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明細書 :ナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5013722号 (P5013722)
公開番号 特開2006-281201 (P2006-281201A)
登録日 平成24年6月15日(2012.6.15)
発行日 平成24年8月29日(2012.8.29)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
発明の名称または考案の名称 ナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体の製造方法
国際特許分類 B01J  37/00        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/75        (2006.01)
B01J  23/745       (2006.01)
B01J  38/00        (2006.01)
B01J  23/96        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 37/00 ZNMZ
B01J 37/34
B01J 23/46 301Z
B01J 23/74 311Z
B01J 23/74 301Z
B01J 38/00 301P
B01J 23/96 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 3
全頁数 14
出願番号 特願2006-063617 (P2006-063617)
出願日 平成18年3月9日(2006.3.9)
優先権出願番号 2005066682
優先日 平成17年3月10日(2005.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年12月25日(2008.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】本山 幸弘
【氏名】永島 英夫
【氏名】高崎 幹大
【氏名】尹 聖昊
【氏名】持田 勲
個別代理人の代理人 【識別番号】100087675、【弁理士】、【氏名又は名称】筒井 知
審査官 【審査官】大城 公孝
参考文献・文献 特開2004-059409(JP,A)
特開2004-082007(JP,A)
特開2005-007281(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
特許請求の範囲 【請求項1】
ナノメートルサイズの金属微粒子が炭素ナノ繊維に担持されたナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体を製造する方法であって、
目的の金属のカルボニル錯体を溶かした有機溶媒中に炭素ナノ繊維を懸濁させて懸濁液を得て、(イ)その懸濁液を前記有機溶媒の沸点以下の温度で加熱還流すること、および/または、(ロ)その懸濁液に超音波を照射すること、により、前記金属カルボニル錯体をナノ微粒子化する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
炭素ナノ繊維として平板積層炭素ナノ繊維を用いることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
金属カルボニル錯体として、Ru3(CO)12、Co2(CO)8、Fe(CO)5、Os3(CO)12、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Ir4(CO)12、Cr(CO)6、W(CO)6、またはMn2(CO)10を用いることを特徴とする請求項1または2の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノテクノロジーの技術分野に属し、特に、金属担持触媒等として有用なナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
金属担持触媒は、種々の化成品の触媒的合成に広く用いられているだけでなく、環境触媒や水素貯蔵およびとりだし反応に利用が見込まれている。金属担持触媒の特性は、担持媒体(担体)や担持された金属微粒子の担持形態に大きく依存する。すなわち、触媒機能を有効に発現させるためには、金属粒子径を均一に、しかもできる限り小さくする必要があるが、そうすることで金属微粒子が移動しやすくなり、凝集して粒子径が大きくなり触媒活性が低下する。このような現象を防ぐために、細孔構造を有する表面積の大きな活性炭、二酸化ケイ素、または酸化アルミニウム等の担体に分散させる手法が採られている。
【0003】
担持担体の中でも、安価であり、かつ多種多様な大きさの孔を有する多孔性炭素物質である活性炭が、炭素材料として多く用いられている(非特許文献1)。しかし活性炭は、表面の大部分が疎水性であり、反応性に富むエッジ炭素は表面に局在している(非特許文献2、3)。表面はフェノール性水酸基、カルボキシル基、無水カルボン酸、カルボニル基、γおよびδ-ラクトン等様々な酸素官能基を有しており、この部分に金属が優先的に担持されやすい(非特許文献4)。さらに活性炭は、その原料になる炭素物質の種類や製造法により、その微細構造が大きく異なり、表面構造が均質ではないことから、金属を担持した際の金属粒子の分散度や粒子系制御が必ずしも十分ではない。
【0004】
