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明細書 :不斉合成用触媒およびそれに用いる配位子、並びにこれらを用いた不斉合成反応による光学活性化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4928798号 (P4928798)
公開番号 特開2006-257081 (P2006-257081A)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発行日 平成24年5月9日(2012.5.9)
公開日 平成18年9月28日(2006.9.28)
発明の名称または考案の名称 不斉合成用触媒およびそれに用いる配位子、並びにこれらを用いた不斉合成反応による光学活性化合物の製造方法
国際特許分類 C07F   9/6571      (2006.01)
C07C  33/34        (2006.01)
C07C  29/38        (2006.01)
C07C  69/618       (2006.01)
C07C  67/32        (2006.01)
C07C 211/28        (2006.01)
C07C 209/16        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
C07C  67/347       (2006.01)
C07C  69/734       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/6571
C07C 33/34 B
C07C 29/38
C07C 69/618
C07C 67/32
C07C 211/28
C07C 209/16
B01J 31/22 Z
C07C 67/347
C07C 69/734 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 29
全頁数 32
出願番号 特願2006-040690 (P2006-040690)
出願日 平成18年2月17日(2006.2.17)
優先権出願番号 2005041116
優先日 平成17年2月17日(2005.2.17)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年1月23日(2009.1.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】宮浦 憲夫
【氏名】山本 靖典
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査官 【審査官】井上 千弥子
参考文献・文献 特開2004-315457(JP,A)
Helvetica, Chimica Acta,2000年,83(7),1346-1376
Tetrahedron Asymmetry,2004年,15(6),1001-1005
調査した分野 C07F
C07C
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1a)または(1b)で表される化合物。
【化1】
JP0004928798B2_000047t.gif
[式中、Xは酸素であり、Yは、NR1011(R10およびR11は、独立に、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)、OR12(R12は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)、またはSR13(R13は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)であり、nは1であり、R~Rは、独立に、水素、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。]
【請求項2】
中心金属がロジウム、イリジウム、またはルテニウムであり、請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で表される化合物を配位子として含む錯体。
【請求項3】
下記一般式(20)で表される請求項2に記載の錯体。
(20)
[式中、Mはロジウム、イリジウム、またはルテニウム、Xはハロゲン、RO(ROはヒドロキシ、アルコキシ、アセチルアセトナート、アセトキシ、およびトリフルオロメタンスルホンナートから成る群から選ばれる1種である)、BF、ClO、PF、B(Ar)4、SbFアニオンまたは水素であり、mは1から3の整数であり、Lは、オレフィン、η3-アリル、アリール(Ar)基、アミン、一酸化炭素、またはアセトニトリルであり、pは0から3の整数であり、Lは請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、qは1から2の整数である。アリール(Ar)は芳香環を表す。]
【請求項4】
請求項2または3に記載の錯体からなる光学活性β-置換カルボニル化合物合成用触媒。
【請求項5】
請求項2または3に記載の錯体からなる不斉1,2付加反応用触媒。
【請求項6】
置換または無置換α、β-不飽和化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性β-置換カルボニル化合物を製造する方法であって、
上記反応を、請求項2または3に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
【請求項7】
前記α、β-不飽和化合物の置換基が、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、置換基を有するカルバモイル基、アシル基、ホルミル基、またはニトロ基である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記α、β-不飽和化合物が下記一般式(2a),(2b)で表される化合物である請求項6に記載の方法。
【化2】
JP0004928798B2_000048t.gif
[式中、R,R,Rはそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表す。nは0または整数を表す。WおよびZはそれぞれ同一または異なってもよい-CH2-, =CH-, -O-, -S-, -NH-, または=N-を意味する。R10及びR11はそれぞれ同一または異なってもよい水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基或いは隣接するR10およびR11は下記一般式(a)
【化3】
JP0004928798B2_000049t.gif
(式中R12は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基、炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基である)を表す。]
【請求項9】
前記金属反応剤は、金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール化合物である請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記金属反応剤は、有機ボロン酸誘導体であり、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物である請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【化4】
JP0004928798B2_000050t.gif
[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。]
【化5】
JP0004928798B2_000051t.gif

【請求項11】
光学活性β-置換カルボニル化合物が下記一般式(4)で表される化合物である請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
【化6】
JP0004928798B2_000052t.gif
[式中、R,R,Rはそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表す。但し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。]
【請求項12】
アルデヒド化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性アルコール化合物を製造する方法であって、
上記反応を、請求項2または3に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
【請求項13】
アルデヒド化合物が下記一般式(5)で表される化合物である請求項12に記載の方法。
R4CHO (5)
[式中、Rは無置換若しくは置換アルキル基または無置換若しくは置換アリール基である。]
【請求項14】
前記金属反応剤は、金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール化合物である請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記金属反応剤は、有機ボロン酸誘導体であり、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物である請求項12または13に記載の方法。
【化7】
JP0004928798B2_000053t.gif
[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。]
【化8】
JP0004928798B2_000054t.gif

【請求項16】
光学活性アルコールが下記一般式(7)で表される化合物である請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【化9】
JP0004928798B2_000055t.gif
