、隔壁の厚みを音響管1本分の長さとすることができ、隔壁を薄く形成することができる。従って、隔壁でダクトを区切ったとしても、ダクト断面における隔壁の占める面積を可及的に小さくして、ダクトを効率よく使用することができる。
【0136】
また、前記非ソフト音響部は、音圧を減少させる吸音部材からなることにしたので、ソフト音響部で所定周波数域の音波を消音することができると共に、非ソフト音響部においても別の所定周波数域の音波を消音することができ、消音装置における消音可能な周波数域を広げて消音効果を高めることができる。
【0137】
また、断面視矩形状のダクトの二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けると共に、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設けることとしたので、第1の消音手段と第2の消音手段とで異なる周波数帯域の音波を消音して、消音可能な周波数帯域を広げることができる。
【0138】
また、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部を、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に形成し、前記第2の消音手段は、消音対象となる音波の音圧を減少させる吸音部を前記内壁面上に形成することとしたので、第1の消音手段によって、騒音の主成分をなしているより限定された周波数帯域の音波を大きく消音することができると共に、第2の消音手段によって前記第1の消音手段では消音しきれなかったより広い周波数帯域の音波を消音することができ、効果的に騒音を低減することができる。
【0139】
また、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に形成し、前記第2の消音手段は、消音対象となる音波の音圧を減少させる吸音部を前記内壁面上に形成することとしたので、第1の消音手段によって、騒音の主成分をなしているより限定された周波数帯域の音波を大きく消音することができると共に、第2の消音手段によって前記第1の消音手段では消音しきれなかったより広い周波数帯域の音波を消音することができ、効果的に騒音を低減することができる。特に、第1の消音手段においては、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができるので、ダクトにおけるダクト用消音装置の取付可能な領域を広げることができる。
【0140】
また、前記ソフト音響部は、前記内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管からなることにしたので、消音したい音の波長に応じて音響管の長さを変えて、様々な波長の音を消音することができる。
【0141】
また、開口幅が消音対象となる音波の半波長以下となるようにダクトを隔壁で区分して、前記ダクト内に断面視矩形状の小型ダクトを複数形成し、同小型ダクトの二対の対向する内壁面のうち、一対の内壁面上に第1の消音手段を設けると共に、もう一対の内壁面上に、前記第1の消音手段とは消音特性の異なる第2の消音手段を設けることとしたので、第1の消音手段と第2の消音手段とで異なる周波数帯域の音波を消音して、消音可能な周波数帯域を広げることができる。
【0142】
また、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部を、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に形成し、前記第2の消音手段は、消音対象となる音波の音圧を減少させる吸音部を前記内壁面上に形成することとしたので、第1の消音手段によって、騒音の主成分をなしているより限定された周波数帯域の音波を大きく消音することができると共に、第2の消音手段によって前記第1の消音手段では消音しきれなかったより広い周波数帯域の音波を消音することができ、効果的に騒音を低減することができる。
【0143】
また、前記第1の消音手段は、前記内壁面上での音圧がほぼゼロになる音響的にソフトなソフト音響部と、音圧がゼロにならない非ソフト音響部とを、消音対象となる音波の半波長程度以上にわたってダクトの長さ方向に交互に形成し、前記第2の消音手段は、消音対象となる音波の音圧を減少させる吸音部を前記内壁面上に形成することとしたので、第1の消音手段によって、騒音の主成分をなしているより限定された周波数帯域の音波を大きく消音することができると共に、第2の消音手段によって前記第1の消音手段では消音しきれなかったより広い周波数帯域の音波を消音することができ、効果的に騒音を低減することができる。特に、第1の消音手段においては、音圧ゼロという特殊な構成にしなければならないソフト音響部の占める領域を減少させることができ、隔壁やダクトにおけるダクト用消音装置の取付可能な領域を拡大することができる。
【0144】
また、前記ソフト音響部は、前記内壁面上に配置された開口端から閉塞端までの長さが消音対象となる音波の波長の1/4の長さである音響管からなることにしたので、消音したい音の波長に応じて音響管の長さを変えて、様々な波長の音を消音することができる。
【0145】
また、前記隔壁の一方の壁面上に前記音響管の開口端を配置してソフト音響部とし、他方の壁面上に前記音響管の閉塞端を配置して非ソフト音響部とすることにしたので、隔壁の厚みを音響管1本分の長さとすることができ、隔壁を薄く形成することができる。従って、隔壁でダクトを区切ったとしても、ダクト断面における隔壁の占める面積を可及的に小さくして、ダクトを効率よく使用することができる。
【0146】
さらに、前記音響管の開口端に膜を張設した場合には、消音装置の小型化や軽量化を図ることができるとともに、より一層広い周波数帯域の音波を消音することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24