近年、ナノ単位(nm = 10億分の1)の新しい炭素材料として、一方向に伸びる中心軸を有する炭素ヘキサゴナル網面からなる繊維状のナノ炭素(いわゆるカーボンナノファイバ:CNF、もしくはグラファイトナノファイバ:GNF)や炭素ナノチューブ(CNT)の製造法が開発され(非特許文献5-9、特許文献1-4)、金属担持担体の微細炭素材として注目されている。これら炭素ナノ繊維へ金属を担持した金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体は、金属担持触媒(非特許文献10)、電気化学キャパシタ用電極(特許文献5)、燃料電池用電極(非特許文献11)、電界電子放出型ディスプレイ材料(特許文献6)等への応用が期待されている。
【0005】
炭素ナノ繊維を含めた炭素材料への金属微粒子の一般的な担持方法としては、担持媒体を触媒活性のある金属種の金属塩溶液に懸濁させ物理吸着(含浸)させた後、還元雰囲気下、高温で処理する方法が用いられている。しかしながら、この手法では、金属塩を還元する際に長時間にわたる高温処理が必要であり、それに伴う金属の凝集による分散度や粒子系制御が必ずしも十分ではない。
【0006】
それに対し、界面活性剤存在下、金属塩を溶液中で水素化ホウ素ナトリウムやカリウム塩で還元してコロイド粒子を形成した後、担持媒体に含浸する方法が報告されている(非特許文献12)。しかしこの含浸法では、金属塩の濃度や溶媒,界面活性剤の種類といった反応条件で、含浸の深さや分散が決まるため、条件設定が難しい。さらに得られる担持触媒に還元剤残渣が混入してしまい、純度の高い担持触媒の合成が難しい。
【0007】
一方、還元剤残渣の混入を抑えるために、有機金属錯体を前駆体に用いる合成法も知られている。例えば金属カルボニル錯体の熱分解により生成した微粒子を活性炭に担持したコバルト担持炭素触媒(非特許文献13)がある。
【0008】
しかしながら、この方法では熱分解に180℃以上の加熱と界面活性化剤を必要とし、さらに担持コバルト微粒子の平均粒子径は12nmと大きく、その粒子径分布も広い(7~18nm)。
【0009】
[0004]に記載したナノ炭素繊維のうち、ヘキサゴナル網面の端面(エッジ面)の多い炭素ナノ繊維を担持媒担体とした金属担持触媒の合成も知られている。例えば、魚骨状積層や平板積層炭素ナノ繊維に鉄塩(非特許文献16)、ルテニウム塩(非特許文献17)、ニッケル塩(非特許文献18)、白金塩(非特許文献4)を含浸させた後、高温で水素還元する方法が知られている。
【0010】
しかしながら、非特許文献16の方法では、鉄微粒子の平均粒子径は16.2nm、非特許文献18のニッケル微粒子の平均粒子径は6~8nmとかなり大きい。一方、非特許文献4の方法では、白金微粒子の平均粒子径はで3nmだが、300度での水素雰囲気下の熱処理を必要とし、非特許文献17のルテニウム微粒子の平均粒子径は1.1~2.2 nmと狭いものの、調整時に液性をpH=0.5の保たなければならず、より容易で簡便な合成方法が望まれている。
【0011】
その他、炭素ナノ繊維に触媒微粒子を担持させた電気化学キャパシタ用電極なども提案されている(特許文献5)が、この特許文献にはその具体的な担持法は特に言及されておらず、従来から知られた上述したような含浸/還元や溶液中での還元に準ずる手法によるものと推察される。

【非特許文献1】P. N.Rylander, Catalytic Hydrogenetion in Organic Synthesis, Academic Press: New York, 1979
【非特許文献2】H. P. Boehm,E. Diehl, W. Heck, Rev. Gen. Caoutschouc, 1964, 41, 461
【非特許文献3】萩原茂示、改訂 炭素材料入門、1984
【非特許文献4】M. Endo, Y. A. Kim, M. Ezaka, K.Osada, T. Yanagisawa, T. Hayashi, M. Terrones, M. S. Dresselhaus, Nano Lett.2003, 3, 723
【非特許文献5】H. Murayama, T. Maeda, Nature,1990, 345, 791
【非特許文献6】A. Chambers, N. M. Rodriguez, R.T. K. Baker, Langmuir, 1995, 11, 3862
【非特許文献7】M.-S. Kim, Dr. Thesis, Auburn University (1991)
【非特許文献8】A. Tanaka, S.-H. Yoon, I. Mochida, Carbon, 2004, 42, 591
【非特許文献9】A. Tanaka, S.-H. Yoon, I. Mochida, Carbon, 2004, 42, 1291
【非特許文献10】P. Serp, M. Corrias, P. Kalck,Applied Catalysis A: General, 2003, 253, 337
【非特許文献11】K. Sasaki, K. Shinya, S. Tanaka,Y. Kawazoe, T. Kuroki, K. Takata, H. Kusaba, Y. Teraoka, Mater. Res. Soc. Symp. 2005, 835, K7.4.1
【非特許文献12】A. Roucoux,J. Schulz, H. Patin, Chem. Rev., 2002, 102, 3757
【非特許文献13】S. U. Son,K. H. Park, Y. K. Chung, Org. Lett. 2002, 4, 3983
【非特許文献14】J. M.Plancix, N. Goustel, B. Coq, V. Brotons, P. S. Kumbhar, R. Dutartre, P.Geneste, P. Bernier, P. M. Ajayan, J. Am. Chem. Soc., 1994, 116, 7935