[式中、Rは無置換若しくは置換アルキル基または無置換若しくは置換アリール基であり、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。]
【請求項17】
中心金属がパラジウム、または白金であり、請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で表される化合物を配位子として含む錯体。
【請求項18】
下記一般式(21)で表される請求項17に記載の錯体
(21)
[式中、Mはパラジウム、または白金、Xはハロゲン、アセテートアニオン、BF、PF、ClO、またはSbFアニオンであり、rは0から2の整数であり、Lはトリアリール(あるいはアルキル)ホスフィン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジベンジリデンアセトンまたはη3-アリルであり、sは0から2の整数であり、Lは請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、tは1である。Arは芳香環を表す。]
【請求項19】
請求項17または18に記載の錯体からなる不斉アリル位置換反応用触媒。
【請求項20】
不斉アリル位置換反応が、不斉アリル位アルキル化反応である請求項19に記載の触媒。
【請求項21】
不斉アリル位置換反応が、不斉アリル位アミノ化反応である請求項19に記載の触媒。
【請求項22】
1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とマロン酸ジアルキルとを反応させて、光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物を製造する方法であって、上記反応を、請求項17または18に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
【請求項23】
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物が下記一般式(8)で表される化合物である請求項22に記載の方法。
【化10】
JP0004928798B2_000056t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基であり、Acはアセチル基である]
【請求項24】
前記マロン酸ジアルキルが下記一般式(9)で表される化合物である請求項22または23に記載の方法。
【化11】
JP0004928798B2_000057t.gif
[式中、R7は置換若しくは無置換アルキル基を表す。]
【請求項25】
前記光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物が下記一般式(10)で表される化合物である請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【化12】
JP0004928798B2_000058t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基であり、R7は置換若しくは無置換アルキル基を表す。]
【請求項26】
1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とアミン化合物とを反応させて、光学活性アリルアミン化合物を製造する方法であって、
上記反応を、請求項17または18に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
【請求項27】
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物が下記一般式(11)で表される化合物である請求項26に記載の方法。
【化13】
JP0004928798B2_000059t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表し、Acはアセチル基である。]
【請求項28】
前記アミン化合物が下記一般式(12)で表される化合物である請求項26または27に記載の方法。
【化14】
JP0004928798B2_000060t.gif
[式中、R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。]
【請求項29】
前記光学活性アリルアミン化合物が下記一般式(13)で表される化合物である請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【化15】
JP0004928798B2_000061t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表し、R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。]
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉合成用触媒およびそれに用いる配位子、並びにこれらを用いた不斉合成反応による光学活性化合物の製造方法に関する。特に、光学活性化合物の製造方法は、光学活性β-置換カルボニル化合物の製造方法、光学活性アルコール化合物の製造方法、不斉アリル位置換反応法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性β-置換カルボニル化合物は、医薬分野、食品添加物分野等で中間体として有用である。光学活性β-置換カルボニル化合物の製造法としては、例えば、以下の製造法が知られている。
【0003】
1)鎖状または環状のβ-置換カルボニル化合物は、ロジウム化合物とホスフィン化合物および塩基の存在下で、アリールボロン酸とα,β-不飽和エノンを反応させて製造する方法が報告されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3等)。
【0004】
2)光学活性β-アリールアミド化合物は、ロジウム化合物と光学活性ホスフィン化合物存在下で、アリ-ルボロン酸とα,β-不飽和アミド化合物を反応させて製造する方法が報告されている(非特許文献4)。
【0005】
3)光学活性β-アリールエステル化合物は、ロジウム化合物と光学活性ホスフィン化合物存在下で、アリールボロン酸とα,β-不飽和エステル化合物を反応させて製造する方法が報告されている(非特許文献5)。
【0006】
4)ロジウム化合物と光学活性ホスフィン化合物から生成させたロジウム錯体存在下、塩基を添加することによって、所望の光学活性β-アリール化合物が得られることが報告されている(特許文献1)。
【0007】
5)アルデヒドとアリールボロン酸をロジウム触媒の存在下、不斉1,2付加反応させて光学活性アリ-ル化合物を得ることが報告されている(非特許文献6)。

【非特許文献1】Tetrahedron Lett., 1998, 39, 8479.
【非特許文献2】J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 8932.
【非特許文献3】J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 1110.
【非特許文献4】J. Org. Chem., 2001, 66, 8944.
【非特許文献5】J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 5052.
【特許文献1】特開2004-315396号公報
【非特許文献6】Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 3279-3281.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記1)および2)の製造法では、90~100℃の高い反応温度下で長時間の反応しなければならないため副反応による収率の低下や光学収率の低下等の問題点を抱えていた。また、3)では35℃程度で反応が進行するが、適用可能な基質の種類に制限があるため、所望の中間体を任意に合成するという工業的な製造のためには有利とは言えない。4)では、温和な反応条件下で所望の光学活性β-アリール化合物が得られるが、光学活性β-アリール化合物の収率および光学純度がまだ不十分であり、改善の余地がある。また、適用できる反応の範囲が狭いという問題もあった。5)では、光学活性アリール化合物の収率および選択性共に低いという問題があった。
【0009】
すなわち、広範な光学活性アリール化合物の合成に利用できる汎用性と、工業的に有利な穏和な条件で短時間、高収率で合成できる反応性、選択性とを併せ持った製造法の開発が当該分野の課題となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、α、β-不飽和化合物とアリールボロン酸誘導体との反応に際して、二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするロジウム触媒を用いることによって、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性β-アリール化合物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
さらに、上記二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするロジウム触媒は、アルデヒド化合物とアリールボロン酸誘導体とを反応させて、光学活性アリールアルコール化合物を製造する方法においても、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性アリール化合物が得られることを見出した。
【0012】
加えて、上記二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするパラジウム触媒は、この触媒を用いた不斉アリル位置換反応による光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物の製造方法および光学活性アリルアミン化合物の製造方法においても、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性アリル化合物が得られることを見出した。