【非特許文献15】H. C. Choi,M. Shim, S. Bangsaruntip, H. Dai, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 9058
【非特許文献16】O. C.Carneiro, P. E. Anderson, N. M. Rodriguez, R. T. K. Baker, J. Phys. Chem. B,2004, 108, 13307
【非特許文献17】M. L.Toebes, F. F. Prinsloo, J. H. Bitter, A. J. van Dillen, K. P. de Jong, J.Catal., 2003, 214, 78
【非特許文献18】C. Park, R.T. K. Baker, J. Phys. Chem., 1998, 102, 5168
【特許文献1】特開昭62-5000943号公報
【特許文献2】USP、4,565,683号公報
【特許文献3】特開2003-342839号公報
【特許文献4】特開2003-342840号公報
【特許文献5】特開2005-23468号公報
【特許文献6】特開2001-048509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、炭素材料を担持媒体とし可及的に微細且つ均一にナノメートルサイズの金属微粒子を担持して触媒等として有用な高い活性と耐久性を示す構造体を調製する新しい技術を提供することにある。
【0013】
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、反応性に富むヘキサゴナル網面の端面(エッジ面)の含有率が高い炭素材料である炭素ナノ繊維を担持担体として用い、金属カルボニル化合物を金属微粒子源とすることによって、如上の目的が達成されることを見出し、本発明を導き出した。
【0014】
かくして、本発明は、ナノメートルサイズの金属微粒子が炭素ナノ繊維に担持されたナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体を製造する方法であって、目的の金属のカルボニル錯体を溶かした有機溶媒中に炭素ナノ繊維を懸濁させて、前記金属カルボニル錯体をナノ微粒子化する工程を含むことを特徴とする方法を提供するものである。
【0015】
本発明に従えば、炭素ナノ繊維を懸濁させたカルボニル錯体溶液を加熱還流するなど、極めて簡便な操作で、粒子径の制御された金属微粒子が炭素表面に高度に分散したナノ金属微粒子担持炭素ナノ繊維から成る構造体が得られる。
【0016】
本発明において用いられる炭素ナノ繊維(カーボンファイバー)とは、よく知られているように、サブミクロンオーダーの繊維径をもつ炭素繊維であり、図1に示すように、炭素ヘキサゴナル網面の板状体の積層構造が繊維軸に垂直なもの、約20~80度の傾斜角度をもつもの、あるいは平行なものの3種類に分類され、それぞれ、プレートレット(平板積層)、ヘリングボーン(魚骨状積層)、チューブラー(筒状)と名付けられている(例えば、「N. M. Rodriguez, J. Mater. Res. 1993, 8, 3233」、「高圧ガス、Vol.41, No.2, 10-18頁(2004)」参照)。本明細書および図面においては、プレートレット(平板積層)炭素ナノ繊維をCNF-P、ヘリングボーン(魚骨状積層)炭素ナノ繊維をCNF-H、チューブラー(筒状)炭素ナノ繊維をCNF-Tと略記していることがある(図1参照)。なお、この分類に従うと、単層炭素ナノチューブ(SWCNT)および多層ナノチューブ(MWCNT)は、チューブラー炭素ナノ繊維に含まれ、本発明に関連して用いるチューブラー炭素ナノ繊維という語はSWCNTおよびMWCNTを含むものとする:多層(MWCNT)も含みます。ナノ炭素繊維の構造や物性は、合成触媒、炭素源、合成条件(温度)の組み合わせで決定される。このような炭素ナノ繊維は、公知の方法で得ることができる(例えば、非特許文献5、6、特許文献1-4)。また、米国のCatalytic Materials LLC社から、CNF-Pについては「Platelet GNF」、CNF-Hについては「Herringbone」、CNF-Tについては「Multi-walled Nanotubes」の商品名で、いずれも純度99.0%の製品として販売されている。本発明においては、このような炭素ナノ繊維で、表面にアモルファス層がなく、エッジ面が表面に露出したものが好ましい(例えば、特許文献3、4、ならびにCNF-Hについては非特許文献8、CNF-PおよびCNF-Tについては非特許文献8、9)。
【0017】
本発明の方法は、本質的に、金属のカルボニル錯体を溶かした有機溶媒中に如上の炭素ナノ繊維を懸濁させてそのカルボニル錯体をナノ微粒子化するという簡便な操作のみから成る。ここで、カルボニル錯体のナノ微粒子化は、一般に、カルボニル錯体を溶解し炭素ナノ繊維を懸濁させた液を加熱還流することによって行なわれる。すなわち、有機溶媒として、金属カルボニル錯体を溶かし炭素ナノ繊維を懸濁させ得るものを用い、有機溶媒の沸点以下でカルボニル錯体の分解が起こる温度で加熱還流すればよい。例えば、金属カルボニル錯体がRu3(CO)12の場合は、トルエンを用いて当該錯体を溶解し炭素ナノ繊維を懸濁させた懸濁液を100℃前後の温度で加熱還流する。金属カルボニル錯体の種類によってはこれより低温の加熱還流も可能であり、また、上記の要件を満たす限り、他の有機溶媒(例えば、ベンゼン、ジクロロエタンなど)を使用することもできる。
【0018】