【0013】
上記課題を解決する本発明は以下の通りである。
[1]
下記一般式(1a)または(1b)で表される化合物。
【0014】
【化1】
JP0004928798B2_000002t.gif
[式中、Xは酸素であり、Yは、NR1011(R10およびR11は、独立に、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)、OR12(R12は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)、またはSR13(R13は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である)であり、nは1であり、R~Rは、独立に、水素、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。]
[2]
中心金属がロジウム、イリジウム、またはルテニウムであり、[1]に記載の一般式(1a)または(1b)で表される化合物を配位子として含む錯体。
[3]
下記一般式(20)で表される[2]に記載の錯体。
(20)
[式中、Mはロジウム、イリジウム、またはルテニウム、Xはハロゲン、RO(ROはヒドロキシ、アルコキシ、アセチルアセトナート、アセトキシ、およびトリフルオロメタンスルホンナートから成る群から選ばれる1種である)、BF、ClO、PF、B(Ar)4、SbFアニオンまたは水素であり、mは1から3の整数であり、Lは、オレフィン、η3-アリル、アリール(Ar)基、アミン、一酸化炭素、またはアセトニトリルであり、pは0から3の整数であり、Lは請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、qは1から2の整数である。アリール(Ar)は芳香環を表す。]
[4]
[2]または[3]に記載の錯体からなる光学活性β-置換カルボニル化合物合成用触媒。
[5]
[2]または[3]に記載の錯体からなる不斉1,2付加反応用触媒。
[6]
置換または無置換α、β-不飽和化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性β-置換カルボニル化合物を製造する方法であって、
上記反応を、[2]または[3]に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
[7]
前記α、β-不飽和化合物の置換基が、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、置換基を有するカルバモイル基、アシル基、ホルミル基、またはニトロ基である[6]に記載の方法。
[8]
前記α、β-不飽和化合物が下記一般式(2a),(2b)で表される化合物である[6]に記載の方法。
【0015】
【化2】
JP0004928798B2_000003t.gif
[式中、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表す。nは0または整数を表す。WおよびZはそれぞれ同一または異なってもよい-CH2-, =CH-, -O-, -S-, -NH-, または=N-を意味する。R10及びR11はそれぞれ同一または異なってもよい水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基或いは隣接するR10およびR11は下記一般式(a)
【0016】
【化3】
JP0004928798B2_000004t.gif
(式中R12は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基、炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基である)を表す。]
[9]
前記金属反応剤は、金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール化合物である[6]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]
前記金属反応剤は、有機ボロン酸誘導体であり、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物である[6]~[8]のいずれかに記載の方法。
【0017】
【化4】
JP0004928798B2_000005t.gif
[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を表す。]
【0018】
【化5】
JP0004928798B2_000006t.gif
[11]
光学活性β-置換カルボニル化合物が下記一般式(4)で表される化合物である[6]~[10]のいずれかに記載の方法。
【0019】
【化6】
JP0004928798B2_000007t.gif
[式中、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表す。但し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を表す。]
[12]
アルデヒド化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性アルコール化合物を製造する方法であって、
上記反応を、[2]または[3]に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
[13]
アルデヒド化合物が下記一般式(5)で表される化合物である[12]に記載の方法。
R4CHO (5)
[式中、R4は無置換若しくは置換アルキル基または無置換若しくは置換アリール基である。]
[14]
前記金属反応剤は、金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール化合物である[12]または[13]に記載の方法。
[15]
前記金属反応剤は、有機ボロン酸誘導体であり、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物である[12]または[13]に記載の方法。
【0020】
【化7】
JP0004928798B2_000008t.gif
[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を表す。]
【0021】
【化8】
JP0004928798B2_000009t.gif
[16]
光学活性アルコールが下記一般式(7)で表される化合物である[12]~[15]のいずれかに記載の方法。
【0022】
【化9】
JP0004928798B2_000010t.gif
[式中、Rは無置換若しくは置換アルキル基または無置換若しくは置換アリール基であり、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。]
[17]
中心金属がパラジウムであり、[1]に記載の一般式(1a)または(1b)で表される化合物を配位子として含む錯体。
[18]
下記一般式(21)で表される[17]に記載の錯体
(21)
[式中、Mはパラジウム、または白金、Xはハロゲン、アセテートアニオン、BF、PF、ClO、B(Ar)4またはSbFアニオンであり、rは0から2の整数であり、Lはトリアリール(あるいはアルキル)ホスフィン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジベンジリデンアセトンまたはη3-アリルであり、sは0から2の整数であり、Lは請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、tは1である。Arは芳香環を表す。]
[19]
[17]または[18]に記載の錯体からなる不斉アリル位置換反応用触媒。
[20]
不斉アリル位置換反応が、不斉アリル位アルキル化反応である[19]に記載の触媒。
[21]
不斉アリル位置換反応が、不斉アリル位アミノ化反応である[19]に記載の触媒。
[22]
1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とマロン酸ジアルキルとを反応させて、光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物を製造する方法であって、上記反応を、[17]または[18]に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
[23]
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物が下記一般式(8)で表される化合物である[22]に記載の方法。
【0023】
【化10】
JP0004928798B2_000011t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基であり、Acはアセチル基である]
[24]
前記マロン酸ジアルキルが下記一般式(9)で表される化合物である[22]または[23]に記載の方法。
【0024】
【化11】
JP0004928798B2_000012t.gif
[式中、R7は置換若しくは無置換アルキル基を表す。]
[25]
前記光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物が下記一般式(10)で表される化合物である[22]~[24]のいずれかに記載の方法。
【0025】
【化12】
JP0004928798B2_000013t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基であり、R7は置換若しくは無置換アルキル基を表す。]
[26]
1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とアミン化合物とを反応させて、光学活性アリルアミン化合物を製造する方法であって、
上記反応を、[17]または[18]に記載の錯体の存在下で行うことを特徴とする前記方法。
[27]
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物が下記一般式(11)で表される化合物である[26]に記載の方法。