金属カルボニル錯体のナノ微粒子化は、当該金属カルボニル錯体の種類に応じて、如上の加熱還流の代わりに、あるいは加熱還流に加えて、金属カルボニルを溶解し炭素ナノ繊維を懸濁させた有機溶媒液に超音波を照射することによっても行なうことができる。例えば、金属カルボニル錯体としてFe(CO)5を用いる場合には、超音波照射だけでも鉄担持炭素ナノ繊維から成る構造体を得ることができる。
【0019】
以上のような加熱還流および/または超音波照射工程の生成物は、その後、ろ過、洗浄および乾燥に供され、所望の構造体が得られる。このようにして得られた本発明の金属微粒子/炭素繊維構造体は、炭素繊維のナノ構造に特徴的な構造を呈している。すなわち、ナノメートルサイズの比較的均一な粒子径の金属微粒子が、平板積層(型)炭素ナノ繊維では炭素表面に、魚骨状積層(型)炭素ナノ繊維では表面ならびにヘキサゴナル網面の間、筒状炭素ナノ繊維では表面ならびに筒内に高度に分散した構造を呈している。したがって、本発明のナノメートルサイズの均一な金属微粒子が炭素表面に高分散で担持されたナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体の製造方法においては、炭素ナノ繊維として平板積層(型)炭素ナノ繊維を用いることが特に好ましい。
【0020】
本発明が適用される金属の種類は特に限定されるものではなく、カルボニル錯体を形成し得る各種の金属について本発明を適用することができる。本発明において使用されるのに好ましい金属カルボニル錯体として、Ru3(CO)12、Co2(CO)8、Fe(CO)5、Os3(CO)12、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Ir4(CO)12、Cr(CO)6、W(CO)6、またはMn2(CO)10などが挙げられ、このうち、周期表第8族および第9族に属する金属のカルボニル錯体が特に好ましい。これらの金属カルボニル錯体を用いることにより、それぞれの金属の機能に応じた用途のナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体を調製することができる。
【0021】
例えば、本発明のナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体の好ましい適用例として、該構造体から成るナノ金属微粒子担持触媒が挙げられ、特に、平板積層(型)炭素ナノ繊維を用いて如上の金属カルボニル錯体を加熱還元によりナノ微粒子化することにより、触媒活性能の優れたナノ金属微粒子担持触媒が得られる。これは、ナノメートルサイズの均一な金属微粒子が高活性を保持した状態で炭素表面に分散されているためと理解される。
【0022】
なお、一般に、炭素ナノ繊維のような微粉末は飛散し易く取扱いにくいため、再利用が困難である。しかしながら、本発明に従うナノ金属微粒子担持触媒を用いて触媒反応を行なうに当っては、有機溶媒にポリエチレングリコールを添加することにより、反応後に触媒(ナノ金属微粒子/炭素ナノ繊維構造体)と生成物とを容易に分離することができるので再利用も可能である(後述の実施例21~23参照)。
【0023】
以下に、本発明の特徴をさらに具体的に説明するため、実施例を示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
なお、本発明で用いた炭素ナノ繊維は、上述の文献(非特許文献7-9)に従って合成したものを用いた。具体的には、プレートレット型カーボンナノファイバーは鉄触媒で一酸化炭素から600°Cで合成した。鉄触媒は、硝酸鉄の水溶液に重炭酸アンモニウムを加えて形成した沈殿物を濾過・洗浄し、400°C、空気で焼成した後、500°C、水素で還元して調製した[非特許文献19-21]。へリングボーン型とチューブラー型カーボンナノファイバーは、各々、Ni-Cu(8/2wt)触媒/エチレン/580°CとFe-Ni(6/4wt)触媒/一酸化炭素/640°Cで合成した。Ni-Cu及びFe-Ni合金触媒は、それぞれの硝酸塩を前駆体として鉄金属触媒の調製と同一方法で製造した。カーボンナノファイバー合成装置はシリカチューブを設置した水平型電気炉を用いて、ガス流量はマスフロー制御器で精密に調整した[非特許文献19]。所定量の触媒を反応炉に設置し、He/H(4/1v/v)の雰囲気で合成温度に昇温して2時間処理し、反応ガスCO/HあるいはC/H混合ガスに切り替えてカーボンナノファイバーの合成を行った。
【0024】
実施例1~実施例7は、実施例4を除き、本発明に従う金属微粒子担持炭素ナノ繊維から成る構造体の調製例である。実施例4は、比較のために、担持媒体として活性炭を用いて同様の操作で合成した場合の結果を示すものである。
実施例8~実施例23は、本発明によって得られる金属微粒子担持炭素ナノ繊維から成る構造体の有用性を示す1例として、実施例1で調製した構造体を不飽和化合物の水素化反応用触媒に適用した場合の結果を示すものである。
<nplcit num="19"><text>Tanaka A,Yoon S-H, Mochida I. Preparation of highly crystalline nanofibers on Fe andFe-Ni catalysts with a variety of graphene plane alignments. Carbon 2004; 42 (3):591-597.</text></nplcit><nplcit num="20"><text>Best RJ,Russell WW. Nickel, copper and some of their alloys as catalysts for ethylenehydrogenation. J Am Chem Soc 1954; 76: 838-842.</text></nplcit><nplcit num="21"><text>Sinfelt JH,Carter JL, Yates DJC. Catalytic hydrogenolysis and dehydrogenation overcopper-nickel alloys. J Catal 1972; 24: 283-296.</text></nplcit>
【0025】
〔実施例1〕
ルテニウム担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-P)の合成
30mLの2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、もう一方に活栓を付け、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。平板積層炭素ナノ繊維(100mg)とRu3(CO)12(31.9mg、0.05mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(17mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この炭素繊維が懸濁した錯体溶液を24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(50mL)と引き続きエーテル(50mL)で洗浄した。得られた炭素繊維を30mLナスフラスコに移し、その上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-P)(102mg)を得た。
以上の操作により得られたRu/CNF-Pのルテニウム担持量をICP-MS(ICP質量分析)により測定したところ、約1.6~1.7重量%であった。
また、以上の操作により得られた炭素ナノ繊維構造体について、透過型電子顕微鏡(TEM)によりルテニウム金属微粒子の担持状態を確認した結果を図2に示す。図2から金属微粒子が炭素繊維表面のヘキサゴン平面の末端に担持されているのがわかる。さらに平均粒子径を計測したところ、約2.5nmであった。
【0026】
〔実施例2〕
ルテニウム担持魚骨型積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-H)の合成
30mLの2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、もう一方に活栓を付け、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。魚骨型積層炭素ナノ繊維(100mg)とRu3(CO)12(31.9mg、0.05mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(17mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この炭素繊維が懸濁した錯体溶液を24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(50mL)と引き続きエーテル(50mL)で洗浄した。得られた炭素繊維を30mLナスフラスコに移し、その上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持魚骨型積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-H)(104mg)を得た。
以上の操作により得られたRu/CNF-Hのルテニウム担持量をICP-MSにより測定したところ、約1.1~1.6重量%であった。
また、得られた炭素ナノ繊維構造体について、透過型電子顕微鏡(TEM)によりルテニウム金属微粒子の担持状態を確認した結果を図3に示す。図3から、実施例1の構造体に比べて炭素繊維表面に担持されている金属微粒子は少なくなっており、欠陥格子部および炭素繊維のグラファイト層間にも担持されているのがわかる。平均粒子径を計測したところ約3.0 nmであった。
【0027】
〔実施例3〕
ルテニウム担持円筒型積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-T)の合成
30mLの2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、もう一方に活栓を付け、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。円筒型積層炭素ナノ繊維(100mg)とRu3(CO)12(31.9mg、0.05mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(17mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この炭素繊維が懸濁した錯体溶液を24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(50mL)と引き続きエーテル(50mL)で洗浄した。得られた炭素繊維を30MLナスフラスコに移し、その上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持円筒型積層炭素ナノ繊維(Ru/CNF-T)(122mg)を得た。
以上のようにして得られたRu/CNF-Tのルテニウム担持量をICP-MSにより測定したところ、約1.1~3.8重量%であった。
また、得られた炭素ナノ繊維構造体について、透過型電子顕微鏡(TEM)によりルテニウム金属微粒子の担持状態を確認した結果を図4に示す。図4から、炭素繊維表面に担持されている金属微粒子は少なく、一部2-3nmの微粒子も見られるが、凝集のため大きな金属微粒子も確認できる。凝集したものを除いた微粒子の平均粒子径を計測したところ、約2.7nmであった。