【0026】
【化13】
JP0004928798B2_000014t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表し、Acはアセチル基である。]
[28]
前記アミン化合物が下記一般式(12)で表される化合物である[26]または[27]に記載の方法。
【0027】
【化14】
JP0004928798B2_000015t.gif
[式中、R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。]
[29]
前記光学活性アリルアミン化合物が下記一般式(13)で表される化合物である[26]~[28]のいずれかに記載の方法。
【0028】
【化15】
JP0004928798B2_000016t.gif
[式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表し、R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。]
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、α、β-不飽和化合物とアリールボロン酸誘導体との反応に際して、二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするロジウム触媒が提供され、この触媒を用いることによって、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性β-アリール化合物が得られる。
【0030】
さらに、本発明の上記二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするロジウム触媒は、アルデヒド化合物とアリールボロン酸誘導体とを反応させて、光学活性アリールアルコール化合物を製造する方法においても、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性アリール化合物が得られる。
【0031】
加えて、本発明の上記二座ホスホロアミダイド化合物を配位子とするパラジウム触媒は、この触媒を用いた不斉アリル位置換反応による光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物の製造方法および光学活性アリルアミン化合物の製造方法においても、高収率かつ高光学純度で所望の光学活性アリル化合物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
[配位子]
本発明は、下記一般式(1a)または(1b)で表される化合物に関する。この化合物は、後述する触媒の配位子として有用である。
【0033】
【化16】
JP0004928798B2_000017t.gif

【0034】
式中、Xは炭素、酸素、硫黄、または窒素であり、好ましくは酸素である。
Yは、NR1011、OR12、またはSR13である。NR1011において、R10およびR11は、独立に、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。アルキル基は、例えば、炭素数1~8であることができ、置換アルキル基および置換アリール基の置換基としては、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、エーテル、アシル基等を挙げることができる。R10およびR11は、好ましくは、独立に、直鎖または分岐アルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、iso-プロピル基である。
【0035】
OR12において、R12は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。アルキル基は、例えば、炭素数1~8であることができ、置換アルキル基および置換アリール基の置換基としては、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、エーテル、アシル基等を挙げることができる。R12は、好ましくは置換または無置換のフェニル基であり、より好ましくは無置換のフェニル基である。
【0036】
SR13において、R13は、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。アルキル基は、例えば、炭素数1~8であることができ、置換アルキル基および置換アリール基の置換基としては、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、エーテル、アシル基等を挙げることができる。R13は、好ましくは置換または無置換のフェニル基であり、より好ましくは無置換のフェニル基である。
【0037】
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
1~R8は、独立に、水素、置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基である。置換アルキル基および置換アリール基の置換基としては、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、エーテル、アシル基等を挙げることができる。R1~R8は、好ましくは、独立に、水素、メチル基、置換または無置換のフェニル基であり、より好ましくは水素である。
【0038】
一般式(1b)で表される化合物の例としては、後述する実施例で示した化合物8~11を挙げることができるが、これらに限定されることはない。尚、一般式(1b)の化合物は、出発原料に光学活性(R,R)-1,1'-ビナフトール(1)を使用することで得られる。出発原料として、光学活性(R,R)-1,1'-ビナフトール(1)の代りに、光学活性(S,S)-1,1'-ビナフトールを使用することで、一般式(1a)の化合物を、一般式(1b)で表される化合物と同様の方法で得ることができる。
【0039】
一般式(1a)または(1b)で表される化合物は、置換または無置換の光学活性1,1'-ビナフトールを出発原料として、例えば、以下の反応スキームに基づいて合成することができる。無置換の光学活性1,1'-ビナフトールは、市販品を入手可能である。置換光学活性1,1'-ビナフトールは、置換基の種類によっては市販品を入手可能であり、あるいは市販品がなくても、例えば、ビナフトールの修飾は、3, 3'位あるいは6, 6'位を臭素化したのちに、クロスカップリング反応等により置換基を導入することができる。[参考文献:(1)Kobayashi, S.; Kusakabe, K-I.; Komiyama, S.; Ishitani, H. J. Org. Chem. 1999, 64, 4220-4221. (2)Qian, C.; Huang, T.; Zhu, C.; Sun, J. J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 1998, 2097.]
【0040】
【化17】
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【0041】
上記スキームは、一般式(1a)または(1b)において、Xが酸素であり、YがNR1011であり、nが1であり、R1~R8は水素である化合物の合成例である。上記スキーム中に示す、化合物1~7までの合成は、以下の参考文献に記載の方法に基づいて実施できる。(1)Bougauchi, M.; Watanabe, S.; Arai, T.; Sasai, H.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 1997, 119,2329-2330.
(2)Matsunaga, S.; Das, J.; Roels, J.; Vogl, E. M.; Yamamoto, N.; Iida, T.; Yamaguchi, K.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 2252-2260.
(3)特開2002-69076号公報
【0042】
化合物7から化合物8、9および11(Y=NR1011:ホスホロアミダイト配位子)の合成は、以下の参考文献に記載の方法に基づいて実施できる。
参考文献
(1)Hulst, R.; Vries, N. K.; Feringa, B. L. Tetrahedron Asymmetry, 1994, 5, 699-708.
(2)Arnold, L. A.; Imbos, R.; Mandoli, A.; de Vries, A. H. M.; Naasz, R.; Feringa, B. L. Tetrahedoron 2000, 56, 2865-2878.
【0043】
YがOR12であるホスファイト配位子、一般式(1a)または(1b)の化合物(例えば、化合物11)の合成は、以下のように行うことができる。例えば、化合物7から化合物11については、トルエン、三塩化リン、トリエチルアミンを入れ、-60℃で化合物7 のトルエン溶液を滴下し、2時間攪拌する。室温まで昇温、濾過後、-40℃でトリエチルアミン、アルコールを加え、室温で16時間攪拌する。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで化合物11が得られる。
【0044】
この合成法は化合物10(N(i-Pr)2)の合成法を参考にした方法であるが、以下の参考文献に記載の一般的な合成法に従っても合成することは可能である。
例えば
(1)WO0194278,
(2)Heteroatom Chemistry, 2002, 13, 93-95.,
(3)EP1394168,
(4)特開2000-53688号公報
【0045】
YがSR13である一般式(1a)または(1b)の化合物の合成は、例えば、化合物7から以下の参考文献に記載の方法に基づいて実施できる。
参考文献
(1)WO0194278
(2)特開昭60-180794
(3)Z. Anorg. Allg. Chem. 2000, 626, 1246.
【0046】
上記スキームは、一般式(1a)または(1b)において、Xが酸素である化合物の合成方法を示すが、Xが炭素、硫黄または窒素である場合、以下のように合成できる。
Xが炭素である場合、例えば、化合物2から以下の参考文献に記載の方法に基づいて実施できる。
参考文献
Matsunaga, S.; Das, J.; Roels, J.; Vogel, E. M.; Yamamoto, N.; Iida, T.; Yamaguchi, K.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 2252-2260.
【0047】
Xが窒素である場合、化合物5を一級アミンと塩基の存在下反応させると窒素で架橋した化合物が合成できる。
参考文献
Majima, K.; Takita, R.; Okada, A.; Ohshima, T.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 15837-15845.
【0048】
Xが硫黄である硫黄架橋の化合物は化合物5よりカリウムチオアセテートと反応させて得られる3-チオアセトキシメチル-2,2'-ビス(メトキシメチルオキシ)-1,1'-ビナフタレンの加水分解により得られるチオールと化合物5とのチオエーテル化により合成可能である。
参考文献
Kumagai, N.; Matsunaga, S.; Kinoshita, T.; Harada, S.; Okada, S.; Sakamoto, S.; Yamaguchi, K.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 2169-2178.
【0049】
また、上記スキームは、一般式(1)においてnが1の化合物の合成方法を示すが、nが2~3の化合物は、以下のように合成できる。
3位の水素をn-BuLiの様な塩基で引き抜き生じたアニオンとnが2の場合はエチレンオキシド、nが3の場合はトリメチレンオキシドと反応させることにより対応するメチレン鎖を有するアルコールが得られる。化合物4の場合と同様に臭素化物とした後、エーテル化することで合成可能である。
参考文献
Matsunaga, S.; Das, J.; Roels, J.; Vogel, E. M.; Yamamoto, N.; Iida, T.; Yamaguchi, K.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 2252-2260.
Yoshikawa, N.; Shibasaki, M. Tetrahedron 2001, 57, 2569-2579.
【0050】
[触媒]
本発明は、中心金属がロジウム、イリジウム、またはルテニウムであり、上記一般式(1a)または(1b)で示される化合物を配位子として含む錯体(ロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒、およびルテニウム錯体触媒)に関する。本発明の錯体触媒は以下の一般式(20)で表すことができる。
(20)
式中、Mはロジウム、イリジウム、またはルテニウム、Xはハロゲン、RO(ROはヒドロキシ、アルコキシ、アセチルアセトナート、アセトキシ、およびトリフルオロメタンスルホンナートから成る群から選ばれる1種である)、BF、ClO、PF、B(Ar)4、SbFアニオンまたは水素であり、mは1から3の整数であり、Lは、オレフィン、η3-アリル、アリール(Ar)基、アミン、一酸化炭素、またはアセトニトリルであり、pは0から3の整数であり、Lは請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、qは1から2の整数である。アリール(Ar)は芳香環を表す。]
【0051】
上記錯体触媒としては、ロジウム錯体触媒が好ましく、ロジウム錯体触媒は、好ましくは、以下の一般式(20a)で表される。
RhXm1p2q (20a)
式中、Xはハロゲン、RO(ヒドロキシ、アルコキシ、アセチルアセトナート、アセトキシ、トリフルオロメタンスルホンナート等)、BF4、ClO4、PF6、B(Ar)4、SbF6アニオンなどである。Xは、好ましくはBF4、ClO4、PF6、SbF6アニオンであり、特に好ましくはBF4アニオンである。
mは1から3の整数である。mは、好ましくは1である。
1は、エチレン、シクロオクテン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン等のオレフィン、一酸化炭素、アセトニトリル等である。L1は、好ましくはエチレン、シクロオクテン、ノルボルナジエン、シクロオクタジエン等のオレフィンであり、特に好ましくはノルボルナジエンである。
pは0から3の整数である。pは好ましくは1である。
2は一般式(1a)または(1b)で示される化合物である。
qは1から2の整数である。qは好ましくは1である。
【0052】
中心金属がロジウムである、本発明のロジウム錯体触媒は、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、水等の適当な溶媒中、[Rh(nbd)2]BF4、[RhCl(coe)22等のロジウム錯体と一般式(1a)または(1b)で示される化合物である配位子と混ぜることで調製することができる。調製した本発明のロジウム錯体触媒は、そのまま使用することもできるが、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得ることもできる。
【0053】
中心金属がイリジウムである本発明のイリジウム錯体触媒は、上記本発明のロジウム錯体触媒と同様にジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、水等の適当な溶媒中、[IrCl(cyclooctadiene)]2, IrH(CO)(PPh3)3等のイリジウム錯体と一般式(1a)または(1b)で示される化合物である配位子と混ぜることで調製することができる。調製した本発明のイリジウム錯体触媒は、そのまま使用することもできるが、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得ることもできる。
【0054】
中心金属がルテニウムである本発明のルテニウム錯体触媒は、上記本発明のロジウム錯体触媒と同様にジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、水等の適当な溶媒中、[RuCl2(C6H6)]2, [RuCl2(p-cymene)]2等のルテニウム錯体と一般式(1a)または(1b)で示される化合物である配位子と混ぜることで調製することができる。調製した本発明のルテニウム錯体触媒は、そのまま使用することもできるが、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得ることもできる。
【0055】
一般式(20)で表される本発明のロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒およびルテニウム錯体触媒は、光学活性β-置換カルボニル化合物合成用触媒として用いることができる。あるいは、一般式(20)で表される本発明のロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒およびルテニウム錯体触媒は、不斉1,2付加反応用触媒として用いることができる。光学活性β-置換カルボニル化合物合成反応および不斉1,2付加反応については後述する。
【0056】
本発明は、中心金属がパラジウムまたは白金であり、上記一般式(1a)または(1b)で示される化合物を配位子として含む錯体(パラジウム錯体触媒および白金錯体触媒)に関する。本発明のパラジウム錯体触媒および白金錯体触媒は以下の一般式(21)で表すことができる。
2r3s4t (21)
[式中、M2はパラジウム、または白金、Xはハロゲン、アセテートアニオン、BF4、PF6、ClO4、またはSbF6アニオンであり、rは0から2の整数であり、L3はトリアリール(あるいはアルキル)ホスフィン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジベンジリデンアセトンまたはη3-アリルであり、sは0から2の整数であり、L4は請求項1に記載の一般式(1a)または(1b)で示される化合物であり、tは1である。Arは芳香環を表す。]
【0057】
上記錯体触媒としては、パラジウム錯体触媒が好ましく、パラジウム錯体触媒は、好ましくは、以下の一般式(21a)で表される。
PdXr3s4t (21a)