【0028】
参考例
ルテニウム担持活性炭(Ru/AC)の合成
100mLの2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、もう一方に活栓を付け、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。活性炭(関東化学Cat.No. 01085-02)(300mg)とRu3(CO)12(95.8mg、0.15mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(50mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この活性炭が懸濁した錯体溶液を24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(60mL)と引き続きエーテル(80mL)で洗浄した。得られた活性炭を30MLナスフラスコに移し、その上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持活性炭(Ru/AC)(349.4mg)を得た。
以上のようにして得られたRu/ACのルテニウム担持量をICP-MSにより測定したところ、約1.3~1.4重量%であった。
また、得られたRu担持活性炭について、透過型電子顕微鏡(TEM)によりルテニウム金属微粒子の担持状態を確認した結果を図5に示す。図5から金属微粒子は活性炭表面にはあまり担持されておらず、活性炭特有の孔の中に入り込んでいるのが確認できる。平均粒子径を計測したところ約2.9 nmであった。

【0029】
〔実施例5〕
コバルト担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Co/CNF-P)の合成
100mLの2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、もう一方に活栓を付け、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。平板積層炭素ナノ繊維(300mg)とCo2(CO)8(51.3mg、0.15mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(50mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この活性炭が懸濁した錯体溶液を24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(60mL)と引き続きエーテル(80mL)で洗浄した。得られた活性炭を30mLナスフラスコに移し、その上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、コバルト担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Co/CNF-P)(317mg)を得た。
【0030】
〔実施例6〕
超音波発生機を用いたルテニウム担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-P-US)の合成
100mLの2方コック付き2口フラスコの片方に上部に三方コックをつけた冷却管、2方コックに真空ラインを繋げ、超音波発生機(トミー精工社製:UD-201)をフラスコ上部に連結し、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。平板積層炭素ナノ繊維(300mg)とRu(CO)12(95.8mg、0.15mmol)をフラスコに加え、0.04Torrで約10分減圧乾燥した後、再びアルゴン雰囲気に置換した。トルエン(50mL)をシリンジで加えて錯体を溶解した。この炭素繊維が懸濁した錯体溶液に超音波(OUTPUT=5、DUTY=30)を発生し続けて、24時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却した後、メンブランろ紙を用いてろ取し、そのままトルエン(60mL)と引き続きエーテル(80mL)で洗浄した。得られた炭素繊維を30mLナスフラスコに移し、の上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持板積層炭素ナノ繊維構造体(Ru/CNF-P-US)(325mg)を得た。
【0031】
〔実施例7〕
超音波発生機を用いた鉄担持平板積層炭素ナノ繊維構造体(Fe/CNF-P-US)の合成
30mLの2方コック付きフラスコの2方コックに真空ラインを繋げ、超音波発生機(トミー精工社製:UD-201)をフラスコ上部に連結し、磁気撹拌子を加えて9Torrで減圧乾燥した後、フラスコ内をアルゴン雰囲気に置換した。平板積層炭素ナノ繊維(100mg)と、トルエン(17mL)をシリンジで加えてた。その後、この炭素繊維が懸濁した錯体溶液に超音波(OUTPUT=5、DUTY=30)を30分照射して炭素ナノ繊維を溶媒中に分散させた後、一旦超音波の照射を止め、アルゴン気流下でFe(CO)5(7μl、0.05mmol)をマイクロシリンジでフラスコに加えた。再び超音波(OUTPUT=5、DUTY=30)を照射しながら24時間反応させた。その後、メンブランろ紙を用いて炭素ナノ繊維をろ取し、そのままトルエン(50mL)と引き続きエーテル(50mL)を用いて洗浄した。得られた炭素繊維を30mLナスフラスコに移し、上部に三方コックをつけた後、0.04Torrの減圧下、室温で乾燥することにより、ルテニウム担持板積層炭素ナノ繊維構造体(Fe/CNF-P-US)(74mg)を得た。
【0032】
〔実施例8〕
トルエンの核水素化反応
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とトルエン(3mL、2.61g、28.3mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。加熱直後、水素圧は35気圧まで上昇するが、約30分後には20気圧まで減少し、引き続き2時間反応させると13気圧で一定になった。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物に内部標準物質としてn-オクタンを加え、ガスクロマトグラフによりトルエンの転化率(>99%)ならびにメチルシクロヘキサンの収率(>99%)を決定した。GLC(カラム:TC-17;0.25mm x 30m、カラム温度:70℃、入力圧:60kPa、保持時間:4.3min(n-オクタン);4.6min(メチルシクロヘキサン);5.8min(トルエン)。
【0033】
〔実施例9~11〕
圧力効果
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とトルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、10~30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物に内部標準物質としてn-オクタンを加え、ガスクロマトグラフによりトルエンの転化率ならびにメチルシクロヘキサンの収率を決定した。GLC(カラム:TC-17;0.25mm x 30m、カラム温度:70℃、入力圧:60kPa、保持時間:4.3min(n-オクタン);4.6min(メチルシクロヘキサン);5.8min(トルエン)。
【0034】
【表1】
JP0005013722B2_000002t.gif

【0035】
表1から、初期水素圧が高いほど反応が早いことが理解できる。水素圧10気圧でも約2時間で反応が完結していることがわかる。
【0036】
〔実施例12~16〕
トルエンの核水素化反応における炭素担持媒体の効果
100mLオートクレーブ用ガラス内管に実施例1から4、ならびに市販の5%ルテニウム炭素触媒(Ru/C)(エヌエーケムキャット社製)(5mg)とトルエン(3mL、2.61 g、28.3mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、20~30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、5時間加熱撹拌した。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物に内部標準物質としてn-オクタンを加え、ガスクロマトグラフによりトルエンの転化率ならびにメチルシクロヘキサンの収率を決定した。
【0037】
【表2】
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【0038】
表2から、市販の5%ルテニウム炭素触媒は活性が低く、活性炭や魚骨型、円筒型積層炭素ナノ繊維担持のルテニウム触媒では、反応に再現性が見られないことがわかる。それに対し、平板積層炭素ナノ繊維担持のルテニウム触媒は、再現性良く、反応が完結することがわかる。
上記の反応で得られた生成物であるメチルシクロヘキサン中に含まれるルテニウム金属量をICP-MSで測定した結果、本発明の構造体においてはいずれの場合にもルテニウムは検出限界以下(< 1ppm)であったことから本発明の構造体は、反応中に炭素ナノ繊維から金属の溶出のない耐久性を有していることがわかる。
【0039】
〔実施例17〕
アニソールの核水素化反応
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とアニソール(3mL、2.98g、27.6mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。5時間後、反応容器を室温まで冷却し、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物をH NMRよりアニソールの転化率(71%)ならびにシクロヘキシルメチルエーテルの収率(71%)を決定した。
【0040】
〔実施例18〕
安息香酸エチルの核水素化反応
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)と安息香酸エチル(3mL、3.15g、20.9mmol)、溶媒としてn‐オクタン(1mL、0.7g、6.1mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。5時間後、反応容器を室温まで冷却し、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物をH NMRより安息香酸エチルの転化率(>99%)ならびにシクロヘキサンカルボン酸エチルの収率(>99%)を決定した。
【0041】
〔実施例19〕
アニリンの核水素化反応
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とアニリン(1mL、1.02g、10.9mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。24時間後、反応容器を室温まで冷却し、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物をH NMRよりアニリンの転化率(>99%)ならびにシクロヘキシルアミンの収率(>99%)を決定した。
【0042】
〔実施例20〕
ニトロベンゼンの核水素化反応