式中、Xはハロゲン、アセテートアニオン、BF4、PF6、ClO4、B(Ar)4、SbF6アニオン等である。Xは、好ましくはハロゲンであり、特に好ましくは塩素である。
rは0から2の整数である。rは、好ましくは0または1である。
3はトリアリール(あるいはアルキル)ホスフィン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジベンジリデンアセトン、η3-アリル等である。L3は、好ましくはジベンジリデンアセトン、またはη3-アリルである。
sは0から2の整数である。sは、好ましくは0である。
4は一般式(1a)または(1b)で示される化合物である。
tは1である。
【0058】
本発明のパラジウム錯体触媒は、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、水等の適当な溶媒中、[Pd(η3-C35)Cl]2、Pd2dba3-CHCl3等のパラジウム錯体と一般式(1a)または(1b)で示される化合物である配位子と混ぜることで調製することができる。調製した本発明のパラジウム錯体触媒は、そのまま使用することもできるが、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得ることもできる。
【0059】
本発明の白金錯体触媒は、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、塩化メチレン、水等の適当な溶媒中、PtCl2(cyclooctadine), PtCl2(CH3CN)2, PtCl2(PhCN)2等の白金錯体と一般式(1a)または(1b)で示される化合物である配位子と混ぜることで調製することができる。調製した本発明の白金錯体触媒は、そのまま使用することもできるが、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得ることもできる。
【0060】
一般式(21)で表される本発明のパラジウム錯体触媒および白金錯体触媒は、不斉アリル位置換反応用触媒として用いることができる。不斉アリル位置換反応としては、不斉アリル位アルキル化反応および不斉アリル位アミノ化反応を例示できる。不斉アリル位置換反応については後述する。
【0061】
[光学活性β-置換カルボニル化合物の製造方法]
本発明は、置換または無置換α、β-不飽和化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性β-置換カルボニル化合物を製造する方法であって、上記反応を、一般式(20)で示されるロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒、またはルテニウム錯体触媒の存在下で行うことを特徴とする。
【0062】
本発明の上記製造方法の目的生成物である光学活性β-置換カルボニル化合物は、下記一般式(4)で表される化合物であることができる。
【0063】
【化18】
JP0004928798B2_000019t.gif
[式中、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。Rは好ましくは置換または無置換のアリール基である。]
【0064】
前記α、β-不飽和化合物において、置換基は、例えば、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、置換基を有するカルバモイル基、アシル基、ホルミル基、またはニトロ基であることができる。
【0065】
前記α、β-不飽和化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることができる。
【0066】
【化19】
JP0004928798B2_000020t.gif
[式中、R1,R2,R3はそれぞれ同一または異なってもよい水素、炭素数1から8のアルキル基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキルチオ基、または炭素数1から8のアルキル基を有してもよいアミノ基を表し、Eはカルボキシル基、シアノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基、またはニトロ基を表す。nは0または整数を表す。WおよびZはそれぞれ同一または異なってもよい-CH2-, =CH-, -O-, -S-, -NH-, または=N-を意味する。R10及びR11はそれぞれ同一または異なってもよい水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基或いは隣接するR10およびR11は下記一般式a
【0067】
【化20】
JP0004928798B2_000021t.gif
(式中R12は水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいカルバモイル基、炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基である)を表す。]
【0068】
前記有機金属反応剤は金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール化合物であることができ、金属としては、例えば、Mg, Zn, Cu, B, Al, Ga, In, Si, Ge, Sn, Pb, Bi等を挙げることができる。有機金属反応剤は、好ましくは、有機ボロン酸誘導体である。有機ボロン酸誘導体は、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物であることができる。
【0069】
【化21】
JP0004928798B2_000022t.gif
[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基を表す。Rは好ましくは置換または無置換のアリール基である。]
【0070】
【化22】
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【0071】
[光学活性アルコール化合物の製造方法]
本発明は、アルデヒド化合物と有機金属反応剤とを反応させて、光学活性アルコール化合物を製造する方法であって、上記反応を、一般式(20)で示されるロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒、またはルテニウム錯体触媒の存在下で行うことを特徴とする。
【0072】
本発明の上記製造方法の目的生成物である光学活性ベンジルアルコール化合物は、下記一般式(7)で表される化合物であることができる。
【0073】
【化23】
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式中、R4は無置換または置換アルキル基またはアリール基であり、置換基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基(置換基を有してもよい)を挙げことができる。Arは芳香環を表す。
【0074】
上記アルデヒド化合物は、下記一般式(5)で表される化合物であることができる。
R4CHO (5)
式中、R4無置換または置換アルキル基またはアリール基であり、置換基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、カルバモイル基(置換基を有してもよい)を挙げことができる。
【0075】
前記有機金属反応剤は金属の置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール化合物であることができ、金属としては、例えば、Mg, Zn, Cu, B, Al, Ga, In, Si, Ge, Sn, Pb, Bi等を挙げることができる。有機金属反応剤は、好ましくは、有機ボロン酸誘導体である。有機ボロン酸誘導体は、下記一般式(3a)、(3b)または(3c)で表される化合物であることができる。
【0076】
【化24】
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[Yは水酸基、炭素数1から8のアルコキシ基、炭素数1から8のアルキル基を有していてもよいフェノキシ基、シクロヘキシルオキシ基、あるいは下式a,b,cまたはd(各式中、qは1から4の整数を表し、そしてrおよびsはそれぞれ独立に0から5の整数を表し、Meはメチル基を表す。)で示される基を表し、Rは置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を表す。Rは好ましくは置換または無置換のアリール基である。]
【0077】
【化25】
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【0078】
[光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物の製造方法]
本発明は、1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とマロン酸ジアルキルとを反応させて、光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物を製造する方法であって、上記反応を、一般式(21)で示されるパラジウム錯体触媒または白金錯体触媒の存在下で行うことを特徴とする。
【0079】
本発明の上記製造方法の目的生成物である光学活性(1,3-ジ置換プロペニル)マロン酸ジアルキル化合物が下記一般式(10)で表される化合物であることができる。
【0080】
【化26】
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(10)
式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表す。
【0081】
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物は、下記一般式(8)で表される化合物であることができる。
【0082】
【化27】
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式中、R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表す。
【0083】
前記マロン酸ジアルキルは、下記一般式(9)で表される化合物であることができる。
【0084】
【化28】
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R7は置換若しくは無置換アルキル基を表す。
【0085】
[光学活性アリルアミン化合物の製造方法]
本発明は、1,3-ジ置換アリルアセテート化合物とアミン化合物とを反応させて、光学活性アリルアミン化合物を製造する方法であって、上記反応を、一般式(21)で示されるパラジウム錯体触媒または白金錯体触媒の存在下で行うことを特徴とする。
【0086】
本発明の上記製造方法の目的生成物である前記光学活性アリルアミン化合物は、下記一般式(13)で表される化合物であることができる。
【0087】
【化29】
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R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表す。R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。
【0088】
前記1,3-ジ置換アリルアセテート化合物は、下記一般式(11)で表される化合物であることができる。
【0089】
【化30】
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R5、R6は同一の置換若しくは無置換アルキル基、または置換若しくは無置換アリール基を表す。
【0090】
前記アミン化合物は、下記一般式(12)で表される化合物であることができる。
【0091】
【化31】
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R8、R9は、独立に、水素、無置換若しくは置換アルキル基、無置換若しくは置換アリール基であるか、またはR8およびR9は炭素数3~7の環を形成してもよい。一般式(12)は、具体的には、ベンジルアミン、アニリンのような1級アミン、ピロリジン等の2級アミンまたはカリウムフタルイミドなどであることができる。
【0092】
前記本発明のロジウム錯体触媒、イリジウム錯体触媒、テニウム錯体触媒および白金錯体触媒は、上記反応以外にアルケンおよびケトン等の不斉水素化用の触媒としても利用できる。ここでアルケンは、下記一般式(13)で表される化合物であることができる。
【0093】
【化32】
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1,R2,R3,R4はそれぞれ独立に炭素数1~8のアルキル基、アリール基、炭素数1~8のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基炭素数2~8のアシル基、炭素数2~8のアルコキシカルボニル基、または炭素数1~8のアルキル基を有していてもよいアミノ基、炭素数1から8のアルキル基を有してもよいカルバモイル基を表す。R1,R2,R3,R4の何れか1つが水素であってもよい。
【0094】
ここでケトンは、下記一般式(14)で表される化合物であることができる。
【0095】
【化33】
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1、R2はそれぞれ独立に置換または無置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール基を表す。
【0096】
尚、本明細書中で、特に断らない場合、アルキル基は、例えば、炭素数1~8の直鎖または分岐アルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、iso-プロピル基である。また、置換アルキル基および置換アリール基の置換基としては、アルコール、アミン、カルボン酸、エステル、アミド、エーテル、アシル基等を挙げることができる。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
参考例1
化合物1-7の合成
化合物1-7の合成スキームは、前述の通りである。
【0098】
化合物2の合成
500ml丸底フラスコにNaH(60% dispersion in mineral oil) (250mmol)を入れアルゴン置換した後、THF で2-3回洗浄した。THF(100ml)を加えTHF(125ml)中に溶解した(R,R)-1,1'-ビナフトール(50mmol)を加える。0℃で1時間攪拌後クロロメチルメチルエーテル(125ml)のTHF(30ml)溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した。メタノール、水を加えジエチルエーテルで3回抽出、有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水を用いて洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、塩化メチレン/ペンタンより再結晶した。(収率92%)
【0099】
化合物3の合成
200mlフラスコに(R,R)-2,2'-ビスメトキシメトキシ-1,1'-ビナフトール(化合物2)(46mmol)のTHF(120ml) 溶液を入れ-78℃に冷却しN,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン(66mmol)を加えた後、n-ブチルリチウムを滴下した。0℃で30分攪拌後、-78℃でN,N-ジメチルホルムアミドのTHF 溶液を滴下し30分攪拌した。0℃まで昇温、40分攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液、1規定塩酸を加えジエチルエーテルで抽出し有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらに塩化メチレン/ヘキサンで再結晶した。(収率67%)
【0100】
化合物4の合成
(R,R)-2,2'-ビスメトキシメトキシ-1,1'-ビナフタレニル-3-カルボキシアルデヒド(化合物3)(25mmol)を500ml丸底フラスコに入れTHF(120ml)、MeOH(120ml)を加え、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(27.5mmol)を加え15分攪拌した。水を加え反応を停止した後、室温で減圧下溶媒を留去した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水を用いて洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。(収率96%)
【0101】
化合物5の合成