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とニトロベンゼン(1mL、1.20g、9.7mmol)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100℃の油浴につけ、加熱撹拌した。24時間後、反応容器を室温まで冷却し、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。反応物をH NMRよりニトロベンゼンの転化率(>99%)ならびにアニリン(90%)とシクロヘキシルアミン(10%)の収率を決定した。
【0043】
[実施例21]
ポリエチレングリコール200(PEG200)を用いた触媒の回収・再利用
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とトルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)、PEG200 (Aldrich社製:1 mL)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100°Cの油浴につけ、5時間加熱撹拌した。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。オートクレーブ内管を取り出すと、PEG200と生成物のメチルシクロヘキサンの液-液2相を形成しており、ナノ炭素繊維構造体は下相のPEG200相に分散されていた。上相のメチルシクロヘキサンをピペットで採取し、0.65gの生成物が得られた。
オートクレーブ内管に残ったPEG200とナノ炭素繊維構造体をヘキサン3mLで洗浄後、再びオートクレーブに設置し、トルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)を加えた後、30気圧の水素を充填し、繰り返し100°Cで5時間反応を行なった。その結果、5回の繰り返し実験でも、触媒活性の低下は観測されなかった。
【0044】
[実施例22]
ポリエチレングリコール300(PEG300)を用いた触媒の回収・再利用
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とトルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)、PEG300(関東化学社製:1 mL)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100°Cの油浴につけ、5時間加熱撹拌した。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。オートクレーブ内管を取り出すと、PEG300と生成物のメチルシクロヘキサンの液-液2相を形成しており、ナノ炭素繊維構造体は下相のPEG300相に分散されていた。上相のメチルシクロヘキサンをピペットで採取し、0.63gの生成物が得られた。
オートクレーブ内管に残ったPEG300とナノ炭素繊維構造体をヘキサン3mLで洗浄後、再びオートクレーブに設置し、トルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)を加えた後、30気圧の水素を充填し、繰り返し100°Cで5時間反応を行なった。その結果、5回の繰り返し実験でも、触媒活性の低下は観測されなかった。
【0045】
[実施例23]
ポリエチレングリコール300(PEG1000)を用いた触媒の回収・再利用
100mLオートクレーブ用ガラス内管に、実施例1で得られたナノ炭素繊維構造体(5mg)とトルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)、PEG1000 (Aldrich 社製:1 g)を加え、オートクレーブに設置した後、30気圧の水素を充填した。このオートクレーブを100°Cの油浴につけ、5時間加熱撹拌した。反応容器を室温まで冷却した後、オートクレーブのコックを徐々に開放して常圧に戻した。オートクレーブ内管を取り出すと、PEG1000と生成物のメチルシクロヘキサンの固-液2相を形成しており、ナノ炭素繊維構造体は下相であるPEG1000の固相に分散されていた。上相のメチルシクロヘキサンをピペットで採取し、0.63gの生成物が得られた。
オートクレーブ内管に残ったPEG300とナノ炭素繊維構造体をヘキサン3mLで洗浄後、再びオートクレーブに設置し、トルエン(1mL、0.87g、9.43mmol)を加えた後、30気圧の水素を充填し、繰り返し100°Cで5時間反応を行なった。その結果、5回の繰り返し実験でも、触媒活性の低下は観測されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、担体(炭素ナノ繊維)の表面にナノメートルサイズの金属微粒子を均一且つ安定して担持することのできるきわめて簡便な技術を提供するものであり、それぞれの金属に応じた反応用の触媒の他、各種の有用な材料の開発に利用され得るものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来より知られた3種類の炭素ナノ繊維の構造を概示するものであり、図中の線は炭素ヘキサゴン平面を表わす。
【図2】本発明に従って調製された構造体Ru/CNF-Pの平均粒子径分布とTEM(透過型電子顕微鏡)像。
【図3】本発明に従って調製された構造体Ru/CNF-Hの平均粒子径分布とTEM像。
【図4】本発明に従って調製された構造体Ru/CNF-Tの平均粒子径分布とTEM像。
【図5】比較のために調製されたRu担持活性炭の平均粒子径分布とTEM像。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4