300mlフラスコに(R,R)-3-ヒドロキシメチル-2,2'-ビスメトキシメトキシ-1,1'-ビナフタレン(化合物4)の酢酸エチル溶液を入れ、トルエン、酢酸エチルを加える。0℃でトリエチルアミンを加え、メタンスルホン酸塩化物を入れる。そのまま90分攪拌した後、濾過後、濾液に臭化リチウムのDMF 溶液を0℃で加え室温まで昇温した。ジエチルエーテルで抽出後、有機層を1規定塩酸、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去、化合物5を得た。(収率85%)
【0102】
化合物6の合成
200mlフラスコに(R,R)-3-ヒドロキシメチル-2,2'-ビスメトキシメトキシ-1,1'-ビナフタレン(化合物4)のTHF/DMF溶液を入れ、THFで洗浄したNaH のTHF/DMF 溶液を0℃で滴下し、1時間攪拌した。(R,R)-3-ブロモメチル-2,2'-ビスメトキシメトキシ-1,1'-ビナフタレン(化合物5)のDMF 溶液を滴下し、室温まで昇温、64時間攪拌した。0℃で水を加え反応を停止後、ジエチルエーテルで抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。(収率92%)
【0103】
化合物7の合成
200mlフラスコに化合物6を入れ、塩化メチレン/メタノールを加え、p-トルエンスルホン酸・一水和物を加えた。40℃で36時間攪拌した後、塩化メチレンで抽出、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。(収率99%)
【0104】
実施例1
化合物8,9の合成法
30mlフラスコに塩化アンモニウム(0.01g)、化合物7(1mmol)を入れ、トルエン(10ml)に溶解した後、ヘキサメチルホスホラストリアミドを加え12時間加熱還流する。
室温に冷却後、溶媒を留去した。残査を塩化メチレン/ペンタンより再結晶する。(収率75% R=Me)
【0105】
【化34】
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【0106】
【化35】
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【0107】
実施例2
化合物10の合成方法
フラスコにトルエン(3ml)、PCl3(2mmol)、NEt3(4mmol)を入れ、-60℃に冷却し化合物7のトルエン溶液を滴下し、2時間攪拌した。室温まで昇温し、生じた塩を濾過した。濾液を-40℃まで冷却し、n-BuLi(2mmol)、ジイソプロピルアミン(3mmol)を加え室温まで昇温し16時間攪拌した。溶媒を留去後、残査を塩化メチレン/ペンタンより再結晶すると化合物10が得られた。
【0108】
実施例3
化合物11の合成方法
フラスコにトルエン(3ml)、PCl3(2mmol)、NEt3(4mmol)を入れ-60℃に冷却し、化合物7のアルコールをのトルエン溶液を滴下し、2時間攪拌した。室温まで昇温し、生じた塩を濾過した。再び-40℃まで冷却し、フェノールを加え室温で16時間攪拌した。溶媒を留去、残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物11を得た。
【0109】
【化36】
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【0110】
【化37】
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【0111】
実施例4
ロジウム錯体触媒の調製
アルゴン雰囲気下、ロジウム触媒(0.03mmol)、配位子(化合物8)(0.033mmol)を入れジオキサン(あるいは1,2—ジメトキシエタン)/水(2.6ml/0.4ml)を加え室温で1時間攪拌して、ロジウム錯体触媒を調製した。得られたロジウム錯体触媒溶液は、通常はそのまま反応に使用することができる。
塩化メチレン中、ロジウム錯体と配位子(化合物8)を混ぜ錯体を調製した後、溶媒を留去後、残査を再結晶することにより錯体触媒を得た。ロジウム触媒として、[Rh(nbd)2]BF4を用いた場合および[RhCl(coe)22を用いた場合に得られたロジウム錯体触媒のスペクトルデータを以下に示す。
【0112】
【化38】
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【0113】
実施例5
[光学活性β-アリール化合物の合成]
アルゴン雰囲気下、ロジウム触媒(0.03mmol)、配位子(0.033mmol)を入れジオキサン/水(2.6ml/0.4ml)を加え室温で1時間攪拌した後、α、β-不飽和カルボニル化合物(1mmol)、ボロン酸((1.5mmol)を加え、室温で数時間攪拌する。抽出後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。光学純度は光学活性カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
反応条件検討:種々ロジウム触媒、塩基について最適条件を探した結果、[Rh(nbd)2]BF4, 化合物8、トリエチルアミン(実験13)の条件が最も良かった。
【0114】
【表1】
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【0115】
【化39】
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【0116】
【表2】
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【0117】
実施例6
[不斉1,2-付加反応]
アルゴン雰囲気下、ロジウム触媒(0.03mmol)、配位子(0.033mmol)、1,2-ジメトキシエタン(3ml)を入れ室温で1時間攪拌した後、水(3ml)、アルデヒド(1mmol)、アリールボロン酸(2mmol)を加え、60℃で48時間攪拌する。エーテル抽出後、カラムクロマトグラフィーにて精製した。光学純度は光学活性カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
【0118】
【化40】
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【0119】
比較例1
非特許文献6(Sakai, M.; Ueda, M.; Miyaura, N. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 3279-3281.)に記載の方法により、同様の反応を実施した。結果は、下記のように収率、選択性共に低かった。上記実施例6に示すように、本発明の配位子10を用いると高収率で目的物を与え、光学純度は10%ee 程度改善された。
【0120】
【化41】
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【0121】
実施例7
[不斉アリル位アルキル化反応]
20ml フラスコにパラジウム触媒(0.03mmol)、配位子(0.033mmol)塩化メチレン(3ml)を入れ1時間攪拌した後、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセタミド (1mmol)、マロン酸ジメチル(1mmol)、1,3-ジフェニルプロペニルアセテート、酢酸カリウムを加え室温20時間攪拌する。エーテル抽出後、カラムクロマトグラフィーにて精製した。光学純度は光学活性カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
【0122】
【化42】
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【0123】
実施例8
不斉アリル位アミノ化
20ml フラスコにパラジウム触媒(0.03mmol)、配位子(0.033mmol)THF(3ml)を入れ1時間攪拌した後、ベンジルアミン、1,3-ジフェニルプロペニルアセテートを加え室温16時間攪拌する。エーテル抽出後、カラムクロマトグラフィーにて精製した。光学純度は光学活性カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
【0124】
【化43】
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【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、広範な光学活性アリール化合物の合成等に利用できる。